1-1. 2018年度 概況
西岡宏明氏:それでは私西岡から、2018年度決算および2019年度業績予想ということで、お話をさせていただきます。
まず、2018年度概況ということでお話をさせていただきます。
全体概況といたしましては、前年同期比では増収減益という結果でございました。年末以降、市場環境が急変いたしました。とくに、中国市場の急激な需要減少です。その内訳ですが、FA・ロボット・半導体・スマホ市場の需要減少となりました。それから、中国自動車需要の大幅な減少ということで、受注急減によりまして、生産調整を実行中という状況でございます。
一方、セグメント別に申し上げます。同じような傾向ではございますが、具体的に申し上げますと、特殊鋼の電子材や工具鋼のあたりで、中国を中心に需要が減少したことと、国内での在庫調整ということで、需要が予想を下回りました。
それから磁性材料ですが、こちらはとくにFA・ロボット関係の需要が減少したところが大きく影響しております。
それから素形材につきましては、北米の一部工場における人材逼迫による生産計画未達がございました。それから半導体製造装置用機器につきましては、需要の停滞が続いてございます。
一方、電線材料です。こちらも、FA・ロボット関係は非常に厳しい状況でございました。電装部品につきましては、上期は好調でしたが、年末から期末にかけまして中国向けが急減したという状況でございます。
1-2. 2018年度業績
次に、全体の数字でご説明いたします。
売上収益につきましては1兆234億円ということで、前年度対比4パーセント増。調整後営業利益につきましては514億円ということで、調整後営業利益率は5パーセント。IFRS営業利益では424億円、ボトムの親会社株主に帰属する当期利益は314億円でございました。前年度対比では、108億円の減益でございます。
海外売上比率につきましては、56パーセントということで(前年度と)同じでございました。前年と比べますと、欧州が若干減少しておりますが、北米で非常にプラスになっておりまして、全体としては変わらずという状況でございます。
1-3. 売上収益の増減要因(前年度対比)
続きまして、売上収益の増減要因を簡単にご説明します。
一番持ち上げたものが原材料価格スライドで、売上で350億円ほど増加いたしました。それから、上期が好調だったことによりまして、上期は売上・操業等が146億円ほど持ち上がりましたが、年末から期末にかけまして売上・操業等が非常に減ったということで、マイナス要因。
それから、耐熱鋳造部品アルミホイールにつきましては、構造改革……受注の厳選ということで絞りましたので、こちらで少し落ちておりますが、M&A・為替等で持ち上がって、1兆234億円という売上収益でございます。
1-4. 調整後営業利益の増減要因(前年度対比)
それから、調整後営業利益です。
こちらは前年の651億円に対しまして、売上・操業・構成等で79億円の減。原材料価格が、昨年度につきましてはバナジウム・コバルト等、かなり価格が変動しました。とくに期末にかけて下がったということで、35億円の減益要因。
それから成長投資については、人材投資・設備投資等をやってまいりました。これに対して、原価低減他が45億円。それから、耐熱鋳造部品アルミホイールの改善が35億円ということで、結果としては514億円でございました。
1-5. 2018年度業績予想との差異 調整後営業利益
(2019年)1月末に予想を変更いたしましたが、その時に(調整後営業利益を)580億円と申し上げました。そこから(2018年度実績の)514億円までの状況を、こちらに簡単なウォーターフローチャートで示しております。
想定以上に売上・操業等が落ちたということと、原材料価格が年度末にかけて急激に下がったという影響等がございました。このようなことで、514億円まで下がったということでございます。
2-2. セグメント別業績:特殊鋼製品(1)
続きまして、セグメント別に簡単に状況を申し上げます。
まず、特殊鋼関係です。売上収益につきましては、全体としては先ほど申し上げましたように、原材料価格の上昇に伴って増加となりました。
工具鋼関係は、中国・国内ともに厳しい状況でございました。
産業機器材料関係につきましては、環境親和製品が増加したということでございます。
航空機・エネルギー関連材料につきましては、引き続き増加しております。
