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尾崎彰氏:中外炉工業株式会社社長の尾崎です。株主さま、お客さま、協力会社さまをはじめ、ステークホルダーのみなさまには常日頃大変お世話になっており、この場をお借りし感謝申し上げます。それでは、当社グループ2023年度第2四半期の決算概要につき、ご説明申し上げます。

ご覧の目次の内容をご説明します。決算概要に加え、2022年度から5ヶ年を対象とする中期経営計画、重要戦略の状況ならびに上場維持基準の適合に向けた計画書の進捗状況についても説明します。

1 -(1)2023年度上期業績と通期予想の概要

2023年度上期の連結業績と通期業績予想の概要についてご説明します。受注高は、前年同期比125パーセントの168億7,200万円となりました。売上高は前年同期比132パーセントの126億900万円となりました。

利益面については、営業損失が2億5,000万円で、前年同期よりも4億4,200万円改善し、経常損失は1億500万円となりました。また、保有する株式の売却利益等により、親会社株主に帰属する四半期純利益は7億4,700万円となり、前年同期より10億1,900万円改善しました。

2023年度の通期業績予想については、2023年7月28日に公表した受注高390億円、売上高340億円、営業利益19億円、経常利益20億円、親会社株主に帰属する当期純利益21億6,000万円を変更していません。

1 -(2)受注残高・売上高・営業利益の推移

受注残高、売上高、営業利益の推移についてです。2023年度上期の受注残高は290億円と、前年同期より48億円増加しました。

2023年度下期は受注残案件の国内鉄鋼向け加熱炉や機械部品、半導体部材熱処理炉等の工事が進捗し、売上高は213億円程度を確保する見通しです。また、下期営業利益は21億円を確保し、通期業績予想を達成できる見込みです。

1 -(3)2023年度上期営業利益の変動要因

営業利益の変動要因の分析結果についてです。2023年度の上期売上高は前年同期より30億円増加し、4億6,800万円の損益改善となりました。売上総利益率は0.6ポイント改善し、7,400万円の増益となりました。

販管費率は4.6ポイント改善しましたが、売上高増加に伴う販管費は1億100万円増えました。営業利益率は5.2ポイント改善し、営業損益は前年同期より4億4,200万円改善しました。

1 -(4)資産・負債・純資産の状況

バランスシートの状況を説明します。資産合計は前期末より67億1,700万円増加の478億9,500万円となりました。負債合計および純資産合計はそれぞれ増加し、負債合計は231億3,400万円、純資産合計は247億6,000万円となり、財務指標は健全性を維持しています。

1 -(5)セグメント別受注・売上

セグメント情報についてです。今期より、経営戦略推進の方向性と達成度をより明確にするために事業セグメントの区分方法を見直し、従来の「エネルギー分野」「情報・通信分野」「環境保全分野」「その他」から、「熱処理事業」「プラント事業」「開発事業」「その他」に変更しています。

熱処理事業では、半導体関連の機能材熱処理炉や自動車関連の各種熱処理設備などを取り扱っています。受注高は前年同期比103パーセントの75億1,500万円、売上高は前年同期比95パーセントの51億4,200万円となりました。

プラント事業では、鉄鋼、非鉄向け加熱炉や焼鈍炉、水素、アンモニアなど脱炭素型バーナなどを取り扱っています。脱炭素型大型光輝焼鈍設備や機能材火炎内処理設備などの成約を得て、受注高は前年同期比129パーセントの68億7,300万円、売上高は前年同期比192パーセントの61億4,400万円となりました。

開発事業では、脱炭素に資する実証設備や研究開発、半導体、2次電池関連の精密塗工装置などを取り扱っています。NEDO(国立研究法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 )のグリーンイノベーション基金事業案件やグリーンエネルギー生成ロータリーキルンの成約を得て、受注高は前年同期比719パーセントの22億4,000万円、売上高は前年同期比119パーセントの3億8,400万円となりました。

主に子会社関連の「その他」では、受注高は前年同期比134パーセントの26億100万円、売上高は前年同期比140パーセントの22億9,400万円となりました。

2.経営理念と中期経営計画:重要戦略の状況

5ヶ年の中期経営計画「経営ビジョン2026」の重要戦略の状況についてご説明します。

当社の経営理念は、「熱技術を核として新しい価値を創造し、これを通じて社会に貢献するとともに企業の繁栄と社員の幸福を実現する」です。この「新しい価値を創造」に着目し、当社を取り巻く環境の変化、それぞれの課題に対応する3つの重要戦略にて計画を推進しています。

