アジェンダ

秋元洋平(以下、秋元):みなさま、こんにちは。これより、「決算説明会・株主総会のDX化事例 〜IR担当者が語る『実施して得られた成果と課題』〜」を行います。

コロナ禍において、オンライン決算説明会が急速に普及し、この流れは今後も継続することが予想されます。また、株主総会もオンライン化が進んでおり、バーチャル株主総会を開催する企業が徐々に増加しつつあります。

そこで本日は、実際に決算説明会や株主総会をオンライン化した企業に、よかったことや苦労したこと、どのように進めていったのかなどの現場の声をうかがうことで、これからオンライン化するみなさまに有益な情報を発信したいと考えています。

〜QAタイムの参加方法〜

質疑応答の時間も設けていますので、ご質問のある方は、随時「Zoom」のQ&Aボタンからご投稿ください。よろしくお願いいたします。

ファシリテーター①

あらためまして、私は秋元と申します。よろしくお願いします。簡単に自己紹介します。

2016年にログミー株式会社に入社し、翌年に決算説明会の書き起こしメディア「ログミーFinance」を立ち上げました。現在は、同メディアの運営と、IR担当者や個人投資家向けのイベントの企画、運営をしています。本日は、少しでもみなさまのお役に立つことができればと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

【1】 決算説明会のオンライン化事例

さっそく、決算説明会のオンライン化事例へ移ります。スピーカーをご紹介します。株式会社シーティーエス経営企画室の佐藤さまです。簡単に自己紹介をお願いします。

【1】スピーカー

佐藤真一氏(以下、佐藤):本日は、よろしくお願いいたします。私は、1998年に株式会社シーティーエスに入社しました。以来、間接部門を中心に、経理・総務などの部門に所属した後、現在は経営企画室で、主に年間の会社の計画のとりまとめと進捗管理、また、株主総会をはじめとした社内の各種会議の事務局運営や、投資家などに向けたIRの業務担当を中心に行っています。

また、当社は本社を長野県に置き、全国に29支店を展開することで、ICTを通じて全国の建設現場における省力化や省人化をサポートする、建設ICT分野の専門企業です。具体的には、主力事業のシステム事業と測量計測事業の2つを柱として、事業展開しています。

システム事業については、クラウドストレージを中心に、モバイル回線および現場事務所内のITインフラ機器をレンタルと販売で提供しています。

測量計測事業については、実際の施工現場において利用する測量機器や、現在、国土交通省が推奨しているICT施工に対応した計測システムなどを、同じくレンタルと販売で提供しています。

【1】Q. 決算説明会のオンライン化を決意した「タイミング」や「きっかけ」は?

秋元:それでは、さっそく1つ目の質問です。決算説明会のオンライン化を決意したタイミングやきっかけを教えてください。

【1】決算説明会の開催形式

佐藤:まず、IRや決算説明会に関しては、2002年にJASDAQに上場して以来、2018年の3月期までは、事前に収録した説明用の動画をホームページにアップすることで、説明会の代わりにしていました。

2015年に東証一部に変わり、機関投資家を中心に株主も増えてきて、投資家とのIR活動を活発にしてきた中で、「決算説明会をリアルでやってほしい」という要望などが強くなったため、検討してきました。

2019年の3月期に、初めて東京でリアルの決算説明会を行い、昨年2020年3月期も続けて行う予定でしたが、ここでコロナ禍が拡大したことで、急遽4月になって中止となりました。

そのような状況の中、世の中の企業がどのように決算説明会を行っているのかについて、いろいろな情報を収集した中で、オンラインで行う事例が増えてきていたため、検討し、今年の決算説明会で、初めて「Zoom」を使用し、オンラインで決算説明会を行うことにしたということです。

【1】Q. Zoomと比較検討したツールは?

秋元:この後、より詳しくうかがいたいと思います。まず、今回「Zoom」を利用していますが、比較検討したツールや、使用して感じたメリットとデメリットはありますか?

佐藤:決算説明会をオンライン化する中で、2019年にリアル開催したものと、上場来の動画撮影とホームページへのアップは、東京の大手証券会社の関連会社にずっとお願いしていました。

オンライン化についても、そちらに相談して、見積もりを取っていたのですが、当社の要望になかなかマッチしなかった面があり「みんせつ」のサイトと「ログミーFinance」のウェビナーについて情報収集した中で、「Zoom」で行えることがわかったため、特に他のツールと比較したことはないです。

「Zoom」に関しては、投資家とのIRの1on1ミーティングに使用しており、使い勝手などもわかっていたため、いろいろな面を考慮して「Zoom」を採用しました。

秋元:マッチしなかったところは、コストの部分が大きかったのですか?

