カナデン、中間純利益前年比+34.4%の大幅増 防衛・官公庁案件でインフラ事業売上55.4%増、累進配当による増配予定
決算サマリー(連結)

守屋太氏:株式会社カナデン代表取締役の守屋です。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。当中間期の決算概要についてご説明します。
当中間期は、サプライチェーンにおける在庫調整の影響が改善傾向にあるものの依然として継続しており、主力のFA分野は低調に推移しました。一方で、情通・デバイス事業が堅調に推移したことに加え、インフラ事業で大口案件が増加しました。
その結果、売上高は前年同期比19パーセント増の616億5,700万円、経常利益は18.1パーセント増の18億700万円、親会社株主に帰属する中間純利益は34.4パーセント増の11億9,800万円と増収増益となりました。
FAシステム事業

セグメント別の状況についてご説明します。はじめにFAシステム事業です。FA分野では、中国経済の成長鈍化による需要減少や在庫調整の影響を受け、コントローラーシステムや駆動制御機器を中心に低調な推移となりましたが、データセンター向けの配電制御機器は回復傾向で推移しました。
産業メカトロニクス分野では、放電加工機、レーザー加工機が減少しました。産業システム分野においては、IoTソリューションを主力とする計装システムが堅調に推移しましたが、前年の大口案件の剥落により、前年並みにとどまりました。
セグメント全体では、売上高が前年同期比11.1パーセント増の255億2,600万円となったものの、利益率が比較的高いFA分野の低調が響き、経常利益は19.3パーセント減の9億2,800万円となりました。
ビル設備事業

ビル設備事業です。設備機器分野では、情報・通信事業者のデータセンター向け電源設備の需要が継続し、堅調に推移しました。空調・冷熱機器分野では、猛暑の影響もあり空調機器の需要が回復傾向にある一方、低温機器は前年並みで推移しました。
セグメント全体として、売上高は前年同期比12.7パーセント増の60億4,400万円となりましたが、設備機器分野における大型案件の影響で利益率が低下し、1億3,800万円の経常損失となりました。
インフラ事業

インフラ事業です。交通分野では、鉄道事業者の設備投資が回復基調にあり、無線通信機器、車両用機器が好調に推移しました。社会システム分野では、防衛関連ビジネスの順調な推移と、官公庁向け大口案件も貢献し、順調に推移しました。
セグメント全体としては、売上高は前年同期比55.4パーセント増の150億8,800万円、社会システム分野の官公庁向け大口案件の影響で利益率が低下し、5,500万円の経常損失となりました。
情通・デバイス事業

情通・デバイス事業です。半導体・デバイス分野では、中国経済の成長鈍化による需要減少の影響で産業用パワーデバイスが苦戦したものの、OA機器向け電子デバイス品は堅調に推移しました。情報通信分野においては、画像・映像機器は前年並みでしたが、医療技術の高度化に向けた設備投資により電子医療装置の案件が増加し、順調に推移しました。
セグメント全体としては、売上高は前年同期比9パーセント増の149億9,800万円、経常利益は26.6パーセント増の9億8,800万円となりました。
BSの状況

バランスシートの状況についてご説明します。当社グループは、ビル設備およびインフラ事業において、検収時期が年度末に集中し、業績が下半期に偏る傾向があります。これに伴い、売上債権や仕入債務が増加する3月末に比べ、期中は総資産や負債が減少する傾向にあります。
当中間期も、売上債権と仕入債務の減少を主要因として、総資産は88億300万円減少し、802億7,700万円となりました。
CFの状況

キャッシュ・フローの状況です。営業キャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益18億2,500万円を確保したことに加え、売上債権および棚卸資産の減少により、19億8,400万円の収入となりました。
投資キャッシュ・フローは、有形固定資産の取得を主要因として、2億2,900万円の支出となりました。
財務キャッシュ・フローは、配当金の支払いを主要因として、8億8,200万円の支出となりました。
これらの結果、現金同等物の中間期末残高は171億5,000万円となりました。
中期経営計画 基本方針

続いて、5ヶ年中期経営計画「ES・C2025」についてご説明します。2021年度から取り組んでいる中期経営計画では、「SDGsへの取り組みを通じて社会課題の解決に貢献し、持続的な成長を実現するエレクトロニクスソリューションズ・カンパニーとなる」を基本方針としています。
基本戦略については、持続的成長に向けた収益構造の強化を意識し、スライドに記載する6項目に継続して取り組んでいます。2025年度の数値目標として「営業利益57億円」「営業利益率4.5パーセント以上」「ROE8パーセント以上」「戦略的投資による売上高100億円の創出」を掲げ、目標達成を目指しています。
中期経営計画『ES・C2025』数値目標の進捗状況

