会社概要
澤登拓氏(以下、澤登):みなさま、こんにちは。株式会社フレアス代表取締役社⻑CEOの澤登です。これより、個人投資家向けIRセミナー会社説明を始めます。
まずは、会社および事業概要についてご説明します。当社のフレアスという社名は、「ふれあい」と「明日」を組み合わせた造語で、「ふれあいで明日をひらく」という意味が込められています。2000年に創業し、今年で25周年を迎えたところです。
事業内容は、在宅療養中の高齢者・障がい者の方に向けた医療サービスおよび介護サービスです。
会社理念・経営ビジョン
澤登:会社理念と経営ビジョンです。当社の経営ビジョンは、「全国津々浦々に一人でも多くの方に速やかにフレアスのサービスを提供し、日本の在宅事情を明るくする。」です。このビジョンに向かって事業活動を続けています。
事業領域の考え方(療養から看取りまで)
澤登:事業領域の考え方です。当社の事業の対象者は、介護現場の医療サービスにおいてより重度な方、かつ在宅の方となります。
訪問マッサージサービス
澤登:祖業である訪問マッサージについてご説明します。国家資格を持ったマッサージ師が、寝たきり、もしくは在宅療養中の方の自宅や高齢者施設を訪問し、マッサージサービスを行います。
このサービスには医療保険が使えます。ただし、どなたでも保険が使えるわけではありません。自分で病院に行くのが困難でかつ症状が該当する方は、健康保険を使って、国家資格を持ったプロのマッサージや機能訓練を受けることができます。
施設系介護サービス
澤登:もう1つが、施設系介護サービスです。当社は高齢者施設を運営しており、高齢者施設の中でもより重度な方が対象となります。つまり、終末期に近い方、もしくは医療依存度の高い方です。
4つの事業セグメント
澤登:4つの事業セグメントについてご説明します。1つ目は、祖業であるマッサージ直営事業です。2つ目は、フランチャイズマッサージ事業です。3つ目は、施設系介護サービス事業です。4つ目は、その他の事業として訪問看護・介護を行っています。
フレアスグループを取り巻く環境
澤登:当社の事業を取り巻く環境についてご説明します。スライドのグラフは、人口動態のグラフです。現在は人口減少の局面に入っていますが、高齢者は増え続けます。当社の主な対象は75歳以上で、こちらはまだ伸びて2055年がピークになります。30年後がピークのため、対象者は今後、増える一方です。
また、国の施策として、2012年に在宅シフトが始まりました。今は約80パーセントの方が病院で亡くなりますが、国はそれを変えようという意思表示をしており、2012年から毎年、病院のベッド数を減らしています。
しかし、スライドのグラフのように高齢者は増え続けます。そのギャップにより、年間30万人から40万人が医療難民、看取り難民になるといわれています。当社では、そのような方を迎える施設を作ろうと事業を行っています。
訪問系サービスを取り巻く環境
澤登:訪問系サービスを取り巻く環境です。60歳以上の過半数が、人生の最期は自宅で迎えたいとしています。国の在宅シフトもあり、当社のニーズは増える一方だと強く実感しています。
寝たきりの方は外に出ることができないため、自宅で介護を行っていない限り遭遇することは少ないと思いますが、本当にたくさんいます。また、私としても療養中の方が増えているという実感もあります。
中⻑期計画(〜2027年3月期)
澤登:2027年3月期までの3年間の中期経営計画を立てました。今年がその初年度です。内容についてスライドに沿ってご説明します。
数値目標については、売上高は今期が80億6,200万円、来期は100億円突破、最終年度は166億円突破を計画しています。売上高のCAGRは42.9パーセントとなっています。また、営業利益については、最終年度に20億円を超える計画です。営業利益のCAGRは163パーセントと、非常に大きな成長を目指しています。
当社が25年間事業を行ってきた中で、これほどまでに成長する3年間はなく、非常に大きな期待と意気込みを持って進んでいる最中です。今期は半期が過ぎましたが、今のところ順調に進んでいます。どのようにして達成するかについては後ほどご説明します。
足立:2027年3月期の売上と利益について、特に営業利益は、2026年3月期比で約4倍という数値目標を設定されています。ここまで大きく利益が伸びるという具体的な根拠があれば聞かせてください。
澤登:当社では現在、高齢者施設をどんどん作っています。これは成長エンジンといえます。祖業のマッサージは数パーセント程度の成長ですが、この高齢者施設がどんどん増えることが売上利益に貢献します。
