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中西雅洋氏(以下、中西):キューブシステム代表取締役社長執行役員の中西です。本日はお忙しい中、決算説明会にご出席いただき誠にありがとうございます。

本日は2025年3月期第2四半期の決算概況、2025年3月期業績予想、第2次中期経営計画の順にご説明します。どうぞよろしくお願いします。

1-1 連結損益計算書概要

2025年3月期第2四半期の決算概況です。売上高は前年同期比0.1パーセント増の90億2,200万円、営業利益は前年同期比32.8パーセント減の5億3,300万円、中間純利益は前年同期比32.1パーセント増の6億6,200万円となりました。

事業環境については、企業の情報化投資は引き続き堅調で、IT投資の需要は旺盛です。ただし、人材、技術者の獲得については厳しい状況です。高いスキルの技術者を確保することと、技術者をそろえ、体制を整えることが重要ですが、人材不足・高コスト化など厳しい状況下にあります。

この半期の売上は金融分野の需要も旺盛で、案件も継続し、前年と同水準となりました。営業利益は前年と比較し減益です。要因としては、製造原価にあたる人件費や外注費の増加、生産設備への投資が大きく影響しています。

中間純利益に関しては、確定拠出年金制度の導入によって退職給付制度の改定があり、その影響で増加しています。

1-2 営業利益の増減要因(前年同期比較)

営業利益の前年同期からの増減要因についてご説明します。増加要因として技術者の単価などを交渉し収益性向上対策も行っていますが、減少の要因として、製造原価である人件費、外注費の増加、採用コストの増加、オフショア体制維持のための支出などがありました。

加えて、拠点拡大などの生産設備への投資も行っています。結果として、前年同期比で2億6,000万円の減益となっています。

1- 3 ビジネスモデル別 売上高推移

ビジネスモデルごとの売上高についてです。デジタルビジネスは規模が急激に拡大するビジネスではありませんが、成果を上げることができました。この分野では、顧客の戦略に並走できるよう努力し、さまざまな機会を見つけ取り組んでいきたいと考えています。

上期では、エネルギー分野のIoT基盤構築に対応する機会がありました。このテーマは今後もさまざまなかたちで発展・展開されるものと期待しており、対応を進めていきたい考えです。

SIビジネスはマーケットの需要が旺盛です。いろいろな分野でクラウド構築案件の受注機会がありました。ただし、大型案件の終了もあったため、事業規模の水準としては残念ながら減少となりました。

エンハンスビジネスはこれまでの取引の実績も踏まえ、顧客からの要請を堅調に積み上げ、受注が進み微増となっています。

1-4 業種別 売上高推移

エンドユーザーを主要業種ごとに分類した業種別の売上高の推移です。これまでの傾向に沿って、2024年度も金融分野での拡大が果たせました。特に証券市場基盤に関するテーマや、地銀・ネットバンク向けの業務基盤に関するテーマでの案件獲得が進んでいます。

また、他の領域では、その他の業種に分類している官公庁向け、エネルギー関連会社向けの領域が規模を拡大しています。

残念ながら、流通と運輸・通信分野については、それぞれの分野の中核となる顧客のテーマが進まず、結果として前年同期を下回る水準となりました。

1-5 事業スタイル別 売上高推移

事業スタイル別に分類した売上高の推移です。Sier向け事業は、中核となるSierからの引き合いが旺盛で、堅調に推移しています。その反面、エンドユーザー側の個社ごとの取り組みにより大型案件が中止・縮小している影響も受けて減少となりました。

プライム向け事業については、それぞれ着実に対応を進めていますが、案件の進捗などの影響で微減です。

サービス提供事業については、いまだ小さい規模ではありますが、ソリューションベンダーとの協業もうまく進めることができ、受注案件が増加し事業が拡大しました。

1-6 1人当たり指標

当社が重要な経営指標とする、従業員1人当たりのパフォーマンスに関する数値です。まずは、スライド左側のグラフをご覧ください。

2024年9月末時点の従業員数は、グループ全体で944名となりました。国内従業員は796名、海外子会社従業員は148名という構成です。

採用については、新卒・キャリアの採用を強化し、例年以上の成果を上げることができました。加えて、従業員の処遇改善や社内でのエンゲージメント向上施策などの効果があり、離職率も低下しています。結果として、従業員数は堅調に増加しています。

従業員が増加した一方で、売上高は前年同期と同水準です。かつ、営業利益が減少したため、1人当たりの売上高、および1人当たりの営業利益が低下しました。

今後も採用の強化、量的拡大を進めることを前提とし、一層の生産性向上を図り、1人当たりの指標の改善に取り組んでいきます。

2-1 業績予想の概要

2025年3月期の業績予想についてご説明します。連結業績の概要をスライドの表にまとめています。

2025年3月期の通期予想は、売上高は前期比4.3パーセント増の188億円、営業利益は前期比4.2パーセント増の16億円、当期純利益は前期比18.1パーセント増の12億6,000万円となっています。

