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株式会社KVK6484

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目次

北川喜一氏:取締役経営管理本部長の北川です。2025年3月期決算説明を始めます。

本日は、会社概要についてご紹介し、続いて、2025年3月期の決算概要および振り返りについてご説明します。その後、2026年3月期の取り組みおよび将来展望についてお話しし、最後に資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応についてご説明します。その後、参考資料として業界動向などを補足します。

KVKについて

当社についてご説明します。当社は1939年に創業し、本社を岐阜県加茂郡富加町に置いています。資本金は28億5,400万円、従業員数は2025年3月31日時点で1,189名です。

グループ会社は、中国の大連北村閥門有限公司およびフィリピンのKVK PHILIPPINES, INC.の2社です。

事業内容は、水栓金具や継手、排水金具、水栓部品の製造・販売を行っています。

私たちは、「経営理念」を軸に、事業活動を展開しています。

経営理念は、「良品と均質」「信用と奉仕」「協力と発展」「安全と健康」であり、この理念を実現するために、Plan(計画)・Do(実行)・Check(確認)・Action(改善)のサイクルを基盤とし、品質・安全・環境・コンプライアンスを重視した経営を推進しています。

こんなところにKVK

当社製品が活躍する場面についてご紹介します。当社は「防災設備」を含めた「床上」から「床下」まで、家一軒まるごと水まわりをプロデュースする水栓金具専業メーカーです。

住宅内のあらゆる箇所に当社製品が使用されています。具体的には、浴室用水栓、キッチン用水栓、洗面用水栓、給止水栓、シャワーヘッド、浄水カートリッジ、継手や配管など、水の入口から出口まで、すべての水まわり製品をトータルで提供しています。

KVKの歩み

当社のこれまでの歩みをご説明します。当社は1939年に北村鋳造所として創業し、1949年に北村バルブを設立しました。1966年に初期の壁付混合栓を発売し、水栓メーカーとしての基礎を築きました。

1989年には中国に大連北村閥門有限公司を設立し、海外での生産体制を確立しました。1992年には商号を「株式会社KVK」に変更し、翌1993年には日本証券業協会に店頭登録しました。

2008年には喜多村合金製作所および関連会社から給排水金具・継手事業の一部を譲受し、2016年にはフィリピン工場を設立して海外での生産体制を強化しました。

2023年には新工場棟を2棟完成させ、コージェネレーションシステムおよび太陽光発電を稼働しました。現在は第二次変革期を迎え、持続可能な成長に向けた体制強化を進めています。

KVKの強み

当社の強みについてご説明します。

KVKは、長年培った経験をもとに、高品質で信頼される製品を提供しており、1939年の創業以来、日々の生活に欠かせない水まわりを支える企業として成長してきました。

当社の強みは大きく3つあります。1つ目は「提案力」です。お客さまの要望に合わせて、商品やデザインを提案します。2つ目は「技術力」です。長年培ったノウハウをもとに、付加価値を生む技術力を有しています。そして、3つ目は「生産品質力」です。国内外4つの生産拠点で一貫生産体制を構築し、安定した品質を維持しています。

商品点数は約1万1,000点を誇り、アフターサービスもメーカー直で対応しています。また、市場シェアは2025年3月期数量ベースで19.8パーセントと高いシェアを維持しています。

ビジネスモデル

当社のビジネスモデルについてご説明します。

KVKグループは、連結子会社2社で構成され、水栓金具や継手、排水金具、水栓部品の開発設計から製造・販売までを一貫して行っています。

中国の大連北村閥門有限公司は製造および中国市場での販売を担い、フィリピンのKVK PHILIPPINES, INC.は部品の組付け加工を担当しています。

製品は、住宅設備機器メーカーやホームセンター、管工機材商など多様な流通チャネルを通じて、最終的に水道工事店や一般ユーザーへ届けられています。このように、当社は国内外の生産・販売ネットワークを通じて、安定した供給体制を実現しています。

業績サマリー

ここからは、2025年3月期の業績概要についてご説明します。

売上高は296億4,800万円で、前年同期比0.5パーセント減となりました。住宅市場が国内・中国ともに低調に推移し、販売数量の減少に伴い減収となりました。

営業利益は26億6,000万円で、前年同期比5.2パーセント増となりました。採算性を考慮した販売品目の見直しと、過去の価格改定の効果により増益となっています。

経常利益は30億7,200万円で、前年同期比7.2パーセント増、当期純利益は21億1,000万円で、前年同期比6.6パーセント増となりました。投資有価証券の売却益も寄与し、経常利益・当期純利益ともに増益となっています。