それから電子材料関係は、年末から有機ELパネル部材・リードフレーム材の需要が急激に減少した影響がございました。
ロールにつきましては、国内・輸出ともに堅調という状況でございます。
軟磁性部材につきましては、応用品につきまして、自動車向けの需要が増加したという状況でございます。
このようなところから、調整後営業利益につきましては、年度末の急激な需要減がありまして、売上減少・生産調整による操業度低下がありました。もう1つは、期末の原材料価格下落の影響が大きかったということで、減益というかたちになってございます。
2-6. セグメント別業績:素形材製品(1)
続きまして、素形材関係でございます。
こちらも(売上収益は)おもに原材料価格上昇により増加ということでございまして、自動車用鋳物につきましては、北米を中心に商用車や農業機械・建設機械向けが増加しています。
配管につきましては、継手類は米国で前期並み、国内で価格改定の反動影響がございまして若干の減少となっています。半導体製造装置関係につきましては、引き続き設備投資案件の延伸ということで、減少してございます。
調整後営業利益につきましては、課題事業の改善……アルミホイール・ハーキュナイト®等の改善はありましたが、北米の一部の工場における人材逼迫がございました。こちらの生産計画未達による減益、それから半導体製造装置用機器案件の延伸ということで、減益でございます。
2-8. セグメント別業績:電線材料(1)
続きまして、電線材料関係でございます。
こちらにつきましても、おもに原材料価格上昇により増加となりました。下期からFA・ロボット用ケーブルおよび産業用巻線等の需要が急激に減少したことと、機能品につきまして、自動車関係は前半までは比較的堅調に増加してまいりましたが、年末にかけて減少してございます。医療関係のプローブ関係は、引き続き堅調という状況でございます。
調整後営業利益につきましては、成長分野の設備投資等をやってまいりましたので、このあたりの固定費の増加がございまして、若干減益でございます。
2-10. 資産/負債・純資産
続いて、バランスシートの関係でございます。
成長分野への投資によりまして、2018年度の有形固定資産・長期債務が増加しています。それに加えまして、上期の需要好調時に棚卸資産が増加したという状況になっていますが、2019年度は大型投資の効果刈り取りと、それから棚卸資産の早期適正化を実行し、健全化していくということで進めてまいります。
2-11. 連結キャッシュ・フロー
それから、キャッシュ・フローにつきましては、2018年度の単年では設備投資を積極的に行ったということで、フリー・キャッシュ・フローは297億円のマイナスとなりました。
2018年度中期経営計画の3ヶ年で見ますと、営業キャッシュ・フローの1,951億円に対して、投資キャッシュ・フローはそれよりも若干多い2,072億円ということで、若干フリー・キャッシュ・フローはマイナスとなりました。
2019年度以降につきましては、新規投資を厳選いたしますので、2018年度中期経営計画で実施した投資効果の刈り取りということで、フリー・キャッシュ・フローは安定的に黒字化をしてまいります。
3-1. 2019年度業績予想①
続きまして、2019年度の予想ということでお話をさせていただきます。
2019年度につきましては、売上収益は1兆円で、前年度対比では2パーセント減。調整後営業利益は540億円で、前年度対比では26億円の増益を見込んでございます。構造改革費用を90億円ほど見ていまして、税引前当期利益では380億円、ボトムでは285億円を予定してございます。
3-2. 2019年度業績予想②
これをどうやって進めていくかに関しまして、全体としての需要感でございます。こちらにつきましては、足元の状況が継続して、上期は厳しい状況が続くと見ています。下期につきましては、中国等の需要も一部回復してくる動きがございますので、このようなところを想定いたしまして、若干回復傾向に行くと想定しています。
売上収益につきましては、米国アルミホイール事業の売却により減少いたしますが、調整後営業利益につきましては、このような生産調整による棚卸資産残高の早期適正化、それから構造改革をしっかりやっていくということで、新たにクロスファンクショナルチームを作って確実に判断・実行していくことを進めてまいります。
