決算のポイント①
平松正嗣氏:こんにちは、平和堂代表取締役社長執行役員の平松正嗣です。本日は2021年2月期第2四半期決算説明を行います。今回はコロナ禍のため、このようなかたちでの決算説明となりますことをお許しいただきたいと思います。それではさっそくご説明します。
第2四半期上半期の決算総括ですが、連結については減収増益で、減収は2期連続、増益は2期ぶりとなります。単体については増収増益で、営業収益、利益はいずれも過去最高です。増収は2期連続で、2期ぶりの増益となります。
決算のポイント②
28日月曜日に修正発表を行いました。4月発表の当初予想においては、一部コロナ禍の影響を加味して減収減益で公表していましたが、今回の修正においてその後の経過も含めて減収幅の縮小、増益に修正しました。
連結通期の業績予想は、この上半期の業績を踏まえ、4月発表時の減収増益から増収増益に修正しました。基本的には上半期の修正分に加え、当初の下半期の見込みを加算したかたちとなります。
ただし当期純利益については現状、収入不安定化による倹約志向の強まり、景況感の悪化、コロナ渦の第三波等の不透明な状況が続くと予想しており、滞留在庫処理、あるいは特別損失等に備えるため、営業利益・経常利益の伸びよりも低く見込んでいます。
業績予想の修正(連結)9月28日発表
月曜日に発表した修正内容について簡単に確認します。第2四半期累計についてはこのあと詳細をご説明します。通期についてはお伝えしたとおりで、増減率をご覧いただくと営業利益は18.1パーセント、経常利益は18.4パーセントの増益を見込んでいますが、純利益については4.8パーセントで、伸びはやや低く見積もっています。
業績予想の修正(単体)9月28日発表
単体についての修正内容はスライドのとおりです。
連結業績概況 2021年2月期 第2四半期
第2四半期業績の結果をご説明します。連結は減収増益です。減収については、巣ごもり消費により国内小売事業が大幅に伸長しましたが、不振事業や、前期8月のヤナゲン百貨店事業の終了、当期3月の中国4号点AUX店の店舗閉鎖に加え、コロナ禍による中国百貨店事業・国内飲食事業の売上高減少の影響です。増益については、主に単体売上高好調により粗利益高増がグループ全体の経費見直しも含めて増益となっています。
連結業績概況 2021年2月期 四半期単位
四半期ごとの状況です。第1四半期はコロナ禍の活動自粛や休業要請にともない収益は大きく下がり、60パーセント台という厳しい内容です。第2四半期については、衣料の販売、国内飲食業、中国百貨店は比較的まだ動きは出ているものの、自粛の解除や季節の変わり目を含め十分な回復ではありませんが、前第1四半期に比べて回復基調となっており、経費の見直し等を含めて数字が大きく変わっています。
主要会社別業績 営業収益
主要各社の状況をご説明します。平和堂単体については69億900万円の増収となっていますが、平和堂の主食品の製造業であるベストーネが119.6パーセントで、24億7,000万円の増収が大きな要因です。
一方、中国の減収が45億9,400万円、COCO’Sをはじめとするファミリーレストラン事業のファイブスターの減収が20億1,200万円、さらに昨年の8月に終了したヤナゲン百貨店事業の反動で12億9,600万円のマイナスです。こちらは営業収益に対する増減の大きな内容です。次のページから少し詳細をご説明しますが、単体については後ほどお話しします。
主要関連子会社 営業収益への主な影響要因
中国に関しては1月29日から2月28日の約1ヶ月間休業しています。中国の会計年度が1月から12月ですので、休業期間および2月28日以降の再開時点での回復が不十分な流れの中で、大きなマイナス影響を受けています。また、先ほどお伝えしたとおり3月の終わりに4号店が閉店したことが1つの要因になります。
ただし、中国の第2四半期にあたる4月、5月、6月については、3店舗で前年比93.7パーセント回復しています。ベストーネは久御山新食品センターが稼働し、結果として増収になっています。
ファイブスターについては、外食自粛による営業縮小、休業の影響を受け、第1四半期の営業収益は前期比で56.2パーセント、第2四半期はやや回復して72.5パーセントとなっています。ヤナゲンについては先ほどお伝えしたとおり、百貨店事業を撤退した反動で上期はマイナスとなっています。現在は不動産事業と特販事業に専念しています。
主要会社別業績 経常利益
利益的な面ですが、こちらも単体について一番大きな増益要因になりますので後ほどご説明します。中国、ベストーネ、ファイブスター、そして富山フューチャー開発は昨年大きな投資を行いました。また、増床した富山県のショッピングセンターですが、これらの利益面でのマイナスが非常に大きく出ています。
主要関連子会社 経常利益への主な影響要因
影響内容を少しご説明します。中国はお伝えしているとおり営業収益が大きく下がったこと、および為替の影響を踏まえ、利益的には6億2,300万円のマイナスです。ベストーネについては新センターのスタートということで収益的には大きく上がっています。
