持株会社体制への移行について
武長太郎氏(以下、武長):本日は、当社の決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。2022年3月期決算の概要について、髙橋からご説明します。
髙橋広宜氏:まず、2021年10月1日に株式会社一家ホールディングスを設立し、持株会社体制へと移行しました。
本資料の数字項目について
連結の実質的な変更はないため、資料にある前年同期と比較を行っている数字については、株式会社一家ダイニングプロジェクトの2021年3月期の数字と比較しています。
2022年3月期業績動向(ハイライト)
2022年3月期の業績動向ハイライトですが、通期で新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた1年でした。しかし、売上は2021年3月期の34億2,600万円から44億2,400万円まで回復し、最終利益は助成金の収入もあり、黒字で着地しています。
コロナ禍における営業状況について
コロナ禍における営業状況についてです。当社グループが出店している1都3県においては、11月から1月下旬を除き、通期を通して緊急事態宣言・まん延防止等重点措置等の要請が発令されている状況でした。当該期間中においては、対象エリアの店舗を中心に臨時休業もしくは時短営業などの措置を講じており、全店で通常営業ができたのは11月から1月下旬の約3ヶ月間だけでした。
特別利益および特別損失の計上について
特別利益については、年間の合計で17億7,500万円の助成金収入を特別利益として計上しています。また、特別損失については、第4四半期の連結会計期間において、飲食事業の一部店舗で減損損失として1億4,000万円を計上しています。
2022年3月期業績動向(会社計:前年同期比)
続いて、前年同期比会社計の数字です。飲食事業については、臨時休業などを実施していましたが、ブライダルについては前年同期比で施行件数、組人数ともに増加しており、組単価も回復しています。
その結果、会社計として売上高は前年同期比でプラス29.1パーセントとなりました。また、助成金収入や店舗の臨時休業などによる損失6億2,700万円と、減損損失1億4,000万円を特別損失に計上し、最終利益は1億8,900万円で着地しています。
2022年3月期業績動向(飲食事業:前年同期比)
飲食事業の前年同期比についてです。2022年3月期は3店舗の新規出店、2店舗の業態変更を実施しています。2021年3月期も2022年3月期と同様に、臨時休業などの措置を行っていますが、売上高は前年同期比で9パーセントアップしています。
また、売上は増加しているものの販管費は減少しています。前期の出店が11店舗あったのに対して、今期の出店は3店舗だったため、開業コストが減少したことが主な要因です。その結果、営業損失は5億5,300万円となっています。
2022年3月期業績動向(ブライダル事業:前年同期比)
続いて、ブライダル事業についてです。施行件数、組人数、組単価は徐々に回復してきており、売上高は前年同期比でプラス121.5パーセントとなりました。最終的な営業損失は1億8,300万円で着地しています。
2022年3月期業績動向(貸借対照表)
貸借対照表についてですが、助成金の受領などがあり、期末においても充分なキャッシュポジションを維持している状況です。
2022年3月期業績動向(キャッシュ・フロー)
続いて、キャッシュ・フローについてです。期末の現金及び現金同等物の期末残高は9億9,300万円となっています。
既存店売上高 前年同期比推移
続いて、既存店売上高の前年同期比の推移についてです。前年も臨時休業などがあったため、前年同期比で非常に見づらくはなっていますが、通常営業を開始した第3四半期の10月、11月、12月はコロナ前に比べて業態差はあるものの、8割くらいの戻り率となっています。
新規出店・業態変更の状況について
新規出店・業態変更に関してです。これまで新業態を中心に出店してきましたが、「寿司トおでん にのや」「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん」「韓国屋台ハンサム」を1店舗ずつ新規出店しました。
また、既存の「屋台屋博多劇場」2店舗を、「韓国屋台ハンサム」へと業態変更しています。
飲食事業のポートフォリオについて
飲食事業のポートフォリオについてですが、コロナ前「こだわりもん一家」という和食の業態と「屋台屋博多劇場」が既存の主力の業態でした。しかし、コロナ禍によりお客さまのニーズが変わったことで、「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん」「韓国屋台ハンサム」、さらに既存の「こだわりもん一家」の次なる業態として、「にのや」という業態を開発し、出店を強化してきた1年でした。
新業態の状況について
新業態の状況についてです。業態で比較すると、「こだわりもん一家」は、もともと宴会席を配置し、店舗の作りが少し大きいのが特徴でした。しかし、「にのや」では少人数向けのコンパクトなお店にしたことで、坪売上が、「こだわりもん一家」業態の平均坪売上と比較して約90パーセントアップとなり、売上効率のよい業態に仕上がりました。
