アジェンダ

秋元洋平(以下、秋元):これより「IRセミナー・現役のCFOが語るKPIの活用法〜事業運営・IRへの生かし方〜」を開始いたします。

まず本日の企画をご説明します。マーケティングやセールス、採用などの領域に用いられるKPIは存在が当たり前になった一方、完全に使いこなせている企業は少数ではないでしょうか?

社内で適切に運用できれば、環境の変化に応じて現場から経営層までが最適な判断ができ、競争上優位性を確立できます。社外でも、投資家とのコミュニケーションツールとして用いることで、自社への理解促進や期待値調整に役立てることができます。

そこで今日は、現役のCFOとして、i-plugの田中伸明取締役CFOに、IRにおいてKPIをどのように活用しているかについてうかがいます。また、ビーワンカレッジでKPIマネジメントのスペシャリストとして活躍し、数々のIPO企業の予実管理に関わってきた広瀬好伸代表取締役社長とディスカッションを行います。

〜QAタイムの参加方法〜

秋元:質疑応答の時間も設けていますので、ご質問のある方は、随時「Zoom」のQ&Aボタンからご投稿ください。よろしくお願いします。

ファシリテーター

秋元:あらためまして、秋元洋平と申します。簡単に自己紹介すると、2016年にログミーに入社し、翌年2017年に決算説明会の書き起こしメディア「ログミーFinance」を立ち上げました。

現在、同メディアの金融やIR関連サービスとのアライアンスを進めるほか、個人投資家やIR担当者向けのイベントを企画・運営しています。少しでもみなさまのお役に立ちたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【1】現役のCFOが語る「KPIの使い方」

秋元:それでは、現役のCFOが語る「KPIの使い方」に移ります。

【1】スピーカー

田中伸明氏(以下、田中):i-plug取締役CFOの田中伸明と申します。どうぞよろしくお願いします。

私はグロービス経営大学院で出会った同期3名と、2012年にi-plugを創業しました。取締役に就任し、初期はCOOとして営業をしていました。その後はCMOとして学生、法人マーケティングの仕組み作りと広報の立ち上げといったことを進めていました。

少しの期間ですが、組織が拡大していく中、組織課題を解決するためにCHROも担当しました。2021年3月に東証マザーズに上場したのですが、その1年半くらい前からCFOに着任し、上場の準備や審査対応、そして上場後はIRを中心に担当しています。

秋元:i-plugさまは業績の先行指標となるKPIを開示されているため、そのことについてもいろいろとうかがいたいと思います。

田中:よろしくお願いします。

【1】Q.i-plugさんの事業概要、KGIを教えてください

秋元:さっそくご質問したいと思います。まず1つ目に、事業概要とKGIについて教えていただけますでしょうか?

【1】事業概要

田中:決算説明資料等から抜粋していますので、詳細については資料をご覧いただきたいと思います。まず簡単に事業概要をご紹介すると、当社は新卒に特化したダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox(オファーボックス)」というサービスを提供しています。

従来は、学生が新卒採用ナビサイトを通じて企業を探し、応募するエントリー型の就職活動が一般的でした。それに対し、真逆の仕組みを提案したのが「OfferBox」です。

企業には学生からの認知がなかなか獲得できず、思うように採用したい人材と出会えていないといった課題があり、課題感は年々高まってきています。大手企業でも課題に感じていることですが、そのような課題解決のためのソリューションとして提供しています。

現在では、就活生の3分の1くらいの学生が利用しています。約18万人の学生データベースの中から、いろいろな検索軸を使って、各社が採用したいと思う学生を探して、オファーするかたちで声をかけてもらい採用するという仕組みです。

【1】用途に合わせて選べる料金プラン

田中:KPIとも関連する、料金体系の部分についてご説明します。1つはナビサイトが解禁されてから本選考期間で使う「成功報酬型」で、費用は採用が決定した時に38万円いただくものです。業界でも最安値の水準となっています。

成功報酬型でよい学生に会えた、または採用できたという成功体験を積むことができた多くの企業は、翌年度卒の採用からインターンシップの時期など早い段階から使える「早期定額型」を契約しています。この2つのプランを用途に応じて選べるようにしています。

【1】決定人数の推移

田中:KGIはいずれのプランにおいても、採用決定人数を重要視しています。当社は、ミスマッチのないマッチングを世の中にたくさん生み出していきたいという思いで事業を行っています。そのため、KGIで決定人数を設定し、どうすればよりよいマッチングや採用決定を生み出していけるかを逆算してKPIを設定しています。社員でその数字を追いながら、提供価値を高めていけるように活動しています。

【1】TAMは45万人

田中:実は、IRではTAMについても人数でご説明しています。就活生は45万人くらいいるのですが、当社はまだそのうちの0.8パーセントほどのシェアです。就活市場で言いますと、750億円前後で推移している状況で、要するにこれはまだ伸びしろがあるというメッセージです。当社としては新しい切り口で事業を立ち上げていますので、既存の市場規模だけではご説明できないポテンシャルがあると思っています。

【1】5年後2万人決定を目指す

田中:5年後の2026年卒においては、2万人決定を目標に掲げています。4年後なのですが、2万人決定を目指して年率40パーセント以上で成長させることをコミットして取り組んでいます。

【1】Q.i-plugさんのKPI体系について教えてください

秋元:KGIに向けて、どのようなKPIを設定しているかについて教えていただけますか?

