2024年3月期決算説明

櫻井昭彦氏(以下、櫻井):みなさま、こんにちは。代表取締役社長の櫻井です。みなさま方には平素より西華産業にご関心をお寄せいただき、また、決算説明会にご出席いただきまして誠にありがとうございます。

昨年度は東京証券取引所から「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」という課題をいただき、昨年11月には、そちらについての考えを表明しました。

企業価値向上に必要なのは、妥当な収益と持続的な成長をもって、当社の企業価値と可能性を社会や市場にしっかりと周知し正当な評価を得ることと、企業価値向上に伴う成果をステークホルダーのみなさまに公正に教示することだと考えています。

このストーリーを実現するためには、市場や投資家のみなさまとの対話が重要ですので、今回の決算説明会でもしっかりとご説明したいと思います。

本日の決算説明会は、動画でも後日配信します。本説明会および動画を通じ、当社へのご理解を深めていただければ幸いです。

CONTENTS

本日ご説明する内容はスライドに記載のとおりです。

1番の決算サマリー・トピックスは私より、2番の2023年度連結決算概要から5番の中期経営計画取り組み状況までは企画管掌の川名取締役よりご説明します。

2023年度 決算サマリー

2023年度の決算サマリーです。受注高は915億8,000万円となり、前年比で増加しました。取扱高は2,053億8,000万円で、こちらも前年比で増加しています。

売上高は867億8,000万円と前年比で減少しましたが、営業利益は55億8,000万円と前期比で増加しました。当期純利益は44億8,000万円です。

ROEは11.6パーセント、フリーキャッシュフローは24億5,000万円となりました。PBRは1.06倍と書いてありますが、本日の株価では1.09倍となり1倍を超過しています。年間配当は発表しているとおり、前年度比プラス60円の1株あたり150円の予定です。

2023年度 決算サマリー

2023年度実績の要点についてご説明します。原子力発電所向け三菱重工業代理店業務の開始によってビジネスボリュームが着実に増加しており、取扱高が上昇傾向にあります。また、連結子会社の収益が前年度同様に寄与し、営業利益も増加しています。

当期純利益は、前年度に実施したTVE社の持分法化による負ののれん17億円や、政策保有株式売却益6億5,000万円の計上がなくなったことにより減少しています。しかし、これらを考慮すると、実質的には増益であると考えています。

受注残高は、千葉地区拠点開設によるエネルギー関連商談の増加や原子力発電設備取扱業務の開始などにより、大幅に増加しました。

2023年度 ハイライト[原子力発電事業の取扱開始]

今年度のハイライトとして、昨年度より取り組みを開始した原子力発電所向け三菱重工代理店業務の状況をご説明します。

関西、四国、九州の計12基の三菱重工製PWR型を担当しており、主な業務は法令に基づく13ヶ月ごとの定期点検や保守業務です。

今後はさらに、運転延長に伴う主要機器更新等の大型商談や、燃料サイクル関連の商談ならびに廃炉相談への取り組みも加速すると期待しています。

2023年度 トピックス[サステナビリティ推進体制強化]

今年度のトピックスです。サステナビリティ推進体制の強化にあたり、ステークホルダーのみなさまにとっての重要度や当社理念、強みなどを踏まえてマテリアリティを特定しました。また、サステナビリティ委員会を設け、重要課題解決の推進やモニタリングの枠組みを構築しています。

2023年度 連結決算概要

川名康正氏:企画管掌を務める、取締役の川名です。2番の2023年度連結決算概要から5番については、私からご説明します。

2023年度の連結決算概要です。スライドの表は、サマリーでご説明した決算についてまとめたものですので、ご確認ください。

連結の範囲

西華産業グループの連結子会社一覧です。現在、収益の柱となっているグループ企業は、日本ダイヤバルブ、セイカダイヤエンジン、Tsurumi (Europe) GmbH、敷島機器の4社です。

2023年度 連結バランスシート

バランスシートです。純資産は着実に積み上がっています。東京証券取引所から要請があった「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について真摯に取り組んだ結果、PBRは1.06倍、EPSは372.5円となりました。

キャッシュフロー

キャッシュフローについてご説明します。営業活動によるキャッシュフローは25億4,000万円と、前年比で大きく改善しました。グループ会社の大型の固定資産投資(底地購入)が終了し、フリーキャッシュフローは24億5,000万円となりました。

さらに、キャッシュ・マネジメント・システム導入の結果、手元資金の効率化が進み、借入金返済が進捗しました。現時点での当社単体の銀行借入はゼロとなっています。

政策保有株式の売却は、2022年度と比べ減少したものの、すでに発表済みの2024年度中に連結純資産の20パーセント以内とする方針は、着実に実行する予定です。

連結当期純利益のウォーターフォール分析(22年度 vs 23年度)