一方、固定費もしっかり圧縮していくということです。これまで2018年度中計では、成長分野に設備投資をしてまいりましたが、2019年以降につきましては、その設備投資の効果をしっかり刈り取るということで、足元の設備投資については4割減で、しっかり厳選しながらやってまいります。
それから、課題事業の撤退等による抜本的な対策は、前倒しでしっかりやっていきたいと思っています。このようなことで、調整後営業利益につきましては持ち上げてまいります。
一方、このような足元の地盤をしっかり固めることに加えまして、需要が上がってきたときにしっかりと成長分野へ伸ばせるように経営資源のシフトをやっていきたいということで、とくにクラッド材・パワーエレクトロニクス材料・航空機関連材料等に、経営資源をシフトしてまいります。
3-4. 売上収益の増減要因(前年度対比)
こちらは、売上収益の2018年度(実績)から2019年度(予想)のウォーターフォールチャートです。
売上・操業等の成長製品は伸ばしていきますし、一方で基盤製品は状況を見ながらやっていくということ。課題事業につきましては、米国アルミホイール事業を譲渡していますが、前年よりも下がるということで、1兆円という見通しを立ててございます。
上期は調整局面と見ていますが、下期については景気の動向等もよく見ながら、増収をしっかり計画していきたいと思っています。材料価格につきましては、大きな変動は今のところなく、吸収できる範囲で動くと見てございます。
3-5. 調整後営業利益の増減要因(前年度対比)
最後に、調整後営業利益です。
2018年度実績の514億円から、2019年度予想では540億円へ持ち上げてまいります。減価償却は固定資産の関係投資を絞ってまいりますが、前年の期の途中から投資が進んでいるものがありますので、減価償却費が72億円増えます。
これに対して成長投資・原価低減・固定費の削減、それから課題事業の撤退・受注厳選ということで、成長投資効果とコスト削減を加えて92億円持ち上げまして、540億円を達成していくということでございます。このような計画で、2019年度はしっかりと進めてまいりたいと思っています。
私からは以上でございます。
1-1. 2018年度中期経営計画 めざす姿
佐藤光司氏:日立金属の佐藤です、よろしくお願いいたします。私からは中期経営計画について報告させていただきます。
まず、(2018年度中期経営計画の)めざす姿を報告させていただきます。
これまでと同様、私たちはまず、「ポートフォリオの継続的な刷新」。非常に多岐にわたる製品を持っております。
「オーガニックグロース」。大きな投資をしてまいりました。これをしっかり刈り取ります。
「M&Aによる成長」。これは、私たちのDNAであります。
これらと合わせて経営基盤そのものを(強化する)。今回の中期計画の未達要因を、反省して乗り越えていきたい。成長戦略と基盤強化の両輪による経営に、真摯に取り組んでまいります。
1-2. 2018年度中期経営計画 実行施策①
成長戦略と経営基盤強化の実行で、まずオーガニックグロースです。こちらについては、私たちはしっかり手を打ってきたつもりでございます。
コーポレート研究所(の開設)、オープンイノベーション(の強化)、さらに子会社の統合。あるいはそこに、拠点としてクラッドの材料等を持ってまいりました。さらに、圧延ロール・構造部材、磁性材料の革新的ラインの導入。日立金属三環磁材(の設立)、配管機器の生産能力の増強、それから電線材料の連続鋳造圧延ライン(の更新)。
このような投資は、今まさに刈り取りを始めたところでございます。2018年度は大変厳しい状況になりましたが、確実に次の3ヶ年で成果に変えていく次第でございます。
1-3. 2018年度中期経営計画 実行施策②
さらに、ポートフォリオの継続的な刷新。ロール生産の海外事業は集約いたしました。さらに、情報システム事業の譲渡、リードフレーム事業の売却、アルミホイール事業の撤退をしてまいりました。まだ一部、その残存的な課題もございますが、確実にこのような事象を継続して取り組んでまいりたいと思います。
また、M&Aによる成長としては、桶川(工場の発足)、MMCスーパーアロイを100パーセント子会社化して、まさに今シナジーをあげ始めたところでございます。また、磁石事業についてはリサイクルが大変重要ということで、三徳の買収に踏み切りました。
