金融支援事業の貸倒関連費用が増加し損失計上 資金回収と再発防止が課題
佐藤健太郎氏:代表取締役社長の佐藤でございます。本日はお忙しい中、ご参加いただきありがとうございます。GMOペパボ2023年12月期第2四半期決算説明会を開始いたします。
今回の決算のサマリーをご説明します。金融支援事業の貸倒関連費用が増加したことから、第2四半期は営業損失計上となりました。経営陣としても、今回の事態を重く受け止めています。株主のみなさまにご心配をおかけする結果となってしまい、誠に申し訳ございませんでした。
GMOペパボ単体としては、ストック型ビジネスを中心に堅調に推移していますが、現状では金融支援事業のビジネスに大きな課題があると思っています。資金回収と再発防止を優先的に取り組みます。
AGENDA
本日のアジェンダは、スライドに記載のとおりです。資料後半には参考資料も掲載していますので、お時間がある際にご覧ください。
決算概要(2Q累計実績)
2023年12月期第2四半期の決算トピックです。第2四半期の売上高は、前年同期比108.2パーセントの55億2,300万円、営業利益はマイナス8億2,500万円となりました。経常利益以下はスライドに記載のとおりです。
貸倒関連費用計上の背景
貸倒関連費用を追加計上した背景をご説明します。金融支援事業では、2022年12月期に運送業や建設業での利用者が増加したことから、提携企業取引による請求書買取額が大幅に増加しました。
しかし、2023年に入り、大口債権の一部に滞留が見られたため、第1四半期には1.8億円の貸倒関連費用を計上しました。こちらを受けて5月以降は管理体制を見直し、提携企業取引での高額の請求書買取を全面的に停止しました。
資金回収を進めていましたが、第2四半期には複数の大口取引先企業で財政状態が悪化し、滞留債権が増加しました。これらを背景に滞留債権に対する貸倒引当金等の関連費用を積むこととなり、第2四半期で10.9億円を計上しました。
BS(貸借対照表)未収入金の推移
貸借対照表の未収入金の推移です。2023年6月末時点の未収入金の金額は20億円となり、そのうち貸倒引当金は13.7億円です。6月末時点で想定されるリスク分は、貸倒引当金としてすべて引き当て済みです。
滞留債権の発生要因と対策
滞留債権が発生してしまった主な要因は、大きく括るとリスクマネジメントの不足でした。大口の請求書買取が発生した際に、取引先の支払い能力の見極めや、取引規模の拡大に合わせた与信枠の設定、承認フローの構築が不十分であり、ガバナンス体制に課題がありました。
今後は、当社の取締役が直接GMOクリエイターズネットワークの執行にかかわり、ガバナンスの強化を図ります。組織や管理体制の強化、再発防止策の実行を行うとともに、滞留している債権回収は専門のチームを立ち上げて、進めています。
2023年12月期通期の金融支援事業見通し
2023年下期の金融支援事業は、管理体制の強化に伴い、提携企業取引での請求書買取を抑制し個別取引を中心に展開を進めます。
そのため、6月以降は請求書買取額の減少を見込んでおり、売上高は期初予想の11.1億円から6.6億円に減少する見込みです。通期の営業利益は、貸倒引当金の増加影響を加味すると、期初予想の2.5億円からマイナス13.4億円に減少する見込みです。
通期業績予想の修正(連結)
金融支援事業の見通し変更を受け、あらためて2023年12月期通期連結業績予想の修正を行います。期初予想に対し、売上高は1億7,000万円減少し108億9,400万円、営業利益は15億円減少しマイナス6億4,200万円、親会社株主に帰属する当期純利益もマイナスとなる見込みです。そのため、期末配当予想は無配へと変更します。
通期業績予想の修正(セグメント別)
セグメント別の通期業績修正予想は、スライドのとおりです。ペパボ単体としての事業はストック型ビジネスが堅調なため、ホスティング事業とEC支援事業は売上高・営業利益ともに上方修正しました。一方で、ハンドメイド事業は、流通額が減少しているため、売上高のみ下方修正しています。
金融支援事業は、すでにお伝えしたとおり、見通しを大きく下げましたが、少しでも損失額を縮小するために、まずは債権回収を優先して進めます。
経営責任の明確化
経営責任を明確にするため、役員報酬の返上も合わせて発表しています。私を含めた常勤取締役は、スライド記載のとおり役員報酬を返上します。
連結業績推移
ここからは、第2四半期の決算概況についてご説明します。
四半期ごとの連結業績推移において、2023年第2四半期の売上高は27.8億円となりました。一方で、先ほどお伝えしたとおり、営業利益はマイナス8.6億円となりました。
営業利益増減分析(2Q累計)
営業利益の増減推移です。昨年のテレビCMの費用がなかったため、プロモーション費用は約1億7,000万円の改善となったものの、貸倒関連費用が約12億3,000万円増加しました。
セグメント別業績(2023年12月期 2Q累計)
セグメント別の業績です。ホスティング事業とEC支援事業は、ストック型ビジネスが牽引し、堅調に推移しています。ハンドメイド事業は流通額が減少し、前年同期割れとなりました。金融支援事業は、貸倒関連費用の影響で損失計上となりました。
ホスティング事業
各セグメント別にご説明します。
まずはホスティング事業です。売上高は順調に増加し、前年同期比104.8パーセントの27億9,100万円、営業利益は前年同期比97.0パーセントの9億200万円となりました。
ホスティング事業(ロリポップ!)
