会社概要

青木淳一氏(以下、青木):本日はお忙しい中、ご出席賜りまして、誠にありがとうございます。室町ケミカル代表取締役社長の青木でございます。ただいまより、2022年5月期第2四半期の決算概要についてご説明します。

本日は、簡単に当社のご紹介をした後、第2四半期の決算概要、業績予想、各事業の開発状況についてご説明します。

まずは当社の概要です。当社は1917年、売薬の製造販売を目的として創立しました。戦時に一時廃業したものの1947年に再設立し、創立から100年以上、設立から70年以上経過する会社です。昨年、2021年の2月にJASDAQスタンダード市場へ上場しました。

本社は福岡県の大牟田市にあり、従業員は195名です。拠点は本社以外に東京・大阪・埼玉・茨城にあります。

事業セグメント

当社は医薬品・健康食品・化学品の3つの事業で構成されています。売上構成比率は、医薬品事業が約50パーセント、健康食品事業が約16パーセント、化学品事業が約34パーセントです。現状、利益は医薬品事業で稼ぎ出しています。

それぞれの事業内容について、医薬品事業は、医薬品の有効成分となる「原薬」を主に取り扱っています。ジェネリック薬用が大半を占めており、内訳は、「自社製造加工品」と「輸入販売品」でほぼ半々です。

健康食品事業は、ゼリータイプの健康食品の企画・製造を行っています。スライドの写真にあるようなスティックゼリー製品が中心になります。OEM・ODMが中心で、主な販売先は健康食品メーカーや企画会社、通販会社です。その中でも、最近は製薬会社や食品会社の引き合いも徐々に増えています。

化学品事業は売上の約8割が液体処理に関するものです。イオン交換樹脂や分離膜を顧客の目的に合わせて選定し、販売しています。他に、使用後のイオン交換樹脂・膜の再生加工、装置の設計販売、当社設備を使用した2次加工などを行っています。業界的に多岐にわたる分野へ幅広く販売を行っています。

当社3事業の特徴

それぞれの事業の特徴についてお話しします。医薬品事業は、商社機能とメーカー機能の2つを併せ持ち、輸入・製造・加工・分析とトータルサービスで提供できることが強みです。仕入先からそのまま自社試験を行って販売するケース、自社工場で合成あるいは加工を行って販売するケースなど、顧客の要望に合わせたさまざまな対応が可能です。双方の機能を活かし、よりよい製品・サービスを提供できるように今後も努めていきます。

健康食品事業では、主にスティックゼリータイプの健康食品を製造しています。スティックゼリーの健康食品は、「おやつ感覚でおいしく摂取できる」ことが魅力の1つです。健康・美容成分には食べづらい味や匂いのものもありますが、当社はそれらを包み隠す「マスキング技術」で、おいしい製品に仕上げる能力を評価されています。

化学品事業は液体処理がメインとなります。液体処理で汎用的なものは、不純物の入っていない水である「純水」の製造用途です。しかし、当社はそれ以外にも排水の処理や薬品の精製など、特殊な用途にも対応できる技術を有しており、現在、付加価値の高い分野へ力を入れています。

成長に向けた取り組み

各事業の成長戦略における取り組みをご説明します。医薬品事業では輸入原薬の取扱品目を増やすとともに、採用実績のある原薬の横展開によりシェア拡大を行っています。製薬会社のニーズに適した調達先を発掘し、場合によっては当社が原薬メーカーの薬事対応サポートを行うことで、採用率を向上させている面もあります。

そして、医薬品原薬は他社での採用実績があると他でも採用されやすい傾向にあるため、採用実績のある原薬を他社へ横展開することで売上拡大を図っています。

自社加工の製造装置の中でも、例えば、異物除去装置や精製・粉砕などが行える製造設備もありますので、そのような加工案件を受託している点や、新薬向けの合成案件も積極的に対応しています。

また、短中期的には輸入原薬や受託加工で売上を拡大しつつ、中長期的に、自社製造品の販売を拡大していきたいと考えています。

健康食品事業では、不採算事業の縮小などにより減少した売上の回復が急務と考えています。2019年に新しい包装形態として「Tパウチ・ショット」の設備を導入しました。スティックゼリーよりも容量が大きく、より多くの成分を取り入れたいというニーズに対応できるようになっています。

原料メーカーや包材メーカーと協力して、営業活動を促進しており、機能性原料など訴求力の高い成分を組み入れた製品の開発・提案にも力を入れています。

化学品事業では、技術力のある海外のイオン交換樹脂メーカーと製品の共同開発に取り組んでいます。既存品の代替や特殊用途に対応する製品など、製品ラインナップをさらに増やしてさまざまなニーズに対応していきます。また、成長が見込まれる半導体関連やエネルギー関連に対応する製品の拡販を強化しています。

