2020年3月期実績
石神幸宏氏:石神です。私からは2020年3月期の決算報告および、2021年3月期通期見通しについてご説明します。まず、セグメント別の実績についてご説明します。第3四半期までは、化粧品事業を中心に健闘して好調な業績となっていました。
しかし、1月下旬から新型肺炎の影響による渡航規制の影響等で、インバウンド需要が大きく落ち込んだことに加えて、国内も消費自粛のムードが広がり、商業施設の休業、営業時間の短縮、またセールの中止など幅広い影響を受けて、第4四半期は想定以上に厳しい結果となりました。
ただ、このような中でも化粧品事業は、ファンケル、アテニア、ボウシャすべて増収となり、前期比6.0パーセント増となりました。また、サプリメント事業も前年を上回る実績を残すことができました。営業利益も増収効果による粗利の増加などにより、前期比14.0パーセント増と2桁の増益を達成しました。
4Q売上高(前年比較)
第4四半期の前年比較についてご説明します。第4四半期の売上高は、前期比3.7パーセント減の280億円、営業利益は4.1パーセント減の16億5,000万円となりました。新型肺炎の影響により直営店舗で21億円、流通で1億円の減収となった一方、通販は店舗のお客さまの誘導などによって6億円の増収です。
海外は中国越境EC、さらにボウシャの好調などで5億円の増収となりました。連結全体では減収となったものの、通販が店舗の落ち込みを一部カバーするなど、当社が持っているマルチチャネルで展開するという強みを発揮できたと考えています。5ページ、6ページについては後ほどご覧ください。
業績予想の前提
次に2021年3月期の通期見通しについてご説明します。数字を申し上げる前に、業績予想の前提についてご説明します。新型肺炎の影響については、国内の感染拡大のピークを第1四半期と想定しています。しかし、消費マインドの回復には時間がかかると見ており、直営店舗、流通ともに8月になってようやく前年並みまで回復すると見込んでいます。
また、インバウンドについては、上期は渡航制限により大幅なマイナスを想定しています。10月以降やっと航空機の運航が再開され、訪日客も徐々に戻り始め、第4四半期には正常化すると見込んでいます。
2021年3月期計画
9ページをお開きください。今お伝えしたことを前提としながらも、今期の売上は前年を上回る1,270億円を目指します。営業利益は広告効果を厳しく見極めて、通販のレスポンス広告などを効率化するほか、全社的な経費の削減に努め、前期比2.6パーセント増の145億円を目指します。
みなさまご承知のように、今期は中経最終年度です。従来の数値目標は売上高が1,400億円、営業利益を180億円としていました。新型肺炎の収束時期にもよりますが、その達成も諦めたわけではなく、さまざまな取組みによって少しでも公表計画から上乗せしたいと考えています。
2021年3月期計画(前年比較)
10ページをお開きください。今期のチャネル別の売上計画についてご説明します。新型肺炎の影響で、上期を中心に直営店舗が79億円の減収。流通も3億円の減収を見込んでいます。これを通販と海外でカバーし、前年を上回る売上を目指します。通販は店舗のお客さまの積極的な誘導や、外部通販の強化などによって、79億円の増収を見込んでいます。
さらに海外は、中国での越境ECや中国現地でのサプリメント販売の開始などにより、4億円の増収を計画しています。詳細については後ほどご説明します。それでは次に、島田からご説明します。
逆境をチャンスに
島田和幸氏:島田です。まずはじめに、2020年度計画の考え方についてご説明をします。14ページです。私ら、今まさに「ALL−FANCL,ONE−FANCL」の実力が問われていると考えています。社内には「慌てずよく考える。今年はかっこよくスマートにはできない。変化を捉え即対応する。泥臭くやる」と話をしています。
新型肺炎の広がりを受け、2月以降から週3回、早朝に役員組織長が集まって危機管理委員会を実施し、情報の把握と対応策を実行してきました。従業員の健康を守るのはもちろんのこと、しっかりとお客さまに商品を提供し続けるという強い心構えで、原料資材などの調達や販売面では免疫対策サプリの強化などを即決定し実行してきました。
