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志水雄一郎氏:フォースタートアップス代表の志水です。本日はご参集いただき誠にありがとうございます。ただいまより、2024年3月期第1四半期の決算説明会を開催します。
スライドは本日のアジェンダです。
2024年3月期第1四半期をひとことで
2024年3月期第1四半期の業績からご説明します。スライドに、この四半期をひとことでまとめています。厳しい事業環境の中、前年同期比で増収を達成しました。受注高は過去最高値を大幅に更新しています。
エグゼクティブサマリー
エグゼクティブサマリーです。2024年3月期第1四半期の売上高は7億2,900万円で、前年同期比プラス2.9パーセントの成長となりました。営業利益は1億100万円で、前年同期比マイナス38パーセントです。全体として増収減益で着地しましたが、計画は上回っています。
厳しい外部環境の中、受注高は前年同期比プラス21.1パーセントの9億5,200万円と、過去最高値を大幅に更新しました。人員採用に関しても引き続き積極的に行っており、6月末時点の社員数は186名を超え、前年同期比プラス53名となっています。引き続き成長投資を行っていきます。
今後の見通しです。先ほどお伝えしたとおり、売上高と営業利益は計画を上回るかたちで推移しています。足元の受注状況も過去最高値を記録していることから、非常に力強く感じています。
しかし、現在の市場環境を踏まえると、雲行きはまだ不透明であるとも考えています。加えて、引き続き成長投資を行っていく予定ですので、この第1四半期の現時点においては、売上高ならびに段階利益の予想に対して変更は加えていません。
【全社】1Q実績及び業績予想に対する進捗率
業績予想に対する進捗率です。売上高は22.1パーセント、営業利益は30.8パーセント、経常利益は30.2パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益は29.9パーセントの進捗率で推移しており、いずれも計画を上回った順調な進捗と捉えています。
【スタートアップを取り巻く環境】資金調達市場の動向
私たちは資金調達市場と連動していくビジネスを行っています。資金調達市場に関して、上半期の資金調達額は、現在のところ前年同期比マイナス35パーセントです。こちらをそのまま捉えると、私たちの事業を伸ばすのは非常に難しいと考えられます。
しかし、私たちはこの中で事業の見立てをしっかりと行い、正しい営業戦略を企てて実行することで、現在の商況が生まれていると考えています。
スライド右側に、現時点での今期の特徴を2点挙げています。1点目は、レイターステージの大型調達が減少しています。2点目は、レイターも一部含まれますが、アーリー・ミドルを中心として、適切な企業価値のスタートアップには順調に調達が入っています。
したがって、当社は既存のクライアントのみなさまだけでなく、新たなお客さまを迎えていくことによりビジネスを伸長できると考え、現在実行しています。
【全社】売上高-四半期推移
売上高の四半期ごとの推移です。前年同期比で全社増収を継続しています。例年、第1四半期の売上高は、原則的に前期の第4四半期の受注高が影響してきます。
【全社】受注高-四半期推移
受注高の四半期ごとの推移です。この第1四半期は、9億5,200万円と過去最高を記録しました。タレントエージェンシー、オープンイノベーションの両事業とも過去最高を更新し、足元で非常に力強い受注活動が行われています。
【全社】当期重点施策の進捗状況
2024年3月期の重点施策の進捗状況です。1つ目の「Pre-IPO市場の新規顧客拡大」については、前年比2倍のペースで新規の契約拡大が行われており、すでにそこから新たなビジネスが創出されている状況です。
【当期重点施策②’】人材育成の強化
重点施策の2つ目「人材育成の強化」についてです。グロービス経営大学院の副学長であり、「志」をテーマにした研究において日本の第一人者である田久保善彦氏に、当社顧問として新たに就任していただきました。当社の人材育成および人事戦略に大きく寄与いただけるような座組を作っています。
【全社】人員数推移
人員数の四半期ごとの推移です。人員数は現在186名となり、もうすぐ200名を超える体制まで成長しています。
【タレントエージェンシー】人材紹介サービスのビジネスフロー
サービス別の状況についてご説明します。まず、タレントエージェンシーの人材紹介サービスのビジネスフローについてです。一つひとつの案件によって差はありますが、初回接点から売上計上までは3ヶ月から5ヶ月ほどを要します。
【タレントエージェンシー】売上高の推移
タレントエージェンシーの売上高の推移です。資金調達市場に連動するこの事業は、今非常に厳しい環境下にあります。しかし、単価の上昇が大きく寄与し、人材紹介サービスは増収となりました。詳細は後ほどお話しします。
