2020年1月期第2四半期決算説明会
清水祐孝氏:代表取締役社長兼会長CEOの清水と申します。本日はお忙しいなか、多数お集まりいただきまして、ありがとうございます。今日は、こうして多くの方の前で喋るのが2回目です。15時までは水戸の証券会社さまで終活のセミナーを行っていました。
終活とは「終わりの活動」のことですが、(会場にいる方と)同じぐらいの数の人を前に喋っておりました。
終活セミナーは、主に大手証券会社さまの店舗などで、だいたい年間で40~50回ぐらい実施します。極力、私がお伺いして、地方などにも行くのですが、証券会社さまのお客さまには、割とシニアの方が多くいらっしゃって、お金のこと、お墓のこと、身体や介護のこと(について考えている方が多く)、いわゆる終活に興味を持たれているお客さまの層に向けたセミナーを開催させていただいております。
そのときに、最初の20分ぐらいはいつも会社の話をさせていただきます。目的は2つありまして、1つはこの終活について勉強いただいて、できれば我々のサービスを利用していただけるといいなという思いがあります。それから、会社のことを知っていただけるといいなと思っています。
今日は専門家のみなさまに向けて15時半に発表させていただいた第2四半期決算について、説明させていただきたいと思います。
2020年1月期 上期ハイライト
最初は決算概要です。上期は売上高が14億5,800万円、前年同期比で35.7パーセント増。営業利益が同様に3億1,700万円、25.7パーセント増になりました。
スライドの下にトピックスを書かせていただきましたが、1つ目としておおむね既存事業が安定的に、好調に推移しており、過去最高の売上高を更新しました。
2つ目として、新しい取り組みである「いい相続」というサービスを今期からスタートしました。これについても後ほど触れますが、予定を大幅に上回るかたちで推移しております。
3つ目は、これまで我々ができていなかったことなのですが、1人のお客さまに何回かに渡って購買いただくということです。よく「ライフタイムバリュー」などと言いますが、1人のお客さまにさまざまなサービスをご利用いただくクロスセルを行う段階にきました。
お葬式・お墓でそれぞれの事業部があるのですが、恥ずかしい話で、従来は管理画面がすべてバラバラで、各事業部がその事業部のお客さまを集めて、そのお客さまにサービスを利用していただくことにのみ注力しておりました。
ところが、お葬式(のサービス)を買われた方は一定の比率でお墓を買い、仏壇を買う、またそのあとに相続についても考えなければならないということで、本来であればクロスセルができるはずでした。
しかし、そこまで手が回らなかったと言いますか、そこまで経営資源を投入できずにおりました。そしてようやく、今月に第一弾として、お葬式の事業部にSalesforceを導入しました。それから、それぞれの事業部に順次導入して、クロスセルをしっかり展開していこうというところが、今期のご報告事項の1つです。
また、人事制度を変えました。どんなビジネスを展開するか、どうやって優秀な人間を採用するか、よい組織を作るかということですが、ビジネスモデルよりもよい人を集めて、よい組織を作ることが優先だと申しております。そのような趣旨のなか、もっともっと自由と自己責任を徹底していけるような組織にしようということで、新たな取り組みを行っております。
以上がトピックです。
2020年1月期 上期 決算概要
続きまして、5ページ目です。主な経営指標になります。
売上の内訳
こちらも毎回同様の指標ですので、ご覧いただいている方は慣れているかと思いますが、今はWEB事業が中心です。祖業は出版ですが、このスライドのような比率でWEB事業が伸びました。
売上の内訳 四半期推移①
前年同期比の数字となっております。
WEBサービスの内訳
事業ごとの数字は、このグラフのようなかたちになっております。前年の上半期と比較した売上の伸び高は、仏壇が32パーセント、葬祭が27パーセント、お墓が33パーセントとなっております。
売上の内訳 四半期推移②
第2四半期の売上高の比率については、順調に成長させていただいております。
LE事業1部(お墓事業)の状況
今期に入って、細かな数字は割愛していた部分があるのですが、ご要望がありましたので、掲載させていただきました。
トレンドは大きく変わりませんが、我々の事業のなかで割合が一番大きいお墓事業の成約率がとくに伸びています。
貸借対照表