これらと併せて、経営基盤の強化として、コーポレートの取り組みといたしましては、価格スライド制に先じて取り組み、しっかりとそこは転嫁の部分に使えたと思います。また子会社数も、3年前には89社ございましたが、これを63社まで低減しました。また、この取り組みは継続的に進めてまいります。
1-4. 2018年度中期経営計画 未達事項・顕在化課題
ただ、反省することが多々ございます。5つほど挙げさせていただきました。私たちの持っている、もともとの課題ですね。
長期過小投資の転換、横ぐし機能強化に着手いたしましたが、残念ながらこの3年間では、成果の刈り取りに遅延が生じました。いろいろなところに課題があって、それにリソースを割いてしまったところ、やはり分散。選択と集中が足りなかったと反省いたします。
また、キャッシュフローの悪化も、昨年(2018年)前半の好景気のところで、やはり仕込みすぎてしまった。取り組みを早めてしまった。結果として、そこが後半の景気減速に伴う原料価格の下落等で、棚卸資産が非常に重い状態になってしまった。設備投資も、しっかりとキャッシュは使いましたが、まだ刈り取りきれておりません。
同時に、課題事業も顕在化してまいりました。先ほど申しましたような、売却対象事業。このようなところに対しては、対応の遅れがあったことは否めません。
モノづくり力・営業力の改善も、今取り組んでいる最中でございますが、まだまだ成果を十分に出し切れているとは言えません。
個別最適に陥りがちな組織風土の残存。ここについては、すでにアナウンスしておりますとおり、カンパニー制から事業本部制にして展開してまいります。
このようなところが、私たちが本来掲げていた利益目標に対して大幅な未達の大きな原因であったと、深く反省しております。
1-5. 2018年度中期経営計画 業績概要
その数字が如実に表しております。これは、横軸に4つのカンパニーのそれぞれの売上収益を、縦軸に調整後営業利益率をとったグラフです。
例えば、磁性材料と素形材は、売上規模が同等にもかかわらず、利益が半減したような状態になっています。また特殊鋼カンパニーは、売上は伸ばしましたが、本来は一番の収益源となる特殊鋼カンパニーで、十分な利益を稼げませんでした。電線材料は、規模を追い求めることなく選択と集中を進めてまいりましたが、ほぼ横ばいレベルの利益となっております。
2-1. 2021年度中期経営計画 ビジョン
これらの反省を踏まえまして、(2021年度中期経営計画の)中期ビジョンを掲げております。
私が取り組みたい仕事は、まず最初に「ヒトをつくる」。今日よりも一歩進んだ“明日の自分”を作りたいと思っています。私たちは、3万人を超える従業員の会社です。3年間で1人1,000歩を歩めます。それを合算してベクトルを合わせて取り組めば、一番強いものができあがると思っています。
その上で、Only 1、No.1のモノづくり・新製品をしっかりと世の中に問い、お客さんとともに作り出すことで「イノベーションをつくる」。
結果として、私たちの「未来(をつくる)」。すなわち、私たちがビジョンとして掲げている「最良の会社」を具現化できると思っています。
この(「ONE FORCE FOR CHANGE」の)色は、SDGsから取っております。私たちの「龢則彊(わすればつよし)」という社是は、私たちの世界中の全従業員に対して、「ONE FORCE FOR CHANGE」の下に取り組みを進めてまいります。
2-2. 2021年度中期経営計画 基本方針
基本方針です。持続可能な社会を支える高機能材料会社によって、「Only 1・No.1」事業・製品の拡充に取り組みます。
私たちの強みは、本当にグローバルにトップを目指すところ。限られたお客さまではあるかもしれませんが、そこのお客さまと最先端の素材を作り、最先端の製品を作り、最先端の環境親和型製品を生み出す仕事でございます。
そのために、先ほど掲げた課題に対して、「高成長・高収益分野へリソースの集中」。先ほども申しましたクラッド材・パワーエレクトロニクスの材料、そして航空機の部材。このようなところへ、明確にリソースを集中してまいります。
また、「組織改革によるシナジー最大化」ということで、これは事業本部制への展開。
また「大型設備投資(のフル戦力化)」は、すでにキャッシュ・フローとしてはキャッシュアウトしております。これからはしっかり、キャッシュを稼ぐ原動力にしていくということでございます。
