目次

IR担当:これから2024年4月期第2四半期の決算についてご説明します。本日の目次はスライドをご覧ください。

決算ハイライト

決算ハイライトについてご説明します。まず、2024年4月期第2四半期累計の業績サマリーです。

売上高は23億3,500万円で、前年同期比プラス205.2パーセント、EBITDAは4億4,900万円で、前年同期比でプラス374.3パーセント、営業利益は2億5,200万円で、前年同期比プラス572.1パーセントと、前年同期比で大幅な増収増益となりました。特に、当第2四半期においては、当社のBtoB事業が大幅に伸長し、当該事業の売上高も前年同期比プラス41.5パーセントの大幅な増収を実現することができました。

当四半期の取り組み状況としては、大規模言語モデルを活用したAIアシスタントサービス「HEROZ ASK」について、2023年9月末にβ版「HEROZ ASK for Enterprise」の提供を開始し、年明けからは有償化を進めていく予定です。

また、2023年11月24日に株式会社エーアイスクエアの株式を取得し、同社をグループ化しました。今後、エーアイスクエア社が提供するコンタクトセンター領域のサービスと、当社が保有するAIの開発技術やLLM(Large Language Model/大規模言語モデル)の活用のノウハウを通じて、コンタクトセンター領域におけるAIトランスフォーメーションを実現していきます。

当社が重視する重要な業績指標

2024年4月期第2四半期の業績をご報告します。当社では、スライドに記載した2点の業績指標を重視しています。

1点目は、事業収益性に関する業績指標であるEBITDAです。EBITDAは営業利益に各種の非資金費用を加算して算出しており、非資金費用として、減価償却費、株式報酬費用、のれん償却費、敷金償却費のほか、棚卸資産の評価損を含めています。

のれんについては、監査法人と協議の上、バリオセキュア社に関するのれんは金額で21億8,000万円、償却期間は14年とし、ストラテジット社に関するのれんは金額で2億1,900万円、償却期間は9年としました。

2点目は、AI SaaSに関する業績指標であるARR(年次経常収益)、リカーリング売上比率、解約率です。これらの指標は、いずれもSaaS型事業を推進する上では重要な指標になると考えています。

第2四半期累計の連結業績サマリー

業績サマリーです。第2四半期累計の会計期間において、売上高は23億3,500万円で前年同期比プラス205パーセント、EBITDAは4億4,900万円で前年同期比プラス374パーセント、営業利益は2億5,200万円で前年同期比プラス572パーセントとなりました。いずれの指標も大幅な成長を実現することができています。

また、当社がAI SaaS戦略を推進する上で重視する指標として、ARRは29億5,800万円と前年同期比プラス375パーセントの成長を果たしました。リカーリング売上比率は62.4パーセントで前年同期に比べて22.3ポイント上昇しています。リカーリング解約率は、主要な売上構成であるAI Security事業において0.6パーセントと、非常に低い解約率となっています。

これらの実績は、オーガニックによる成長に加えて、2023年4月期における2社のM&Aを通じた非連続な成長を実現してきた成果だと考えています。

2024年4月期 第2四半期累計連結業績

2024年4月期第2四半期累計の業績概要です。先ほどのハイライトでもご説明したとおり、前年同期比で大幅な成長を実現できました。

通期の業績予想に対する進捗率は売上高が48.7パーセント、EBITDAが56.2パーセント、営業利益が63.0パーセントで推移しています。今後も順調な事業成長が見込まれており、通期の業績予想は達成可能なものと考えています。

なお、株式会社エーアイスクエアの連結化に伴う業績予想の修正については、連結財務諸表に与える影響の精査が完了次第、ご報告する予定です。

主要な業績KPIの推移(四半期別)

主要な業績KPIである売上高およびEBITDAの各四半期の推移です。当第2四半期の売上高は12億1,700万円と、前四半期よりも大幅に増加しました。同様に、EBITDAは2億7,900万円と、こちらも前四半期よりも大幅に増加しました。

