2021年3月期第3四半期決算説明会

鈴木仁氏:イリソ電子工業の社長、鈴木でございます。お時間になりましたので、2021年3月期決算説明会を開催させていただきます。

本日は2部構成にさせていただいていまして、まず第1部に関しては、2021年3月期の連結決算概要および2022年3月期連結決算の見通しとなります。第2部としましては、中期経営計画の見直しを説明させていただきます。

それでは、説明させていただきます。まず決算説明の前に、自己紹介させていただきます。4月に私が社長就任させていただきまして、由木に替わり4月1日から社長となります。

私自身、1989年から入社していますけれども、技術・営業を経験していまして、この業界30年以上の経験を持っています。イリソが発展するためによりいっそう努力していきますので、みなさま、よろしくお願いいたします。

1. 2021年3月期 業績のポイント

それでは、説明させていただきます。まず、2021年3月期連結決算概要です。まず、業績のポイントについて申し上げます。車載市場は、2020年は世界新車販売台数が2019年よりも15パーセント減少しています。私たちは車載事業中心となっていますので、その影響を受けています。

ただ、EV・HVといった環境自動車が増えていること(特にパワートレイン分野)、もう1つ得意とするセーフティ分野も上昇することにより、現状は回復傾向になっています。

この表のとおりですけれども、第1四半期、前年比からすると58パーセントの状況になります。続いて復活しまして、第2四半期は92パーセントとなっています。第3四半期に関しては、私たちの会社、過去最高益と最高売上となりまして、396億1,400万円に対して365億円という結果になっています。

これに関して、第4四半期でベトナム工場のロックダウンによる操業停止という影響がありまして、営業利益・売上とも影響を受けているのが現状となります。

2. 2021年3月期 事業のポイント

次に、事業のポイントをご説明させていただきます。先ほども言いましたけれども、車載市場は2020年からしますと15パーセント減少となります。その台数影響を受けて、私たちの事業もかなり落ち込んでいます。

ただし、EV・セーフティに関しては、私たち、順調な伸びを示していまして、特にパワートレインの分野において大きな伸びを示しています。

コンシューマー市場に関しては、巣ごもり需要もありまして、比較的いい状況ということもあります。インダストリアル市場に関しても、中国向けのFAの好調により、非常に調子がいい状況になっています。

主な開発製品は以下のとおりになりますけれども、基本的に車載向け商品を中心に新製品を創出しています。

3. 2021年3月期連結業績(前期比)

以上の結果、売上高365億2,000万円、営業利益29億円、利益率でいきますと7.9パーセント、経常利益29億7,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては21億4,100万円、EPS90.89円となります。

4. 売上高詳細(市場別)

続きまして、市場別の詳細となります。オートモーティブに関しては297億8,600万円、前期比で88.3パーセント、構成比で81.6パーセントとなります。引き続き、車載事業が一番の牽引役となります。

インフォテインメントは152億6,500万円、前期比80.9パーセント、セーフティが66億円となりまして、90.1パーセント、パワートレインに関しては30億8,700万円、171パーセントです。その他といたしまして48億円となります。主に、ここでドライブしているものは、パワートレインとなります。

コンシューマー市場は、巣ごもり需要もありまして42億5,600万円と、前年比114パーセントとなります。

インダストリアルも今期は好調で24億7,700万円、前期比113パーセントという結果となっています。

5. 市場別売上高(四半期推移)

続きまして、四半期別の結果となります。第3四半期までの結果に対しては以前ご説明していると思いますけれども、第4四半期でベトナムのロックダウンがありましたので、その差異を説明させていただきます。

売上的には好調でしたが、ベトナムのロックダウンの影響により、若干売上の減少が見られます。それプラス、半導体市場の逼迫により若干の影響が出て、第3四半期からすると売上高は減少という状況となっています。

6. 地域別売上高(四半期推移)

