【QAあり】アーレスティ、販売増等で営業利益が前年比大幅改善 SMARTなものづくりを推進し、さらなる収益拡大へ
2025年度 第2四半期決算のポイント

高橋新一氏(以下、高橋):本日は、当社の2025年度第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長の高橋です。
まず私から、当四半期の決算概況についてご説明します。2025年度第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比で増収、営業利益は大幅に改善しました。
具体的には、国内自動車生産の回復による販売量増加、そして前年度から進めてきた生産体制の合理化が、収益力の向上に寄与しました。当期純利益においても増益となり、為替差損の影響はあったものの、営業利益の改善や関係会社株式売却益の計上がプラスに働いています。
全体として、収益構造の改善が着実に進んでいます。
売上重量推移

こちらのページでは、当社の仕事量に関わる売上重量の推移を示しています。第2四半期には中国で一部顧客の販売量が減少しましたが、全体としては緩やかな回復基調にあります。
下期以降も地域差はあるものの、全体として回復を見込んでいます。米国関税の影響や中国の景気状況を考慮した販売重量の予測については、おおむね計画どおりの水準を維持しており、今後も緩やかな仕事量の増加を想定しています。
連結業績の状況

連結業績の内訳についてご説明します。営業利益は、前年同期の赤字から黒字へと大きく改善しました。主な要因は、販売量の増加、製造コストの低減、さらに前年度に収益を圧迫していた地金の市場価格の高騰が一定程度落ち着いたことによるものです。
製造コストの低減については、前年度に実施した人員の適正化や、後ほど説明する「SMARTなものづくり」の効果が現れています。今後も引き続き、受注変動に強い収益体制の確保に努めていきます。
米国工場の状況と再建の取り組み

当社の最重要課題であり、みなさまからも最大の関心をいただいている米国工場の再建について詳しくご説明します。米国工場は前年同期比で損失額を縮小し、一定の改善が見られるものの、生産性の改善はまだ途上にあります。
当社は米国工場の再建に向けて、4本柱を軸に抜本的な改革を進めています。
1つ目は、個別製品の採算性の改善です。一部製品では採算性が低い状況が続いていますが、原価低減とともに価格是正の交渉を進め、収益性を確保する取り組みを推進しています。交渉については、顧客との調整に時間を要していますが、着実に進んでいます。
2つ目は、品質ロスに着目した生産性の改善です。不良によるコストである品質ロスが依然として課題となっています。工程改善や現場教育を強化し、品質ロスを削減することで生産性を向上させる取り組みを進めています。ただし、改善スピードは想定よりも若干遅れています。
3つ目は、ガバナンスとマネジメントの強化です。本社から人財を投入し、マネジメント層の強化を図っています。さらに、本社との定期的な確認を通じて進捗をフォローし、現地の課題を迅速に支援する体制を構築しました。
この取り組みは進行中ですが、2つ目の生産性改善の結果にはまだ十分に表れていません。下期で挽回し、改善スピードを加速させていきます。
4つ目は、北米地域における経営資源の最適化です。メキシコ工場との生産補完を進めることで、全体最適を図っています。引き続き関税の影響を注視しながら、最適な生産体制を維持することが重要だと考えています。
これら4本柱を加速させることで、米国工場の収益構造を抜本的に立て直し、下期の黒字化を目指します。
ダイカスト事業