佐藤:長野県からの移動費と会場費などもありますが、コスト的にはリアル開催した2019年とそんなに変わりませんでした。一番の肝となったのは、オンラインでライブで行っている時にスピーカーの顔が映らず、資料しか映らないということでした。会社内で議論した結果、生の声を伝えるのに、表情がわからないのはよくないということで、お断りしたという経緯があります。

【1】使用機材

佐藤:今回、オンライン化にあたって、特に購入した機材はありません。「Zoom」に申し込み、ウェビナーを使用できる状況にはしましたが、機材的には資料のとおり、通常の社内会議やIRの1on1ミーティングで使っている、ヤマハのマイク・スピーカーとロジクールのWebカメラを使いました。

【1】実際の機材配置

佐藤:当日は、会議で使っている大型モニターを演台の前に、マイク・スピーカーを演台に置き、カメラは三脚の上に設置して、スピーカーのみ映し出す状況で行いました。場所は会社の会議室です。

【1】Q. 機関投資家と開催方法について相談した?

秋元:このようなかたちで開催するにあたって、機関投資家に事前に相談しましたか?

佐藤:投資家とは、四半期ごとに1on1ミーティングなどを行っているのですが、一部のアナリストや機関投資家とのミーティングの中で、「今、決算説明会がオンライン化されていて、当社もそちらに切り替えていくことを検討しているのですが、どうですか?」と相談した結果、いずれの投資家やアナリストも「特に問題はない」ということでした。

1年経って、「Zoom」や他のツールを投資家も使用しており、「初めの頃は通信障害や、使えるものが限られているところはあったが、『Zoom』だったら特に問題ない」と、ご意見をいただいた次第です。

秋元:事前に確認して、ご了承も得たということですね。

【1】Q. 準備に携わった人数/役割分担は?

秋元:準備に関わった人数や、役割分担について、聞かせてください。

【1】基本的なZoomの準備は1名

佐藤:「Zoom」ウェビナーを導入するのは初めてですので、ログミーの営業担当の方に相談した上で、購入から当日までの準備を進めましたが、そこは私1人で行いました。また、当日の説明資料作成に1名と、上司が資料の確認などで1名加わり、週1でミーティングをしながら「Zoom」の準備状況を確認し、当日に備えました。

秋元:特別に、「Zoom」用に資料を変えましたか?

佐藤:特に変えていません。

秋元:普通の準備と変わらず、「Zoom」の準備だけをプラスアルファで行ったということですね。

【1】Q. 決算説明会開催に向け目標はあった?

秋元:決算説明会開催に向けて、目標を設けましたか?

佐藤:今まで、リアルの時にも目標を掲げたのですが、初めてのオンラインということで、まず集客面で、申込み段階で新たなアナリストや投資家が参加していることを確認できたため、その方たちに多く参加いただくことを期待しました。

また、QA機能を使い、当社のIR活動についての率直な意見をうかがうことと、それに対する課題の洗い出しを目標に掲げました。

【1】Q. 機関投資家の集客で工夫したことはあった?

秋元:機関投資家の集客で工夫したことはありますか?

佐藤:まず、「Zoom」のアカウントやいろいろな案内を、「みんせつ」のWebサイトにアップし、オンライン説明会を行うことを周知し、これまで1on1ミーティングなどで面識のある投資家やアナリストには、直接メールで案内しました。また、「Zoom」のリマインド機能を使い、開催日の1週間前と前日にリマインドのメールを送るように設定しました。この3点です。

秋元:特別に、お金をかけた集客はしていないというところですね。

【1】Q. Zoom使用における不安を、どのように解消した?(通信環境、運営面での慣れなど)

秋元:通信環境や、運営する上での慣れなどの、「Zoom」の使用における不安については、どのように解消していきましたか?

佐藤:オンラインのWebツールは、今まで「Webex」を使い、社内会議などを行っており、最低限の機能の使い方などは私でもわかっていたものの、「Zoom」ウェビナーの登録は初めてでした。ですので、本当に一から、ログミーの担当の方に随時相談して、わからないことを解決していったことで、不安は解消できました。

また、前日まで、リハーサルなどの面倒を見ていただき、事前に当日の台本も提供いただいたため、それに沿って行いました。

【1】Q. 決算説明会当日の運営人数と役割分担は?

