VELTRAについて
二木渉氏:代表取締役社長兼CEOの二木です。2025-2027 中計経営計画についてご説明します。
当社は、既存の旅行会社の枠組みにとらわれず、国内から海外、オンラインからオフラインまで、テクノロジーの力を活用し、シームレスな「心ゆさぶる体験」に出会うためのソリューションを提供しています。これにより、日本の観光立国への貢献を目指しています。
当社は、「観光体験の総合ソリューション企業」を掲げ、OTA事業および観光IT事業の2軸で展開しています。
OTA事業では、現地体験型アクティビティの予約サービスを中心に、日本人の海外旅行、国内旅行、在米者のハワイ旅行など多様な市場に対応しています。
観光IT事業では、交通機関や観光施設向けのチケットプラットフォーム「LINKTIVITY」を展開し、法人サービスや鉄道・施設向け販売システムを提供しています。
このように、当社は体験を軸にした多面的な観光ソリューションを提供する企業として成長を続けています。
ベルトラグループ中期経営方針
ベルトラグループの中期経営方針についてご説明します。
当社は、「グローバルを舞台に、デジタルと体験の力で未来の観光を創造する」を企業価値としています。これは、インバウンドを起点としてグローバル市場へと展開し、経営資源やアセットを最大限に活用しながら、事業領域を拡大していくという中期戦略に基づいています。
ミッションは「心ゆさぶる体験を未来に届ける」であり、ビジョンは「人を想い、人に寄り添うことでより良い世界を実現する」です。
企業方針としては、「顧客に寄り添い、人々が豊かになるための新たな価値を生み出す」とともに、「お互いの文化を理解し、理解される機会を生み出し続ける」を重視しています。
ベルトラグループ中期経営方針
ベルトラグループの中期経営方針について、さらに詳しくご説明します。
当社の競争優位性は、旅行者に対してマーケティング力とテクノロジーを活用し、パーソナライズされた感動体験を提供できる能力にあります。また、広範な領域を網羅的にアプローチするのではなく、特定分野を徹底的に深堀りすることで、他社との差別化を図っています。
コロナ禍を経て観光業のデジタル化が進展する中で、当社はボーダレスな世界観と多様化する旅行ニーズに対応するため、未開拓のデジタル領域に焦点を当てています。
これまでに培ってきた独自のツアーやアクティビティ、柔軟なプラットフォーム、強固なパートナーシップなどの資産を活用し、旅行者に新しい文化交流の手段を提供しています。
今後は、専門性を活かしたサービスとDXを通じて、インバウンド市場を足がかりに、グローバル市場への展開を加速し、持続可能な成長を実現していきます。
中期経営計画サマリー
中期経営計画のサマリーについてご説明します。
当社は2027年を計画年度として、営業収益84億円、営業利益14億円、営業利益率17パーセントの達成を目指しています。営業収益は2024年比でプラス95パーセントとなる計画です。
経営戦略の柱は3点です。1点目は高効率経営の実現で、ROE20パーセントを目指し、テクノロジーやマーケティング領域への効率的な投資を推進します。
2点目はグローバル観光産業での成長継続で、日本人以外の売上比率を含めてグローバル売上比率30パーセントを目標としています。加えて、3年営業収益成長率(CAGR)25パーセントを目指します。
3点目はガバナンスおよびコーポレート機能の強化で、複数事業の投資効率管理や経営判断の迅速化を図ります。
主力事業戦略としては、OTA事業の収益力強化、LINKTIVITY事業のインバウンドB2B事業拡大、新規事業によるインバウンドおよびグローバル売上の拡大を推進していきます。
2024年の振り返りと今後の打ち手
2024年の振り返りと今後の打ち手についてご説明します。
2024年は営業収益が目標を下回りました。主な要因としては、競合の台頭とアジアと手頃な価格帯への需要シフトや需要増加に対する対応の遅れが挙げられます。
また、既存チャンネルの集客力の鈍化や、経営判断の遅れも営業収益未達の原因となりました。具体的には、認知広告や人材採用への投資継続判断に遅れが生じたことが挙げられます。
これらの課題に対して、今後の打ち手として、商品ラインナップの多様性強化、事業提携による品揃えスピードの向上、システムや集客改善への投資強化、リピーター集客の強化を行っていきます。
さらに、役職の責任を明確化し、権限委譲を進めるとともに、経営データの活用による判断の迅速化や、AI等のテクノロジーを活用した運用部門の生産性1.5倍化も目指していきます。
世界の旅行市場規模予測(〜2030年)
