2025年3月期第2四半期決算説明

田尻稲雄氏:代表取締役社長の田尻です。本日は、ご参加いただきありがとうございます。私の声を聞いておわかりかと思いますが、この週末に風邪をひいてしまい、熱はないものの咳が止まらないため、大変お聞き苦しいかもしれません。申し訳ありません。

決算の詳細については、代表取締役副社長の田中からご説明します。よろしくお願いします。

2025年3月期 中間期 -当社の業績・事業概要

田中義寛氏:2025年3月期第2四半期の決算概要についてご説明します。サマリーです。売上高は、前年同期比プラス5.8パーセントの597億6,100万円と、ほぼ計画どおりでした。

営業利益は、前年同期比マイナス40パーセントの10億2,700万円となりました。計画に対しても大きくマイナスであり、10月31日に業績予想修正を開示しました。

その主要因は、スライド下に記載のとおり、4つあります。処方箋枚数の伸び悩み、仕入価格の上昇、賃上げ、物流事業立ち上げに係る準備経費等です。また、新規の出店も加速しているため、その初期赤字とこれら4つの要因が重なって減益となりました。

最初の3つは、薬局業界について言えば、どこも同じ状況にあります。処方箋枚数は、スライド右側の地域薬局部門の4つ目に記載のとおり、既存店でマイナス0.8パーセントとなっています。前期はプラス4パーセントでした。

ご存知のとおり、前期はさまざまな急性疾患が流行ったことによる反動減もあり、今期は一転してマイナスになりました。

ただし、薬局支援事業は非常に好調で、加盟件数あるいは取引店舗数を大きく拡大できました。

2025年3月期 中間期 -連結業績

連結業績です。利益の中間期実績は大きくマイナス、計画に対してもマイナスとなりました。

2025年3月期 中間期 -前期比要因

その要因についてご説明します。前期比では、スライド右側に記載した2024年3月期中間期の営業利益17億1,200万円に対し、今期の実績は10億2,700万円となっています。

この差の一番大きな要因は、地域薬局ネットワークです。この中でも、薬局の事業での大きなマイナスが効いています。医薬品ネットワーク、フェルゼンファーマの事業がプラスになりましたが、薬局の事業のマイナスがそれ以上に大きく、減益となりました。

2025年3月期 中間期 -計画比要因

計画比で見ても、状況としては同じようなかたちです。薬局の事業で大きくマイナスという結果になっています。

2025年3月期 中間期 -連結貸借対照表

バランスシートに、大きな違いはありません。トピックスとして、のれんの残高は最大160億円近くありましたが、償却を着実に進めてきたことで、100億円を切りました。

2025年3月期 中間期 -連結キャッシュ・フロー

連結キャッシュ・フローです。営業活動によるキャッシュ・フローが5億1,700万円、投資活動によるキャッシュ・フローがマイナス7億8,500万円です。

今期は新規出店を加速させているため、15億円の出店費用がかかっています。逆に、事業譲渡による収入が15億4,700万円あります。入居率が低く、課題になっていた「ウィステリア千里中央」を譲渡した分の収入、および薬局5店舗の譲渡を行っています。

財務活動によるキャッシュ・フローはプラス6億8,500万円です。

2025年3月期 -重点施策

事業概況についてご説明します。スライドは、期初に立てた今期の重点施策と数値目標です。

地域薬局部門では、質の高い薬物治療の提供や、既存店枚数前期比プラス1.8パーセント、新規出店の加速、生産性の向上を目指します。

医薬品ネットワーク部門では、1,000店舗の増加を期末目標とし、流通改善を推進します。

医薬品製造販売では、安定供給を目指します。また、取引店舗を拡大し、店舗を2,002店舗増やして7,000店舗にします。

デジタルシフト部門では、LINE公式アカウント導入店舗を1,018店舗増加の5,700店、友だち登録140万人を目標にしています。

これらの重点施策・数値目標については、既存店枚数以外はほぼ達成できました。進捗としては、非常に良いかたちで進めることができたと評価しています。

地域薬局部門 -地域薬局店舗数の推移

地域薬局部門から順番にご説明します。新規出店について、今期の薬局店舗出店件数20件の目標に対し、上期が終わった時点の実績は11件です。下期もすでに11店舗が決まっているため、見込数は合計22件と、過去最高の出店件数です。

