2023年10月期第3四半期決算説明

小林良氏:ナレルグループ代表の小林です。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。当社は、本年7月に東証グロース市場に上場させていただき、当第3四半期が上場後初めての決算説明会となります。

本日発表した第3四半期の業績概要に加え、事業内容や当社の強みについても触れ、みなさまによりわかりやすくお伝えしながら進行させていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

会社概要

まず、当社の会社概要についてです。当社は、2008年に建設技術者派遣のワールドコーポレーションを設立し、現在の事業の軸となる、未経験人材の育成を核とするビジネスモデルを2012年より開始しました。

2019年にアドバンテッジパートナーズによる出資を受け、2021年にナレルグループとしての組織体制の再編を経て、現在は建設派遣のワールドコーポレーション、IT技術者派遣のATJC、人材プラットフォームを運営しているコントラフト、職人紹介事業の職業紹介を行う全国建設請負業協会の、合計4つの事業を展開しています。

当社は業界では後発組ながらも、未経験人材を正社員として採用し教育、派遣していくというビジネスモデルに業界でいち早く着手したことによって、今では売上150億円を超える規模にまで成長し、建設派遣業界では大手と呼ばれる地位を確立しています。

業績については、2020年10月期から2022年10月期までの年平均成長率が、売上高は18.7パーセント、営業利益は9パーセントと、業界内においても高成長・高収益を実現しています。

グループ概要図

当社グループは、建設ソリューション事業とITソリューション事業の2つのセグメントにて事業を展開しています。建設派遣のワールドコーポレーションを中心に、コントラフト、全国建設請負業協会の3社により建設ソリューション事業を、IT技術者派遣のATJCによりITソリューション事業を構成しています。

ナレルグループのミッション/ビジョン

続いて、当社のミッションとビジョンをご説明します。建設業界は戦後に高成長を続けた後、日本のバブル経済崩壊とともに景気が悪化し、リーマンショックまでの約20年間は採用活動を抑制してきました。その間、建設業界は3Kと呼ばれる、いわゆる「危険・汚い・きつい」業種の代表的な業界になってしまい、不人気業種の1つとして数えられるようになってしまいました。

しかし、建設業界は我が国のGDPの1割を担う巨大産業であり、大きな建物を職人のみなさまの力を借りながら長い時間をかけて作っていく達成感や、国土のインフラを作っていくという社会的使命も感じられる、非常にやりがいのある仕事です。

我々の使命は、この業界の正しさやすばらしさを若い世代に伝え、興味を惹きつけることで、入社後に一生やりがいを持てるような仕事を持っていただき、1人でも多くの若い人材に将来の建設業界を担ってもらうことです。

さらに、人材の需給ギャップを少しでも埋められるように、ITやDXによる業務効率化の支援も同時に行っていきたいと考えています。

ワールドコーポレーション:事業内容①

事業内容です。まずワールドコーポレーションは、ゼネコン工務店から派遣依頼や図面発注を受け、施工管理者、いわゆる現場監督と呼ばれる建設技術者の派遣を主に行っています。

施工管理の主な業務は、品質管理、工程管理、安全管理であり、依頼元であるゼネコンと現場作業員である職人の間をつなぐ重要な役割となっています。

ワールドコーポレーション:事業内容②

また、ワールドコーポレーションでは建設業における建設土木、空調衛生、電気設備など、さまざまな領域に技術者を派遣しています。建設現場の事例としては、TSMCの熊本工場のほか、過去には東京オリンピック関連の工事、主要都市の再開発工事、リニア・風力発電事業など、大型案件に対しても幅広く人材を派遣しています。

2023年10月期第3四半期決算概要

2023年10月期第3四半期決算の概要についてご説明します。スライドには、2023年10月期第3四半期の累計ベースの業績概要を記載しています。ご覧のとおり、売上収益は130億6,400万円、営業利益は18億2,600万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は12億3,100万円となっています。

後ほどご説明しますが、稼働人数、契約単価ともに順調に増加し、前年同期比で増収増益を達成しています。また、通期の業績予想に変更はなく、年間配当も当初の発表のとおり、1株あたり90円を予定しています。

