目次

田中英雄氏:養命酒製造株式会社代表取締役社長COOの田中です。お忙しい中ご視聴いただき、誠にありがとうございます。本日はスライドの内容をご説明します。

損益計算書

はじめに、2025年3月期決算概要をご説明します。損益計算書です。2025年3月期の業績は前期に対して減収減益となりました。

売上高は、くらすわ関連事業が伸長したものの、「養命酒」の売上が前年を下回り、前期比2.2パーセント減の100億1,700万円、営業利益は「くらすわの森」開業に伴う先行投資等もあり、前期比72.9パーセント減の1億2,800万円となりました。

経常利益は前期比34.0パーセント減の6億2,600万円、当期純利益は、投資有価証券売却益の計上等により、前期比28.7パーセント減の6億7,900万円です。

営業利益増減分析

営業利益の増減分析についてご説明します。2024年3月期の営業利益は4億7,300万円、2025年3月期の営業利益は1億2,800万円となりました。減少要因は、減収に伴う売上総利益の減少が2億5,700万円、売上原価率の上昇が1億3,900万円、「くらすわの森」開業に伴う先行投資が2億6,700万円です。増加要因は、その他経費節減による3億1,800万円です。

セグメント別の売上高

セグメント別の売上高です。養命酒関連事業は、物価上昇による消費行動への影響等の要因で「養命酒」の売上が減少したことにより、事業全体で前期比6.4パーセント減の85億4,100万円となりました。

くらすわ関連事業は、「くらすわの森」のグランドオープン及び都内での新規出店等により、事業全体では前期比31.7パーセント増の14億7,600万円となりました。

貸借対照表

貸借対照表です。資産合計は2024年3月末比8億9,800万円減少し、535億1,800万円となりました。これは主に、流動資産のその他に含まれる未収消費税等が3億7,200万円増加した一方で、投資有価証券が保有株式の売却等により14億8,500万円減少したことによるものです。

なお、有形固定資産が、主に体験型施設「くらすわの森」への設備投資により24億5,200万円増加し、その他支払いに伴い、現金及び預金が19億4,400万円減少しています。

負債合計は3億1,800万円減少し74億5,600万円となりました。これは主に、未払費用が1億1,300万円、未払法人税等が8,400万円、繰延税金負債が保有株式の時価評価等により9,300万円、それぞれ減少したことによるものです。

純資産合計は5億8,000万円減少し、460億6,200万円となりました。これは主にその他有価証券評価差額金の減少によるものです。

キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フロー計算書です。営業活動の結果、増加した資金は4億7,300万円となりました。前年同期に比べ減少した主な要因は、経常利益の減少と「くらすわの森」建設に伴う消費税等の支払額の増加によるものです。

投資活動の結果、減少した資金は11億9,400万円となりました。これは主に「くらすわの森」建設に伴う固定資産の取得のための支出によるものです。

財務活動の結果、減少した資金は6億2,300万円となりました。これは主に配当金の支払いによるものです。

以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末比で13億4,400万円減少し、30億5,000万円となりました。

養命酒関連事業(国内養命酒)

各事業の取り組みです。国内養命酒については、草刈正雄さん出演のテレビCM、新聞広告、Web広告等のプロモーションを改善に取り組みながら実施しました。

店頭では、卸店やドラッグストアと協働した店頭陳列の強化や、調剤薬局への配荷拡大等を中心に取り組んだものの、物価上昇による消費行動への影響等の要因により、売上高は前期比6.1パーセント減の70億400万円となりました。

養命酒関連事業(酒類・食品)

酒類・食品については、「クラフトジン」「養命酒製造クロモジのど飴」に注力し、販促費、流通費等のコスト削減、営業の効率化に向け取り組みを行いました。また、新商品として、2025年3月25日にリキュール「豊潤ざくろ酒」を発売しました。

売上高は、「五養粥」「クラフトジン」「養命酒製造クロモジのど飴」が増加したものの、「グミ×サプリ」「フルーツとハーブのお酒」「はちみつのお酒」が減少し、前期比0.9パーセント減の8億4,500万円となりました。

養命酒関連事業(海外)

