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則武栗夫氏(以下、則武):信和株式会社代表取締役社長の則武です。本日は信和株式会社2025年3月期決算説明をご視聴いただきありがとうございます。

会社概要、2025年3月期決算概要、2026年3月期業績見通しの順にご説明します。

企業概要

会社概要についてご説明します。パーパスは、「いのちを守り、未来を支える。」です。

当社は、仮設資材や物流機器の製造・販売・サービスを通じて社会に貢献したいと考えています。建設現場の方々の大切な命を守り、インフラのメンテナンスなどを通じて、社会基盤の未来を支えることを使命として事業に取り組んでいます。

本社は岐阜県海津市にあり、創業47年となりました。2018年に東京証券取引所および名古屋証券取引所へ上場し、2024年4月には大手足場施工会社であるヤグミグループを、2025年5月にはアルミ加工会社である凰金属工業を子会社化しました。

事業内容

事業内容です。2025年3月期の売上収益約175億円のうち、仮設資材部門が約75パーセント、物流機器部門が約25パーセントとなっています。

仮設資材部門では、建設現場で使用される足場の製造・販売・レンタルのほか、施工サービスも行っています。システム足場の販売シェア国内No.1であり、住宅からインフラ関連、超高層ビルまで高品質な足場資材を一貫して提供できる国内唯一の企業です。

物流機器部門では、工場や倉庫などで使用される保管用機器の製造・販売・レンタルを行っています。これらの製品も提案から設計・製造・設置・メンテナンスまで、一貫してサービスを提供しています。幅広い業界からご支持をいただいています。

パーパスに関連した取り組み

パーパスに関連した取り組みの一部をご紹介します。

スライド左上は橋梁用システム吊り足場です。従来の工法と比較して、強度・安全性・施工性を兼ね備えており、今後は老朽化した社会インフラの維持修繕に本格的に使用されていきます。

左下は足場の機能強化です。中高層のマンションやビルに向けて、抜け止め機能がついたことにより安全性の高いシステム足場を開発・拡販しています。

右上は安全措置資材の開発です。施工現場のノウハウを活かした安全措置資材を数多く開発しています。これらは作業員の墜落や資材の落下事故を防止するために必要な製品で、建設現場の安全性を高めています。

右下は軽量化の取り組みです。建設就業者の高齢化が進む中、軽量化による作業負担軽減を通じて、安全性と生産性を高め、輸送効率の向上にも取り組んでいます。

2025年3月期決算概要については、常務取締役執行役員管理本部長の平澤よりご説明します。

2025年3月期 決算ハイライト

平澤光良氏:執行役員管理本部長の平澤です。2025年3月期決算概要についてご説明します。

まずは決算ハイライトです。2025年3月期は売上収益175億300万円、営業利益16億2,200万円と、前年同期比で大きく増収増益となりました。

主要事業である仮設資材部門では、顧客が製品の購入を控え、レンタルで調達する流れが続いています。そのような状況下で、柔軟な営業提案やヤグミグループによる仮設施工工事が売上貢献したほか、新拠点の開設など積極的な事業展開を行いました。

利益面では、売上収益の増加による影響のほか、レンタル事業への投資を加速させるべく、レンタル資産の減価償却期間を変更しました。その結果、減価償却費が減少し、売上総利益、営業利益、当期利益ともに増益となりました。

トピックスとしては、昨年4月に大手足場施工会社であるヤグミグループの株式を取得しています。また、同年10月には新拠点として神奈川県相模原市に相模原機材センターを開所しました。

2025年3月期 連結業績

連結業績の推移をスライド下段に棒グラフで示しています。売上収益は過去5期間で最高となり、営業利益については2期前を上回る水準となりました。

部門別の状況/仮設資材部門

各部門の状況についてご説明します。

仮設資材部門では、資材価格の高止まりや製品価格の高騰により、仮設資材をレンタルで調達したいという顧客からの需要が続いています。

これに対して当社はレンタルの強化と推進だけではなく、販売とレンタル双方の強みを組み合わせた販売手法や、注力地域における重点的な営業活動など、あらゆる手法で購買意欲の喚起に努めました。

また、2024年4月に子会社化したヤグミグループにおいては、堅調な工事需要に対して豊富な人材力で着実に案件を獲得しています。

結果として、売上収益は130億2,800万円、前年同期比45.1パーセント増となり、過去5期間で最高となりました。

トピックス:相模原機材センター開所

2024年10月、神奈川県相模原市に相模原機材センターを開所しました。これにより、従来の横浜機材センターと比較して、出荷量は4.3倍と大幅に増加しています。

本センターは、南関東を中心とした都市再開発やインフラ整備に伴う建設需要に応えるため、安定的かつ豊富な資材供給を実現する重要な拠点です。既存の拠点と連携し、関東広域の多くのお客さまに対する利便性を高め、一層のサービス向上に努めていきます。

部門別の状況/物流機器部門

物流機器部門では、大型物流倉庫案件のほか、自動車、ガラス土石製品、自動倉庫など、多くの業界からの案件を多数獲得できました。加えて、液体搬送用バルクコンテナケージなどのリピート案件の受注量も堅調に推移しました。

これらにより、売上収益は44億7,400万円、前年同期比21パーセント増となり、こちらも過去5期間で最高となりました。

事業部門別売上収益増減

こちらのスライドでは、売上収益の前期比増減を事業部門別にウォーターフォールチャートで示しています。

ヤグミグループの子会社化もあり、施工およびレンタルの売上収益が前年同期比で38億6,800万円増加しています。物流機器部門についても7億7,600万円増加し、全体の増収に貢献しています。