2023年10月期第3四半期業績

2023年10月期第3四半期の業績の詳細です。第3四半期の売上収益は前年同期比26.7パーセント増となったほか、各段階利益も前年同期より大幅な増益となっています。これにより、累計ベースでも大幅な増収増益を達成し、通期業績予想に対しても順調に進捗しています。

四半期業績推移

四半期ごとの業績推移です。売上収益はご覧のとおり、前年から四半期ごとの増収を着実に達成しています。

営業利益については、2022年10月期を含む四半期営業利益の中で突出して増加しています。これは売上収益の増加や、売上総利益の改善によるものです。

在籍人数・稼働人数・稼働率の推移(ワールドコーポレーション)

各KPIの進捗についてご説明します。ここでは、建設ソリューションセグメントの主要子会社であるワールドコーポレーションのKPIのみご説明します。

当第3四半期は、今年4月に入社した新卒社員の研修終了後、派遣先に着実に配属できたことにより、第2四半期最終月の4月と比較すると、7月は稼働人数が246名増加しています。

契約単価の推移(ワールドコーポレーション)

契約単価は、単価テーブルの見直しや、低単価で派遣している派遣先への価格引き上げのお願いが功を奏して、着実に増加しています。例年は、契約単価の低い新卒が大量に入社するため、第3四半期は1人あたりの契約単価が下がる傾向にありましたが、今年は大幅にチャージアップを行ったため、第2四半期との比較で見ても契約単価が大幅に上がっています。

採用人数・退職人数・退職率の推移(ワールドコーポレーション)

2023年10月期は、前年以上の採用強化を行うことにより、第3四半期終了時点で前年並みの採用数を達成することができました。一方で、退職率は過去の2四半期と比較して横ばいで推移しており、退職率の改善が課題と捉えています。今後は退職率の改善に向け、人と資金を投入し、退職率の改善に努めていきたいと思っています。

セグメント別業績

セグメント別の業績です。建設ソリューション事業は、売上収益・営業利益ともに前年同期比で順調に増加しています。ITソリューション事業は、売上収益が前年同期比29.4パーセント増と成長しましたが、採用人数の増加に伴う採用費や研修費等の増加により、営業利益はわずかに減益となっています。

連結財政状態

連結B/Sのご説明です。借入金を順調に返済しており、純有利子負債は前期末からも減少しています。また、利益の積み上がりにより資本合計も増加し、のれん比率も着実に減少しています。今後もこちらの数字に留意しながら経営に邁進していきます。

連結キャッシュ・フロー

フリー・キャッシュ・フローは前年同期比で増加しており、借入金の返済等の財務キャッシュ・フローを十分にまかなうことができる水準に達しています。また、当社は当四半期に東証グロース市場に上場しているため、公募増資によって成長資金も確保できています。

通期業績予想

足元の業績を踏まえた通期の業績予想です。第3四半期累計実績は順調に推移しており、変更はありません。

第4四半期は、来期以降の成長に向けた採用活動や、人材の定着を中心とした投資を行いたいと考えています。あくまで現在の業績予想の範囲内になりますが、業績予想の達成を前提とした戦略的な投資を行っていきたいと思います。

株主還元

株主還元に関する基本方針についてご説明します。通期の業績予想を踏まえ、今期の年間配当は1株あたり90円を予定しています。業績予想をベースとした配当性向は、50.2パーセントとなります。スライドに記載のとおり、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としています。

カンパニーハイライト

市場環境・当社の強みや将来戦略を含めた、カンパニーハイライトについてご説明します。

建設業の有効求人倍率は5.51倍と圧倒的な人材不足が続いているため、建設技術者派遣市場は今後も高い成長性が期待されます。中でも、当社は未経験者採用を強みとしており、業界トップクラスの成長性と収益性を有しています。

建設人材プラットフォーム企業として、派遣事業のさらなる拡大、人材紹介事業への展開、建設ICTコンサルティングへの展開を成長戦略の軸に据え、一層の成長を目指していきます。