秋元:当日の運営に関わった人数と役割分担を教えてください。

【1】当日の運営(当初の想定)

佐藤:説明会当日には、総勢5名が運営側に立ちました。スピーカーは当社の代表取締役社長で、司会進行を私が行い、もう1名がPCの操作とQA対応、進行確認で視聴者側と運営側の環境で各1名の、計5名です。当初は、このメンバーで行う予定で進めていました。

【1】Q. トラブルはあった?

秋元:事前にお話をうかがって驚いたのですが、トラブルがあったのですよね? そのお話もうかがってよいでしょうか?

佐藤:「Zoom」ウェビナー自体に何か問題があったり、通信が途切れて使えなかったりしたのではなく、ヒューマンエラーでした。

【1】当日の運営(実際)

当日、スピーカーを予定していた社長が体調不良で参加できず、急遽、私の上席の者がピンチヒッターでスピーカーを務めました。それに伴い、司会進行は私がそのまま行ったのですが、PC操作も私が兼務で担当するイレギュラーが発生しました。

このトラブルで一番苦労したのは、5月11日の11時から開始だったのですが、朝来てすぐに、「説明会を中止するか、どうするか?」から始まったことです。話し合いを持った上で、代役の者は普段からIRの1on1ミーティングなどを全て行っており、参加者に説明するのは特に問題ないだろうということになりました。

また、決算説明会にあたり、資料の確認や、実際に前日までのリハーサルには社長も含め、全員が参加して段取りの確認を行っており、代役になったことでの問題はありませんでした。

秋元:ヒヤヒヤでしたね。

佐藤:私が司会とPCの操作を兼務したため、最後のQAに8件くらいあった質問をどのように捌くのか、司会をしているため声に出せず、その場で指で指図して、「上からやろう」とジェスチャーを横に流しながら捌いていき、そこは苦労しました。

【1】やってみて良かったこと/悪かったことは?

秋元:最後に、やってみてよかったことや、悪かったところをうかがいたいと思います。

【1】良かったこと/悪かったこと

佐藤:まず、リアル開催ではなく、オンライン開催をしたことで、大幅に経費を削減できました。

その分、「ログミーFinance」を活用して、説明の書き起こしを拡散していただいたことと、新規の投資家に参加していただいたこと、また、参加した投資家に匿名でアンケートを実施し、IR活動に関する率直なご意見や今後のことを把握できました。この3点が、特によかったことです。

秋元:悪かったことはありますか?

佐藤:先ほどのトラブルは抜きにすると、会社内の会議室が広かったため、音の反響がかなりあり、聞きづらかった面がありました。今後は部屋のサイズを調整すれば問題ないと思いますので、次回の課題として、このあたりを直していきたいと思います。

秋元:今回のこの取り組みに関しては、総じてポジティブな面のほうが多かったのでしょうか? 

佐藤:開催してよかったと思っています。

【1】会場からの質問:「Zoom」と「Zoomウェビナー」の違いについて

秋元:それでは、会場のみなさまから、ぜひご質問をいただきたいと思います。何か気になって聞きたいことがありましたら、Q&A欄から、テキストでどんどんとご投稿をお願いします。

秋元:今来ている中から、普通の「Zoom」と「Zoom」ウェビナーの違いって何でしょうか? という質問です。

私から回答すると、通常の「Zoom」はミーティングツールになるため、参加者のみなさまが、双方向にコミュニケーションをとれるようになっています。

具体的には、みなさまのカメラとマイクは自由にオン・オフできるようになっているため、決算説明会のように企業から一方的にプレゼンを行う際に、参加者の方がマイクをオンにして雑音が入ってしまう、カメラをオンにして顔が見えてしまうといったリスクが発生します。

今回もそのようにしていますが、ウェビナーでは参加者のカメラとマイクを強制的にオフに設定することができ、非常に円滑に進行できます。もちろん、細かなメリットは他にもいろいろありますが、もし気になったら、アンケートなどで「『Zoom』ウェビナーを聞きたい」と記入いただければご説明します。

【1】会場からの質問:Q&Aの受付方法について

秋元:次に、「Q&Aはテキストのほうがよいでしょうか? 口頭でも受けるか迷っています」という質問です。こちらについて佐藤さまはご検討されましたか?

