ログミーFinance 第129回 個人投資家向けIRセミナー 第3部・Hmcomm株式会社
Hmcomm、音×AIの独自技術で社会課題を解決 共創プロジェクト加速とM&Aで非連続成長を目指す
会社概要

三本幸司氏(以下、三本):Hmcomm株式会社代表取締役社長CEOの三本です。本日はよろしくお願いします。
はじめに、会社概要・ビジネスモデルについてご説明します。当社Hmcommは、「Human Machine Communication」(ヒトと機械との融合)の意味を社名に込めています。本社は東京の浜松町にあり、私が代表を務める三本です。
AIプロダクトの創出と、それに向けたAIソリューションの開発の2本を軸に事業を展開している点が当社の主な特徴です。
主な沿革

三本:沿革です。当初は産総研(産業技術総合研究所)のベンチャーとして、音の技術の研究開発からスタートしました。具体的には、ヒトの声や音声、またモノの音や異音といったヒト音声ではない音響のモデルの解析などを経て、現在に至っています。
事業内容

三本:事業内容です。「AIソリューション」が約6割、「AIプロダクト」が約4割で事業を推進しています。
AIソリューションは、お客さまである事業会社との共創、協業を推進する受託開発型のプロジェクトベースの事業です。それをもとに、ライセンスやIPR(知的財産権)などへ転換してプロダクトに進化させ、サブスクリプションモデルの課金体系でお客さまから料金をいただくかたちとなっています。
ビジネスフロー

三本:ビジネスフローです。ほとんどが共創プロジェクトを主としているため、事業会社やエンドユーザーであるお客さまから直接お仕事をいただくことが非常に多くなっています。
一方で、販売代理店や提携先を通じて、当社の技術やプロダクトを幅広くお客さまに届けていただく部分については、これからの成長が見込まれています。現時点では約85パーセントが直接販売、15パーセントが提携先の販売代理店を通じてソリューションやプロダクトをお客さまに届けるかたちとなっています。
開発・研究、ソフトウェアの創出を行う中で、プログラムの作成や全体的な品質向上のためのソフトウェアテストなどについては、外注先にピンポイントで依頼して総合対応力を構築しています。
独自の研究開発型ビジネスプロセス

三本:続いて、我々のビジネスプロセスを、スライドの一番下から左上に向かって説明していきます。まずはR&D初期フェーズです。当社はもともと産総研の技術をシーズとして立ち上がってきた経緯があります。
R&D初期フェーズで、さまざまな最先端の研究の成果を、R&Dプロジェクトフェーズで共創先の事業会社に持ち込みます。そこでのPoC(概念実証)や共同開発を経てプロダクト化フェーズに進み、お客さまに導入していただきます。
お客さまが導入を継続することで、ソフトウェアの価値がどんどん向上していきます。このようなサイクルを繰り返し回していくことが、当社のビジネスプロセスの典型的な例です。
ビジネスプロセス~当社の優位性

三本:さらに詳しく説明すると、R&D初期フェーズからサービスのローンチ・運用まで一気通貫で行うことを当社の強みとしています。
したがって、研究開発の段階からさまざまな高いハードルが設定されていますが、それらを確実にクリアして社会実装を約束し、社会実装後は実際にお客さまの現場で成果が出るようプロダクションを進めていきます。この一連のプロセスに一気通貫で対応できるのが当社の強みであると考えています。
ビジネスプロセス~共創フェーズ(AIソリューション)の取組み

三本:当社ビジネスの出発点は「共創フェーズ」です。共創フェーズでどれだけ多くの共創プロジェクトを立ち上げ、各事業会社に認められてプロジェクトをスタートできるかが大きな鍵となります。このプロジェクト数が、当社の業績や成長のKPIとなっています。
ビジネスプロセス~共創フェーズの実例