また、4番目の「フロント強化、顧客との協創」に関しましては、しっかりと営業先でお客さまの声を聞く仕事、そして工場のモノづくりを強化する仕事。また、顧客との協創の場としては、「GRIT(グローバル技術革新センター)」を熊谷に設けてございます。このような場を通して、しっかりとお客さまとのつながりを強めてまいります。
また、「構造改革、経営基盤強化施策」とは、常に私たちの課題を明確にし、そこから取り組むべき一番大きな課題、最短でできる課題に取り組んでまいります。
2-3. 2021年度中期経営計画 主要経営数値
これが、中期計画の主要経営数値でございます。売上の規模を追い求めることなく、3年後も1兆円を下回るレベルでございます。一方で、調整後営業利益率は8.3パーセントを目指します。
併せて、新しく指標として掲げました、投下資本利益率のROIC。これは7.7パーセントと、大幅に高めてまいります。そこにはしっかり管理できる指標として、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)はしっかりと落としてまいります。
これらの施策や、多方面的なKPIを立案・作成することによりまして、全体として健全な経営を目指していきます。
2-4. セグメント別 売上収益 調整後営業利益 ROIC
これが、先ほど申しました2つの事業本部の金属材料事業本部・機能部材事業本部の内訳でございます。(事業セグメントが合わせて)4つございます。
特殊鋼製品に関しましては、しっかりと売上を伸ばし、利益率も本来の強めの数字まで高めていきます。素形材製品につきましては、しっかりと製品の選択・集中に取り組み、利益率を倍増させます。
また、磁性材料のところに「パワーエレクトロニクス」という分野をくっつけました。これによりまして、売上も増やし、利益率も大幅に増加させます。電線材料に関しましては、売上規模を追うことなく、付加価値のあるビジネスを展開し、利益率を高めてまいります。
結果として、9,600億円の売上収益、800億円の調整後営業利益、7.7パーセントのROICという数字を目指します。
2-5. キャッシュフロー/資本効率
キャッシュフローに関しましては、先ほど単年度の数値をお見せしましたが、前々期の15中計、前期の18中計、さらに今回目指す21中計の数字を挙げております。
稼ぐ力としての営業キャッシュフローが落ち、さらに投資キャッシュフローが増えたという現状……以前、その前々期は1,682億円のキャッシュを稼ぎましたが、今回は3ヶ年の合算でマイナス121億円となりました。
一方で、これから先は、もうすでに投資を行っておりますので、前々期を上回る2,115億円のキャッシュフローを生み出してまいりたいと思います。結果として、これに伴うROICが7.7パーセントということで、資本コストを上回る効率が得られることになります。
2-6. 株主還元方針
一方、株主還元の方針といたしまして、2018年度は中間配当として17円を実施いたしました。
予想数値ではございますが、今後も継続性を加味しまして、しっかりと利益率の改善(を図り)、配当性向30パーセントを目安に、17円の継続をしてまいりたいと考えております。
3-1. 重点施策① 高成長・高収益分野へのリソース集中
重点施策です。
私たちは市場の成長を上回る成長をもって、「Only1、No.1」の選択を世の中に見せていきたいと考えています。そのために自動車鉄鋳物は、私たちの威信を込めた製品。一方で、今まさに刈り取りの一番前線にあるものが、高効率内燃機関に関わる、CVTベルトやピストンリングでございます。
この先、世の中のトレンドは大きく変わっていきます。電装化・電動化に向けた、私たちのパワーエレクトロニクス関係の製品。さらに、今持っている製品の電線材料。さらに希土類の磁石、クラッドといったものをフルに活用し、お客さまのそれぞれのニーズに応じた対応をしてまいります。さらに航空機も、しっかりと今種まきをして、多くの認定・開発案件を持っています。
今は間違いなく、当初私たちが目標に掲げていました「2025年度に(売上収益で)600億円」という数字が見えてきていますので、確実に刈り取り、さらにそれを収益源としても高めてまいります。
その先にイマージングの技術として掲げているものは、モータ用アモルファス、あるいは3D造型。このようなこともGRITを発信拠点として、しっかりと取り組みを進めてまいります。
3-2. 重点施策② 組織改革によるシナジー最大化
