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連結業績ハイライト(前年同期比・予想比)

大久保裕行氏(以下、大久保):みなさま、こんにちは。代表取締役社長執行役員の大久保です。本日はご多忙の中、当社決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。今回も、会場とオンラインのハイブリッド形式で開催しています。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、2026年3月期第2四半期の決算概要と、4月よりスタートした「中期経営方針2028」の進捗状況についてご説明します。

スライドには、2026年3月期第2四半期累計の連結業績概要をまとめています。前年同期比で見ると、売上高については、訪販グループ、フードグループ、その他すべてのセグメントが増収となり、全体としても増収となりました。

営業利益については、訪販グループが原価率上昇の影響などで減益となったものの、フードグループが大幅な増益を達成したことなどから、全体としては増益となりました。また、持分法による投資利益の増加などにより営業外損益も増加、経常利益および親会社に帰属する中間純利益についても増益となりました。

予想比についてです。売上高は各セグメント内での乖離があったものの、全体では概ね予想どおりに推移しました。営業利益については、フードグループの増益効果が大きく、予想を上回る進捗となっています。

前年同期比増減

スライドは、連結営業利益の前年同期比増減について、各セグメントの影響要素別に示しています。すべてのセグメントが増収となったことで、約14億円が主な増益要因となっています。一方、原価率の上昇影響や人件費など全社費用の増加があり、連結営業利益は前年同期比で約8億円の増加となりました。

予想比乖離

予想比乖離についてご説明します。訪販グループは原価の影響等により下振れとなりましたが、フードグループは原価率の改善が見られ、好調に推移しました。また、全社費用におけるDX関連費用の一部が未使用となっています。

その結果、経費が抑えられたことにより、連結営業利益は予想比で上振れとなりました。各セグメントにおける詳細については、後段であらためてご説明します。

連結貸借対照表の状況

連結貸借対照表です。連結総資産は前期末から21億2,800万円減少、連結純資産は前期末から21億3,100万円増加しました。主な増減項目は、有価証券が32億8,900万円減少、投資有価証券が19億9,800万円増加したことなどです。

訪販グループ 業績概況(前年同期比・予想比)

スライド6ページ以降は、セグメントごとの業績を示しています。まず、訪販グループについてご説明します。売上高は前年同期比で18億6,500万円、3.5パーセント増加、556億900万円となりました。一方、予想比では0.2パーセントの下振れとなりました。

主力のクリーンサービス事業では、家庭向け・事業所向けともに減収、予想を下回る結果となっています。注力している営業専任活動については、参加加盟店の増加などにより、新規獲得件数が増加しました。今後も、引き続き活動の拡大を推進していきます。

また、新商品による新たな価値創出を通じて、既存のお客さまの満足度向上を図るとともに、デジタルチャネルを活用した新規顧客の獲得にも注力、お客さまとのつながりを拡大していきたいと考えています。

訪販グループのその他事業については好調を維持しており、すべての事業で増収となっています。特に、ケアサービス事業とレントオール事業は予想を大きく上回る結果を出しています。2025年大阪・関西万博の会場内での衛生管理や清掃業務も提供しており、業績に寄与しています。

営業利益について、前年同期比で5億100万円、16.3パーセント減少、25億7,200万円となりました。一方、予想比では22パーセントの下振れとなっています。

訪販グループ 営業利益(前年同期比・予想比)

スライドでは、訪販グループの営業利益について、増減要因および乖離要因を示しています。減益および下振れの主な要因は、2025年2月に新発売した「ケース付きモップクリーナー」の原価計上の影響です。

「ケース付きモップクリーナー」は、モップで集めたゴミやホコリを吸い取る電動クリーナーとモップを収納するケースが一体化したもので、綺麗になったモップを毎回、気持ちよくお使いいただける製品です。

この商品の原価計上に関しては、本部が加盟店に初めて商品を出荷する際、一括で原価計上する仕組みとなっています。本部は加盟店との月々のレンタル契約に基づき、加盟店から売上を計上する仕組みです。

当期においては、「ケース付きモップクリーナー」の出荷台数が期初の予想を大幅に上回る結果となり、これが減益・下振れの主な要因となりました。

一方で、加盟店からレンタルの売上を計上しているため、将来的には利益の計上が進んでいくこととなります。その他の要因としては、新しいマット・モップの投入が増加したことや、デジタルチャネル販売強化に伴う販売促進費の増加などが挙げられます。

