再生可能エネルギー発電所の発電設備容量合計の表記方法の変更について
司会者:決算説明会に先立ち、事務局より、再生可能エネルギー発電所の発電設備容量合計の表記方法の変更についてご説明します。
当社グループの出資先(持分法適用関連会社及び匿名組合出資を行う合同会社を営業者とする匿名組合)が所有する太陽光発電所の件数の増加に伴い、2023年6月期第3四半期から、再生可能エネルギー発電所の発電設備容量合計の表記方法を変更しています。
変更前は、連結子会社及び持分法適用関連会社が所有する再エネ発電設備の容量を表記していました。変更後は連結子会社と、グループ出資先(持分法適用関連会社及び匿名組合出資を行う合同会社を営業者とする匿名組合)の2つの区分にて、それぞれが所有する再エネ発電設備の容量及び合計を表記することとしました。
スライドのグラフでご説明しますと、オレンジ色の部分が連結、グレーの部分が連結外となり、後者は当社グループが持分を持っているものの連結子会社にはなっていないものとなります。このように、今回から連結と連結外という区分がわかるように表記方法を変更しています。
事務局からの説明は以上になります。
目次
石脇秀夫氏:本日はみなさまご多用の中、テスホールディングス株式会社の2023年6月期第3四半期決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。取締役会長取締役会議長の石脇です。引き続き、山本からご説明しますので、よろしくお願いします。
山本一樹氏(以下、山本):代表取締役社長の山本です。あらためて、本日はお忙しい中、決算説明会にご参加いただきましてありがとうございます。ただいまから、2023年6月期第3四半期の決算についてご説明します。
目次のページの写真は、先日竣工した福岡みやこメガソーラーです。北発電所・南発電所を合わせて67メガワットという大規模な開発型EPC案件となります。
新型コロナウイルス感染症に伴う制限も緩和される中、このような当社グループが開発・施工した案件や、顧客向けの省エネEPC案件等について、今後、投資家やアナリストのみなさまに、実際に当社が施工したプラントの現地説明会等を実施できればと思っています。
トップメッセージ
まず、第3四半期決算のポイントをトップメッセージとしてまとめています。2023年6月期第3四半期累計の連結業績は、第2四半期に引き続き順調に推移しています。オンサイトPPAによる再エネ電気の供給を7件、合計約10.1メガワットをスタートしました。先ほど事務局から説明があったとおり、再エネ発電容量の合計の表記方法を変更しており、合計は約298.7メガワット、件数は95件となります。
香川県丸亀市と「グリーン専門人材派遣に関する協定」を締結しました。昨年は岡山県真庭市と協定を締結しており、それに続く取り組みとなります。脱炭素化に取り組む地方自治体向けのソリューションを拡大していきたいと考えています。
電気の小売供給に関しては、電源調達に関する売上原価増加の影響を抑えるため、電力供給量の縮小化を図ることに加え、既存の需要家への供給単価の引き上げ等の措置を行ったほか、燃料調整費の増加や市場価格が想定より低い水準で推移した結果、当社グループの計画を上回る進捗となっています。
ESG関連では、2023年3月に第2回ESG推進委員会を開催しました。マテリアリティ(重要課題)に取り組むための具体的なアクションを進めています。
連結業績
連結業績です。第3四半期累計の売上高は240億4,700万円、売上総利益は69億4,200万円、営業利益は42億5,700万円、経常利益は36億4,600万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は23億2,700万円となりました。
前回の決算説明会でもお伝えしたとおり、福岡みやこメガソーラーの一過性の利益計上があったことから、いずれも前年同期比でマイナスとなっていますが、2023年2月14日に修正した通期の計画に対しては順調に推移しています。
四半期会計期間別セグメント別売上高推移
四半期会計期間別のセグメント別売上高推移です。エンジニアリング事業は25億4,100万円、エネルギーサプライ事業は48億9,600万円となりました。
エンジニアリング事業に関しては、繰り返しになりますが福岡みやこメガソーラーのEPCが最終段階(2023年2月に完工済み)となり、工事の進捗が少なかったため、前年同期比減収となっています。
エネルギーサプライ事業に関しては、再エネ発電、O&M及びバイオマス燃料が順調に推移したことから、前年同期比増収となっています。
3Q累計セグメント別売上高内訳
第3四半期の累計のセグメント別売上高内訳です。エンジニアリング事業について、受託型の省エネEPCは工事進捗の影響から前年同期比で若干減収となっていますが、計画どおり推移しています。