四半期別業績ハイライト

四半期ごとの業績推移についてご説明します。

第1四半期から第2四半期にかけては、販売数量の減少により、前年同期比で減収傾向となりました。第3四半期は販売数量が減少したものの、高付加価値商品の受注が増加し、前年同期比で増収となりました。第4四半期は住宅設備機器メーカーからの受注増により、増収となっています。

売上高推移

売上高の推移についてご説明します。

売上高は、2024年3月期の297億9,900万円から2025年3月期は296億4,800万円へと、前年度比で約1億5,000万円減少しました。前年度の過去最高売上からわずかに減少しています。

国内外の住宅市場が低調に推移した影響で、販売数量は減少しました。品目別では、シャワー付湯水混合水栓が94億6,800万円、湯水混合水栓が124億900万円、単独水栓が34億2,400万円、その他が43億4,600万円となっています。全体としては減収傾向ですが、主力製品群は一定の水準を維持しています。

営業利益推移

営業利益の推移についてご説明します。

営業利益は2024年3月期の25億3,000万円から2025年3月期は26億6,000万円へと、前年同期比で1億3,000万円増加しました。営業利益率も8.5パーセントから9.0パーセントへと上昇しています。

仕入れコストの上昇により原価は悪化しましたが、販売価格の見直しや価格改定の効果によってその影響を補いました。為替の変動影響はマイナス要因となりましたが、全体としては増益基調を維持しています。

コスト推移

コストの推移についてご説明します。

売上原価は220億4,200万円で、売上原価率では74.3パーセントと、前年と大きな変動はありませんでした。また、販管費は49億4,500万円で、販管比率16.7パーセントとこちらも安定的に推移しています。

販管費は固定費が大半を占めており、売上原価は効率的な生産体制を維持した結果、コスト構造は大きく変化していません。銅価格や為替変動などの外部要因による影響を最小限に抑える運営ができています。

経営指標

主要な経営指標についてご説明します。

在庫金額は、4月受注確定分の積み上げもあり、前年比で1億7,100万円増加しました。設備投資額は前年から2億7,200万円減少しました。一方、減価償却費は前年比3,200万円増加し、研究開発費はほぼ横ばいとなりました。

在庫回転日数は34.3日とやや上昇していますが、一定の水準を維持しています。

貸借対照表

貸借対照表についてご説明します。

2025年3月31日時点の総資産は362億7,600万円で、前期末比で18億1,200万円増加しました。流動資産は208億1,300万円で、現金および預金の増加が主因です。固定資産は154億6,300万円で、機械装置および運搬具や投資有価証券の減少が見られました。

流動負債と固定負債の合計は79億5,000万円で、流動負債の一部である電子記録債務や未払法人税等の増加が要因です。純資産は283億2,500万円となり、利益剰余金の増加等により13億1,500万円増加しました。

流動比率は282.1パーセントで前期末比12.9ポイント増加し、自己資本比率は78.1パーセントで前期末比0.3ポイント減少しました。1株当たり純資産額は、3,537円44銭で前期末比149円24銭増加しました。

キャッシュフロー

キャッシュフローについてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローはプラス35億6,500万円となりました。税金等調整前当期純利益のプラス30億6,900万円、減価償却費のプラス10億3,900万円などが主な要因です。

投資活動によるキャッシュ・フローはマイナス2億4,200万円で、有形固定資産および投資有価証券の取得が主な支出です。

財務活動によるキャッシュ・フローはマイナス6億600万円で、配当金の支払いによるものです。結果として、現金および現金同等物の期末残高は54億5,500万円となり、前期比で26億9,000万円増加しました。

中期経営計画概要

ここからは、中期経営計画の概要についてご説明します。

当社は「水まわり商品を通して日常に彩りを加え、安らぎと団らんのある暮らしに貢献する」というビジョンのもと、2023年度から2025年度にかけて中期経営計画を推進してきました。重点戦略として、「販売基盤の強化」「生産基盤の強化」、そして「サステナビリティ視点での経営基盤の強化」の3点を掲げています。

財務指標では、2023年3月期の売上高297億円に対し、当初2026年3月期に360億円を目標としていましたが、中国市場の想定以上の低迷により305億円に下方修正しました。営業利益率とROEは、それぞれ10パーセントを目標としています。

中期経営計画に基づく振り返り 販売・生産基盤の強化

次に、中期経営計画の進捗と成果についてご説明します。

まず、販売基盤の強化です。既存商流の売上基盤の維持・強化として、住宅設備機器メーカーへの高付加価値商品の提案を進めました。撥水膜コーティングやカラーバリエーション、ウルトラファインバブルシャワーヘッドなどの中高級品を拡充し、新築およびリフォーム需要に対応しました。

