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畠賢一郎氏(以下、畠):みなさま、こんにちは。株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング代表取締役社長執行役員の畠でございます。本日は大変ご多忙の中、当社決算説明会のライブ配信にご参加いただき誠にありがとうございます。
本日の内容は、昨日開示した決算説明資料に沿って、ご覧の目次のようなパートで構成しています。内容が大変多くなっているため、少し駆け足でのご説明になるかと存じますが、何卒よろしくお願いいたします。それでは、さっそく始めさせていただきます。
サマリー①
2022年3月期の売上高は、再生医療製品事業および研究開発支援事業の売上が拡大した一方で、再生医療受託事業の売上減少により21億300万円で、前期比6.8パーセント減となりました。
サマリー②
こちらのスライドは、サマリーの詳細を文章にしたものです。売上高は再生医療製品事業が前期比で11.3パーセント、研究開発支援事業が前期比で12.3パーセントとそれぞれ伸びましたが、先ほどお伝えしたとおり、富士フイルムからの依頼による再生医療受託事業、CDMO事業のマイナスが大きく影響しました。
開発においては、当社が持っている適応をしっかりと進めていきますが、より多くの患者さんがいる市場への製品提供を目的に、計画どおり開発を進めました。
生産体制については、製造の合理化、ITの積極的導入などを達成しました。これにより、いっそう骨太の再生医療等製品の提供体制が整いました。詳細については後ほどご説明します。
今後の展開の項目では、当社が持っている適応よりも遙かに大きな市場を取りに行くことに注力したいと思っています。製造を合理化し、このビジネスを産業としてきちんと作り上げることは、当社に課せられた責務だと思っています。そのため、収益性を高めることを目指していきたいと考えています。
さらに、帝人グループに入った結果として、まずはCDMO事業を通じて帝人とのシナジー拡大を考えています。
2022年3月期の業績
2022年3月期の業績トピックスです。先ほどお伝えしたところの詳細をお話しします。
2022年3月期の売上高は21億300万円で、富士フイルムからの依頼による再生医療受託事業のマイナスが大きく影響しました。しかし、再生医療製品事業、研究開発支援事業はそれぞれ11.3パーセント、12.3パーセントの伸びを示しました。
また、利益率が低い受託開発収入が脱落したことや、先ほど骨太の生産体制とお話ししましたが、製造工程の効率化や改善による製造原価の低減により、粗利率は前年比で51.2パーセントから59.7パーセントへと大幅に改善しました。
当社は患者さん自身の細胞である自家細胞を使った、まったく新しいビジネスモデルを作っていますが、利益をきちんと上げていくことは必須だと思っています。
残念ながら、営業損失は前期比マイナス3,100万円の4億9,800万円でしたが、まずは2022年3月期の業績ということでご説明しています。
再生医療製品事業:自家培養表皮ジェイス
セグメント別、製品別にそれぞれご説明します。まずは「自家培養表皮ジェイス」です。2022年3月期の売上は10億3,100万円で、前期比5.4パーセント増でした。
メインとなるのは重症熱傷です。30パーセントの重症熱傷の発生患者数は、幸いなことにそれほど多くありません。ただし、そのほとんどの患者さんを当社が対応している状況です。当社のビジネスは、熱傷の患者さんの発生数に大きく影響を受けますが、着実にその価値を認めていただき進んでいるところです。
表皮水疱症、先天性巨大色素性母斑に関しては、新型コロナウイルスの影響を少なからず受けています。通院を控える動きもあるため、若干ビハインドになっていますが、「自家培養表皮ジェイス」に関しては、前期比5.4パーセント増であるとご理解ください。
再生医療製品事業:自家培養軟骨ジャック
「自家培養軟骨ジャック」についてご説明します。売上高は3億8,500万円で、前期比16.3パーセント増です。こちらは新型コロナウイルス感染症拡大による病院への行き控えがあり、手術のタイミングを見計らう患者さんや先生方がいました。一方で、大口の医療機関や新規施設からの受注も増加しているため、通年では前年比で売上が増加しています。
引き続き、受注をしっかり確保していきたいと思っていますが、高齢の方の悩みである「膝の痛みを治療できる」といった、より大きな市場に適応することで、さらに飛躍的な症例数を確保したいと考えています。
現状では、外傷や離断性、野球肘といわれる軟骨炎など、対象が若い方のみとなっているため、まだ市場は十分ではありません。
再生医療製品事業:ネピック、オキュラル、その他