海外については、「養命酒」は各市場に合わせた広告、販促活動を実施しました。酒類は「クラフトジン」を中心に商談を進め、オーストラリア等へ輸出を行いました。食品は香港へ「五養粥」の輸出を開始しました。

台北支店は新商品の健康飲料の販路拡大に取り組みましたが、販路の開拓や新商品の開発実績等が開設時の想定を下回ったこと等により、2025年3月31日で支店を閉鎖しました。台湾については、引き続き戦略的な商品政策によるブランド価値の向上と市場育成を進めていきます。

売上高は、主に「養命酒」の輸出が減少したことにより、前期比25.6パーセント減の3億2,100万円となりました。

くらすわ関連事業

くらすわ関連事業についてです。店舗は「くらすわの森」のグランドオープン及びベーカリーを中心とした店舗を都内に3店舗オープンしたほか、催事出店販売に取り組みました。

通販は、新商品の訴求を中心とした販促活動を行いました。通販専売の新商品として「飴色玉ねぎとごぼうの牛すじカレー」他2種、「香りとまろみの梅酒」を発売しました。

外販(他社チャネル販売)は、新規取引先の開拓のほか、郵便局での店頭販売等に取り組みました。

売上高は、「くらすわの森」のグランドオープン及び都内新規出店、通信販売の「五養粥」「幸健生彩DX」が寄与し、前期比31.7パーセント増の14億7,600万円となりました。

くらすわ関連事業の状況

「くらすわの森」は、2024年10月3日のグランドオープン後、12万人を超えるお客さまにご来場いただき、好評をいただいています。2027年3月末までに年間30万人の来場を目指していきます。

今後は、「くらすわ」ブランド発信拠点としての活用を進めていくほか、養命酒関連事業との連携も進めていきます。

また、ベーカリーを中心とした店舗を東京都内に3店舗オープンしました。2025年3月にオープンした神保町店はセントラルキッチンを兼ねており、ベーカリーの製造体制を強化しています。

中期経営計画(2022年4月~2027年3月)主要方針

中期経営計画の進捗をご報告します。当中期経営計画では、基本戦略を「次の100年に向けた成長投資と持続的成長基盤の確立」とし、「養命酒」及び酒類・食品の卸売販売を中心とする既存事業の深化と、新規事業の探索を同時に行う「両利きの経営」を推進し、収益性を確保しつつ成長投資を行うことで、新たな企業価値の創造に取り組んできました。

しかし、ここまでのところ、物価上昇による消費行動への影響等の要因による国内養命酒の販売不振、通信販売の競争激化、店舗展開にあたっての人材確保難等による、くらすわ関連事業拡大の遅れ、最終年度を見据えたM&Aの実現可能性等、中期経営計画策定時に想定した事業規模の前提条件が大きく変化しています。

中計最終年度(2027年3月期)定量目標(見直し)

このような状況を踏まえ、現在公表している最終年度の目標とする経営指標を見通すことが困難と判断し、「売上高200億円以上」を取り下げることとしました。なお、中期経営計画において取り組むべき方針及びその他の目標とする経営指標「営業利益率10パーセント」と「ROE4パーセント」に変更はありません。

中計戦略と課題

中期経営計画3年目の成果と課題・強化点です。中期経営計画の戦略課題である「効率を重視した既存事業の収益力強化」と「『くらすわ』ブランドを軸としたダイレクトチャネル事業の構築」については、経営指標の見直しを踏まえ、養命酒関連事業では「養命酒」の売上高安定と効率化による収益力確保を目指し、酒類・食品の重点カテゴリの充実と販売強化を促進していきます。

くらすわ関連事業では、既存事業の収益性を改善しつつ、店舗展開を推進していきます。また、当社のシンボリック拠点である「くらすわの森」の活用により、両事業の相乗効果を狙うほか、商品数と質にこだわった商品開発、両事業の効率化による収益性向上に取り組んでいきます。

中計戦略と課題

その他の戦略課題である「サステナビリティ経営の推進」と「事業領域の拡大に向けた多様な人材活用と人的資本・知的財産等の無形資産への投資」については継続的に取り組んでいきます。詳細については後ほど資料をご覧ください。