海外では、中国・アジア市場の市況低迷により売上は減少したものの、上海での展示会出展など、新規開拓および既存顧客の深耕を進めています。

次に、生産基盤の強化です。国内外の各拠点で最適地生産を推進し、自働化やDXを活用した生産性向上を進めました。新工場棟2棟の稼働開始や、基幹システム刷新による業務効率化などを実施しています。

中期経営計画に基づく振り返り サステナビリティ視点での経営基盤の強化

続いて、サステナビリティ視点での経営基盤の強化についてです。

環境配慮型商品として、リサイクルを前提とした製品設計や節湯対応製品の開発を進めました。また、海外規格・環境規制に適合した製品の販売も展開しています。

人財面では、中途採用23名を含む人材確保を進め、管理職研修や階層別研修を実施しました。育児休暇の取得率は、男性36パーセント、女性100パーセントを達成しています。女性社員による意見交流会を通じて、キャリア形成支援やワークライフバランスの向上を図りました。

さらに、環境対応として、コージェネレーションシステム設備および太陽光発電パネルの導入により、エネルギー使用量とCO2排出量を2022年度比で11パーセント削減しました。

地域社会では、公益財団法人KVK福祉会による奨学金支給、地域清掃・交通安全活動などを継続実施しています。また、リスク管理委員会の定期開催を通じて、透明性の高い経営体制の強化を図っています。

TOPICS

TOPICSについてご説明します。

当社は本年2月4日から7日にかけて東京ビッグサイトで開催された「第53回国際ホテル・レストランショー」に出展しました。黒を基調としたブースにおいて、洗面用手洗い水栓のカラーバリエーション、浴室用オーバーヘッドシャワー水栓、撥水水栓、ならびにウルトラファインバブルシャワーヘッド「hadamo」などを展示し、ホテルのインテリアとの調和や、空間を洗練された落ち着いた雰囲気に演出できる点を訴求しました。

次に、ウルトラファインバブル発生機能を備えた新製品として、キッチン用シングルシャワー付混合栓および洗面用シングル洗髪シャワー付混合栓を発売しました。微細な泡が汚れの隙間に入り込み、洗浄効果を高める点が特長です。

中期経営計画の重点戦略 販売基盤の強化

販売基盤の強化についてご説明します。

当社は、全国KVK会の地区大会開催を通じて販売店との強固なパイプを構築し、BtoCを意識した川上営業により顧客ニーズを吸い上げた高付加価値商品の提案を進めます。あわせて、中国・アジア市場を含めた海外市場開拓のスピードを高めます。

具体的には、第1に既存商流の売上基盤の維持・強化を図り、営業エリア別に取引シェアの維持・向上と、川上営業によるファン作りを推進します。第2に市場ニーズに合った中高級品の販路拡充として、指名買いされる付加価値の高い商品の開発と、その販路拡大に取り組みます。第3に海外市場では、既存顧客の深耕と新規取引の開拓により売上拡大をめざし、海外営業体制の構築を進めます。

中期経営計画の重点戦略 生産基盤の強化

生産基盤の強化についてご説明します。

KPS(KVK Production System)活動を推進し、多品種少量に迅速・柔軟に対応でき、利益を生む生産体制を確立します。

施策として、第1に高効率な生産体制によるコスト競争力の強化と安定供給体制の構築を行い、変種減量への迅速・柔軟な対応、自働化推進による生産性向上、調達先見直しによる為替・サプライチェーンリスク対策を進めます。第2にDX推進による生産性向上として、デジタル技術とデータ活用により業務を効率化します。

中期経営計画の重点戦略 サステナビリティ視点での経営基盤の強化

サステナビリティ視点での経営基盤の強化についてご説明します。

第1に、環境配慮型かつ使いやすさを追求した製品の開発として、リサイクルを前提とした製品設計・開発、JIS規定の節湯水栓の展開、海外規格・環境規制に適合した商品の販売を進めます。

第2に、人財面では、次世代リーダーの育成、中核人材の安定的な確保、従業員エンゲージメントの向上、男性の育児休暇取得率の向上、多様な働き方の選択肢の整備に取り組みます。