しかし3月終わりからのスタートでの人繰りということで、例えば主力な戦力と考えていたベトナムからの実習生がコロナ禍によって入国できない状況を含め、当初の計画から人員態勢がかなり変わってしまったことで人件費が増えました。加えて、減価償却費の増で赤字になっています。
ファイブスターについても先ほどお伝えした営業収益のマイナスが影響しています。ただしファイブスターの休業あるいは縮小の中での人員については、グループ内において出向する等、グループ全体で対応した状況です。
富山については大きな投資を行いました。コロナ禍の影響で閉鎖したことを含めて大きなマイナスを受けており、回復についてはその後も引き続き十分な状況にありません。
連結経営指標①
連結の経営指標についてです。4月の発表当初は、昨年大きな投資を行ったことを含めてかなり厳しい利益水準を考えていましたので、利益率は2パーセント前後と考えていました。しかし先ほどご説明した内容を踏まえて、第2四半期の結果として昨年並みの利益水準に回復してきています。
連結経営指標②
総資産については昨年大きな投資を行ったことで増えていますが、上半期はもともと予定していた改装について5月以降は中止し、一方で減価償却が進んでいくことを含めて減少しました。有利子負債については営業キャッシュフローが増える中、改装等含めた投資について縮小した結果として負債が減っています。
連結キャッシュフロー
キャッシュフローの詳細はウォーターフォールチャートをご覧ください。営業キャッシュフローが大きく増え、投資キャッシュフローが減り、結果として財務キャッシュフローで借入れの減というかたちになりました。
連結設備投資状況(第2四半期累計)
設備投資については、先ほどお伝えしたように既存店の改装は5月以降いったん中止したため下期に移行しました。新店はもともと下期に集中していましたので、影響としては改装店舗の延期が大きな部分になります。
会社別コロナ禍関連特別損失処理
今回のコロナ禍で特別損失処理を行ったものについて、トータルで2億1,200万円を連結で処理しています。1つだけ補足しますが、テナント家賃の免除については特損ではなく、通常の営業収入の減として計上しています。
単体業績概況 2021年2月期 第2四半期
単体の内容をご説明します。単体の業績については増収増益で、先ほどお伝えしたように過去最高です。内容的には巣ごもり消費や気候影響による野菜相場の高値も含め、食品、日用品、感染予防商品の販売が好調で、需要減少あるいは需要が消えてしまった衣料品や化粧品等を補ってプラスになっています。
営業総利益は売上高からくる売上総利益と営業収入の合計ですが、売上増による売上総利益が増えた分、テナントの減賃や旅行の低迷による営業収入の減といったものを補った内容になっています。加えて活動自粛等により、経費全般を見直した結果として費用が減っています。その結果、単体の業績として増収増益という数字になっています。
単体業績概況 2021年2月期 四半期単位
単体についても四半期ごとの流れを見ていきます。単体は第1四半期、第2四半期ともに巣ごもり消費での上振れがありましたので、全体としては収益あるいは利益的にも上振れしています。第1四半期と第2四半期の違いをあえてお伝えすると、第1四半期はまさに自粛という中の数字です。第2四半期になると自粛解除で衣料品等を含めて全体の売上が向上し、また経費の見直しがより進んだこともあり収益的にも利益的にも上振れしています。
売上高 増加要因(単体)
増加要因ですが、既存店の食品が非常にわかりやすく伸びて94億9,900万円のプラス、住関が6億8,000万円のプラスとなりました。一方、衣料の42億2,400万円のマイナスが基本的な増加要因の差し引きのベースです。それ以外については若干商品供給が増える等を含めて、このような結果となっています。
商品別売上高(単体)
商品別には、衣料が非常に厳しかったため前期比で71.8パーセントです。一方、食品あるいは住居関連については前期比を大きく超えています。この結果、2020年8月の第2四半期にも食品の構成比率が79.2パーセントに上がっていますが、1年前は76.2パーセントで3パーセント食品の比率が上がっています。こちらについては上期の状況の中で衣料品の構成比が3パーセントほど下がったという内容になります。
売上高 既存店前期比(単体・食品)
食品についてもう少しご説明します。既存店の前期比で折れ線グラフを作成しましたのでご覧ください。平和堂全体の食品は緑色の実線、SM協会の食品は紫色の点線で、3月から8月までの既存店の推移になります。
全体の比較としては、第1四半期はSM協会の食品が上振れしています。一方で、第2四半期はSM協会の数字がかなり大きく下がった中で、平和堂全体としては比較的波が少ない状況です。平和堂の中でもSM中心の店舗といわゆる総合スーパーに分けて見ると、総合スーパーは赤色の実線で、数字としては伸びが鈍くなっています。