13ページはバランスシートです。大きく変わったところとして、固定資産が増えておりますが、新オフィスの敷金やソフトウェアなどが中心かと思います。
負債率が悪いのですが、額はあまり変わりません。また自己資金比率も少しプラスになりました。
今期予想との差異
こちらのスライドは我々の上期の予定との差異ですが、利益ベースではそれなりに順調に推移しています。通年で見ると、売上・利益は上期より下期に寄った構成になっていますので、前期と比べてもトレンドには大きな変化はございません。
以上が、上期の成績表になります。
目指す姿
続きまして、今期・来期以降の計画です。今の事業をこれからも伸ばしていくことも重要なテーマではあります。しかしながら、もともとは仏教の出版事業で、そこからこのような供養のマーケットに向かいました。
最初から「このマーケットは有望だ」として事業を行ってきたわけではないのですが、「どんぶらこ、どんぶらこ」と、横にずれ、横にずれしていく間に、気がつけばこの高齢社会のなかで、高齢者の方々に向けたITを使ったサービスを展開する会社になってきました。
そして、高齢者の方々、シニアの方々に必要なサービスは、お葬式やお墓だけにとどまらず、それどころか、(それらは)ごく一部に過ぎないことに気がつきました。
後ほど出てきますように、この領域ではシェアも小さいわけですから、さらに伸ばしていくことは当然です。そして、高齢者の方々の次の困りごと、次にやらなければならないこと、次に願いを叶えたいことのお手伝いをしなければ、ここまできた意味はないだろうと考えています。
「私たちは、お墓とお葬式だけでいいのです」というのは、社会の要請とは違うと考えています。そのなかで、これからお話をさせていただくことに力を入れていこうということです。
今までは、供養に関連したお葬式やお墓に関するサービスを比較して探せる、WEBあるいはコールセンターを使ったサービスでした。しかしこれからは、この終活という領域において、シニアの方々、あるいはそのご家族の方々が必要だと思われていること、あるいはやりたいこと、やらなければならないと感じていること、困っていることに対して、それらの課題や問題の解決、希望の実現といったことのお手伝いをしていきたいと考えています。
鎌倉新書が歩んでいく道筋 〜 徹底的なユーザー視点思考 〜
現時点ではまだ、先ほどからの既存の事業であるお葬式やお墓の事業がほぼ中心になっています。しかしながら、今期から相続のサービスといったことにも手を打っています。今期の第3四半期以降、あるいは来期以降、そのような領域でもっとお客さまの「ありがとう」というメッセージを聞けるサービスを提供していきたいと考えています。
事業計画
こちらのスライドはイメージですが、既存の事業を成長させていき、クロスセルを展開することによって、お客さま1人あたりのライフタイムバリューという観点から事業を行っていくということで、今後も成長していこうと目論んでいます。
戦略と方針
こちらのスライドに、(戦略や方針を)少し噛み砕いて文章にしています。1つは、既存の3事業について、さらに利便性を向上させ、困りごとや不安の解消というテーマにフォーカスして、今後も高い成長を遂げ、市場シェアを拡大させます。また、(現状を)維持していくものは維持していくとともに、生産性をしっかり高めていこうということです。
次に、今お話をしました新しいサービス関連です。人が亡くなると、真っ先にお葬式をしなければならないのですが、その後に出てくるのが、「我々の家は、相続の申告書を出さなければならないのですか? それとも、大した資産もないため、出さなくていいのでしょうか?」といった悩みごとです。
また、「田舎に5日間、忌引きで帰ったが、お葬式が済んだらもう戻ってこなければならなくなった。(相続に関する)事務的なことをまったくできない」といったことや、「88歳の母が田舎にいるけれど、母に(相続関係のことを)やらせるのも難しいだろうから、いろいろ手伝ってほしい」といったことで、さまざまなニーズが出てきます。
それから、ライフタイムバリューの最大化で、売り手の目線で言うとクロスセルですが、3つの事業で進めていきます。また3つの事業のなかでも、お葬式をされた方はお墓を建てますし、その後(のことにも対応する)新しい事業を展開していくわけですから、またサービスを利用していただくということです。
そのためにお客さまの情報を一元化して、お客さまの視点から問題解決のお手伝いをするということで、ユニークな立ち位置でビジネスを展開していきます。ユニークな立ち位置というのは、商品やサービスありきではなく、ユーザーのニーズありきということです。