特に第1四半期においては、将来の事業成長に向け、主に人材やシステムに関する投資を行ったため、前四半期のEBITDAは減少しました。しかし、当第2四半期においては、主に当社のBtoB事業の売上の増加により、投資を継続しながら増益を達成できました。

リカーリング売上は継続的に増加傾向

当社はAI SaaS戦略を掲げ、リカーリング売上比率を重視し、売上の質を追求しています。その結果、スライドのグラフで示したとおり、2023年4月期第3四半期以降、当社の売上の3分の2程度がリカーリング売上として計上され、安定的なものとなっています。今後も事業構造の変革をより進めていきたいと考えています。

当第2四半期においては、BtoB事業のAIソリューション売上が伸長したため、リカーリングの比率は低下しましたが、リカーリング売上自体は増加しています。また、年明け以降に各種SaaSプロダクトの有償版を提供開始することに伴い、今後本格的なリカーリング売上の増加を目指していく方針です。

グループ全体のARRは約29億円と過去最高の収益を更新

前年度の2社のM&Aによって、ARRは当四半期において29億5,800万円となり、前年同期比プラス375パーセントの大幅な成長を実現することができました。引き続き、リカーリング売上を増加させていくことにより、ARRを継続的に成長させていきます。

リカーリング売上は、今後プロダクトのローンチに伴い継続的に増加見込み

今後のリカーリング売上の見込みについてです。BtoB事業に関するリカーリング売上は、今後の「HEROZ ASK」の有償化や「JOINT」のリリースを踏まえ、急速な成長を見込んでいます。

BtoC事業については、「将棋ウォーズ」や関連サービスに関する会員数は順調に増加しています。また、新たにリリースした「棋神ラーニング」も会員の獲得が順調であり、BtoC事業においても安定的にリカーリング売上の増加を見込んでいます。

さらに、主にバリオセキュア社が提供するAI Security事業においては、既存サービスの対応領域の拡大や、ゼロトラストセキュリティ領域への参入を通じ、中小企業向けマーケットにおいて確固たる地位を確立していきます。

セグメント別業績:2024年4月期 第2四半期

2024年4月期第2四半期累計のセグメント別の業績についてご説明します。当社のセグメントは、従来のHEROZの事業にストラテジット社を加えたAI/DX事業と、バリオセキュア社が展開するAI Security事業の2つです。

AI/DX事業については、売上高が10億3,800万円となり、前年同期比プラス35.7パーセントの成長を実現しました。M&Aの影響を除くオーガニックの成長率は14.6パーセント、EBITDAマージンも37.6パーセントと非常に高い収益性となっています。

AI Security事業においても、売上高は13億600万円、EBITDAは5億6,000万円、EBITDAマージンは42.9パーセントと、こちらも非常に高い収益性を維持しています。

AI/DX事業セグメント

AI/DXサービスセグメントは、「将棋ウォーズ」を中心としたBtoC事業、顧客のAI開発を担うBtoB事業、およびストラテジット社が展開するSaaS導入やSaaS連携開発事業を展開しています。当社が提供する「将棋ウォーズ」を中心としたBtoC事業は、藤井聡太竜王・名人の8冠獲得等の影響もあり、引き続きユーザー数は増加しています。

AIソリューションを提供するBtoB事業においても、LLM関連案件の増加や、当社の営業体制強化が売上に反映され始め、前年同期比および前四半期比で大幅な増収で着地しました。今後「HEROZ ASK」の有償版提供を控え、リカーリング売上の増加も図っていきます。

また、ストラテジット社においては、SaaS連携プロジェクト「JOINT」の開発を進めており、年明けには提供を開始していく予定です。こちらでも、リカーリング型の事業モデルへの転換を進めていきます。

営業組織の強化による顧客開拓が進みHEROZ(単体)のBtoB事業は大幅増収を実現

先ほどご説明したとおり、当社のBtoB事業について、当第2四半期において顕著な売上成長を実現しました。結果として1人あたり売上高も大幅に上昇し、有償稼働率も上昇し、ピーク期には前期比で20パーセント程度の稼働率の改善が見られました。

