1.業績サマリ

梅林豊志氏(以下、梅林):代表取締役社長の梅林です。2023年度の決算概要からお伝えします。よろしくお願いします。

売上高は前期比マイナス18パーセントの217億3,700万円、営業利益は前期比マイナス43パーセントの10億2,700万円、経常利益は前期比マイナス35.7パーセントの14億2,700万円、当期純利益は前期比マイナス48.3パーセントの13億7,800万円となりました。売上が想定よりも下振れし前期比18パーセントの減少となったことから、前期並みの利益を出すのも非常に難しい状況でした。

後ほどご説明しますが、研究開発費を少し抑えたことで、販管費は前期比で3億7,200万円減少しています。ただし、売上・利益のマイナス分はカバーできませんでした。また、中国の景気減退も非常に大きく影響しています。

2.売上の推移(地域別)

地域別の売上推移です。日本は47億1,800万円、中国は58億1,600万円、アジアは50億6,100万円となりました。アジアは全体的に減少傾向となっています。

一方、欧州は27億9,200万円、北米は11億6,000万円、中南米は17億9,600万円、その他は3億9,100万円と、こちらは全体的に増加しています。

3.売上の推移(製品の種類別)

製品の種類別の売上推移です。大きなトピックスとして、2023年度は大人用紙おむつ製造機械が2期連続で増加し、売上構成比が40パーセントを上回りました。一方、小児用紙おむつ製造機械は2期連続で減少し、売上構成比は約20パーセントの水準まで低下しています。

4.受注動向(全体)

全体の受注動向です。2023年度末時点の受注残高は129億5,400万円で、前年度末比マイナス16億9,500万円、割合としてはマイナス11.6パーセントとなりました。また、受注高はトータルで200億4,100万円となり、前年度比マイナス36億7,100万円、割合としてはマイナス15.5パーセントとなっています。

4.受注動向(製品の種類別)

製品の種類別の受注動向です。これまで大人用紙おむつ製造機械が伸びていましたが、今期は割合がやや減少し、受注高は63億2,700万円となりました。小児用紙おむつ製造機械の受注高は、新興国向けが伸びたことにより74億4,100万円と、こちらはプラスに転じています。

生理用ナプキン製造機械の受注高は31億8,900万円となりました。台数としては伸びているのですが、機械の平均単価が紙おむつ製造機械と比べると小さいため、受注高の金額は紙おむつ製造機械よりも小さいという結果となりました。

これにより、合計の受注残高は129億5,400万円となり、前期比でやや減少しました。

5.営業利益の増減要因(前期比)

営業利益の増減要因です。営業利益が前期比で明らかに下がっているのは、売上の減少が要因です。ここで利益が大きく減ったことに加え、原価率も悪化しています。

一方、研究開発費の減少などにより、販管費は前期比で3億7,200万円減少しました。結果として、営業利益は10億2,700万円となっています。

6.営業外損益・特別損益

営業外収益・特別損益です。スライドに記載のとおり、不動産(旧本社土地)の売却、保有している株式の縮減、マスク製造機械の評価損による減損損失があります。マスク製造機械についてはこれまで2台運転していましたが、1台に絞って有効活用する方向で動いています。

7.貸借対照表

貸借対照表については、大きく変わったところはありませんので割愛します。

8.キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローです。フリー・キャッシュ・フローは、7億9,200万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローがややマイナスに転じているのは、昨年、海外顧客からの受注案件で試運転等が長引いた物件があり、キャッシュが入ってくるのが遅れているためです。ただし、投資活動によるキャッシュ・フローは、旧本社土地の売却等で増加しています。

トピック紹介(1)

2023年度のトピックスについて、浅田からご紹介します。

浅田哲弘氏:取締役管理部門担当の浅田です。私から2023年度のトピックスをご紹介します。

1つ目のトピックとして、2023年5月17日に東証スタンダード市場から東証プライム市場へ上場市場区分を変更しました。これまでいろいろとご支援くださいました多くの関係者のみなさまに感謝をお伝えします。そして、さらに多くの投資家のみなさまに投資していただけるよう、プライム市場へ移行しています。

今後も、私どもは「ものづくりのグローバルメーカーとして新しい価値を創造し、ヘルスケア産業の発展と人々の健康・福祉に貢献する」というミッションのもと、活動していきます。プライム上場企業にふさわしい企業として、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上、社会課題の解決に尽くす所存です。

トピック紹介(2)

2つ目のトピックとして、瑞光インドがバンガロールからプネーへ移転しました。新たに作業工場も設立しています。これにより、今までの営業拠点としての機能のみにとどまらず、機械の保守やサービス、ユニットのオーバーホールなどをお客さまに提供できる体制となりました。

新しい拠点となるプネーは、西インドの港に近く、中東やアフリカへのアクセスが向上します。これにより、中期経営計画に掲げたインド向け売上高50億円の達成に向けて、人口増加と生理用品の浸透率の向上が見込まれるインド市場において、小児用紙おむつ製造機械や生理用ナプキン製造機械を中心とした需要の取り込みを図ります。