私は今、あらためてファンケルの強さを実感しています。直営店舗が厳しい中、売上の4割を占める通販が健闘し、マルチチャネルで展開する強みを発揮しています。また、生活必需品であるスキンケアが売上の中心です。さらに消費環境が悪化しても影響を受けにくい、独自性の高いファンケルブランドとアテニアブランドが事業の柱です。
2020年度の計画は、昨年末に1度固めましたが、戦後最大といわれる危機に立ち向かうため、新しい手を打ちます。逆境はチャンスです。今を受け入れ、前向きに対処していきます。そこに未来があります。
通販を戦略チャネルと位置づけ
15ページです。従来どおりのことをがんばるだけでは事業は継続できません。今までとは違う考え方をしなくてはなりません。最も大きく変化させるのは国内のチャネル戦略です。直営店舗は当面稼ぐことができないため、いかに通販で稼ぐかです。この3月から、店舗の休業で商品を買えないお客さまを対象に、通販への誘導を積極的に行なっています。
店舗の会員向けアプリを通じたECサイトへの誘導や、送料無料キャンペーンを展開し、5月の中旬には通販のカタログを送付し、強力なキャンペーンを展開します。単に売上を下支えするというだけでなく、通販を体験していただく絶好の機会とし、相互利用のお客さまを増やしていきます。
新たなチャレンジ
16ページです。化粧品、健康食品ともに当初の計画にはなかった新しいことにチャレンジします。国内では、化粧品は百貨店、専門店、ドラッグストアなど小売直営のECサイトへの卸販売の開始や、大手ドラッグストア、コンビニ向けの専用品、PBを積極的に展開します。また、コロナ対策商品として、抗菌、保湿のハンドローションやハンドソープ、ファンケルの研究技術を応用した肌の潤いを改善するマスクなどをスピーディーに開発します。
健康食品は、生活習慣対策サプリを強化することに加え、免疫や疲れ対策のサプリ、新たなインバウンド事業の掘り起こしにつながる製品をスピード感を持って開発し、下期に積極展開を図ります。海外は、中国でのEC展開を強化します。化粧品はアテニアの越境ECをさらに強化するとともに、ファンケルも自社で越境ECを通じ、「AND MIRAI」を展開します。
また、ファンケルブランドは中国の店舗のお客さまを対象に、ECへのテスト販売を開始します。健康食品は中国の越境ECで初めて、「ビューティーサプリ」を販売するほか、同じく中国のECテレビショッピングで青汁を販売する計画です。
FANCL ブランドの多角化
まず、化粧品事業についてご説明します。18ページです。ファンケルは海外を含め、多様化するお客さまニーズに応えるため、ブランドの多角化を推進しています。今期は創業40周年を迎え、大型の新製品の販売や「AND MIRAI」のブランド刷新、プレステージブランドの発売など、さまざまな取り組みを行ないます。
FANCL 「The FANCL」
「The FANCL」は、基礎スキンケアで継続性の高いお客さまを育成するとともに、今期は洗顔、スペシャルケア、日焼け止めを強化します。ディープクリア洗顔パウダーは大変好調で、商品供給が追い付かない状況でしたが、4月に生産能力を3倍に拡大をしています。今期はWebを中心に新たなスター製品として育成します。
4月に、ピュアモイスト泡洗顔料を発売しました。パウダー外形が苦手な方をターゲットに国内のみならず、インバウンドのお客さまの獲得を目指します。新技術により、泡洗顔にありがちな泡のへたりがなく、抜群の泡持ちを実現しています。他社製品からのブランドスイッチを目指します。
今年秋、創業40周年を象徴する美容液を発売します。ファンケルの無添加の研究力を結集した、新発想のエイジングケア美容液として育成をしていきます。日焼け止めのサンガードはインバウンドで人気です。化粧品のインバウンド売上では、マイルドクレンジングオイルに次ぐ2位となっています。
サンガードは、紫外線吸収剤を使用せず、肌への負担がない紫外線散乱剤を使用しており、中国では敏感肌や妊婦の方でも使える代表的なブランドとなっています。情報発信を強化し、さらに拡大を目指します。