数値目標に対する進捗状況です。本中期経営計画は最終年度を迎えており、主要な数値目標の進捗状況として、ROEが8.2パーセントと目標水準に達しているものの、収益力の強化が課題であると認識しています。引き続き、これまで取り組んできたソリューションビジネスや事業間連携による収益力強化にグループ全体で注力し、最終年度の目標達成を目指します。
キャッシュアロケーション

本中期経営計画期間中のキャッシュアロケーションの状況です。スライド左側は5ヶ年計画、右側は2021年度から2024年度までの累計実績を示しています。
当社では、これまで基本戦略に基づき積極的な投資を実行しており、収益力の強化においては、オリジナルソリューションの開発やM&Aを通じて成長性の高い分野への取り組みを強化してきました。
また、それらを支える経営資本の強化として、人事制度や統合基幹システム(ERP)の刷新も進めてきました。今後も財務バランスを意識した成長投資と、魅力ある株主還元の両立を継続していきます。
ES・C2025 基本戦略に関連するトピックス(1/4)

中期経営計画の基本戦略における取り組みのトピックスをお伝えします。まず、今後も成長性が高い分野への取り組み強化の具体例として、防衛関連事業とメディカル事業についてご紹介します。
これら2つの事業は、本年10月から「ディフェンス&メディカル事業部」として組織改編を行い、成長分野である両分野に対し、効果的に経営資源を投入する体制を整えました。
防衛関連事業のコアビジネスでは、防衛省向けの防衛装備品を取り扱うプライムメーカーのパートナーとして、管制装置やレーダーなどを納入し、国の安全保障に貢献しています。
また、国内に点在する防衛省管轄の関連施設向けに、セキュリティシステムや画像・映像ソリューション、空調機器、LEDなどを納入しており、当社のソリューションによるさまざまな分野への参画も進めています。
メディカル事業のコアビジネスとしては、電子医療装置を主軸とした医療機器の販売・保守を通じて医療の高度化に貢献しています。このビジネスでは販売エリアの拡大に注力しており、関東地区・中部地区の医療機関において着実に拡大を進めています。
さらに、機器販売にとどまらず、自動搬送機(AMR)による業務の自動化など、医療現場の人手不足といった課題に対するソリューションも提供しています。
昨今の防衛意識の高まりや医療・介護需要の拡大を受け、両事業の成長性はますます高まっています。今後もコアビジネスの拡大を図るとともに、成長領域へ経営資源を集中的に投入することで事業ポートフォリオ戦略を進展させ、資本効率を高めていきます。
ES・C2025 基本戦略に関連するトピックス(2/4)

続いて、当社が長年取り組んできたトランス事業における新たなパートナーシップについてご説明します。
トランス事業については、当社の主要パートナーの事業戦略見直しに伴い、事業環境に変化がありました。これを受け、当社はお客さまへの安定した供給体制を確保すべく、国内でトランス(変圧器)を主力製品として取り扱っている株式会社ダイヘンと販売代理店契約を締結しました。
このパートナーシップによるシナジーとして、供給体制の確保によるトランスの販売規模拡大だけでなく、当社の製品ポートフォリオの拡充や、これに伴う系統用蓄電池、急速充電器、ロボット関連のさまざまなビジネスで連携強化を図っています。
また、従来の製品ではアプローチが困難であった商流の開拓も進めており、当社の販売ネットワークの拡大にも寄与しています。
今後は、トップランナー変圧器の第三次判断基準に対応したトランスの拡販と、需要が高まっている系統用蓄電池の展開を通じて省エネ化に貢献するとともに、さらなる販売ネットワークの拡大を図り、顧客基盤と提案力の強化に注力していきます。
ES・C2025 基本戦略に関連するトピックス(3/4)

成長性が高い分野への取り組みとして、自動倉庫ソリューションについてご説明します。近年、物流・倉庫業界では、「物流の2024年問題」による輸送リソースの逼迫やEC市場の拡大による物量増加が進んでいます。これに伴い、現場では高効率化のニーズが高まっています。
当社はこのような課題に対応するため、自動倉庫ソリューションの提案を強化し、規模拡大を図っています。このシステムでは、高密度に収納されたコンテナの入出庫作業をロボットが自動で行い、保管効率の向上やピッキングエラーの削減により生産性向上に貢献しています。
今後も、多様化するお客さまのニーズに対応した自動化ソリューションを提案するコーディネーターとして、提案領域の拡大を図っていきます。
ES・C2025 基本戦略に関連するトピックス(4/4)