トピック紹介(3)

3つ目のトピックとして、瑞光インドネシアが新工場に移転しました。今まで機械を納入してきたお客さまに対し、さらなる改造や部品販売などのアフターメンテナンスを行っていきたいと思います。新工場はジャカルタ郊外のブカシ地区に位置し、高速道路のインターチェンジまで約9分と好立地にあります。

今後も人口増加と経済成長の見込まれるインドネシアでは、小児用紙おむつや生理用ナプキンの需要も引き続き拡大が期待されます。地域に根ざしたカスタマーサポートと、お客さまの期待を超える技術・サービスを提供し、さらなる発展に取り組みたいと考えています。

トピック紹介(4)

4つ目のトピックとして、2024年からコットン製品の製造事業に進出しています。当社の子会社であるCOTEXが、テイメン株式会社からコットン製品の製造事業を譲り受けました。テイメン株式会社は、国内では数少ない後晒し方式によるコットン製品の製造・販売会社として、伝統的な製法を継承し、肌触りや吸水力、保水力などに優れたコットン製品を生み出しています。

本事業譲渡を通じて、当社は衛生用品の素材として広く利用されているコットンの製造や機能開発に取り組み、衛生用品の付加価値の向上にこれまで以上に貢献していきます。また、天然素材であるコットンの持つ可能性を追求し、衛生用品以外の分野でも活用に取り組んでいくことを考えています。

トピック紹介(5)

5つ目のトピックとして、2024年2月にイタリアの衛生用品製造機械メーカーであるDelta S.r.l.の持分取得および同社が実施する第三者割当増資の引受により、子会社化することに基本合意しました。現在、最終契約の締結に向けて協議を進めています。

Delta社はイタリアで設立され、欧州、米国、南米、アフリカ等への販売実績を有しています。当社グループとは異なる価格帯・地域での製品展開を行っていることから、補完関係が期待できると考えています。

そんなDelta社を当社グループの一員として迎えることで、欧州地域の売上拡大に資するとともに、当社グループの製品ラインナップの拡充を通じて、より広いお客さまへの製品提供に貢献すると考えています。

そして、先日発表した第三者割当による新株予約権の発行については、2024年3月に新株予約権を発行しています。新株予約権の数は4万個、株数にして400万株、行使価格修正条項付きで、行使期間は2024年3月22日から2027年3月23日までとなっています。これがすべて行使された場合、発行済株式総数に対する希薄化率は13.89パーセントとなります。

調達する資金の使途としては、先ほどお話ししたDelta社の子会社化に5億4,600万円、今後のM&Aや資本業務提携などに40億円、研究開発に18億5,300万円を予定しています。いずれも、今後の成長に向けた投資資金の調達が主な目的です。

1. 業績予想

梅林:私から、2024年度の業績予想をご説明します。引き続き、日本・中国での大きな売上増加はあまり見込まず、売上高は前期比10.4パーセント増の240億円を計画しています。

営業利益は16億8,000万円と、営業利益率7パーセントまでの回復を目指しますが、経常利益は19億円、親会社株式に帰属する当期純利益は7億2,000万円と、最終利益は減益を予定しています。

売上は、中国では大きな回復が見込まれず、日本・中国以外の海外案件が増加することを見込んでいます。利益面では、低採算案件の減少および原価低減活動による原価の改善、子会社が増えることによる販管費・人件費の増加、M&A費用の発生が予想されます。なお、当期純利益は税効果会計の影響等による減益を見込んでいますが、このような大きな影響額が発生するのは今期のみとなります。

今年はこの目標を達成できるよう、全社一丸となって取り組んでいきます。

質疑応答:今期の業績予想について(製品別の売上高・Delta社のM&A)

質問者:2点おうかがいします。1点目として、今期の業績予想における製品別の売上高の見通しを教えてください。2点目として、Delta社のM&Aは今期の業績予想に織り込んでいるのでしょうか?

梅林:製品別の売上高の見通しについて細かい数字はお答えできませんが、海外の小児用紙おむつ製造機械が大きく増えています。大人用紙おむつ製造機械は国内もアジアも今年とあまり変わらないと思います。また、生理用ナプキン製造機械は意外と増えています。

Delta社のM&Aについては、現状で受けている仕事を含めて、日本円で約10億円の売上を見込んでいます。

質疑応答:2023年度の受注動向について

質問者:終わった期の中国・アジアの受注動向について、大人用と小児用に分けると、上期から下期にかけてどのようなトレンドだったのでしょうか?

梅林:2023年度の終了時点で、中国は大人用紙おむつ製造機械が堅調に増えています。小児用紙おむつ製造機械も落ちているわけではありませんが、大人用に比べると少なくなっています。アジア全体では、小児用が増えています。

質問者:終わった期の上期から下期にかけて、受注トレンドとして悪化しているものはないという理解でよろしいでしょうか?

梅林:日本では小児用が減っていますが、アジアと中国に関しては上期と比べて下期が悪化しているというわけではありません。