2024年3月期 決算説明会 目次
大貫美氏:明豊ファシリティワークス株式会社、代表取締役社長の大貫でございます。これより2024年3月期の決算説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
この目次の内容でご説明させていただきます。
2024年3月期 決算サマリー
2024年3月期の決算サマリーでございます。期初から実施した社員の処遇向上等の費用負担に対して、過去最高の受注によりまして、2度の上方修正を経て、11期連続となる増配を実現することができました。
直近のトピックスとしましては、当社のDXへの取組み実績が評価され、経済産業省が定める「DX認定事業者」に認定されました。
1 2024年3月期 決算概要 ①PL
損益計算書の概要をご説明いたします。建設費の高騰や人材供給力の不足によって、発注者単独による建設投資が難しい環境の中で、当社CMの社会的役割が高まり、当期は前年同期比10.6パーセントの増収を実現し、各利益は過去最高を記録しました。
賃上げ促進税制に基づく税額控除6,100万円の適用を受けまして、当期純利益は前年同期比21.4パーセントの増益を実現しました。
2 2024年3月期 決算概要 ②BS
貸借対照表でございます。受注案件が大型化、長期化する中で、第4四半期末における売上高増加によって、売上債権及び総資産が増加しております。
3 経常利益の推移
経常利益は3期連続で増益を実現し、10億7,000万円となりました。
4 キャッシュフローの推移
税引前当期純利益10億7,000万円に対して、営業キャッシュフローは7億3,800万円となり、東京都グリーンボンドへのESG投資などによって投資キャッシュフローがマイナス2億5,000万円、配当金支払いによって財務キャッシュフローはマイナス3億7,900万円となり、最終的な期末キャッシュフローはプラス1億900万円となりました。
5 社員数の推移
従業員数は前事業年度末に対し3名増の257名となりました。優秀な人材を12名採用しておりますが、個々の事情による退職もございます。引き続き優秀な人材を確保することを通じて、発注者へ提供する価値の向上を実現してまいります。
6 受注金額 新規顧客・既存顧客の比率推移
受注における新規と既存の金額ベースの比率でございます。今期も既存のお客さまから堅調な引き合いを多く頂戴することができました。また環境の変化に伴いまして、新規の引き合いも増加しております。
1 オフィス事業
各セグメントの状況についてご説明いたします。
オフィス事業は、オフィス移転の構想段階から、移転完了後の働き方改革のアフターフォローに至るまで、高度な専門性をワンストップでご支援しております。
2024年3月期は、社会的にアフターコロナへの働き方が模索される中で、大企業グループや中央省庁等からの引き合いが増加し、売上高は前年同期比8.3パーセント増となりました。
2 CM事業
CM事業は、建物の新築、改修、設備更新、脱炭素化等における実現性検証や基本計画策定などプロジェクトの早期立ち上げ支援から、調達、設計、施工の各段階における品質、コスト、スケジュールの妥当性検証や縮減など、当社内の専門チームが顧客の事業目的の実現を支援しております。
2024年3月期は、多くの地方自治体や国立大学等の公共施設におけるCMプロジェクトを数多く受託いたしました。また民間でも、大規模開発案件や新規の大手国内企業からの引き合いも増加しております。
さらに、脱炭素化専門チームによる自然エネルギーの調達やZEB等の認証取得など、脱炭素化に伴う高度な技術力を必要とする引き合いも増加いたしました。売上高は、前年同期比5.8パーセント増となりました。
3 CREM事業
CREM事業は、当社のCMサービスと自社システムであるMPSの活用によって、大企業や地方自治体、金融機関等に保有資産の最適化をご支援しております。
2024年3月期は、新規顧客を含む大企業の多拠点改修同時進行プロジェクトや、脱炭素化実現に向けた長寿命化、LCCコスト削減等への引き合いが増加した結果、売上高は前年同期比10.0パーセント増となりました。
4 DX支援事業
DX支援事業は、当社で自社開発したクラウドシステムを活用して、顧客の働き方の可視化、定量化や多拠点同時進行型プロジェクトの進捗管理及び施設の維持保全に関するDX化を支援しております。