スライド右側には、BtoB事業の稼働案件数の推移も記載しています。第1四半期に獲得した案件の稼働が順調に立ち上がり、当第2四半期の案件数は大幅に増加しました。引き続き営業活動を強化しており、第2四半期累計の売上成長は一過性のものではなく、継続的に成長可能であると考えています。

直近の将棋ブームの追い風を受け、BtoCも当初の予想を上回り10%前後の成長が継続

当社のBtoC事業についてです。当四半期においても、安定的に成長を実現することができました。

当社は、藤井聡太竜王・名人が八冠を獲得した10月11日に、将棋の上達に向けた学習ツールである「棋神ラーニング」をローンチしました。従来の将棋学習とは異なり、体系的に、かつAIを活用しながら将棋を学ぶことが可能です。

通常は「初段になるために3年かかる」と言われているところを、1年で初段に到達可能なコンテンツとしてデザイン・提供をしています。当サービスについては、ローンチ以降、当社が想定していた会員獲得数を大幅に超える推移で会員数が増加しており、好調な滑り出しを実現することができました。

また、11月16日には、当事業のビジョンである「将棋人口最大化」に関するさまざまな取り組みが評価され、日本将棋連盟から普及・振興の貢献を称えた表彰をいただきました。引き続き、将棋人口の最大化に貢献していきたいと考えています。

AI Security事業セグメント

AI Security事業においては、バリオセキュア社が展開するセキュリティ事業に、HEROZグループのAIを実装していくビジネスを展開しています。マネージドセキュリティサービスは安定的な顧客基盤を有しており、リカーリング売上比率は87.2パーセントと、非常に安定性の高い事業を推進しています。

また、この秋には、SOC(セキュリティオペレーションセンター)において、当社のAIを活用した運用の効率化を開始しており、コストの削減を実現できる見込みです。

主力のマネージドセキュリティサービスは堅調に進捗

AI Security事業の主力であるマネージドセキュリティサービスについては、エンドユーザーの増加に伴い、堅調に売上高を積み上げることができました。マネージドセキュリティサービスにおける売上高は、前年同期比プラス3パーセントを実現しています。引き続き、主力であるマネージドセキュリティサービスを成長させ、売上の質の高い事業を確立し、成長を促進していきます。

マネージドセキュリティサービスは、低い解約率で順調にエンドユーザー数を増加

マネージドセキュリティサービスにおける解約率は、当四半期は0.6パーセントと、引き続き低い水準で推移しています。また、マネージドセキュリティサービスのユーザー数は順調に成長を続けており、安定的な収益基盤に貢献しています。

さらに、新規サービスであるマルウェアの検知および対策サービスやランサムウェア対策型バックアップサービスも、順調に事業成長しています。

貸借対照表(2023年10月末)

現時点の貸借対照表についてご説明します。現金および預金は35億円と、引き続き高い水準を有しており、先日発表したエーアイスクエア社のM&Aにとどまらず、事業拡大に向けたM&Aに積極的に充当していく予定です。

エーアイスクエア社の会社概要

株式会社エーアイスクエアの株式取得についてご説明します。

まずはエーアイスクエア社の会社概要です。同社は2015年に創業し、コンタクトセンター領域において、自然言語処理を中核とする自動応答システムや、自動要約・分類システム等のAIソリューションを提供しています。

当社は2023年11月30日付で、同社の議決権の50.1パーセントを占める株式を取得し、連結子会社化しました。

サービス概要

エーアイスクエア社のサービスの概要です。同社は、機械学習やディープラーニングを自然言語処理へ応用し、コンタクトセンター領域において、自動応答システムや自動要約・分類システムをはじめとする業務の自動化ソリューションを展開しています。具体的には、音声認識システムやオペレーター支援システム、対話要約・分類システム、FAQ作成支援システムなどを提供しています。

主な取引企業

エーアイスクエア社の主要な取引先はスライドのとおりです。当社グループに参画することになり、当社の顧客基盤を活用して、顧客の開拓活動をより推進し、高い売上成長を実現していきます。