眼科領域の「ネピック」「オキュラル」についてです。2022年3月期の売上高は6,200万円でした。2020年6月に保険収載された「ネピック」の製造販売が立ち上がり、また、2021年12月1日に自家培養口腔粘膜上皮「オキュラル」が新たに保険収載されました。
今回は時間の都合上、両者の違いについてのご説明は割愛しますが、こちらの眼科領域も着実に先生方に認知されています。2022年3月期については、このような業績であったとご理解ください。
再生医療受託事業
2022年3月期の再生医療受託事業の業績をお示ししています。売上高は3億9,100万円で、前期比45.8パーセント減です。2021年3月に、当社の親会社および筆頭株主であった富士フイルムからの受託事業を継続しないことで合意し、取引停止となりました。それに伴い、当期の売上は大きく減少しています。
新たな親会社である帝人や第三者からいろいろな引き合いが来ているため、新規受託の拡充を図ることで再生医療受託事業の再拡大を目指していきます。我々はこれをリスタートだと考えています。
研究開発支援事業:ラボサイト
研究開発支援事業「ラボサイト」に関する業績を記載しています。2022年3月期の売上は2億3,200万円で、前期比12.3パーセント増となりました。
新型コロナウイルスの影響により、ユーザーのみなさまが研究を控えた一方で、当社はオンラインツールを活用し、顧客のみなさまのニーズに合わせた迅速かつ適切なアフターフォローができました。それにより、前年対比で売上が増加しました。
日本だけではなく、海外でも動物実験を控える風潮となっています。このような流れを踏まえ、ラボサイトの営業活動を海外にも向けて展開しています。こちらも成長市場ということで、いろいろな国から興味を持ってもらっています。当社の一番の強みである「OECDのテストガイドラインに収載されていること」で、国内外からの引き合いの増加が見られ始めています。
なお、売上に関する新型コロナウイルスの影響は、当社の第4四半期に大きく表れました。熱傷以外の「自家培養表皮ジェイス」「自家培養軟骨ジャック」の適応も新型コロナウイルス第6波の影響を大きく受けたため、マイナス影響となりました。
また、「ネピック」「オキュラル」などの眼科領域も同様です。特に「オキュラル」については、眼科医が口腔粘膜組織を取ることへの躊躇もあり、第4四半期のネガティブな影響となりました。このようなことを踏まえ、2022年3月期の業績のご説明とします。
営業損益増減の内訳
営業損益増減の内訳です。2021年3月期の営業損失は4億6,600万円でしたが、粗利率の向上で売上総利益が増加し、9,800万円のプラスとなりました。
一方で、販売費および一般管理費は3,700万円増加しました。
当社は2026年3月期の目標に向けて、適応拡大、市場の拡大、骨太の生産体制の構築をしっかり行っています。これにより、研究開発費は前期比9,200万円のプラスとなりました。その結果、2022年3月期は4億9,800万円の営業損失を計上しています。
貸借対照表の概要
貸借対照表の概要はご覧のとおりです。手持ちの現金および預金に関しては、現時点で49億3,300万円を確保しています。研究開発投資などを含め、十分な手持ち金を確保している状況です。
キャッシュフローの概要
キャッシュ・フローの概要もご覧のとおりです。
2022年3月期 トピックス一覧
2022年3月期の1年間で、いろいろなことがありました。こちらにトピックスとして12項目を挙げていますので、主なものをご説明します。
他家(同種)培養表皮Allo-JaCE03:治験開始
まず当社の大きなイベントとして挙げたいのが、我々が「Allo-JaCE03」と呼んでいる、他人の細胞を使った他家培養表皮の治験を開始しました。こちらは11月にすでに開示資料として提示しています。
そもそも火傷の患者さまの中には、3週間待てない方がいます。また、当社の適応範囲はかなり狭いため、火傷をした際により簡単に貼って使えるものはないかと考えました。
実は他人の細胞を使ったものでも、それを貼ると大変効果があります。もちろん患者さん自身の細胞を使ったほうが、自身の組織としてくっつくのでよいわけですが、ガーゼよりも遥かによい効果があるという臨床研究のデータが出ているため、こちらを生産して提供できればと思い、治験を開始しています。
スライド左側の写真にあるように、こちらは乾燥品として提供されます。医療機関で乾燥した状態でストックし、用事調整で水を含ませることで、あたかも培養用品のように使えるというものです。
こういったものですと、海外展開の可能性が十分出てきます。海外にどんどん展開していくことが可能なものとして、治験を始めることができました。患者さん自身の細胞を使った再生医療や技術の水平展開として、より一層広い範囲での適応を考えています。