三本:共創フェーズの実例を示します。スライド左側は、共創プロジェクトに取り組んでいる事業会社の例です。右側の表では、各業界でどのようなプロジェクトがどれだけ動いているのかを定性・定量的に表しています。はじめの一歩として、共創フェーズの実例はこのようになっています。
kenmo氏(以下、kenmo):実例を示していただきましたが、AIソリューション事業で最近増加しているニーズやトレンドについてお聞かせいただけますでしょうか?
三本:現在、事業会社が生成AIやLLM(大規模言語モデル)を社会実装する際に、どのように業務に組み込んでいくか、さまざまな情報が錯綜しているため、相談が非常に増えています。
kenmo:「AIを導入したいが、どうしたらいいか?」というような相談内容でしょうか?
三本:そのとおりです。
kenmo:多くのお客さまがいらっしゃると思いますが、顧客獲得の手段について教えていただけますか?
三本:上場前は、資金調達の際に産総研との協働を通じて事業会社との接点を持っていました。現在では、社会実装の成功例が増えてきたこともあり、それらを適時開示やプレスリリースのかたちでPRすることで、第2のまだ見ぬ提携先から声をかけていただくケースが多くなっています。
kenmo:そのような問い合わせも徐々に増加しているのですね。
三本:おっしゃるとおりです。
エグゼクティブサマリー

三本:昨年度2025年12月期の決算概要を説明します。はじめにエグゼクティブサマリーです。2025年12月期の売上高は11.1億円でした。主なトピックスとしては、双日テックイノベーションと代理店契約を締結し、「Terry2」の販売強化に取り組みました。その結果、売上高は11.1億円、経常利益は0.3億円、経常利益率は3.6パーセントとなっています。
続いて、2026年12月期の通期見通しです。2025年にはさまざまな種まきを行ってきました。2026年はその種まきが本格的に実を結び、AIソリューション事業の進化とAIプロダクトへのコンバージョンが進展することで、20パーセントを超える成長を見込んでいます。売上高13.7億円、経常利益0.4億円、経常利益率3.3パーセントで計画を立てています。
ITコンサルティング事業の譲受

三本:昨年度、当社は2件の事業譲受を果たしました。1件目はITコンサルティング事業の譲受です。当社はどちらかといえば技術を重視したテックベンチャーであり、要素技術をお客さまに伝えることからお客さまとの関係をスタートさせてきました。
先ほどの質問にも関連しますが、昨今は「どのようにLLMを使えばいいのか」「お客さまの課題をどのように解決すればいいのか」などコンサルティング的な部分で、さらに上流工程からお客さまと会話を始めなければ、社会実装で効果的な成果を出せません。
そのため、株式会社IPパートナーズのITコンサルティング事業の譲り受けを実行しました。
ファンタラクティブ株式会社からの事業譲受

三本:もう1つは、DXなどを推進するソフトウェア企業のファンタラクティブ株式会社です。こちらは、どちらかというとUI/UXやデザインなどの技術を補完する意味合いで、ファンタラクティブ社の一部事業を譲り受けました。
ビジネスプロセス~事業化・社会実装の実例1

三本:トピックスとして、「FAST-D」をご紹介します。先ほど述べた異音検知の技術を衛星データとともに活用し、インフラのDX推進プロジェクトを、地方自治体とスタートさせることができました。
ビジネスプロセス~事業化・社会実装の実例2

三本:生成AIを活用した「Terry2」についてです。最新のリアルタイムAPI技術とLLMを使い、生成AIによる対話型AIエージェントとして、金融機関のお客さまと社会実装に向けて推進しています。
双日テックイノベーション株式会社との代理店契約締結

三本:双日テックイノベーションと販売代理店契約を締結しました。多くの事業会社との直接取引で得た知見やソフトウェアアセット、プロダクトを幅広く販売していただくため、昨年から販売代理店施策を開始しました。双日テックイノベーションとの代理店契約は、この主な例です。
双日テックイノベーションとの契約を通じて、AIプロダクトの売上が着実に伸びていくことを期待しています。
2025/12期決算概要

三本:2025年12月期の決算概要です。売上高は11.1億円でした。AIソリューションは計画どおりですが、AIプロダクトは計画を少し下回っています。
AIソリューションで培ったものをプロダクトに転換するかたちで事業を推進しているため、AIソリューションの売上比率が一時的に高まっていますが、今期はその成果をAIプロダクトに確実に結びつける先行指標として捉えていただきたいと思います。
また、先ほどお伝えしたM&Aを含めたコンサルティング人材の採用強化に係る費用、一時的なリソース不足による外注費の増加、さらにはM&Aに伴うのれん代の償却費などの影響から利益が減少し、計画未達で着地しています。
売上構成の状況