エーアイスクエア社の業績推移について

エーアイスクエア社の業績推移についてご説明します。同社は、この数ヶ年は成長投資や上場準備費用によって赤字決算であったものの、今期は売上成長とコストコントロールにより黒字転換を予定しています。

2024年6月期は、売上高3億6,000万円、営業利益1,000万円を見込んでいます。なお、同社は当社へのグループ入りに合わせて、今後は決算期を2月に変更する予定です。

エーアイスクエア社 株式取得の狙い

当社がエーアイスクエア社の株式を取得した狙いをご説明します。当社はこれまで、主に建設・金融・エンタメ領域において、お客さまのAIの実装に関連したAIソリューション事業を展開してきました。当社が提供するAI領域としては、時系列分析、強化学習、画像解析、数理最適を中心に提供を行ってきました。

一方で、エーアイスクエア社はコンタクトセンター領域において強みを有しており、特に自然言語処理のAI技術に長けています。このように、両者は展開する領域や強みとする技術領域が異なっており、非常に大きな補完関係を有しているため、両者におけるシナジーの創出は可能だと考えています。

コンタクトセンター市場に関する当社理解

当社は、エーアイスクエア社の株式取得を通じて、本格的にコンタクトセンター市場に向けたサービスを提供していきます。「コールセンター白書2023」によると、コンタクトセンター業界は、2022年において市場規模が1兆円以上あり、2026年に向けて、年率5パーセント強の成長が見込まれる領域です。

一方で、コンタクトセンター業界はさまざまな課題を抱えています。特にストレスの高い業務であるため、慢性的な人材不足に陥っており、AIを活用した業務変革が不可欠になってきています。当社はエーアイスクエア社と協業することで、これらの業界が抱える課題について、改革を支援していきたいと考えています。

コンタクトセンターにおける生成AIの期待

これらの課題と向き合う上で最も重要な点が、「ChatGPT」をはじめとする生成AIの活用です。「コールセンター白書2023」によると、コールセンターで生成AIの活用について「検討中」または「まだ活用予定ではない」とした割合が非常に高く、生成AIを活用した抜本的な改革はほとんど進んでいない状況となっています。

当社はすでにパートナー企業と、コンタクトセンター領域における生成AI活用のPoCを進めています。当該の知見と経験を活かし、エーアイスクエア社と協業することで、コンタクトセンター領域における生成AIの活用を推進していきます。

コンタクトセンター業務の全体像とプロダクトがカバーする業務

コンタクトセンター業務の全体像としては、Operation領域とManagement領域に区分でき、スライドにそれぞれの業務フローを記載しています。当社は、生成AIを活用したAIアシスタント「HEROZ ASK」のクローズドβ版の提供を開始しており、年明けから有償化を進めていく予定です。

さらに、「HEROZ ASK」に加えて、エーアイスクエア社が有する「QuickQA」や「QuickSummary」などのプロダクトを活用することで、AIを活用した業務改革に向けて、幅広くコンタクトセンター向けの支援が可能になると考えています。

将棋ウォーズのカスタマーサクセス業務の高度化事例

コンタクトセンター業務において、生成AIを活用している事例をご紹介します。当社のメイン事業である「将棋ウォーズ」においては、ユーザーから寄せられるさまざまな問い合わせを自動分類し、返答内容を生成する社内プロダクトを開発しました。

当プロダクトの活用により、カスタマーサービス業務の大幅な効率化が可能となりました。今後は、当プロダクトをグループ会社やゲーム業界向けのカスタマーサクセスソリューションとして展開していく予定です。

統合後のシナジー創出に向けた取り組み計画

エーアイスクエア社統合後のシナジー創出に向け、当社では4ステップの取り組みを検討しています。両者の強みを活かしたプロダクトによる、コンタクトセンター領域における市場創出・拡大を段階的に目指していきます。

グループの事業構造(事業セグメント)

各セグメントの取り組み状況についてご説明します。当社は、AI/DX事業とAI Security事業の2つを展開しています。なお、グループ化したエーアイスクエア社については、AI/DX事業に分類する予定です。