自家培養口腔粘膜上皮「オキュラル」 発売
2022年3月期に「オキュラル」が当社4つ目の承認を受け、保険収載となりました。保険償還価格は記載のとおりです。
「オキュラル」は、口腔粘膜を使って角膜を作るものです。もう1つの当社製品である「ネピック」は、健常な角膜を少し採取して増やし、悪いほうの角膜に移植するものです。そのためには、やはりよい角膜がなければなりません。
片方の目が外傷を受けた患者さんには「ネピック」を使います。一方で「オキュラル」は、両方の角膜に異常をきたした方が口腔粘膜を使うもので、当社が大阪大学の西田教授の技術を受けて提供しています。こちらを販売開始したことは大きなイベントだと思っています。
受託事業:中耳真珠腫に対する自家鼻腔粘膜上皮細胞シート
受託事業のトピックです。こちらもすでに開示していますが、東京慈恵会医科大学からの受託事業です。
少し聞き慣れない名前かもしれませんが、中耳真珠腫という疾患があります。これは、中耳真珠腫により耳の中に入ってしまった組織を除く治療です。再発しやすく、除いたとしてもまたそのようなものができてしまいますが、鼻の粘膜を培養してシートにし、移植するというものです。
東京慈恵会医科大学は中耳真珠腫に関してトップランナーであり、専門の医療機関です。ここが中心となり、再生医療を1つのテーマとして進めていきます。当社の役割としては受託事業ですが、今後は両者がしっかりと連携し、新しいビジネスを作りあげていきたいと考えています。
安定期の白斑治療に用いる自家培養表皮「ACE02」:製造販売承認申請
2022年4月27日に、当社にとって大きな案件となる、「尋常性白斑」または「まだら症」と言われている、白斑の治療を目的とした製品の治験が終わりました。厚生労働省との相談も終わり、製造販売承認申請しました。
こちらも早期に承認を受け、保険医療としての提供を目指しています。白斑は、潜在的にはかなりの患者さんがいると聞いています。冒頭でお伝えしたように、より多くの患者さんに使っていただくという観点から、当社としても非常に重要な案件だと考えています。
開発パイプラインの上市目標
開発パイプラインの上市目標をアップデートしています。明確にマイルストーンを1つ超えたものは、スライドにオレンジ色の矢印でお示しした内容になります。
また、軟骨の変形性膝関節症、急性リンパ性白血病のCAR-T治療も鋭意準備しているため、引き続き適切に開示しながら進めていきたいと考えています。
第10回 技術経営・イノベーション大賞「経済産業大臣賞」を受賞
大変ありがたいことに第10回技術経営・イノベーション大賞において「経済産業大臣賞」をいただくことになりました。
本当にありがたいと思ったのは、治療困難だった重症熱傷治療において、ゴールドスタンダードとして多くの患者さんの救命に寄与していること、そして医療機関と連携して安定供給できる体制を構築し、累計1,000例以上の移植実績があるなど、開発という観点だけではなく、製造や提供における功績が評価されたことです。
いずれにしても、技術経営のために承認を取るだけではなく、きちんと生産体制を構築して患者さんの役に立っていることが評価され、本当にありがたいと思いました。
6月2日開催予定の「第10回 技術経営・イノベーション シンポジウム」で、私もお話しする機会をいただきました。こちらは再生医療や医療だけではなく、すべての技術イノベーションの方々が集まるため、この再生医療の価値、当社の価値をぜひ訴求していきたいと思っています。
2023年3月期の業績予想
2023年3月期の計画についてご説明します。2023年3月期の業績予想としては、再生医療製品事業、再生医療受託事業、研究開発支援事業の売上拡大により、売上高が25億4,000万円で、前期比20.8パーセント増を考えています。ご覧の表の中で、再生医療製品事業は前年比22パーセント増を想定していますが、そのうちの多くは角膜領域の「ネピック」「オキュラル」によるもので、2億2,000万円です。
さらに再生医療受託事業も、帝人とのシナジーや新規開拓の案件などを含め1億円のプラスとし、トータルで4億3,700万円の増加、前期比20.8パーセント増を目指してがんばっていきたいと思っています。
今後の成長に向けて
今後の成長に向け、今期に実施すべき内容についてです。まずは2億1,000万円強の売上を拡大する意味で、「ネピック」「オキュラル」を眼科の先生方にいかに使っていただくかが最大の鍵になると思います。
また、再生医療受託事業のモデルを強化し、帝人としっかりスクラムを組んでCDMO事業を進め、新規案件獲得による利益を確保していきます。さらに成長を加速するための開発投資、設備投資、人員投資を行います。