【1】2万人決定に向けての取り組み

田中:決算説明資料に含まれている内容ですが、スライド10ページのとおり、当社の売上は基本的に「一人あたりの採用単価×採用決定人数」です。先ほどお伝えしたKGIに該当し、掛け合わせで売上が算出できるイメージです。

この採用決定人数の「1」をどのように生み出していくのかをツリー状に分解し、それらをすべてKPIとして設定しているのです。KPIと言いましても、指標化してすべて数値で追うかたちで運用しています。

秋元:お答えいただけるのかわからないのですが、最終的にどれくらいの数になりますか?

田中:そのような質問もあると思って確認したのですが、主たるKPIのシートには150項目くらいあります。ただし、どちらかと言いますと決定を生み出すうえでのKPIであり、そのほかは学生に登録してもらうためのマーケティングのKPIなどがあります。登録してからは、プロフィール入力を高めてもらい、アクティブ化するといったステップがあるのですが、これらもすべてKPI化してモニタリングしています。

一方、営業についても非常に細かく、また法人側のマーケティングのKPIも設定しています。先ほど150項目とお伝えしましたが、それ以上に多くの数値を毎日更新し、追いかけているようなイメージです。

秋元:管理する側はデイリーでチェックされているのですか?

田中:おっしゃるとおりです。基本的には、どのKPIの数値にも全員アクセスできる状態になっています。毎日、各部門や役割ごとに必要な指標を見ながら、みんなで「ここ数値がちょっと悪いね」「ここにもう少し費用を投下したほうがパフォーマンス上がるのではないか」と議論し、日々改善しています。

【1】Q.様々なKPIを毎月開示しているのはなぜですか

秋元:次の質問です。今、IRでさまざまなKPIを開示されていますが、どのような背景で開示するに至ったのかを教えてください。

【1】KPI推移に関するお知らせ

田中:毎月だいたい4営業日目くらいに、スライド12ページの図のように主要KPIの進捗として前月の数値を開示しています。投資家の方々は、月初になると「もうそろそろKPIが出る頃だ」と「Yahoo!掲示板」などに投稿されているようです。

決算説明時にももちろん説明しますが、主要なプラットフォームの重要指標について毎月情報をアップしています。

質問への回答としては、当社の事業内容とその進捗について投資家のみなさまに正しく理解していただくことが目的です。IRに取り組んでみると、四半期に1回の接点では関係性を構築していく上で十分ではないと思ったのです。事業に対してより理解や興味を持っていただくためにも、こまめに情報を開示しながら関係性を築いていくことが大事ではないかと考え、2021年7月から取り組んでいます。

秋元:投資家から客観的に拝見すると、非常に信頼してもらいやすいのではないかと思うのですが、フィードバックなどはいただいていますか?

田中:おっしゃるとおりです。私たちは面談の最後などに投資家のみなさまにご要望をお聞きしたり、IRについてフィードバックしてもらったりするのですが、「i-plugはいろいろと情報を出してくれているから、特に問題ないです」と言っていただけています。

秋元:反対に、情報を出す側としては、非常に難しい部分があるのではないかと思っています。これらの情報は、売上・業績の先行指標になるため、悪い時にはリカバリーを見せたくないといった思惑や考えが邪魔することもあると感じるのですが、社内ではどのような経緯があって情報を開示するようになったのでしょうか?

田中:目的は投資家の方々にきちんと理解してもらうことですが、なぜ情報を出せるかと言いますと、社内でもKPIの数値についてフルオープンにしてきたことが大きいと思います。

もちろんインサイダー情報の取り扱いについては注意しています。社員がこのような情報に日々触れ、役員も社員も同じ情報をもとに課題特定の議論ができたり、解決策の検討ができたりできるようにしたいという思いがあり、もともとフルオープンで進めてきました。

もともと素地として、数字に置き換えて議論する会社のカルチャーがあり、i-plugという会社は多様な人たちが集まって成り立っているため、数値は共通言語にもなり得ます。

しかし、いきなり今の状態が確立できたかと言いますと、そうではありません。10年間の中で、毎年、漆塗りのごとくKPI管理が進化し、長い年月をかけて改善が行われた結果、上場における審査の時にもきちんとKPIをベースにご説明できるような状態となり、上場後もIRにおいて活用できているのだと思います。

秋元:現在は営業の部分だけで150ほどのKPIが設定されています。10年間塗り重ねてきたというお話ですが、10年前のスタート時はいくつくらいありましたか?