AI/DX事業における取組

AI/DX事業における取組の状況についてご説明します。BtoC事業においては、将棋学習ツールである「棋神ラーニング」をリリースしました。「将棋ウォーズ」「棋神アナリティクス」とあわせて、学んで対戦して分析することを通じ、「将棋ウォーズ」経済圏の確立を進めていきます。

BtoB事業においては、当社の営業組織による顧客基盤の強化、およびフロント部署によるエンジニアの稼働率改善施策等が実り、前四半期比で大幅に売上高が増加しました。

今期を通じた主な取組としては3点あります。1点目は、大規模言語モデルを活用した「HEROZ ASK」のサービスをリリースし、クローズドβ版の提供を開始したことです。年明けからは有償化を進めていく予定であり、リカーリング売上の増加を図っていきます。

2点目は、エーアイスクエア社の株式を取得し、グループ会社化を実現したことです。3点目としては、バリオセキュア社のネットワークセキュリティの運用監視サービスに適応した「AI SOC」にHEROZのAIを搭載し、運用開始しました。

Digitalトランスフォーメーション(DX)から AIトランスフォーメーション(AIX)へ

当社の推進するAIトランスフォーメーションについて、あらためてご説明します。現在、デジタルトランスフォーメーションの推進が企業において重要な課題となっています。

デジタルトランスフォーメーションの推進にはステップがあり、まずはアナログデータのデジタル化である「デジタイゼーション」を進め、その上で業務プロセスをデジタル化していく「デジタライゼーション」を行う必要があります。そして、最終的にはビジネスモデル自体を変革していく「デジタルトランスフォーメーション」につなげていくことが重要です。

当社はこれまで、AIの開発を通じ、企業のデジタルトランスフォーメーションの推進を支援してきました。しかし、昨今のOpenAI社が提供する「ChatGPT」等の大規模言語モデルの進化により、自然言語による指示ができる世界観が実現され、デジタル化のための漸近的なプロセスは不要になることが想定される事態となっています。

また、大規模言語モデルによってAIが誰でも使える時代になってきており、AIデモクラシー(民主化)が起きていると言っても過言ではありません。そのため、従来のデジタルトランスフォーメーションの推進から、AIをいかに活用してビジネスモデルの変革を早期に実現していくかという、「AIトランスフォーメーション」が重要になってきたと考えています。

当社は積極的に大規模言語モデルを活用し、企業の非連続な変革を支援していきます。

LLMプロダクトHEROZ ASK β版のリリースおよび今後のロードマップ

当社の提供するLLMプロダクト「HEROZ ASK」のβ版のリリースおよび今後のロードマップについてご説明します。現在、「HEROZ ASK for Enterprise」のβ版を、エンタープライズ企業向けに提供開始しており、リリース後2ヶ月で約20社の顧客にトライアルで利用していただいています。「HEROZ ASK for Enterprise」は年明け以降、有償化に移行していく予定です。

また並行して、インダストリ特化型のLLMプロダクトへの進化も検討しており、こちらも開発を進めています。

HEROZが考える LLMサービスの分類と当社のポジショニング

当社の考えるLLMサービスの分類と、当社のポジショニングについてもあらためてご説明します。付加価値が最も高いのは独自でLLMを開発することですが、こちらはコストがかかりすぎることに加え、ボリュームゾーンではないという認識でいます。一方で、一般的な「ChatGPT」等のLLMの活用だけでは、本当に業務に適した活用が困難であることがわかってきています。

当社では、個別企業のニーズに応じて、現実的なコストでカスタマイズするサービスを提供していく予定です。これらを構築・支援することに加えて、月次のランニングフィーをいただくことで、リカーリング売上の増加を図っていきます。

「HEROZ ASK」サービス概要

当社の提供する「HEROZ ASK」は、エンタープライズ向けのAIアシスタントとして提供を開始し、SaaS型で事業を推進していきます。

「HEROZ ASK」には、社内データの読み込みが可能、柔軟なアクセス制限管理が可能、高いセキュリティを担保している、ユーザー独自の設定が可能、充実したハルシネーション対策が確保されているという5つの特徴があります。なお、サービス名称である「ASK」は「Always seek Knowledge」の略称です。