世界の旅行市場規模予測についてご説明します。
旅行市場は引き続き活性化が見込まれており、世界の海外旅行者数は2030年までに年3パーセントから5パーセントの成長が予測されています。グローバル旅行者市場の訪日インバウンドでは、2030年の旅行者数が6,000万人、消費額が15兆円と、2024年比で84パーセントの増加が見込まれています。
一方で、人口の増加が見込めない日本人市場では、旅行者数および消費額に大きな増減は見込まれておらず、横ばいの予想です。2030年の海外旅行者数は1,500万人から2,000万人、消費額は4兆円、国内旅行は5億人で消費額は22兆円と予測されています。
なお、全世界の旅行者数は18億人、消費額は500兆円とされ、グローバルにおける成長が継続する中で、当社としても国際市場におけるシェア拡大が重要なテーマとなります。
また、オンライン予約比率は上昇を続け、旅行選択の多角化・多様化が進むと想定しています。
日本人海外旅行市場のFIT(個人旅行者)の状況と今後の予測
日本人海外旅行市場のFITの状況と今後の予測についてご説明します。
FIT、すなわち個人旅行者による旅行は活性化しており、今後も拡大が続くと見込まれています。特に欧米ではFITのシェアが90パーセントに達しており、日本でもこの水準に向かって拡大していくと予想されます。
また、OTAを含むオンライン予約の比率も上昇しており、旅行代理店を介さず、ウェブサイトやOTA経由で予約するユーザーが増加しています。こうした傾向は、グローバル市場だけでなく、日本人旅行市場にも波及しており、当社が提供するオンライン体験予約サービスとの親和性が高まってきています。
事業環境の変化
事業環境の変化についてご説明します。
AIの普及やコロナ禍を契機としたデジタル化の進展により、オンラインビジネスの事業環境は大きく変化しています。これまでのビジネスモデルの価値が変わりつつある中、テクノロジーを活用することで業務生産性の改善や、言語の壁を越えたサービス展開が少ない投資で実現可能になっています。
内部環境としては、テクノロジーによる業務生産性の改善が強みとなる一方、人件費の高騰といった課題もあります。外部環境では、小規模投資によるグローバル展開で新たな価値創出のチャンスが広がる反面、グローバル企業の国内市場参入といった脅威への対応が求められます。
成長シナリオのポイント
成長シナリオのポイントについてご説明します。
成長戦略の起点として、まずOTA事業の収益力を最優先で強化します。そのうえで、LINKTIVITY事業で構築した経営資産を活用し、インバウンドを足がかりにアジア市場中心にグローバル展開を進めていきます。
具体的には、2025年以降、グローバル旅行者と日本人旅行者の両市場に向けて、特定領域・特定サービスでの優位性をOTA事業で確立し、LINKTIVITYにおいては国内最大規模のインバウンドGDSを基盤とする成長戦略を描いています。こうした展開を通じて、長期的な企業価値の向上を目指していきます。
中期経営戦略(FY2025~2027)
FY2025からFY2027の中期経営戦略についてご説明します。
2027年における数値目標は、営業収益84億円、営業利益14億円、営業利益率17パーセントです。営業収益は2024年比でプラス95パーセントとなる計画です。
最重要指標として、ROE20パーセント、3年営業収益成長率(CAGR)25パーセント、グローバル売上比率を17パーセントから30パーセントへと引き上げることを掲げています。
これらを実現するための経営戦略は、以下の3本柱で構成されています。1つ目は高効率経営の実現です。具体的には、既存事業の利益率向上、テクノロジーやマーケティングなど事業効率の高い分野への投資戦略、新規事業における柔軟かつコントロール可能な投資を推進していきます。
2つ目は、グローバル観光産業での継続的な成長の実現です。日本人海外旅行事業の成長を確保しつつ、リンクティビティを含めた日本人以外の売上比率を拡大するための成長市場への投資を進めます。また、継続的な事業開発を支えるために、優秀な人材の獲得と育成にも注力します。
3つ目は、ガバナンスおよびコーポレート機能の強化です。プライム市場への上場を見据えたガバナンス体制の構築を推進しながら、複数事業の投資効率を管理する仕組みを構築し、経営判断のスピードを強化していきます。
業績推移イメージ
業績推移イメージについてご説明します。
2027年には営業収益84億円、営業利益14億円、営業利益率約17パーセントを計画しており、これにより3年CAGR25パーセントを達成する見込みです。