建設技術者は慢性的な人手不足

グラフにあるとおり、建設業の有効求人倍率は2013年の3倍から、足元は5倍を超える水準まで上昇し、人手不足が深刻化しています。スライドにグレーの線で示されている全職業の有効求人倍率と比較しても、約5倍の差があります。

一般的に人材不足のイメージが強いIT業界の有効求人倍率が1.5倍程度であることを考えると、建設業界がいかに深刻な人手不足の状況にあるのかご認識いただけると思います。

建設技術者派遣が建設市場を下支えする業界構造

建設投資額は横ばいで推移している一方で、建設就業者数は減少していることが、建設業界の大きな課題です。

結果として、建設業者は派遣会社に頼らざるを得ない構造になっています。建設技術者派遣労働者数は年々増加傾向にあり、派遣に対する依存度はますます高まっているのが現状です。

このような背景から、建設技術者を採用・育成し、市場に供給する当社の存在意義は、一層大きくなっていると考えています。

業界No.1の収益性・成長性

当社の強みや収益性・成長性についてご説明します。当社は2008年に創業し、技術者派遣業界において後発ながらも、独自の取り組みにより、直近3ヶ年の売上高成長率は18.7パーセント、営業利益率は14パーセントと、技術者派遣業界の中でもNo.1の成長性・収益性を誇っています。

高成長・高収益を支えるナレルの仕組み

当社の高成長・高収益を支えているのは、高い採用力と単価向上余地の2点だと自負しています。未経験者採用戦略によって安定的に人材を確保するとともに、高需要の若手技術者を供給し続けることで、継続的な契約単価の向上を実現しています。

ナレルの未経験者採用戦略

当社が業界屈指の成長性および収益性を実現している最大の要因は、未経験者に特化した、採用戦略を実施していることにあります。

当社の未経験者採用戦略についてご説明します。建設派遣業界では、即戦力となる経験者採用が主流となっていますが、経験者の減少や高齢化が加速する中で、採用難や採用コストの増加が問題となっています。

このような状況を受けて、当社では潜在的な供給力が非常に高い未経験者層を採用ターゲットとしています。当社が長年蓄積した採用や教育ノウハウを活用することで、未経験者を比較的低コストで安定的に採用した上で、即戦力人材まで育成することが可能です。このような戦略によって、当社は技術者派遣業界の中でも高い成長性と収益性を誇っています。

また、未経験者は若手を中心に採用しているため、さらなる単価向上も期待でき、高齢化が加速する業界における当社の存在意義はさらに高まるものと見ています。未経験者採用は、年間1,000人を超える採用体制や教育体制の構築が大きなハードルとなっており、他社が簡単に参入できないという優位性も有しています。

未経験者採用戦略に支えられた高い採用力

左側の棒グラフは建設技術者の新規求職者数です。前述のとおり、いわゆる「危険・汚い・きつい」のマイナスイメージも相まって、減少傾向にあります。

一方で、当社では未経験者に向けた採用活動を行っていることや、採用説明の際に建設業のおもしろさや当社の将来性・成長性をわかりやすく伝えることで、採用難においても年間1,000人以上の人材を確保できています。

若手技術者中心の年齢構成

建設業界は若手人材の新規参入が少なく、他業種と比較しても特に高齢化が加速しています。

当社の人材の年齢構成は、90パーセントが39歳以下となっています。需要の高い若手人材を安定的に供給できることから、契約単価を引き上げやすい年齢構成を維持しており、継続的な単価向上を実現しています。

ナレルグループの人材育成メソッド

当社では、未経験者向けの研修制度も充実しています。1年目に限らず、2年目、3年目以降も各人の業務スキルに合わせた研修を行い、技術力の向上を図っています。

現場で経験を積んだ2年目以降の技術者数も順調に増加しており、全社平均の契約単価も着実に向上しています。現在では、4年目以降の経験豊富な技術者数が500名を超え、業界内でも類を見ない質の高い若手技術者集団として地位を築きつつあります。