キャッシュ・フロー計算書増減要因

キャッシュ・フローの状況です。営業キャッシュフローはプラス8億4,800万円となりました。当社では通常営業キャッシュフローが20億円前後となりますが、回収サイトが長い大口取引が数件生じたことにより、一時的に運転資金が増加しました。

この影響が11億円ほどあったことから、2025年3月期の営業キャッシュフローは低下していますが、2026年3月期には解消される性質のものです。

投資キャッシュフローに使用した資金は43億1,800万円です。これは主にヤグミグループの株式取得に関わる支出の純額26億3,100万円と、新たな機材センターの開所やレンタル資材への投資などの固定資産取得のための支出16億円によるものです。

財務キャッシュフローで増加した資金は45億3,600万円でした。これは主にヤグミグループの株式取得と運転資金の増加に対応するために行った借入です。

ここまでが2025年3月期決算の状況となります。続いて、2026年3月期業績見通しについて則武よりご説明します。

仮設資材を取り巻く環境と今後のニーズ

則武:2026年3月期の業績見通しについてご説明します。

建設業界を取り巻く環境として、日本全国の住宅の過半数が築20年以上となっていることや社会資本の老朽化が進み対策が急務であること、建設現場の人材不足や安全衛生規則の改正などを認識しています。

これらの環境において想定されるニーズとして、維持修繕工事需要が増加するほか、より安全に配慮した足場や省人化・組立の容易化などが求められると考えています。

そのニーズに応えるために、高品質で安全性・施工性の高いシステム足場の供給、市場や社会のニーズに迅速に応える商品開発、製造から施工まで一貫したサービス提供など、当社の強みを活かしていきます。

物流機器部門の注力分野

物流機器部門では、これまでに多様な分野で導入実績を積み上げてきました。従来の顧客や案件の進行に加え、省人化分野、海外展開、未経験業界への積極的な挑戦を今後のテーマとしています。

物流機器はすべての産業・業界に関連しており、ニーズも一様ではありません。それぞれの課題に対し、開発力・営業力・製造力、蓄積してきたノウハウを活かし、新領域への進出に取り組んでいきます。

M&A:株式会社凰金属工業の子会社化

M&Aのご報告です。2025年5月1日付で、アルミ加工会社である株式会社凰金属工業の全株式を取得しました。同社は、当社と同じ岐阜県海津市にある創業から約40年の会社であり、高いアルミ加工技術を持っています。

今回の株式取得により、鉄の加工にノウハウを持つ当社がアルミニウム加工能力を取り入れることで、相互の製造技術の向上を図りつつ、新たな商品開発や提案に取り組んでいきます。

信和グループの成長戦略

当社グループの成長戦略は、グループ内のリソース活用と戦略的M&Aを組み合わせた事業領域の拡大です。

販売面では、仮設資材部門、物流機器部門の双方で事業領域・サービスの拡大を図っていきます。これを支える製造・調達面では、自社および協力会社の製造網をさらに強固にし、緊密な関係を持つ取引先との連携を通じて事業拡大に寄与していきます。

今後の戦略的M&Aの実行については、当社グループの変化と進化を加速させる重要な要素と位置づけています。

2026年3月期 通期連結業績予想

2026年3月期の通期連結業績予想についてご説明します。

売上収益は前期比1.7パーセント増の178億円、営業利益は同じく前期比1.7パーセント増の16億5,000万円です。1株当たり年間配当金については、前期と同額の32円を見込んでいます。

先ほどご説明したとおり、当社グループは株式会社凰金属工業の子会社化により、連結対象会社が6社となりました。各事業部門の施策を着実に実行するとともに、事業連携の強化を通じ、より一層の企業価値向上を目指していきます。

業績見通し/仮設資材部門

仮設資材部門の見通しです。主力製品であるシステム足場は、引き続き一定水準以上の需要が継続するものと見込んでいます。

その他、インフラ関連製品や付加価値の高い製品・サービスの開発と普及促進、さらにグループによる仮設施工サービスの売上貢献により、通期売上収益は前期と同水準の130億3,600万円を見込んでいます。

業績見通し/物流機器部門

物流機器部門においては、液体搬送用バルクコンテナや大型物流倉庫向けラックなどが引き続き堅調に推移する見込みです。

さらに、凰金属工業のグループ化によるアルミ素材を活かした提案を加えることで、製品・サービスの付加価値を高め、より多くの案件獲得につなげるべく取り組んでいきます。

売上収益は47億6,300万円、前期比6.5パーセント増を見込んでいます。

中期経営計画

中期経営計画についてご説明します。2025年3月期から2029年3月期を計画期間とする中期経営計画は、「確実な成長と飛躍の足場固め」を掲げた期間と位置づけています。

本期間内には、橋梁をはじめとするインフラ向け製品の拡販、仮設施工サービスの付加価値向上、物流事業における領域拡大と強化に取り組むことで、計画最終年度には売上収益200億円以上、営業利益24億円以上を目指します。

配当方針の変更について

今年5月14日に配当方針の変更をリリースしています。基本方針として、これまでは連結配当性向40パーセント以上を目標として配当を行ってきましたが、2026年3月期より、年間配当金の下限を現行の32円とする累進配当を行うこととします。

株主のみなさまへの直接的な利益還元を維持しつつ、M&Aをはじめとする有望な案件への投資に資金を割り当て、内部留保とのバランスを見直したことなどが、今回の変更の背景と目的となっています。

自己株式の取得について

同日5月14日には、自己株式の取得予定についてもリリースしています。取得価格総額の上限は3億円、発行済株式総数の3.09パーセント前後に相当する量の取得を予定しています。

以上で、信和株式会社2025年3月期決算説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。