佐藤:当社でも検討して、テキストのみで行いました。どのような質問が来るかは当然わかりませんが、私も実際に受け取った質問を見ていく中で、テキストのほうがパッと見て質問を種類ごとに判別できると感じました。

また、「音声では時間の都合などが読めない」という投資家の意見もあると思い、テキストのみとしました。

秋元:操作の部分も音声だとかなり複雑になりますが、テキストでは簡易的に対応できるとも思います。

【1】会場からの質問:サポートについて

秋元:最後のご質問です。「ログミーのサポートを受けたとのことですが、一度だけのサポートで今後は自社で対応できるとお考えでしょうか?」ということです。これは私もぜひおうかがいしたいです。

佐藤:本当に初めての経験だったため、わからないことは担当の方に電話したり、「LINE」や「Zoom」をつないで連絡を取りながら、随時解消していきました。

実際、オンライン化した説明会を5月に開催することが決まっていて、最終的に「サポートを受ける」と決めたのが4月上旬でしたが、いろいろと準備を進める中で、「説明会をやりますよ」という告知は、4月下旬になってしまいました。

それでもきちんと集客できましたし、内容の精査等も行ってもらえて大変助かったため、ログミーに頼れば問題なくできるという結果になりました。みなさまもぜひ、ログミーに相談していただければと思います。

秋元:ありがとうございます。今後も何かお困りのことがあれば、私どもは一度きりではなくサポートしますので、遠慮なくお申し付けください。佐藤さま、今日はどうもありがとうございました。

【2】 バーチャル化が進む株主総会の動向

秋元:続いて、「バーチャル化が進む株主総会への動向」に移ります。こちらは、コインチェック株式会社Sharely(シェアリー)事業部事業部長の大島さまからご説明いただきたいと思います。本日はよろしくお願いいたします。

ファシリテーター②

大島啓司氏(以下、大島):よろしくお願いいたします。あらためまして、この後のパートを担当するコインチェック株式会社Sharely事業部の大島と申します。

コインチェックには、新規事業でバーチャル株主総会支援サービス「Sharely(シェアリー)」というものがあるのですが、今年3月から事業責任者としてそこに参画しました。それまでの主な経験としては、社長室でのさまざまな業務対応や、日本法人立ち上げへの関与、SaaSのはしりとなる商品を担当するなど、幅広く従事してきました。

【2】 オンライン化が進む株主総会の動向

大島:今視聴されているみなさまもご存知だと思いますが、現在の株主総会のバーチャル化について、整理すると大きく3つに分けられます。

基本的には、スライド上部にある「ハイブリッド型」の「参加型」「出席型」の2つで、これまでのように会場を設けてバーチャル化する、要はオンラインとオフラインとを併用するかたちです。その中で、参加者の議決権行使は不可能ですが、質問等は可能とする最も簡易的な形式のものを「ハイブリッド型の参加型」と言います。

「参加型」は、6月総会の全体の実績を見る限り、「傍聴型」と言われる会社の総会の95パーセントが運営方法として採用しており、そのうちの多くが「ハイブリッド型の参加型」という立て付けになっています。

一方「出席型」の運営方法を採用する会社は、6月総会の実績を見ると、14社にとどまっています。こちらは「参加型」に比べると「傍聴型」ではなく、参加者は会社法上の出席となり、議決権行使が可能となるため、やはり運営の難易度が少し上がるということで、導入企業が思ったほど伸びずに推移しています。

また、スライド上のオレンジ色の線で囲んでいる部分に、経産省では「場所の定めのない株主総会」「バーチャルオンリー株主総会」と通称される「バーチャルオンリー型」について記載されています。

こちらはご存じの方も多いと思うのですが、国会審議が通過し、6月16日に経済産業省と法務省から産業競争力強化法の経済産業省規定に基づき、産業競争力強化法に基づく場所の定めのない株主総会に関する省令が出て、日本国内の上場企業が完全オンライン型の株主総会を正式に開催できるようになりました。

発令から約1ヶ月しか経っていないことに加え、開催の申請にあたり経済産業省および法務省に確認書類を提出して、約1ヶ月間の審理期間を経る必要があるため、厳密には今のところ、日本で「バーチャルオンリー型」を遂行したという会社はまだありません。

ただ、総会ピークシーズンの前にも、「バーチャルオンリー型」を採用する会社が徐々に出てくると、弊社としても推測しています。

あくまでも、バーチャル化のパターンは「参加型」「出席型」「バーチャルオンリー型」の3つですが、株主の構成はどうか、初めての場合まずは「参加型」にするのか、「参加型」を経て「出席型」にするのかなど、企業がどのような運営方法を検討・選択するかにはいろいろなパターンが想定されます。

当然弊社は今まで2通りしかバーチャル化の経験がなく、リアル会場のみのパターンが多かったのですが、この3パターンとリアル会場とを組み合わせた形式が増えていくと考えています。

経済産業省も今後、DX化、コーポレートガバナンス・コードの改訂に紐付けて、ひらけた取り組みをいろいろと行っていくことと思います。弊社としてはバーチャル株主総会を啓蒙・推進していきたいと考え、コインチェックの「Sharely」というブランドを運営しています。

【3】株主総会のオンライン化事例

秋元:背景に関する説明はここまでとして、このあとは株主総会のオンライン化の事例についてお話ししていきます。あらためてスピーカーをご紹介します。

【3】スピーカー

秋元:株式会社ツクルバ法務部長 兼 広報IRグループマネージャーの重松さまをお呼びしています。

大島:あらためまして重松さま、本日はよろしくお願いいたします。自己紹介と、ツクルバの会社説明をお願いできますか?

