業績総括
三井俊治:本日の内容はご覧のとおりです。最初に、第3四半期の概況を私よりご説明いたします。2つ目に、重点施策等につきまして代表取締役の竹田よりご説明いたします。
本日の説明会につきましても主に総括のページを中心にご説明いただきます。詳細は各ページをご覧いただきますよう、お願い申し上げます。
スライドの4ページをご覧ください。業績の総括です。まず連結のPLにつきましては、売上高が前年同期比101.1パーセントの1,190億円。経常利益は91.8パーセントの89億円の増収減益となりました。こちらは暖冬の影響や大型台風の影響、消費増税の反動減などの影響により減益となっております。
連結売上総利益率実績
売上総利益率につきましては、前年同期差マイナス0.1ポイントの52.6パーセントとなりました。暖冬に伴う秋冬商品の値引き販売の拡大などが主な要因です。
販管費率については前年同期差プラス0.5ポイントの45.2パーセントです。ネット通販関連で自社ECを止めた期間にさまざまな獲得策を行ったり、自社EC再開後は販促キャンペーンを行ったため宣伝販促費が発生したことや、実店舗の売り上げが弱含んでいるため相対的に人件費率が上がっていることなどが主な要因でございます。
今後活用の見込めないソフトウェアの現存損失を特別損失に計上しており、当期純利益は前年同期比81.1パーセントの46億円となっています。
単体の売上高につきましては既存店の売上高前期比は101パーセント、小売りが95.7パーセントと弱含んでいますが、ネット通販が119.4パーセントと引き続き強い伸びとなりました。チャネル別構成比では、ネット通販が前年同期から1.9ポイント伸長しており、20.9パーセントとなっております。
棚卸資産については前年同期末比107.8パーセントです。今期の売上高の伸びである101.1パーセントを上回る結果となりました。こちらは、主に今期の秋冬商品の増加が主な要因で、第3四半期末から第4四半期にかけて消化促進を進めているところでございます。
グループ合計出退店実績、通期見込み
グループ合計・第3四半期累計の出退店実績は、出店が19、退店が13となりました。第3四半期末の店舗数は364店舗です。通期の見込みについては、出店が27、退店が25となります。期末店舗数見込みが360と、前回のご説明よりも若干少なくなっています。
株式会社フィーゴにつきましては、ブランドホルダーとの協議により、2020年1月末をもってアスぺジブランドの取り扱いを終了しています。そのこともこの出退店に若干影響しております。
グループ合計出退店実績、通期見込み
続きまして、グループ会社の進捗です。株式会社フィーゴについては減収増益となっています。一部店舗で閉店があったり卸売が弱かったこともあり減収となりましたが、粗利率の改善で増益となりました。株式会社コーエンは、売上高はほぼフラットの増収減益となりました。こちらも単体と同じく、値引きの拡大等により減益となっています。
クロムハーツJPは増収増益です。新商品の発売などが奏功し、良好に推移しています。
通期業績予想修正について
通期の計画を修正しています。ご説明しますのでスライド17ページをご覧ください。
第3四半期の売上苦戦などを要因に、通期の業績予想を修正しました。売上高は当初計画比98.2パーセントの1,612億円、経常利益は同じく90.8パーセントの109億円を見込んでいます。
売上総利益率は51.4パーセント程度、販管費率は44.6パーセント程度と見ています。第3四半期に自社EC関連ソフトウェアの現存損失を5億円計上しています。また、第4四半期に店舗の減損が増加する可能性も含め当期純利益を試算しており、当期純利益につきましては当初計画比79.1パーセントの53億円となる見込みです。
第3四半期から売上は非常に苦戦していますが、いろいろなマイナス要素が出た10月が一番厳しく、その後徐々に改善傾向にあります。次のページでご説明いたします。
参考:10月〜1月の売上高、売上総利益計画差(UA単体)
18ページをご覧ください。こちらが、株式会社ユナイテッドアローズ単体の売上高・売上総利益の当初計画差を示したグラフです。ご覧のように10月が最も苦戦しており、その後、マイナス幅が徐々に少なくなってきています。
月別の動向をご説明すると、10月は売上の計画差がマイナス16億円です。これは暖冬の影響です。それから大型台風によってかなり多くの店舗で1日から1日半ほど営業停止が発生しています。それから消費増税の反動減、9月中旬からの自社ECの停止などが重なり、かなり苦戦しました。
11月につきましては、マイナス6億円です。暖冬の影響や自社EC停止の影響は継続していますが、増税の反動減が徐々に落ち着き始めています。
12月はマイナス5億円です。11月末から自社ECサイトを再稼働したことで、ネット通販・実店舗が徐々に改善しております。
在庫が非常に多かったということもあり、12月は消化促進活動を積極的に行いました。1月についてはマイナス1億円です。本格的なセールス期に入って、引き続き消化を促進しております。セール策を少し前倒ししたり、値引き率を若干昨年よりも高めにしたりといった策をとり、在庫消化を図っているところです。
1月後半からはグリーンレーベルを中心に、マザーニーズなどの梅春物、春物商品の動きも一部出始めています。以上で私からのご説明を終了します。続きまして竹田より、今期の重点施策の取り組みの進捗等についてご説明します。
第3四半期の売上苦戦要因とその対策について
竹田:改めまして、竹田でございます。本日はご多忙のところ、弊社の説明会にご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
私からは3点ほど説明します。まず1つ目としては、第3四半期の売上苦戦要因とその対策について。2つ目は自社ECサイトの開発状況ならびに特別損失の計上に関して。そして3つ目には、2020年3月期の全社推進項目の進捗状況についてご説明したいと思います。