例えば、相続に有効な保険を売りたい保険会社は、「保険、どうですか?」となりますが、そういう話ではなく、「あなたの課題は何ですか?」「私の課題は、こことここです」というかたちでしっかり聞き出して、お客さまを適切な目的地まで連れていくイメージで取り組んでいこうということです。
[1]【主力3事業】主力事業の当社の市場シェア
今お話しした3点を、もう少し詳しく説明したスライドです。我々の既存のビジネスが、日本全国のマーケットのなかでどれだけシェアを頂戴しているかを計算すると、我々の売上のなかでも一番大きな比率を占めるお墓の事業が、まだ2.7パーセントです。「2.5パーセントで40人に1人」ですから、その程度の方にしかご利用いただいておらず、まだまだ伸びしろがあります。
また葬儀に至っては、まだ0.5パーセントですので200人に1人です。それだけこのマーケットは非常に肥沃なマーケットで、まだまだ可能性があるというのが、1つ目の主力3事業のお話です。
[1]【主力3事業】エリアの拡大と主力事業のクロスセル強化
それを、全国ベースではなく地域ベースで見てみると、まだまだ余地があるという実態が見えてきます。スライドにもありますように、首都圏、お墓で言うと5パーセントを超えるシェアをいただいているのですが、地方ではまだまだシェアが小さいわけです。それはお葬式についても、お墓についても共通です。
我々のネットワークが足りていない部分があり、リーチしていないところがあるということで、このようなデータをもとに、可能性の高い領域にしっかりと資源を投入していこうと考えています。
[1]【主力3事業】利益率の更なる向上
こちらは、効率や生産性ということで、もっと効率よく事業を行っていくことを意識しましょうということです。広告を含めたマーケティングコストですが、グラフの下の部分にあるとおり、15パーセント以内でしっかりグリップしていきます。
売上を伸ばすことも含めてですが、一方で、人件費の比率をしっかりと抑えて、高い生産性を維持していきたいと考えています。具体的な施策については、「共通機能の集約による生産性の向上」として、新しい組織の組み換えを含め、今トライしているところです。顧客接点の充実やWebマーケティングを横串でしっかり情報共有して進めていくなどを計画しています。
[2]【新サービス】新サービス(いい相続)の状況
続いて、今期からスタートした新しいサービスについてです。今はとくに、お葬式が終わった方の相続に特化したかたちで進めています。ちょうど半年前の3月に、今期の計画を決算発表の際にお伝えしました。その計画のなかで、新規事業については5,000万円の売上、1億8,000万円の赤字を見込んでいました。
半年が経って事業の勘所がだんだんわかってきまして、後半になるにしたがって尻上がりに売上を作ることができています。売上については、期初には5,000万円と計画していましたが、おそらく今期から、その倍の1億円くらいは見込めるだろうと思います。
(赤字が)1億8,000万円ということはありませんが、まだ1億円程度の赤字は残るものと考えています。しかし、必勝パターンができあがれば、あとは横展開していくだけになりますので、こちらは順調に推移しているとご報告します。
[2]【新サービス】サービスラインナップの増加
サービスラインナップの増加ということで、今、相続を中心に事業を行っています。相続、死後の事務の委任など、スライドの左側のアイコンで示していることについてお手伝いをさせていただいております。そのなかで、さまざまなお客さまからの声、要望を聞いています。
可能性の高い将来サービスとしては、スライドの右側にあるような不動産の売却、介護関係、保険関係、あるいは無形の資産の整理などです。大きな売上ではないのですが、このような生前整理などのニーズが上がってきています。
例えば保険について、将来的には保険の代理店も検討しています。また不動産についても、複数の専門事業者の方々とさまざまな話し合いをしている最中です。
[2]【新サービス】新たな顧客流入の増大
この新しいサービスについては、今までどおりWEBからとなります。加えて、以前からご報告させていただいていますように、シニア層の方々とリアルな接点をお持ちの事業者さま……今ですと日本郵便さんや、現在お話をしているのは事業金融系の会社さま、また介護関係といったところとのネットワークづくりを構築しているところです。
このスライドの右側にあるアイコンのようなサービスを提供していこうということです。
