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ウイングアーク1st株式会社4432

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2026年2月期 第2四半期 [決算ハイライト]

田中潤氏:ウイングアーク1st代表の田中潤です。私から、2026年2月期第2四半期の実績についてお話しします。

前期第2四半期はオンプレミスライセンスに大型案件が集中し、過去最高の売上を記録しました。その反動で、今期はオンプレミスライセンスは大きく減少しました。人件費を中心とした費用増加も影響し、減収減益となりました。しかし、これらは想定していた内容ですので、下期に向けて収益状況は改善すると見込んでいます。

オンプレミスライセンスは減少したものの、リカーリング収益は順調に伸びており、12.9パーセントの増収となりました。さらに、子会社のウイングアークNEX連結の影響により、リカーリング収益はより好調な状態となっています。

新しいサービスについて、当社はデジタルトラストサービス「Trustee(トラスティ)」をリリースしました。このサービスは、企業間におけるドキュメントの信頼性を確保するものです。「Trustee」については、本日の事業説明会にて詳しくご説明します。

2026年2月期 第2四半期 [決算ハイライト]

決算ハイライトです。売上収益は147億1,200万円で、前年同期比でマイナス1.1パーセントとなっています。EBITDAは48億5,600万円で、前年同期比マイナス14.3パーセントです。当期利益は29億3,800万円で、前年同期比マイナス18.3パーセントとなりました。

2026年2月期 第2四半期 [EBITDAの増減要因]

EBITDAの増減要因についてです。賃上げやウイングアークNEXの連結により、各種費用が増加し、減益となりました。

2026年2月期 第2四半期 [ソリューション別売上収益]

ソリューション別売上収益です。帳票・文書管理ソリューション(BDS)およびデータエンパワーメントソリューション(DE)については、スライドに記載したとおりです。次ページ以降で詳細をご説明します。

2026年2月期 第2四半期 [ BDS : SVF ]

BDSの「SVF」は、クラウドではアップセルが進み、売上・社数ともに増加しています。ARPUも、契約の大型化により右肩上がりで成長しています。

オンプレミスライセンスは先ほどご説明したとおりです。保守およびサブスクリプションは、引き続きしっかり提供していますが、ライセンスは前年同期比で減収となりました。

2026年2月期 第2四半期 [ BDS : invoiceAgent ]

「invoiceAgent」については、クラウドが右肩上がりで推移しています。ただし、成長率は鈍化傾向にあります。電子帳簿保存法の追い風は一服しましたが、新たな戦略を立てて、伸ばしていこうと考えています。

オンプレミスは、昨年度からあまり変化が見られませんが、サブスクリプションおよび保守については増加しています。

2026年2月期 第2四半期 [ DE : Dr.Sum ]

DEの「Dr.Sum」についてです。クラウドは、右肩上がりで成長しています。大型案件が拡大していることから、成長トレンドは継続しています。

オンプレミスについては、前期大型案件の影響を受けていますが、サブスクリプションおよび保守は増加しています。

2026年2月期 第2四半期 [ DE : MotionBoard ]

DEの「MotionBoard」についてです。クラウドは右肩上がりとなっているものの、成長率がやや落ちてきています。今年度、新しい商材を投入する予定があるため、後ほどご説明します。

オンプレミスは、ライセンスがやや減少していますが、こちらも大型案件の影響によるものです。

2026年2月期 第2四半期 [契約区分別売上収益]

ライセンス/サービスは、前年同期比マイナス19.9パーセントとなっていますが、クラウド・サブスクリプションが大きく伸び、リカーリングでは、前年同期比プラス12.9パーセントとなっています。

リカーリングを伸ばすことにより、収益基盤が積み上がるため、今後の売上成長も底堅いものとなっています。

2026年2月期 第2四半期 [リカーリング収益推移]

リカーリング収益の推移です。右肩上がりで順調に増加していることが見て取れます。赤い部分はライセンス売上を示しています。昨年度が過去最高の売上だったため、前年同期比で減少していますが、実際には、そこまで大きなマイナスではありません。

2026年2月期 第2四半期 [クラウドサービス成長率]

クラウドサービスの成長率についてです。概ね順調に増加しています。「子会社他」に、今回からウイングアークNEXを計上しています。

2026年2月期 第2四半期 [利益指標]

EBITDAおよび当期利益は、先ほどお話ししたとおり減少傾向にあります。

2026年2月期 第2四半期[財務健全性]

Net debt/Net Cashの領域と財務レバレッジについてです。こちらは非常に良好な状態を維持しています。Net debt/EBITDA Ratioも、0.63倍とよい状態を維持しています。

事業トピックス

事業トピックスです。事業の詳細については、後ほどご説明します。1つ目として、8月26日にデジタルトラストサービス「Trustee」の提供を開始しました。いくつかのサービスがある中で、第1弾として「タイムスタンプサービス」を提供しており、3年で1,000社の導入を目指しています。

2つ目に「invoiceAgent」の機能強化、3つ目として、昨年出資したシムトップス社と新商品を共同開発し、シムトップス社よりリリースしました。生産現場のリアルなデータと経営をつなぐことが可能になるため、今後の売上が期待できます。