田中:おそらく初期には20項目から30項目くらいあった気がします。当時から、年に2回経営合宿を行っていますが、ホワイトボードにKPIツリーを書いて議論した写真も残っていますので、当時はまだそのくらいの項目数だったと思います。

【1】会場からの質問:多くのKPIがある中での改善策の優先順位について

秋元:ちょうど今、会場から質問が来ました。「KPIが150もあると、どの項目を改善するために手を打つかが非常に悩ましいと思いますが、どのように優先順位を付けていますか?」というご質問です。

田中:その点についてはまだ課題があると思っています。どの数値をどれくらい改善すると、受注や売上にどの程度影響を与えるかなどをきちんと分析しながら、精度を高めていく必要があります。すべての数値が決定人数と売上に紐付いていますので、当然どこかを改善すると、売上高がいくばくか動きます。影響の度合いを確認しながら、どこに投資していくかを社内で議論するイメージです。

秋元:影響度の大きいところと小さいところで優先順位を付けたり、改善の余地について難易度があったりするのですか?

田中:おっしゃるとおりです。トラックレコードは全部取れています。指標の1つに、「オファーの承認後決定率」があります。私たちはこれについて改善したいと思っています。過去のトラックレコードを見ると、オファーの承認後決定率についてはあまり変化がないと言いますか、固定化されている数値なのです。

だからといって改善できないわけではないのですが、いったんここは据え置いています。これは秋元さんがお話ししたように、オファーの承認率を上げるよりも難易度の高いことなのです。

そのため社内では、影響度だけではなくて改善のしやすさや、投資の必要性を考慮した上で、どこに、どれだけのリソースを配分していくかを議論しています。

【1】会場からの質問:改善過程で削除するKPIの有無について

秋元:「KPI改善の過程で、なくしていったKPIはありますか?」というご質問です。

田中:最初は大きく分解していたものを、より細かく分解しながらツリーを精緻にしていく改善を行ってきたため、KPIをなくすことはあまりないかもしれません。イメージとしては、どんどん細かく精緻化していくようなかたちです。

秋元:もともと10年前に設定されていた30項目ほどのKPIが、さらに因数分解されて現在の150項目くらいまでに増えたというイメージですか?

田中:おっしゃるとおりです。その中で、先ほどお伝えした成功報酬型と早期型という料金プランができました。定額制の早期型は前課金モデルです。先に支払っていただくため、いわゆる営業のKPIの中で受注が予測できます。

一方、成功報酬型はプラットフォームのKPIを見ていかないと、どれくらい成功報酬において決定が生まれるかがわかりません。このように料金プランが進化したことに伴い、見なければならない指標も広がっていったということです。例えば今では直販もあれば、パートナーに販売していただいている部分もあります。

自分たちで営業するわけではないため、パートナー側は、また違ったKPIの置き方をしています。そのようなかたちでどんどん幅が広がっています。

【1】会場からの質問:KPI運用上の工夫点について

秋元:「KPIを設定・運用していく上で、運用自体がとても大変だと思いますが、その部分で工夫をされていることはありますか?」というご質問です。

田中:この点は、事業推進や事業企画系のメンバーが本当にがんばって取り組んでくれています。シートをきちんと設計し、プロダクト側から出てくるデータを毎日のように抽出し、シートに反映させていくところまで自動化されているため、そこに対しての工数はそこまでかかっていません。

それを作り込んでいく作業は大変ですが、1回作ってしまえば、それをもとに自動的に更新されていくため、そこまで運用は大変ではないと思います。

秋元:なるべく現場の負荷を減らしてあげる工夫をされているということですね。

田中:おっしゃるとおりです。現場が、現場の負荷を減らすために自らがんばっていると言うほうが正しいかもしれません。これも会社の文化かと思うのですが、仕組化していく中で、全員が「こうしたらもっと楽に、スムーズに運用できるのではないか」と考えながら取り組んでいるのだと思います。

【1】会場からの質問:KPI設定のデメリットについて

秋元:最後に、「KPI設定の一般的なデメリットとして、数字を追いすぎてしまうことはないのですか?」とのご質問です。

田中:そこはマネジメントでメンバーとうまくコミュニケーションしていく領域だと思っています。なぜその数字を達成しなくてはいけないのかという意義や目的、その先に何があるのかというビジョンなどを、マネジメントもしっかり理解して、それをメンバーにきちんと伝えていくことが欠かせないと思います。

当社が今、それをパーフェクトにできているかと言いますと、もちろん課題はあります。組織も急拡大中で、マネジメント層の人材採用などの育成に着手していますが、そのようなところでマネジメントをしっかり効かせていかないと、確かに数字至上主義的になってしまう可能性はあると思います。