先ほどからお話ししているように、当社製品の適応対象は極めて狭く、軟骨も本当に市場が小さいです。より大きな市場を取っていくには、やはり開発の投資が必要で、骨太の生産体制、設備をいかにコストを下げながらきちんと作っていくかが大切になっています。加えて、当社は人員の教育がきわめて重要だと思っていますので、このようなことを進めていきたいと考えています。
帝人との協創テーマとして、いろいろなシナジーの可能性を持っています。とりわけ海外展開について、当社は海外とのシナジーやアライアンスなど、今後いろいろなことを考えていく必要があるため、2023年3月期の対処すべき課題だと理解し、進めています。
市場環境
ここからは、昨日開示した「事業計画および成長可能性に関する事項」について、アップデートした部分も含めて一部を抜粋してご説明します。はじめにご理解いただきたいのは、当社が扱う3つの事業すべてが成長市場であるということです。
再生医療が注目を集めていることはみなさまもご存知かと思いますが、上市している製品は国内で16品目、当社で4品目にとどまっています。先ほどお伝えしたとおり、適応患者数についても軟骨や火傷でもかなり限定的になりますので、必ずしも多くはありません。
一方で、いろいろな市場調査を見ると、国内外すべてにおいて再生医療に関連する研究開発は盛んに行われています。これは当該市場が飛躍的に伸びることを示していると考えています。
特に当社が行っている人工的な組織や臓器の再生医療は、海外でもビジネスモデルがきちんと構築されているわけではありません。むしろ、免疫細胞を使ったがん治療やCAR-T細胞治療のほうが欧米では進んでおり、遺伝子治療もしっかり進んでいます。いずれにしても、このようなものすべてが成長市場として期待されている状況です。また、海外のがん治療、CAR-T治療、遺伝子治療などを受けることができるCDMO事業についても、これから市場が伸びる中で、我々の役割は少なくないと思っています。
そして、動物実験代替の風潮から、我々の研究用ヒト培養組織は欧米のみでなくアジアでも成長市場を形成しています。以上の3つの事業すべてが成長領域であることを十分踏まえながら、事業機会を逃すことなく進めていければと思っています。
基本方針・業績目標
基本方針・業績目標についてです。中期経営計画の中にもお示ししていますが、2026年3月期は売上高50億円、利益率10パーセント超を目指してがんばっています。
先ほどお伝えしたとおり、矢継ぎ早に研究開発を行うことで市場を伸ばしていきます。それにより売上高をしっかり確保して、さらに骨太の製造体制を作り利益率を確保していきたいと思っています。
スライドにあるグラフに「成長戦略1」「成長戦略2」「成長戦略3」と記載しました。基盤強化、市場拡大、領域展開の3つです。次のページから、1つずつ詳しくご説明します。
成長戦略1「基盤強化」:具体的な取組み
成長戦略1「基盤強化」についてです。幸いにも、当社は再生医療の製品をすでに4つ持っています。中でも、培養軟骨は当時それほど十分な保険収載価格をいただけない状況でしたが、それでも利益がしっかり出るような骨太の体制を作り上げています。
今後は、生産デバイス・ICTを活用した受発注システム、生産の効率化・安定化による量産体制の構築が鍵となってくるため、その方向性で進めています。よりいっそう利益率を上げていくことが重要です。
スライド右側に記載したQbD(Quality by Design)は、大変専門的な話になります。近年、海外において医薬品などの製造にもQbD、つまり「最終出荷検査で、製品の品質を評価するだけではなく、プロセス管理もしっかり行いましょう」ということが声高に叫ばれています。
これは、我々がもともと行ってきたことです。このように言葉として出てきてくれたことが本当にありがたいと思っていますので、社員教育を通じて周知徹底し、当社が作り上げる自家細胞を使ったプラットフォームと、うまくシナジーを生み出していきたいと思います。
基盤強化として、このようなことを行っていきたいと思います。かなり専門的な話で恐縮ですが、生産体制の強化とご理解ください。
成長戦略2「市場拡大」:具体的な取組み
成長戦略2「市場拡大」についてです。先ほどお伝えしたとおり、変形性膝関節症(OA)の適応拡大をがんばっています。順調に臨床試験を進めていますので、みなさまに進捗をご報告できるタイミングを考えて、適切に開示したいと思っています。また、こちらもすでにご説明しましたが、白斑治療についても市場拡大を目指して、皮膚の新しい製品を出していこうと考えています。
成長戦略3「領域展開」:具体的な取組み
成長戦略3「領域展開」についてです。皮膚領域・熱傷領域においては、自家細胞を使った我々の製品は浸透してきました。加えて、他家(同種)培養表皮など、先生方から「このようなものがあるといいな」とよく言われますので、そのニーズにお応えすべく次々に展開していけるよう準備しています。
