アジェンダ

葉山誠氏:みなさま、こんにちは。代表取締役社長執行役員の葉山です。本日はお忙しい中ご視聴いただき、誠にありがとうございます。2025年3月期第2四半期の決算についてご説明いたします。

本日のアジェンダは、スライドのとおり、3つのパートで構成しています。

決算概要

決算ハイライトです。2025年3月期中間期の決算は、前年比で減収増益となりました。売上高は、フィナンシャルITサービス事業におけるシステム開発案件の減少等により、減収となりました。

営業利益は、前中間連結会計期間に流通ITサービス事業で受注損失引当金を計上しましたが、当中間連結会計期間には受注損失等の臨時的要因が発生していないこと等により、増益となりました。

なお、2024年6月から出資を始めた、DNX Ventures 第4号米国ファンドによる管理費用の発生に伴い、営業外費用として投資事業組合運用損等を計上しました。一方で、営業外収益に、受取利息及び一部のお客さま向けサービスの中途解約による違約金収入等を計上しています。

セグメント別売上高・営業利益

セグメント別売上高と営業利益です。次のスライドで詳細をご説明します。

連結売上高

売上高は、流通ITサービス事業において、プラス1億6,200万円となりました。しかしながら、HULFT事業でマイナス1億100万円、データプラットフォーム事業でマイナス1億2,100万円、フィナンシャルITサービス事業でマイナス3億4,600万円となりました。

その結果、売上高は前年同期比4億600万円の減収となりました。

連結営業利益

営業利益は、流通ITサービス事業でプラス12億3,500万円、HULFT事業でプラス7,600万円となりました。一方で、データプラットフォーム事業でマイナス3億2,300万円、フィナンシャルITサービス事業でマイナス1億7,900万円となりました。

その結果、営業利益は前年同期比8億900万円の増益となりました。

連結貸借対照表

連結貸借対照表です。資産は、現金及び預金の減少等により、前期末比マイナス12億6,000万円となりました。なお、固定資産は投資有価証券の増加等により増加しています。

負債は、受注損失引当金の減少等により、前期末比マイナス10億2,800万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する中間純利益を計上した一方、剰余金処分による配当財源への割当て等により、前期末比マイナス2億3,100万円となりました。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応についてご説明します。私たちは株式市場で求められる中長期的な企業価値向上と持続的な成長の実現を目指すため、資本コストや収益性を十分に意識した経営に取り組んでいます。

当社における株主資本コストは、CAPMに基づく試算において約4パーセントになりますが、同業他社のROE水準をベンチマークと意識した上で、中長期目標としてROE20パーセント達成を掲げています。

ただし、現在は受託開発型から製品サービス提供型へ事業をシフトしている最中です。製品サービス開発や人的資本に費用を投下しているため、ROEの目標水準に達していません。計画の実行を通じ、利益創出と企業価値向上に取り組んでいきます。

そして、株主のみなさまへ短期的な利益変動に左右されにくい安定配当を実現するため、DOEに基づいた配当を実施しています。

重視する経営指標

当社が重視する経営指標は、スライドのとおりです。ROEは、中長期目標に掲げている20パーセントに対し、通期予想値は10.5パーセントです。TSRは、2024年9月末時点で133.6パーセントとなっています。

DOEは目標値の10パーセントに対し、通期予想値は10.2パーセントです。自己資本比率は、2024年9月末時点で65.3パーセントとなりました。

TSR(Total Shareholders Return)ベンチマーク

TSRのベンチマークです。評価期間は、2020年3月期末を基準としています。比較対象は、GICS(世界産業分類基準)産業グループの約300社になります。

スライドのグラフのとおり、TSRは業界平均を下回って推移しています。評価期間の基準である2020年3月末期の当社の株価が、相対的に高かったことが一因として挙げられます。加えて、「HULFT Square」等の開発費用投下によるEPSの低下が、株価及びTSRを引き下げる主な要因になっていると推察しています。

私たちは引き続き、株主・投資家のみなさまとの対話に努めていきます。

株主、投資家との面談でよくご質問いただくこと

私たちは株主・投資家のみなさまとの対話を重視し、IR面談などでいただいたご意見を真摯に受け止め、経営に活かそうと考えています。

株主・投資家のみなさまとの面談の際によくいただいたご質問と、それに対する私たちの考えを、今回新たにまとめました。一つひとつは読み上げませんが、ぜひご参考にしていただければ幸いです。

事業戦略「4つのシフト」

2025年3月期戦略と取組状況をご説明します。スライドの図は、事業戦略に掲げている「4つのシフト」です。

私たちは、事業構造を受託開発型から製品サービス提供型に変革しています。これまでにミッションクリティカルなシステムを開発・運用してきた経験や知見を、自社製品サービスで提供しているデータ連携ビジネスと融合させることで、事業シフトをより一層進めていきます。

私たちのようなIT企業において、この事業シフトを実現する人材が最も重要です。テクノロジーの探索、育成を通じて、技術シフト、人材シフトを進めていきます。

加えて、事業シフトを進めるためには、迅速に意思決定を行うスピード感も重要です。そのため、事業別から機能別への組織体制の見直しや、執行への権限委譲を通じて、組織シフトも進めています。