それではまず最初の1つ目です。第3四半期の売上苦戦要因とその対策についてです。正面ならびにお手元のスライドに記載のとおり、第2四半期までは好調だったものの、第3四半期になって売上動向が鈍くなっています。この要因は大きく3つあると捉えており、その対策をうっている状況です。
まず1つ目ですが、消費増税後の慎重な購買行動です。10月の消費増税以降、お客様の消費行動はますます慎重になり、いま現在必要なものを十分に見極められた上で買われる傾向がより強まっていると認識しています。
従いまして、当社においては、現在の商品群の中で一部、価格と価値のバランスが崩れたものも見られたため、2020年春夏商品からは、従来以上に慎重な価格設定を行うことにより、お客様の消費行動の低速感を緩和していきたいと思っております。
2つ目は、高気温によります、冬物衣料の苦戦であります。暖冬の影響によりまして、アウター・ニットおよび冬小物などの動きが鈍くなっております。今後につきましては、暖冬を異常気象と捉えるのではなくて、この気温推移が標準的な冬であるという考え方に改めてまいります。
年間を見ますと、春と秋が短く、冬も気温が下がりにくいということを大前提に、どういう商品構成を行っていくのか検討を進めておりまして、来期、特に秋冬から徐々にその効果を出していきたいと思っております。
3つ目は、自社ECサイトの停止による実店舗へのマイナス影響です。自社ECサイトの自社運営化に向けた開発を進めていたものの、開発の遅延によりまして、約2ヶ月半、自社ECサイトを停止させました。
ネット通販売上については他サイトへの誘導や積極的な販促施策を行うことである程度カバーできましたが、想像以上に実店舗の売上に影響が出ています。現在のお客様は、事前にネットで商品をご覧になり、ある程度欲しい商品を見極められた上でご来店される傾向があります。
そうしたなか、自社ECサイトというご来店いただく最初のきっかけを失ったことにより、訴求力が低下し、実店舗のマイナスに繋がったと見ています。スライドに記載のとおり、サイト運営再開以降、小売既存店売上高の前年比は良化傾向にございます。
今後も実店舗とネットを連動させた施策を進めることにより、実店舗動向を回復させていきたいと思っています。また、先ほどの三井の説明のとおり、10月を底に全社の販売動向は徐々に改善してきています。いま申し上げましたような取り組みを通じ、春夏シーズンからはさらに良化させていく考えです。
自社ECサイトの開発、特別損失の計上について
21ページをご覧ください。2つ目に、自社ECサイトの開発状況ならびに特別損失の計上についてご説明します。開発中のソフトウェア約12億円について現在内容の精査を進めています。その内、今後の利用が見込めなくなった約5億円分の減損処理を第3四半期に行いました。
引き続き精査を行っており、今後も追加で特別損失が発生する可能性があります。可能な限り今期中に見極める予定で、業績に大きな影響を与える水準となった場合には、速やかに開示します。今回の開発遅延の要因と責任の所在を明確にするとともに、再発防止に向けて現在内部監査室を中心に社内調査を行っています。
その状況について取締役会でほぼ毎月中間報告を受けています。今期末までに調査結果報告と再発防止策を取締役会にはかり、その結果に基づき、代表取締役である私と関係役員で然るべき責任を取ります。自社ECの自社運営化とオムニチャネルサービスの実施に向けた取り組みは継続しています。
最終的に、どのタイミングで自社運営に切り替えられるのか。また、その場合の追加コストの見込みなどにつきましては、まだ今現在では固まっていないためお話はできませんが、引き続き、必ず実行させる方針です。
2020/3期 全社推進項目の進捗について
22ページをご覧ください。最後に、2020年3月期全社推進項目『5つの価値創造の推進による社会的な課題への対応』についての進捗をご説明します。
皆様もご周知のとおり、世界的なレベルで企業に対して持続可能な開発目標の達成に向けた施策が求められるなか、当社においても具体的な取り組みや積極的な情報開示に向けた準備を進めるべく、今期初にサスティナビリティ推進プロジェクトを発足しました。
現在、持続可能な社会実現に向けた重点テーマの設定まで進めており、本日はこれまでの経緯についてご説明します。社内での社会課題の認識を共通にするため、グローバルで掲げられている持続可能な開発目標やファッション業界独自の指針や目標、また、他社事例などをもとに、当社が取り組むべきサスティナビリティ重要課題を社内で28項目抽出しました。
28項目の優先順位を決めるため、役職者を中心にステークホルダー視点と、ならびに当社の自動活動視点から重要度の高いものを選択するアンケートを実施しました。
その社内アンケートの結果に、外部有識者や社外取締役などの意見を織り込み、優先順位に客観性を持たせています。この結果を踏まえ、取締役会で討議を重ね、当社が取り組むべき重点テーマを「サプライチェーン」「資源」「コミュニティ」「人材」「ガバナンス」の5つに設定しました。
テーマ設定までのプロセスに加え、社内セミナーの実施や、社内報のプロジェクト進捗報告などの啓発活動を通じ、サスティナビリティについて社内理解の深まりを感じています。一部の事業においては商品調達方針のひとつにサスティナビリティ関連の項目が設けられるなど、意識の変化がすでに見え始めています。
各重点テーマごとの活動項目の設定、具体的な企画内容、目標等の詳細については、次期中期経営計画の中で発表する予定です。
最後に、第3四半期の苦戦などを要因に残念ながら当初計画を下方修正することになってしまいましたが、先程のご説明のとおり、改善の芽は出始めていると認識しております。
しかしながら、昨今の新たなるウイルスの感染に応じてまだ読めない状況も我々を取り巻く環境の中で発生していますので、引き締めて対応を継続していきたいと思います。引き続き、ご指導ご鞭撻、そしてご支援をいただけますと幸いです。ご清聴ありがとうございました。