私たちが作っているのは、普通の高齢者施設ではなく、医療依存度の高い方向けの施設です。したがって、医療行為の比率が高くなるため、病院に近いようなイメージです。看護師も数多く在籍しています。ただし、看取りもするため難易度は高いです。その分、医療に関する料金が国から入るため、利益に貢献するという構造になっています。
中⻑期計画 フレアスグループ売上構成推移
澤登:スライドは、3年間の中期経営計画を達成するとどうなるかという、売上構成の比較のグラフです。
スライド左側の円グラフは、2024年3月期実績です。売上高は57億円でした。売上構成としては、61.7パーセントが祖業のマッサージ直営事業で、フランチャイズマッサージ事業が15.6パーセントです。この2つのマッサージ事業を合わせて76パーセント程度となっています。
右側の円グラフは2027年3月期計画です。現在、高齢者施設をどんどん作っているところで、3年後には施設系介護サービス事業が62.9パーセントとなり、マッサージ事業と逆転します。
このように、今までは当社をマッサージの会社だと思っている方が多かったと思うのですが、これからは施設系も含めて総合的に在宅領域を支援する会社になるというのが、この3年間での変化です。
まだ小さな会社ですが、ここから大きく変わるという良いタイミングで、投資家のみなさまに知ってもらえたのではないかと思っています。ご支援いただいたみなさまには、一緒に成長を享受してもらいたいと考えています。
足立武志氏(以下、足立):現状はマッサージ直営がメインの事業ですが、今後は施設系介護サービスを事業の中心に据えるというお考えだと思います。このような考えに至った理由を教えてください。
澤登:私自身が鍼灸マッサージ師です。もともと中国にいて、日本に帰ってきて鍼灸マッサージを始めました。当時出会った寝たきりの利用者から、本当に喜んでもらいました。「体が痛くて眠れなかったのが、あなたのマッサージで本当に楽になった」などの声をいただきました。
ある方は、寝返りを打つことができず、3時間ごとに動かさなければ床ずれができてしまうため、奥さまが夜中じゅう介助をしていました。そのような方が私のマッサージやリハビリを受けたことで、寝返りが打てるようになったのです。涙を流して喜んでもらいました。
本当に良い仕事だなと思う一方で、最後の最後になると、利用者は我々の手元から離れてしまいます。現在、約80パーセントの方が病院で亡くなります。自宅にいたかったのに、住み慣れた地域にいたかったのに、マッサージも受けたかったのに、最期は病院でというケースが多いのです。
我々は長らく、最期まで看たいと思っていました。これほどまでに喜ばれるのだから、最期までそばにいたいと思っていました。当時はまだ力足らずでできなかったのですが、上場も果たし、ある程度の規模にも成長しました。そこで、我々が最期まで寄り添うことができる仕事をしようと、満を持してこの施設を作ったということです。
中⻑期計画 施設系介護サービス事業戦略と主要施策
澤登:施設系介護サービス事業戦略と主要施策についてご説明します。2024年3月期は、施設系介護サービス事業の売上高は8億7,800万円でした。今期の売上高は約25億円、来期は約50億円、そして再来期は約100億円の売上高になるという計画です。
前期と今期、来期も、まだ投資のフェーズです。施設を作ってすぐに黒字とはいかないため、前期の営業利益は赤字で、今期も2億7,000万円の赤字となっています。来期の営業利益は、1億9,500万円の黒字となる計画です。
最終年度の2027年3月期は、まだそれほど貢献していませんが、前年とその前年に出したものが利益に貢献し、トータルで17億6,200万円の利益になる計画です。マッサージの利益も合わせると、3ヶ年の最終年度に20億円の利益になるという構成です。
ホスピス事業の売上構成
澤登:ホスピス事業の売上構成についてご説明します。当社では2種類の施設を運営しています。1つは、看護小規模多機能型居宅介護施設という、病院と自宅をつなぐ複合施設です。もう1つは、終末期のケアを行うホスピスという施設です。
当社のホスピス施設は、3年後に1,006ベッドになる計画で進んでいます。売上構造は単純で、スライドに記載の3つの項目の掛け合わせです。1つ目は1,006名という定員数、2つ目は1人あたりの利用者の月単価、3つ目は平均稼働率です。
定員数については、施設を作れば間違いなく定員ができるため、特に問題ないと思っています。実際に今期もすでに決まっており、来期分の契約も済んでいます。こちらは順調に進むのではないかと思っています。単価のほうも、初年度はアップダウンはあるものの、2年目以降はかなり安定します。稼働率も同様で、想定どおりいくのではないかと考えています。