【2】KPIマネジメントの専門家とともに考える「KPI設計の仕方」

秋元:ここからは、みなさまのKPIに対しての理解度をより一層深めるために、KPIのスペシャリストをお呼びしています。まず自己紹介をお願いします。

【2】スピーカー

広瀬好伸氏(以下、広瀬):ビーワンカレッジの広瀬と申します。もともとは会計士で、起業して14年から15年経つのですが、その間に上場企業の役員、社外CFO、IPO、M&A、企業再⽣コンサルタントなどで活動してきました。

数字を通して600社以上の会社をお手伝いする機会をいただき、合計4社のIPOに携わることができました。現在も、i-plugの社外役員と、飲食店を経営するNATTY SWANKYの社外役員を務めています。

仕事でKPIや数字をずっと扱い続けているため、そのような経験の中から、今日は少しでもみなさまのお役に立てるような話ができればと思っています。よろしくお願いいたします。

秋元:さっそく、みなさまからKPIについていろいろな質問をいただいています。広瀬さまにKPIの重要なポイントや活用方法をお話しいただきたいと思います。

【2】Q.KPI設定で留意すべきポイントは何でしょうか

秋元:KPI設定で留意すべきポイントは何でしょうか?

広瀬:先ほど田中さまにおっしゃっていただきましたが、一言で言いますと「KPIツリーを作ること」だと思っています。

先ほどの田中さまの資料の中に、KGIを起点としたKPIツリーの図がありましたが、KGIを売上にした場合のケースでご説明します。

例えば、売上というものをロジックツリーのフレームワークに沿って因数分解すると、「売上=単価×客数」に分かれます。四則演算でここの関係性をつなげていき、それをロジックツリーのフレームワークに沿って、どんどん因数分解していくイメージです。

顧客数をさらに分解すると、商談数と成約率の掛け算になります。このようなイメージでロジックツリーを作りながら、四則演算でできるだけシンプルなかたちでつなげていくのが1つ目のポイントです。

このように、ロジックツリーのよいところは、因果関係が非常にわかりやすいということです。例えば、売上高6,000万円の計画に対して5,600万円になり、差分が400万円と言われたところで、その原因がよくわかりません。

原因は次の階層のKPIを見ればよいというのが、ロジックツリーのフレームワークのメリットであり、「単価は問題ないけれど、顧客数が未達成だったために売上が未達成だったんだな」と、因果関係がわかりやすくなっています。

もう1つのポイントは、「できるだけ細分化していく」ということです。実際、このような因数分解で止まっている会社が非常に多く、これをどんどん細分化していくことだと思っています。

例えば、商談数をさらに分解すると、「リードの数×商談化の率」に因数分解できます。さらに、「リードをどのようにとっているのか」と考えた時に、「テレアポとWebチャネルでとっている」となれば、リードの数はさらにこの2つの足し算に因数分解できますし、テレアポをさらに分解すると、テレアポの掛けた数とアポがとれた率に分解できます。

Webのリードで言いますと、Webサイトをクリックされた数とコンバージョンレートの掛け算に因数分解できるというように、どんどん分解していくことが大切だと思っています。

もう1つポイントを挙げるとすれば、この例ではWebやテレアポからリードをとり、商談して成約するという流れになっていますが、成約率というのは、構造上、テレアポからのリードとWebからのリードの、どちらの成約率もごちゃまぜになって出てきてしまいます。

例えば、テレアポのリードとWebのリード、どちらの成約率が高いのかという示唆を得ようと思ったら、この構造分解ではなかなかわかりにくいと思います。

これをどうすればよいかと言いますと、同じような構造にはなりますが、そもそもの顧客数について、Webチャネルからの成約とテレアポからの成約に分けた上で、Webからのチャネルを分解し、テレアポからのチャネルの成約を分解します。

登場しているKPIは先ほどと何も変わりませんが、Webチャネルの成約率と、テレアポからのチャネルの成約率を分けて見られるような設計もできます。

同じようなKPIでも、このように分けた瞬間にKPIの数自体は一瞬で増えてしまいます。そのため、運用の工数は増えますが、詳細にわかるのがメリットです。このようにチャネルごとに分解すると、より深い示唆が得られるところがポイントです。

秋元:先ほど、150項目くらいのKPIを運用するのは大変だというお話がありましたが、実際にIPOの4社と携わられている中で、うまくKPI管理が行われている企業、事業成長に寄与できているという実感値がしっかり持てている企業は、どれくらいの数のKPIを管理されているのですか?