2024年3月期は、新設したDX推進部によって体制を強化して活動し、CREM事業でのMPS活用と共に引き合いが増加し、売上高は前年同期比101.9パーセント増となりました。
2024年度3月期の状況
こちらから、2024年度3月期の状況と今後の取組みについてお話しさせていただきます。
2024年3月期は、建設プロジェクトを取り巻く環境が大きく変化しました。価格高騰、長納期化、品質確保において、建設プロジェクトの発注者が単独で建設投資を実行することが難しい状況の中、顧客側のプロである当社発注者支援サービスに多くの引き合いをいただき、過去最高の業績となりました。CM発注者支援事業へのニーズがより高まった1年であったと思います。
急激な価格高騰や長納期化によって、発注者にその相場観や判断基準が見えなくなっている中で、当社は、従来どおり一貫して顧客側に立ち、近年の環境変化に伴う高度な発注者支援手法を体系化して身に着けています。
さらに最新のコストデータベースから、さまざまなケースで膨大な情報を分析・検証して根拠を明確化することで、困難な顧客の意思決定をご支援し、CM発注者支援事業としてより高い価値をご提供することができました。
参考:建設プロジェクトの環境変化
参考として、現在の建設投資、建設物価、建設就業者数の変化についてグラフでお示しします。近年の需要増に対して、これまで減少してきた供給力を取り戻すことは簡単ではないと想定され、価格上昇は継続傾向にあります。発注者にとっては、建設を伴う事業化の判断や建設プロジェクトにおける意思決定の難度は、一層高度化した状況にあると言えると思います。
当社の業績推移
こちらは過去10年余りの当社の業績推移でございます。大きな社会環境の変化の中で、当社は、体制を強化しつつDX化を推進し、より高度なマネジメントノウハウを蓄積して社員のナレッジを高め、業績及び生産性を向上させております。今後の変化に対しましても一層緊張感を高めて取り組んでまいります。
2024年3月期 セグメント別 売上
2024年3月期のセグメント別売上の状況でございます。CREMは、DX事業と共にご支援することで顧客の価値を向上させ、両事業の売上が伸びております。公共CM、鉄道、学校、工場等のプロジェクトにつきましてもCMへのニーズは堅調でございました。また、働き方改革ニーズによりオフィス事業への引き合いも高まっております。
今後の状況と見通しについて
価格高騰、長納期化をはじめ、さまざまな社会的課題や環境変化が渦巻く中、発注者の建設を伴う事業化及びプロジェクト推進における意思決定や品質確保は、より高度化するものと考えております。
当社がご提供する明豊独自の顧客本位を追求したワンストップ型の事業体制によるCM発注者支援事業は、社会と顧客の変化を先読みし、当社が顧客へ提供する価値を高め続けることによって、発注者支援事業のマーケットを広げ、事業の将来性をさらに高められる環境にあると考えております。
発注者支援事業の将来性と当社の企業価値向上
今後の発注者支援事業の将来性と当社の企業価値向上のために取り組む方向性は、「フェアネス・透明性」の理念の下、左側のとおり、当社が切り拓いてきた独自の発注者支援サービスの価値をまた一段向上させ、さらに右側のように人の成長とCMとDXの融合を推進し、10年先を見た新たなニーズを創造するという大きく2つの取組みによって実現したいと考えております。
社会が大きく変化しようとも、発注者にとって常に価値のある意思決定プロセスを提供し、唯一無二の立ち位置で発注者支援事業を先頭に立って推進してまいります。
対処すべき課題と当社の取組み方針
対処すべき課題と当社の取組み方針についてご説明いたします。当社が発注者支援の先頭に立ち、一層の企業価値の向上に取り組むことが当社の最も重要な課題であり、これら3点に取り組んでまいります。
左側と真ん中のCMサービスの価値向上とCM事業の新たな価値創造は、前ページでご説明させていただきましたとおり、これまでのCMサービスをさらに一段進化させることと、CM×DXの融合により、CM事業の新たな価値を創造することでございます。