単価内訳で多くを占めるのが、医療保険の売上です。通常の高齢者施設では、居室の賃料および食費、介護保険が主な売上ですが、当社は医療依存度の高い方を対象にしているため、医療保険の売上が入ってきます。こちらの割合が大きく、スライド下のグラフのような構成になります。
中⻑期計画 KPI:施設系介護サービス事業
澤登:スライドは、施設系介護サービス事業の拠点数と売上高の推移です。棒グラフ上部の薄い緑はホスピスの拠点数、下部の緑は看多機(看護⼩規模多機能型居宅介護サービス)という病院と自宅をつなぐ高齢者施設の数です。
看多機は今期12拠点作り、こちらはこのまま増やさずにいきますが、ホスピスが伸びてきます。今期は10拠点、来期は8拠点増やして計18拠点、2027年3月期には26拠点まで増やします。看多機とホスピス合計で38拠点となり、売上高は100億円を超えると見込んでいます。
足立:看多機は横ばいで、ホスピスがどんどん伸びるという計画ですが、看多機よりもホスピスのほうに注力するのには何か理由がありますか?
澤登:どちらも社会的に必要な施設だと思っていますが、看多機の開設には行政の許可が必要で、公募制になります。したがって、計画的に開設しづらいという点があります。
また、看多機は良いサービスなのですが、オペレーションが難しいのです。登録定員は29人という小規模ながら、4つのサービスが入っています。1つ目はデイサービス、2つ目はショートステイというお泊り、3つ目は訪問介護、4つ目は訪問看護です。利用者にとっては良いサービスですが、オペレーションは難しいのです。
実際に私の父も当社の施設に入っていましたが、非常に良かったです。父はどんどん元気になり、卒業しました。ただし、オペレーションが難しいところがあるため、いったんここで中身の充実を図ろうと、12拠点となっています。
一方のホスピスは、医療依存度が高いため難しくはあるのですが、申請制のため出しやすいという点もあり、ニーズが非常に高くなっています。そのため当社としては、ホスピスに注力しようという計画です。
2025年3月期第2四半期決算の概要
澤登:2025年3⽉期第2四半期の業績ハイライトです。3年間の中期経営計画の6分の1が過ぎました。売上高はかなり増え、前年同期比30.6パーセント増の35億6,900万円となりました。通期予想で44.3パーセント伸びる予定のところ、半年で30.6パーセントとまずまずの伸びではないかと思っています。
営業利益はまだ投資のため赤字ベースで、4,100万円の赤字となっています。
四半期別業績推移
澤登:スライドは、四半期別業績推移を示しています。左側は売上高のグラフで、今期になって大きく伸びました。この売上増には、施設系介護サービス事業が大きく寄与しています。3ヶ年計画が6分の1経ったところで、良い感じで伸びているのではないかと思っています。
一方、営業利益は投資フェーズのため、今期第1四半期は大きなマイナスですが想定どおりです。第2四半期は黒字になったもののまだ投資ベースで、営業利益が増えるのは来期、再来期を計画しています。
足立:ホスピス事業を手掛ける同業他社が上場会社でもいくつかあります。そのような同業他社に比べると利益率が低いように感じます。その要因や、今後、同業他社並みかそれ以上の利益率を達成できる見込みがあるかをお聞かせください。
澤登:こちらのスライドは利益にも大きく関係するものです。定員数は特に問題ありません。稼働率については、競合にあたる先輩4社に比べてもそれほど見劣りするものでもなく、特に問題ないと思っています。
では何が原因かというと、単価だと思っています。我々は終末期の方を看取る場合、スライドに示している単価は適切だと思っていますが、他社は我々よりも高くなっているようです。これが大きく利益率に関係しているのではないかと思います。
他社のことはわかりませんが、我々自身は適正だと思っていますし、当初からこのような水準でいこうという方針は変わっていません。それでも十分適正な運営はできます。また、我々はあくまでも医療保険という公費を使っています。我々にとっての適正な範囲内の妥当な金額で、しっかりとバランスの取れた経営をしていきたいと思っています。
各セグメントの事業環境(業績予想比)
澤登:各セグメントの状況についてご説明します。
マッサージ直営・マッサージフランチャイズ事業の事業環境
澤登:マッサージ直営事業は特に問題なく、売上高は達成率100パーセントで推移しています。営業利益が若干足りていない部分は、先行投資としての営業人員の増強や治療に使う医療器具の購入によるものです。しかし、これらは後半に寄与するもので、通期では特に問題なく達成できると考えています。