通期業績(予想)

2026年3月期の見通しです。まずは業績予想についてご説明します。売上高は前期比4.9パーセント増の105億1,000万円を見込んでいます。

利益面では、販促活動の見直しにより、営業利益は前期比313.1パーセント増の5億3,000万円、経常利益は前期比65.9パーセント増の10億4,000万円、当期純利益は前期比57.4パーセント増の10億7,000万円を見込んでいます。

営業利益増減分析

営業利益の増減分析についてご説明します。増加要因としては、増収による売上総利益の増加が2億8,000万円、販管費の節減が2億7,700万円、減少要因としては、売上原価率の上昇が1億5,300万円です。

セグメント別売上高(予想)

セグメント別売上高予想です。養命酒関連事業は87億9,000万円の前期比0.3パーセント増を見込んでいます。内訳として、国内養命酒は70億600万円で前期比横ばい、酒類・食品は10億8,800万円で前期比1.8パーセント増、海外は3億700万円で前期比4.3パーセント減、不動産賃貸・太陽光発電は3億8,700万円で前期比4.5パーセント増を見込んでいます。

くらすわ関連事業は17億2,000万円、前期比37.4パーセント増を見込んでいます。なお、組織の見直しに伴い、くらすわ関連事業に含めていた外販(他社チャネル販売)は、養命酒関連事業の酒類・食品へ組み込んでいます。それに伴い、前事業年度については変更後の区分に組み替えています。

2026年3月期は、中期経営計画の経営指標の見直しを踏まえ、養命酒関連事業では費用を抑えつつ広告効率を向上させ、新規顧客の創造を図ります。また、くらすわ関連事業は店舗の収益改善と売上拡大を進め、増収増益を目指す考え方です。

2026年3月期の重点施策

2026年3月期の重点施策についてです。国内養命酒は売上回復に向け、お客さまとのダイレクトコミュニケーションを重視し、広告活動、店頭でのお客さまとの接点強化、流通との協働による店舗販促に取り組んでいきます。また、「くらすわの森」とも連携を図り、新規顧客の拡大にも取り組んでいきます。

酒類・食品は採算性を重視し、成長商品の販売拡大に注力していきます。海外は酒類・食品の輸出強化に取り組んでいきます。

くらすわ関連事業では、商品管理、オペレーションの見直し等による既存店舗の収益改善を進めていきます。

体験型施設「くらすわの森」では、売上拡大に取り組みながらブランド発信拠点としても活用することで、他の販売チャネルへの波及を図り、成長性と収益性を重視した事業基盤の構築を目指していきます。

資本収益性と市場評価に関する現状分析・課題認識

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応についてご説明します。スライドは、当社の資本収益性と市場評価に関する現状分析及び課題認識です。過去10年間を見ると、PBRが1倍を下回る水準が続いています。これは、当社のROEが株主資本コストを下回っていることが主な要因であると認識しています。

ROEが低迷している理由としては、「養命酒」の売上低迷による収益性の低下と、自己資本の増加との不均衡にあると考えられます。そのため、収益力の強化と資本効率の向上が取り組むべき課題だと認識しています。

ROEの目標設定

続いてROEの目標設定です。スライドのグラフは、当社の営業利益及びROEの推移と目標を示しています。ROEについては、早期に株主資本コストを上回る水準への回復を目指すこととし、第1ステップとして、中期経営計画最終年度にはROE4パーセントの達成を目標とします。

第1ステップを収益力強化と資本効率向上の基盤作りの期間と位置づけ、第2ステップでさらなる改善を目指します。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(まとめ)

収益力の強化、資本効率の向上という課題に対応するため、先ほどご説明した取り組みのほか、サステナビリティ経営や多様な人材活用、株主・投資家との対話などの非財務戦略にも取り組むことで、企業価値の向上を目指していきます。

最後に、2025年3月24日に発表したとおり、湯沢株式会社が当社の主要株主となりました。また、2025年5月13日に発表したとおり、代表取締役会長CEO川村昌平は、健康上の理由により、任期満了時で退任することとなりました。

説明は以上となります。今後ともご支援のほどよろしくお願いします。