成家秀樹氏(以下、成家):管理本部長の成家です。ここからは、2025年度第2四半期の決算詳細についてご説明します。
まず、ダイカスト事業のセグメント別の決算状況についてです。日本セグメントは増収増益となりました。前年度に人員体制の見直しを進めた結果、固定費負担が軽減され、さらに売上重量の増加が寄与したことで、前年同期比で収益水準が大幅に改善しました。上期の実績を受け、通期セグメントの利益予想も20億円と上方修正しました。
北米セグメントは、前年の赤字から黒字転換を果たし、上期では黒字を確保しました。
北米にはメキシコと米国の2拠点があります。メキシコは順調にグループ全体の利益に貢献しています。米国では再建計画を進め、収益の改善を図っていますが、第2四半期の時点では北米セグメント全体として赤字の状態であり、課題が残っています。現場マネジメントの強化や製造コストの削減を進め、再建計画を着実に実行することで、下期には改善のスピードを上げていく予定です。
アジアセグメントは増収減益の決算となりました。中国市場では日系顧客からの受注が減少しましたが、中資系顧客向けの新規受注で補い、受注数量を確保しつつ、生産体制の合理化を進めています。
一方で、インド工場では市場の拡大に伴い受注量が順調に増加しています。ただし、一部製品の生産性改善が遅れており、これがコスト増加の要因となっています。その結果、セグメント全体では前年同期に比べて減益となりました。
アルミニウム事業および完成品事業

アルミニウム事業では、販売数量が前年同期比で約9パーセント減少したことにより減収となりました。ただし、販売単価の上昇や原材料費の圧縮により、損益は改善しています。
完成品事業では、売上高は前年並みですが、個別物件ごとの原価低減を進めたことで利益が増加しました。
設備投資・減価償却費

設備投資額の推移と減価償却費の見通しについてご説明します。今年度の設備投資は103億円となる見込みで、ほぼ前年並みの水準です。新規製品への成長投資を継続しながらも、必要な投資を選別し、投資効率の最大化を目指しています。
また、減価償却費についても、投資額と同様にほぼ前年並みの水準で推移する見込みです。
財務状況

キャッシュフローと有利子負債の状況についてです。2025年度上期は稼ぐ力が大きく改善したことにより、営業キャッシュフローが増加し、フリーキャッシュフローもプラスを維持しています。
有利子負債および自己資本水準は、前年度の期末とほぼ同水準となっています。
株主還元

株主還元についてです。配当は、年間32円の予想から変更はありません。株主資本配当率(DOE)は1.5パーセントを配当下限額とし、連結配当性向は35パーセント以上を維持することを基本方針としています。
健全な財務体質を維持しつつ、機動的な受注対応と成長投資を継続する方針に基づき、株主のみなさまへの還元を実施していきます。
SMARTなものづくり

大島康誉氏:ここからは、ものづくり分野における取り組みについて、製造本部の大島がご説明します。
今年度よりスタートした2025年度から2027年度の中期経営計画では、「SMARTなものづくりの実現」を掲げ、生産活動に取り組んでいます。この活動は、「良品を生産性よく作れば収益は出る」という考えを一歩進化させ、「収益が出るように工夫して良品を作る」ものづくりを構築する取り組みです。
グループで保有する生産能力を有効活用し、ものづくりに関する無駄を削減することで、総付加価値を増加させるとともに、業務の質と効率を高め、製造原価の低減に取り組んでいきます。
2022年度から2024年度の前3ヶ年にわたる活動で培った収益性の高いものづくりをさらに加速させるとともに、DXやAIの活用によって業務効率を高め、従業員一人ひとりが生み出す付加価値を増加させていきます。
SMARTなものづくりを支える高い信頼と品質

「SMARTなものづくり」を実現するにあたり、基盤となるのは品質であることに変わりはありません。今年度も複数のお客さまより、QCD(品質・コスト・納期)に関する各種の賞をいただきました。「SMARTなものづくり」の実現を通じて、さらなる顧客満足度の向上を目指していきます。
人財戦略の全体像

成家:ここからは、3年間の中期経営計画で取り組んでいる、人的資本経営についてご説明します。当社では、人財を企業価値の源泉と位置づけ、持続的成長を支える戦略を進めています。
具体的には、長期的な人財育成計画である人財ロードマップに基づく計画的かつ戦略的な人財育成、従業員が働きがいを感じ活力を生み出すためのエンゲージメント改革、多様な人財による創造性の高い企業を目指すD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)改革、以上の3本柱を中心として、スライドに記載の施策を進めています。
この戦略を通じて、ものづくり力をさらに高め、競争力を維持するとともに、経営基本方針と2040年ビジョンとして掲げている「Ahrestyで良かった!を実現する」を目指していきます。
Reinvent Ahresty 〜ものづくり人財育成〜

