コーポレートミッション
倉田陽一郎氏(以下、倉田):Shinwa Wise Holdings代表取締役の倉田陽一郎でございます。今回は、第2四半期について発表いたします。ようやくこの第2四半期に、i-ARTの子会社化など、美術業界の大きな変化を我々が大きく推進していくための基盤固めができました。
現在、日本美術市場の再生プロジェクトに取り組んでおり、また新しい社内の体制ができてから3年目にあたります。このような位置から、さらに飛躍を模索するための下半期に入っています。
我々は世界の市場に肩を並べるアート市場への再生に取り組んでいます。3年目には、大きな成果が出てくるのではないかと期待しながら、社員一丸となって進んでいるところです。
グループ方針
Shinwa Wise Holdingsは今、オークション会社を中心としたアートと、そしてさまざまな高額品、文化支援など文化的な活動の中で、流通を支える活動をしています。それをビジネスに落とし込んでいく上では、やはりマーケティングを強化しながら、日本、そして世界の富裕層を取りまとめていかなければなりません。我々はそのような仕事に取り組んでいるわけです。
グループ戦略
富裕層ネットワークを育み、33年目になります。これまで日本の富裕層、そして世界の富裕層のみなさまと一緒に、社会全体に広がりを持つ厳選されたプラットフォームを構築してきた歴史があります。我々としても、いろいろなアートや美しい宝石、ワインなどについてしっかりと見る目を持ち、特に厳選したものを強いマーケティング力で富裕層の方々に紹介しています。
グループ戦略としては、高額高級品の価値付けにきちんと責任を持って取り組んでいくセレクトサービスカンパニーという位置付けで取り組んでいます。
グローバル・アート・プラットフォーム構想
現在、我々の「グローバル・アート・プラットフォーム構想」には実現できているものと実現できていないものがあります。可能であれば2025年、2026年くらいまでにはスライドに示しているようなプラットフォームを立ち上げ、アート全般に対して大きな1つのプレゼンスを持てるようビジネスに取り組んでいきたいです。
これらの中心にあるのが、オークションです。オークションは創業以来、定期的に継続して開催している会場型のオークションであり、インターネットで行うものではありません。会場での競りを続けていく中、この30年間はメディアが変わっていきました。携帯電話はありましたが、スマホはなかった時代、またSNSがまったくなかった時代は、実際に会場にいる人たちとお客さまが電話し、書面で入札する人たちがいて開催されていました。しかし、現在は世界中をつなぐインターネット上でライブビッドというかたちで参加できるようになりました。
そして、さまざまなSNSも使いながらマーケティングを行うことで、インターネット上でアート・プラットフォームが非常に重要な役割を持つようになってきています。我々の事業はDXという言葉がよく使われますが、インターネットをいかに利用して事業を拡大していくかに重点を置いています。その中で、オークションをベースにしながら「アートディーリング」を進めています。
今特に注力しているのは、宝石分野における「資産防衛ダイヤモンド」です。百貨店などのさまざまな小売店で売っているダイヤモンドは、これまで業者間の価格に対して大きな乖離がありました。そのため、我々が業者間に近い価格で取引し、一般の方が資産としてダイヤモンドを持てるようにしたのです。
この取り組みは3年前から始めており、新型コロナウイルスが流行してからは需要がさらに何割か増している状況です。薄利多売ではありますが、ここ1年はインフレへの懸念も含め日本の財政を憂慮される方などが、実物資産をきちんと持っておこうと考えています。そのため、換金性が高くて持ち運びのしやすい「資産防衛ダイヤモンド」に対しての需要が非常に高まっています。
また、between the artsというベンチャー・スタートアップの会社に資本参加しました。同社はアートの保管事業をDX化しつつマネジメントを開始しているため、我々も支援を決めました。アートストーレッジをすることで、お客さまが実際に持っている作品やさまざまな高級品を把握できます。これがオークション事業にとっても有利であるため、between the artsと一緒に着々と展開しているところです。
さらに、2021年4月から「NFTアート」の販売を開始しました。これはNFTを利用してアート作品に痕跡を残し、アートの来歴を我々がきちんと把握していくところからスタートしました。2021年7月からは、アートそのものをNFT化し、銀座で個展を開き販売しています。