また、「屋台屋博多劇場」から「韓国屋台ハンサム」に業態変更した2店舗についても売上が68パーセントアップし、業態変更や新規出店によって業績が向上している状況です。
婚礼の成約率推移について
続いて、ブライダルの状況です。婚礼の成約率に関しては、2021年3月期第1四半期あたりから全員接客ということで、当社のプランナーをはじめ、それ以外のセクションでのおもてなしの部分を全面に打ち出し、スタッフ全員で新郎新婦を接客するスタイルに切り替えました。その結果、成約率が40パーセントという業界平均よりも非常に高い水準をキープするかたちになりました。
婚礼のコロナ後の売上回復率について
次に、売上の回復率についてです。コロナ禍により売上高はかなり下がってしまいましたが、今期に入ってから徐々に上がってきており、期末においては8割を超える水準で売上が回復してきています。
婚礼のコロナ後の組単価回復率について
コロナ禍で結婚式に人を呼べない状況が続いていましたが、コロナ禍が少し落ち着いてきた段階から組人数も回復し、組単価は期末で9割を超え、コロナ前の水準まで回復しています。
婚礼のコロナ後の来館数回復率について
来館数についてですが、2022年3月第4四半期は、感染者数が増加したことから少し減少しました。しかし、2022年3月期第3四半期では約9割まで回復し、こちらも飲食と同様、このままコロナ禍が収束に向かえば、来館数や施行数、組人数は以前の水準に回復していくものと見ています。
The Place of Tokyo 口コミ受賞
開業から10年目となる「The Place of Tokyo」ですが、大手口コミサイトでランキングに入るなど、新郎新婦さまやゲストさまから評価されています。
2023年3月期連結業績予想
武長:今期の業績予想と重点施策についてご説明します。2023年3月期の業績予想は、ブライダル事業と飲食事業の既存店の売上高を約9割回復することを前提に試算しています。
ブライダル事業は、コロナ過で結婚式の予定を先送りしたり、参加人数を減らしたりしている状況が続きましたが、現在は回復してきています。今後、コロナ前の水準近くまで回復していくと見ています。
飲食事業は、コロナ前に比べて4月は約75パーセントで、5月はゴールデンウィークもとても好調でした。例年はゴールデンウィーク明けは売上が落ち込みますが、今年は好調に推移しています。このまま収束に向かえば、9割の回復率まで届くと考えています。
子会社の取得について
子会社の取得についてです。2022年4月1日付けで株式会社Egoの株式を取得し、完全子会社化しました。代表者は、当社に新卒で入社し10年間のエリアマネージャーを経て、事業部のナンバー2を経験した人物です。昔から起業が夢で、2021年9月に五反田に「肉のウヱキ」をオープンし、今後展開していくということで独立しました。
現在は1店舗のみではあるものの非常に好調で、今後の出店の可能性を秘めた、とてもよい業態に仕上がっていると思っています。「ネオ大衆酒場」×「昭和の商店街にあるお肉屋さん」がコンセプトで、「ランチ」と「中食(テイクアウト)」「居酒屋利用」の三毛作業態です。
新規出店戦略
新規出店戦略ですが、2023年3月期は10店舗を計画しています。現在、決まっているところは、4月1日に「屋台屋博多劇場 横浜店」、5月30日に「寿司トおでん にのや 大門店」、「韓国屋台ハンサム」2店舗、「寿司トおでん にのや 町田店」の5店舗です。さらにあと5店舗を出店していきたいと思っています。
業態変更戦略
業態変更戦略です。現在の第一の柱は「屋台屋博多劇場」というブランドであり、こちらはどんどんお客さまが戻ってきています。一方、新しく出店した「韓国屋台ハンサム」という業態も、藤沢店などがとても好調です。業態変更後に、最初の予測以上の売上を上げる店もあります。
「韓国屋台ハンサム」で売上向上が見込めるエリアは、果敢に業態変更を行っていこうと考えています。博多の屋台から韓国の屋台への変更のため、非常にスムーズにあまりお金をかけず実施できます。
また客層は、「屋台屋博多劇場」は30代から50代のサラリーマンがターゲットでしたが、「韓国屋台ハンサム」は、20代の女性が8割くらいです。回復を待つよりも、好調な業態があれば積極的な業態変更を検討していきます。
現在は、「博多劇場」の本川越店と、新橋店を「韓国屋台ハンサム」に業態変更する予定です。
The Place of Tokyo 契約更新
「The Place of Tokyo」は開業10年目を迎え、次の10年に向けて定期建物賃貸借契約を更新しました。これを機に、2023年6月から8月に大型リニューアルを実施予定です。内外装を一新し、1階のレストランは少人数の結婚式ができるよう、バンケットでもしっかり機能するかたちにリニューアルし、4バンケット体制にしていきたいと考えています。
The Place of Tokyo 婚礼施策
また、婚礼サービスを内製化します。今まではアウトソースでしたが、我々のおもてなしで、さらにお客さまに満足いただける自信がついたため、内製化していきたいと考えています。収益率も上がるだろうと考えています。
