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藤原克治氏(以下、藤原):株式会社テイツー代表取締役社長の藤原です。当社の2024年2月期決算説明会を始めます。よろしくお願いします。
本日はこちらの目次にしたがって展開していきます。まずは、2024年2月期振り返りと決算概要です。
グループビジョン
当社のグループビジョンです。「リユースで地域と世界をつなぐ」というグループビジョンのもと、リユースのEC領域、店舗領域、BtoB領域、その他の方針に基づき、当期の展開を行っています。
2024年2月期の当連結累計期間の業績サマリー
連結売上高は、前年同期比プラス12.6パーセントの成長で、351.9億円を計上しています。
連結営業利益、連結経常利益は、会計年度後半の中古トレカ市況の相場変動の影響で、著しく粗利益の獲得が低下したことにより、予想を下回る成績となりました。
当期純利益は、計画の見直し等による減損判定の結果、最終的に5.6億円を計上しています。
主要セグメントの売上高の動向
主要セグメントの売上高の動向です。本に関しては、デジタル化の中で低調に推移しています。一方、中古ゲーム、中古トレカ、中古ホビー、新品トレカ、新品ホビー、これらの商材については引き続き堅調に推移しました。
連結損益計算書
連結損益計算書です。ご覧のとおり、今期は売上高が増収となりましたが、営業利益は減益となりました。
連結営業利益の振り返り
連結営業利益の振り返りとして、前期末から今期までの営業成績を分解しました。FCの出店は堅調な展開によりプラス7,000万円、「TAYS」等のBtoB事業はプラス3,400万円、ECは「ふるいちオンライン」のコスト部分を、山徳社の収益が補ったことによりプラス700万円となっています。
直営店の営業成績は、特に期の後半にトレカ市況のマイナスの影響を受け、利益を減少させています。また、出店等の戦略により、本部コスト自体は少し増えました。
結果として、今期は営業利益13億3,300万円を計上しています。
四半期ごとの売上高及び営業利益の推移
四半期ごとの展開を見ると、売上高は堅調に推移しました。しかし、営業利益は後半のトレカ市況の影響により、前年度までと比べて低調な推移となっています。
連結貸借対照表
貸借対照表です。この中で目立っているところは、やはり商品の残高です。現在、当社は成長戦略として、FCを含む新規出店に加え、外販等に備えた商品在庫の増強、積み増しを行っています。
連結キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フローについては、棚卸資産増加の影響により、前年比で営業キャッシュ・フローが目減りしています。
現金及び現金同等物は、期末に27億7,300万円を計上しています。
2024年2月期の連結業績予想の進捗状況
連結業績予想に関する進捗状況は、利益面で約75パーセントという結果になりました。
2024年2月期の配当実績
配当実績についてご報告します。昨年、第1四半期のタイミングで配当金を1円増配し、4円配当としています。
また、自己株の取得等も行い、総還元性向は92.2パーセントという結果になりました。当初は利益面をさらに伸ばすことを想定していたため、数値的にはかなりイレギュラーな状況になったと考えています。
ただし、当社では株主のみなさまへのいろいろな約束事として、「極力還元する」という方針に関しては揺るぎないかたちで取り組んできたため、当期末はこのような実績で締めています。
株主優待
株主優待については、期初より優待の内容を大幅に拡充しました。結果として株主数は、昨年の同時期に比べてトータルで1.5倍に伸長しました。したがって、株主のみなさまのご支持は一定数いただけたのではないかと考えています。
連結業績予想
連結業績予想です。売上高は374億円、営業利益、経常利益はともに15億円、当期純利益は9億円を業績予想として公表しました。
引き続き、出店等により業容を拡大するとともに、営業利益については、管理コストの精度及び品質の向上に注力し、強い会社の体制をしっかりと打ち出していけるよう、がんばっていきたいと思います。
2025年2月期連結業績予想と中長期目標数値
先日、成長戦略として公表した、中長期の目標数値です。2025年2月期の売上高は374億円、営業利益は15億円を目標数値としています。従前に公表した2027年2月期の中長期目標数値である売上高354億円はすでに相応に達成しましたが、営業利益20億円は未達成のため、引き続き20億円の目標数値を据え置きとしています。
さらに中長期目標として、2029年2月期に売上高500億円、営業利益25億円を設定しました。
資本業務提携(2024年3月29日開示)
トピックスです。3月29日にTORICO社との資本業務提携を開示しています。本日無事に払い込みを終え、晴れてTORICO社との業務提携がスタートしました。