事業シフトx技術シフト

事業シフトと技術シフトについてご説明します。私たちは受託開発型から製品サービス型に事業をシフトさせています。スライドのグラフの濃い青い色が、自社製品サービス提供を行うデータ連携ビジネスの売上比率です。

2016年3月期では約24パーセントと、全社売上の4分の1程度でしたが、足元の2025年3月期中間期においては約52パーセントとなり、全社売上の半分を超える割合まで成長しました。

私たちはこの比率を高めることで、収益性の高い企業を目指していきます。

事業シフトx技術シフト

現在の主な収益源である「HULFT」「DataSpider Servista」の販売状況についてご説明します。

この製品サービスの売上は、主にHULFT事業に計上されています。HULFT事業のストック比率は65.8パーセントとなりました。このストック売上が安定した収益基盤となっています。

サポートサービス契約本数は、前期末差で「HULFT」がプラス616本、「DataSpider Servista」はマイナス5本となりました。

ライセンス新規出荷本数は、「HULFT」でプラス279本、「DataSpider Servista」でプラス23本となり、着実に拡大しています。

事業シフトx技術シフト

私たちは「HULFT Square」を、データ連携ビジネスの成長ドライバーと位置づけ、拡大に注力しています。

スライドに記載しているのは、私たちが先日開催した最大の年次イベント「HULFT Technology Days 2024」において、「HULFT Square」の導入事例としてご登壇いただいた企業です。社内に点在するさまざまなデータとクラウド上にあるデータの連携や、データ活用のための基盤として、「HULFT Square」を導入いただいています。

2023年のリリース以降、エンタープライズ企業を中心に、着実に「HULFT Square」の導入は進んでおり、今後もさらなる拡大に努めていきます。

事業シフトx技術シフト

「HULFT Square」は、北米・欧州・ASEANでの展開も進めています。特に、北米・欧州におけるクラウドデータ活用は、日本よりも数年進んでいます。この市場でイベントに出展することで、私たちの認知を拡大させ、世界最先端のトレンドニーズを取り入れていきます。

近年では2023年に「AWS re:Invent 2023」、2024年に「AWS Summit 2024」に出展しました。直近では、9月にSalesforceがサンフランシスコで開催した「Dreamforce 2024」に出展しました。

海外グループ会社の社員に加え、日本の社員も現地に立ち、3日間で600名以上の方とコンタクトを取ることができました。私自身も現場で熱気を感じてきました。テクノロジーとグローバルの分野に、今後も力を入れていきます。

事業シフトx技術シフト HULFT Square 販売パートナー様

国内では多くの販売パートナーさまと連携して、「HULFT Square」を拡販しています。すでに16社の企業に販売パートナーさまになっていただいています。

事業シフトx技術シフト HULFT Square アライアンスパートナー様

販売パートナーさまと同じく重要なのが、アライアンスパートナーさまです。アライアンスパートナーさまは、さまざまな分野、業務において、サービスを提供している企業です。

例えば、スライド一番左上に記載のアスエネさまは、CO2排出量の見える化・削減のクラウドサービスを提供しています。CO2排出量の算定には、さまざまな社内システムとのデータ連携が必要になります。そのデータ連携を「HULFT Square」が担います。

アスエネさまが必要とするデータ形式への変換、突合をノーコードで実現します。これにより、お客さまはCO2排出量をすぐに可視化し、それに基づいた意思決定を迅速に行います。

このように、さまざまなクラウドサービスと「HULFT Square」がつながることで、私たちはお客さまのデータ連携、活用を力強くサポートしていきます。

事業シフトx技術シフト

「HULFT Square」は、数ヶ月ごとにリリースすることで機能を充実させています。クラウドサービスにおいて、このように随時アップデートしていることが強みとなっています。

スピードを落とさず、引き続き製品の機能強化も進めていきます。

事業シフトx技術シフト

「HULFT10」についてです。2014年に登場した「HULFT8」以来、このたび10年ぶりにバージョンアップを行います。

今年2月に先行してリリースしているコンテナ盤に代表するようなクラウドネイティブ、インターネット転送、スピードと安全性の強化といった特徴があります。12月の発表をぜひご期待ください。

事業シフトx技術シフト

「DataSpider Servista」においては、11月6日にバージョン4の集大成として、バージョン4.5をリリースします。運用機能の強化、接続先の拡張を行いますので、ぜひご期待ください。

事業シフトx技術シフトx人材シフト

私たちの製品サービスをさらに強化していくために、6月に米国・欧州等のスタートアップに投資する日系ベンチャーキャピタルファンドDNX Venturesの第4号米国ファンドへ出資しました。彼らはクラウド、AI及びデータ活用といった領域に深い知見を持っています。

私も先月、シリコンバレーに行き、現地のスタートアップと面談してきました。スタートアップに直接触れることで、トレンドや技術を取り入れ、私たちの製品サービスをさらに強くしていきます。また、このような取り組みを通じて、私たちの人材の成長にもつなげていきます。