第3に、生産活動における温室効果ガス排出の削減として、コージェネレーション設備および太陽光発電パネルによりエネルギー使用量とCO2排出量の削減を図ります。

中期経営計画の重点戦略 サステナビリティ視点での経営基盤の強化

第4に、地域社会への参画と貢献として、公益財団法人KVK福祉会の運営、地域清掃活動、地域交通安全活動、地域行事への協賛、ふるさと納税の運用を継続します。

第5に、透明性・健全性の高い経営体制づくりとして、リスク管理体制およびコーポレート・ガバナンスの強化に取り組みます。

2026年3月期業績予想

2026年3月期の業績予想についてご説明します。

高付加価値商品の販売拡大により増収と営業増益を見込みます。一方で、為替変動リスク等の影響を織り込み、経常利益と当期純利益は減益を見込んでいます。

通期として、売上高305億円、営業利益27億円、経常利益28億円、当期純利益19億円を見込んでいます。

Vision2030

Vision2030についてご説明します。

当社は、KVKブランド価値を高め、世界中の人々から必要とされる水まわりのリーディングカンパニーを目指します。

すべての人にとって使いやすく、永く安全に使える製品・サービスを提供し、高いお客さま満足度の実現を目指します。温室効果ガスの排出量削減や環境負荷物質・産業廃棄物の削減を進め、高効率な生産体制により地球環境を守ります。「人間尊重」を基本に、自ら学び、考え、行動できる人財育成体制を構築し、ステークホルダーに信頼されるガバナンス体制を確立します。これらを通じて、連結数値目標の達成を図ります。

株主還元〜配当の状況

配当の状況についてご説明します。

当期の期末配当は、普通配当を5円増配の1株当たり40円とし、中間配当35円と合わせて年間75円とします。次期は、中間40円、期末40円の年間80円への増配を予定しています。

連結配当性向は、2025年3月期28.4パーセント、2026年3月期は33.7パーセントを見込んでいます。

株主優待およびIR活動

株主優待とIR活動についてご説明します。

株主優待は、所有株式数100株以上の株主さまに当社製品を優待価格でご提供し、所有株式数500株以上の株主さまには当社製品の優待価格に加えて、3,000円相当の入浴用品をお届けします。

2025年度の優待価格対象製品は、ウルトラファインバブルシャワーヘッド「G Shower」「hadamo」、サーモスタット式シャワー(eシャワーNf 撥水膜コーティング)、シングルシャワー付混合栓(センサー付・撥水膜コーティング)です。

IR活動として、三井住友信託銀行さま提供のアプリ「株主パスポート」を導入し、株主総会・配当金・株主優待などの最新情報の確認や、スマートフォンからの議決権行使が可能となります。

現状分析と評価

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応として、現状分析と評価についてご説明します。

前年度と比較し、PBR・ROE・PERはいずれも低下しました。ROEは当期純利益が増加した一方で自己資本が増加したことから、0.1ポイント減少しました。

PBRは1倍を下回る状況が継続しており、ROEとPERの改善によりPBRの向上に努めていきます。

2025年3月期の数値として、PBRは0.53倍、ROEは7.6パーセント、PERは7.1倍となっています。

現状分析と評価(ROEの分解)

ROEの分解についてご説明します。

収益性について、当期純利益率は前年度比で0.5ポイント増加しました。効率性を示す総資産回転率と財務レバレッジは横ばいで推移しています。引き続き、収益性の改善および在庫の適正化に取り組むとともに、配当性向を意識した株主還元を行っていきます。

取り組み方針

取り組み方針についてご説明します。

事業価値と社会的価値の同時実現を目指し、中期経営計画に沿った施策の実行を通じて、ROEおよびPERを改善し、ひいてはPBRの向上に努めます。

ROEの向上として、販売基盤の強化では既存商流の維持・強化、市場ニーズに合った中高級品の販路拡充、海外市場の拡大を進めます。生産基盤の強化では、最適地調達・最適地生産の推進、KPS活動による高効率な生産体制の構築、自働化の推進、設備更新と次世代投資を進めます。

PERの向上として、IR戦略では「株主パスポート」を通じた情報提供を行い、株主還元では配当性向を意識した安定的かつ継続的な配当を実施します。サステナビリティの観点では、節湯水栓の展開、温室効果ガス等の環境負荷物質や廃棄物の削減、リサイクル推進、人財育成の観点では、男性の育児休暇取得推進、従業員エンゲージメント向上、資格取得支援、作業環境の改善、中途採用の強化に取り組みます。

為替・銅価格

為替と銅価格についてご説明します。

為替は円安局面を維持しており、銅価格は2024年度期首の1,300円/キログラム台後半から期末の1,500円/キログラム台前半へと上昇傾向で推移しました。

年度別新設住宅着工戸数

新設住宅着工戸数についてご説明します。

2024年度の新設住宅着工戸数は、前年度比2.0パーセント増の81万6,000戸となりました。4月以降に建設される新築住宅で省エネ基準への適合が義務化されたことなどを背景に、3月に着工を前倒しする動きが見られました。

リフォーム市場

リフォーム市場についてご説明します。

リフォーム市場は堅調に推移しています。広義のリフォーム市場規模は、1996年以降の推移の中で増減を経つつも、直近の2023年には8兆2,500億円となりました。設備等の修繕維持費が6兆5,300億円、増築・改築工事費が4,800億円と示されています。

引き続き、当社はリフォーム需要の取り込みを図っていきます。私からのご説明は以上です。ご清聴いただきありがとうございました。

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