当社の株式保有比率は19パーセント、取締役1名を派遣予定で、TORICO社との関係は持分法適用関連会社となる見込みです。また、現状の取引関係として、当社からTORICO社への中古商材の卸売取引が発生しています。
別途、システム関連の連携も足元で進捗しており、その点も後ほどご報告します。
資本業務提携の目的
資本業務提携の目的です。テーマを大きく5つに絞っています。
両社のシナジー効果への期待
両社のシナジー効果への期待は、最終的に海外戦略へと結びついていきます。
ここからは、テーマごとの取組についてご報告します。
資本業務提携 ~コミュニティ形成戦略~
コミュニティ形成戦略です。当社のリアル店舗の強みと、TORICO社のEC発信力の強みを共有することで、新たなコミュニティ形成戦略を構築していきます。
当社の立場から見て、TORICO社は出版社に近い事業体で、その出版物等の知的財産権を活用したIPビジネスを積極的に展開されています。この点を、中古商材を主体とした当社のビジネスモデルの中で効果的に連携し、新たな境地に向かっていきたいと考えています。
資本業務提携 ~商品戦略~
商品戦略です。当社にはリユース商品の調達力と売買のノウハウが、TORICO社にはIPビジネスと新刊書籍のノウハウがあります。それぞれの商品戦略を融合することで、新しいターゲット層に働きかけていきます。これらは海外戦略にもつながっていく見込みです。
資本業務提携 ~体験型ビジネス戦略~
体験型ビジネス戦略です。当社はリアル店舗や地方創生活動の現場での運営力を活かし、各地で展開しています。一方、TORICO社はIPを活用したイベント・コンセプトカフェの展開を、さまざまなかたちで行っています。
これらの融合により目指すかたちが、体験型ビジネス戦略です。まだやわらかな構想の段階ですが、TORICO社と連携した共同出店を考えており、場合によっては「商業施設等での新たな展開も模索したい」という夢を持っています。
資本業務提携 ~海外戦略~
海外戦略です。当社のリユース商品調達力・売買ノウハウ、そして先行して海外を開拓しているTORICO社の現地開拓推進力を共有することで、海外戦略を効果的に展開していきます。
現在は主なターゲットエリアとして、台湾、東南アジア諸国を中心に考えていますが、EC等も絡めることで、ワールドワイドな展開に段階的に結びつけていきたいという構想を抱いています。
資本業務提携 ~EC戦略~
EC戦略です。立ち上がりの渦中ではありますが、当社の「ふるいちオンライン」とTORICO社の「漫画全巻ドットコム」の会員サービスを融合し、既存EC戦略を効果的に見直すことで、最大限の戦略強化を目指していきます。
また、TORICO社は、システムを内製化しており、社内に技術者を保有しています。すでに両者の連携はスタートしており、テイツー側のECシステムに関しては、TORICO社の保守運営、開発なども従前に比べ、タイムリーに展開することが期待されており、足元のコスト削減にも大きく寄与する状況を確保しています。
当社グループ中核事業の強化を目的とした取組の構図(1/2)
事業取組の方針に関してご説明します。スライドの図は、当社グループの中核事業の強化を目的とした取組の構図です。
まず、中核事業の取組として2つのブロックがあります。メインビジネスプラットフォームは、主体となるふるいち事業のリアル店舗と、ECの既存事業で構成される儲けの柱の部分です。
図には「信用」という言葉を記載しています。これは今の拡大戦略に結びつく考えである、「一定の規模を持つこと」、そして、その中で働く「人財の強化」を指しており、当社の中核事業の一番核となる部分です。
社会的意義の取組においては、基盤としているお客さまとの接点強化と、コミュニティ形成の融合が、メインビジネスプラットフォームにさらなる強化をもたらします。そして、これらの総合的な動きが、図の「多様性」の部分となる、企業や行政等を含めた発展性につながります。
ひとつひとつの積み上げが、当社グループの発展に寄与すると考えています。
当社グループ中核事業の強化を目的とした取組の構図(2/2)
スライドには、先ほどの図を横展開したものを示しています。中核事業であるメインビジネスプラットフォームを、コミュニティ形成、お客さまとの接点強化により大きく広げ、事業を発展させていきます。
Ⅰ.中核事業の取組
スライドの表は、メインビジネスプラットフォームを短期・中期・長期と期間ごとに区分したものです。中央に位置するビジネスプラットフォームでは、表には出ていませんが、基幹システムによる統制環境において卓越した技能を持っていると自負しています。
ビジネスプラットフォームは、商品力、運営力、システム力、物流力が総合されることで活きていきます。短期に置いた既存中核事業の発展は、今回公表した直近1年の数字をはじき出す取組となっています。
ここにTORICO社との連携も一定程度寄与しつつ、中期のさらなる発展においては、そこが大きな掛け算となり、会社の業容拡大につながっていくと考えています。
Ⅰ.中核事業の取組 ~業務提携によるエンターテインメント要素の拡充~