受託型の再エネEPCは、主に物流倉庫向けの屋根上太陽光案件が増加したことにより、前年同期比増収となっています。開発型の再エネEPCは、福岡みやこメガソーラーにおいて会計基準の変更による一過性の売上計上があった影響と、工事進捗の影響から、前年同期比減収となっています。
エネルギーサプライ事業について、再エネ発電は前年同期比増収となっています。こちらは稼働案件の増加及び順調な発電に加え、一過性である福岡みやこメガソーラーにおける開発報酬によって前年同期比増収となっています。O&Mは計画どおり順調に推移しています。
電気小売供給は、需要家への供給単価の引き上げと燃料調整費の増加等により、前年同期比増収となりました。バイオマス燃料は、出荷量の増加に加え単価上昇と為替の影響から、前年同期比増収となっています。
エンジニアリング事業の実績
エンジニアリング事業の実績です。スライドの右側に記載している売上総利益の主な変動要因についてお伝えしますと、福岡みやこメガソーラーのEPCにおいて、会計基準の変更による一過性の利益計上があった影響、そして工事の進捗の影響から、前年同期比減益であるものの、当社グループの計画に対しては順調に推移しています。
受注に関しては、第3四半期終了時点の受注高が121億5,500万円、受注残高が93億9,700万円となっています。第2四半期終了時点では受注高が85億円、受注残高が83億円でした。脱炭素のニーズの高まり等により、順調に積み上がっていると思っています。
エネルギーサプライ事業の実績
エネルギーサプライ事業の実績です。売上総利益の主な変動要因としては、再エネ発電、O&M、電気小売供給、バイオマス燃料のいずれも売上が順調に推移した結果、前年同期比増益となりました。また、電気小売供給は収益改善施策の効果に加え、燃料調整費の増加や市場価格が想定より低い水準で推移したことから増益に寄与しています。
繰り返しになりますが、福岡みやこメガソーラーにおける開発報酬も、一過性のものですが増益に寄与しています。
【ストックビジネス】再生可能エネルギー発電所の発電容量の推移
冒頭に事務局より説明があった、再生可能エネルギーの発電容量の推移です。第3四半期終了時点で合計298.7メガワットとなっています。
第3四半期でのトピックスとしては、当社グループ出資先の保有分が10件、59.1メガワット増加しました。福岡みやこメガソーラーの南発電所のほか、太陽光発電所9件、15.3メガワットが増加しています。
また、連結子会社で保有する太陽光発電所2件、0.6メガワットがFIT制度からFIP制度に移行しています。再エネ発電容量のほとんどが太陽光発電となっており、私たちが運用管理に関わる電源の容量が確実に増加していることがわかると思います。
オンサイトPPAの積み上げ状況
オンサイトPPAの積み上げ状況です。中期経営方針でお示ししたとおり、2030年6月期までに250メガワット以上を目指しています。2023年6月期は11.1メガワットの増加を見込んでおり、この第3四半期に約10.1メガワットの稼働がスタートしている状況です。2024年6月期は37メガワット以上の増加を見込んでいます。
再生可能エネルギーに関するトピックス(オンサイトPPA)
オンサイトPPAのトピックスです。約10.1メガワットの稼働がスタートしており、具体的な案件をご紹介したいと思います。スライド左側の写真はDMG森精機さまの伊賀事業所におけるオンサイトPPAによる自家消費型太陽光発電システムです。第1期分として、2023年2月に5.4メガワットが稼働をスタートしています。
また、飲料メーカーのハルナプロデュースさまにおいて、ハルナプラント・タニガワプラント・和歌山プラントの3ヶ所でオンサイトPPAによる再エネ電気の供給がスタートしています。THKさまにおいては、浜松工場・九州工場に続いて、山形工場でも供給がスタートしました。DMG森精機さま、THKさまは私たちの古くからのコージェネレーションの導入先であり、ハルナプロデュースさまはLNGサテライトの導入先です。
スライド右側の写真の井村屋さまでは、自家消費型太陽光発電システムに加え、1,000キロワット級の大型蓄電池も併設しました。さらに、ベアリングの大手であるNSKステアリングシステムズさまでも、0.1メガワットの供給がスタートしています。
再生可能エネルギーに関するトピックス(セカンダリ案件)
セカンダリ案件です。第3四半期は福島県福島市でセカンダリ案件4件、発電容量合計2.6メガワットを取得しています。
地方自治体向け脱炭素ソリューションに関する取り組み
地方自治体向けの脱炭素ソリューションに関する取り組みです。冒頭のトピックスでご説明したとおり、岡山県真庭市に続いて香川県丸亀市で「グリーン専門人材派遣に関する協定」を締結しました。真庭市では、2024年春頃に公共施設3ヶ所に向けてオンサイトPPAによる再エネ電気の供給を開始する予定です。