レンタルサーバーサービスの「ロリポップ!」は、売上高12億1,600万円、営業利益6億3,400万円となりました。顧客単価は、価格改定の効果や上位プランの契約比率が高まり、増加傾向が続いています。契約件数は、低単価のプランで解約が発生し、減少しました。
ホスティング事業(ムームードメイン)
ドメイン取得代行サービスの「ムームードメイン」は、売上高11億3,000万円、営業利益1億2,200万円となりました。顧客単価は、サービス維持調整費の導入効果により、増加しました。契約更新率は高いものの、新規ドメインの契約が伸び悩み、契約件数は減少しました。
EC支援事業
EC支援事業についてです。売上高は、前年同期比111.6パーセントの15億2,200万円、営業利益は、前年同期比222.1パーセントの3億9,100万円となりました。
EC支援事業(カラーミーショップ)
ネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」についてです。売上高10億4,800万円、営業利益3億9,500万円となりました。2022年4月に行った価格改定の効果により顧客単価は増加していますが、今後は落ち着く見込みです。
契約件数は月額プランの減少傾向が続いていますが、今後は価格改定も一巡し、件数減少も落ち着いてくると考えています。
EC支援事業(SUZURI)
オリジナルグッズ作成・販売サービスの「SUZURI」についてです。売上高は前年同期並みとなる4億6,500万円、営業利益は、昨年実施したテレビCM等のプロモーション費用が発生しなかったことから、1,900万円の黒字となりました。
ハンドメイド事業(minne)
ハンドメイド事業の「minne」についてです。売上高は前年同期比88.6パーセントの7億6,100万円、営業利益は前年同期比62.4パーセントの4,100万円となりました。
ハンドメイド事業(minne)
2023年第2四半期累計の流通額は、低価格商品の販売が苦戦しており、前年同期比89.5パーセントの70億円となりました。
金融支援事業
金融支援事業です。売上高は前年同期比204.0パーセントの4億4,800万円となりました。営業利益は、先ほどご説明したとおり貸倒関連費用が増加したことから、マイナス11億7,200万円となりました。
FREENANCE 請求書買取額推移
金融支援事業の管理強化に伴い請求書買取額が抑制傾向にあり、第2四半期の買取額は25.5億円となりました。
ストック型ビジネスのARR推移
2023年12月期の下期施策についてご説明します。
ストック型ビジネスの「ロリポップ!」と「カラーミーショップ」の一過性収益を除いた売上高を集計したARRの推移です。2023年第2四半期のストック型ビジネスによる収益は16.8億円となり、ARRは順調に成長しています。
EC関連サービス流通額の推移
「カラーミーショップ」「SUZURI」「minne」の3サービスを合計したEC関連サービスの流通額は、前年同期比で減少しています。引き続き「カラーミーショップ」のプレミアムプラン展開や退店防止の実施、「minne」や「SUZURI」のデジタルコンテンツなどによる領域拡大に取り組んでいきます。
EC支援事業の下期施策
EC支援事業の「カラーミーショップ」では、9月13日に全国のネットショップを表彰するイベント「カラーミーショップ大賞2023」の開催を予定しています。
「SUZURI」では、昨年業務提携を発表したTieUpsさまが展開するプロフィール作成ツール「lit.link(リットリンク)」との連携を7月に開始しました。また、サイトへの訪問者数を増加させるため、集客力のあるコンテンツやIPを起用した施策を進めていきます。
ハンドメイド事業の下期施策
ハンドメイド事業では、8月2日より「minne」のサイト内広告の運用を開始しました。作家さまのマーケティング活動支援ツールとしてご活用いただきたいと考えています。
また、9月には4年ぶりとなるリアルイベント「minneハンドメイドマーケット」を開催し、販売促進と作家誘致による流通額拡大に取り組んでいきます。
AI対応の促進(SUZURI)
第1四半期の決算説明会でもご紹介しましたが、引き続きサービス内のAI活用が進んでいます。「SUZURI」では、Stability AIさまが提供する画像生成AIの「Stable Diffusion」と連携しました。作成したい画像イメージをテキスト入力するだけでAIが画像を生成し、その場でグッズ化できます。
第2四半期の決算説明は以上です。
佐藤氏からのご挨拶
本説明会でも触れましたが、業績修正、配当の修正、役員報酬の返上のほか、スタンダード市場への申請についても発表しています。
通期業績の修正でもお伝えしましたが、今期は2015年以来となる赤字決算の見込みです。当社としても業績的には非常に厳しい状況に直面しています。
まずは早急に金融支援事業の対策を進め、あらためて中長期的な成長ができるよう取り組んでいきます。株主のみなさまには、引き続きご支援とご指導を賜りますようお願い申し上げます。
私からのご説明は以上です。ありがとうございました。