目次
今井俊夫氏:4月1日に社長に就任いたしました、今井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは目次に沿って、2020年度決算概要および2021年度業績予想について、ご説明します。
2020年度 決算概要 ① 決算のポイント
最初に、決算のポイントからご説明します。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大により、クロロプレンゴムなどの基盤事業がマイナスの影響を受けました。しかし、当社のスペシャリティー事業は着実に成長を続け、環境・エネルギー、ヘルスケアが、大きく業績に寄与しました。
基盤事業の中でも、この3年間でスペシャリティー化が進んだものについて、今回から新たにスペシャリティー事業として組み込みました。結果、スペシャリティー化率は97パーセント、営業利益は347億円となり、過去最高を更新しました。
2018年度から進めてきた「Denka Value-Up」のスペシャリティー化戦略が正しかったことの証であると確信しています。今後も外部環境の変動に左右されにくいスペシャリティーを重視した経営戦略を基本として継続していきます。
2020年度 決算概要 ② スペシャリティー事業の定義
スペシャリティー事業の定義についてお話しします。当社はSDGsを羅針盤としたESG経営を基軸に、社会的責任を果たしつつ、持続的に成長できる企業体を目指しています。
その実現のために注力するスペシャリティー事業とは、ESGの取り組みに整合し、独自性と高付加価値を兼ね備え、外部環境に左右されにくい、トップクラスのシェアを有する事業です。ならびに、近い将来にそれを実現する可能性をもつ事業と定義しています。
今年度の業績に大きく貢献した球状アルミナや、新型コロナウイルス抗原迅速診断キットは、当社が長年培ってきた使命を活かした製品であり、社会課題の解決に貢献するスペシャリティー事業の具体例であると言えます。
当社は、今後も環境エネルギーやヘルスケアに注力し、スペシャリティー事業を通じて、社会課題の解決に貢献することで、持続的成長を図っていきます。
2020年度 決算概要 ③ まとめ(前年比)
2020年度の決算概要をご説明します。2020年度決算は売上高が3,544億円と、前年比で減収となりました。
一方、基盤事業が新型コロナウイルスの影響を大きく受けましたがスペシャリティー事業が業績に大きく寄与し、営業利益は347億円、前年比31億円増益となり、過去最高益を更新する結果となりました。また、経常利益は321億円、当期純利益は228億円と、それぞれ前年より増益となりました。
2020年度 決算概要 ④ 増減要因(前年比)
売上高と営業利益の増減要因をご説明します。売上高は、新型コロナウイルスの影響により、クロロプレンゴムをはじめとする、基盤事業における期前半での需要落ち込みが大きく、通期では大幅な数量減となりました。原料価格下落に伴うスチレン系製品の販売価格低下もありました。
一方で、新型コロナウイルス抗原迅速診断キットの出荷が大きく貢献したことに加え、xEV、半導体関連製品をはじめとする、環境エネルギー分野の需要伸長がありました。期後半以降は、クロロプレンゴムなどの需要も回復しました。結果、通期では、前年比264億円減収の3,544億円となりました。
営業利益面では、新型コロナウイルスによる145億円のマイナス影響を、スペシャリティー事業の販売増加によるプラス要因が大きく上回ったことから、営業利益は前年比31億円増益の347億円となりました。
2020年度 決算概要 ⑤ 営業利益 増減要因(前年比)
7ページは、この内容をグラフに示したものです。
2020年度 決算概要 ⑥ セグメント別(前年比)
売上高・営業利益をセグメント別に示してご説明します。
セグメント別の営業利益について、電子・先端プロダクツは、5G関連やデータセンター需要の世界的な拡大により、高機能フィルムや溶融シリカなどの半導体関連製品が堅調に推移するとともに、xEV関連の球状アルミナやアセチレンブラックなどの販売が前年を上回り、増益となりました。
ライフイノベーションは、インフルエンザ診断キットの出荷が前年を下回ったものの、新型コロナウイルス抗原迅速診断キットが大きく業績に寄与しました。また、新型コロナウイルス感染症と同時流行への対策として、予防接種が推奨されていたインフルエンザワクチンは、前年を若干上回る出荷となりました。
結果、セグメント合計としては大幅な増益となりました。なお、エラストマー・機能樹脂は、クロロプレンゴムの需要が新型コロナウイルスの影響により大幅に落ち込んだため、減益となりました。しかし期後半から、需要回復傾向が継続しています。また、テレビやモニターの導光板用途のMS樹脂は、好調な出荷が続いています。
