連結業績

三宅香氏:IRを担当している三宅です。本日はお忙しい中ご参加いただき誠にありがとうございます。前回の本決算と同様、Webでの説明会とさせていただきます。

第1四半期は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた3ヶ月となりました。お客さまと従業員の安全を最優先に、地域のライフラインとして食品や生活に必要な品々なニーズに対応しました。

一方で、緊急事態宣言に合わせてショッピングモールを臨時休業するなどした結果、スライドにありますとおり減収減益の決算となり、営業段階で125億円の損失、前期差で402億円の減益となっています。

このように、第1四半期においては営業段階での減収となりましたが、緊急事態宣言が想定より早く解除され、4月を底として売上が回復基調となったことから、見込んでいた水準を上回っての着地となっています。

最初に営業利益の予想を幅で出していますが、第1四半期の結果だけを見れば幅の中の上に位置している状況です。しかしながら、今後についてはまだ余談を許さないと考えており、今後の見通しは後ほどご説明したいと思います。

なお、臨時休業期間中の減価償却費や地代家賃といった固定費などを新型コロナウイルス感染症対応による損失として、298億円の特別損失を計上しています。結果、ボトムラインは539億円の損失となっています。

新型コロナウイルスの影響

ここで新型コロナウイルス感染時期と決算時期の関係について、簡単にご説明します。スライドのオレンジ色の部分が各地における感染のピーク時期を表しており、点線で囲った部分が第1四半期決算に業績を取り込んだ期間となります。

事業やエリアによって取り込み期間が多少ずれていますが、今期への影響が大きくなっています。中国に関しては、一部の会社を除く新型コロナウイルス感染症拡大のピークであった2月を含む1月から3月の業績を、イオン連結の第1四半期として取り込んでいます。

アセアンでは、感染ピークは4月以降で、イオンフィナンシャルサービスの海外上場子会社などの取り込み期間と重なっています。イオンはみなさまご承知のとおり、まさに直撃を受けた期間となります。

セグメント別業績

次にセグメント別の業績となります。増益幅の大きい順に並べていますが、SM事業、ヘルス&ウエルネス事業が増収増益となりました。海外のGMS、SM事業である国際事業はおおむね横ばい、サービス・専門店、ディベロッパー、総合金融、GMSセグメントが減益となっています。

SM事業

ここからは主な事業の状況をご説明します。まずSM事業です。199億円という大幅な増益となっています。3月以降、一斉休校、外出自粛、在宅勤務の増加などにより家庭内での食事の機会が増えた結果、スライドのグラフにありますとおり、売上を大きく伸ばすことができています。なお、6月に入っても売上は前年を大きく超える水準で推移しています。

また、遠出を控えて家の近くでのショートタイムショッピングをする動きが強まったことや、コロナ禍で先行きが不安な面から節約志向が強まったことなどにより、首都圏の小型DSやSMが前年に対して売上を20パーセントから30パーセント伸ばす結果となっています。

ディベロッパー事業

ディベロッパー事業です。スライドのグラフは中国、日本、ベトナムにおけるモール専門店の売上前期比を1月から6月まで月次で並べたものです。

オレンジ色の線は中国です。2月に約半数のモールが臨時休業しています。政府の指示により、シネマやアミューズメント等の一部業種は休業が継続していますが、4月1日に全モールで営業を再開し、回復基調にあります。

ピンク色の線が日本です。緊急事態宣言が全国対象となった4月にすべてのモールを臨時休業していますが、こちらも再開に合わせて回復しています。国内の6月の速報値については、シネマやアミューズメント系、飲食店のテナントはまだ少し慎重な対応を求められている面もありますが、物販専門店は売上が前年を上回るところまで伸びています。

緑色の線がベトナムです。日本とほぼ同様で、隔離措置が緩和された後、専門店売上は比較的順調に回復しており、6月速報ベースは前年の80パーセント台まで戻してきています。

また国内外において、重要な事業パートナーである専門店企業に対し、賃料の一部減免を実施しています。ともに感染対策と事業継続の両立に取り組んでいきたいと考えています。なお、サービス専門店事業についても、シネマやアミューズメントはもとより、専門店も外出自粛や出店先商業施設の臨時休業の影響を受け、減収減益となっています。

GMS事業

GMS事業は、外出自粛にともない、衣料の売上に大きな影響がありました。スライド左側の表がイオンリテールの部門別売上既存比推移を表しています。黒の線が衣料品です。4月は半減し、宣言解除にともない回復基調となり、6月は前年並みに近いところまで戻しています。しかし、在庫処分を進めたこともあり、粗利益率の低下影響は大きくありました。

食品は水色の線です。期間中ずっと前年をクリアしています。しかしながら、スライド右側のグラフにあるとおり、ショッピングモールの各テナントとしてのいわゆるモール型のGMSは、専門店ゾーンの臨時休業で客足が減り、4月は大変苦戦しています。