事業トピックス [受賞/評価]

外部評価についてです。当社は「日経コンピュータ 顧客満足度調査」の「データ分析・活用基盤ソフト/サービス部門」で、4年連続1位を獲得しています。

また、当社のカスタマーサポートが、HDI-Japan「クオリティ格付け」で最高評価の「三つ星」を獲得しています。いずれも、当社のプロダクトに対するお客さまの支持やサポートの評価と受け取っています。

さらには、米国MSCI社のESG格付けにおいて、「AA」評価を獲得しました。

2026年2月期 [業績予想]

業績予想についてです。上期が終わったタイミングですが、通期の予想は変更せず、目標に向けて積み上げている状況です。

2026年2月期 [配当]

配当についてです。中間配当は、計画どおり1株当たり52円となりました。昨年度の中間配当と比較して、プラス10円となっています。期末も計画どおり、52円の配当を予定しています。

Overview

藤本泰輔氏(以下、藤本):ウイングアーク1stの藤本です。私からは財務戦略について、足元の状況や中期経営方針の進捗などをご説明します。

「Overview」として、当期の状況および中期経営方針の進捗を示しています。中期経営方針発表後、「質の伴った成長や利益創出の実現」を目指し、注力してきました。現状では、M&Aによるグループ拡大に伴い、特にM&Aのシナジー創出やマージン改善に注力して経営を行っています。

当期の状況です。当期は期初の段階でお伝えしていたように、前期に比べて下期に案件が集中しており、下期偏重の状況となっています。利益率については、多くの投資家から指摘や質問をいただいていますが、Organicなビジネスは改善が進んでいるものの、M&A等で加わった会社の影響もあり、グループ全体の利益率は前期と同水準となっています。

中期経営方針の進捗です。今期は中期経営方針の4年目にあたり、売上・利益ともに順調に進捗しています。当社が注力しているリカーリングレベニューは、着実な積み上げを実現しています。また、2023年10月に公表したキャピタルアロケーションポリシーに基づき、M&A・株主還元を中心に、順調に進捗しています。

当期業績は下期偏重の見通し

当期の状況です。スライド左側は上期、右側は下期を示しています。棒グラフは前期と当期の計画および実績を表しています。

今期は上期の売上が計画に対してややビハインドしているものの、ほぼ計画どおりに進捗しています。下期については大型案件の獲得が予定されているため、上期を上回る164億円程度の売上を見込んでいます。同様にEBITDAも、下期に偏重する見込みです。このような状況から、通期では計画どおりに進捗していると評価しています。

通期業績予想については、当社は依然として強い自信を持っています。下期にしっかりと案件を獲得し、通期のガイダンスを達成することを目指して進めています。

利益率改善に向けて

利益率改善に向けて、です。全社のEBITDAマージンは横ばい傾向にありますが、M&A関連数値を除くと、スライド右側にあるOrganicなEBITDAマージンは、昨年の34.6パーセントから、今期の見通しでは36パーセント程度となる見通しで、収益改善が進んでいます。

今後は、昨年および今期に取得したM&A子会社の収益改善を推進することで、全社のマージン改善を図っていきます。

中期経営方針の進捗

中期経営方針の進捗です。スライド左側の売上収益について、グレーで示された社内計画を上回って推移しています。EBITDAについても同様な傾向です。

来期が中期経営方針の最終年度となりますが、売上収益320億円、EBITDA120億円の計画に対して、達成の蓋然性がかなり高くなってきていると考えています。

着実に積みあがるリカーリングレベニュー

リカーリングレベニューについてです。右側の2026年2月期は、ガイダンスベースの通期数値です。リカーリングに関してはCAGR14パーセントの成長を見込んでおり、着実に増加しています。

当社は特にクラウド・サブスクリプションに注力しており、CAGRでクラウドはプラス28パーセント、サブスクリプションにおいては絶対額がまだ大きくないものの、プラス38パーセントと、リカーリングレベニューが着実に積み上がっている状況です。

財務指標の推移

財務指標の推移です。資本指標のROE・PBRを示しています。ROE、PBRともに今期以降さらに引き上げていく方針です。

指標改善の取り組みとしては、今後グループ全体で収益性・マージンの改善と、戦略的キャピタルアロケーションの推進に取り組んでいきます。当社はキャッシュ創出力が非常に強い会社であると自負しており、事業で生み出されたキャッシュを、資本効率を考慮しながら成長投資に活用します。さらに、株主還元にも積極的に取り組んでいく考えです。

また、市場との対話も重要視しており、本日のような場を通じ、市場に対して当社の事業などをご説明する機会を、今後も継続して設けていきたいと思っています。

キャピタルアロケーションの進捗

2023年10月に公表したキャピタルアロケーション計画に対する進捗実績です。成長投資についてですが、M&A・出資などで100億円以上を予定しているものの、現時点では40億円程度にとどまっています。これは、当社の成長にしっかりと寄与する案件を選別しているためです。

株主還元は、当初の計画では100億円以上を想定していましたが、過去4年間で利益が計画を上回る傾向にあります。そのため、配当実績はかなり早いペースで進んでいる状況です。