損益計算書

2022年5月期第2四半期の決算についてご説明します。損益計算書は、当第2四半期累計期間は各事業とも好調に進捗し、売上高・利益ともに当初の予想を上回る結果となりました。要因の1つとして、新規案件の獲得が順調に進み、売上が想定より早く上がっている点があります。これは、第3四半期以降に計画していたものの前倒し分も含んでいます。

一方で、販管費は前期と比較して増加していますが、ほぼ当初の計画どおりとなったため、売上増加に伴い利益も増加しました。

前年同期比で、売上高は13パーセント増、経常利益は47パーセント増となりました。前期は第2四半期末に健康食品事業の一部を減損しているため、当期純利益は前期に比べて大きく増加しています。

営業利益 増減要因 (前年同期比)

営業利益は前年同期と比較して7,900万円増加しました。増加の要因は、医薬品事業と健康食品事業の売上増加に伴う粗利増です。特に、健康食品事業は前期までの不採算事業の整理などにより売上が低下していたため、売上の回復に伴い大きく粗利が増加しています。

販管費は前期と比較して4,000万円ほど増加していますが、主な要因は人材採用に伴う費用や、事業税の増加などです。

セグメント別実績 医薬品事業

各セグメントの状況についてご説明します。まず、医薬品事業は、売上高13億6,300万円、営業利益2億7,800万円と増収増益です。また、通期の売上予想に対して50パーセント以上の進捗となっています。主力品の売上が堅調に推移したことに加え、受託加工や少量合成の新規案件が想定より前倒しで獲得できたため、このような結果となりました。

セグメント別実績 健康食品事業

健康食品事業も、売上高4億8,700万円、営業利益4,000万円と増収増益です。前年同期では営業損失を計上していましたが、今期は利益を確保できています。また、第2四半期終了時点では、通期の売上予想に対して6割弱の進捗となります。

自社製品、OEM製品ともに想定どおりに推移していることに加え、第1四半期から引き続き通信販売を行う取引先の売上が好調に推移しています。

セグメント別実績 化学品事業

化学品事業は、売上高9億5,600万円、営業利益400万円と増収減益です。また、通期の売上予想に対して50パーセント以上の進捗となっています。増収の主な要因としては、大型装置案件の受注やイオン交換樹脂販売の新規大口顧客獲得によるものです。前期は好調だった半導体製造および医薬品製造向けの製品は、需要が落ち着きを見せています。

売上構成は、新規大口顧客獲得により、前期との比較で仕入商品の割合が増加しました。仕入商品は自社加工品と比較すると利益率が低いため、利益は減少しています。

貸借対照表

貸借対照表について、借入金の返済によって負債が圧縮できています。負債の圧縮と利益計上による純資産の積み上げによって、自己資本比率は5ポイント以上改善しています。

キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況です。主に利益計上により営業キャッシュ・フローが増加し、借入金の返済を進めたことで財務キャッシュ・フローが減少しました。結果として、前期末と比較して1億6,100万円のキャッシュアウトとなりました。

業績予想

2022年5月期の業績予想です。通期の業績予想について、現時点では修正を行っていません。現時点で想定以上の売上・利益を計上していますが、第3四半期以降は、今後の業績拡大に向けて引き続き医薬品を中心とした人材採用、展示会出展等の販売活動、依頼が増加している研究開発への積極投資を予定しています。また、昨今の原材料価格高騰や為替の影響、物流等の状況において、いまだ不確定な部分も多いことを考慮し、通期の業績予想は据え置きとしています。引き続き、各事業、各案件の状況を精査していきます。

[医薬品事業] 開発案件の状況

各事業の開発状況についてご説明します。医薬品事業の開発状況ですが、秘密保持契約の関係上、個別案件の詳細は公開しかねることをご了承ください。開発案件は、大きく中期テーマと長期テーマの2つに分かれます。

中期テーマは既存原薬関連の製造・加工がメインとなります。現在依頼を受けている開発案件で進捗している一部をご紹介します。スライドに記載のとおり、小児用治療薬、医療用添加剤、原薬原料、動物用原薬等であり、現在、順調に進行中です。

また長期テーマとして、新薬向けの合成案件を今期10件受託しており、非臨床試験・臨床試験において、それぞれのステージまで進んでいます。将来の新薬製造受託に向けて今後も積極的に営業展開していく予定です。