しかも、この店舗は基本的にモール型で、駅前の好立地に店舗を展開しています。非常に良い形で出店できています。

また、既存店舗への医療機関の誘致については、上期は2件にとどまりましたが、すでに下期に9件決まっており、通期計画の10件を上回る11件となっています。

地域薬局部門 -月次調剤報酬の前年同月比較

薬局の月次報酬については、上期は既存店ベースでプラス1.5パーセントと、半期でなんとかプラスを作ることができました。

地域薬局部門 -既存店における処方箋単価・枚数の前年同月比較

既存店における処方箋単価・枚数です。スライドのグラフに濃いブルーで示したとおり、上期の処方箋枚数は、でこぼこがあるものの、上期累計でマイナス0.8パーセントとなっています。

昨年は上期がプラス4パーセント、下期がプラス3.7パーセントでした。昨年は新型コロナウイルスだけでなく、アデノウイルスやインフルエンザ、溶連菌などの感染症がかなり流行り、耳鼻科、内科、小児科が混雑しましたが、その反動を受けてしまいました。

一方で、処方箋単価は継続してプラスを維持しています。今年4月の薬価改定後も常にプラスとなり、半期でもプラス2.3パーセントとなりました。

地域薬局部門 -調剤報酬の内訳

その中で処方箋単価では、薬剤料のプラスだけでなく、技術料でも全店ベースではプラス54円、既存店ベースではプラス66円と、しっかりプラスにすることができました。

地域薬局部門 -調剤報酬改定の影響

調剤報酬改定の影響について、その内訳をご説明します。スライドの棒グラフは、加算の主要な技術料の内訳を示しています。2024年3月末は70.3点のところ、2024年9月末には75.5点と、5点(50円)上げることができました。

グラフの一番下の調剤基本料は、一律で3点上がりました。こちらは賃上げの原資にするようにと引き上げられたのですが、それ以外の項目についても、しっかり上げることができています。

この中の地域支援体制加算は、一律で7点の減点となりましたが、それをカバーするために、連携強化加算、医療DX推進体制整備加算をしっかり取ることができています。

期末となる2025年3月末の目標を79.3点としていますので、あと4点弱上げる必要があります。

引き続き、地域支援体制加算を獲得していきます。また、医療DX推進体制整備加算の点数が上積みになっていますので、こちらについてもしっかりと獲得していくことで、十分達成は可能だと考えています。

地域薬局部門 -(株)NTTドコモとの服薬フォローの実証事業

地域薬局部門のトピックスです。NTTドコモとの提携により、服薬フォローの実証事業を行っています。現在、当社の薬局17店舗で実証実験を行っています。

内容としては、まずNTTドコモのスマホアプリを使い、歩数や睡眠状態など、患者のさまざまなライフログを収集します。それをNTTドコモのヘルスケア推定AIで分析し、生活習慣や生活傾向などの結果を、我々にフィードバックします。

そのデータを基に、患者への服薬フォローや服薬指導に活かしていく事業を行っており、累計1万3,000人と、それなりの数の方に声掛けし、服薬フォローを行っています。

こちらがうまくいけば、今後、他の店舗にも広げていきたいと考えています。

地域薬局部門 -なの花薬局の学術活動

学術活動についてです。我々はこれも薬学ケアの質向上に非常に重要な要素だと考え、学術活動を強化しています。

スライドの写真は、社内の学術学会「なの花フォーラム」の様子です。「なの花フォーラム」は、言わば登竜門です。この場で鍛えてもらい、その後、スライドの下方に記載したような、専門学会で発表してもらいます。