従来のリユースEC領域、店舗領域、BtoB領域、その他に加え、今回、TORICO社との業務提携によるエンターテインメント要素の拡充として、グローバル領域、IPビジネス領域という2つの領域を新たに追加しました。
リユースを主体とした従来のビジネスに新しいエンターテインメントの要素を加え、さらなる発展を目指していきます。
中長期の目標数値
中長期の目標数値は、2029年2月期の連結売上高が500億円、連結営業利益が25億円となっています。
従来は小売をベースとしたECを含む中核事業で形成されていました。この要素は引き続き伸ばしつつ、IPビジネス領域、グローバル領域の成長をもってトータルで目標数値の達成を目指します。
Ⅱ. 社会的意義の取組 ~リユースで地域と世界をつなぐ~
社会的意義の取組についてご説明します。社会貢献を目指すことだけにとどまらず、マンガの聖地や文学活動を通じて「ふるいち」のブランド化を一連の活動の中で築き上げていきます。今後は「ふるいち」のブランド力が本業の発展に寄与し、トータルの効果を得られるように取り組んでいきます。
Ⅱ. 社会的意義の取組 ~地域に必要とされるお店になる~
こちらのスライドでは、当社が過去に行ってきたさまざまな取組をご紹介しています。またあらためてご確認ください。
地域に必要とされるお店になる ~地域と世界をつなぐ~
日本はマンガの聖地であり、その中核にある1つの表現のかたちが、トキワ荘というブランドです。当社は、マンガの聖地に深く関わる企業として世界にさまざまな文化を発信していきたいと考えています。
当社創業の地である岡山県岡山市は、日本で唯一、ユネスコ創造都市ネットワークの文学分野における加盟都市に選ばれており、世界に向けたさまざまな文学活動の発信の拠点となっています。
トキワ荘と、ユネスコ創造都市ネットワークの文学分野における加盟都市に指定された岡山市には深い関係性があります。スライドに詳しく記載していますので、ご確認ください。
業績の推移
当社のグループの概要をご報告します。
業績の推移は、残念ながら増収減益というかたちになりましたが、いったん会社の中身の品質を見直し、業容拡大の成長を志向しつつ、利益もきちんと出していけるように体制を整えていきたいと思います。
取扱商品別売上高構成比
当期は新品と中古の比率が「45対53」となっていますが、当社は引き続き、新品で集客を行い、中古で儲けるというビジネスモデルをブラッシュアップしていきたいと考えています。
『古本市場』の店舗仕様
店舗の仕様についてご説明します。スライド左側のグラフは、会員データを基に年齢別来店顧客を表したものです。保護者の方が会員になっている低年齢層は少なく見えますが、体感を含めた店舗の評価としては、小さいお子さまから大人の方まで幅広く利用している、バランスのとれた店舗であると考えています。
また、最近は女性のお客さまも大変増えており、こちらの会員情報のデータベースとは違った様子も現場では見えてきています。
『テイツー』 店舗ネットワーク
FCも含めた店舗ネットワークは、期末で162店舗の体制となりました。
全国に広がるネットワーク
足元では43都道府県が塗りつぶされた状況となっています。
まだ白いエリアもありますが、こちらについては引き続き、BtoB戦略で行っている「TAYS」の拡販等でつながった取引先を全国に広げていくつもりです。
これらの活動が最終的に会社のブランド信用力を支え、中核事業に戻ってくると考え、引き続きエリア拡大政策に注力していきたいと思っています。
100%子会社 『山徳』 会社概要、成長実績
山徳社の会社概要と成長実績をお伝えします。山徳社は2020年6月に当社と合流しました。以降さまざまな連携を通じ、安定した収益と成長を示しています。
100パーセント子会社のため、グループの1つの部門として、引き続きインターネット事業を支えてもらいます。そして、そのノウハウを本体にも共有するという目標を掲げ、日々の業務のブラッシュアップに努めています。
100%子会社 『山徳』主な取り組み
現在、山徳社はさまざまなブランドで営業展開しています。経営の効率化を目的として、今年度は新社屋に多様な業務を集約し、より効果的な事業の推進を図っていく所存です。
以上でご説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:中古トレカの現状と今後について
司会者:「中古トレカの現状と今後について、もう少し詳しくご説明いただきたいです。相場価格の変動の影響とは、具体的にどのようなものでしょうか?」というご質問です。
藤原:今回、中古トレカのマーケットに関する資料はお付けできていませんが、引き続き堅調に推移している状況です。
当社も成長戦略の中で一定の在庫を積み上げていたため、言葉の表現が悪いですが、相場価格の変動などによって、高掴みした在庫による利益率の圧迫が顕著に見えています。一方、市況自体は活性化している中で新品トレカは引き続き活況であり、足元では利益も確保している状況です。
ご心配をおかけしている部分もあると思いますので、2点ほどご説明します。相場の変動がリスクとなり、引き続きこのようなことが起きる限りは損失が積み上がるのではないか、儲けられないのではないかというご懸念があるかもしれません。