FANCL 「Neo FANCL」/「Prestige」
20ページです。「ビューティブーケ」は好調な新規獲得と定期のお客さまの着実な増加により、前期の売上高はプラス37パーセントとなりました。今期はスキンケア商品に加え、2月に発売をした育毛剤、発酵和漢ヘアエッセンスも強化し、定期購入のお客さま拡大を図ります。
「AND MIRAI」は、4月にブランド製品を全面刷新しました。ストレスによる、肌荒れで悩む国内外の女性をターゲットに製品の機能強化と、上質なデザインに刷新をしました。化粧水、ジェルクリーム、日焼け止めを戦略商材に訴求を強化します。
「Prestige」ブランドは、今期末の発売に向け、開発を行なっています。高機能、即効性を求める方にプレミアム感のあるパーソナルケアを提供します。大都市の百貨店を情報発信の起点とし、話題醸成を図り、日中同時発売を目指します。
FANCL ファンケル化粧品 海外事業
21ページです。ファンケル化粧品の海外です。中国は新型肺炎の影響で、1、2月の店頭売上は大きく落ち込んだものの、3月中旬以降、店舗への来店者数の回復、セールの実施などにより、足元での売上は回復傾向にあります。そのため、店舗のみで事業展開するリスクを考慮し、来期四半期中に香港、中国の店舗の会員のお客さまを対象に、ECによるテスト販売を開始する予定です。
スマホアプリ「アイファンケル」で売上上位20アイテムを販売します。また、内外価格差の是正に向けたテストは新型肺炎の影響で開始時期が遅れていますが、上期中には実施をする予定です。このほか、新しい取り組みとしてファンケル独自に越境ECで「AND MIRAI」を発売し、既存のファンケルブランドとは異なる、新しいお客さま層を獲得していきます。
Attenir 国内外での成長を目指す
22ページ、アテニアです。アテニアは前期、3期連続で過去最高売上を更新しましたが、認知度はまだ低く国内外ともに大きな成長余地があります。今期は基礎スキンケアで新規のお客さまを獲得するとともに、新しいコンセプトの美容液の発売や、美容クリームのリニューアルによりスキンケアとのクロスセルを強化します。
また、化粧品に加え、美容サプリメントやコレクションを含めた提案を行ない、一流ブランドの品質を3分の1の価格で提供する、アテニアブランドのファンを増やしていきます。チャネル面では、お客さま接点拡大のため、ファンの拡大に取り組みます。直営店舗は、大都市の百貨店を中心に出店を予定しています。
また、昨年から開始した外部通販は、アマゾン、ロハコに続く新たなECモールに出店をする計画です。越境ECは、KOLを活用した情報発信にも引き続き取り組みます。年間では9億円の売上を目指します。
boscia 大手ドラッグストアへの導入
23ページ、ボウシャです。前期は米国SEPHORAの不振により苦戦が続いていましたが、ULTA、アマゾン、Costcoなどの新規導入先の売上が好調で7.5パーセントの増収でした。一方今期は3月中旬から新型肺炎の影響により、米国、欧州で専門店や百貨店などが大きな影響を受けています。
そこで今期は、新型肺炎後も好調なCostco、アマゾンでの販売を強化することに加え、今年の秋を目処に大手ドラッグストアにも展開する計画です。ボウシャは、クリーンビューティブランドとして認知され、専門店やドラッグストアなどのチェーンから強い引き合いがあり、新たに導入するドラッグストアでも、プレステージ化粧品コーナーで展開をする予定です。
また、製品面では、ボウシャ不変のテーマである、世の中のニーズに即応したイノベーティブな新製品を相次ぎ投入していきます。
健康食品事業の方向性
次に、健康食品事業についてご説明します。25ページです。健康食品事業は3つの方向性で成長させます。1つ目は中心である既存事業においては機能性表示食品制度を活用したスター製品の育成、2つ目はサプリメントの将来のユーザーを獲得すべく、大手食品メーカーとのコラボによる飲料食品形態での商品展開、3つ目は三角形の頂点である個別化対応で、一人ひとりの健康ニーズに応えるパーソナルサプリメントの展開です。
既存サプリメント事業