広瀬:これはおもしろいほどにバラバラです。何十個というKPIの会社もあれば、800項目の会社もあり、幅が広すぎます。ただし、これも当然ビジネスモデルによると思います。

例えば、ご覧いただいたのは「マーケ、セールスのプロセスをKPIにしたらこうなる」というケースですし、SaaS企業などで自社のプロダクトを持っている会社であれば、プロダクト内の動きをKPI化することもできます。

このように、KPIというのは、ビジネスのプロセスさえあればさまざまな角度で分解できてしまうため、どこまで行うかはその会社のビジネスモデルによります。ECであれば、もっとシンプルにできますし、複数の事業を展開していたり、そのプロセスが複雑だったり、部署がたくさんあったりすると、どんどん増えていきます。

秋元:数よりも、最後まできちんと分解しきることが重要だということですね。

広瀬:そのとおりです。一度、発散という意味で、漏れなく、ダブりなく、とにかく洗い出すことです。我々のような小さな会社のKPIでも350個くらいあり、分解していくと意外とできるのです。

したがって、どこまで分解するかはともかく、一度、できる限り分解してみると、いろいろな意味でかなり解像度が上がります。絞るのは後からでもできるため、まずは発散させ、とにかく洗い出しきるのがおすすめです。

【2】Q.日々のKPI運用で注意すべきことを教えてください

秋元:次は「そのような中で、日々KPIを運用していくことになると思いますが、その上で注意すべきことがありましたら教えてください」というご質問です。

広瀬:注意することはたくさんあります。この画面ではとてもシンプルな構造分解しかしておらず、20個もないと思いますが、田中さんがおっしゃったように、やればやるほど分解できるため、150個くらいになってきます。

KPIツリーのメリットは、漏れなく、ダブりなく洗い出せるところですが、デメリットとして、数が多くなる点があります。人は一度にたくさんのKPIを追いかけられないため、重要度で優先順位をつけていく必要があります。

さらにポイントを挙げるとすれば、KPIの設計・運用上で大切なこととして、この画面でご覧いただくと、時の流れは下から上に流れていっているはずです。

Webやテレアポでリードをとり、商談、成約して売上につながるという、時の流れ自体は下から上に流れていっています。上のほうに行けば行くほど「結果」です。下に行けば行くほど「先行指標」といわれるものが出てきます。

先行指標とは、コンバージョンレートが下がったり、クリック数がどんどん下がっていけば、そのうち「リード数→商談数→成約数」も減って、売上が減る可能性が高くなるというように、結果が出る前に先読みしやすい指標です。

そのため、この先行指標を分解し捉えて、結果が出る前に先手先手でコントロールすることが、運用上非常に大切なのではないかと思います。

もう1つ、数字というものは絶対に、多面的、立体的に見る必要があります。例えば実績と計画との対比においても、先ほどのは当初計画との実績との比較でしたが、同じ計画でも、社内目標用の計画と実績とを比べてみたり、東日本チームと西日本チームのように組織のヨコヨコの実績で比べてみるといったことが必要です。ほかの部署やほかの拠点やほかの事業と比べたり、前年同期や期初からの変動幅で見てみたり、グラフで6ヶ月や1年間どトレンドを見てみるなど、数字は多面的に見る必要があり、これが運用上のポイントだと思います。

一側面で見てしまうと事実を捉え間違えたりするため、できるだけ立体的に、多面的に課題を捉えるために、Excelやスプレッドシートで管理している会社も多いと思います。

それはそれでよいのですが、多面的に自由に組み合わせて、いつでもリアルタイムで簡単に分解・分析しようと思うと、やはりExcelやスプレッドシートでは限界があると思っています。

ロジックが複雑化してわかりにくくなったり、ファイルやシートが増えてメンテナンスが面倒になったり、属人化して業務効率が低下したりするデメリットがあります。少しずつでも脱Excelしながら、運用を楽にすることにも同時に取り組んでいくほうがよいと思います。

【2】Q.i-plug社のKPI管理はどの部分が優れていますか

秋元:上場前からi-plugのKPI管理に関わられていたと思いますが、ちょうど田中さまもいらっしゃいますし、どの部分が優れているのかお話しいただけますでしょうか?

広瀬:i-plugは僕が知る中でもすごいなと思っています。先ほどお伝えしたように、KPIマネジメントのポイントは、大きく分けて設計のポイントと運用のポイントの2つに分かれると思っています。

i-plugは、この2つともレベルが非常に高く、細かいポイントを挙げ出すときりがないのですが、まず設計については、先ほどの田中さまの画面でもあったように、因数分解をきっちりされていて、適切な先行指標を重要なKPIとしてしっかり捉えています。

その数値の動きが、売上という結果指標にどう影響するのかを正確につかみながら、日々マネジメントされています。この設計の解像度と、重要度をつかんでいくところに非常に長けていると感じています。

もう1つは運用面です。先ほど田中さまがおっしゃられたように、KPIをベースとして週次でPDCAがきちんと回っているのですが、ものによっては日次でそれがアップデートされており、PDCAを回すスピードが非常に速いことが挙げられます。

