Ⅰ. 会社概要 ビジネスモデル
大津賀保信氏:みなさま、本日は大変お忙しいなかで多数の方にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。ただいまから、2019年5月期、当社の77期の決算概要についてご説明を申し上げたいと思います。
まず、会社の概要を簡単にご説明します。当社は原薬部門と製剤部門と2つの部門がございます。
原薬部門は会社全体の(売上の)割合のうち53パーセントを占めます。当社では、自社で作っているもの、あるいは子会社である大和薬品工業という会社で作っているもの、もしくはインド、中国などから最終物を引っ張ってきて、それを当社で品質を保証したうえで市場に出すものを(商品に対して)製品と呼んでおります。
全体の(売上の)53パーセントを占める原薬部門のうち、製品の割合がおよそ67パーセントです。
(当社では)まったく品質保証を行わないといいますか、なにも手を加えず、ディーラーとしてビジネスを行っている商品はだいたい33パーセントでございます。
一方、製剤部門は全体の売上の約46パーセントで、そのなかで当社が品質保証をしているものはだいたい86パーセントです。このなかには、ほとんどを当社で作っている製品もあれば、(製造を他メーカーに)委託しているものも含まれております。
先ほどもお話ししたように、当社が手を加えず、ディーラーとしてビジネスをしている商品は約14パーセントでございます。
主たる販売先はすべて製薬企業、もしくはそれに関する企業であり、基本的には末端の医療機関や調剤薬局等には(製品・商品を)卸していないという会社でございます。
その他部門としては健康食品(などを扱う部門)が約1パーセントあるという会社でございます。
Ⅰ. 会社概要 当社ビジネスモデルの特⻑
当社のビジネスモデルの特長ですが、まず1つは原薬と製剤、両方の部門を持っているという点でございます。
原薬を作っている会社、製剤を作っている会社はそれぞれありますが、原薬と製剤がコラボレーションしている会社は、日本全国でもあまりないのではないかと思っております。
したがって原薬、製剤それぞれの営業部門の情報を共有化し、ユーザーに多様なかたちでアクションが起こせるということが1点目(の特長)です。
2点目の特長は、当社自体は製剤を作っているものの、MRを持たず、第三者に販売を委託している会社でございますので、固定費がそれほどかからないという点でございます。
3点目の特長は、ジェネリック医薬品のみならず、新薬、長期収載品の受託製造、またOTC薬の製造も行っているため、非常に幅広いお得意さまとのお付き合いをさせていただいているという点でございます。
4点目としては、平成2年に社名を変更いたしましたが、以前は「大東交易」という商社であったことから、非常に幅広くお取引している仕入先があるという点です。
先ほど説明した(ディーラーとしてビジネスを行っている)商品関係は、商社部門で行っていることでございます。
このような大きなビジネスモデルは、他社にはない独自のビジネスモデルではないかと思っているところでございます。
Ⅰ. 会社概要 当社グループ
スライドの図は、当社グループをわかりやすく図式化したものでございます。
いわゆる富山の配置家庭薬メーカー、大正製薬やエスエス製薬といったOTCメーカー、日医工さんや沢井製薬さんといったジェネリック(GE)専業メーカー、武田薬品さんや第一三共さん、エーザイさんといった新薬メーカー、Pfizer社、Mylan社、Sandoz社といった外資系メーカーはすべて、当社からするとお得意さまにあたります。
当社を取り巻く環境としては、まず原薬を作っている100パーセント子会社の大和薬品工業があり、それをフォローアップしている中国の千輝薬業(安徽)有限責任公司があります。
さらに2017年、安徽⿍旺医薬有限責任公司という、主に医薬品の中間体を作る会社が中国で設立され、当社が12パーセントの資本出資をして、(原薬中間体を)安定供給する体制を作っていこうと考えております。