従来、私たちはBtoBをメインに取り組んできましたが、今後は真庭市・丸亀市のようなBtoRとして自治体向けのソリューションも拡大するため、2023年1月に地域脱炭素推進室を設置しました。こちらについても今後注力していきたいと思っています。
サステナビリティへの取り組み
吉田麻友美氏(以下、吉田):ESG関連についてご説明します。第3四半期に第2回ESG推進委員会を開催しました。当社グループの今後のESG活動を確実に推進していくため、2024年6月期の計画と今後5年間のロードマップについて審議し方針を決定しました。
当社グループのESG関連の重要課題の1つである、脱炭素社会実現に向けた取り組みと情報開示に関して、取り組みを加速していくため気候変動イニシアティブ(JCI)に加盟しました。JCIによる、G7日本開催にあたっての世界へ向けたメッセージ「再生可能エネルギーとカーボンプライシングで二つの危機を打開する」にも賛同しました。
もう1つの重要課題である多様性の推進についてです。すべての女性社員と男性管理職との1on1ミーティングを行って得られた優先的に取り組むべき10の課題について、課題ごとに検討メンバーやスケジュールを決め、具体的な検討を開始しました。
ガバナンスに関しては、2023年6月に当社グループとして初のESGに関するステークホルダー・ダイアログを開催することを決定しました。ステークホルダー・有識者等をお招きし、当社グループの今後の事業活動やESG関連の取り組みに関するご期待やご意見をいただく予定です。ガバナンスの改善やマテリアリティの見直し等、今後の当社グループの意思決定の参考にしていきたいと考えています。
本日のこの機会に、当社グループのESGの取り組み状況について、ぜひみなさまからのご意見等をおうかがいできればと思っています。後ほどの質疑応答にて、ESGに関する質問やコメント等、心よりお待ちしています。
山本:18ページ以降については、参考資料となるため説明は割愛します。2023年6月期も残りわずかとなりましたが、気を抜くことなくグループ一丸となって業績予想達成を目指していきます。
2023年6月期第3四半期の決算説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:エンジニアリング事業の業績について
質問者:エンジニアリング事業について、第3四半期も受注は引き続き好調だったと思うのですが、これは実力値なのか、この3ヶ月に特殊要因等による押し上げがあったのかを教えてください。また、受託型については、受注の割にあまり売上が出ていないように見えます。受注するものの長納期化のような傾向等がありましたらご教示をお願いします。
山本:受注に関しては、昨今の脱炭素ニーズの高まり等によって順調に推移しているものだと思っています。このような外部環境は今後も続いていくと捉えており、このあたりの積み上げは今後も期待しつつ注力していきたいと考えています。
売上との関連性については、受注の約半分がコージェネレーション等の省エネ関連で、残りの約半分が再生可能エネルギーです。再生可能エネルギーは太陽光だけでなく、3分の1程度はバイオマス発電の受注となっています。
コージェネレーションやバイオマス発電は少し納期が長く、1年かそれ以上です。太陽光発電に関しては大小ありますが、自家消費型の屋根上太陽光であれば納期は1年未満です。売上は工事の進捗に従って計上されますので、太陽光発電と、納期の長い省エネ関連やバイオマス発電では、売上計上に寄与する期間が少し違ってきます。
質疑応答:電気小売供給について
質問者:エネルギーサプライ事業について、電気小売供給は燃料調整費の増加や市場価格が想定より低く推移したため増益になったとありますが、第3四半期ないしは第3四半期累計でどれくらいの押し上げになっているのかを教えてください。
ここで知りたいのは、2023年6月期の押し上げ効果ではなく、御社の電力小売供給が今後の市場価格や燃料価格からどのくらい影響を受けるかです。上に行くか下に行くか、正直私にもよくわかりませんので、市場価格や燃料価格のリスクがどのくらいあるかを可能な限り把握しておきたいと思います。
髙崎敏宏氏:髙崎から回答します。電気小売供給については、第3四半期は販売価格を非常に高く設定できたため、市場価格よりも高い値段でお客さまとの契約を結んでいくことができました。その後は、最終的な市場価格がどれくらいになるかによって上振れ幅の大小が生じます。
結果としては市場価格が割と安く推移しました。一部、相対取引と先物を少し抑えていたため、市場からの調達よりは少し高く原価がかかりましたが、売値がそれを上回ったため、差分としてはプラスとなりました。
第4四半期以降に関しては、現状は高い値段でお客さまに販売しているものの、お客さまがこれにとどまらず、もう少し安いところへと移られるケースも想定され、規模としては徐々に縮小させることになります。