一方、マッサージフランチャイズ事業は前半がもたついています。現在、すでに300拠点ものフランチャイズを出しており、場所のマッチングが難しくなってきました。ただし、加盟するメリットを増やし、最初から非常に優位な条件にモデルを変更したところ、今年10月から数字が戻ってきました。
後半はかなり追いついてくるのではないかと思っており、大きな心配はしていません。
施設系介護サービス事業の事業環境
澤登:施設系介護サービス事業について詳しくご説明します。前年度よりもかなり大きく伸びたものの、売上高の達成率としては業績予想よりも10パーセント足りませんでした。
これには理由が2つあります。1つは看多機事業です。こちらはオペレーションが難しいことから、徐々に伸びているものの想定よりも伸びが良くありませんでした。
もう1つはホスピス事業です。こちらも特に問題はないものの、施設によって立ち上がりにばたつきがありました。このような理由から、前半では10パーセント及ばない結果となりました。次のスライドで詳しくご説明します。
KPI:稼働率(%)(月間延べ利用者数/入居可能数)
澤登:スライドは施設系介護サービスにおけるホスピスの稼働率の推移です。稼働率が重要だとお話ししましたが、中期経営計画では稼働率を82パーセントと発表しています。
グラフでは82パーセントを超えている月もあれば、超えていない月もあります。新しい施設を開設すると稼働率は大きく減ってしまい、前半ではこの部分をうまくコントロールすることができませんでした。
KPI:稼働率(%)(月間延べ利用者数/入居可能数)
澤登:こちらのスライドはさらに分解したもので、開設から1年を超えたホスピスの稼働率を示しています。1年を超えた施設では、稼働率は82パーセントを優に超えています。このように、開設から1年後は問題ないと考えています。
KPI:稼働率(%)(月間延べ利用者数/入居可能数)
澤登:問題は新規施設です。5月に都内の板橋区に「フレアスメディカルケアホーム板橋西台」を開設したところ、稼働率は15.8パーセントという惨憺たる結果でした。これには理由があります。
当社には独自の営業チームがあり、外部の紹介会社は使わない方針です。そのため、我々独自のネットワークで取り組むことを考えています。我々は25年間、介護の現場に携わっていますし、マッサージで培った営業ネットワークがあります。なおかつ、我々にはホスピスにマッサージがついている、他社にはない強みがあると考えています。評判も非常に良いことから、通常はあっという間に埋まります。
しかし、「フレアスメディカルケアホーム板橋西台」については想定外でした。なぜかというと、都内では紹介会社を通じた紹介がスタンダードになっているからです。やはり紹介する病院側としてもトラブルを避けたい考えから、いったん紹介会社を挟んだほうがトラブルが少ないために、それが主流になっていたようです。
我々はそのような事情をまったく知らず、いつものように営業活動や認知活動を進めたところ、なかなか反応が鈍かったのです。その構造に気づいてから、都内だけは紹介会社を使うようにしたところ、元に戻ってきました。
6月に開設した「フレアスメディカルケアホーム四季の森公園」は横浜にありますが、こちらは想定どおりで特に問題はありませんでした。したがって、先ほどのような事情は東京都だけで、横浜等については問題ありません。
7月に「フレアスメディカルケアホーム草加」を開設したところ、こちらも特に問題はありませんでした。そして直近では9月に「フレアスメディカルケアホーム厚木」も開設し、新規にもかかわらず稼働率が88パーセントでした。
新規についてもそれほど大きな問題ではありませんが、全体としてまだ分母が少ない状況です。1つ、2つと伸び悩む施設があると数字が到達できない点が反省点です。
KPI:稼働率(%)(稼働利用者数/定員数)
澤登:一方、看多機の施設系介護サービス事業の結果は、正直なところ三角です。看多機とはご説明したように、小規模で4つのサービスを組み合わせた施設です。
中期経営計画では75パーセントの稼働率を基準としていますが、スライドのように75パーセントには到達していません。既存店は75パーセントを超えそうですが、新規で開設すると大きく減り、戻りも遅いのです。じわじわ戻りますが、やはりオペレーションが難しいせいかペースが緩やかなのです。