[3]【LTVの最大化】クロスセル増大のための施策
ライフタイムバリューの最大化についてです。先ほどもお話ししたとおり、事業部全体でお客さまの情報を一元化できる体制がまだできていなかったということで、その改善を進めています。今はクロスセル……つまり我々の提供するサービスを複数利用していただける方は、ほとんどいないということです。
しかし、将来的には1人の方が2つ、3つとサービスを利用いただける可能性は十分あるのではないかと考えているところです。
そのために行うべきこととしては、先ほど申し上げたとおり、顧客情報を一元化して共有する体制の構築で、それをスタートしています。さらに、顧客情報の一元化のベースを利用して、複数のサービスを利用いただける体制を作っていこうと考えています。
[3]【LTVの最大化】①顧客情報の一元化と適切な共有体制の構築
このスライドは、情報の共有体制のイメージ図です。
[3]【LTVの最大化】②顧客に最適な複数のサービスを提供することが出来る体制の構築
こちらのスライドは先ほどお話しした内容と似たものですが、「さまざまなポイントから、複数購買(クロスセル)の可能性を追求していこう」ということを説明したものです。
[3]【LTVの最大化】顧客が複数のサービスを利用する例
こちらでは、「具体的に言うと、こんなイメージですよ」ということを示しています。
全体の売上計画
そのようなことをこれから進めていくなかで、中期的にどのあたりを目指せるのかということを議論しています。
現時点ではまだ詰め切れていないところがありますので、細かな数字が出せていないのですが、2024年1月期には売上100億円くらいを目指していけるのではないだろうか、というところで議論しています。
KPIをしっかり見ていくなかで、今期中あるいは来期のスタートまでに、もう少し精緻な数値をみなさまに提示させていただけるように議論を進めているところです。
私たちを応援して頂いている皆様へ
このスライドは、私が毎月書かせていただいているコラムを記載しています。8月のお盆の時期に、ある証券会社さまのお誘いで、IR活動のために香港に行く予定でした。しかしご承知のとおり、デモが激化しているタイミングでキャンセルになってしまったのです。これは、そのときに書いた原稿です。
事業にも、いろいろな事業あると思うのです。今日始めて、明日結果が見えるような事業もあります。スライドの下のほうに書いていますが、「お葬式やお墓に対するネットメディアをやる」と言ったときに、最初は誰も我々を相手にしてくれなかったです。「清水さん、あなたの気持ちはわかるけれど、そんなの無理よ」「だってこんな人、今まで一人も来たことないもの」「うちだってホームページくらいあるのよ」みたいなことを言われて、最初は誰にも相手にされませんでした。もちろん、最初からお客さまが来たわけではありません。
しかし、世の中は5年、10年、15年というスパンで必ず変化していく。そのようなことを前もって捉えて、そこにチャレンジするのが我々がこれまで取り組んできたものです。ですから、ラーメンが売れそうな地域においしいラーメン店を出すように、既存の物事に我々の特徴を加えて、今まで「マーケットがないよ」と誰もが思っていたところに新たなマーケットを見出すのが、これまで進めてきたことです。
日々IR活動を行うなかで、そうしたことを感じています。3ヶ月ごとに「この数字どうなりました、あの数字がどうなりました」というのも重要ではないとは思わないのですが、もっともっと、我々はメガトレンドに対応した事業を行っていきたいのです。
目先を軽視するということではありません。目先はジグザグしていきながらも、「長期的に、きっと社会はこう変わるから、ユーザーの希望はこうなっていくはずだ。であるならば、今は顕在化されていないが、こんな潜在的なニーズがあるはずだ」といったように、長期的な視点でトライしていきたいと、たくさんのIR活動を行うなかで感じました。
最初に申し上げたように、我々は仏教の書籍から(事業をスタートして)、どんぶらこ、どんぶらこと、気がつけば高齢社会のなかでのITサービスを展開しており、日本というマーケットでは本当に幸運な立ち位置をいただいていると思います。このことをしっかりと捉えて、これまで申し上げたことにチャレンジしていきたいと考えています。
みなさまのご支援を、ぜひともよろしくお願いしたいということで、この場を借りて、あらためてお願いを申し上げる次第です。
以上で、私からのご説明は終了になります。ありがとうございました。