安徽⿍旺医薬有限責任公司と千輝薬業(安徽)有限責任公司の経営者は同一でございますが、場所が少し離れております。また、安徽⿍旺医薬有限責任公司は中間体を作る会社で、千輝薬業(安徽)有限責任公司も、一部中間体から最終物を作る場合がございます。
⼤桐製薬(中国)有限責任公司は製剤の会社であり、こちらは当社が70パーセントを出資している会社でございます。⼤桐製薬(中国)有限責任公司の製剤を当社に供給して、市場に出しているということでございます。
原薬については、今後は主として(別社で)作ったものを⼤桐製薬(中国)有限責任公司で製剤化して(当社に)供給しようということを考えております。そして、市場を調査するDaito Pharmaceuticals America社という会社がシカゴにあるということでございます。
Ⅱ. 成⻑戦略と進捗状況 成⻑戦略のフレーム
成長戦略についてでございますが、市場の追い風と高度な製造技術に後押しされ、高薬理活性領域への展開も図っているということで、外部環境は非常に良好であると考えています。
すでにもう良好かもしれませんが、現在は非常にジェネリック市場が拡大しており、また高齢者が増えてきております。
そして高品質な生産体制として、GMPに準拠した生産体制を海外にも持っているという点です。日本のみならず、海外展開を大切にしようということで、これらを含めた市場をターゲットにしてビジネスを行っているということでございます。
Ⅱ. 成⻑戦略と進捗状況 重点施策
承前のように、研究開発を強化し、設備投資も増強して、個別化を図っているところでございます。
とくに最近では高薬理活性製剤に力を入れながら、あわせて海外展開も推進していこうということもあり、2017年には高薬理R&Dセンターが竣工し、2018年11月には第八製剤棟という高薬理の大型設備が完成いたしました。
Ⅱ. 成⻑戦略と進捗状況 研究開発の成果 ①ジェネリック原薬
スライドは、最近上市したジェネリック原薬でございます。1つは「ミルタザピン」という原薬、もう1つは「ブロナンセリン」という原薬で、それぞれマスターファイルを取得して、市場に出しているということでございます。
Ⅱ. 成⻑戦略と進捗状況 研究開発の成果 ②ジェネリック製剤
こちらのスライドはジェネリック製剤についてでございます。1つは「イルアミクス配合錠」で、これについては販売先が三和化学さんでございます。
「メトトレキサート錠」は抗リウマチ剤ですが、これは日本ジェネリックという会社に販売しております。
「ミルタザピン錠」につきましてはPfizer社が、「カペシタビン錠」は抗がん剤で、先発品としては「ゼローダ錠」がありますが、そちらはヤクルト本社が、また「ゲフィチニブ錠」も抗がん剤ですがSandoz社が、それぞれの販売元となります。
2019年12月には1成分3規格を新規収載する予定でございます。
Ⅱ. 成⻑戦略と進捗状況 ⽣産体制最適化への取り組み
生産体制最適化への取り組みについてです。最近中国で環境問題が非常に厳しくなってきていること、爆発事故で中間体が供給されない場合があること、GMP上のいろいろな問題で医薬品価値問題が発生していることから、2017年に安徽⿍旺医薬有限責任公司という会社を設立して、千輝薬業(安徽)有限責任公司とともに当社をフォローアップしてもらい、2019年5月にこの会社に対して12パーセントの出資を実行しております。
(上記の2社から供給される)中間体を我々の100パーセント子会社である大和薬品工業、あるいは当社自体の原薬部門に供給していただき、大和薬品工業から(原薬を)当社に供給して市場に出す、もしくは当社自体(の原薬部門)が原薬を作って市場に出すというビジネスモデルでございます。
それから、大和薬品工業および千輝薬業(安徽)有限責任公司で作った最終原薬を大桐製薬(中国)有限責任公司で製剤化いたしまして、それを日本に持って来るということを現在考えております。今は1品目ですが、これから品目が増えていく予定でございます。
あるいは、ダイトで作っているものを一部中国で製造委託すること(も考えております)。先ほども申し上げましたように、ここ(⼤桐製薬(中国)有限責任公司)は当社が70パーセントの資本を持った会社でございます。