したがって、市場が大きく変動しても、マイナスの影響を受けにくいかたちになっていますので、油の価格や市場価格の影響はあまり関係ないということになります。
質疑応答:多様性の推進で取り組む10の課題について
質問者:ESGの多様性の推進で、優先的に取り組む10の課題を設定し解決に向けて検討するとのことですが、その課題がどのようなものなのかいくつか例を教えてください。また、それらがどのようなレベル感で、解決に向けて取り組めるものとしてピックアップされているのか等、例示していただけるとありがたいです。
吉田:初のESGに関するご質問、ありがとうございます。私から回答します。
優先的に取り組む10の課題については、主に、男女問わずの働きやすさの改善につながるものになります。例えば、拠点や部門の枠を超えた連携を促して業務の効率改善を進めたり、属人化したワンオペ状態をなくす取り組み、ジョブローテーションの採用、単身赴任ルールの見直しを行う等です。また、社内で体系的な教育や研修の計画を作るということも含まれています。
質疑応答:脱炭素に向けた人材戦略について
質問者:人材に関して、足元のリスキリングをどう考えるかという問題があると思います。特にエネルギー業界全体としては、脱炭素に向けてマインドセットが変わっていくため、非常にリスキリングが重要であるという話が、大手エネルギー会社からはよく上がります。
御社としては、今挙げていただいたような多様性の課題に取り組み、ベースとして今の働き方をよくするということを超えた先に、リスキリングも考えていかなければならないとお考えでしょうか?
そのようなパスが見えている状態にあるのか、それとも御社とお客さまとのつながりの中で、再エネでも省エネでもサービスを提供していくことは、さほど変わるわけではないため、今いる社員のマインドセットや、ビジネススキルを大きく転換させることは、必ずしも成長に向けて必要ではないとお考えでしょうか?
御社の強みと脱炭素はどうつながっているのか、リスキリングは必要か不必要かも含めて、今後の人材戦略について、追加で幅広く教えてください。
山本:エネルギー業界の環境等がかなり大きく変わっていると思いますが、私たちが顧客向けに展開している脱炭素ソリューションは、省エネをベースとして、基本的に以前とあまり変わらないと思っています。
しかし、今後、さまざまな電力の上流側の制度改革等が進めば、蓄電池を含めたソリューション提案等の際には、このあたりの制度の理解は必要になってくると思っています。
私たちの人材戦略としては、中期経営方針でも掲げていますが、チーフやアシスタントマネージャークラスの強化と増員の目標に向けて、しっかりと人材を増やして育成していくということです。このあたりは人事チームや私たち経営層も入っていって、新卒・キャリアともに採用し、OJTも含めて、当社グループの脱炭素ソリューションを展開していけるレベルまで育成していこうと力を入れているところです。
質疑応答:社外取締役から見たグループの状況について
質問者:社外取締役監査等委員の大倉氏におうかがいします。社外取締役の視点から見て、御社の事業ないしはガバナンスや組織体制で優れている点、もしくは課題について、どのように認識しているかを教えてください。
大倉博之氏(以下、大倉):現状は、全社的な人材育成が大きな課題だと考えています。先ほどのご質問にもあったとおり、資格のほかに、マネジメントするという観点から、若い人たちをいかに育てることができるかが、当社グループにとって一番大きな課題であると思っています。
そのような観点では、ESG推進委員会等を中心として、1on1ミーティングを積極的に実施し、どのような人材がどのようなところにいて、どのようなことを考えているのか、それを広く把握した上で、いかに人を育てていくかが大事になってくると思っています。私も取締役会や経営執行会議といろいろなところに参加し、その中でどのような人材がどこにいるのかを横断的に見ています。
これは一朝一夕にはいかないのですが、人材に対して的確にコストをかけて育てていくということに真剣に取り組んでいただきたいというのが、社外取締役として課題と認識していることです。私もいろいろなアドバイスを行う等、積極的に関わっているところです。
質問者:御社のよいところや優れているところについては、どのように認識していますか?
大倉:特に営業部隊、あるいは開発事業に関わっている人たちに関して、お客さまの課題を解決できるようなことを、ワンストップで提案に結びつけていける人材が育ってきている点と思っています。お客さまのことを多岐にわたって考え、提案できる、また、それに裏打ちされる資格等も身につけている人が、非常に多いと思います。
個人的にいろいろな会社を見てきていますが、TESSグループにはそのような人材が育ってきており、それが強みであり優れたところだと考えています。したがって、それを次の世代にしっかりと引き継いでいけるよう、人材を育成し続けていくということが課題であると捉えています。