そして、受託事業こそ、まさに領域展開です。CAR-T細胞や耳鼻科領域など、いろいろな分野に広げていくことで、受託事業を通じて新たな領域を示していきたいと思っています。
研究開発投資の実施状況
研究開発投資の実施状況についてです。2022年3月期の研究開発費は5.6億円と計上していますが、国のAMED等助成金が2.1億円入っているため、実際には7.8億円です。
現在、次々と臨床試験を行い、承認申請し、また必要な追加試験を行うということを矢継ぎ早に続けています。2022年3月期から2026年3月期の直近5ヶ年で、開発パイプラインに総額25億円を投資する方針です。これは対売上高比率17パーセントの、集中的な投入になります。
これらを有効活用して、パイプラインの上市のみならず、骨太の生産体制を作り上げていきます。すなわち、この25億円の開発投資を使って生産のIT化・機械化の実現を進めていきたいと思っています。
昨年度に引き続き、2023年3月期もまだまだ矢継ぎ早の研究開発が必要です。手持ち資金をうまく活用したり、一部の製品の売上を活用したりして、2026年3月期の目標達成に向けて進めていきたいと思っています。
当社の場合は、すでに製品を持っており、医療機関とのやりとりもあるため、より具体的にいろいろなことを進めていくチャンスをいただいています。どのように利益を上げていくかという観点から、バックキャスティングで製品開発を行っていきます。
そして、「再生医療をあたりまえの医療に」というビジョンの達成を目指します。当然ながら、多くの方に使ってもらえなければ「あたりまえ」にならないわけですので、よりたくさんの患者さんに使っていただける仕組みを構築していきたいと思っています。
サステナビリティへの取組み
サステナビリティへの取組みについてです。当社はまだまだ十分な経営基盤のない中でも、このようなことを見据えてしっかり進めているということを少しお話しします。
スライドにはサステナビリティ方針として、「私たちは『再生医療をあたりまえの医療に』というビジョンのもと、再生医療のリーディングカンパニーとして持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上に努めます。」と記載しています。
中には「持続可能に気を配る前に、再生医療は始まったばかりの領域だ」「まだ始まっていない」といったご意見もあります。我々としては、再生医療があたりまえの医療になるということは持続可能であり、医療の本質を変えていくものであり、患者さまに対して常に不朽の価値を提供することだと考えています。このサステナビリティ方針は、「再生医療をあたりまえの医療に」という部分に私たちの思いが集約されています。
従業員に向けて
従業員に向けた取組みについてです。こちらは働きがいやジェンダー平等などの内容です。
当社の男女比率のうち57パーセントが女性であり、多くの女性に活躍していただいています。女性活躍と言うとおこがましいですが、働きやすい環境をどのように作り上げるか、「再生医療をあたりまえの医療に」することのやりがいをどのように社内で共有できるかということを、日々考えながら進めています。
人材育成については、先ほどお伝えしたとおり、本当に新しいことに取り組んでいるため、他にベンチマークがありません。まずはゼロベースで、社員と一緒に必死に考えながら事業を作っています。そのため、担い手となる人材育成が大変重要ですので、しっかりと考えて進めています。
スライド右側には、独自の教育システムを記載しています。例えば、マイスター制度は、機械では再現できない培養の技術を習熟したメンバーを評価する制度で、モチベーション向上のために設けました。また、「Quality by Design」のような、いろいろな概念の勉強会も積極的に進めています。
学生・地域・患者の皆様に向けて
地域社会との関わりについてです。先日、一部報道にもあったとおり、「再生医療のまち蒲郡」として愛知県蒲郡市が応援してくださっています。また、蒲郡市民病院ともいろいろな連携を組んでいます。
その恩返しとして、社内で小学生向けの体験講座を行ったり、市民向けの公開講座を企画したりしました。さらには、次世代の医療には若い人たちが重要ですので、スライド右側に記載のとおり、興味を持ってもらえるようなイベントも実施しました。会社見学会にも本当にたくさんの若い人たちが来てくれました。このようなことも、領域を広げていくための1つの役割かと思い、微力ながら活動を進めています。
駆け足になりましたが、以上でご説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。