連結当期純利益における前年度比のウォーターフォール分析です。原子力発電所向け三菱重工代理店業務開始などの先行投資、人件費増加等による販管費増加はあったものの、エネルギー事業の一次代理店選任、グループ会社の好調維持により、営業利益は増加しました。

このエネルギー事業の一次代理店選任は、従来、三菱商事と共同で行っていた三菱重工代理店業務を当社が単独で行うことになったものです。

当期純利益も、2022年度に実施したTVE社の持分法化による「負ののれん」の反動を考慮すれば、実質的には11億8,000万円の増益となっています。

過去3ヶ年の推移

過去3年間の業績データの推移はスライドのとおりです。

セグメント別事業概要一覧

2023年度のセグメント別決算概要についてご説明します。各事業の実績はスライドのとおりです。

エネルギー事業は売上高が減少したものの、セグメント利益はほぼ横ばいとなりました。産業機械事業も売上高が減少しましたが、セグメント利益は復調の兆しが見えています。プロダクト事業は、売上高、セグメント利益ともに好調を維持しています。

セグメント別 売上高/セグメント利益の構成比

セグメント別売上高およびセグメント利益の構成比についてご説明します。売上高は、3セグメントでバランスよく構成されています。一方で、セグメント利益は産業機械事業が力強さに欠けており、当社の課題と認識しています。

エネルギー事業は、原子力発電設備における三菱重工の代理店業務開始によりプラス要因はありましたが、大口商談の受け渡しが限定的だったことから、セグメント利益は微減となりました。

産業機械事業は、2023年度から一部の部門をプロダクト事業に移管しています。現在は中国・東南アジアの子会社との関係を強化し、連携して事業を展開することに注力しています。その結果、売上高は減少したものの、経済活動が再開された中国子会社などの業績が回復し、セグメント利益は改善しました。

プロダクト事業は、産業機械事業から移管されたグループ会社の業績が活況であったこと、また、ガス計測機器・ドローンによるUT検査等が堅調に伸びた結果、売上高・セグメント利益が大幅に伸長しました。

セグメント別受注残高

セグメント別の受注残高は、スライドの表のとおりです。産業機械事業は減少傾向にありますが、エネルギー事業、プロダクト事業は引き続き好調に推移しており、全体の受注残高は前年度末から48億円増加し、572億6,000万円となりました。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について

東京証券取引所からの要請を受け、昨年11月に公表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について、現在の状況をご説明します。

ROEは上方修正後の目標を達成し、11.6パーセントという結果になりました。株主配当について、2023年度の配当は150円を予定しており、2024年度の配当は30円増の180円を予想しています。

政策保有株式は、保有株式の株価上昇により保有比率が上昇したものの、2024年度末までに連結純資産割合20パーセント未満を達成する見通しです。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について

株主優待制度の導入により、売買高は前年度比96.5パーセント増、株主数は35パーセント増と、売買取引の活性化が見られます。

IR活動の強化については、個人投資家向け会社説明会の実施や統合報告書の発刊など、新たな取り組みを行ってきました。当社の取り組みを幅広くご理解いただけるよう、引き続きIR活動を強化していきます。100億円規模の成長投資は、現在、具体的な取り組みを検討中です。

役員報酬制度は、時価総額・ROE・中期経営計画の実行度を評価ポイントとするBIP信託制度の導入を5月の取締役会で決議しており、6月の株主総会で諮っていきます。

2024年度 連結業績予想

2024年度の連結業績予想についてです。取扱高は2,330億円、売上高は900億円、営業利益は50億円、経常利益は54億円、親会社株主に帰属する当期純利益は54億円を予想しています。

2024年度 セグメント別連結業績予想

セグメント別の連結業績予想についてです。エネルギー事業は、昨年度から取り組んでいる原子力発電設備取扱業務の受け渡しが進むことから、売上高、セグメント利益の増加を予想しています。

産業機械事業は売上高が減少するものの、セグメント利益はほぼ横ばいの見通しです。

プロダクト事業は、日本ダイヤバルブ、セイカダイヤエンジン、Tsurumi(Europe)GmbHが引き続き好調と予想しており、売上高は増加の見込みですが、セグメント利益は販管費の増加により、現時点では減少する見通しです。

中期経営計画「VIORB2030 Phase1」 数値目標

最後に、中期経営計画の取り組み状況についてご説明します。中期経営計画の最終年度である2026年度の営業利益および当期純利益の目標は、2023年度に前倒しで達成しました。そのため、2026年度の目標については今年度中に再設定し、公表します。

中期経営計画の取り組み状況

長期経営ビジョン「VIORB 2030」で掲げる2030年度当期純利益目標45億円(営業利益65億円)の前倒し達成も目指しますので、「VIORB2030 Phase1」における営業戦略を加速させていきたいと考えています。

櫻井氏からのご挨拶

櫻井:以上をもちまして、2023年度の決算説明を終了します。株主・投資家のみなさまには、今後とも変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

本決算説明会について、ご質問などありましたら対応いたしますので、お問い合わせください。