地域別売上へ行きますと、ここは第3四半期同様ですけれども、やはり中国市場が牽引していることもありまして、中国市場が非常に伸びています。その他はほぼ変わらずという状況になりますけれども、欧米の欧州の比率が若干、それとアメリカの比率が若干、下がっていることになります。

7. 製品別売上高(四半期推移)

続きまして、製品別売上となります。ここも構成比はあまり変わらないのですけれども、車載コネクタが第3四半期に対して減少ぎみとなっています。全体的に前期の第4四半期に対して、今期の第4四半期は上昇となりますので、構成比はほぼ変わらず来ています。

8. 市場別売上高(通期累計)

続きまして、これが今回の通期すべての結果となります。数字的には先ほど説明していますので、構成比についてご覧いただければと思います。

9. 地域別売上高(通期累計)

同じく、通期の地域別となります。これも同じです。ここは先ほど説明したとおり、中国が一番の牽引役となっています。欧米地区が若干の減少となります。

10. 製品別売上高(通期累計)

続きまして、製品別となります。製品別も同じような構成にはなっているんですけれども、若干、当社主力のBoard to Boardの比率が下がっています。これは、パワートレイン等の強いところが、伸びはあるんですけれども、大多数を占めているセーフティ、インフォテインメントの低下の影響を受けている状況になっています。

11. 損益計算書(連結)(前期比)

続きまして、損益計算書の詳細について説明します。冒頭でも申し上げましたとおり、売上高は365億2,000万円で、前期に比べて30億9,400万円減少いたしました。

売上が減少したことや原材料費の高騰により、原価率は前年同期2.1ポイント増加の69.3パーセントに、販管費比率は、コロナの影響で運搬費が上昇したこともあり、前期比1.6ポイント増の22.7パーセントになりました。ただ、上半期では原価率73パーセント、販管費率は25.9パーセントでしたので、それぞれ良化していることがわかると思います。

12. 貸借対照表(連結)(前期末比)

続きまして、連結貸借対照表について説明します。総資産は、前期末に比べて33億300万円増加しまして、639億4,100万円となりました。

流動資産は、現金および預金4億4,000万円の増加、受取手形および売掛金10億7,300万円の増加、商品および製品4億8,900万円の増加、原材料および貯蔵品5億8,300万円の増加により、28億1,400万円の増加となり、合計352億900万円となりました。

固定資産は、機械装置10億5,200万円の増加、建設仮勘定は9億1,800万円の減少等により、4億8,900万円の増加で287億3,200万円となりました。

負債は、前期末に比べて9,200万円増加して92億1,000万円となりました。流動負債は、支払手形および買掛金4億2,900万円の増加、未払金4億5,300万円の減少等により、2,800万円増加し、79億5,600万円となりました。固定負債は、6,300万円増加して12億5,400万円となりました。

13. キャッシュフロー計算書(連結)(前期比)

キャッシュフローにつきましては、営業活動により62億3,400万円増加、投資活動により48億8,100万円、財務活動により13億7,900万円、それぞれ減少した結果、現金および現金同等物は前期末に比べ4億4,000万円増加し142億6,000万円になりました。

営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益27億8,800万円、減価償却費47億8,900万円に伴う資金の増加から、棚卸資産の増加額6億7,900万円、法人税等の支払額5億3,200万円に伴う資金の減少を差し引き、資金の増加額は62億3,400万円となりました。

投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産および無形固定資産の取得48億1,100万円の支出により、資金の減少額は48億8,100万円となりました。

財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済5,600万円、配当金の支払い11億8,400万円等により、資金の減少額は13億7,900万円となりました。

14. 設備投資・減価償却・研究開発

続きまして、設備投資・減価償却・研究開発費について説明します。設備投資に関しては、今期16億円減の48億1,100万円となります。減価償却費は47億8,900万円、研究開発費につきましては12億800万円という結果となります。

これは第3四半期でも説明したと思いますけれども、研究開発費に関して減少しているという話になると思います。これは前期と構成を変えていまして、前期は1年で捨てるかたちを取っていましたが、今期は設備投資の量産転用というかたちを取るために、研究開発費が減少となっています。