26ページです。既存サプリメント事業は、生活習慣対策カテゴリーを成長カテゴリーと位置づけ、スター製品のリニューアルで売上拡大を目指します。生活習慣病予防市場は、市場規模が約3,500億円。この10年で2倍の規模に成長しています。今期は内脂サポート、尿酸サポートの強化に加え、市場規模が大きい血圧サポートを新たに戦略商材と位置づけ、積極的なプロモーションを展開します。
また、単品での新規獲得にとどまらず、生活習慣対策サプリメントを相互的に提案しクロスセルを図り、機能性表示食品ナンバーワンの維持拡大に努めます。3月の「カロリミット」に続き今期は複数のスター製品のリニューアルも予定しています。7月には「年代別サプリメント」、下期以降も複数リニューアルを行ない、売り上げ拡大を目指します。
今年秋以降には、キリンの独自素材である免疫対策のプラズマ乳酸菌にファンケル独自の処方、機能を付加したサプリメントをファンケルブランドで発売する予定です。これらの新製品はニーズが高く、事業成長に寄与すると期待をしています。
「パーソナルワン」、「BtoBビジネス」
27ページです。2月に発売した、「パーソナルワン」は好調なスタートを切っています。初動の段階ですが、お客さまの2割がファンケルで初めて購入されるお客さまあるいは、長くサプリメントの購入がなかったお客さまです。残り8割の方も、ヘビーユーザーだけでなくライトユーザーも多く、新しいお客さま層の開拓につながっています。
また、年代も40代から50代が約6割を占め、想定より10歳程度若い方で幅広い年代層に興味を持っていただいています。さらに、購入単価も通常の通販の約2倍にあたる1万円弱に達し、アップセルにもつながっています。今後生産体制を増強し、ネットを中心に展開をします。2016年からスタートした、BtoBビジネスは順調に拡大しています。今期は10億円規模の事業に成長する見込みです。
2月には、永谷園と初のコラボ、「大人のカロリミットみそ汁カップ」を、続く3月には、スティックタイプドリンクのネスレ、「ケール&フルーツ」を発売しました。さらに、6月にはダイドーとのコラボ、「大人のカロリミット烏龍茶プラス」を発売する予定です。今後も商品ラインナップの拡大と、新たな企業との取り組みを予定をしています。
さらに今年秋以降に、キリンビバレッジ、キリンビールとコラボした飲料やノンアルコール飲料を順次、合計4品目発売する予定です。
中国サプリメント事業
28ページです。中国のサプリメント事業についてご説明します。現在越境ECは、T-mall、JD、Kaolaなど5つのプラットフォームに出店をしていますが、今期はさらに出店先を増やし面を拡大します。また、年代別サプリメントに続く第2、第3の柱として内脂サポート、尿酸サポート、カロリミットや青汁を育成していきます。
さらに、越境ECで初めてビューティサプリメントを発売する計画で、最高峰美容サプリ「ビューティライズ」の発売を開始をします。今期はいよいよ、ビタミン、ミネラルの販売許認可を取得し、中国現地で保健食品として販売を開始します。11月の第3回中国国際輸入博覧会でお披露目をしたあと、ECを中心に体験型ショップや免税店で展開をするほか、将来的には国薬グループの幅広いチャネルに展開をしていく方針です。
通信販売
次に国内のチャネル戦略についてご説明します。30ページです。まず、国内通信販売です。先にご説明しましたが、現在直営店舗は多くが休業中のため、通販チャネルを積極活用し、マルチチャネルの強みを発揮していきます。自社通販、外部通販ともに成長基盤の強化に取り組んでいきます。自社通販は、継続性の高いお客さまの育成を強化していきます。
化粧品では、基礎スキンケアのお客さま数の最大化を図るとともに、通販でも定期的に肌診断を行なう独自サービスを開発し、お客さまの継続性向上に取り組みます。健康食品は、定期購入サービスを中心としたモデルにシフトをします。1月からファンケル定期便として、サービスの拡充とWebから簡単に申込ができるよう利便性を向上させた結果、Web経由の定期の申込件数は約3倍に増加しています。