重松英氏(以下、重松):株式会社ツクルバの重松と申します。私はもともと弁護士で、ツクルバの顧問弁護士をしていたところから、2019年7月に上場するタイミングで入社しました。

普段は法務部で、契約法務や機関法務などの業務を行っていますが、2020年からは広報やIRを担当することになりました。IRについては、機関投資家の方々との1on1は私がすべて担当しており、決算説明会の準備のほか、株主総会の準備も法務とIRを横断するかたちで担当しています。

【3】株主総会のオンライン化事例(TSURUKUBA)

重松:会社としては、スライドに記載のとおり、「cowcamo(カウカモ)」という中古・リノベーション住宅の流通プラットフォームを運営しています。

リノベーションした中古の不動産等の売主と買主をマッチングさせるアプリやWebサイトを作っており、「不動産の流通をよりなめらかにしていこう」ということで、事業を展開しています。

大島:「Sharely」では、昨年の7月決算で10月にツクルバの総会を支援しました。いろいろご質問させていただきますので、よろしくお願いします。

【3】Q. 導入検討した背景は?

大島:最初の質問です。昨年のことで、記憶が曖昧な部分も多少はあるかとは思いますが、まずバーチャル株主総会を導入した背景を教えてください。

重松:私どもは7月決算で、昨年の10月に株主総会を開催するということでしたが、開催時にもやはり新型コロナウイルス感染拡大の懸念がありました。他のほとんどの会社がそうだったと思いますが、私どもも同様に、ご来場は遠慮していただく方針を招集通知に記載していました。

そうは言いましても、株主総会は株主、特に個人投資家の方々に対してメッセージを届ける貴重な機会であるため、何かしらできないかと考えていました。

ただ、私どもは東証マザーズ上場企業なのですが、リソースはほぼ私1人で株主総会の準備をしているという状況があり、なかなか難しいと思っていました。そこで「Sharely」を頼って、導入していったというかたちです。

【3】Q. 導入検討時に重要視した点は?

大島:先ほどの質問と少しリンクしていますが、実際に導入を検討する時にいろいろな選択肢があり、リソースは逼迫していたと思います。自社で行うという選択肢も多少はあったとは思いますが、導入検討時に重要視した点はどのようなものがありますか?

重松:当社は最終的には「参加型」で開催しましたが、昨年時点では、オンラインでの株主総会はそれほど事例が多いわけではなく、その中で、ロジ周りなど確認する事項も多くありました。

株主総会は会社法上の手続きであるため、いろいろと確認しなくてはいけないこともありますが、「確実に行えること」「安心して行えること」が、やはり重要かなと思いました。

次に重要だったのはリソースとの兼ね合いで、できるだけのことは精一杯実施したいが、人手が足りずできることが限られる中で、「良い塩梅で株主との接点を取っていけるのはどこか」を探っていったかたちです。

【3】Q. 総会開催までの準備で苦労した点は?

大島:株主総会は実際、バーチャル型に限らず開催までの準備がかなり大変で、重松さまのように知識や経験があっても苦労した点があるかもしれませんが、いかがでしょうか?

重松:初めてのオンライン開催においては、「法令などをきちんと守った上で株主総会を開催できるのか」を確認することが、まずは必須だと思います。それ以外には、事務的なところですが、オンラインとオフラインの接続でも実は苦労があります。

昨年の時点では、会場は絶対に必要だったため、設備の手配や、そこでオンラインとつなげる時にどう接続したらよいのかといった、「ちょっとしたIT」のような作業がありました。議長は会場におり、ほかの役員は自宅など他の場所から参加するため、滞りなく開催するためには配線をどのようにするか、細かい部分ではマイクはどのようなものか、位置をどこにするか、なども考えます。

また、会場も今までのような大きさは必要ないため、適した会場はどこなのかも検討しました。実は最終的に、コインチェックの会社のスペースを貸していただきました。

他にもアクリル板をどのように用意するかなど、いろいろと細かいところに気を配っていましたが、リソースが1人だったことでかなり苦労したかなと思います。

大島:弊社の会議室の使い心地はいかがでしたか?