デジタル化による業務改善
デジタル化による業務改善です。一部のお店ではセルフオーダーシステムを採用していましたが、今後「屋台屋博多劇場」などでも随時導入を検討していきます。特に追加注文はお客さまが自身のスマートフォンからできるほうが、ストレスもなくよいのではないかと考えています。
さらに、我々はオーダーを取る時間が削減され、お客さまともっとコミュニケーションをとれるようになります。もちろん人件費の削減にも寄与しますが、さらなるおもてなしをお客さまに体感していただくところに力を入れていくために導入していきます。
デジタル化による業務改善
その他、AIを使った自動発注などの導入も検討し、生産性を高めていきます。
新卒採用
新卒については、今期も59名採用しました。来期も50名以上の採用を計画しています。
社内教育の充実
社内教育では「IKKA Universal College」という教育プログラムを行っています。今までと違いオンラインで実施していますが、各幹部が講師になり、力を入れて教育しています。
当社グループの今後のビジョン
当社グループの今後のビジョンについてです。一家ホールディングスとなりましたので、今後は子会社を一つひとつ紐付けていきたいと思っています。今は飲食事業とブライダル事業を行っていますが、将来的には事業部を1つの会社にしていくことも考えています。
今後非常に期待しているのは、レジャーサービス事業、宿泊・ホテル事業などのインバウンド関連です。海外からの観光については、来月頃から一部で水際対策の緩和もあり、数年後には世界中の人が日本に遊びに来られるような世の中になると思っていますので、そこに向けて日本の「おもてなし」を世界の人に感じていただけるような事業を行っていきたいと考えています。
簡単ではございますが、以上でご説明を終了いたします。
質疑応答:婚礼サービスの内製化について
質問者:ブライダル事業の婚礼サービスの内製化について、サービスを提供するスタッフを自社で抱えるのか、ドレスや花を内製化していくのかなど、具体的な中身を教えてください。
武長:花やドレス、演出、牧師、司会などの外注については今までどおりです。内製化するのは、当日のパーティーでお客さまのテーブルに料理やお酒を運ぶスタッフです。今まではこちらも外注していましたが、我々が行うべきだと考えました。ここ10年くらいでそのようなノウハウや知見をかなり蓄えてきましたので、これを期に内製化を進めていきます。
質疑応答:婚礼の参列者数について
質問者:ブライダル事業について、婚礼の参列者数は通常ペースに戻っているのでしょうか?
武長:婚礼の組人数は徐々に通常ペースに向け戻っています。ただし、婚礼の組人数はここコロナ以前も減少傾向にありましたので、組単価よりも、小さな婚礼も1件1件しっかり取っていき、4バンケット体制で売上をキープしていきたいと考えています。また、付加価値として「The Place for Eternity」を販売するなど単価向上にも努めていきます。
質疑応答:業態変更について
質問者:「屋台屋博多劇場」から「韓国屋台ハンサム」への業態変更についてです。非常によい戦略だとは思いますが、韓国や台湾は一過性のブームで終わり、長続きしないのではないかという懸念があります。社長はどのように考えていますか?
武長:今、韓国の歌や音楽、ドラマが非常にブームで、それに乗っているところもあるかと思います。しかし、チャンネル数をたくさん持っておくことは重要だと思っています。
これからは全国にチェーン店を100軒、200軒、300軒、500軒と増やしていく時代ではなく、会社としてあらゆるチャンネルがあり、時代に合わせてカメレオンのように変わることができる会社のほうが強いのではないかと考えています。
もちろん1個の業態がなるべく長続きするように努力していきたいとは思いますが、ブームが変わるようであれば、そのタイミングでチャンネルを変えていくことも1つの戦略として考えておかなければいけないと思っています。
質疑応答:コロナ禍の中でよかったことについて
質問者:コロナ禍の中でよかったことはありますか?
武長:コロナ禍の中でよかったことは、あらためて我々の存在意義を考える機会ができたことです。たくさんの会社がタッチパネルを採用し、テイクアウトやデリバリーに力を入れる中で、我々は対面で接客し、お客さまによろこんでもらったり楽しんでもらったりすることで、「この店に来て元気をもらった」と言っていただけることが我々の強みです。これからもその強みに特化してさらに力を入れていこうと、僕自身も改めて考えなおすことができたことが、今回の2年間で一番よかったことではないかと考えています。
質疑応答:「Remo Cafe」について
質問者:「Remo Cafe」は今どのような状況でしょうか? 今後の可能性について教えてください。
武長:現在「Remo Cafe」は2店舗あり、客数は少しずつ伸びてはいますが、単価がなかなか上がりきらず苦戦しています。これを展開していくには単価がもう少し上がってこないと難しいと考えています。
今後は5Gの展開も進み、リモートの需要は高くなっていくだろうとは考えていますので、この2店舗を改善しながら、次の展開に向けて考えているところです。