フードグループ 業績概況(前年同期比・予想比)

フードグループの業績です。売上高は前年同期比で12億5,200万円、4パーセント増加の324億2,000万円です。一方、予想比では0.4パーセント上振れしています。

主力である「ミスタードーナツ」についてです。昨年7月に実施した定番商品のリニューアルに伴う販売促進強化や、民放放送で取り上げられた効果により、前年は来店客数が大幅に増加しました。その反動の影響で、1店舗当たりの来店客数は減少となっています。

しかし、新規店舗の増加や、昨年7月と今年3月に実施した価格改定により客単価が上昇した結果、全店舗合計のお客さま売上は前年同期を上回りました。また、55周年記念商品である「もっちゅりん」が多くのお客さまにご好評をいただけたことも業績に寄与しました。

営業利益についてです。営業利益は前年同期比39.3パーセント増の52億2,900万円となり、14億7,400万円の増加となりました。予想比では16.2パーセントの上振れとなっています。

フードグループ 営業利益(前年同期比・予想比)

スライドでは、フードグループの営業利益について、増減および乖離要因を記載しています。フードグループでは、「ミスタードーナツ」の増収効果に加え、価格改定による原価率の改善効果が大きく寄与、大幅な増益となっています。

経費項目についても、昨年7月の定番商品のリニューアル時に使用した販売促進費が多かった影響などから、前年同期比で減少、これも増益に貢献しています。予想比では、期間限定商品など高単価商品の販売構成比が増えたことで、売上が上振れしています。

その他 業績概況(前年同期比・予想比)

その他の項目についてです。売上高は前年同期比で1億7,800万円、2.2パーセント増加の84億2,000万円でした。営業利益は前年同期比で5,500万円、17.6パーセント増加の3億6,800万円となりました。

一方、予想に対しては、売上高が0.9パーセント、営業利益が7.9パーセント下振れとなっています。国内連結子会社であるリースおよび保険代理業を行うダスキン共益株式会社は減収増益、病院の衛生管理サービスを展開する株式会社ダスキンヘルスケアは増収増益となりました。

海外事業では、大口顧客の解約影響を受けたダスキン上海の減収などにより、全体としては減収減益となっています。しかし、その中でも、マレーシアを中心に展開し、店舗数が増加しているドーナツチェーンの「Big Apple」に加え、昨年10月に進出した「ミスタードーナツ香港」向けの原材料売上は好調に推移しています。

2026年3月期 セグメント別業績予想

2026年3月期の業績予想についてご説明します。通期の業績予想については、2025年5月15日に開示したとおり、連結・個別ともに変更はありません。一方で、セグメントごとの業績予想については、上期の売上動向および原価動向、経費使用状況を勘案し、変更しています。

売上高についてです。訪販グループでは、上期は主力であるクリーンサービス事業の減収幅を、訪販グループのその他事業の増収によって補った結果、グループ全体でおおよそ予想どおりの着地となりました。

下期については、上期の傾向値などを踏まえ、若干の下方修正を行っています。一方で、フードグループおよびその他については、売上予想を上方修正します。

営業利益についてです。原価影響の大きい「ケース付きモップクリーナー」の出荷については、下期も期初予想を上回る見込みであるため、訪販グループを下方修正しています。

「ケース付きモップクリーナー」は、加盟店に出荷した段階で一括して原価を計上します。その後、レンタル契約に基づき売上を回収、利益を計上する仕組みです。将来的には、販売の拡大を図ることで増益効果が見込めると考えています。

上期は計画を上回り、下期についてもこの傾向を維持すると見込んでいるフードグループの営業利益と、一部経費の未使用があった全社費用を上方修正しています。

株主還元

株主還元についてです。当期より株主還元方針の見直しを実施しており、配当方針は「配当性向60パーセントまたは自己資本配当率(DOE)3パーセントのいずれか高い額」としています。

配当予想については期初予想からの変更はなく、当期の1株当たり配当金は前期の112円から3円増配の115円とする予定です。その結果、当期の配当総額は54億円を見込んでいます。

中期経営方針2028で目指すこと<基本方針>

ここからは「中期経営方針2028」の取り組みについてご紹介します。当社は、この春から新たな中期経営方針をスタートしました。

「中期経営方針2028」の第1フェーズでは、スライドに記載のとおり、「新たな事業への新化」「周辺事業への進化」、そして専門性や顧客との関係性強化により顧客価値を向上させる「既存事業の深化」を目指しています。これに加え、経営基盤の強化にも取り組んでいます。