三本:売上構成です。スライド左側のグラフは、AIソリューションとAIプロダクトの売上シェアを示しています。お話ししたようにAIソリューションが先行し、今年度はこれをAIプロダクトに転換してビジネスを推進していく方針です。
右側のグラフは、顧客別の売上構成を示しています。これまで特定の上位取引先への依存度が高かったのですが、依存度を徐々に低下させて取引先が多様化したことで、ビジネスリスクが大きく低減し健全化してきています。
AIソリューションとAIプロダクトの事業状況

三本:スライド左側はAIソリューションのプロジェクト数と平均単価を示したグラフです。どちらも順調に増加しています。右側はAIプロダクトのアカウント数とアカウント当たり平均単価です。プロジェクト数は増加しており、単価も改善傾向にあります。
kenmo:こちらのスライドについて、大型案件を受注できているとのことですが、1案件当たりの平均売上にはどの程度のばらつきがあるのでしょうか?
三本:記載されているとおり、AIソリューションのプロジェクト平均単価は450万円、AIプロダクトの1アカウント当たりの平均単価は約1,020万円です。ただし、これはあくまで平均値であり、お客さまや投入しているプロダクトによって大きなばらつきがあります。
kenmo:1,000万円を超えるような案件もあるのでしょうか?
三本:あります。
kenmo:AIソリューション事業が伸びているとのことですが、案件ごとに人員の投入が必要かと思います。現状では人材は十分に足りているのでしょうか? また、採用や育成の状況についても教えていただけますか?
三本:2025年度は、人員の確保に相当苦労しました。ベトナム企業と業務提携を結び、そちらのリソースをうまく活用するなど、さまざまなスキームを組みながら対応してきました。
また、生成AIやLLMを含め、AI駆動型の開発案件が増加しているため、それらを横断的に推進する機構を構築しました。これにより、AI未経験の人材がプロジェクトに参画することで、OJTを通じたノウハウや知識、実績を身につける取り組みを全社的に進めています。
B/Sの状況

三本:B/Sの状況です。有利子負債を完済し、自己資本比率は80パーセント超と、財務基盤は盤石です。2025年2月と8月の事業譲受によって、のれん代を計上しています。このため現預金は減少しましたが、総資産の約60パーセントを維持し、投資資金も潤沢に確保しています。
CFの状況

三本:続いてキャッシュフローです。税引前当期純利益およびキャッシュを伴わない契約資産・負債の増減が影響し、営業キャッシュフローは黒字を計上しています。2025年2月と8月の事業譲受に係る支出により投資キャッシュフローはマイナスとなっています。また、自己株式の取得に係る支出により、財務キャッシュフローもマイナスとなりました。
主要KPIs

三本:当社が注力しているKPIについてです。AIプロダクトアカウント数、AIソリューションプロジェクト数、エンジニア人数、生成AI関与率の事業KPIはスライドのとおり着地しています。スライド右側は、財務KPIの状況です。
2026/12期通期見通し

三本:進行期2026年度の通期見通しをご説明します。2026年度は、昨年実施の事業譲受によって得たリソースがAIソリューションおよびAIプロダクトに転換することで、AIプロダクトとAIソリューションの双方で20パーセントを超える成長を見込んでいます。
売上高は、前年比プラス23.5パーセントの成長を見込んでいます。事業譲受に伴うのれん償却費の負担はあるものの、現金創出力を示すEBITDAは1億円と増益基調を見込んでいます。
中期展望(成長戦略)再定義背景

三本:中期展望についてお話しします。ご存じのとおり、東証から東証グロース市場の上場維持基準が発表されています。
「10年後時価総額40億円以上」から「5年後の時価総額100億円」となり、5年後に100億円を達成しなければ東証グロース市場からの撤退を余儀なくされるというメッセージを重く受け止め、当社も新基準に対する施策をしっかりと示しています。
中期展望(成長戦略)再定義

三本:東証グロース市場改革を見据えた成長戦略の再定義についてご説明します。1つ目に、既存事業のオーガニック成長を拡大させ、特にAIプロダクトの収益の比重をどんどん上げていきます。
2つ目は、非連続的な成長、つまりM&Aによる成長戦略です。M&Aに向けた再投資を積極的に実施していきます。もちろん、2つ目の施策で実施する取り組みは、1つ目のオーガニック成長にきちんと寄与するものでなければなりません。このように、2つ目の施策を着実に推進していく体制を構築しています。
既存事業のオーガニック成長を拡大(5つの事業戦略の全体像の整理)