営業利益率は、2024年時点のマイナス4パーセントから、2025年に9パーセント、2026年に13パーセント、2027年に17パーセントへと段階的に向上させていく計画です。ROEは20パーセントを目標とし、収益・費用ともに適切にコントロールすることで収益構造の改善を図っていきます。
部門別目標
部門別の目標についてご説明します。
OTA事業、LINKTIVITY事業、新規事業それぞれに数値目標を設定しています。2027年におけるOTA事業の営業収益は62億円で、2024年比プラス75パーセント、営業収益CAGRは20パーセント、営業利益は27億8,500万円で営業利益率は45パーセントとなる計画です。
LINKTIVITY事業の営業収益は18億円、営業収益CAGR35パーセント、営業利益は3億円で営業利益率17パーセントを見込んでいます。
一方で新規事業は営業収益4億円、営業利益はマイナス3億円を想定しており、投資段階と位置づけています。全社合計では営業収益84億円、2024年比プラス90パーセント、営業収益CAGRは25パーセント、営業利益14億円、営業利益率17パーセントを計画しています。
中長期的な成長に向けて
中長期的な成長に向けた取り組みについてご説明します。
当社は、従来のKPIであった「ファン100万人」を見直しました。この指標は、日本人旅行者の複数回利用を前提としたものでしたが、今後はグローバル市場への本格展開を見据え、より収益性と成長性を重視した指標体系へと移行していきます。
2024年以降、当社は収益拡大と利益率の改善を両立する事業ポートフォリオへの再構築を進め、テクノロジーおよびマーケティング分野への投資を強化してきました。
2025年には営業黒字の確保、2026年は過去最高の営業利益を計上し、2027年にはグローバル売上比率30パーセントとROE20パーセント超を実現する計画です。
全社としては、年平均成長率CAGR25パーセントのグループ収益成長を目指すとともに、リンクティビティの海外展開やインバウンド領域の事業拡大を進めていきます。加えて、テクノロジー活用による事業効率化を通じて、人件費率および広告費率の低減にも取り組みます。
さらに、プライム市場の上場基準を見据えたガバナンスの強化を進め、中長期的な企業価値の向上を図っていきます。
OTA事業部門 経営目標 P/L
OTA事業部門の経営目標についてご説明します。
2027年には営業収益62億円、営業利益27億円、営業利益率45パーセントを目指します。これは、コロナ前の2019年実績である営業収益43億2,300万円を大きく上回る水準であり、3年CAGRは20パーセントに相当します。
この達成に向けては、日本人向けのマーケティングおよびテクノロジー部門を強化し、リピート客の増加や事業生産性の改善を進めていきます。
旅行市場におけるユーザーの変化
旅行市場におけるユーザーの変化についてご説明します。
デジタル化の促進により、FIT市場は拡大しており、オンライン予約が一般化し、旅行経験の少ないライトユーザーが増加しています。これに伴い、個人の行動力や興味の多様化が進み、ターゲットユーザーの拡大と新しいサービス提供が求められています。
顧客ニーズも、かつての「旅先での安心」から「旅先での自由な行動」や「自分らしい体験」へと移行しており、当社としてはダイナミックパッケージや個別予約のニーズへの対応力を強化していく必要があります。
旅行市場におけるユーザーの変化
引き続き、旅行市場におけるユーザーの変化についてご説明します。
FIT市場の拡大とともに、ユーザーの行動にも変化が生じています。若年層は円安やインフレによる旅行単価の上昇を受けてアジア方面への渡航が増えており、子育て層やシニア層においてもオンライン予約化やFIT化が進展しています。
地域別に見ると、2024年の渡航者回復率はアジアが85パーセントと最も高く、ヨーロッパが61パーセント、北アメリカが46パーセント、太平洋地域が26パーセントという状況です。
旅行者の渡航先の変化
旅行者の渡航先の変化についてご説明します。
円安やインフレにより旅行単価が上昇する中で、比較的価格の安いアジア方面の旅行需要が拡大しています。2024年の渡航単価は、アジアが20万7,085円、ヨーロッパが62万2,795円、北米・ハワイが55万9,892円、オセアニアが62万1,387円となっており、アジア市場の成長余地が明確です。
2024年の渡航者シェアはアジアが69パーセントを占めており、今後もこの傾向が続くと見られます。これに対し、当社としては、アジア市場への対応を強化する一方で、ハワイやヨーロッパなどの高単価エリアでも当社の強みを活かして柔軟に対応していくことが必要です。