ここに掲げた絵は、2事業本部制の中身でございます。特殊鋼カンパニーと素形材カンパニーは、溶解精錬という観点では、2つとも同じ強みを持っています。これらを重ね合わせることにより、リソースをしっかり活用して、先進ミクロ制御技術をコアに、多くの分野にまたがった我々の素材をしっかりと強くしてまいります。
一方、磁性材料カンパニー・電線材料カンパニーに加えまして、軟磁性部材はこちらに持ってきました。こちらはモータあるいはインバータといった世界で、機能部材として、1つのお客さまにトータルのソリューションを提案できる製品群でございます。これらを、先進機能部材設計技術を極めることで、電線材料と合わせまして、xEV・電装部品、産業インフラ市場で伸ばしていきたいと考えています。
3-3. 重点施策② 組織改革によるシナジー最大化
このシナジーの最大化でございます。
イメージでございますが、金属材料事業本部・機能部材事業本部の、それぞれの強みを活かす構成にいたしました。それをコーポレートがしっかりと支え、お客さまのニーズやお客さまの求める先を見つける体制として、取り組みを進めます。
そのためのポートフォリオの変革として、多面的KPIを導入し、健全経営を推進してまいります。低収益・低成長事業・製品の縮小・撤退は、その事業がたとえ古くても、我々の従来コアであった製品であっても、しっかりと見切りをつけていきたい。
そのために、モノづくりの抜本的強化が重要だと思っています。私たちのコーポレートの部門は、本来その分野で一番優れた人材を集めた、部門の長でございます。そのような地位をフルに活用して、事業の精選を行ってまいります。
人材育成は、ダイバーシティのマネジメント(の徹底追及)、働き方改革の推進として、先ほど申しました「今日よりも一歩進んだ明日の自分!」に、全員で取り組んでいく。
3-4. 重点施策② 金属材料事業本部 基本方針
以下、それぞれの事業本部の基本方針でございます。まず、金属材料事業本部です。
シナジーをしっかり最大化して、「Only1、No.1」のモノづくりの実現を進めてまいります。特殊鋼のタービンは、ジェットエンジンの部材でございます。このようなところは、産業インフラの素材。
自動車のところは、例えばタービンホイールは特殊鋼、ターボハウジングは今まで素形材でございました。このようなところは、一体化した取り組みを進めてまいります。
またエレクトロニクスは、自動車の世界でのxEV・リードフレームはクラッドと合わせたりして、Only1を極めてまいります。また有機ELも、非常に私たちの部材は強うございます。ここも設備投資をしっかり行うことで、市場の成長に付いていきたいと考えています。売上構成としては、このような比率で臨みます。
3-5. 重点施策② 特殊鋼製品セグメント アクションプラン
また、ここの統括部的には特殊鋼セグメントとして、従来別々であった統括部の工具鋼・ロールを1つにいたしました。なぜなら、ここはハイスと呼ばれる合金成分が、両方の製品として同じ開発要素を持っているためでございます。また、産業機器と航空機は、耐熱・耐食という点においては同じ技術であります。これを、しっかりシナジーを上げてまいります。
また電子材料は、Only1の製品を非常にたくさん持っています。電池も伸びます。そして、放熱の部材も伸びます。銅もニッケルも、すべてくっつけて伸ばしていくということで、セグメント売上をしっかり高めると同時に、利益もしっかり出してまいります。
3-6. 重点施策② 素形材製品セグメント アクションプラン
一方で、従来の素形材のアクションプランとしては、自動車用にも(ございます)。こちらは従来の乗用車に比べて、「ヘビーデューティー」と呼ばれている商用車・農機・建機・鉄道・産業機器をしっかり見据えて、高収益製品に特化した取り組みへ変えてまいります。これは、Waupaca社を中心とした事業でございます。
また、配管機器も私たちのOnly1製品でございます。しっかり合わせて、セグメントの売上は抑えますが、収益性を高めた取り組みへ変えていきます。
3-7. 重点施策② 機能部材事業本部 基本方針
次に、機能部材事業本部です。こちらは基本方針として、ここに掲げたものを見据えています。「磁石・パワエレ・電線材料のシナジー発現」。これは、モータの一例でございます。
フィードアッシー・マグネットワイヤ・アモルファス金属・磁石。このようなものはすべて、1つのモータの中でソリューションを出していくことができます。先進機能部材設計を軸に、自動車・産業インフラ市場を深耕してまいります。