Ⅱ. 成⻑戦略と進捗状況 国内外における⽣産能⼒増強投資(1)
この数年間で行った投資でございます。(スライドは)5年前の2014年5月に竣工した100パーセント子会社の⼤和薬品⼯業の第一原薬工場でございます。2回に分けて約20億円あまりの投資をし、5,000リットルの2ラインがここに入っております。
これ(スライド右の施設)も2015年に竣工しまして、あわせて約32億円ぐらいの投資でございます。
この2つはダイトの第六原薬棟と第三原薬包装棟で、1つは包装するための棟、1つは原薬を製造する棟です。当時はこれらを作ることによって、約20パーセントの能力アップにつながったということです。
Ⅱ. 成⻑戦略と進捗状況 国内外における⽣産能⼒増強投資(2)
スライドは、先ほどご説明しました⼤桐製薬(中国)有限責任公司という中国にある会社でございます。現在、年間約4億錠ぐらいの能力を持った工場でございます。これにつきましては、順次品目を増やしていくことを狙っております。将来的には中国の市場も狙いたいと考えております。
これ(スライド右の施設)は同じ時期にできました⾼薬理活性(製剤)の製剤棟でございます。だいたい1ロットが15~30キロで、中規模スケールの⾼薬理活性製剤設備です。
Ⅱ. 成⻑戦略と進捗状況 ⾼薬理活性製剤への投資
高薬理(活性製剤)に取り組むとしても、研究棟がなければいけないということで、17億円かけて2017年6月に竣工いたしました。
高薬理の仕事が少しずつ入ってきましたので、約4億円かけて3階で試験もできるように設備を整え、ほぼすべてが終了した状態で、現在は一部の研究開発のための試験設備を設けたということです。
これ(スライド右の施設)は2018年11月に竣工いたしました。約35億円かけた設備で、量的には40~70キロスケールであり、小・中・大スケールの設備を有しているということです。
Ⅱ. 成⻑戦略と進捗状況 ⾼薬理活性製剤への注⼒
スライドに書いてあるとおり、第七製剤棟は中規模スケールで15~30キログラム、R&Dセンターは小規模スケールで1~10キロ、2018年11月に竣工した設備が40~70キロに対応できます。
⾼薬理でも量が少ないものから多いものまでありますので、それらにフレキシブルに対応できるような設備を作ったということです。
Ⅱ. 成⻑戦略と進捗状況 設備投資額・研究開発費の推移
過去の投資額と償却額でございます。予想としては、2020年5月に約33億円程度の投資をし、30億円程度の償却をする予定になっております。
研究開発費の推移ですが、とくに今期を見ると少し落ちます。しかし、たまたま高薬理のBE試験が2020年5月期に入らないため少し落ちているということであり、品目は従来どおり開発している状況でございます。
Ⅱ. 成⻑戦略と進捗状況 グローバル展開
海外の売上もこれから上げていこうということで、先ほども説明しましたが、2019年4月に千輝薬業の、5月に⿍旺医薬の第三者割当増資を引き受けまして、出資比率でいうと12パーセントです。アメリカでは、2018年10月に1品目の製剤のANDA承認を取得した状況でございます。
Ⅱ. 成⻑戦略と進捗状況 ⽶国での事業展開
2018年10月に承認を取得したのは「リルゾール」というALS(筋萎縮性側索硬化症)の薬でございます。市場環境があまりよくないため、現在は販売を見合わせております。今後は米国市場のさらなる開発に向けて進めていきたいと思っております。
Ⅱ. 成⻑戦略と進捗状況 国内ジェネリック医薬品を取り巻く環境
ご存じのとおり、2020年9月までに(ジェネリック比率を)80パーセントにまで上げようという国の方針がございます。おかげさまで当社は、今日まで順調に右肩上がりできております。
Ⅱ. 成⻑戦略と進捗状況 ⾜元における当社の施策
以上を受けて、今後は高薬理活性製剤、低コスト原薬製造プロセスの開発、ジェネリックの開発を考えていきたいと思っております。
Ⅲ. 決算概要と通期予想 決算ハイライト
決算状況でございます。(売上高は)411億円で、前年と比べますと12億5,000万円、率にしますと3.2パーセントの増加でございます。