OTA事業 成長戦略
OTA事業の成長戦略についてご説明します。
戦略テーマは、顧客視点での組織およびサービスの再構築です。まずターゲットとして、旅行経験の少ないライトユーザーであるマジョリティ層の獲得を目指します。
差別化の施策としては、旅先の人々との交流にフォーカスしたサービス設計を行い、「安心して参加体験できる」品質管理されたサービスを提供していきます。
また、環境やトレンドの変化に適応し、商品ラインナップの強化や拡散力のある商品の追加により、予約数の増加を図ります。
生産性向上の観点では、ユーザーのリピート率向上による広告比率の削減、業務および体制の見直しとテクノロジー活用による人件費比率の改善を進めます。
さらに、組織の再構築や実行可能なリーダー人材の育成、スピード感のある体制構築に取り組み、新たな戦略を全社に浸透させていきます。
事業成長と生産性改善を実現するサイクル
事業成長と生産性改善を実現するサイクルについてご説明します。
当社は、マーケティングおよびテクノロジーへの投資により、生産性を向上させ、得られた利益を再投資することでさらなる成長を目指しています。
蓄積されたマーケティングデータにより分析力を高め、プロモーションの投資対効果を向上させます。また、リピート率の向上を通じて広告費の削減につなげ、UIやUXの改善によって問い合わせ対応のスピードも高めます。
さらに、日本人の嗜好に合わせた多様な品揃えの実現や、商品強化による集客力の向上、サービス改善による顧客満足の向上などを通じて、収益の拡大とコスト削減の両立を図ります。
このサイクルを繰り返すことで、事業成長と生産性改善の好循環を確立します。
テクノロジー分野の投資状況
テクノロジー分野の投資状況についてご説明します。
2024年には、テクノロジー分野への投資として5億円を実施しました。これにより、売上増加の施策に加えて、運用改善にも注力しています。
改善ポイントとしては、UIおよびUXの改善によりCVRとリピート率の向上を図っています。また、データ収集と統合により、売れ筋商品の仕入れやリピート率の向上にも貢献しています。
運用面では、問い合わせ率の削減および商品維持コストの削減を進め、事業提携の強化により、商品掲載速度や商品数、集客力、サービス品質の向上を実現しています。
2027年には投資額をさらに引き上げ、7.5億円を計画しています。これにより、自社だけでなく他社との業務提携を活用し、成長の促進と利益率の改善を目指します。
事業提携による成長の加速
事業提携による成長の加速についてご説明します。
当社は、資本提携をはじめ、政府観光局や事業会社との提携を積極的に推進しています。これらの提携を通じて新たな付加価値を生み出し、事業拡大のスピードを加速させています。
中期戦略においては、テクノロジーチームを強化し、商品多様性の強化や品揃えのスピード向上、システムおよび集客改善への投資をさらに進めていきます。
また、商品強化、運用強化、販売チャネル強化に向けた連携を進め、世の中の変化のスピードを上回る成長を目指します。
人件費と広告費の生産性改善イメージ
人件費と広告費の生産性改善イメージについてご説明します。
マーケティングおよびテクノロジーへの投資を通じて、労働集約型の業務構造を改善し、広告依存率の低減を図ります。これにより、少数精鋭体制の実現と業務生産性の向上を進め、結果として事業利益率を改善します。
具体的には、営業収益は2019年の43億2,300万円から2027年には62億円に増加する計画です。営業利益率は2019年の42パーセントから、2024年には20パーセント、2027年には45パーセントを見込んでいます。
人件費率は2024年の33パーセントから2027年には19パーセントまで、広告比率も23パーセントから18パーセントまで改善を図ります。また、一人当たり収益は15万6,000円から27万3,000円へと向上させる計画です。
LINKTIVITY Individual Segment P/L
LINKTIVITY事業の個別セグメントにおける損益計画についてご説明します。
2027年には、営業収益18億円、営業利益3億円、営業利益率17パーセントを目指します。これは、3年間の年平均成長率CAGR35パーセントに相当します。
この実現に向けては、既存のプラットフォームビジネスにおける商品の拡大、事業のグローバル化、新たなソリューションの開発を進めます。
2025年以降も、年間2億円から3億円程度の成長投資を継続し、計画を上回る営業収益の実現を目指します。