しかし、こちらのスライドの中古トレカについて解説しているポイントを1つ挙げると、当社にはトレカに特化した「トレカパーク」という専門店と、「古本市場」や「ふるいち」の屋号の店舗に内包されたトレカの一般店舗という、2種類の店舗があります。
専門店では、時代の最新データを追求し、コアなユーザーに満足していただく店舗運営スタイルをとる必要がありますが、一般店ではそのようなニーズだけではない部分に対応するケースが多くあります。
また、当社はチェーン展開しているため店舗数も多く、結果として、市場でどれだけ評価の高いカードであっても、当社の既存店舗で一定数量を確保できていれば、決して市場価格に100パーセント連動する必要はありません。むしろ、価格はオリジナルの設定で、状況に応じてうまく繰り回ししなければならない部分があります。
そのような意味で、特徴となる管理体制をよりブラッシュアップし、常に最適な利益確保の仕方を追求するという部分は、当社がまだ磨くことのできる領域です。成長戦略を立てている中で一定量の在庫を持たなければならず、今回の価格変動の影響による価格の急な下落に追いつききれなかった運営があった反面、そのような課題をしっかりと受け止め、当期以降の展開に活かしていきたいと思っています。
質疑応答:TORICO社の今後の業績の伸長イメージについて
司会者:「資本業務提携先のTORICO社は現在赤字のようですが、山徳社のように、テイツー社が関わることで業績が伸長していくイメージをお持ちなのでしょうか?」というご質問です。
藤原:TORICO社が現在出している通期着地見込みは、利益面でマイナスとなっています。その点に関するご質問かと思いますが、当社の場合は、まずTORICO社との事業を合わせ込むにあたって各種シナジー効果を認めており、それがスライドに記載した5項目だと考えています。
TORICO社の売上利益面を伸ばしたいという課題にも合致しており、当社の場合は売上面のみならず、TORICO社との連携において運用面のコスト低減なども十分に見込めると考えています。結果的に、当社グループの実績としては、TORICO社との連携においても、山徳社のような実績をきちんとお示しできる算段をつけていきたいと思っています。
質疑応答:TORICO社との連携による事業拡大の規模の見込みについて
司会者:「TORICO社との連携によってどれくらいの事業拡大が見込まれますか?」というご質問です。
藤原:まだTORICO社との連携に関する数値の公表をする段階ではなく、それぞれ上場会社として公表上の限界点がある状況ですが、スライドに記載した中長期目標でイメージしているIPビジネス領域・グローバル領域の成長は、当社が今まで手をつけていなかった領域です。
この部分において、TORICO社との連携によって2029年2月期目標の連結売上高500億円、連結営業利益25億円を達成できるような、しっかりとした座組を形成していきたいと考えています。
質疑応答:TORICO社との連携によるEC事業への効果について
司会者:「これまでのEC事業は、TORICO社との連携・提携によってどのようなことが期待できるようになるのでしょうか?」というご質問です。
藤原:EC事業の中でも、現在は当社がリアル店舗を主体としたビジネスを展開している中、在庫をECに振るか、店舗に振るかという点において、より効果のある状況を模索しつつ、小さく立ち上げていっているのが「ふるいちオンライン」になると思っています。
1つ課題となっていたのは、新たなニーズを認識する中で追加開発やシステムインフラの整備などのメンテナンス部分にクイックに対応できないことです。当社は内製化してシステム部隊を持っている状況ではないため、TORICO社がその課題を解決するポイントとなる動きをとれることは、非常に大きな点です。
そのため、システムを連携することで、コストダウンだけではなく、売上の拡大につながります。また、TORICO社は限りなくネット専業に近いかたちで展開し、上場されていますので、そのようなノウハウを既存グループの山徳社とは少し異なる角度から、本体となる当社にもたらすことを期待しています。
質疑応答:イオンモールでの新規出店による利益貢献状況について
司会者:「リアル店舗主体の戦略が続いているようですが、イオンモールでの新規出店は利益にどのくらい貢献しているのでしょうか?」というご質問です。
藤原:実数を用いた詳細なご説明は割愛しますが、イオンモール自体は順調に立ち上がっています。現時点では、なるべく良い店舗を出店するための立地選定も実現しています。
一方で、今回は減損というテーマもあり、既存店舗である「古本市場」も含めた店舗展開の中で、会計ルールに則り、一定のコストを各店舗に割り振って、最終的に財務戦略上のさまざまな判定を行うことになります。一定のルールに則った処理とはいえ、実際の会社に寄与する利益の積み上げは別軸でしっかりと進展しており、イオンモールの店舗に関しては積み上がっている状況であるとご報告します。