こちらは大型店舗に対してお客さまが足を運ばれにくい状況であることや自粛等の期間も含めて、数字としてはやや低めに出ています。ただし、第2四半期かつ自粛が解除されていった中ではしっかりと数字が上がってきています。
一方で、食品中心の青色の実線についてはSM協会の食品よりも大きく上振れしたかたちで推移しています。平和堂の大型店舗に行けなくても、身近な平和堂に足を運んでいただいたということを含めて、この数字が出てきたと考えています。
他社状況 上半期売上既昨比推移
グラフとしては非常に見にくいですが、3月から8月までの食品や衣料品などのさまざまな業態、業種の既昨を並べたものです。平和堂は赤色の太線で示していますが、この3月から8月まで衣食住を含めたトータルの既昨は比較的安定した数字になっています。
一方で、第1四半期は非常に下振れした線があります。こちらは百貨店や自粛中のスポーツ関係の専門店等で大きなマイナスになっています。第2四半期については巣ごもり需要をしっかりと捉えた、いわゆる住居関連の専門店等の跳ね上がりがあります。
平和堂の場合は地域に密着したかたちで衣食住のすべてを担う中、どのような状況でも一定のレベルのお客さまに来ていただける結果となっているところが特徴でもあり、強みがよく見えた内容になっていると理解しています。
既存店の客数・客単価前期比(単体)
既存店の客数・客単価ですが、客数については来店頻度が大きく下がっているため客数も大きく下がっています。一方で、1回の買い物が増えることで客単価が大きく上がっています。平和堂にとって客数が非常に重要な数字ですが、上期は会員を募集する活動自体がなかなか厳しい状況でした。
それでも会員活動を引き続き行う中で、全体の会員数、我々は稼働会員と呼んでいますが、前年に比べると3.7パーセントほど増えています。つまり会員数は増えつつ客数が減っているといった意味では、会員が増えている一方で来店回数は減りますが、客単価は上がったという結果になっています。
地域別売上高既存店前期比(単体)
地域別に見ると、中でもアル・プラザ中心のお店を展開している北陸については食品以外の構成比が高いこともあり、結果として伸びは非常に厳しくなっています。特に富山は71.1パーセントで、富山のファボーレが1ヶ月休業したことを含めて大きな影響を受けています。もう1つ、実は北陸以外で京阪の兵庫県についても94.9パーセントとなっていますが、つかしん、あまがさきというアル・プラザのタイプのショッピングセンター中心のため、休業や時短営業で影響を受けています。
営業利益 増加要因(単体)
営業利益については、売上高増加による粗利の増加、それから粗利の改善でさらに増加しています。もう1つ、今期は在庫評価の方法を変更しています。これによって当初より食品、一般食および住関を中心に粗利は厳しい数字を読んでおり、その分はマイナスとして出ると考えていました。ただし先ほどお伝えした全体的な売上の増、あるいは生鮮における粗利の向上等を含めて、粗利高は全体として上昇したことになります。
営業収入についてはテナント収入あるいは旅行等でマイナスです。人件費については増加とありますが、既存店においては生産性は向上して96パーセント台、単価は102.7パーセントと上昇し、生産効率が上がったことによって人件費もマイナスになっています。人件費が増加した部分は、感謝金の支給と新店の準備になります。そのほか宣伝関係や高熱費の減少を含めて、トータルで22億7,100万円の増益となっています。
商品別粗利益率(単体)
先ほどお伝えした商品別の粗利の中での特徴は、1つは食品、特に生鮮の粗利が前期に比べてプラス0.6パーセントです。こちらは管理ロスが大幅に改善された結果です。一般食についてもプラス0.4パーセント改善していますが、いわゆる定番商品の構成費が増え、特売等の販促が減ったこともあります。また衣料品については非常に厳しかったとお伝えしたとおりで、実際には値下げを行っているため粗利は下がっています。
営業費用分析(単体)
営業費用については先ほどお伝えしたとおり、人件費の内容としては既存店で2.6億円のマイナスになっていますが、特別感謝金および新店でややプラスになりました。経費の光熱費については燃料調達費の低下でマイナスとなっています。
2021年2月期 業績予想
2021年2月期の通期の見込みについてご説明します。下半期は巣ごもり消費は残るものの、景況感悪化による需要の低迷を前提に業績を見込んでいます。単体においては下期に新店3店舗、改装4店舗で、こちらは食品の大規模改装が3店舗、小規模改装が1店舗を予定しています。
また、単体については前年関連会社合併益として16億6,600万円を計上していたため、前期比が低く見えるのはそのような理由です。こちらは連結では消去されています。
2021年2月期 下半期業績予想①