重松:とても快適で、眺めもよくて、スペースとしてもちょうどよかったです。株主が来場する場合も考えて、「仮にもう少し来ても大丈夫かな」という大きさは用意していましたが、それに見合った会場でした。

大島:使い勝手がよかった点とお聞きできて安心しました。重松さまが先ほどおっしゃったことで、議長や役員、監査役の方々が、リモートも含めていろいろな環境から参加されたようですが、来場者やリモート参加者の比率はどのような感じでしたか?

重松:議長の代表取締役CEOだけは会場におりましたが、社内・社外を含めた取締役・監査役はすべて別の場所で接続して参加していました。おそらく自宅からの参加が多かったと思います。

大島:自宅からの参加の方々も問題なく、円滑に参加・運営できていましたか?

重松:回線などインターネット環境は事前に確認してもらいましたが、普段から「Zoom」など使ってオンライン会議を行っていることもあり、特に問題ありませんでした。

【3】Q. 総会当日はどのような点に気をつけましたか?

大島:バーチャル化すると言いましても、総会にあたりしっかり準備して、リハーサルも行い、会場も確認して、他にもいろいろなことを想定されるかと思います。総会当日も大変な部分があると思いますが、どのような点に気をつけましたか?

重松:実際の進行について言いますと、特に何も問題なく、当日は滞りなく終了しました。気をつけた点は、実際に来場された方はいませんでしたが、仮に来場された場合に、新型コロナウイルスのリスクなどを含めどのようにご案内し、会場に入るのを遠慮していただくかを考えていました。株主の方々が出席する権利への配慮も必要ですので、そのあたりを決めておく必要があります。

そのため、他の部屋に入っていただきそこで見てもらうなども含めて検討し、案内について準備しました。そして、実際に周りに待機する従業員に事前にしっかりと説明し、株主の方々に失礼がないように配慮しました。

大島:実際の総会準備やオペレーションは、重松さまが主に準備なさったのですね。お一人とは言いましても、総会当日は弊社の支援スタッフ、そして御社の臨時支援スタッフを動員したかたちでしょうか?

重松:おっしゃるとおりです。当日までの準備は私がほぼ行っていたのですが、会場の周りに置く人員や議長のサポートなどはスタッフが行いました。

ただ、従前の会場で行う株主総会より、はるかに会場の周りに必要なスタッフなどの人数が少ないため、省力化が相当進んだと思います。当日は議長を除き、弊社の会社のメンバーは4人ほどでした。

大島:では、スマート化と言いますか、上手にオンラインを併用して効率化も図れたのではないでしょうか?

重松:おっしゃるとおりです。

【3】Q. 社内外の反応はどのような感じでしたか?

大島:総会当日が無事終了した後の反応などについて教えてください。社内外の反応とは広義で、社内は御社の議長をはじめ役員の方々、そして、同僚や参加していない従業員からどんなことを耳にしたかうかがいたいです。

また、社外は、株主やステークホルダーなどです。あるいは、重松さまの知り合いのネットワークの中で、ツクルバのアーリーアダプター的な株主総会のバーチャル化の取り組みについてどのような反応があったか知りたいです。

重松:まず、社内の反応についてです。弊社の社外取締役は自身で会社のファウンダーや社内取締役をしているのですが、その中でも今回が最も負担が少なくてよい株主総会だったとお話ししていました。

従前では、会社によっては交通機関で何かトラブルがあってはよくないということで、会場近くのホテルに泊まることもありました。しかし、オンラインであれば移動などの負荷がありません。そのような移動の懸念や渋滞、電車の遅延などがなく、ある意味では自宅からリラックスした雰囲気で臨まれるため、負担が軽くてよかったとのことです。

また社外の反応と言いますと、取締役や私などのメンバーが「Twitter」などで「オンラインで株主総会を開催しました」とつぶやくと反響があり、好意的な意見をいただきました。「参加型」の株主総会を2020年に導入した会社はあまりないため、チャレンジしたこと自体を好意的に受け止めていただけたのだと思っています。

【3】Q. 導入して良かった点は?