2021年11月には「Jayderism THE NFT アート展」を開催し、アメリカ人のコンピュータグラフィックス(CG)のアーティスト・クリエイターの作品を展示しました。その中で14点ほどの作品をオークションしたのですが、オークションだけでも約1,900万円の落札があり、そのほかにNFTそのものをプラットフォームで購入した方もたくさんいました。このNFT事業はますます大きくなっていると実感しています。
加えて、先週くらいにYouTuberのラファエル氏のイベントがあり、我々がそのプラットフォームを作りました。イベントの中でNFTを3点だけオークション・販売したところ、50万円から100万円と一番高くエスティメートしていたものが、300万円という落札金額になりました。結果として3点で500万円を超える落札になり、会場も非常に大きく盛り上がりました。このことからも、やはり今、NFTが熱いことを実感しています。
2月22日から27日まで、我々の銀座にあるスペースで「デジタルアートフェア」を開催する予定です。これは世界から20人あまりの有力なNFTアーティストが集まり、ジェネレーティブアートやAIを使ったアートをNFT化するなど、本格的な作品を展示するための催し物です。このように、NFTは非常に大きく展開していると感じています。私の構想では、NFTアートが出てくることで、今後大きくアートの所有における形態が変わってくるだろうとみています。そしてアートそのものも変わると思います。
オークションでは2人の富裕層が、アートの値段を公開の場でつけることになるため、客観性が生まれます。富裕層が値段を付けるという「価値付け」がどうしてもオークションの主体にはなるのですが、将来的にはアートそのものをシェアリングしていくことも考えています。
そしてクラウドファンディングでアーティストを支援します。このような動きがアートのプラットフォームにおいては非常に重要なものになると思います。文化支援としては、我々がアート教育、そしてアートそのものに対する事業を行うために、アート業界に対して大きく支援できる体制を構築したいと考えています。
会社概要
会社概要を示しています。Shinwa Wise Holdingsには主要子会社が4社あり、SHINWA AUCTION、SHINWA ARTEX、SHINWA Privé、そしてi-ARTです。当社はそれぞれ100パーセントの株式を有する持株会社です。
グループ図
Shinwa Wise Holdingsの構図を示しています。Shinwa Wise Holding自体は現在、中期経営計画の構築をしていますが、新型コロナウイルスの影響でやや動きがつかみにくいことと、先ほどお伝えしたように、ようやく会社の体制が固まり、今後大きな変化が出てくることに鑑みながら、相当緻密に事業策定を組んでいるところです。
そのため、少し時間をかけながら中期経営計画を構築した上で、みなさまに発表したいと考えています。親会社が新しい戦略を練り、新規事業を承認してからチームを編成するという事業の進め方を採用しており、富裕層のマーケティング全般を受け持ちながら、我々が上場を維持し、資金調達していきます。
特に、今のアート業界はパワーゲームになってきています。資金力が世界的にも重要な要素になるため、我々も時価総額を上げて、早く大きく資金調達できるようなかたちを確立し、その資金力をもって世界に打ち出していくことを考えています。
それを支えるのが100パーセント子会社のSHINWA AUCTION、そしてアートディーリングや画廊や「NFTアート」だけではなく、実際にはアートファンドにも取り組んでいるSHINWA Privéです。できれば早期にアートファンドをローンチし、アート市場の幅を広げていきたいと考えています。
SHINWA ARTEXは、もともとSHINWA AUCTIONの周辺で富裕層のいろいろな需要を満たすための新しい事業の構築部門として存在していました。今はアート投資サロンやプライベートセール、そして「資産防衛ダイヤモンド」を中心に取り組んでいます。以前からエネルギー事業も進めており、未だ残ってはいるのですが、我々の経営資源をアートと文化に集中させていくことを前提としているため、エネルギー事業は徐々に縮小している状況です。