そのため我々の想定どおりには進まなかったことが大きく影響し、前半は数字が到達しませんでした。ただし、9月に「フレアス看護小規模多機能厚木」を開設し、これ以降は12拠点体制でしばらく新規開設は行いません。中身を充実させるほか、毎月徐々に伸びているため、こちらも時間の問題で良い状態になってくると想定しています。
その他(訪問看護)事業・全社の事業環境
澤登:もう1つのセグメントである訪問看護事業については、特に問題はありませんでした。小規模なセグメントですが、今後、訪問看護と介護、施設系に合流する予定です。特に増やす予定もなく、施設ができればその中の訪問看護とセットにして運営する計画です。
バランスシートの状況
澤登:バランスシートの状況です。現在、自己資本比率が21.9パーセントまで下がってきました。我々の事業構造上、老人介護施設を建てた場合に、それを直接所有するわけではありません。土地のオーナーに建てていただき、それを我々が長期借り入れる建貸借方式です。そのため、イニシャルの資金は必要ありません。
しかし、管理会計、リース会計があり、長期で借りる場合には所有していないにもかかわらず、それが資産に含まれる計算となります。したがって、バランスシート上では自己資本比率は下がっていきます。
あまりにも下がってしまうと、やはり対銀行の面でも良くないため、自己資本比率を改善できるような計画をいくつか考えているところです。
2025年3月期第2四半期 拠点数
澤登:2025年3月期第2四半期の拠点数です。在宅マッサージの直営店は前半で5拠点減らしました。これは何か問題があったわけではなく、フランチャイズと重なっている部分や効率が悪いところを減らしています。そのため特に問題ない数字だと思っています。
一方、フランチャイズ加盟店については、今年3月末の328拠点から、半年後の今年9月は328拠点でした。増えていなければいけないため、こちらは問題です。
ここでは減った拠点数と増えた拠点数がイコールでした。拠点増が少なかったことからモデルを変えたところ、今年10月からは増えるペースが戻ってきたため、後半は少し取り戻せるのではないかと思っています。
訪問看護の7拠点、訪問介護の2拠点は変わりありません。看多機が8拠点から12拠点となり、順調に推移しています。ホスピスも3拠点から7拠点となり、順調な推移です。今期末には10拠点の計画で、拠点数に関しては問題なく進捗しています。
足立:在宅マッサージの直営店とフランチャイズ加盟店の比率は、今後も同じぐらいの推移を見込んでいますか?
澤登:直営店は今後そこまで増やす予定はありません。だいたい全国にあるため、直営店をハブや支援部隊としてフランチャイズを増やす予定です。1拠点、2拠点は増やすかもしれませんが、基本的にはフランチャイズを増やす計画です。
2025年3月期 通期 セグメント別決算予想
澤登:2025年3月期通期のセグメント別決算予想についてご説明します。マッサージ直営事業は特に問題なく、順調に進捗しています。
マッサージフランチャイズ事業では、前半に新規加盟店開発がもたついたものの、今年10月、11月はだいぶ回復してきました。後半は良い調子だと思いますが、前半のマイナスがあるため、どの程度まで追いつけるかがポイントだと思います。
施設系介護サービス事業では、新規開設で少しばたついたというのが正直なところです。しかし、1年経てば安定してくるため、こちらも後半でかなり回復するのではないかと思っています。
看多機施設においては、先ほど「三角」と言いました。しかし今年9月で新規開設は終わり、後半も伸びているため、どこまで取り戻せるかはスピード次第だと思います。伸びてはいる状況のため、しっかりと追いつきたいと思っています。
その他事業については特に問題はありません。通期の業績予想としては、売上高は80億円超、利益は2億円という見込みを変えることなく、達成に向けて進んでいきます。
2025年3月期 通期 決算予想
澤登:通期決算予想です。売上高は前年比41.2パーセント増で、通期で80億円を超える売上と2億円の利益の達成に向けて進んでいます。
株主還元について
澤登:配当については、昨年と同様、1株あたり10円57銭を予想しています。
足立:配当は何年か10円57銭が続いていると思います。今後の配当性向の設定や増配の見通しについて、考えがあれば教えてください。
澤登:やはり応援いただいた以上は、株主のみなさまにも株価の上昇とともに配当で報いることは当然だと思っています。どこかのタイミングでは増配を考えていますが、我々はまだ投資フェーズにあります。折しも25周年記念の年でもあり、利益が見えてきた段階でしっかり考えていきたいと思っています。
足立:今は投資で、種まきのフェーズにあり、それらが実ってきた際に還元するのですね?