[健康食品事業] 開発案件の状況

健康食品事業の開発の状況について、前期までに不採算事業を整理し、ゼリーに集中する体制で営業活動を進めてきた結果、開発依頼件数は前期比1.5倍と増加しています。

その中で傾向としてはやはりヘルスケア・スキンケアが従来どおり多いのですが、最近ジワジワと筋肉・筋力関連と子ども向けの案件の開発依頼が増加してきています。

今後の成長も期待しており、技術的には製品設計の強化や、アミノ酸やプロテイン原料の高配合化の課題をクリアしつつ進めていきます。

[化学品事業] 開発案件の状況

化学品事業の開発の状況について、我々のコア技術となる分離精製を活かした展開を進めています。スライド左の円グラフが示すとおり、現在抱えている開発案件の7割弱がイオン交換樹脂関連となります。

内訳として、化学関連は原料薬品等から特定の物質を除去するケースが多い傾向です。半導体関連は、超純水や洗浄剤・エッチング液等のさらなる高純度化がテーマとなります。

またエネルギー関連は、高強度・耐酸性がテーマとなっています。これら多くの課題をクリアすべく、現在は海外のイオン交換樹脂メーカー複数と共同開発を進めており、それぞれに最適な性能のイオン交換樹脂の上市を進めています。

前回の決算説明会でも触れた、装置関連のメインテーマとなるバイオディーゼル精製装置開発は順調に進行しており、実機試験に移行している状況です。本年9月までには試験を完了し、複数の受注を目指すべく横展開を進めていきます。

なお、特許については関連先との共同出願含め、今期は全事業において合計3件の特許を出願しています。引き続き、全事業で特許性のある開発案件については積極的に出願していく方針です。

紹介した開発案件は一例であり、その他の開発案件も数多く依頼を受けています。当社の今期方針の1つである「開発強化」に沿って、これら開発案件を着実に進め、業績拡大に向け尽力していきます。

質疑応答:上期実績好調の要因について

質問者1:上期の実績について、「新規案件の獲得は順調で、進捗もよかったです」というお話がありました。セグメントごとに医薬品や健康食品や化学品などがあると思いますが、それぞれの事業でどのような案件が想定以上に増えたのかなど、上期がよかった要因をもう少し教えてください。

青木:いくつかのトピックスとなりますが、まず1点目は輸入原薬のバルプロ酸ナトリウムの引き合いが非常に好調で、想定以上を売り上げていたということがあります。

また、売上の金額的にはあまり大きくはありませんが、この1年でお客さまから新薬の合成の依頼相談を受けるようになりました。その結果、数百万、数千万単位で、売上も上がってきています。今まで我々は医薬品はジェネリックを中心に展開していましたが、有望案件の発掘という意味で、10年近く先になるかもしれませんが、長期的に今後も強化を進めていきたいと考えています。

健康食品事業は傾向として、前期の下期くらいからアタックしていた、スキンケアや青汁を中心としたゼリー関係の開発案件が花開いてきたという状況です。大手のお客さまを含む引き合いがあり、非常に好調に推移した影響は大きくあります。

加えて、前期まで進めてきた諸対策によって、粗利が大幅に改善したということもあったと考えています。

化学品事業については、契約の関係で詳細はお伝えできませんが、スポットの大型の装置案件がありました。またイオン交換樹脂の販売で、自社加工品ではありませんが、商品販売で大きな案件がありました。それら2つの点が相まって、比較的好調に推移したと考えています。

質疑応答:下期のコスト増加の見通しについて

質問者1:年間の計画は従来の予想を据え置き、おそらく下期は人件費や材料などの不透明要素を考慮していると思います。上期の実績から、そのような材料の影響や人件費増加について、下期の想定規模のイメージがあれば教えてください。

井内聡氏(以下、井内):人件費や展示会も含めた販売戦略費、採用のコストなどの諸々を含めて、販売管理費全体で、上期と比べて1億円弱のコストアップとなるとみています。

青木:下期以降は展示会に積極的に出展して、PR活動を大幅に強化しながら販促につなげていきたいという思いがあります。

また、研究開発費についても、現在、全事業において依頼件数が非常に増えてきている状況で、それに対応する試験費用などを計上してアップしている点もあります。

質疑応答:他メーカーのジェネリックに関するトラブルの影響について

質問者1:昨年、一昨年頃にジェネリック薬品メーカー商品の品質トラブルや問題がありましたが、御社の医薬品の輸入販売事業への恩恵や影響は何かありますか?

青木:品質問題を中心とした国内の一連の問題に関しては、やはり若干の影響は受けています。マイナス影響は受けているものの、それ以上に我々が主力としている輸入原薬の販売が伸びていきました。市場の状況でいろいろと変化があり、その中で、集中的な引き合いをいただいたため、マイナス分よりもプラス分のほうが大きかったと思います。

今のところは、それ以外にはそれほど大きな影響は受けていません。特にマイナス面はなかったものの、プラス面もそれほど大きくはなく、極端に大きな引き合いがあったかということでもありません。したがって、大きな影響はプラスもマイナスもそれほど受けなかったと考えています。