コンサルティングサービスについては、この市況下ではなかなか伸ばしにくい分野だと捉えていました。しかし、新規顧客の開拓が進んだ結果、前期第4四半期の実績から持ち直し、想定よりも上振れして進捗しています。
【タレントエージェンシー】売上高分解-人材紹介取引数と単価の推移
人材紹介取引数と単価の推移です。売上高ベースになりますので、前四半期に行われた支援が翌四半期の売上に繋がることも多くあります。今回、前期第4四半期の受注活動が人材紹介件数に影響し、この第1四半期は153名と前四半期より減少しました。
しかし、CxOや経営幹部層などの重要ポジションにいる、数少ないハイレイヤーのお客さまへの採用支援を強化した結果、単価は過去最大の398万円まで拡大しています。
マーケットの単価水準は、業界標準で100万円台、ハイレイヤーの支援を行っている紹介会社でも200万円の中盤あたりです。「ここを伸ばすのは難しいだろう」と思われる状況ですが、当社はさらに上振れした高単価を実現しています。
【タレントエージェンシー】売上高分解-決定年収比率の推移
高単価に至った要因についての分析です。この第1四半期は、支援させていただいたお客さまについて、年収1,000万円以上の方々の割合が初めて30パーセントを超えました。逆に、年収600万円未満の方への支援実績が過去最低水準の15.7パーセントまで減っています。したがって、高年収帯を増やしたことが、高単価に繋がっている状況です。
【タレントエージェンシー】売上高・受注要因の分析
売上高・受注要因の分析です。お伝えしているとおり、売上高に関しては、前期の第4四半期の事業環境が影響を及ぼします。
1つは、米国のリセッション懸念からくる採用コストの抑制です。2つ目は、当社の課題であった訂正決算とそれに紐づいた業務フローの再構築などに、現場で一定の工数がかかりました。これらが第4四半期の受注活動に影響を及ぼしました。
コンサルティングサービスに関しては非常に厳しい状況だと捉えていましたが、営業努力の結果、売上高は拡大しました。
受注高については、新規開拓が前年の2倍のペースで進んだことにより、新たなお客さまからの取引が拡大しています。また、2022年に採用した社員が受注活動に大きく寄与しました。中には年間の受注基準に匹敵するくらいの実績を単月で上げてくるメンバーも出てきており、人が育つ環境になっています。
【タレントエージェンシー】人材紹介支援実績-新規顧客開拓も進行中
人材紹介支援実績です。当社では、未上場のスタートアップ、エゴシステムビルダー、支援中に上場を果たしたスタートアップ群、既存の上場企業まで、多くの企業を支援しています。
【オープンイノベーション】各サービスの計上フロー
オープンイノベーションについてご説明します。各サービスの計上フローです。サービスごとに受注・売上の計上方法とタイミングが異なります。詳細はスライドの図をご覧ください。
【オープンイノベーション】売上高の推移
売上高の推移です。前年同期比で倍の成長を果たしています。
【オープンイノベーション】慶應義塾と新産業創出のための協定を締結
私の母校である慶應義塾大学と提携しました。新成長産業創出を目指し、両社で肩を組んで事業展開を行っていければと考えています。
【オープンイノベーション】Public Affairs-23年度の取組み
スタートアップ政策支援を行う「Public Affairs」では、多くの自治体と新たに手を組み、各自治体におけるスタートアップ政策やインキュベーションプログラム、アクセラレーションプログラムなどを受託し支援しています。
【ベンチャーキャピタル】投資先銘柄
ベンチャーキャピタルについてです。子会社のフォースタートアップスキャピタルでは、特に当社のタレントエージェンシーにおける重要なお客さまである企業群に対し、新たにお金の支援を行い、人とお金を組み合わせたハイブリッドキャピタルというモデルで支援しています。現在、5社に対して投資活動を行っています。
【ベンチャーキャピタル】投資事例-株式会社カケハシ
その最たる事例は、医療の未来を作る壮大な挑戦に取り組んでいるスタートアップのカケハシ社です。人材面において、全社員の4分の1にあたる約70名を当社経由で支援しています。また、この支援実績をもとに、1つのラウンドにおいて当社が出資しています。
このようなモデルをより多く作っていくことが、当社のハイブリッドキャピタル構想です。
【ベンチャーキャピタル】一般社団法人VCスタートアップ労働衛生推進協会に参画
新たな挑戦として、VCスタートアップ健保の設立に向けた業界団体に参画しています。
スタートアップ支援の重要性-日本が直面する社会課題
成長戦略です。まず、社会課題についてご説明します。当社は、日本が直面する社会課題を解決するチームとして立ち上げてきました。スライド左側のグラフをご覧ください。IMDがリサーチした世界競争力ランキングでは、日本は過去に1位でしたが、30年経った今は35位まで下がっています。
スライド中央のグラフをご覧いただくと、日本の平均賃金はかつては高い水準でしたが、現時点ではOECD加盟国中26位まで下がっている状況です。