2020年度 決算概要 ⑦ セグメント別(11月修正業績予想比)
昨年11月に公表した業績予想との比較を、セグメント別にご説明します。エラストマー・機能樹脂の営業利益は、クロロプレンゴムの需要回復により、想定を上回りました。また、電子・先端プロダクツでは、xEV、半導体、5G通信、再生可能エネルギー関連製品などの出荷が、下期に入り加速しました。
2021年度 業績予想 ① まとめ(前年比)
2021年度の業績予想についてご説明します。2021年度通期業績予想は、売上高が前年比106億円増収の3,650億円を見込んでいます。
営業利益は、環境エネルギー・ヘルスケアを中心とした重点分野の拡大により、前年度の347億円を大きく上回る420億円となる見込みであり、営業利益率は11.5パーセントになると想定しています。2期連続の過去最高益更新になる営業利益に加えて、経常利益・当期純利益も、過去最高益更新を目指します。
2021年度 業績予想 ② 増減要因(前年比)
売上高と営業利益の増減要因を説明します。売上高は、会計基準の変更による減収があるものの、前年に新型コロナウイルスによる影響を大きく受けたクロロプレンゴムをはじめとする、基盤事業の需要回復や、xEV、半導体、5G通信、再生可能エネルギーなどの環境・エネルギー分野の需要伸長により、前年比106億円増収の3,650億円を見込んでいます。
利益面では、スペシャリティー製品増産体制構築のための固定費増加などもありますが、主要製品の数量増が大きく寄与し、営業利益は前年比73億円増の420億円と、大幅増益を見込んでいます。
2021年度 業績予想 ③ 営業利益 増減要因(前年比)
13ページは、この内容をグラフに示したものです。
2021年度 業績予想 ④ 事業セグメントの変更(2021年4月~)
事業セグメントの変更について、4月1日に実施しました、組織再編についてご説明します。
ポイントとして、1つ目に、クロロプレンゴムが大部分を占めるエラストマー事業は、セメント、石灰窒素を含むカーバイドチェーンに繋がることから、インフラソリューションと併せて、エラストマー・インフラソリューション部門としました。
2つ目は、スチレンモノマーを起点とする機能樹脂と、そのシートや、成形された食品容器、塩ビ繊維などの樹脂製品と併せて、ポリマーソリューション部門を再編しました。
カーバイドを軸としたサプライチェーンやスチレンモノマーが、ケミカルリサイクルとして循環するバリューチェーンを統合することにより、意思決定の迅速化を図り、事業ポートフォリオ変革の推進をより加速させていきます。
2021年度 業績予想 ⑤ セグメント別(前年比)
業績予想の売上高、営業利益をセグメント別にご説明します。新しいセグメントでの業績予想ならびに前年との比較になります。
電子・先端プロダクツのさらなる拡大と、クロロプレンゴムなどのエラストマー・インフラソリューションの需要回復が寄与し、営業利益全体で前年比73億円の大幅増益を見込んでいます。
2021年度 業績予想 ⑥ 業績予想の考え方
業績予想の考え方をセグメント別にご説明します。電子・先端プロダクツでは、xEV・半導体関連などの需要拡大が加速することにより、増益を見込んでいます。ライフイノベーションでは、1つのデバイスで、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスとの同時診断が可能なコンボキットの申請を、1月に行いました。
先月発表したとおり、今年後半から新型コロナウイルス抗原迅速診断キットの米国市場への供給を予定しています。国内では、昨年接種が推奨されたインフルエンザワクチンは、前年並みの出荷を想定しており、新型コロナウイルス以外の各種検査試薬は需要回復を見込んでいます。
一方で、新型コロナウイルス迅速診断キットは減少を見込んでいます。前年比減益となる予想ですが、先ほどお伝えした取り組みなどにより、ライフイノベーションは、今年度も業績に大きく寄与することを見込んでいます。
当社は引き続き、xEV・5G・感染症対策などのメガトレンドを捉え、さらなる成長を図っていきます。
2021年度 業績予想 ⑦主要指標
投資計画や予想の前提条件についてご説明します。投資は430億円、研究開発費は160億円と、それぞれ前年を上回る計画を予定しています。
新型コロナウイルスの影響で経営環境が大きく変化しているものの、「Denka Value Up」の下でスペシャリティー事業の戦略投資を着実に行い、成長をより加速させていきます。為替レート、国産ナフサについてはスライドに記載のとおりです。
2021年度 業績予想 ⑧株主還元
株主還元についてご説明します。配当の予想について、中間65円、期末70円の年間135円と、前年の125円から10円の増額配当としました。株価推移などに応じ、機能的な自己株式取得を実施し、総還元性向50パーセントを基準とする方針を継続します。