加えましてもう1点は、右側の人的資本の強化でございます。「フェアネス・透明性」の理念の下、価値向上と価値創造を支える基盤として、人的資本の強化を重視し、「社内のプロによる顧客本位のプロジェクト体制の強化」「リーダーの育成」「女性活躍推進」「ナレッジセンターの拡大と完成度向上」「学び合う風土の醸成」に取り組んでまいります。
DX支援事業への取り組み CM×DX
DX支援事業への取り組みとして、現在はオフィス、CM、CREMの各事業とDX支援事業が一体となったCM×DXを推進しております。自社開発のプラットフォームを活用し、顧客と当社との間でプロジェクトリスク等の情報を可視化・一元管理して、アウトプットの正確性とスピードを向上させ、より難度の高い顧客の意思決定を支援しております。今後もこのCM×DXの完成度をさらに高めてまいります。
維持保全におけるCM×DX
多くの建物所有者の課題となっております保有施設の維持保全業務の効率化、費用の適切化につきましても、CM×DXが提供する価値として取り組んでまいります。
中長期ビジョンと人的資本の強化
当社における人の育成は、企業理念を軸に、顧客側のプロとしての存在価値を学んでいきます。個人の適性に合ったOJTプログラムでCMサービスの実務を経験し、研修やナレッジセンターを通じて効率的に知識を習得していきます。それとともに、各組織で多数行われております専門性向上とCMの価値研究のための社内ワーキンググループで互いに学び合うことによって、顧客本位の価値が何であるかを身に着け、段階的にプロとして成長していきます。
ESG/SDGsへの取組み
ESG/SDGsへの取組みについてご説明いたします。企業理念「フェアネス」「透明性」の下、ガバナンスの基盤として隠し事のない経営を貫き、サービスの提供においてもプロセスをすべて可視化しております。
環境につきましては、顧客の環境負荷の低減や施設等の長寿命化の実現支援を通じて、脱炭素化の推進に貢献しております。
社会につきましては、CM方式による公正な競争環境の提供や可視化された情報の提供による顧客の意思決定の納得性確保など、透明で納得感の高い社会の実現に取り組んでおります。また働き方のDX推進によるワークライフバランスの向上や、CSR団体での活動を行っております。
ESG投資
ESG投資として、今期も継続して東京都発行のグリーンボンドに投資しました。投資を通じて、気候変動等への取り組みを支援します。
TCFDへの取り組み
当社はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、適切に対応しております。今期は2020年3月期比で37.5パーセント削減しております。
1 2025年3月期 方針
ここから2025年3月期の業績の見通しについてお話しさせていただきます。
今後の見通しにつきましては、価格高騰や人手不足等により、引き続き発注者単独で建設投資を実行することが困難な状況が続き、CM発注者支援事業に対する社会からの期待は、ますます高くなると予想しております。
業績見通しにつきましては、民間の発注者による建設投資が金融環境の不安定さにより、先行きの見通しが困難となり慎重になるなど、当社を取り巻く環境について保守的に考え、売上高は53億円、経常利益は10億9,000万円、当期純利益は8億円と前期同等を見込んでおります。
2 2025年3月期 業績予想
2025年3月期の業績予想の一覧でございます。売上高53億円につきましては、発注者から当社が収受するフィーで実質約1億円の増加を見込んでおります。年間配当金は、1株当たり38円を見込んでおります。
3 業績の推移
売上総利益の推移をお示ししております。2022年3月期以降順調に増加しております。
4 1株あたり年間配当金の推移
1株あたりの配当金は、今期から2年間は38.0円を下限とすることを配当方針に定めて公表させていただきました。12期連続の増配を予定しております。
5 経営指標
当社の成長性を見る経営指標として、資本コストであるWACCと、投下資本利益率であるROICを比較しており、現在の配当方針においても良好な状態を継続しております。
以上をもちまして、2024年3月期の決算説明を終了いたします。今後とも是非ご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。