一方で、単独立地型のいわゆる箱型GMSはそのような影響が少なく、またショートタイムショッピングのニーズを取り込み、SM事業と同様に好調な売上を維持しています。

総合金融事業

総合金融事業の状況です。金融事業を展開する海外各国においては、非常事態宣言などの活動制限が発令され、多くの支店が一時閉鎖を余儀なくされています。それにより営業活動のほか、債権回収活動にも影響が出ています。

また、マレーシアのように中央銀行から返済期限の猶予要請が金融機関に対してあった国もあります。各国の活動制限は徐々に緩和されていますが、将来的の貸倒リスクに備えた結果、貸倒引当金繰入額が増加し、それが総合金融事業の主な減益要因となっています。

国内においては、カードショッピング等の取扱高は減少したものの、販売促進費抑制やWeb明細への切替促進などのコストコントロールで利益は微減に留めています。

なお、国内のカードショッピング等の取扱高は、外出自粛や休業要請の緩和を受けて5月後半から回復基調にあり、5月は食品などの生活必需品に加え、家電・家具の扱いが大きく伸長しています。また、6月実績はまだ確定前ですが、前年を5パーセントほど上回る見込みとなっています。

新しい生活様式のためのイオンの取り組み

ここからは感染対策と経済活動の両立のため、今後の取り組み方針について簡単に触れます。スライド左側は6月4日に新聞掲載した企業広告です。地域のお客さまと一緒になって、新しい生活様式を築いていきたいという思いを伝えました。

そして、感染症拡大防止の具体的な対応として、6月30日に、スライド右側にあるような「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」を公表しました。詳細は当社のWebサイトに掲載されていますので、ぜひご一読いただければ幸いです。イオンの防疫の誓いを4つ掲げており、その4つ目にお客さまのタッチポイントを減らすことを宣言しています。

物理的なタッチポイントを減らす、買い物時間短縮への取り組み

すでにスタートしているいくつかの事例をご紹介します。第1四半期は、ネットスーパーへの需要が大きく増加しています。この期間中の新規登録会員数、売上ともに大きく伸長しました。店舗での滞在時間を減らし、感染リスクを低減させたいというお客さまのニーズに応え、ドライブスルー型の受け取りが可能な店舗を増やしています。5月末時点で39店舗でしたが、現時点では61店舗まで拡大しています。

U.S.M.Hの「Scan&Go」、イオンリテールの「レジゴー」といった、お客さま自身によるセルフスキャン、セルフ決済サービスの拡大にも取り組んでいます。また、非接触型の決済手段である電子マネーについても、マイナポイント事業に参画し、7月から予約申し込みを受け付けています。

イオンリテールでは、イオンカードや電子マネー「WAON」などのキャッシュレス決済の構成費がすでに60パーセント台半ばまでになっていましたが、この第1四半期では70パーセントに近いところまで伸ばすことができています。マイナポイント事業への参画によって、さらにその比率を引き上げることで、お買い物時間の短縮など、お客さまの利便性向上につなげていきます。

戦略的整理・統廃合の推進

この第1四半期は新型コロナウイルス感染拡大への対応に追われた3ヶ月でしたが、この間にも中期経営計画にてお示ししていました戦略的整理・統廃合は進めています。

結婚紹介サービスのツヴァイを4月に売却し、3月にはアクセサリーショップ「クレアーズ」の事業終了、6月には「ザ・ボディショップ」を運営するイオンフォレストの株式売却を決定し、公表しています。2018年のローラ アシュレイジャパンから始まり、今後の成長性を見極めた結果、この3年ほどでこれらの事業からの撤退を決定しています。

一方で、成長領域への展開については、6月からドイツのシグナ・スポーツ・ ユナイテッドとの共同出資会社にてECサービス事業を開始しています。過去数年、今後の成長が見込まれる冷凍食品やオーガニック食品、自然派食品の販売事業の展開、そしてシグナやオカドといったEコマース領域への展開を進めています。今後も成長領域をしっかりと見極めて構造改革を進めていきたいと思います。

2020年度 業績予想

最後に今期の業績予想をご説明します。今回期初に発表しました業績予想は変更しません。日本では緊急事態宣言が解除されたものの、再び新規感染者が増加傾向となり、6月下旬から全国で連日100人を超える新規感染者が報告されるなど、第2波の可能性が否定できません。

本社が事業展開する各国においても、先行して感染を封じ込めた中国では、一部の地域で再び都市封鎖が実施されたり、アセアンのインドネシアなどでは依然として新規感染者数が増加しています。

世界的に感染者は増加し続けており、治療薬が完成、普及するまでの間、貿易と経済活動の両立は簡単ではないと考えています。新型コロナウイルス感染症の第2波の可能性を含め、国内外の今後の感染状況と、それにともなう当社業績への影響については、継続的に検討を進めていきたいと考えています。

イオンの基本理念

依然として先行き不透明な状況ではありますが、イオンは絶えず革新し続ける企業集団として「お客さま第一」を実践し、この難局をグループ一丸となって乗り越えていきたいと考えています。私からのご説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。