これらを進めることで、当社の新たなパーパスである「人に社会に寄り添い、安心と喜びのある豊かな明日を創造します。」を実現していきたいと考えています。

新たな事業への「新化」の取り組み

当社の新たな事業への「新化」についての取り組みをご紹介します。本年7月に、冷凍宅配弁当の「ナッシュ」などを運営しているナッシュ株式会社と資本業務提携を締結しました。当社は、リアルな顧客接点を強みに事業展開を行っています。特に訪問販売グループでは、シニア層を中心に長年の信頼を築いてきた顧客基盤があります。

一方、ナッシュ株式会社は若年層を中心に、Webを通じた顧客接点に強みを持っています。この提携により、相互の強みを掛け合わせることで、さらにお客さま基盤を広げていくことを目指しています。

また、共同プロジェクトを立ち上げ、検討を開始しました。両社の強みを活かし、新たな価値創造を目指していきたいと考えています。

周辺事業への「進化」の取り組み

訪販グループの進化についてです。ここでは、周辺事業への幅を広げる進化についてお話しします。訪販グループは、従来から注力してきた衛生領域、ワークライフサポート領域、シニアサポート領域の3つに加えて、新たにハウスメンテナンス領域への拡張にも取り組んでいます。

ハウスメンテナンス領域は、今期から新たに加わった領域です。この領域への拡張は、お客さまにさらなる利便性を提供、住まいの快適化や、住む人がより安心して過ごせる環境作りをサポートすることを目的としています。

住まいに関わるさまざまなお困りごとを当社が解決できるように、「緊急トラブル対応サービス」「空き家管理サービス」「原状回復サービス」「住設機器交換サービス」といったサービスを新たに展開するべく、現在開発を進めています。

既存事業に加え、現在資本業務提携を結んでいる株式会社クラシアンの緊急駆けつけ事業、全国に300ヶ所以上の保育園等を運営する株式会社JPホールディングスとの子育て支援などを含めて、新たにおうち全体をサポートする領域を拡張したいと考えています。

お住まいや暮らしに関わるさまざまなことをワンストップで当社が提供できるよう、今後の事業展開を進めていきたいと考えています。

周辺事業への「進化」の取り組み

具体的な今期の取り組みとして、鍵の交換や修理に対応する「ダスキンレスキュー」の加盟募集を一部の地域で開始しました。すでに研修も実施、現在はお客さまへのサービス展開の最終段階に入っています。

当初は「鍵をなくしたから緊急で来てください」といった依頼が多数発生するかと考えていましたが、現在ではマンションの転居や、防犯意識の高まりによる鍵の交換などが主な依頼内容となっています。

スライドの「緊急トラブル対応サービス」は、現在「ダスキンレスキュー」が該当します。日常生活の中でお役に立てるサービスメニューだと考えています。

スライド下段に「空き家管理サービス」や「住設機器交換サービス」なども記載していますが、建物を維持管理するための機器交換の需要が顕在化しています。この需要に対応するため、当社は給湯器の交換・維持管理サービスをサポートする取り組みを進めており、すでにテスト運用を展開しています。

当社は家庭市場において、定期訪問サービスを展開しており、家庭用モップのお客さまが約400万軒いらっしゃいます。この定期訪問の強みを活かし、お客さまのご自宅の住設機器の交換などを提供していきたいと考えています。このように、領域を拡張することで、新たな顧客価値の創造を目指していきます。

既存事業の「深化」の取り組み

既存事業の「深化」の取り組みについてご説明します。訪販グループの取り組みの一環であり、日用品やイベント用品のレンタル・企画などを行っているレントオール事業が中心となっています。

避難場所での被災者の不安を軽減する「防災サポートサービス」についてです。例えば、避難所で使用するベッドやパーテーションをレントオール事業が提供し、さらに衛生管理も行っています。また、当社は高齢者向けのサービスを展開しています。

これらを一体化した「防災サポートサービス」では、スライド中段に記載されているように、全国97の自治体と契約を締結しています。それに加えて、現在進めているのがスライド下部にある「減災トレーニングパッケージ」というサービスです。

スライド右側の写真は、家屋が倒壊した際の状況をモジュールとして再現したものです。このモジュールは2トントラックまたは4トントラックに積み込むことができ、再利用が可能です。