LINKTIVITY 成長戦略
LINKTIVITY事業の成長戦略についてご説明します。
本戦略は、既存と新規の両面で商品・サービスおよび市場を拡大する4象限モデルで構成されています。
1点目は、既存商品を既存市場に展開する「市場浸透」で、日本国内の交通・観光施設の入場券などの取り扱いを拡大します。
2点目は、既存商品を新規市場に展開する「新市場開拓」で、特にアジアを中心とした日本国外市場へのソリューション横展開を進め、グローバルな流通システムの構築を目指します。
3点目は、新商品を既存市場に提供する「新商品開発」として、QRコード改札・入館システム、タクシー、ホテル、レストランなどの提携先向けソリューションの深掘りにより、国内最大規模の観光・交通ITソリューションを展開します。
4点目は、新商品を新市場に提供する「多角化」で、将来的な事業機会と新たな価値の提供を目指します。
キャッシュ・アロケーション
キャッシュ・アロケーションについてご説明します。
中期計画期間中において、全社の増収増益と2027年にROE20パーセントを達成することを前提に、営業キャッシュ・フローから得られた50億円の資金を、主に事業投資およびテクノロジー投資に充当していきます。
このうち最大40億円を事業投資とし、テクノロジー活用による事業生産性の向上を図ります。さらに、M&Aをはじめとする企業価値向上に資する案件については積極的に検討します。
また、自己株取得については、株価水準や市場環境、資本コスト、資金余力を踏まえて機動的に実施します。内部留保としては20億円を確保し、前受金残高部分のキャンセルリスクに備えながら想定キャッシュ残高70億円の維持を目指します。
新規事業への投資方針
新規事業への投資方針についてご説明します。
当社は、インバウンドおよびグローバル事業領域での事業ポートフォリオおよび資産の拡大、並びに2028年以降の成長力維持をゴールに掲げています。
一方で、新規事業依存型の高リスクな成長計画は排除し、既存事業の成長と利益拡大を最優先としながら、ROEを意識した投資コントロールを徹底していきます。
収益目標については保守的に設定し、既存事業のみでも経営目標が達成可能な設計とし、既存事業との資産活用や相乗効果を重視した新規事業・サービスの開発を推進していきます。
中期人事戦略
中期人事戦略についてご説明します。
当社は、労働生産性の向上とリーダー人材の育成・採用を重要課題として位置付け、OTA事業における労働生産性1.5倍の実現とサクセッションプランの実行を中期ゴールとしています。
組織デザインとしては、中期・短期目標に向けたパフォーマンス最大化を目的に、少数精鋭体制への移行と権限委譲を推進し、組織および人材の流動性を向上させていきます。
人材ポートフォリオでは、必要な人材とポジションを明確化し、リーダー育成および採用を進めるとともに、チャレンジを促す評価報酬制度の構築やイノベーション機会の創出を行います。
企業文化面では、全社連携方法や会議体の見直しによりコミュニケーション力を強化し、全社戦略の浸透を通じた行動によってリーダー人材の育成に取り組みます。
PSU導入の目的および制度概要
PSU導入の目的および制度概要についてご説明します。
当社は、中期経営計画の業績目標の達成に向けて、業務執行取締役および執行役員に対して、業績連動型譲渡制限付株式報酬(PSU)を導入しています。
この制度は、連結ROEおよび連結当期純利益の目標に対する達成度に応じて、譲渡制限が解除されるものです。評価期間は中期経営計画の対象期間に合わせて3年間とし、2025年中計開始から2027年12月までが評価対象となります。
この制度により、役員に対して中長期的な企業価値向上に対する強いインセンティブを付与し、株主との利益の一致を図ります。
会社概要
会社概要についてご説明します。
当社は、1991年11月に創業し、VELTRA.com事業は2004年4月に開始しました。本社は東京都中央区日本橋に所在し、資本金は20億7,838万円です。
2024年12月31日時点での従業員数は、本社157名、連結では256名で、臨時雇用を含めるとそれぞれ226名、324名となります。
子会社は、マレーシア、アメリカ(ハワイ州)、日本に所在し、営業所はタイ(バンコク)とベトナム(ホーチミン)にあります。
主な事業カテゴリは、「VELTRA.com」による現地体験型オプショナルツアーの提供、「LINKTIVITY」によるチケットプラットフォームの運営で、日本人海外旅行、日本人国内旅行、法人サービス、鉄道・施設向け販売システム(B2B)などを展開しています。
主要事業