1つ目は「カーボンニュートラルを中心に新市場の創出」、2つ目は「既存商品のニーズ適合ブラッシュアップで拡販と利益向上」、3つ目は「働きがいのある職場作り」です。この3つの重要戦略について、現在の状況をご説明します。

2 -(1)カーボンニュートラルを中心に新市場の創出

重要戦略の1つ目である「カーボンニュートラルを中心に新市場の創出」についてです。

脱炭素目標について、あらためてご説明します。当社はサプライチェーン排出量の中でも製品仕様の部分が大きいことから、当社基準による2050年に向けた脱炭素目標を設定しました。

スライドのグラフの縦軸は、当社の稼働中の製品から排出されるCO2の量を示します。日本で基準年となる2013年度で、約1,200万トンです。当社は既存商品以外でのCO2削減も含め、2050年までに実質ゼロにする目標を設定しています。

中期計画の指標として、最終年度の2026年度までに、CO2排出量を2013年度の数値から17パーセント削減することを目指します。

2023年度上期のCO2削減貢献量は2万3,000トンと、計画に対し順調に推移しました。この結果、国内における製造工業の能力指数、稼働率指数を加味した2013年度からの累計削減量は223万トンとなり、削減率は18パーセントです。この水準は、2026年度目標を達成したことになります。

2 -(1)カーボンニュートラルを中心に新市場の創出

具体的な事例についてご説明します。NEDOのグリーンイノベーション基金事業「製造分野の熱プロセスの脱炭素化」プロジェクト参画についてです。

国内で3万7,000基が稼働している工業炉のエネルギー消費量は、国内の約15パーセントを占め、CO2排出量の削減は大きな課題となっています。

2023年8月に、NEDOの「製造分野における熱プロセスの脱炭素化」プロジェクトに、当社が参加するコンソーシアムが採択されました。プロジェクトの総予算は約304億円で、2032年3月までの活動を予定しています。

将来的にアンモニアや水素の安価かつ大量の供給基盤が確立されることを見据え、カーボンニュートラル対応型の工業炉に必要となる燃焼技術や、また燃焼炉から電気炉への転換を進めるために不可欠な電気炉の高効率化技術等の確立と社会実装に向け、11月に開所した堺事業所「熱技術創造センター」を活用していきます。

なお「熱技術創造センター」の紹介ムービーを本説明の後にご覧いただけますので、ご興味のある方は引き続きご視聴ください。

2 -(2)既存商品のニーズ適合ブラッシュアップで拡販と利益向上

重要戦略の2つ目となる「既存商品のニーズ適合ブラッシュアップで拡販と利益向上」と、台湾向け脱炭素型プロセスラインの大型案件受注についてです。

この度、台湾の最大手ステンレスメーカーである燁聯鋼鐵股份有限公司( Yieh United Steel Corporation )社と、電子部品用極薄精密ステンレスシートを製造する連続光輝焼鈍ライン(BAL)の正式調印を行いました。

近年、世界的に需要が増加している半導体やリチウムイオン電池向け等の極薄精密ステンレス素材製造用の本設備を、当社は国内外の関連顧客へ、ほぼ独占的に供給を続けてきました。

その豊富な実績に加え、脱炭素に資する高効率の電気加熱方式を採用した提案を、高く評価いただき、成約となりました。本設備導入により、燃焼加熱方式に比べてCO2排出量を1年当たり約3,000トン削減できます。これは約1,000世帯分の年間CO2排出量に相当します。

2 -(3)働きがいのある職場作り

重要戦略の3つ目である「働きがいのある職場作り」で、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進し、蓄積したデータベースを最大限に生かした総合エンジニアリング力を強化」についてです。

案件情報から試算、設計、手配までを一気通貫で流す「設計業務の支援システム」の開発を進めており、今年度中にテスト運用を開始します。2024年度は、エンジニアリングの生産性を1.3倍に向上させ、本格運用が始まる2026年度には、生産性を1.6倍まで向上させる目標を達成し、働きがいのある職場を実現します。

3.上場維持基準の適合に向けた計画書の進捗状況

最後に、上場維持基準の適合に向けた計画書の進捗状況についてご説明します。当社グループは、2023年1月から3月の平均値では、東証プライム市場の条件である「流通株式時価総額が100億円以上」のみがクリアできていませんでした。

そこで、流通株式時価総額100億円の維持向上を目指すため、株価の向上と流通株式比率を増加させる施策を適時実施しました。その結果、2023年9月29日時点の流通株式時価総額は118億円となり、すべてクリアしました。

これからも企業価値の向上に努めていきます。今後とも、なお一層のご理解とご支援を賜りますようお願いします。ご清聴ありがとうございました。