事例:建設業における法規検索

建設業における建設法規検索サービスの提供も検討しています。「ChatGPT4」における「宅地建物取引士資格試験」問題の正答率は40パーセント台ですが、当社がカスタマイズした「ChatGPT」では70パーセントまで高めることができています。継続して学習させることで、最終的には一級建築士合格レベルまで到達させていく予定です。

将棋学習サービス「棋神ラーニング」の提供を開始

先ほどご説明したとおり、当社は2023年10月11日に「将棋ウォーズ」内のコンテンツとして、「棋神ラーニング」のサービス提供を開始しました。通常、「将棋初心者が初段になるまで3年ほどかかる」と言われるところを、将棋初心者でも1年で初段になれるサービスとして設計しました。1日1時間、1年365時間の学習で初段到達を目指すことができるサービスとして提供しています。

当サービスの提供を通じ、将棋を学び、将棋を楽しみ、棋譜を分析するといった将棋好き経済圏を確立していきます。

AI Security事業の取組

AI Security事業の取組についてご説明します。詳細な事業説明や取組の内容については、バリオセキュア社にて決算説明資料を開示していますので、そちらからご確認ください。

トピックス① 脆弱診断サービスの提供開始

AI Security事業のトピックスの1つ目としては、「脆弱診断サービス」の提供を開始しています。これにより、ワンストップでの企業向けセキュリティ支援サービスを、より強化していきます。

トピックス② AI SOCプロジェクト

2つ目のトピックスとして、「AI SOC」プロジェクトを開始しています。HEROZのAI技術を活用し、ネットワークセキュリティの運用管理業務を合理化するプロジェクトを推進しています。

トピックス③ 既存販売網と異なる新規営業体制の強化

3つ目のトピックスとして、既存販売網と異なる新規営業体制の強化を図っています。中期経営計画の方針に基づき、強力なダイレクトセールス体制の構築を推進しており、各種KPIは大きく改善傾向にあります。

戦略方針:今後のIDaaS事業~中堅・中小企業向けのゼロトラスト展開

今後の戦略方針としては、中堅・中小企業向けのゼロトラスト事業を展開していきます。クラウドからオフィス環境まで、今後も中堅・中小企業の規模感に合ったセキュリティサービスを提供することで、セキュリティの担保と運用保守の省力化を図ることが可能となります。

よくいただくご質問について

今四半期のIR活動を通じ、よくいただいた質問をご紹介し、回答したいと思います。1つ目は「当社のBtoB事業の成長に対する評価および今後の見込みについて」です。これまでご説明したとおり、当第2四半期において、BtoB事業は前年同期比プラス40パーセントを超える成長を実現することができました。

この増収は、生成AIブームによる一過性の数字ではなく、営業体制の評価による顧客基盤の強化や、マネジメントの効率化によるエンジニアの有償稼働率の大幅な改善等、当社のBtoB組織が売上にコミットする体質へと変化していることによるものと捉えています。そのため、今期下期以降も引き続き成長を実現できるものと考えています。

2つ目は「通期業績予想の達成見込みについて」です。期初に発表した通期業績予想については、今回発表したエーアイスクエア社の連結による効果を除いても、売上高および各種利益は達成可能であると考えています。エーアイスクエア社が連結業績に与える影響については、現在試算していますが、精査ができ次第、通期業績予想を公表していきたいと考えています。

ご挨拶

ご説明のとおり、当四半期において、BtoB事業の大幅な伸長を実現することができました。これらの成長は一過性のものではなく、継続させていくことができるものと考えています。また、エーアイスクエア社の連結子会社化も発表しており、近年急速に発展している大規模言語モデルを戦略の核として掲げ、事業を推進していきたいと思います。

以上で、2023年4月期第2四半期決算説明会を終了します。引き続き当社の事業成長にご期待いただけますと幸甚です。ご清聴いただき誠にありがとうございました。