グループ成長戦略

今後の成長性についてお話しします。当社のグループ成長戦略は、大きく3つあります。

1つ目は、自社メディアを活用した効率的な経験者採用システムの構築と、ITやプラント、施工図、BIM等の関連領域における派遣事業のさらなる拡大です。2つ目は、職人紹介事業の参入による人材紹介サービスへの展開です。3つ目は、建設ICTツールの導入支援等、建設ICTコンサルティング支援への展開です。

1.派遣 派遣領域の拡大

未経験者・経験者ともに、技術者増加に向けた採用施策を行い、派遣領域の拡大を狙っていきたいと考えています。

未経験者採用においては、ワールドコーポレーションで培った未経験者採用と教育ノウハウをIT派遣等の他領域に移植することで、人手不足市場でのさらなる新規開拓を進めていきます。

経験者採用においては、従来は外部メディアの利用に伴い、費用対効果が低かったのですが、「セコカンNEXT」という経験者採用に特化した自社メディアを立ち上げたことにより、採用費を抑えつつも経験者を採用することができるようになりました。今後は、この自社メディアを最大限活用し、建設技術者増加をさらに加速させていきたいと思っています。

1.派遣 IT派遣領域における成功事例(1/2)

こちらは、IT領域における成功事例を示しています。当社は2020年にSE派遣を行うATJCをグループに迎え入れました。

建設業界と同様にIT業界も人材不足が深刻化している業界であり、ATJCも採用面において大きな課題を抱えていました。そこで、人材採用ノウハウを持った当社グループと連携することによって事業のさらなる成長を見込み、2020年より当社グループに参画いただきました。

1.派遣 IT派遣領域における成功事例(2/2)

IT領域においても、当社最大の強みである未経験者採用および教育ノウハウを活用した結果、新規採用者数は大幅に増加し、エンジニア在籍人数は当社グループ参画後、約2年半で2倍以上にもなりました。

当社の未経験者採用モデルを活用することで、さまざまな派遣領域への展開が可能となっており、今後の派遣事業の拡大は大いに期待できるものと確信しています。

1.派遣 自社メディアの活用による派遣単価向上

経験者採用に関しては、自社メディアである「セコカンNEXT」によって経験者採用の強化を図っていきます。経験者採用は広告費等の採用コストが高くなってしまう傾向にありますが、自社メディアの強みを活かし、ターゲットの絞り込みを行うことで高単価の即戦力人材を低コストで採用することが可能です。「セコカンNEXT」の登録者数は順調に増加しており、今後も採用力強化が期待されます。

1.派遣 建設現場で高まるBIM人材需要

BIM領域については、国土交通省によるBIM/SIM推進を背景として、活用業務・工事の件数は大幅に増加しています。2023年の公共工事のBIM/SIM原則適用に従い、BIM人材需要はさらに高まることが期待されています。

1.派遣 ナレルのBIM技術者育成方針

BIM領域については、施工図/BIM推進部を設置しました。BIM技術者派遣を本格的に始動したことによって、クロスセルを強化し、BIM技術者およびその他の施工図の技術者双方の派遣者数増加につなげています。3ヶ月研修や請負業務における先輩社員のOJT等、教育体制の整備によってBIM技術者の育成に注力していきたいと考えています。

2.紹介 職人紹介サービスの今後の事業展開プラン

続いて、成長戦略の2つ目である人材紹介サービスへの展開ですが、今後は職員の人材紹介ビジネスの展開に注力していきます。現在は施工管理等の技術者派遣を中心としていますが、職人や一人親方においても人手不足が課題となっている中で、人材紹介サービスを通じて、建設業界で人手不足に苦しむすべての企業に対してサービスが提供できる、唯一無二の存在を目指していきたいと考えています。

2.紹介 職人プラットフォームのKPI推移

最後に、職人プラットフォームの求職者数および登録会員数は、職員紹介を行うコントラフトの設立以降、順調に増加しており、今後もさらなる拡大が期待されます。

説明は以上になります。ご清聴ありがとうございました。