これらが私たちの未来に大きな影響を及ぼす可能性が出てきています。ゴールドマン・サックスが発表したGDPランキング予想では、2075年に日本は12位となり、今いる順位を守れないというリサーチ結果が出ています。これでは私たちが残していく仲間たちや子どもたちが希望を持てない国家になる可能性があります。
スタートアップ支援の重要性-構造的賃上げにつながる
私たちがスタートアップ支援を行う理由についてです。1つ目に、アメリカの状況から、新産業と既存産業が人を争って採るウォーフォータレントの時代になることで、結果的に岸田政権が掲げているような、雇用を維持するための構造的賃上げに繋がっていくと見ています。
今やアメリカでは、雇用の半分が新産業側です。その構造をいかにして日本に実装するかが、私たちの生活水準の向上に大きく関わっていくと考えています。
日本のスタートアップエコシステムの現状
そのような新産業が生まれるエコシステムは日本に存在するのでしょうか。アメリカの資金調達額は26兆円です。これに対して日本は現在1兆円と、26分の1となっています。ユニコーン企業数は、アメリカの656社に対して日本は100分の1の6社です。
これが数兆円、数十兆円の企業価値の種になる、あるいは人類にイノベーションを起こせるようなリードできる新産業の種になるとすれば、日本はさらに世界各国に差をつけられる可能性があります。日本もここを強化する必要性が出てきているということです。
スタートアップ支援の重要性-スタートアップ支援が国策に
このような状況で、スタートアップ支援は国策となりました。2022年および2023年の2年連続で、『骨太の方針』に組み込まれています。まさに、日本経済の一丁目一番地にスタートアップをどう取り込んで未来を作るのかが語られる社会、国家となりました。
経済産業省が作っている資料にそのメッセージが記載されています。私はこのメッセージが好きですので、あえて全文を読ませてください。
「スタートアップこそ、課題解決と経済成長を担うキープレーヤーである。
我が国を代表する電機メーカーや自動車メーカーも、戦後直後に、20代、30代の若者が創業したスタートアップとして、その歴史をスタートさせ、その後、日本経済をけん引するグローバル企業となった。
しかし、2023年現在、多様な挑戦者は生まれてきているものの、開業率やユニコーン企業の数は、米国や欧州に比べ、低い水準で推移している。
そこで、戦後の創業期に次ぐ、第二の創業ブームを実現すべく、スタートアップの起業や規模拡大・成長の加速、既存大企業によるオープンイノベーションの推進を通じて、日本にスタートアップを生み育むエコシステムを創出する」。
これが官庁の覚悟であり、政府の覚悟のメッセージです。今や官民をあわせた戦略が重要な時代になったのだと思っています。
成長企業に資本を集中させ、持続的成長のためのエコシステムを形成
そのような中で、当社はシリコンバレーのエコシステムを参考にしながら、人、産学官連携・エコシステム、資金の3つを組み合わせた成長産業支援事業を展開しています。
【全社】未公開情報を可視化しシナジーを創出するビジネスモデル
そのような中で競争優位性を作っていく方法については、スライドのビジネスモデルの図で可視化できていると考えています。
スタートアップ企業、ベンチャーキャピタル、オンラインの公開情報などから集めてきたデータをもとに、人、お金、オープンイノベーションのビジネスを展開していきます。それがデータドリブンで行われることが、当社の圧倒的な強みになっています。
成長産業支援事業におけるタレントエージェンシーの位置づけ
その中核となるタレントエージェンシーの位置づけです。成長産業支援事業は、広く見れば起業、スタートアップ、大企業の中から生まれてくるような新規事業にフォーカスできます。短期で見ると、起業、スタートアップにフォーカスしています。
ただし、ここから新たな大企業が生まれたり、今後どこかのタイミングで当社で大企業の新規事業部門の支援が始まる可能性もあります。そのような事業は、すべて人で成り立っています。この分野を徹底的に掘ることにより、当社はまだまだ成長できると考えています。
【タレントエージェンシー】起業支援
起業支援では、現在までに7社の企業をプロデュースしてきました。みなさまが次の調達ラウンドにどんどん進み、株式会社TERASS、株式会社Yuimediに関しては、Forbesの「RISING STAR AWARD」で創業から3年の日本の企業群の中のトップ3として表彰されています。
【タレントエージェンシー】スタートアップ人材紹介における参入障壁
当社は人材紹介のビジネスのため、参入障壁が低いと考えられることが多くあります。しかし、スタートアップの人材紹介ビジネスで当社を大きく超えていくところは、今のところ見当たりません。それは、当社は参入障壁が高い部分があるからではないかと考えています。