今後も定期登録促進キャンペーンを実施し、定期比率をさらに高め、安定した売上基盤をつくります。一方、外部通販では、楽天、アマゾン、ヤフーなどの売上が大きく伸長しており、前期はプラス71パーセントとなりました。今期はモール内の広告や販促などをさらに強化することに加え、新たに3大モール以外の総合モールやコスメ特化モールで販売を行ない、新しいお客さまとの接点拡大を図ります。
国薬国際による全面サポートで「マスク」を販売
31ページです。ファンケルは日本のマスク不足解消のため、マスク不足が解消されるまでネット通販を中心にマスクの販売を行なうことにしました。中国の健康食品の代理店である国薬国際の全面的なサポートにより、ファンケルは中国産の高機能マスクを調達し、5月12日から販売を開始します。
国薬とは、強い信頼関係を築いており、今年2月には当社からマスクや防護服など多くの支援物資を提供し、大変感謝いただいた一方、3月には日本でマスク不足が発生したため、今度は当社をご支援いただきました。現在深刻なマスク不足で、お客さまが買いたくても買えないという大変な不安や不便が生じています。
今回のマスクの販売は、ファンケルの創業理念「正義感を持って世の中の『不』を解消しよう」に通じるものであり、社会的な意義は大きいと考えています。今回お客さまへの販売とともに医療関係者や保育士の方々にマスクを寄贈します。なお、マスクの販売はあくまでも今期限りの取り組みであることや、新型肺炎の影響が想定よりも長期化した場合の施策対策と位置づけており、業績予想には含めていません。
直営店舗
32ページです。直営店舗は現在ほぼすべての店舗が休業していますが、その間全スタッフの雇用を継続するとともに、Webを使って商品知識の向上や、語学トレーニングなどで接客スキルの向上に努めています。直営店舗は今期も19店舗の出店を計画しています。
大型百貨店の本店クラスや、地域一番店への出店を計画しているほか、新たにアウトレットモールへの出店の足掛かりとして、期間限定でポップアップショップを展開します。銀座スクエアは4月末に改装オープンする予定でしたが、時期を遅らせ今年夏を目処にグランドオープンします。
「美も、健康も、新しい体験。」をメッセージにして、ファンケルグループの基幹店として新たにアテニアショップの出店やボウシャ製品の展示を行ない、世界に向けた情報発信基地として活用をしていきます。2019年から、「二本の柱」と位置づけ各店舗で化粧品、健康食品の強化アイテムを選定し、商品の育成に取り組んできました。
前期の強化アイテムの売上は、化粧品が1.6倍、健康食品が1.9倍伸長しました。今期はさらに進化させ、四半期ごとに強化アイテムを選定し、全社一丸となって取り組む販売グランプリを実施して、商品育成の支点をさらに強化をしていきます。
流通
33ページ、流通チャネルです。流通チャネルは環境変化に即応し、新しいことにチャレンジします。化粧品はネットで購入したいというお客さまニーズの変化に対応するため、第1四半期中にドラッグストアなどの小売直営のECサイトで化粧品の販売を開始します。
また、これまで専用品はサプリメントが中心でしたが、今後、化粧品もコンビニ、ドラッグストア向けの専用品やPBを相次ぎ発売します。第1段としてこの3月にはグループのOEM会社のニコスタービューテックから、ローソン初のPB化粧品、「ナチュラルローソンスキンケア」シリーズを発売しました。新たなお客さま層の開拓につなげていきます。
サプリメントは、前期最強の2段、3段を新たに展開し、計画を上回る店舗に導入をいただきました。今期は運動不足などにより、健康への不安が高まっている昨今の状況を受け、生活習慣対策の健康数値サポートシリーズを2段目に配置し、訴求力を高めていきます。
シナジー進捗状況
次に、キリンホールディングスとのシナジーの進捗状況をご説明します。35ページです。2024年にファンケル単独のシナジー効果として、売上高約130億円、営業利益約20億円を目指しています。今期はチャネル間のシナジーが中心となるため、シナジー効果としては売上高10億円程度を見込んでおり、本格的なシナジー寄与は来期以降と考えています。