このモジュールを開発したのは、株式会社減災ソリューションズという企業であり、当社は同社と相互協力協定を結んでいます。倒壊時の救助方法について、公的な救助に加えて、いわゆる共助の取り組みも重要です。公的救助を待っていると間に合わないケースが多々あるためです。

普段の備えとして、スライドの写真のように倒壊した建物の間に挟まれた方を救助するノウハウを展開しています。ご自宅にあるノコギリなどを使っても救助できるようなノウハウを提供し、地元の自治体などとも提携を進めています。

この取り組みは、災害時に少しでも地域の安心・安全を守るための重要な取り組みです。地域に根づいた加盟店ネットワークをこのような活動に活用し、お客さまの暮らしに安心を提供することで、「この街にダスキンがいてよかった」と思っていただける当社ならではのサービスを展開しています。これは、CSVの取り組みの一環とも言えるものです。

周辺事業への「進化」と既存事業の「深化」の取り組み

周辺事業への「進化」と既存事業の「深化」の取り組みについてご説明します。

フードグループでは、当社の子会社として展開している「かつアンドかつ」、および一昨年に子会社化したイタリアンレストラン「ナポリの食卓」のフランチャイズ展開を進めています。

いずれも多くのお客さまにご利用いただける大型の店舗であり、その展開を進めるために、現在フランチャイズパッケージを開発しています。従来とは異なる立地や客層、利用動機に応える新たな飲食ブランドを、フランチャイズ展開で実現していきたいと考えています。

ミスタードーナツ事業についてです。本年度は事業開始から55周年を迎えました。その企画として、スライド左端にある「もっちゅりん」は非常にご好評をいただきましたが、品切れによってお客さまにご迷惑をおかけした部分もありました。

55周年の取り組みとして、「ニューホームカット」という創業時から展開していた商品を期間限定で新たにリニューアルしました。さらに、55周年記念の特別な「ミスド福袋」も販売を予定しており、近日中にリリースでお知らせする予定です。(2025年11月27日リリース)

スライド右側の「多様な店舗形態での展開」については、キッチンレス店舗に関するものです。当社は「ミスタードーナツ」創業時から、店内にキッチンを設け、その場で製造・販売する形態を採用してきました。

しかしながら、テイクアウト専用店舗を設置、セントラルキッチンから商品を配送することで、キッチンレスの小規模店舗展開が可能となりました。この取り組みに今後さらに注力し、現在の空白商圏にも対応できるよう進めていきます。

経営基盤の強化の取り組み

スライドは、経営基盤の強化に関する取り組みで、人的資本経営に関する内容です。人材組織のパフォーマンス最大化を目指し、適材適所の人材配置の実現や人材育成の促進を目的に、タレントマネジメントシステムを導入していきます。

スライド中央部に記載されているDiSC理論については、当社の社員を4つの象限で分析、各社員の特性を把握することで、適材適所への配置を実現する取り組みをすでに実施しています。

この内容はタレントマネジメントシステムの個人ページにも反映し、人事異動においてタイプ別の特性を把握することで、組織内のより円滑なコミュニケーションを築いていきたいと考えています。

さらに、DX推進に向けた取り組みとして、新技術やサービスの導入およびスピード向上を目的としたPoC(概念実証)制度を現在実施しており、システム導入のスピード向上に反映したいと考えています。

スライド下段に、コーポレートガバナンス体制強化に向けた取り組みと記載しています。こちらは、オフサイトミーティングの実施について示しています。取締役会や経営戦略会議とは別に全役員が集まり、社外役員にもご参加いただき、オフサイトで自由に意見交換を行うミーティングを実施しています。

その中で今後の方向性などについて議論し、方向性を決めて実行していくことや、サクセッションプランの見直しを進めています。なお、現在この取り組みは経営企画部を中心に進めています。

本日のご説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:株式会社JPホールディングスとの協業進捗について

質問者:株式会社JPホールディングスとの協業の進捗状況について教えてください。株式会社JPホールディングスへの出資を発表してから、ちょうど2年ほどが経過したかと思います。

実務レベルでの協業はまだ2年には満たないかもしれませんが、御社から見ると取得価格で約90億円のM&A投資となります。2年が経過しても、少なくとも表面上は具体的な成果が出ていないように見受けられます。