三本:まず、従来のオーガニック成長の部分についてです。共創プロジェクトの積上げ加速・拡大を目指すべく、2025年度は私たちの知力と体力を駆使し、AIソリューションの売上を共創会社とともに獲得してきました。
これからは撒いた種をもとに、AIプロダクトへのコンバージョンを加速していかなければなりません。そこから生まれたAIプロダクトのライセンスが利益を生み出していきます。AIプロダクトの販売代理店提携もこれから拡大させていき、そこで得た新たなお客さまと私たちのソリューション・プロダクトのクロスセルを行い、このサイクルを循環させていきます。
メインとなるのは、AIプロダクトをどれだけ伸ばせるかという点であり、これは私たちの中間ゴールでもあります。そのために、AIソリューションでどれだけ事業会社と共創できるかが一丁目一番地です。こちらに関しては、先ほどの1つ目の成長戦略を従来どおり進めていきます。
当社の現状分析

三本:インオーガニックの成長戦略は、今回の中期展望に組み込んでいます。昨年度に2件の事業譲受を実行しましたが、「どんなポリシーでやっていくのか」「どんな目線でやっていくのか」をSWOT分析の表に便宜的にまとめ、わかりやすく記載しています。
SWOT分析を踏まえたM&A/資本提携等の対象方針

三本:1つ目は「音ノウハウの隣接領域の展開」です。音以外のAI領域に資本参画を行ったり、M&Aによるグループ化を進めるなど、AI全般に関する体力をさらに強化していきたいと考えています。
2つ目は「IT開発企業の事業再生(ターンアラウンド)」です。さまざまなソフトウェア会社がある中で、当社と手を組むことで2倍、3倍と活動領域を広げられる企業と事業を推進していきたいと考えています。
3つ目は、人材が非常に不足している現状に対応し、「人材・ケイパビリティ獲得」を進めます。
4つ目は「採用基盤強化」です。コンサルティング要員として事業譲受を実施しましたが、従来のアプローチでは困難だったハイレベル人材との接点を、今後のHmcommグループ全体で創出していきます。グループの総力を投じ、ハイレベルな人材の採用の実現を目指します。
対応組織

三本:これに伴う対応組織を設置しています。M&A/PMI推進室を設置し、専門家や経験者を投入し、さまざまな企業の情報収集や今後のM&A戦略、ケイパビリティの補完などを戦略的に実施していきます。
また、資本政策も含めて対応する専門組織を私の直下に作り、インオーガニックな施策についても確実に推進していきます。
目指すありたい姿