商品開発シナジーは、既にご説明しているため、こちらのスライドではチャネル、インフラシナジーについてご説明をします。3月から協和発酵バイオとファンケルの通販チャネルの相互送客を開始しました。協和発酵バイオのお客さまは60代以上の男性が多いため、ライフサポートなどの生活習慣対策サプリメントなどをご案内をしています。
また、4月からファンケルの通販で「野菜と果実のスムージー」やプラズマ乳酸菌を配合したサプリメント「iMUSE」などの販売を開始しました。今後さまざまな分野での競合が具体化する予定であり、適時ご報告をします。
投資計画
次に投資計画です。37ページです。化粧品は20年ぶりに工場を新設し、今年3月からマイルドクレンジングオイルの専用工場が稼働しました。これまで3工場で行なっていた生産を専用工場に集約することで、生産コストを低減するとともに、既存工場に出る余力分で他製品の生産能力を向上させます。
これらにより、現在のファンケルグループの化粧品事業の1.3から1.4倍の売上増に対応できる見込みです。また、これまで3工場全体で1日35人が関わっていましたが、新工場では8人で済むようになり、8割効率化が実現しました。サプリメントは静岡県の三島市に土地、建物を取得しました。
来年3月の稼働を目指し、改修工事に着手をします。これにより、生産能力は現状の最大3から3.5倍に拡大する見込みです。物流センターは大阪府の門真市に、来年6月に新設する予定です。こちらも計画どおりに進捗をしています。
従業員支援・社会貢献
39ページをお開きください。ファンケルではこのような状況の中で、前向きに頑張っている従業員にさまざまな支援を行なっています。受注が増加している通販の電話窓口のスタッフに対しては、月額およそ1万5,000円の特別慰労手当を支給します。
また、直営店舗では全国の休業中の店舗スタッフ約1,800名に対し、自宅での学習を促すとともに、政府の雇用調整助成金制度なども活用して、100パーセントの休業補償を行ないます。さらに、在宅勤務を行なっている約2,500名に対しては、光熱費、通信費などを補助します。
また、社外に対しては、心よりの敬意と感謝を込めて、日本看護協会を通じ、全国の看護職の方々にマイルドクレンジングオイルを2万本。厚労省の新型コロナウイルス対策本部を通じ、全国の医療機関にN95仕様のマスクを1万枚。日本保育協会を通じ、全国の保育士の方々に不織布マスク10万枚を寄贈します。
また、お客さまからは製品の購入時に付与されるポイントを寄付として募り、医療機関等へのマスクを寄付する取り組みも行ないます。今後も、従業員の安全確保とともに、ファンケルが社会に貢献できることを愚直に取り組んでいきます。最後です。ファンケルは4月に創業40周年を迎えました。
これまで40年間、商品を通じてお客さまの「不」を解消し続けてきました。お客さまと正面から向き合い、寄り添い続けることで、お客さまの悩みを解消し共感を得てきました。だからこそ世の中に必要とされ、40年間変わらずビジネスを継続できています。このファンケルの強さをもっと磨いていきます。
新型肺炎はいずれ収束します。今の危機に立ち向かうことは大切ですが、むしろポストコロナの方が長く、私たちは世の中の大きな変化に対応していく必要があります。攻めの姿勢を崩さず、自らが変わらないと生き残れないという意識を強く持って経営にあたります。
昨年は当社にとって、パラダイムシフトの年でした。大株主がキリンホールディングスに変わり、12月には池森が取締役を退任し、ファンケルは独り立ちをしました。つまり、300万人超のお客さまの期待に応え、7万人超の株主様の期待に応え、大株主であるキリンの期待に応える、そのような責任があります。また、当社に求められるガバナンス体制も変わってきています。
今年の株主総会では、より充実した体制に移行する方向で検討しています。女性役員の登用や、指名報酬委員会の客観性および透明性の向上にも対処をしていきます。逆境はチャンスです。私たちが自ら考え、変えていくことが未来につながります。2020年度、思い定め志高く未来へつなげていきます。
ファンケルはこれからも多くのお客さま、株主様、市場の期待に応え続けていきます。引き続きご支援のほどよろしくお願いします。長くなりましたが、ありがとうございました。