御社にとって、子育て支援領域は新しい分野かと思いますので、お話しできる範囲で、現在どのような状況にあるのか教えてください。

大久保:株式会社JPホールディングスとは、実務者レベルでプロジェクトを立ち上げ、協議を進めています。

株式会社JPホールディングスが保護者向けのサイトを運営されており、このサイトで当社商品の受注を検証しています。現在、アプローチ方法とメッセージについて、いくつかのパターンを定期的に交換しながら効果を測定しているところです。

また、保育園の衛生管理に関する検証を行っています。汎用性や拡大の可能性が非常に高い部分があると考えており、保育園側の生産性向上や衛生状況の確認に役立つと考えています。衛生状況は季節によっても変化するため、季節性の特徴も見極め、検証を進めたいと考えています。

これらを踏まえて、株式会社JPホールディングスの取り組みを具体的なサービスメニューにするのか、事業化するのかを検討していきたいと考えています。

さらに、子育て世帯に向けたサポートの検証を行っています。お子さまに関することですので、安全・安心を最優先に慎重に進めていきたいと考えています。

質疑応答:RFID(電子タグ)導入の効果について

質問者:昨年春に、RFIDの取り付けが完了しているかと思います。大久保社長が説明会で「RFIDが付いていないレンタル品がお客さんの手元に残っていて、なかなか全部取り付けることはできない」「1つでもRFIDのついていないものが入っていると、なかなかその効果が出ない」といったお話をされていたと記憶しています。

1年半ほど経過しましたが、この状況は解消されたのでしょうか? また、流通しているものにRFIDを取り付けた効果について、具体的に何か成果が出ているのでしょうか? 例えば、RFIDを活用して効率化が図られたといった効果があれば教えてください。

大久保:RFIDがついていれば、ワゴンに積まれた100枚程度のマットをリーダーで一括して2秒から3秒で検数することが可能です。しかし、その中にRFIDがついていないものが、今でも返却されている状況です。

そこで、検数後の工程でRFIDがついていないものがわかる仕組みも導入しています。そのため、現在では大きな障害にはなっていません。さらに、もう1つシステムを導入し、RFIDがついていないものを検出できる仕組みの導入に向け、準備を進めています。当初計画した目標の100パーセントにはまだ届いていませんが、かなり改善が進んでいることをご理解いただければと思います。

質疑応答:フードグループにおける価格改定の方針について

質問者:価格改定や値上げに関するポリシーや方針について教えてください。フードグループは中間期でセグメント別の業績を見直し、2026年3月期も過去最高の業績となっています。過去最高業績は3期連続になるかと思います。

フードグループの業績は、ミスタードーナツ事業とほぼ同じです。ミスタードーナツ事業は、かつて非常に厳しい時期もありましたが、100円セールを廃止するなど、さまざまな施策を実施した結果、その成果が現れてきているのだと思います。

一方で、今期について見ると、価格改定つまり値上げを2回行ったことで、採算改善が大きく進んだのではないかと思います。少し意地の悪い聞き方になりますが、「こんなに毎期業績が過去最高なのに、価格改定・値上げって本当に必要なんですか?」という見方をする人が出てきても不思議ではないと考えています。

原材料の価格が上がっていることは理解しています。例えば、原材料がこれだけ上がったら、自動的に値上げするという方針なのでしょうか? それとも、私たちが想定していない将来のリスクを見越し、予防的な観点で値上げを行っているのでしょうか?

大久保:将来のリスクに備えた予防的な価格改定は行っていません。原材料の高騰に連動して行っているところです。ただし、単に価格改定ということでいうと、ご指摘のようなお話にもなるかと思います。

そのため、価格改定を行う際には十分に調査を行い、お客さまの需要動向に影響がない範囲で調整しています。その際には、ドーナツ以外の世の中の他の商品やスーパーマーケットなどの消費財商品の価格動向も参考にしています。

季節商品や他社との共同開発商品などは、お客さまの付加価値向上を目的として価格を引き上げており、それらとのタイミング的なマッチングなども考慮しつつ、価格の見直しを行っています。なお、将来に備えた値上げは行っていません。

質問者:原材料も一部では値上がりの兆しが見られるため、状況次第では価格改定についても、単に今までの実施で終了ということではなく、検討の余地があると理解してよろしいでしょうか?

大久保:急激な価格改定はできるだけ避けたいと考えていますが、その時々の原材料の高騰を踏まえ、見直しを行う方針です。

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