新しく我々のメンバーに加わり100パーセント子会社となったのがi-ART auctionです。これにより、我々はSHINWA AUCTIONとi-ART auctionという2つのオークション会社を持つ持株会社となりました。「競合しないのか」という疑問を持たれるかもしれませんが、イメージとしてはルイ・ヴィトンなどのさまざまなブランドを持つLVMHグループのようなものと捉えています。
同じグループの中にいくつものアパレルや高級品ブランドがあるのと同じイメージで見ていただければと思いますが、SHINWA AUCTIONには、昔から高額品の近代日本の美術に強く、特にその価値付けを中心に行ってきたこと、そこから現在はコンテンポラリーというところに大きく展開した強みがあります。加えて、NFTアートオークションを少しずつオークションの中に取り入れています。
i-ARTにおいては、日本美術を中心としながらさまざまな欧米の作品をオークションで展開していることが強みです。企業文化としてはかなり異なった組織になっていますので、当面の間、2社は並列して切磋琢磨していきます。
各グループ紹介
Shinwa Wise Holdingsには、SHINWA AUCTIONとi-ARTという国内最大級のオークション会社の連合が誕生しています。ボリュームベース、もしくはクオリティベースなど、何をもって「国内最大」と位置付けるかが非常に難しいところですが、我々が自負しているのは、クオリティとして国内最大級のオークション会社であるということです。この2社で、今年に関しては売上ベース、落札、取扱高ベースでもトップに返り咲きたいと考えています。
もともと我々には前身のシンワアートオークションの時代があり、市場全体の40パーセントぐらいのシェアを持っていました。現在は、さまざまなオークション会社が出てきてシェアがばらけている状況ですので、今後は再度シェアを上げていくための試みを進めていきたいと考えています。
そして今、日本の近代美術を中心に陶芸、ワイン、ブランド宝飾品、時計、そしてコンテンポラリーアートの分野を開拓し、オークションブランドを構築しているところです。
SHINWA ARTEXは、先ほどお伝えしたとおり、「アート投資サロン」という1つの新しい事業です。これは、昨今IPO取引やビットコインで資産を増やしている、若く新しい富裕層に向けて、アートの楽しさ、そしてアートで投資するとはどのようなことなのか知っていただく取り組みです。
我々が定期的にサロンを開催し、みなさまに実際にアートを売り買いする体験をしていただいたり、専門家を呼んでアートの知識を深めていただいたりなど、1つの質の高いアートのコミュニティを作っています。
NFT作品の販売では、我々が構築するさまざまなNFTを、実際に富裕層を含めたみなさまにまずは紹介します。我々の既存のアートコレクターの方々は、NFTに関してはほとんど知りません。
どのように啓発し、知ってもらえばよいのか、NFTの作品の可能性をみなさまに紹介しながらご購入いただいています。
これは、若い層に新しいアートを紹介する1つの大きな切り口となるため、新しくアートのコレクターになっていくという意味では、非常に相乗効果の高いビジネスになっています。
今後、我々がいかにプラットフォーム化していくかが、先ほどの「グローバル・アート・プラットフォーム構想」につながるため、1つの大きな目標として取り組んでいきたいと考えています。
また、鳴りもの入りの「資産防衛ダイヤモンド」も、実際に需要が大きく膨らんでいます。2024年に紙幣が変わるため、現金で資産を持っている方を含め、ダイヤモンド購入の需要が高まっています。世界的にもダイヤモンドがだんだん供給不足になっているという状況も出てきており、どちらかと言いますと、以前より買い付けや仕入れが非常に難しくなっています。
ダイヤモンドは、もともとはユダヤ人の、いわゆる逃避資産でした。ユダヤ人のコミュニティの中で安定的に価値をコントロールし、何かあった時にはダイヤモンドを現金に換えて生き延びていくという、究極の資産防衛手段となっているわけです。
そのようなことから、これまで値動きがあまりなく、安定的に右肩上がりだったダイヤモンドが、昨年の後半から供給が追いつかなくなってきました。実際にはみなさまの売り渋りもあるかと思いますが、我々がこれまで買ってきたような値段では、なかなか購入できなくなっています。
今後のダイヤモンドに先高感が出てきているため、世界的なインフレとともに、日本国内にも資産インフレが間違いなくひたひたと迫ってきているのを実感しながら、ダイヤモンド事業を展開しています。