これができているため、先ほどお伝えした先行指標を先手先手で捉え、売上という結果指標をリアルタイムでしっかりフォーキャストしています。しかも、フォーキャストの精度は高い状態にあります。

KPIの情報を集め、結果分析のためだけに使う会社もよくあるのですが、そうではなく、KPIを活用して、未来に向けたフォーキャストを随時行っています。

また、「今のままだったら計画に対してこれくらい差分がある」「未達成になりそうだ」「だからこうしよう」と、PDCAを常にグルグル高速で回しながら、目標達成に向けたアクションにつなげている点で、守りだけでなく、攻めの活用がKPIにおいてもできているのはすごいなと思います。

それを支える根本的、かつ本質的な重要ポイントで言いますと、情報が基本的にオープンになっているという点が非常にすばらしいと思います。

情報を隠したいという会社が多い中、フルオープンに誰でもリアルタイムで見られる状態になっており、その結果、社員が数字を大事にして、数字をベースに議論したり、PDCAを回す文化が出来上がっているのが本質的に強いところではないかと思います。

田中:褒められすぎて恐縮です。課題はたくさんありますが、まだまだよくできる余地はあると思っています。

秋元:1つ気になった点で、文化が大事だということでしたが、今、その文化を持たない企業も多い中で、どのようにしていけば作っていけるのでしょうか?

田中:やはり「数字が大事だよね」「なるべく物事を数字に落とし込んで共通言語を持たないと議論が前に進まないよね」ということが大前提にありますが、経営者側がしっかりそれを大事にしようとするかどうかだと思います。

秋元:ログミーの社内で「数字で語ろう」とした時をイメージすると、数字が見える化されると、おそらく現状のよい部分・悪い部分が見えてくると思うのですが、一般企業では、悪いところに対して「なんで悪いんだ」といったマイナスイメージが入ってしまうことが多いと思います。

その場合、怒らずに「ポジティブに悪いところを一緒に変えていこうよ」というコミュニケーションを取ることは実際にありますか? 

田中:基本的によい部分となりますが、創業初期から「犯人捜しをしない」という言葉がよく使われていました。

先ほど広瀬さまがお話ししていましたが、グロービス経営大学院の論理的思考力に関するプログラムなどに「問題解決をするときに、犯人捜しで使っちゃ駄目よ」というラーニングポイントがあり、それを大事にしています。

つまり、その人がそうなってしまっているのは「誰か」が悪いからではなく、「仕組みや全体のどこか」に課題があるからと捉えると「どうすればもっとうまくいくのか?」「仕組みをどうすれば改善できるのか?」という方向に全員が目を向けていきます。創業初期からそのような考え方をかなり大事にしてきました。もしかすると、そのようなことは数字で考えることとセットで大事なのかもしれません。

秋元:たしかに「犯人捜しをしない」ことは、これを運用していく部分において非常に大切だと感じました。

田中:ただし、我々くらいのレイヤーになってくると数値責任をすべて負わなければならなくなります。例えば「田中が悪い」となれば田中が悪くなりますから、がんばらなくてはいけません。レイヤーが変わるとそうなってきますが、メンバーレベルにおいて「誰が悪いので、だから未達です」となってしまうのは、KPIの使い方として違うのではないかと思います。

その人をさらに改善し、よくするためには、行動KPIのどこに課題があり、その部分をどのようにすれば解決できるかについてマネジメントも一緒に考えていく営みが大事なのではないかと思います。

【2】Q.KPI管理が向いているビジネスの特徴は何でしょうか

秋元:続いて「KPI管理が向いているビジネスの特徴というのは何でしょうか」という質問について、広瀬さまにお願いします。

広瀬:ビジネスはつまるところ数字ですので、おそらく「数字って大事ではないよね」と言う人はいないはずです。数字が重要であるならば、ボランティアではない限り、どのようなビジネスでもKPIを運用する必要があり、もはや「向いている・向いていない」ではなく、運用しない選択肢はないと思っています。

ただし、あえて運用したほうがよい・向いているという観点では、事業が複数ある、部署が多い、商材やサービスが多い、異なるビジネスモデルが複数あるなど、いわゆる事業全体の複雑性が増せば増すほど、KPIを活用したマネジメントが向いていますし、運用したほうがよいかと思います。

【2】Q.KPI活用の成功事例を教えてください

秋元:次に、KPI活用の成功事例について教えてください。

広瀬:それはi-plugです。それ以外に具体的な企業名を挙げることは難しいですが、KPIを細かく設定することにより、事業全体の状況を細かく把握しマネジメントしている成功事例が多くあります。先ほど少し触れたとおり、設定数の多い会社では800項目のKPIを設定しています。それだけ解像度が上がっているということですので、それは成功事例の1つかと思います。