特に、この3ヶ年で注力している「SMARTなものづくり」を支えるための人財育成の取り組みについてご説明します。地域ごとの人財課題として、まず日本では生産年齢人口の減少により人財の多様化が進んでいます。米国では雇用の流動化が高止まりしており、今後成長市場と位置づけているインドでは、人員体制の強化のニーズが高まっています。
現場人財の即戦力化がますます重要となっています。当社では、人財ロードマップの運用や現場での教育強化を進めています。例えばインド拠点においては、人財育成の一環として日本での研修を実施し、現場監督者の育成を進めています。
また、「アーレスティプロダクションウェイ」をインドの現場技能職にも定着させ、展開することで、即戦力となる人財を育成し、グローバルでのものづくり力を強化していきます。
以上が、私からの人的資本経営の取り組みについての説明です。
25-27年度 中期経営計画

高橋:2025年度から2027年度までの中期経営計画「Reinvent Ahresty」についてご説明します。「Reinvent Ahresty」の基本方針は、アーレスティのものづくりの「継承」と「再構築」です。
品質の良い製品を安定的に供給し、お客さまの信頼に応えるという当社の姿勢は変わりません。一方で、従来の「良品を生産性よく作れば収益が出る」という考え方から、「収益が出るように工夫して良品を作る」へと転換します。すでに上期段階でそれを実行した事例が随所に現れており、全社拡大に向けて活動を展開しています。
25-27年度 中期経営計画_注力項目

中期経営計画の注力項目は、先ほど説明のあった「SMARTなものづくり」の追求や、ものづくりの人財力を高めるだけではありません。10年ビジネスプランの達成からバックキャストで9つの活動を展開しています。
これらの活動を通じて、顧客の信頼と収益基盤の強化を進めていきます。以上で説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:米国工場の上期損失額について
司会者:「米国工場の再建に関して、米国単体の上期の損失額をご教示いただくことは可能でしょうか?」というご質問です。
高橋:当社はセグメントごとの収益を公開しています。また、通期については、有価証券報告書において米国工場の経常利益を開示しています。ただし、半期ごとの米国工場の収益や損失額については、具体的な数字は公開しておらず、今回についても回答を見送ります。申し訳ございません。
質疑応答:自動車業界のEV化トレンドについて
質問者:基本的な点についてお聞きしたいのですが、御社の資料を拝見すると、長期的には主軸がBEVへと推移するだろうという見通しを立てているように思います。
欧州では一部伸びつつも、一方で米国ではEV政策が諦観等もあり、まだ見通しが難しい状況に感じられるのですが、そのあたり、自動車業界の今後のトレンドを、御社としてどのように見ていらっしゃるか、あらためておうかがいしたいと思います。
峯憲一郎氏(以下、峯):ご案内のとおり、当社の長期戦略として電動車を中心に展開していく方針を掲げています。この中にはハイブリッド車も含まれています。
したがって、長期的にEVの普及を見越していますが、中期的にはプラグインハイブリッド車やフルハイブリッド車の需要が増加すると考えており、実際にこれらを中心とした受注活動を現在展開しています。
質問者:そうすると、トレンドの見方としては従来と変わらず、現在もその方向で進められているという理解でよろしいですか?
峯:そのとおりです。
質疑応答:EVシフトにおけるギガキャスト導入について
司会者:「EVシフト下では、ギガキャストが注目を集めています。御社での導入について、アップデートがあればご教示いただけますでしょうか?」というご質問です。
高橋:ギガキャストの動向については、引き続き定期的にモニタリングを行っています。当社としては、ギガキャストの前提となる鋳造で必要な技術や、超大型製品を成形するための技術については、要素技術の引き続きの開発を進めるとともに、すでに保有している部分も多くあります。
一方で、このギガキャストが自動車メーカーに採用されるかどうかといった動向については、引き続きお客さまの動向もうかがいながら注視しているという段階です。現時点では、ギガキャストをどこに何台導入するといった具体的なお話はございません。
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