大島:あらためて、導入してよかったと思う点について教えてください。

重松:前年、上場して初めて株主総会は、オンラインではなくリアル会場で行いました。その頃と比べると、「Sharely」を頼ることで私の負担はとても減りました。本当は自身でいろいろと検討すべきなのかもしれませんが、「これは何ですか?」や「ここはどうしましょうか?」と、丸投げと言いますか、いろいろと尋ねました。

個人的な感想ですが、コインチェックさまはベンチャーであるため、フランクでカジュアル、かつスピーディーに答えてくれるところがとても進めやすかったです。また先ほどの社内外の反応にもつながりますが、好意的に受け止めてもらえたところがよかったと思っています。

加えて、「Sharely」は早い段階で弊社以外にも他社を支援されていたため、そこからいろいろと学ぶことができたこともよかったと感じています。

【3】Q. 次回以降の改善点等は?

大島:一方で、次回以降で改善したほうがよい点など、重松さまが思っていることはありますか?

重松:昨年、「参加型」で開催したことについて、特に「何かこれ」という改善点はありません。しかし先ほどのお話にあったように、「バーチャルオンリー型」などのような試みは今は多くはないですが、今後は増えていくと思うため、それについて検討を進めていく必要があると思っています。やはり株主との対話という面で、導入を考えていく必要があると思います。

ただリソースとの兼ね合いもあり、直ちにできるかと言いますとそうではないため、兼ね合いをみながら改善や検討を進めていきたいと思っています。

【3】Q. はじめて導入される企業さまへのアドバイス等があればお願いします。

大島:最後の質問です。今日試聴されている方で導入を検討中、あるいは初めて導入する企業さまがいらっしゃいます。重松さまからアドバイスできることがあれば、お願いします。

重松:アドバイスと言えるほどのことはありませんが、実際に進めていくと細かなところで「どのようにしようかな」と悩むことがあります。これは株主総会のオンライン化に限ったお話ではありませんが、実際に何かに取り組むと本に書いてあるわけでもなく、些細なことでも悩むことがありますよね。

一般的には、経験がある人に聞くのが早いと思います。株主総会のオンライン化も同様で、いろいろと詰まった時に自分一人で四苦八苦し、試行錯誤しなければならないのですが、経験がある人に聞くと早く終わらせることができます。特に初めて行う場合は、経験者を頼ったほうがよいと思います。

そのため、実績や経験がある会社に株主総会のオンライン化について、まずは頼ってみる、また検討してみることに意味があると思います。

【3】会場からの質問:次回の参加型オンライン総会で変更したい点について

大島:いろいろな観点からのご意見とアドバイスを頂き、大変参考になりました。では、ここからは質疑応答の時間です。事前に質問が届いていたため、そちらについて回答します。質問は「前回実施したオンライン株主総会を踏まえて、今年の『参加型』オンライン総会を実施する場合に変えようと思う点はありますか?」ということです。

重松:大きいところで「あれはまずかったな」や、「これは変えなければいけないな」と感じるところはありません。細かなところで言いますと、演台の配置が映った時、スライドの端の光とスライド画面が若干重なることがあり、少し調整が必要だと思っています。それ以外では特にありません。

【3】会場からの質問:バーチャル総会のリスクと対策について

大島:次の質問に移ります。弊社に対しての質問ですが、「バーチャル総会の開催にあたり、一番のリスクは何だと思いますか? そのリスクに対する対策とあわせて教えてください」とのことです。

先ほどお伝えしたように、「参加型」「出席型」「バーチャルオンリー型」といろいろな形式があります。やはり一番は会社法に準拠した上で株主総会をしっかりと運営し、きちんと機能が果たせることです。その際、重要なポイントなのが、リハーサルや本番などいろいろなパターンを想定することです。配信する時の通信体制などは、先ほどツクルバさまがお話ししたように、会場がどこかによっても変わります。

弊社のような会社を頼らなくても自社や貸会議室、また慣れていない第3の場所などで開催し、運営できる可能性はあります。しかし、株主が視聴していることを考えると、通信断絶のリスク、または配信の脆弱性などのリスクは弊社のような会社を使って担保し、潰していくことが必要です。

ツクルバさまと弊社のコンビのように、いろいろなリスクを減らし、協力して進めていくことができれば、「参加型」「出席型」もしくは歴史の浅い「バーチャルオンリー型」であっても成功できると考えています。

【4】サービスのご紹介

秋元:ログミーFinanceの個人投資家向けIRセミナーについてご紹介します。

【4】個人投資家向けIRセミナー 特徴

秋元:1つ目の特徴は、参加者層です。弊社は「Twitter」を中心に集客し、20代から50代の非常に若い参加者が9割程度を占めています。また、ただ若いだけではなく、企業をしっかりと分析し、中長期で株を保有してくれるレベルの投資家が揃っています。