また、近年ROIC経営が少しずつ広がっています。みなさまも見たことがあるかもしれませんが、オムロンが「ROIC逆ツリー」という資料を公表しています。今日は売上を起点にした例をご紹介しましたが、ROICを起点とし、ツリー構造を用いて構造分解しています。これをもとにROIC経営を行っているそうです。

このようなかたちでROIC経営が徐々に広がりつつあります。オムロンの資料ではツリーが3階層くらいになっていますが、ぜひ一度、5階層、もしくは10階層くらいまで分解して発散してみると、より解像度が上がった状態のROIC経営が可能になると思います。

【2】Q.IRにおいてKPIをどのように活用すべきでしょうか

秋元:「IRにおいてKPIをどのように活用するべきでしょうか?」というご質問ですが、これはぜひお二人にご意見をお聞きしたいです。

広瀬:各社において未来へのロードマップがあるはずです。その見せ方の1つとして、単年度の予算や中期経営計画、事業計画といったものがありますが、投資家の方や外部の人たちがP/Lベースの目標値を見ても、その蓋然性自体はやはりわかりにくいと思います。

それを定性的に言葉で説明してもなかなか伝わりづらいのですが、そこで登場するのがKPIです。KPIはビジネスにおけるコミュニケーション言語ですので、KPIを活用することで伝達しやすくなります。

先ほど、「テレアポ数やアポ率が先行指標の例です」とお話ししましたが、i-plugのように先行指標が伸びていることを開示していくことにより、結果として将来的に売上が伸びていくことに対する納得感が高まります。

繰り返しになりますが、つまりKPIは業績結果の分析に活用するだけでなく、業績予想や未来の目標達成に向けたエビデンス、いわゆる根拠材料として活用できるのではないかと考えています。

秋元:田中さまはいかがでしょうか? 

田中:KPIにはいろいろな目的がありますが、広瀬さまのお話からも、やはり投資家のみなさまとの信頼関係作りのツールだと思っています。非財務情報の開示なども積極的に、という話もありますが、財務諸表に出てこない数値の中にこそ、その企業のこだわりや強み、企業姿勢があります。そこをしっかりと伝えていくことが、投資家の方との関係性を強めるために非常に重要なのではないかと思っています。

秋元:ログミーFinanceは投資家のみなさまとコミュニケーションを取る機会が多いのですが、企業に対する信頼感を非常に重要視しています。「なぜ、この情報を出してくれないんだ?」「なぜ、質問しても答えてくれないんだ?」といった理由から、企業を「とりあえずフォローから外そう」という事象が非常に多く起きています。そのようなところからも、お二方のおっしゃるとおり、信頼関係を作るためにも、KPIを出すことは本当に有効だと思いました。

田中:ビジネスに対して興味を持ってもらえますので「もっとこうしたらよいのではないですか?」といったビジネスに関するアドバイスもいただけることがあります。そのようなメリットもあると思います。

秋元:コミュニケーションを取る上で1つのきっかけになると思います。

【2】会場からの質問:IRとしてKPIを置くことについて

秋元:会場からの質問です。「田中さまはIR部門を管轄していますが、IRとしてKPIは置かれていますか?」

田中:IRでは模索している段階です。この半年くらいの間、いろいろなIR担当の方々と勉強会を開催し、お話を聞いています。それにより「このあたりをKPIとして追っていくとよいかもね」というところが見えてきました。「絶対に目標の中に株価は入れない」「時価総額を入れない」ことだけはクリアになっています。

秋元:お話できる部分でかまいませんが、今はどのようなものが重要だと感じられていますか?

田中:適正株価形成のために必要な要素としては、しっかりと業績を残しておくこともありますし、流動性出来高があると思います。

次に、IRとしての投資家とのラリー、いわゆる情報発信の頻度や回数といった部分があると思います。最後の部分が一番コントロールできますので、ここはKPIを設定していきたいと考えています。どのような投資家の方々と出会うべきかを定め、ミーティングがしっかり設定できているかについて数値目標を置き、そこに向けて取り組んでいきたいと思っています。

【2】会場からの質問:KPIの開示が競争優位性を毀損する可能性について

秋元:続いてのご質問です。「KPIの開示というところが競争優位性を毀損する可能性について、社内でどのように議論・判断をしていますか?」とのことですが、いかがでしょうか?

