用語解説

マイナス金利とは、お金を預けたり貸し付けたりすると、通常は利息が付くところが逆に減価する現象または政策を指します。従来の金融常識では、お金を貸す側が借り手から利息を受け取るのが一般的でしたが、マイナス金利ではこの関係が逆転します。

マイナス金利の種類と発生メカニズム

マイナス金利には主に以下の種類があります

1. 市場金利のマイナス化:投資家心理や市場の需給関係から、債券などの金融商品の価格が上昇し、利回りがマイナスになる現象。安全資産を求める投資家が、多少の損失を覚悟しても国債などを購入するため発生します。日本では2003年1月、銀行間の短期資金融通(コール市場)でマイナス金利取引が初めて成立しました。

2. 実質金利のマイナス化:インフレ率が名目金利を上回ると、物価上昇分を差し引いた実質金利がマイナスになる現象。

3. 政策としてのマイナス金利:中央銀行が金融緩和策として意図的に導入するもので、金融機関が中央銀行に預ける当座預金の一部に対してマイナスの金利を適用します。

マイナス金利政策の目的と効果

マイナス金利政策の主な目的は以下の通りです

- 資金循環の促進:金融機関が中央銀行に資金を滞留させず、企業や個人への融資や投資に振り向けるよう促します。
- 為替の調整:自国通貨の価値を抑制し、輸出競争力を高める効果が期待されます。
- デフレ脱却:資金供給量を増やし、物価上昇を促進します。

世界のマイナス金利政策の動向

マイナス金利政策は2010年代に世界的に広がりました

- 2012年:デンマークが先進国として初めて導入
- 2014年:欧州中央銀行(ECB)が主要中央銀行として導入
- 2015年:スウェーデン、スイスが導入
- 2016年:日本銀行が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入し、当座預金の一部に-0.1%の金利を適用

2022年以降、世界的なインフレ対策として多くの国がマイナス金利政策を解除しましたが、これらの政策は金融史上重要な実験として位置づけられています。日本でも2024年3月、日銀は物価目標達成への見通しが高まったとして、8年続いたマイナス金利政策の解除を決定しました。

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