その成果として、第12回日本くすりと糖尿病学会学術総会で、当社の薬剤師が優秀演題賞を受賞しました。また、第83回九州山口薬学大会では、大会賞を受賞しました。

薬局支援事業 -業績概要

薬局支援事業です。スライドに記載のとおり、店舗数を非常に大きく伸ばすことができました。

医薬品ネットワーク部門 -業績概要

医薬品ネットワーク部門では、中間期で679件の純増となりました。今期は1,000件の純増目標としており、半期で68パーセントと非常に順調な進捗です。

新規加盟件数も獲得できています。脱退については、数としてはそれなりにあるものの、前々期まであったような、他の競合他社に移るようなことはほとんどなくなっています。閉局やM&Aによる脱退が大半です。

当社としても今、さまざまなサービス項目を増やしています。例えば、改定の支援として、さまざまな改定対応をサポートしています。このようなことからも、加盟件数が増えています。

医薬品ネットワーク部門 -エリアネットワークの取り組み

エリアネットワークの取り組みについてです。加盟店に限らず加盟店外も含めて、エリアで「薬薬連携」をしていただきたいと考え、さまざまな取り組みを行っています。

1つ目は、研修支援サービスです。薬剤師会と組んで、研修を提供しています。現在17の薬剤師会で約2,500名の薬剤師が参加しており、かなり大規模な研修になっています。

2つ目は、調剤実績共有システム「LINCLEちいき版」です。当社の在庫管理システム「LINCLE」のテクノロジーを活用したもので、調剤情報を地域で共有することができます。

こちらは今、八戸で行っていますが非常に利便性が高く、他の薬剤師会からも問い合わせを受けています。今後広げていきたいと考えています。

医薬品製造販売部門 -49成分113品目(前期末より10品目追加)

医薬品製造販売部門です。こちらも順調に品目を増やして今、113品目まで増えました。

特筆すべきは、取引先の店舗数が大きく増えたことです。前年同期比プラス1,806店舗と、ネットワークの加盟店よりも早いペースで店舗数を増やせています。現在は5,700店舗と、裾野がかなり広がってきました。

今期も、新製品を12月に向けて発売していく予定です。

デジタルシフト部門 -LINE友だち登録125万人

デジタルシフト部門についても順調です。店舗数が5,576店舗、通期目標は5,700店舗ですが、受注ベースではすでに6,000店舗を超えているため、計画は確実に達成できると考えています。

LINE友だち登録では、問診票を上手く活用することで、登録者が125万人と増えています。今は薬局ごとに自由に問診票をカスタマイズできるようにしています。最初に問診票をLINEで送信するかたちで、LINE友だち登録につなげることで、登録者を大きく増やせています。

その他、マイナポータルとの連携や、電子薬歴とのデータ連携なども開始しています。

賃貸・設備関連事業

賃貸・設備関連事業です。課題であった「ウィステリア千里中央」について、当施設の下に入っていた医療機関から譲り受けたいとのお話がありました。入居者への説明会も丁寧に行い、了解いただいた上で無事、10月1日に譲渡を実行しました。

一部、特別利益が計上される見込みですが、こちらはすでに下期で折り込んでいます。また、この事業自体が若干赤字となっていましたが、その分も下期はなくなります。

2025年3月期 業績予想を修正 -連結業績

通期業績予想を修正しました。上期がなかなか苦戦したため、下期も少し下げて、通期の営業利益を、10億円マイナスの30億円としました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、12億5,000万円に修正しました。

2025年3月期 業績予想 -修正後セグメント別業績(当初予想比)

前提として、処方箋の枚数は当初計画から低くしましたが、スライド下段の表のとおり、それでも下期は既存店で前期比プラス1.2パーセントと、枚数としてはプラスで見ています。そちらはしっかり達成したいと考えています。

ウォーターフォールチャートについて、予想営業利益を10億円下げた要因は、ほぼ薬局事業のマイナスとなっています。

中間配当

配当についてです。当期純利益の予想は引き下げましたが、配当については安定配当の考えから、中間配当金、期末配当金をそれぞれ1株当たり6円とし、年間配当金は1株当たり12円を維持しようと考えています。

来期については、今期あったような初期赤字、具体的には物流事業の赤字や新規出店の赤字分が少し薄まってくることもあり、そのあたりも鑑みて今期は据え置きとしています。

私からのご説明は以上です。