田中:論点は非常にありますが、私は戦略的にKPI開示は実施する必要があるものだと思っています。当社も多く出していますが、すべては出していません。事業側と相談しながら出す・出さないを決めていますが、最後はやはり経営判断かと思っています。

当社の場合でお話しすると、競合他社を見ていても新卒事業に関してKPIをあまり出していません。例えば、学生ユーザーの月間のアクティブユーザー数はサービスの質を証明する一つの指標ですが、上場・非上場にかかわらず、出しているところはありません。

お金を出す立場のクライアント側からすれば、絶対に知っておいたほうがよいものの、どこも出していない状況に対し、社内で「これはおかしいよね」と話しており、それならば自分たちが出しましょうとなりました。むしろ他が出していない本質的なKPIを潔く出すことが、我々の競争優位性につながると考えています。

また、そのKPIを出してすぐ真似できるかというとそうではありません。我々の場合、10年間かけて磨いてきたものがあり、その結果として今の数字があります。ですので、「数値を出すこと自体が競争優位性を疎外するか」については、出していくほうが顧客を含めるステークホルダーとのつながりを強める意味においてメリットがあるのではないかと思っています。

秋元:最後にみなさまへ一言お願いします。

田中:先ほど、KPI開示に関する質問に答えられていなかったと思いますが、悪くなった場合、IRがしっかり説明を果たすことだと考え、そのような覚悟を持ち取り組んでいます。

お伝えしたとおり、いろいろなことを考えながら取り組んでいます。事業推進機能、経営戦略室機能、営業、マーケティング、コーポレ-トと、現在全方位において絶賛採用活動も行っています。今日のお話を聞き、「ちょっと興味を持った」という方は、ぜひ当社のサイトへ遊びに来ていただけるとうれしいです。

【2】会場からの質問:KPIを管理するサービスと活用しているサービスについて

秋元:続いて2点質問があります。「KPIを管理するために何かよいサービスはないのですか?」「どのようなサービスを使っているのですか?」とのことです。広瀬さまがそのサービスを展開されていますので、最後の一言とあわせてサービス紹介もぜひお願いします。

広瀬:先ほどみなさまにご覧いただいた「Scale Cloud」というツールが、KPIマネジメントをするためのツールになっています。例えば、営業、マーケティング、CSなど各部署においてばらばらに集まったデータを、Salesforceなどから自動的にデータを集めることにより、データ収集も簡略化しつつ、常に事業全体、KPIごとの状態を見ることができます。

先ほどお示ししたとおり、いろいろな角度から立体的に分析できますし、トレンドも一目で把握できます。また、分析や議論の内容を分析メモや議事録としてテキストに残すこともできます。ダッシュボードにつきましても全社用、各事業用、チーム用と自由に何種類も作ることが可能です。

レポートは、達成率が高い・低い、トレンドが下落トレンドにある、下落率が大きいといった、いわゆる異常なKPIを自動的にレコメンドする機能があります。以上のようなKPIマネジメントに特化した珍しいツールになっていますので、ご興味がありましたらぜひお問い合わせください。

サービス紹介

秋元:このあと、いくつかのお知らせがありますので、最後までご清聴いただければと思います。サービス紹介で、1つ目がIRイベントの書き起こし・拡散サービスについてです。

複数の提携サービスへの配信で多くの投資家へアプローチ

秋元:ログミー Financeは、決算説明会や個人投資家向け説明会を掲載しているメディアですが、それと同時に、今ご覧いただいているようなさまざまなパートナーに対して配信を行っています。企業が抱えている投資家の認知に対して、非常に寄与できるものとなっていますので、もしご興味があったらご一報いただければと思います。

個人投資家向けIRセミナー

秋元:続いて、個人投資家向けのIRセミナーです。個人投資家に向けてオンラインで会社説明会を行っており、「YouTube」でのライブ配信や、「ログミー Finance」で書き起こしの掲載など、さまざまなパートナーへ配信しています。1回の開催で最低7,000人くらいにリーチでき、非常に効果的なものになっています。

Zoom導入無料支援

秋元:次に、決算説明会やIRイベントなどのオンライン化の無料支援です。コロナ禍により決算説明会がオンラインにシフトしていく中で、現在、またオミクロン株がピークを迎えているため実地開催できず、「Zoom」などを使って開催している企業が多いと思います。

そこに対して私どもはすべて無料で支援しているため、「まだノウハウがないからできていないんだ」とお困りであれば、アンケートにご記入いただけたらと思います。

YouTubeチャンネル

秋元:最後に「YouTubeチャンネル」です。「Zoom」の使用により、そのままアーカイブ動画が残すことができるため、IRでは素材をお持ちかと思います。IRページに置いておくことも重要だとは思いますが、IRページを見る方というのは、その企業に関心を持ち、より深く知りたいなと思っている方々だと思います。

私どもは「YouTubeチャンネル」を無料で開放し、企業のコンテンツも置いています。そのため、これまで出会えなかった投資家と出会う機会・認知獲得の機会を提供できます。こちらも無料ですので、興味があったら、アンケートにチェックをお願いします。

本日はどうもありがとうございました。今後も、IRご担当者向けのセミナーを実施予定ですので、ぜひご参加いただければと思います。それでは、本日のセミナーを終了させていただきます。