積極的な株主還元

株主還元の状況です。当社の方針として配当性向30パーセントを掲げていましたが、2023年10月に総還元性向50パーセントという方針に変更しました。

昨年は期末に記念配当20円を実施し、配当性向は高水準の60.8パーセントとなりました。今期も目標の50パーセントを超える水準で、株主還元をしっかり実行していきたいと考えています。

出資及びM&A方針

出資およびM&Aの方針についてです。先ほど「4年間で100億円」を掲げていましたが、その領域を大きく4つの象限に分類しています。

まず1つ目は、当社の強みである、大企業のコアシステムや基幹システムの周辺領域です。こちらはミドルウェアの領域に該当しますが、当社はこの領域で、競争優位性をさらに補完するようなかたちでM&Aを実施したいと考えています。

2つ目は、一昨年から進めている公共ビジネスの強化です。こちらはある程度の立ち上がりを見せています。そのため、これをさらに補完し、強化することを目的としたM&Aを検討しています。

3つ目はAI技術・エンジニアの取り込み、そして4つ目は、既存事業(BDS/DE)に関連するクラウドビジネスの成長を加速させるM&Aです。クラウド事業は今期も30パーセントを超える成長を見込んでいますが、これをさらに加速させるM&Aも対象となっています。

ESG評価

ESG評価についてです。先ほどのご説明でも触れたとおり、MSCI社が提供するESG評価において「AA」を獲得しています。また、「CDP気候変動レポート2024」においても2年連続で「B」を取得し、高い評価を得ています。

財務面での今後の取り組み

財務面での今後の取り組みとして、3つ挙げています。まず、生成AIに関しては、当社のプロダクト開発への組み込みを強力に進めるとともに社内での活用を通じて業務生産性を向上させることで、収益性の改善を図れると考えています。

次に、ポートフォリオの見直しです。当社はいくつか新たなビジネスを立ち上げていますが、その中で当社が強みを発揮できる領域にしっかりと投資し、シナジーを創出することに注力しています。

最後に、先ほどお伝えしたようなキャピタルアロケーションポリシーを確実に遂行し、さらなる資本効率の改善につなげたいと考えています。

(参考)コーポレートの変革:経営の高度化、生産性向上への取り組み

コーポレートの変革について、3つ挙げています。当社はDXソリューションを提供している企業ですので、自社のシステムを活用しつつ、「デジタル経営基盤の再構築、データを活用した経営の強化」という取り組みを掲げています。

もう1つは、先ほどお話しした「ポートフォリオ・マネジメントの強化」です。各事業およびポートフォリオのマネジメントをしっかり行い、収益性の改善を図ります。

最後に「人的資本経営の推進」についてですが、ソフトウェア業界において人材は非常に重要なアセットです。そのため、人材の確保と教育を強化するための投資を推進していきたいと思います。

質疑応答:第2四半期までの業績進捗状況について

質問者:第2四半期までの業績の進捗状況についてです。「ほぼ計画どおりです」というご説明がありましたが、期初から半年が経過しています。当初、「今年は下期偏重です」とお聞きしていましたが、「本当に下期のパイプラインは大丈夫なのか?」といった部分について、上期の受注状況や、「期初は確率的に高くなかったものがきちんと入ってきています」「下期も積み上げができます」など、補足情報をいただけますか?

藤本:まず上期については、ほぼ計画どおりに進行しています。ただし一部、上期に獲得する予定だった案件が下期にスライドしている状況が見られます。

また、ご指摘の「下期のパイプラインは大丈夫か?」に関してですが、当社としては、今期の業績を十分達成できるパイプラインを保持しています。

さらに、受注率やお客さまの状況によって案件が弱まっているということは見受けられず、通期および下期の業績達成には自信を持っています。

質疑応答:来期の目標達成におけるEBITDAの見通しと背景について

質問者:中期経営方針について、ご説明がありました。来期の目標に対しては、「売上をあと3パーセントぐらい伸ばせば達成できる」ということで、余裕が感じられます。しかし、EBITDAは15億円ほど伸ばさなければならず、過去2年から3年と比べるとハードルが高い印象もあります。

自信があるというお話でしたが、「利益率の改善」という部分に自信があるのでしょうか? 「トップラインをもう少し上振れできるので結果的にEBITDAが達成できます」「M&Aの効果がもう少し効いてくるので、ここが積み上がります」など、来期のEBITDA120億円達成に向けた自信の背景について、コメントをいただければと思います。

藤本:おっしゃるとおり、2つの側面があると思います。冒頭で田中がご説明したとおり、今年は大型案件が昨年より少なかったものの、来期は公共系の大型案件が見込まれています。また、案件の積み上げ自体もしっかりと進んでいるため、トップラインの成長も期待できるというのが1つです。

もう1つは、先ほどご説明したとおり、収益性の改善です。直近2年から3年は投資を増やして成長に舵を切っていましたが、昨年頃から収益性の改善に注力した経営に舵を切っています。これらの取り組みが相まって、来期のEBITDA120億円という目標が射程圏内に入ってきていると評価しています。

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