三本:目指すありたい姿についてです。「上場5年後の時価総額100億円必達」の東証グロース改革に関しては、オーガニックとインオーガニックの成長、成長基盤の強化など、当社が行っているさまざまな取り組みを投資家の方々にしっかりと公開し、IR体制を強化していきます。
事業進捗をオープンにしていくことを目指すありたい姿として、現在この部分をまさに推進しているというメッセージを発信しました。
質疑応答:AIプロダクト導入効果と具体的事例について
kenmo:AIプロダクトを導入した後の定量的な導入効果や具体的な事例があればお聞かせください。
三本:例えば「Voice contact」という製品は、コールセンター向けのAIプロダクトで、お客さまからかかってきた電話をリアルタイムで音声認識してテキスト化します。
テキスト化した内容は、オペレーターが回答するFAQにリストアップされ、電話を切った後のお客さま対応内容のコールログとして生成されます。従来はアフターコールワークとして、人間がCRM(顧客管理)システムに入力していましたが、生成AIやLLMの技術を使うことで、これらが自動的に要約されます。
実際に、受電時間やオペレーターの対応時間が半分から3分の1に短縮されるため、次の電話にすぐ対応できます。結果的に、コールセンターのオペレーター数も半分から3分の1に減らすことができます。
kenmo:「Voice Contact」については、音声認識ベンダーとしていくつか競合企業もあるかと思います。日本語特化という点において、音声認識の精度はいかがでしょうか?
三本:当社は音のプロフェッショナルとして、産総研の技術を起点に長年取り組んでいます。そのため、日本語特化の高精度な音声認識エンジンを持ち、音響解析を含めて競合他社に負けない技術を保有しています。
競合が多いとよく言われますが、例えば音声認識ではグローバル展開されている汎用的なクラウドサービスが広く使われています。そのため、専門特化した用語や言い回しなどに関しては完全にチューニングすることは難しいのですが、当社はそのような「かゆいところ」までしっかりとサポートできます。
また、当社は自前で音声認識エンジンを保有しており、オンプレミスでの利用も可能です。他社はクラウド経由でクラウドAPIを用いて音声認識を行っているケースが多いのですが、一つひとつベンチマークを取っていくと、当社の製品が優れている点が多いと感じています。
kenmo:日本語特有の難しさはありますか?
三本:同音異義語や方言などです。方言まですべてチューニングしてしまうと、コストにはね返ってくるため難しいと思います。日本語特有の言い回しや、「あー」「えー」などを含め、一種独特な表現が数多く存在していると考えます。
質疑応答:今後の成長が見込まれる分野について
kenmo:「今後の拡大が期待できる業界、今後最も成長ポテンシャルが大きい分野を教えてください」というご質問です。
三本:コールセンターは課題のかたまりですので、さまざまな会社がその課題解決に取り組んでいるかと思いますが、現時点ではほとんど解決に至っていない状況です。このような状況だからこそ、我々は、コールセンター市場を大幅な拡大が見込める有望な分野であると捉えています。
また、現在当社が最も力を入れていきたいのは「FAST-D」という異音検知プロダクトです。工場における出荷判定時の異音検査や、水道管の漏水音などを検知できる技術があり、社会インフラや社会課題に対し、従来は聴力で検査していたような分野が、今後AIによる代替が進むと考えています。
企業やインフラから発生するさまざまな音響データを、当社はしっかり検知していきたいと思っています。そこには膨大な市場があると考えます。
質疑応答:成長戦略における「Human Machine Communication」の今後について
荒井沙織氏(以下、荒井):「御社は、公共インフラなど失敗が許されない領域、例えば漏水検知や防災などの分野での活用を重視されていると感じています。社会課題の解決に直結するプロジェクトも多いようですが、今後の成長戦略において御社が目指す『Human Machine Communication』が実現した未来は、どのような社会になるのでしょうか? 今後どのような社会課題や現場を特に支援したいのか、また、それが実現した未来はどのような社会となるのか教えてください」というご質問です。
三本:社会課題でいえば、例えば水道管が破裂した埼玉県八潮市の問題や、少し前の京都市街地での水道管老朽化による浸水被害などがあります。このような事例からも、社会インフラにおいて今後さまざまなかたちで新たな課題が生じる可能性が非常に大きいと考えています。
そこで、我々の音の技術と、音以外の技術を持つ企業とうまく連携しながら、社会課題を事前に解決し、住みやすく安心な街を作ることを実直に考え、実現していきたいと考えています。
インフラの老朽化や防災、防犯などさまざまな問題がありますが、コロナ禍以前には大手警備会社と共同でNEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)のプロジェクトに取り組み、監視カメラで人の争いの音や車の衝突音を検知して自動通報が可能かどうかの試みを行いました。
今後ますます見守りや監視、管理の現場に人員を割くことが厳しくなる中で、このような取り組みが進むことで、我々の技術やソリューションが何らかの解決策を提供できると考えています。それにより、日本という国を守る役割を果たしていきたいと思います。