当社の主要事業についてご説明します。
当社は、OTA事業と観光IT事業の2つを中核事業と位置付けて展開しています。
まず、OTA事業の「VELTA」では、日本人海外旅行と日本人国内旅行をターゲットとし、現地体験型アクティビティに特化した専門予約サイト「VELTRA.com」を運営しています。会員数は250万人に達し、取り扱い商品数は2万種類、提供地域は150カ国におよびます。催行会社は9,000社、さらに、60万件の体験談を活用し、サービス品質の向上にも取り組んでいます。
「HawaiiActivities.com」では、米国在住者のハワイ旅行をターゲットとし、会員数は20万人で、ハワイ全島で780種類のアクティビティを展開しています。催行会社は440社、1.4万件の体験談を活用しています。
次に、観光IT事業では、訪日インバウンドをターゲット市場とし、交通機関や観光施設向けのチケットプラットフォーム「LINKTIVITY」を展開しています。契約事業者数は579社、販売事業者数は440社となっており、販売先はアジアを中心に全世界に広がっています。
このように、当社はOTAと観光ITの両事業を通じて、多様な旅行ニーズに応える体験ソリューションを提供しています。
【OTA事業】体験予約のサプライチェーンを変革
OTA事業における体験予約のサプライチェーン変革についてご説明します。
従来の体験予約は、旅行パンフレットの付加的商品として提供されることが多く、中間業者を介することで価格が割高となるうえ、旅行会社を通さない場合も、予約や支払いの手続きが煩雑でした。
当社は、現地催行会社と直接契約を結び、中間業者を介さずに適正価格でサービスを提供する新たなモデルを構築しました。これにより、ユーザーは手間なく予約可能となり、現地体験事業者は直接的な販売チャネルを獲得できます。
また、自社ブランドサイトの構築やSaaS、アフィリエイトモデルなどを通じて、多様な販売チャネルを提供し、個人旅行者から法人向けサービスまで広く対応しています。さらに、体験談をフィードバックとして取り入れ、サービス改善のPDCAサイクルを実現しています。
【OTA事業】海外・国内個人旅行の課題を解決
OTA事業が解決する、海外および国内個人旅行の課題についてご説明します。
従来の体験予約には、割高な価格設定、選択肢の少なさ、予約管理の煩雑さ、在庫管理の困難といった課題が存在していました。
当社は、世界中の現地体験事業者と直接契約を結ぶことで、適正価格での提供を可能とし、20,000種類以上の体験を取り揃えています。また、売上データやマーケティングデータに基づいた商品開発やプロモーション(キュレーション)を行っています。
体験予約に特化した自社開発システムにより、カスタマーサポートから在庫管理までを一元的に運用し、迅速な改善を可能としています。さらに、SEOに優れたオンライン販売や、旅行会社によるB2B販売網も活用し、独自の販売インフラを確立しています。
LINKTIVITYのビジネスモデル
「LINKTIVITY」のビジネスモデルについてご説明します。
「LINKTIVITY」は、日本の交通機関・観光施設と世界各国の旅行会社をつなぐプラットフォームです。サービス提供者と販売業者の間に存在する複雑な流通構造を、ワンストップで一元管理可能なシステムにより解決しています。
サービス提供元として、日本の鉄道・新幹線、路線バス、フェリー、美術館、博物館、観光施設などがあります。一方、販売事業者としては、400社以上の主要OTA、航空会社、ホテル等、世界中のB2Bネットワークが存在しています。
この仕組みにより、チケット発行、在庫管理、企画商品造成、配信サービス、精算・請求、直販ソリューションまでを一括で管理し、観光・交通業界のDXを推進しています。
LINKTIVITYで変わる訪日旅行・国内旅行
「LINKTIVITY」による訪日旅行・国内旅行の変革についてご説明します。
従来の訪日旅行では、日本から紙のチケットを郵送したり、E-ticketを印刷したりする必要があり、旅行者には煩雑な手続きや持ち物の負担、チケット引き換えの手間が生じていました。
当社は、QRコードを活用した周遊パスを導入することで、鉄道やバスなどの移動手段、観光施設の入場をスマートに管理できる仕組みを提供しています。
これにより、旅行者はQRコード1つで移動や入場が可能となり、忘れ物リスクや引き換えの時間的ロスを軽減できます。さらに、日本人の国内旅行者にも同様のシームレスな体験を提供することで、旅行全体の利便性と満足度を向上させます。
私からのご説明は以上です。ご清聴いただきありがとうございました。