【4】動画・書き起こしの配信で個人投資家3,000人以上へリーチ

秋元:2つ目の特徴は費用対効果です。ライブの模様は、弊社の「YouTube」チャンネルへアーカイブします。また、セミナー内容を書き起こしして「SmartNews」や「NewsPicks」などのニュースアプリ、「Twitter」などのSNSに配信します。そのため、通常では数百人しか参加できないものが、3,000人以上にリーチできるようになります。

【4】決算ログキャンペーン

秋元:現在、決算ログキャンペーンを行っています。弊社が提供するメインサービスで、決算説明会を全文書き起こしして公開配信するサービスです。通常価格は30万円(税抜き)ですが、11月30日までに決算説明会を開催される企業に対しサービス価格の10万円(税抜き)で提供します。

【4】複数の提携サービスへの配信で多くの投資家へ

秋元:弊社のサービスを通して、各種機関投資家が使用する国内外のデータベースや、個人投資家が見る投資情報サイト、またニュースアプリやSNSなど幅広いチャネルに配信されます。

企業によって機関投資家、あるいは個人投資家に注力されるなど事情はさまざまだと思います。弊社のサービスはそのような幅広い課題に応えられる商品であり、現在、非常に低価で提供しているため、興味のある方はぜひお問い合わせください。

【4】Zoom導入無料支援

秋元:スライド48ページは、ログミーFinance「Zoom」導入無料支援についてです。先ほどお話しした決算説明会のオンライン化の部分になります。これらに関して無料での支援も引き続き行っています。「Zoom」の設定から台本のご提供、またリハーサルから決算説明会の動画作成まで幅広くサポートしています。困りごとを抱えている企業の方は、ぜひお声がけください。

【4】YouTubeチャンネル

秋元:スライド49ページは、ログミーFinanceのYouTubeチャンネルについてです。本日のようなセミナーや個人投資家向けのセミナーなどの模様をアップしているチャンネルです。ただ、メインは企業が決算説明会の動画をアップすることとなっており、素材をいただければこちらのチャンネルでも無料でアップするかたちとなります。

コインチェック株式会社のサービス紹介①

大島:スライド50~54ページは、コインチェックの「Sharely」の特徴についてです。

コインチェック株式会社のサービス紹介②

大島:弊社は、経済産業省の実務ガイドラインなどにもきちんと準拠しています。形式は「参加型」「出席型」「バーチャルオンリー型」のそれぞれに対応しています。

コインチェック株式会社のサービス紹介③

大島:コインチェックはバーチャル株主総会のシステムだけを提供する会社だと思われがちなのですが、先ほどのツクルバの重松さまのお話にもあったように、株主総会はリアルとオンライン化の連携が非常に重要なポイントとなります。バーチャル化の部分しか支援しないとなると、「バーチャルオンリー型」となっても成り立ちません。既存の招集通知の作成をはじめ、証券代行業者や印刷業の会社とも連携して対応します。

コインチェック株式会社のサービス紹介④

大島:株主総会が「ハイブリッド型」であれば当然会場が必要なため、今までいろいろなお付き合いのある会社とも必要に応じて連携しながら支援します。株主総会そのものをきちんと運営できるように、また「出席型」での議決権行使がきちんと運営できるように、さらに終了後の集計作業や分析なども含めて全般的な支援を行っています。

弊社はコインチェックという暗号資産の取引所を運営し、そこで培ったシステム開発力やセキュリティ体制、快適なユーザビリティの提供ノウハウがあります。そのため株主の本人確認を行い、なりすましがないように、また議決権をリアルタイムで集計できる機能、つまり「ハイブリッド出席型」と「バーチャルオンリー型」が的確に運営できるように日々改善に取り組んでいます。さらに、ツクルバさまの重松さまからもお話があったように、役員や議長などのフルリモート参加への対応も支援しています。

コインチェック株式会社のサービス紹介⑤

大島:実際の画面イメージも気になると思うのですが、携帯でも見やすいように設計されています。

コインチェック株式会社のサービス紹介⑥

大島:例えば、事務局側で株主総会で行うべきステータスを一覧できる画面や配信される画面をどのように映すか決めたい、また資料だけを見せたいなどの要望に合わせていろいろな画作りにも協力できますので、興味のある方はお問い合わせください。

秋元:コインチェックさま、そして弊社もIRのマーケットでビジネスしていますので、みなさまからの気軽な質問なども遠慮せずにいただければありがたいです。できることは限られるかもしれませんが、みなさまと一緒に課題の解決に向き合っていけたらよいなと思います。よろしくお願いいたします。