荒井:その警備会社との以前のプロジェクトは、現在は実装されているのですか?
三本:自動通報の誤報を防ぐ技術の開発を進めていましたが、この分野では100パーセントの精度が求められます。プロジェクト自体は約5年前のものですが、新しい技術の登場とともに我々の知見も蓄積され、さらに社会の状況も大きく変わってきたと感じています。それに伴い、目標とするKPIや完成形、求められるレベルも変化してきています。現時点では取り組んでいませんが、また機会があればぜひ挑戦してみたいと思います。
荒井:たった5年ですが、世界は大きく変わっていますね。
三本:駆けつける人も減ってきていると思います。そのため、誤報による出動で、本来必要な出動先に人員を割り当てられないといったことが起きないようにすることが重要です。100パーセントの精度は難しいかもしれませんが、なにか役立つ目標を設定できれば、ぜひ取り組みたいと考えています。
質疑応答:パソナマスターズとの講座施策について
荒井:「パソナマスターズとの講座施策は、AIを使う側を育てる取り組みとも受け取りました。今後このような教育、理解促進の取り組みは、御社の事業戦略の中でどのような位置づけになるのでしょうか?」というご質問です。
三本:パソナマスターズとの例は、昨年譲り受けたファンタラクティブのお客さまとして、これまでデザインやユーザビリティの改善を進めてきたプロジェクトです。
これらを基盤として、今後はAIを活用し、自動的にCMSと連携して更新するなど、さまざまなかたちでの展開を予定・提案しています。ファンタラクティブが取り組んできたデザインやUI/UX関連のプロジェクトをAI駆動型に変え、さらに効率的で安価にお客さまにサービスを提供できるようにしていければと思います。
質疑応答:問い合わせ急増場面での「Terry2」の役割について
荒井:「相場急変など問い合わせが急増する局面で、『Terry2』はどのような役割を担う設計思想でしょうか?」というご質問です。
三本:例えば、一時的に集中呼が発生した場合、従来は人員を増やす必要がありました。しかし、緊急で人員を増やすのは難しく、その結果としてコールが保留となり、お客さまをお待たせしてしまうことになります。
一方「Terry2」は、ソフトウェアの設定で自ら増殖していきます。費用を考慮しないのであれば、集中呼が1万コール発生した場合でも対応が可能となるようなシステム拡張が自動的に行われます。このため、十分に対応できると考えています。
質疑応答:M&Aおよび資本業務提携の戦略について
kenmo:提携やM&Aについてうかがいます。直近ではITコンサルティング事業やDXパートナー企業の買収を実施されていますが、これらのM&Aはどのような戦略的目的で行われたものか、詳しくお聞かせください。
三本:ITコンサルティングについては、先ほども少し触れたように、私たちは技術志向が強い企業です。そのため、お客さまの業務に関する知識や、お客さまの課題を解決するためのさまざまなツールに関しては不足している部分があります。
ソフトウェアに落とし込むよりもさらに上流段階で、しっかりとお客さまの課題に向き合い、ブレイクダウンできることが重要なポイントとなります。ITコンサルティングの部門をジョインさせることで、幅広いAIソリューションで共創プロジェクトを積極的に発掘することに貢献していただきたいという目的で、まずその部門を先陣として位置づけました。
また、先ほどからAIプロダクトを増やしていく重要性についてお話ししましたが、それらAIプロダクトもお客さまが直感的に操作しやすいものを提供していく必要があります。当社にはまだその部分で足りない点があるため、お客さま視点でのユーザビリティやヒューマン・インターフェイスを実装するべく、専門会社を買収しました。
kenmo:M&Aによって、人員は現在どの程度まで増えていますか?
三本:2025年12月末時点で従業員数は57名となっています。
質疑応答:今後のM&A戦略や業務提携などについて
kenmo:グロース目標の中期展望として、時価総額100億円をターゲットにしていると思います。今後のM&A戦略や業務提携などについて教えていただけますか?
三本:インオーガニックとしての資本業務提携やM&Aについては、まだ資本政策的に資金の余裕がありますので、積極的に進めていきたいと考えています。ただし、収益を単に上積みするだけでなく、先ほど述べたオーガニック成長に寄与する買収・提携でなければならないと考えており、その方針で進めていければと思います。
質疑応答:今後のIR活動について
荒井:「今回はログミー初登壇していただきましたが、個人投資家向けのIR活動に関する今後の方針を教えてください」というご質問です。
三本:上場後、証券会社の取り組みに参加するなど模索してきました。ログミーとの出会いを機に、今後はこのようなかたちで積極的に発信していきたいと考えています。常時出演することはできませんが、決算や大きなイベントの際にはお声がけいただきたいと思います。ぜひ、さまざまなご指導をよろしくお願いします。
三本氏からのご挨拶
三本:Hmcommは、音に特化して社会課題を解決していくという目標のもと、社会課題の解決を実例として、件数として、さらにKPIとしてみなさまに経緯と経過を発表できるように努めていきます。失敗することも多いかもしれませんが、きちんと実績を出していきたいと思いますので、引き続き応援のほどよろしくお願いします。
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