SHINWA ARTEXについては、これからまたさまざまな新しい事業を構築しながら、アートや文化に取り組んでいきたいと思います。
なぜ日本美術市場再生プロジェクトなのか
アートディーリング、画廊業については、世界のアート市場の中で日本がどれだけ小さいかを考えると、非常に残念な状況になっていることが、我々の調査でもわかっています。
これを早く再生し、せめてアメリカ・イギリス・中国・フランスに並ぶくらいの位置に日本のシェアを持っていかなければと考え、今取り組んでいます。
日本の富裕層の割合は世界3位
スライドのグラフのとおり、日本は世界でも第3位の富裕層を有する国です。世界で3位ですので、各国に並ぶくらいのシェアになっても、おかしくはないと考えています。
業績ハイライト① 前期比比較
上期の決算の数字です。昨年は、上期に2メガワットの太陽光発電所を売却しているため、その要因を加味せずアートだけであることを考えると、売上高9億2,100万円は実態として大幅な上昇となっています。売上総利益は5億1,000万円で、これも30パーセント増となりました。
営業利益は昨年に比べて約倍増の5,300万円です。昨年は営業外損失がかなりありましたが、今期の経常利益は6,700万円、純利益は3,100万円と順当な滑り出しです。
先ほどお伝えしましたが、「日本美術市場再生プロジェクト」に取り組み3年目となりました。2年目でようやく足固めができたところで、営業力をどんどん強化し、社内が一致団結して取り組む体制となっていますので、会社はこれから大きな飛躍の時期を迎えているのではないかと考えています。
業績ハイライト② 売上高推移4期比較
取扱高を見ていただくとわかるとおり、昨年の11月が非常に低く、一昨年も低かったということで、ようやく過去2年のボリュームを超えてきた状況です。
業績ハイライト③ 売上高の減少要因
オークションの売上高・取扱高を見ていただくと、実際には過去3年を完全に凌駕しています。
業績ハイライト④ 取扱高 オークション関連事業
2018年11月期は、なんとか利益を出すために、アートディーリングのほうでプライベートセールといわれる相対売買の手法で大きく取扱高を増やしていたのですが、現在オークション会社をベースとする会社としては順当なかたちで、オークション事業の売上高をきちんと伸ばせるようになりました。売上高は、過去3年をはるかに上回ったことになります。
業績ハイライト⑤ 営業利益の増加要因
営業利益に関しては、太陽光発電所を売っているため売電収入は落ちましたが、現在、大きな拡大路線をして人も増やしており、費用が若干増加しています。営業利益自体は、オークション関連事業の取引が大幅に増えているかたちです。
業績ハイライト⑥ 貸借対照表
業績ハイライトで貸借対照表を見ていただくと、非常に健全なかたちにはなってきました。長期の借入金もそれほど多くない状況で、特に昨年、過去3期の赤字をようやく脱したこともあり、今年は2期目の黒字に向けて尽力しているところです。
また、市場からも資金調達し銀行からも借入れを行って、世界に向けて、日本の美術市場再生のためのパワーゲームを展開していきたいと考えています。
2022年5月期上期のトピックス
2022年5月期上期のトピックスとしては、アート投資サロン開始から2年目になります。さらに、オンラインビットの導入、NFT事業を開始し、どちらも拡大しています。
また、JayderismのNFTアート展開催では、先ほど「1,900万円余りの落札額になった」とお伝えしましたが、実際に14点のアートオークションを我々のイベント会場で開催した時は、参加者は200人余りでしたが、その8割は外国人でした。
(コロナ禍の)銀座では珍しく、華やかなパーティの中でのオークションでしたが、やはり「NFTアート」になると、普通の日本のアートとは違って大きく、外国人や華やかな方々、暗号資産の関係者が会場を盛り上げてくださり、非常に楽しい会となりました。
また、先ほどからお伝えしているように、「資産防衛ダイヤモンド」の需要が大幅に拡大しています。現在、ダイヤモンドがまた買いにくくなっているため、「今のうちに買っておこう」という方々からいろいろな注文が来ており、今後も期待したいと考えています。
このような中、最も重要なことは、社内における営業体制を強化、拡大し、それをいかに機動的に、効率的に動かすかということです。
オークション事業のボリュームがこれだけ上がってきているのは、営業体制の構築、そして営業スタッフが一致団結して取り組んでいる結果です。我々の会社は今、大きな飛躍を遂げようとしているのではないかと考えています。