今期の目標達成に向けては、売上の拡大を牽引するSier向け事業がポイントです。中でも、拡大している金融関連、および官公庁、エネルギー会社向けの領域では、引き続き旺盛な需要が見込まれます。これらの案件を積極的に獲得し、事業を伸ばしていく考えです。

営業利益の改善については、高収益が見込める案件の獲得を積極的に行うこと、また、製造原価の高騰に対応するため、価格転嫁などの収益性向上についても対策を実施していきます。

あわせて、予期せぬ赤字案件の発生を防ぐために、品質対策の強化にも取り組みます。

下期の売上、営業利益の高い目標を達成するために、大手Sierとの協業関係を活かし、受注機会の拡大、高収益化に取り組んでいきます。

2-2 受注高・受注残高

受注高および受注残高の状況については前年同期比で微増の状況です。今期の計画達成に向けては、いまだ十分な受注状況ではありません。したがって、今まで以上に案件獲得への取り組みを強化し、受注残の拡大を図っていきます。

2-3 配当金および配当性向の推移

当社の1株当たりの配当金と配当性向の推移についてご説明します。2025年3月期より、配当性向の目安を40パーセントから50パーセントに引き上げました。株主さまへのさらなる還元を重要事項として取り組んでいます。

今期の中間配当は、2024年11月6日に発表した上期の業績、および、今後の事業展開等を勘案した結果、直近の配当予想どおり20円としました。

なお、期末の配当金は20円、年間合計で40円の予定です。予想配当性向は47.8パーセントとなります。今後も収益性の向上に努め、安定した配当を継続していきます。

3-1 当社の目指す姿 -サステナビリティ経営・価値創造モデル-

今期からスタートした第2次中期経営計画の概要や、施策の取り組み状況をご説明します。まずは、当社のサステナビリティ経営についてです。

当社は持続的に事業成長する会社、持続的に社会に貢献する会社でありたいと考えています。当社自身の企業としての成長と、お客さまや社会、さまざまなステークホルダーの方々に貢献し続けられる会社を目指し取り組みます。

スライドの図は当社の価値創造モデルを示しています。当社はインプットとしての人的資本や知的資本など、6つの資本の拡充を図りつつ、事業を進めていきます。

事業成長の考え方は、「V2026」の第2次中期経営計画の考え方に沿って進めていきます。その結果として、財務的価値と非財務的価値の創出を果たし、さまざまなステークホルダーの方々に還元し、当社自身もその成果を活かして、さらなる取り組みを進めるものです。この結果、社会に貢献し続けられるように取り組んでいきたいと考えています。

3-2 第2次中期経営計画の概要

第2次中期経営計画の概要についてご説明します。第2次中期経営計画は「第二の創業」と位置づけて進めています。

従来取り組んできた受託型ビジネスについては、Sier向け事業とプライム向け事業に分けて取り組みを進めてきました。

Sier向け事業では、さまざまな業種での取り組みや社会課題など、広範囲に対応していきたいと考えています。また、先進技術についても積極的に取り組み、当社としての経験値、知的財産の積み上げを狙っています。

プライム向け事業については、Sier向け事業で得られた経験・ノウハウを活かし、当社自身がお客さまに直接向き合って対応します。

難易度は高いですが、高付加価値のサービスを提供し、お客さまにご評価いただけるように、当社自身で付加価値のあるソリューションを目指していきたいと思います。

また、企画型ビジネスとして、サービス提供事業にも取り組んでいきます。この分野は、ソリューションベンダーと連携し、当社自身のノウハウをサービス化することで、社会やお客さまにより高い価値を提供していくことが狙いです。

これら3つの事業スタイルを念頭に置いた上で、これからの重点施策の推進が重要と考えています。

3-3 2024年度の取り組み

2024年度の重点施策の取り組み状況についてご説明します。今年度は、来年度以降の拡大に向けた基盤強化の年と位置づけています。

協業推進は事業成長を盤石なものにするために重要な取り組みであり、特に大手Sierとの協業は、成長・発展の鍵となる重要な事業基盤です。下期に向けては、マーケットの開拓、新たなビジネススキームの構想という観点で積極的にお客さまと議論を重ねていきます。

協業推進を支える体制として、懸案である生産体制の強化も図っています。上期では、新卒・キャリア採用強化や福岡・ベトナムを中心とした生産体制拡充に取り組み、一定の成果を上げることができました。今後については高スキル人材の獲得や、ビジネスパートナーの開拓にも注力していきます。

品質面ではこれまで以上に注意を払い、プロジェクトをウォッチしていきます。特に不採算案件の撲滅は必須要件であり、品質管理の徹底を図っていきます。

当社としては、今後の成長に寄与する投資を積極的に行っていく考えです。テーマとしては、まずは基本となる人材確保、能力向上、エンゲージメント向上など人への投資があります。