澤登:おっしゃるとおりです。
ホスピス開設予定(計画7施設+計画外1施設)
澤登:トピックスについてご説明します。こちらのスライドはホスピスの開設予定です。今期の計画では7施設でしたが、1施設プラスになりました。これはM&Aによるもので、新潟の施設が加わって8施設となって着地しています。
当社の強み ホスピス
澤登:当社の強みについてです。ホスピスは終末期の場所で、単に死を待つ場所にしたくないというのが我々の創業時からの思いです。我々の価値としては、時間の価値の最大化がテーマです。したがって、我々は終末期の施設でも夏祭りなどのオリエンテーションを実施します。
また、得意分野のマッサージでは、1人の方に1人のトレーナーがついている状況です。最期まで痛みを取り、その人らしく、できるだけ自分で動いてもらうことを追求しようと実施しています。非常に喜んでいただいていると自負しています。
これらを強みとして、単に数を増やすだけではなく、中身の充実にもしっかり取り組んでいこうと考えています。
当社の強み ホスピス
澤登:我々、鍼灸マッサージ師は痛みのスペシャリストだと自負しています。東京大学医学部附属病院の先生と研究を行った結果、マッサージで痛みが20パーセント軽減するというエビデンスが出てきました。
がんの末期になると、薬によるコントロールとしてモルヒネを打つのですが、あまりにも打ってしまうと意識が朦朧としてしまいます。それによって、その方の時間が寝ている時間になってしまうのは勿体ないことです。マッサージで痛みが減るのであれば薬を減らせるため、その方の時間が増えることになります。
このような取り組みも組み合わせて、心地良さだけではなく、その方の時間を最大限発揮できるような施設作りに挑戦している最中です。
コンプライアンスの徹底
足立:私は個人投資家としてさまざまな会社を見ています。最近、ホスピス事業を行っている会社では、不正の疑惑や、来期の業績見通しが大幅に減収減益となるような会社があり、素人の目で見ると逆風が吹いているようにも感じます。この点についてどのようにお考えでしょうか?
また、多少逆風が吹いても、中長期計画どおりのホスピスの新規開設によって、2027年3月期には大幅な増収増益を達成できるとお考えでしょうか?