下期の業績予想のポイントです。営業収益について、平和堂単体、丸善、エールといった国内小売業は巣ごもり消費そのものはもちろん残りますが、上期に比べてやや弱まり、さらに景況感悪化の中での倹約志向で増収幅はやや押さえて見ています。
中国について、第3四半期は7月、8月、9月となりますが、3月に閉店した4号店以外の3店舗の数字については現状前年並みという流れになっています。年間を通じては下期は前年並みで、中国は12月まで続くと読んでいます。
ファミリーレストランのファイブスターは上期に大きなマイナスを出していますが、下期も苦戦は続くと考えており、前年に比べて80パーセント程度とやや上振れ方向に動くと見込んでいます。実際に9月単月では80パーセントに達しているため、そのように予想しています。ベストーネについては、引き続きセンターのフル稼働という中で増収となっていくと考えています。
2021年2月期 下半期業績予想②
経常利益です。ポイントとしては国内小売業については先ほどご説明した状況の中で、利益確保の拡大は厳しくなってくると思っています。中国に関しては営業収益的に下期は前年並みと読んでいますので、この内容でいくと下期は増益を見込むことができると考えています。
ファイブスターも厳しい中で経費の削減を進めており、ある一定の成果が出ると読んでいます。富山フューチャー開発は、富山のショッピングセンターファボーレのアル・プラザ富山で昨年の84億円の投資、ベストーネは45億円の投資という大型投資の反動で、下期は増益に転じると考えています。
連結設備投資計画
先ほどお伝えした富山の84億円、久御山の45億円という非常に大きな部分がなくなっていますので、投資全体の数字としては前期に比べるとかなり差があります。
新店予定(単体) 〜3店舗〜
新店ですが、3店舗とお伝えした中の1店舗である「ららぽーと愛知東郷店」は9月14日にオープンしています。そして「フレンドマート米原駅前店」はもともと平和堂のGMS業態のお店でしたが、スクラップアンドビルド、そしてスーパーマーケットとして再スタートを切る予定です。
「平和堂石山」についても、もともと50年前にオープンした多層階のGMSです。こちらもスクラップアンドビルドして、3階建てのニューGMSと言いますか、コミュニティの中心となるようなショッピングセンターを目指したお店として再スタートを切ります。
経営ビジョン
ご説明した数値、あるいは下期の流れのベース、あるいはこれから先というところで、今回のコロナ禍であらためて強く思ったことは、我々は地域のインフラとして、衣食住やそれに関連する商品や供給だけでなく、地域でいろいろな課題が出てくることに対して一緒になって考え、一緒になって地域とともに歩んでいくことがより重要であることを認識しました。
人が外に出られない、密がある等、いろいろなかたちで人とのコミュニケーションが取りにくくなる中で、我々は少しでもそのようなものについて貢献できたらと思った次第です。
地域密着ライフスタイル総合(創造)企業①
地域密着ライフスタイル総合(創造)企業ということで、平和堂として今まで以上に地域生活になくてはならない存在となるため、地域競争、地域の元気に貢献していきたいと考えています。地域が持続的に成長しなければ平和堂の持続成長も厳しくなります。何度もお伝えしていますが、今回のコロナを受けてあらためて平和堂としてしっかりと地域社会の持続的成長に寄り添い、積極的に関わっていきたいと思っています。
地域密着ライフスタイル総合(創造)企業②
そのためにも地域のさまざまな活動だけでなく、平和堂としてのそれぞれの衣食住遊を含めた取り組みについて今まで以上に強化していく必要があります。エリアごとにしっかりとニーズを捉えていきます。今年はエリア別にライフスタイル全体で捉えていく運営方法に変更し、また衣料住関も統合してライフスタイル全体で見渡せるように進めていくかたちに変更しました。
このようなかたちでより地域のことを全体の視点で見て、かつ地域のコミュニティの一角を担っていきます。現在は密を避ける必要もあり、お店に集まってイベントを行う等のいろいろな楽しみを増やすことがなかなか難しい部分もありますが、その中でも小規模で少しずつ行ったり、オンラインを使う等の試みも現在始めています。どのような時代になろうとも、いろいろなかたちで地域に寄り添っていける、そのような平和堂をこれからも全員で進めていきたいと思っています。
地域密着ライフスタイル総合(創造)企業③
食品はすべての基盤でもありますので、食についてはこれからも今まで以上の魅力を発信し、お客さまにごひいきいただける売り場にしていきたいと思います。何度もお伝えしましたが、コロナ禍では人の動きが非常に難しくなるだけではなく、人の心についても「人はいかに人と人とのつながりの中で生活しているか」ということをあらためて強く認識させてくれました。平和堂として60年余の歴史の中で、さらに地域密着を強めていく100年に向け、しっかりと進めていきたいと思っています。決算発表については以上です。