3-8. 重点施策② 磁性材料・パワエレセグメント アクションプラン
次に、パワエレセグメントでございます。
私たちが言うパワーエレクトロニクス製品とは、Only1の製品であります「ファインメット®」や、いろいろな周波数帯に対応した軟磁性部材、また、非常に高い放熱性を持ったセラミックス製品等もございます。
一例として、先日報道発表させていただきました、オンボードチャージャーです。フラウンホーファーと世界最先端(のものを共同開発しました)。
従来の高効率のものに比べて、数倍高い高効率のオンボードチャージャーという製品の実例をお見せしました。また、パワーモジュール用では、パワー半導体に必須のSiN基板を準備しています。
これらを下から支える磁性材料事業も、新しいラインをこれからフルに活用していくところでございます。また、グローバルな生産体制の最適化いたします。結果として、事業成長と収益率の向上をともに図ってまいります。
3-9. 重点施策② 電線材料セグメント アクションプラン
また、電線材料はいたずらに売上を伸ばすことなく、重要5分野の自動車電装部品、マグネットワイヤ、医療、鉄道、FA・ロボット用電線。これらに特化して、収益性の高い事業として変えてまいります。
3-10. 重点施策③ 大型設備投資のフル戦力化
課題になっていました、2018年の中期計画の投資です。
安来工場の大型新営、電子材料クラッド材増産ライン、電線材料連続鋳造圧延ライン、磁石新ライン。このようなところは今、まさに刈り取りを始めるところでございます。お客さまと今一度ベクトルを合わせ、しっかりと伸ばしていき、キャッシュ・カウになる設備に変えていきたいと考えています。
同時に、すでに大きな投資は行いました。これからはしっかりと高成長・高収益分野への厳選投資に転換することで、しっかりとキャッシュを生み出す3ヶ年に変えてまいります。
3-11.重点施策④ フロント強化、顧客との協創
重点施策の4番目は、フロント強化、顧客との協創です。
ここに関しては、シナジーをしっかり発揮してまいります。営業は、お客さま目線でのプロジェクト(に取り組みます)。従来「次世代自動車部材」と言っていましたが、そこにPEC(パワーエレクトロニクス・コンポーネンツ)も、事業本部をまたいだ取り組みで進めてまいります。
また研究開発も、4つのディビジョン・ラボがあったのですが、これをそれぞれ、2つずつを1つのラボとして機能する取り組みをして、GRITと合わせて3つの研究所体制で取り組みます。
モノづくりのところも、しっかりと強化してまいります。日立の「Lumada(ルマーダ)」も今、新しい設備にはしっかりとすべて導入しています。これらを活用することで、横軸を通し、生産・仕掛りも含めた見える化を進めまして、最適生産に取り組みます。
残念ながら、ここ数年は安全成績も芳しくございませんでした。安全最優先のモノづくりを追求し、本質安全化に向けた投資もしっかり行ってまいります。これらを2つの事業本部で、先進ミクロ制御技術・先進機能部材設計技術を極めながら、取り組みを進めてまいります。
3-12. 重点施策⑤ 構造改革・経営基盤強化施策の実行
「『Only1、No.1』強化」と掲げました。それらを基盤事業として支える「Only1、No.1」の製品をここに書いています。
「基盤」とは呼びながら、ここも2021年度・2025年度に向けて、しっかりとした成長を描きます。その上に成長事業として、クラッド材・EPBハーネス・トルクセンサーと、航空機用部材・パワーエレクトロニクスをしっかりと伸ばし、同時に、撤退・売却を対象とした製品群・事業部門を持ちながら、筋肉質な体系でしっかりとした収益を伴う成長に、今一度置き換えていきたいと考えています。
4-1. まとめ①
以上を踏まえまして、「事業間シナジーによる収益率の向上」ということで、2つの矢印がございます。
18中期から21中期にかけて、わずかな売上の成長。それに対して、大きな収益性の向上。お客さまに価値を認めてもらえる製品群として、取り組みを進めてまいりたいと考えています。
4-2. まとめ②
あらためまして、「Only1、No.1」事業を作り出し、2021年度はここに掲げた数字を必達できるよう、2019年度上期からしっかりとお見せできるように取り組んで、進めてまいりたいと思います。以上です。