当社が主催する「カナデンプライベート展示会」をご紹介します。本展示会はお客さまから好評をいただいており、3年連続での開催を予定しています。今年は「DXとAIが拓く、持続可能な未来の架け橋展」をテーマに掲げ、さまざまな業界の課題解決に貢献するソリューションを展示します。
従来のソリューションに加え、DX・AI分野にフォーカスし、パートナー企業と合同で限定セミナーを開催する予定です。12月3日と4日にカナデン本社にて開催しますので、興味のある方はぜひお越しください。
2026年3月期 業績予想

続いて、2026年3月期業績・配当予想についてご説明します。今後の見通しについては、中国経済の成長鈍化や資源・エネルギー価格の高騰、さらには米国による関税引き上げの影響など、先行き不透明な状況が続くと考えられます。
ただし、年度後半にはサプライチェーンにおける在庫調整が回復に向かい、製造業をはじめとするさまざまな分野で、自動化や脱炭素化を中心とした企業の設備投資が回復するものと予想しています。
2025年度通期業績予想は、売上高は前期比7.4パーセント増の1,350億円、営業利益は前期比26.7パーセント増の57億円、経常利益は前期比20.5パーセント増の57億円と見込んでいます。当期純利益については、2024年度に特別利益11億2,300万円を計上したことから、前年並みの39億円を予想しています。
トータルの業績予想に関しては、5月に公表した予想数値から変更はありませんが、セグメント別の予想数値については修正を行っています。
2026年3月期 セグメント別予想

予想数値のセグメント別内訳です。FAシステム事業においては、サプライチェーンにおける在庫調整の回復が当初の想定より遅れているため、予想を若干下方修正しましたが、自動化、IoTを中心とした設備投資を着実に取り込んでいきます。
ビル設備事業については、上期に大口案件の影響で利益率が低下したことから、売上高は当初予想を維持しつつ、利益の見直しを行っています。また、映像システム部門の編入など提案領域の拡大とともに、収益性の改善に取り組んでいきます。
インフラ事業については、鉄道事業者の設備投資が順調に推移しているほか、防衛関連を含む官公庁案件も順調に進捗していることから、売上高・利益ともに当初予想を上方修正しました。
情通・デバイス事業については、半導体・デバイス分野で産業機器向けパワーデバイスの在庫積み増しの反動減により苦戦が予想されましたが、上期はOA機器向け電子デバイスの増加など順調に推移したため、通期予想を上方修正しました。
配当予想及び株主還元について

配当予想については、今期から配当方針を見直し、原則として年間配当金の減配はせず、配当の維持もしくは増配を行う累進配当政策を実施しています。今期の年間配当は、前期比2円増配の72円を予想しています。
今回説明を省きましたが、会社概要などについては参考資料としてつけていますので、お時間のある際にぜひご覧ください。
本日の説明は以上です。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。
会社概要

ここからはAppendixとして、当社の会社概要や各種データを記載しています。
会社概要としましては、当社は創立118年を迎えており、三菱電機の総合代理店を中心に新たな商材も開発し、あらゆる場面でソリューション事業を展開しています。
企業理念

当社は、ミッションとして「技術と創意で一歩先の未来へ導く」、ビジョンとして「Creating New Value for Society」を掲げています。
バリューは、社員の主体性を意識し、部門ごとのディスカッションを経て策定し、推進しています。
中期経営計画「ES・C2025」基本方針の取り組み状況

本中計では、6つの基本方針に基づいた施策に取り組み成果を上げています。
収益力強化に向けた施策に加えESGに対する取り組みも着実に実行しています。
収益力の強化 ポートフォリオ戦略

当社のポートフォリオ戦略は、比較的収益性の高いFAシステムと情通・デバイスで規模拡大を図り、収益性の低いインフラとビル設備で利益率改善を目指す2軸の構造となっています。
セグメントごとの特性を踏まえ、注力すべき施策を着実に実行していきます。
セグメント別データ

セグメント別の業績推移はご覧のとおりです。収益力強化を図っていきます。
グループネットワーク

関係会社は、国内5社、海外8社で構成しており、直近ではインドに現地法人を設立しました。
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