SHINWA NFT PROJECT First Sale of Artworks
今ここで我々が行っている仕事は、4月にShinwa NFTと連動させたアート作品を、改竄できないようにするための来歴を作ることです。ブロックチェーンに登録されているため、我々が売った作品であることが証明できます。
これは実際にはWCPが印刷している、バンクシーコピーと言われている作品の来歴ですが、偽物がかなり出回ってしまっています。そのため、インターネット上のオークションで売られている作品群でも、本物でないものが出てきます。
きちんと本物を売るために、我々がイギリスのWCPから現物を仕入れて、仕入れたものには我々の痕跡を付け、コレクターに販売していくことにより、安心して作品を「これは間違いなく本物だ」と言うことができます。
WCPの作品も、コピーとはいえ500枚しか刷らないということで、500枚を刷り終わると、2次流通に出てくることになります。その時に、これが本物か偽物かすぐにわかるのが我々のNFTです。ブロックチェーンで管理されているため、みなさまが安心して取引できます。
そして今、我々が少しずつ進めているのが、NFTのアートそのものを製作して、NFTを生成し、イベントで販売するという、さきほどのJayder展のようなものです。
今はイーサリアム上の「ERC721」「ERC1155」の2つの規格を使ってNFTを作り、イーサリアム上のプラットフォームに載せて、誰でも気楽にチェックして買ったり売ったりできるかたちを取っています。いずれは我々独自のプラットフォームを作ることを目指して、取り組んでいきたいと考えています。
重点施策
今期の重点施策は「1」から「8」まであります。「1」は、本当に愚直ではありますが、営業力の増強・強化です。今期に入ってから営業担当を何名か増やし、サポート体制も強化しています。それにより全国の富裕層を網羅し、全国のプロフェッショナルな方々とコミュニケーションを取るための営業を強化していきます。
これは実際数字になって表れてきていると思います。オークションの売上高が上がっていることも含めて考えると非常に顕著ですので、1番目の重点施策としています。
2番目は「NFTアート拡大・プラットフォーム化へ」ということで、現在推進しています。先ほどお伝えした、2月23日からの「デジタルアートフェア」も控えています。「NFTアート」と言いましても、さまざまなカテゴリのアートがあると思いますが、実際のファインアートと言われている分野で、本物をきちんと見極めた上でNFT化し、いずれはメタ空間の中に入れ込んでいくことを基本的に考えています。
3番目にコンテンポラリーアートを本格展開しています。2021年10月にコンテンポラリーアートだけのオークションを開催していますが、今後、非常に大きくなっていくと思います。
4番目に「積極的なプロモーションによる認知度向上」があります。今までPR・IR活動を我々の満足いくようなかたちで行うことができませんでした。そこで、ボリュームも増し、活動も活発になってきている現状から、プロモーションを大幅に強化していきます。我々の活動が少しずつみなさまの目にとまるよう、さまざまな試みを積極的に展開していきたいと考えています。
5番目に「between the artsと提携・事業拡大」を挙げています。スタートアップ企業のbetween the artsは、DX化を進めるアプリに長けています。アプリによってアートを倉庫で管理し、その価値をはじめとしたデータを出すことにより、実際の売買まで行えるシステムを構築しています。
我々はこれまで暗号資産の分野、いわゆるNFTは積極的に推し進めてきましたが、DXは決して強いといえる状況ではありませんでした。一方、between the artsはインターネットオリエンテッド、IoTといったところから事業を展開しているため、こちらと事業連携を進め、提携しながらDXを展開していきます。
6番目の「アートファンド立ち上げ」は2年越しの取り組みになります。アートは評価がなかなか難しく、ファンドとして立ち上げることは決して容易ではありませんでした。
コンプライアンスのもと、きちんとしたガバナンスを持ち、アートファンドを立ち上げていくことになり、ようやく最後のかたちが出来上がってきていると思っています。できれば今期中の第3四半期、もしくは第4四半期までにはアートファンドを立ち上げ動かしていきたいと考えています。