次に、エンジニアリングスキル向上を狙い、生産技術への投資を行います。加えて、事業・サービスを生み出し、作り上げる事業投資にも取り組んでいきます。

今回は、その中から当社が事業として構想した内容と、当社内で行っているエンゲージメントの取り組みについてそれぞれご説明します。

3-3 2024年度の取り組み

まず、当社の研究開発の取り組みについてご説明します。人的資本経営は、今や企業にとって重要なテーマです。このたび当社は、企業の人的資本経営を多面的に支援するサービスとして、「H・CUBiC」サービスを構想しました。今後、サービス提供を開始する予定です。

当社はこれまでクラウドテクノロジーの分野で多くの対応実績を持ち、その技術に精通しているという自負があります。また近年、AIの先進技術にも積極的に取り組み、ノウハウを蓄積してきました。

当社はこの強みを活かし、「H・CUBiC」サービスを通じて、お客さまの人的資本経営を力強く支援し、ビジネスの成長と成功に貢献していきたいと考えています。このサービスは、当社のサービス提供事業の一翼を担うものになると期待しています。

3-3 2024年度の取り組み

次に、当社の社内プロジェクトとして進めている取り組みについてご紹介します。当社は人的資本の充実の一環として、エンゲージメント向上活動に取り組んでいます。当社におけるこの活動は、経営と社員との意思や情報・知識の交流、そして活発化を図り、会社、経営と社員、社員同士のエンゲージメントを進めていくことを目的としています。

この活動は、エンゲージメント向上委員会が企画した施策を、エンゲージメイトという若手・中堅社員が中核となり進めていく形態です。このエンゲージメイトと呼ばれるメンバーが生き生きと活躍し、エンゲージメント向上の取り組みが推進されることを期待しています。

そして、この取り組みに学術的な観点から知見・意見をいただくために、産学連携を進めています。当社としては、この活動を通じて成果を上げることはもちろん、その成果、ノウハウ、知的財産をソリューションとして活かすことを考えています。

3-4 第2次中計の財務・非財務目標

第2次中期経営計画で掲げている財務・非財務の目標および上期の進捗についてはスライドのとおりです。中間期になるため、半期の実績を表示しました。

財務の目標については、成長性と高収益性を重視して取り組んでいます。1人当たりの指標については、社員の能力向上と生産技術などへの投資の効果を踏まえて、生産性を上げていくことが目標です。

ビジネスモデル変革については、新しいビジネスのかたちを実績として積み上げていくという目標になっています。その成果として、利益指標の高い目標達成を目指していきます。

非財務の目標については、当社としてありたい姿を目指したものです。スライド下部の5つの観点で、それぞれ実績に向けて取り組んでいます。特に多様な人材が活躍するダイバーシティ促進、働き方改革では高稼働の抑制、コミュニケーションの活性化では、やりがいのある仕事に従事しているかということに着目して取り組んでいます。

3-4 第2次中計の財務・非財務目標

非財務の目標数値の詳細はスライドをご覧ください。先ほどもお話ししたように、半期の取り組み実績であり、途中段階でもあるため、年間の実績として報告することができないものもあります。ご容赦いただければと思います。

進捗としては、それぞれに濃淡があります。施策の成果で良い方向に推移しているものもありますが、推進する上で課題となる項目もあります。引き続き目標達成に向けて進めていきたいと考えています。

3-4 第2次中計の財務・非財務目標

財務目標の数値の詳細はスライドのとおりです。売上高は2026年3月期206億円、2027年3月期230億円と拡大、成長を目指しています。

3-5 最後に

最後にあらためて「V2026」の基本方針を記載します。「V2026」では、各自が志を持ち、ビジネスマインドを持って自ら考えて行動する姿になることを目指して取り組んでいきます。社員一同、そうなろうという思いを共有しています。

中期経営計画で目指しているビジネスは、受託型ビジネス、Sierビジネスでも受け身ではなく、主体的に取り組む姿勢を大切にしようと考えています。またプライム事業でもサービス提供事業でも、当社自身が全体を掌握し、俯瞰した上で仕事を進めることを目指しています。

このようなマインドを持ち、「第二の創業」と位置づけた第2次中期経営計画を進めていけば、事業領域、経験・ノウハウもさらに広がり、新しいサービスも生まれてくると思います。そして、持続的に成長し、社会に貢献できる会社になっていくと考えています。

今後も役職員一同、社業の発展に努めていきます。引き続きご支援いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

私からの説明は以上です。ご清聴、誠にありがとうございました。

質疑応答:第2次中期経営計画で示した事業スタイルについて

司会者:「第2次中期経営計画から新しく設定された事業スタイルについて詳細を教えてください」というご質問です。

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