事業シフトx技術シフトx人材シフト

採用活動と教育についてご説明します。採用活動については、エンジニアの採用が売り手市場の中、中間期終了時点において、計画に対する進捗が100パーセントと順調に推移しました。

新卒採用は、来年4月に19名の入社を予定しています。また、キャリア採用についても30名の採用に至りました。

教育については、キャリアアドバイザー機能を新設し、キャリア形成支援を強化しました。技術力強化に向けては、データ連携と親和性の高いクラウドとAI領域にフォーカスし、クラウド領域におけるトップエンジニアの育成プロジェクトや、「AWS」「Microsoft Azure」に特化した研修等を進めてきました。

このような取り組みは、研修にとどまらず、全社横断でバーチャル組織も組成しています。

事業シフトx技術シフトx人材シフト

これらの成果として、私たちの規模の会社としてはなかなか珍しいと思いますが、3大クラウドとも呼ばれる「Google Cloud」「Microsoft Azure」「Amazon Web Services」のすべてにおいて、専門知識や活動実績が評価され、表彰いただいています。

どれか1つに絞りクラウドスキルを強化しているIT企業は多いと思いますが、私たちのプロダクトサービスの特性上、さまざまな製品とつなぐため、3大クラウドすべてに注力している結果となります。

特に、「AWS」の表彰プログラムで、世界でも300名程度が選ばれる「Ambassadors」の1名にも、私たちの社員が選ばれています。このような受賞を機に、今後も技術力強化・教育に向けた取り組みを加速させていきます。

事業シフトx技術シフトx人材シフト

社員の働きやすさやパフォーマンスを上げるための施策として、社員の睡眠改善や、勤務地にとらわれず柔軟に働くことができる取り組みも行っています。

睡眠改善について簡単にお伝えすると、脳波計測デバイスを用いて社員の睡眠の検査を行い、なにか問題があることが判明した場合、会社がその費用の一部を負担し、専門医の受診を支援する取り組みを行っています。

IT企業の業務の特性からも、座り続けてのPC作業が多く、睡眠の質が悪い社員も多くいました。このような睡眠に対する取り組みは社会的な注目も高く、先日、テレビ東京さまの取材を受け「ワールドビジネスサテライト」でも取り上げられました。

また、スライドの右側の女性は、遠隔地勤務を利用している社員です。遠隔地勤務は、いわゆる日本中どこでもフルリモートができる仕組みで、2024年9月末現在、全国で15名が利用しています。

事業シフトx人材シフトx組織シフト

今年は、より良い未来の実現に向けて、「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト」に新規加盟しました。こちらはジェンダー平等経営を目指す企業を対象に、日本経済新聞社と日経BP社が主催しているプロジェクトです。

先日、私もこのプロジェクトで開かれた社長会に参加し、他社の取り組みを聞くことに加え、私たちの取り組み・課題感もお伝えしました。

当社は、女性社員比率・女性管理職比率ともに、業界一般と比較すればいずれも高めではあるものの、改善の余地は大きいとの認識を持っています。そのため、本プロジェクトへの加盟を機に、社内外でのジェンダーギャップ解消を加速させていきたいと考えています。

サステナビリティ経営の推進

マテリアリティの1つに定めている環境への取り組みとして、2026年度に社内の使用電力をすべて再生エネルギー由来とすることを目指し、当社データセンターにおいて「バーチャルPPA」を採用しました。

なお、すでに本社オフィスが入居するビルでは、2022年度から再エネ由来電力に切り替えています。社内の消費電力の約90パーセントを占めているデータセンターで「バーチャルPPA」を採用することにより、実質的な再エネ100パーセントの実現を目指します。

サステナビリティ経営の推進

このほか、ミッションやマテリアリティに沿った非営利団体の活動を支援するために、営業利益1パーセント寄付も実施しています。

寄付をして終わりではなく、このような取り組みを通じて、知見を持つ専門家に、私たちの社員向けにご登壇いただく機会を設けたり、私たちが寄付先の施設を訪問したりするなど、さらなる課題の理解と信頼関係構築に努めています。

また、今年8月には、国内最大級のIRイベントである「第19回 日経IR・個人投資家フェア 2024」に出展しました。会場とオンラインのハイブリッド実施により、私から直接、IT業界の動向や当社の取り組みについて、個人投資家のみなさまにご説明しました。

2025年3月期 通期業績予想(連結)

最後に、2025年3月期通期業績予想をご説明します。売上高は、特定顧客向けシステム開発・運用ビジネスが縮小するものの、データ連携ビジネスの拡大により、増収を予定しています。

営業利益及び経常利益は、引き続き「HULFT Square」等の製品開発及び人的資本に対して費用投下するものの、前期の流通ITサービス事業で発生した受注損失等の臨時的要因がなくなるため、増益を見込んでいます。

配当方針・配当予想

配当方針と配当予想です。こちらも変更はなく、2025年3月期の配当は1株当たり90円、中間配当は1株当たり45円を予定しています。

私からのご説明は以上になります。ご清聴ありがとうございました。