これを進めると「アートファンド」という資金によりパワーゲームをより機動的に展開できます。そして、このアートファンド1号が立ち上がったら、2号・3号と拡大させていきます。市場規模を大きくしていくため、展開していきたいと考えているところです。
7番目の「アートオークションの業界合従連衡推進」は、今回発表したとおり、i-ART auctionを100パーセント子会社化しました。これにより、業界内の出来高ベースは連合体として現在2位になっていると思います。すでに1位も射程圏に入っていますので、今の成長を取扱高の増加ペースからみても、今期はこの1年で1位を目指せるのではないかと思っています。
8番目に「アジアマーケティング強化・拡大」になります。実は、我々は2010年からアジアマーケティングに相当挑戦してきましたが、一時期停滞している状況がありました。これを再稼働させていきます。
昨今のオークションにおいても、アジアから日本アートが注目されるようになり、台湾や中国本土、もしくは香港・シンガポールのあたりから、日本にコレクターを誘引しています。
特に、現在中国本土の影響により中国の人が香港に資産を置くことへのリスクが出てきています。そこに、日本政府が「香港の代わりに日本をそのような場所にしたらどうか」と保全地区の拡大等を呼びかける動きの中でアート業界を支援しているという現状があるため、その流れを活かしながらアジア部門を大きく強化していきたいと考えています。
NFTデジタルアートフェア開催
「NFTデジタルアートフェア」が2月23日に開催されます。スライドには「2月23日」とありますが、22日にはすでにインスタレーションが終わっています。アートサロンのイベントが2月22日にあるため、そこに融合してスタートし、2月23日がオープニングとなります。その中で先ほど大成功したとお話ししたJayder氏のイベントはコロナ禍の影響により、サテライトイベントとして2月26日に開催する予定です。
スライドには昨年11月に開催したJayder展の写真がありますが、今回は銀座の数寄屋橋交差点にある東急プラザ内の新しくオープンした「RAISE」というディスコを貸し切り、イベント会場としています。17面の非常に大きいディスプレイを活用し2回目のイベントとして「Jayderism the NFT the 2nd」を大々的に開催する予定です。
中長期ビジョン
我々の中長期ビジョンを考えると、1番目に「NFTアート・メタ空間の開発」、2番目に「アートファンド拡大」、そして3番目に「アートストレージ推進(BTWA社との連携強化)」続いて「クラウドファンディング・アートシェアリング開発」「資産防衛ダイヤモンド拡大」「アジア戦略推進・中国進出模索」の6点となります。
「アジア戦略推進・中国進出模索」はM&Aも絡めていきます。今回も株式交換のかたちでi-ART acutionを子会社化しましたが、日本の会社だけではなく、できればアジアの会社にも資本参加できるかたちをとり、アジアへ挑戦していきたいと考えています。
NFTアート:デジタルアートフェア開催
「デジタルアートフェア」は本格的なアーティストが参画します。スライド右上の画像は、東京大学名誉教授の川口洋一郎先生による1990年のコンピュータグラフィックスの作品になります。
そして、加納天明氏がNFTアート業界に殴り込んできます。スライドには「Pink Dog」がありますが、今回は1969年にニューヨークで撮られた写真を作品にしていきます。これがいずれメタ空間の構成要素になっていくのです。
NFTとはもともと「すべてが代替不可能なもの」ということであり、それが転じて「デジタル空間上で代替不可能なトークン」を表しています。つまり、メタ空間ができるとすべてがNFTによって構成されます。この場においては、例えばこの机やマイクにしても、すべてがノンファンジブルなわけです。
メタ空間においても、このような机やマイクは必要となりますが、NFTとしても我々はこのようなものにはまったく興味がありません。我々としては、アートと文化を推進するためのNFTの開発がいずれメタ空間に入っていくだろうと考え、さまざまなかたちで展開していきます。
アートファンド
インフレに強い実物資産の究極系としてアートがあります。今後、世界的にもインフレが予測されますので、このアートファンドは今期中には何とかローンチしたいと考えています。
アートストレージ事業