営業利益、経常利益はスライドの表に書いてあるように、前年と比べますとだいたい9.3~9.4パーセントの増加です。(親会社株主に帰属する)当期純利益は、税制面での優遇や税額控除があった関係で、15.5パーセントの増益でした。
1株あたりの利益、配当金、研究開発費、設備投資は、スライドに書いてあるとおりの内容でございます。
Ⅲ. 決算概要と通期予想 部⾨別売上⾼
原薬の製品・商品、製剤の製品・商品、(それぞれの売上高について)具体的にご説明します。先ほどお話ししたように当社で品質保証をしているものを製品、(当社で保証をせず)ディーラーとして販売しているものを商品と呼んでおります。
製品関係が両方とも増加しているのに対し、残念ながら商品関係が前年割れしているということで、製品Mixからすると、製品の比率が上がったことになると思っています。
Ⅲ. 決算概要と通期予想 要約損益計算書
P/Lでございますが、先ほどもお話ししたように、自社製品のウェイトが高まったことから、原価率が下がったと思っております。
販管費が増えておりますが、⾼薬理活性製剤の研究開発費増加によって増えたと思っております。法⼈税等は、税額控除によって法⼈税負担額が減ったため、前年の30億円に対し、今年は35億円で、最終的には15.5パーセントの増益でありました。
Ⅲ. 決算概要と通期予想 経常利益の増減分析
スライドは2018年の5月期からの(経常利益の)増減です。とくに売上増加と製品構成のMixによって増加し、一方では経費も増加したということで、最終的にはこれだけの増加になりました。
Ⅲ. 決算概要と通期予想 要約貸借対照表
貸借対照表ですが、債権が9億4,000万円減り、棚卸資産が7億5,000万円増加しました。とくに棚卸資産は先ほどお話ししたように中国関係の原材料が環境問題で非常に入手が難しくなりつつあることから、少し増やしております。
固定資産はスライドに書いてあるとおりで、長短含めて有利子負債を20億円あまり減らしたということで、純資産が28億円増えました。自己資本も現在は66パーセントぐらいになっていると思っております。
Ⅲ. 決算概要と通期予想 要約キャッシュフロー計算書
キャッシュ・フロー計算書です。営業キャッシュ・フローが約68億円、投資キャッシュ・フローが約38億円で、残りは借入金の返済等に充てたということです。
Ⅲ. 決算概要と通期予想 2020年5⽉期 業績予想
2020年5月期の予想でございます。売上が約23億円で5.7パーセントの増収でした。営業利益・経常利益はそれぞれ3.4パーセント、2.3パーセントの増益で当期利益が33億円でした。
先ほどもお話ししたように、地域未来投資促進法の税額控除等がなくなるため、6.1パーセントの減益と見ています。
経常段階では増益を予想していますが、当期利益では税額控除が減ることから減益になると思っております。配当につきましては、決算で発表したように年間40円を予想しております。研究開発費、減価償却費はここに書いてあるとおりでございます。
Ⅲ. 決算概要と通期予想 2020年5⽉期 部⾨別売上予想
23億円あまりの売上の増加を予想しておりますが、とくに原薬の商品が約11億円で、(増加分の)半分近くになると思っております。
とくに新しい商材ではございませんが、原薬の商品の増加が大きいだろうことを予想しています。製品Mixの割合が変わることから、売上の伸びに対して利益の伸びはそれほどないと予想しております。
Ⅲ. 決算概要と通期予想 部⾨別売上⾼の推移と予想
2015年から約6年間の(売上高の)原薬の製品、原薬の商品、製剤の製品、製剤の商品、健康食品(の内訳)をグラフ化したものでございます。
当然、年ごとに増えるものと減るものがございますので、これらのMixによって利益数値も多少異なるということです。
一応、全体としては右肩上がりになっているということで、増収増益(だと考えています)。
(2020年5月期は)増益は予想しておりませんが、経常段階では増益を目指したいと思っているところでございます。
以上、私からご説明をさせていただきました。