澤登:今、そのようなニュースによって騒がれているため、これはぜひアピールしなければと思い、こちらのスライドを用意してきました。いろいろとメディアを騒がせていることについては、当然我々も着目しています。
我々の解釈をご説明すると、今は訪問看護の部分が適正なのかと言われているように感じています。医療保険の訪問看護における訪問回数は、原則は1日1回、1週間に3日までです。ただし、特定の症状や状態にある利用者に対しては1日1回以上、週4回以上の訪問が認められています。
例えば、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気の場合、全身の機能が麻痺して動けません。その方に対しては、痰の吸引(吸痰)が必要で、1日1回の訪問ではまったく足りません。1日3回どころか、6回、10回と訪問しないと、命に関わる状態になることがあります。
したがって、1日1回以上の訪問が認められているのは、本当にありがたいと考えています。そうでないと、そもそもその人の命が持たないことも実際あります。ただし、その人に応じて訪問すればよいところ、会社の指示で「一律何回行きなさい」とされていることが問題視されているのです。私もそのとおりだと思っています。
コンプライアンスの徹底
澤登:もう1つは、適正な訪問人員数の徹底です。1人で行くのが原則なのですが、看護師1人では、体が大きい利用者の処置ができないことがあります。また、暴力行為をする方もいるため、危険があります。そのような方に関しては複数名での訪問看護が認められています。
こちらも、その人によってになりますが、会社の指示で「一律2人で行きなさい」というのはおかしいという指摘だと考えています。それはそうだと我々も思っています。
我々がどうなのかを調べたところ、適正になされていると判断できました。人員も適正ですし、会社から一律の指示を出したことは一切ありません。また、社員も同じ認識だと思っています。我々においては適正な人員での訪問と回数を徹底していることを確認できています。
また、中期計画が達成できるのかについてです。施設数に関しては今期、来期はすでに契約が終わっているため問題ないと考えています。
稼働率についても、今のところ問題ないと考えています。3年目は8施設開設する予定ですが、そのうち3施設はすでに契約が終わっており、残り5施設をどうするかという段階です。今期は8施設、来期も8施設の契約がすでに終わっています。したがって再来期も問題ないと考えています。
一番のリスクは、制度改定です。医療は2年に1度改定があります。今年改定があり、次の改定はちょうど中期経営計画の最終年度に行われます。
これだけメディアをいろいろ騒がせていると、改定が気になるところです。国が2012年に在宅シフトを行いました。日本の高齢者の8割は病院で死ぬといわれていますが、これからはその割合が減っていきます。したがって、病院のベッド数は減っています。
では、死に場所はどこになるか、亡くなる場がどうなるかというと、在宅か高齢者施設になります。その流れの中で、訪問看護の報道があったからといって急激に変えようとはならないと私は考えています。
今、終末期に病院で過ごすと1ヶ月に150万円くらいかかります。我々の場合はその半分以下の80万円です。これは財源にとっても良いため、これを急激に変えて再び病院へといった話にはならないと思っています。
そうではなく、厚労省としては制度が悪いのではなく、それに則って適正に進めなさいということではないかと思います。法律を守りなさいということです。したがって、我々は従来どおり適正に取り組んでいこうと考えています。我々の考える単価は適正だと思っています。
さらに、この部分に注力しようと考え、今年9月にリスク管理委員会を社内に立ち上げました。リスク管理委員長は私です。
私自身、今まで25年間、医療に取り組んできたため、今さらなところはありますが、コンプライアンスを徹底していきます。加えて、社内のパワハラやカスハラなどの利用者とのコンプラのリスクという3つの分野で、私自ら徹底してリスクを排除しようと取り組んでいます。かなり注力して内部調査、内部監査を行っているため、自信を持ってしっかりと進んでいこうと考えています。
コンプライアンスの徹底
澤登:介護保険には、どのようなケアを行うかという計画を作るケアマネージャーがいます。当社はたまたま、ホスピス事業において外部のケアマネ比率が100パーセントでした。外部のケアマネが、被介護者がどのようなプランを受けるのかを計画するため、我々の意図が入らないのです。
こちらがコントロールしようと思ってもできないため、外部の目が入ることは仕組みとしてコンプライアンス面で非常に良いのではないかと思っています。我々の内部でケアマネを作るつもりはないため、これからも外部で適正な目の入った中でバランスよく適正に事業を進めることができるのではないかと思っています。
当社SDGs
澤登:当社のSDGsの取り組みとしてぜひ注目いただきたいのが、盲学校へのリクルーティングです。当社は鍼灸マッサージが祖業です。盲学校では伝統的に、鍼灸師の資格が取得できます。世界で初めての視覚障がい者の職業訓練は、400年前に日本でスタートしました。
当社の障がい者雇用比率は14.7パーセントで、上場企業の中でもおそらくかなり高い比率ではないかと思っています。障がい者雇用のためではなく、一緒に働ける仲間としてこの取り組みも進めていこうと思っています。
X 澤登拓@フレアス代表 QRコード
澤登:私の「X」で情報をどんどん発信していきます。ぜひスライドのQRコードから登録いただき、情報に注目いただけるとありがたいです。
質疑応答:施設開設の資金調達について
足立:施設をどんどん開設していくと、当然費用がかかります。リースにすると、資産と負債の両建てになって膨らんでいってしまうと思います。
今後の資金調達については、借入にする予定でしょうか? あるいは自己資金の場合、増資すると希薄化などの影響もあると思います。このあたりについて、現状はどのように考えていますか?
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