アートストレージ事業はスライドで示しているとおり、between the artsによるものとなります。「COLLET」というブランドや「美術倉庫」そして「artworks」というさまざまなブランドを構築しつつ事業を展開しています。スタートアップとして短期的に大きな伸びをしている会社ですので、がっちり連携して進めていきたいと考えています。
アートクラウドファンディング・アートシェアリング
そしてアートクラウドファンディング・アートシェアリングについては、夢の夢ですが、できれば将来は金融二種を取得し、みなさまとアートをシェアリングしていくプラットフォームを構築していきたいと考えています。
アジア戦略推進・中国進出模索・M&A
アジア戦略については「アジアのコレクターを全部取り込んでいく」という意志のもと取り組んでいきたいと考えています。
オークションも好調ですし、NFTもどんどん大きく展開しています。
新体制による「日本の美術再生プロジェクト」に取り組み始めてからちょうど3年目となり、ようやく当社が事業として本格的に大きく飛躍していく時期に入ってきました。引き続きご支援とご教示をいただければと思います。本日はどうもありがとうございました。
質疑応答:今期業績予想の開示時期について
司会者:「今期のガイダンスの開示を予定されていると思いますが、まだ開示されていないようですので、開示の予定を教えていただけますでしょうか?」というご質問です。
倉田:ご質問のとおり、今まで業績予想の発表を控えていました。これはコロナ禍の影響によりどのようになるかわからなかったことと、今期はi-ART acutionの子会社化をはじめとした通常業務と異なるさまざまな要因もあったためです。投資家のみなさまに逆にミスリーディングになってしまうリスクのほうが高いのではないかと考えていました。
しかし、第3四半期から第4四半期の出品募集までほぼ見えてくる時期に入ってきます。できればそれが見えてきた時期に、みなさまへ今期の業績予想を発表したいと思います。
これから発表しなければいけないものが落ち着くと思われる、3月もしくは4月くらいには発表できる可能性が出てくると思います。
質疑応答:第2四半期までのオークションの手応えについて
司会者:「オークションが好調とありましたが、第2四半期までの手応えはいかがでしょうか?」というご質問です。
倉田:オークションの好調さが顕著に表れているのは、富裕層が購入する、いわゆる高額品が本当に強いところです。高額品の確保という部分において、次第に売り渋りが出てくるリスクもありますので、できれば高額なものは積極的に我々が取り込んでいきます。取り込んだものに関しては、これまで高かったものがさらに高くなっている状況が起きています。
また、中価格帯といわれる500万円以下のものは、値段が上がってきている状況にありません。これからどのようなかたちで高額品から中価格帯に波及していくかを見極めていきたいと考えています。
質疑応答:今年度の業績における「NFTアート」の効果について
司会者:「『NFTアート』の、今年度の業績への効果について教えてください」というご質問です。
倉田:そこそこの売上になり、影響もそこそこあります。これから開催される「デジタルアートフェア」のオークションにもNFTを組み込んでいくため、売上は着実に上がっていくことになります。
「NFTアート」のおもしろいところは、今は「OpenSea」等のプラットフォームにより、ネット上でいつでも売り買いができ、それが我々の売上にもつながるところです。そのため、プラットフォームをきちんと構築し運営していくプロセスにおいて、売上はさらに貢献度が高くなるだろうと予想し、今期に続き、来期以降はさらに大きく飛躍するのではないかと考えています。
倉田氏よりご挨拶
倉田:今、Shinwa Wise Holdingsという持株会社のもと、4社をメインにして経営を進めているところです。先ほどからお話ししているとおり、新体制による「日本の美術市場再生プロジェクト」に取り組み始めてからちょうど3年目となり、今年は必ずきちんと実る年となります。
それにより、シンワアートオークションだった時代の在り方とは異なる、新たな事業体が大きく飛躍する時期が来ているのは間違いありません。その中でさまざまな人材が集結し、新しいチームを作り、我々を大きく飛躍させていくことになっていくと予想します。
今後とも、Shinwa Auction、Shinwa Artex、Shinwa Prive、そしてi-ART acutionの4社で大いに取り組んでまいりますので、引き続きご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。