スタートアップは情報開示が義務化されていません。上場会社であれば情報開示が義務化されているため、うまくいっているところ、うまくいっていないところが可視化できます。ただし、スタートアップで未上場であれば、これを可視化することは簡単ではありません。
また、スタートアップは「村」と称されます。村の真ん中にいない限り、この市場がどのような状況であるかは捉えられません。まさに当社は、市場全体を可視化するためのデータを持っており、村の真ん中にいます。ともに時代を作るための役回りを担っていることが、大きな参入障壁になっていると考えています。
【タレントエージェンシー】強み-日本を代表するプレイヤーとのネットワーク
当社の強みです。当社のオフィスには、日本を代表する企業家・投資家・エコシステムビルダーのみなさまに年間150回以上訪問していただき、全社員に対して勉強会を行っていただけるような良い環境があります。
年間1回か2回のペースで起業家・投資家が集い、みなさまとともに日本の未来を語る感謝祭などもあります。前回は550名の方に参加していただきました。当社の就業環境について、ある機関投資家の方は「リアルタイムのMBAを給料をもらいながら学べるような場所だね」と称されています。
【タレントエージェンシー】競争優位性
タレントエージェンシーの競争優位性の一部です。ベンチャーキャピタルのみなさまなどからご紹介いただいた創業期のスタートアップに対し、CxO・経営幹部層から支援させていただきます。次の事業拡大期には、さらにハイレイヤー・エンジニアの支援を力強く行っています。
企業の中においては、社員の3分の1、4分の1、役員の2分の1が当社経由で成立しているスタートアップ群も複数出てきました。そのような企業群が上場すると、次に迎えるのが第2創業期です。
ここで次の経営幹部候補の採用、新たなハイレイヤーの採用、事業ポートフォリオの拡大に基づき、当社にも多くの相談をいただきます。当社は、上場企業も含めた日本の成長企業の最大のパートナーになり得る存在だと考えています。
【タレントエージェンシー】高成長市場にポジショニング
タレントエージェンシーは、スタートアップ・急成長企業に対して、経営層・経験豊富な人材を紹介していくことが明確な当社のポジショニングになっていると思っています。
【タレントエージェンシー】スタートアップの成長戦略に合う人材支援
当社のホームページで多数の事例をご紹介していますので、ぜひご覧いただければと思います。
【タレントエージェンシー】CxO・ハイレイヤー人材の支援実績
オウンドメディア「EVANGE」「HEROES」などでは、個別の事例をご紹介しています。こちらもぜひご参考にしていただければと思います。
【オープンイノベーション】STARTUP DB
新たなニュースです。2018年からスタートした「STARTUP DB(スタートアップ データベース)」が東京商工リサーチ調べで、国内スタートアップデータベース会員数でナンバーワンになりました。
【オープンイノベーション】STARTUP DB 導入企業・提携先
「STARTUP DB」は、大手企業やベンチャーキャピタルのみなさまにも活用していただいています。最近においては、教育機関、政府、メディアのみなさまにも多く利用していただけるようなデータベースに成長してきました。
【オープンイノベーション】資金調達支援実績例
オープンイノベーションの資金調達支援の事例について、ご紹介できるものだけを記載しています。
【オープンイノベーション】Public Affairs-官公庁等との連携
「Public Affairs」のスタートアップ政策支援においては、政府・官公庁・経済団体、大学と連携を実施しました。
【オープンイノベーション】Public Affairs-エコシステム拠点都市との連携
今や日本において、「世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略」が推進されています。当社は、各地方自治体のみなさまのスタートアップのアクセラレーションプログラム、インキュベーションプログラムの受託を国内最大規模で行っています。
『成長産業カンファレンス2023』を11月16日に開催
次回の「成長産業カンファレンス」は、11月16日に開催します。
成長産業カンファレンスの歩み
今回は4回目の開催です。今や多くの国内外の企業家・投資家のみなさまに集っていただいている国内最大級のカンファレンスへ成長しました。
【全社】中期業績目標
中期の業績目標です。2026年3月期に連結売上高50億円を目指しており、今の足元の受注状況は非常に好調です。当社は、より高い成長を目指していけるような企業体になれるのではないかと自信を深めています。
当社はしっかりと成長することにより、日本のスタートアップ政策が前に進む時代を産学官民合わせて作っていくための中心地になっていきたいと思っています。
引き続き、当社は力強く成長していきたいと考えていますので、ぜひみなさまからのご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いします。本日はありがとうございました。