1. 2022年3月期 計画(前期比)

続きまして、今期2022年3月期の連結決算の見通しを説明させていただきます。2022年3月期に関しては、売上高420億円、前年比115パーセントという計画としています。営業利益に関しては67億円の16パーセント、経常利益に関しては66億円の15.7パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては48億円、EPSに関しては203円と、今期は計画しています。

2. 2022年3月期 計画(設定条件)

設備投資に関しては、今期は68億円。減価償却に関しては46億円、研究開発費に関しては14億円となります。この設備投資の68億円に関しては、通常の設備投資および、今期はERPの投資費用9億円が入ります。さらに、後ほど説明しますけれども、BCP対応の投資で4億円を含んで68億円という構成となっています。

3. 2022年3月期 市場別売上高計画(通期累計)

売上の構成に関しては車載を中心に伸ばしてくる計画になります。特に昨年度まで減少をしていたインフォテインメントが底を打ち、上昇していく基調になります。それ以外は、もちろん420億円に対して上昇していくことになります。一番の牽引はパワートレインとなります。

4. 2022年3月期 計画のポイント

続きまして、計画のポイントとなります。売上高420億円に対してですけれども、自動車の生産台数は、半導体や金属材料・樹脂などの部材供給面で一部懸念はありますけれども、前期のコロナの影響からの市況回復により増加していくと見ています。

新車販売台数は、2021年、8,600万台と想定しています。2020年に関しては7,800万台と想定しましたけれども、今期は8,600万台として想定していきます。

営業利益に関しては67億円となりますけれども、ここに関しては420億円ということもありまして、稼働益が出てくるということで、固定の回収で利益増加。もう1つは、自動化・合理化による原価低減活動も推進していきます。これにより、材料費・運搬費上昇を抑えながら利益を確保していく。

一部、まだベトナムのロックダウン、コロナ等の影響で、運搬費に関しては不透明さは残りますけれども、それも吸収しながら、16パーセントの利益を出していきたいと思います。

5. BCP対応

続きまして、BCPの関係を説明させていただきます。先ほど申しましたように、2021年3月期、今年の2月です。約1ヶ月間、ベトナム工場が操業停止になりました。これはベトナム政府の国策とは言うものの、私たちの工場が1ヶ月止まり、それにより、BCPの重要性を再認識いたしました。

一部のお客さまに迷惑をかけてしまったこともありまして、BCPの体制の見直しを実施します。まず第1段階に関しては、在庫体制の見直しをいたします。これは在庫の増量をしまして、イリソとお客さまのトータルした在庫数を約3ヶ月持つことにいたします。

第2段階としましては、私たちの標準品となる商品の、流動している商品に関して、設備の配置の見直しをやります。これは、主にスペアの設備を配置しながら、生産リードタイムを短縮していきます。復旧時間を早くする計画になっています。

第3段階に関しては、流動製品の生産体制の変更となります。第2段階と並行して行いますけれども、ベトナム工場が操業停止となった場合でも、大量生産しているものに関しては、各工場、例えば上海工場であったりという拠点で代替生産できるかたちを拡充するということで、計画していきます。

この1・2・3段階を実施しますけれども、最終的には3ヶ月という在庫を2ヶ月まで圧縮できるかたちを目指していきたいと考えています。

6. 株主還元

続きまして、株主還元に関してです。前期に関しては、配当金は40円から50円に修正しましたが、2022年3月期に関しては、60円の配当を計画しています。今後も安定配当および配当性向30パーセント以上を目指していく計画ではあります。

ただし、先ほど言ったように、BCPでありましたり、メキシコ工場は土地を買ってはいるんですけれども、その事業拡張の計画も必要ですので、そこに充てるかたちも考えています。そのため今回に関しては60円という配当を計画しています。

以上をもちまして、第1部の発表を終わりとさせていただきます。