インスペックの概要(2018年10月31日現在)
菅原雅史氏:はじめに、弊社の概要でございます。本社は秋田県仙北市角館町にございます。創業が1984年。現在、東証二部に上場しております。
主な事業といたしまして、電子回路基板。いわゆるプリント基板と呼ばれるものです。その中でももっともファインな半導体向けのパッケージ基板、フレキシブル基板。
フレキシブル基板というのは範囲が広いんですが、そのうちでかなりファインな分野です。そういったものの外観検査装置……つまり、その回路が設計どおりにできているかどうか、欠陥がないかどうかを検査する装置のメーカーでございます。
連結子会社として、First EIE社。スイスのニヨンにございます。プリント基板の製造装置を作っているメーカーでございます。
従業員が連結で68名、インスペック単体で52名。(2018年)10月31日現在の人数でございますが、11月に4名ほどインスペックで増員しておりますので、現在は56名の体制になっております。
資本金が8億2,200万円。こういう資本金で、発行済株数が329万株。株主数は、10月末現在で1,994名という内容でございます。
2019年4月期 第2四半期 Topics
まず、この第2四半期のトピックスです。
今期は、期初に受注残を約15億円……正確には14億6,000万円。これだけの受注残を抱えてスタートしております。さらにこの上半期、第1四半期・第2四半期を合わせまして約11億6,000万円の受注を獲得しております。
つまり、今年度のインスペックの事業計画の販売目標であります数字を、十分達成できるだけの受注をほぼ抱えている状態で現在推移しております。
2019年4月期 第2四半期 業績ハイライト(連結)
さっそく、決算のハイライトでございます。
連結売上高が13億9,700万円。これは、前年同期と比べると約2倍で大きく伸びております。営業利益以下の利益面においても、前期比で大幅に改善しているというか、黒字を達成しております。
2019年4月期 第2四半期 業績ハイライト(個別)
次に、インスペックの単体でございます。
売上高が11億1,200万円、前期比約202パーセント(増)。営業利益・経常利益・四半期純利益も黒字で、1億円強の利益を達成しております。
セグメント別売上高
次に、セグメント別の売上高でございます。
まず、インスペックで11億1,200万円。このうち、ロールtoロール型検査装置が7億6,000万円で、約7割を占めております。このロールtoロール型検査装置は、過去の説明会でも何度か触れておりますけども、当社が戦略的にフォーカスして取り組んでおりまして、今後もかなり大きく伸びていくことが期待できるという判断で、取り組んでおります。
このロールtoロールが大きく伸びた理由でございますが、まず1つは、このロールtoロール型検査装置のニーズがかなり大きく拡大してきていることがございます。その理由といたしまして、まずスマートフォンが大きい市場なわけです。これが小型化・薄型化・軽量化という大きな流れの中で、今までのリジットタイプ……硬いかたちの基板から、フレキシブル基板はいたるところに使われるようになってきています。
もう1つの大きな流れとして、IoTの拡大がございます。これもまたさまざまなところで、いろんなセンサーが開発されていますけれども、とくに人体の身につけるものとか、あるいは狭いところ(で使うものや)、作りにくいかたちのもの。こういったものについては、フレキシブルな基板でないと対応できないということで、そういった市場が広がっていることがございます。
その広がっている市場の中で、当社がこの分野で受注を拡大しているもう1つの大きい理由は、競合があまりいない。ロールtoロール型検査装置は、当社はかれこれ14~15年前からずっとやっておりますので、技術の蓄積に厚いものがございます。そういったことがございまして、その結果として大きく伸びております。
我々としては、さらにここを評価して、この市場の伸びを先取りして、トップランナーとしてしっかりとシェアを獲得していくことを基本的な方針として、今後も取り組んでまいります。
セグメント別売上高推移
セグメント別の売上をグラフ化したものです。
今年度は第2四半期が全体としても伸びていますけれども、それを牽引したのはロールtoロールであると見て取れるかと思います。
個別月次受注状況の推移(毎月開示)
次に、受注の状況でございます。
毎月月初に発表しておりますので、ご覧になっている方も多いと思います。前年度に比べまして、順調に受注が伸びているということです。今年度も、これから受注していくものは期末の注残になるものがかなり多いわけですが、前期以上の受注を獲得するべく、現在日々営業活動を強化して実行しております。
四半期毎売上高営業利益推移
四半期ごとの営業利益率の推移でございます。
今期は第1四半期から営業利益が黒字でありまして、もちろん第2四半期も黒字ということで(状況が変わってきています)。従来、当社の事業形態はお客さまの年度予算に影響される度合いが多くて、第3四半期・第4四半期に売上が立つ傾向が強かったんですが、今期は注残が十分あったこととか、毎月の受注が必ずしも、期がスタートした直後に受注が極端に落ち込むこともあまりなく推移しておりまして、少し状況が変わってきたのかなと感じております。
そういうことで、今期はこれからしっかり注残を獲得していくことで、来期も四半期からしっかりとした結果を残せるように進めていきたいと思っております。
要約連結貸借対照表
続きまして、貸借対照表でございます。
トピックスといたしまして、現金及び預金が3億円強残高として現在あることと、のれんの償却の負担がだいぶ減ったことがございます。こういう結果として、全体でよりバランスの良い方向に徐々に変わってきていると言えるかと思います。
要約連結キャッシュ・フロー計算書
続いて、キャッシュ・フローでございます。
キャッシュ・フローにつきましては、フリーキャッシュ・フローが3億円強ある状態でございます。今期は第3四半期・第4四半期で、とくに大きい投資案件はないんですが、現在受注が非常に増えている結果、工場が手狭になってきていることで、あまり遠くない将来に工場の拡張が必要だということで、いろいろ検討を進めているところでございます。
研究開発費
続いて、研究開発費でございます。
研究開発費は、インスペック単体として、それほど大きな伸びは結果として出ていませんが、これには大きな理由がございます。ロールtoロール型検査装置が増えたことの結果として、従来精密パッケージ基板とか半導体向け検査装置は金額も大きかったんですが、カスタムのご要望も多くございました。受注案件の1件1件に対して、何がしかの開発要素あるいは設計要素がともないまして、それがものによっては研究開発費というかたちで積み上がることがありました。
ロールtoロール型検査装置はかなり標準化されておりまして、A社さんにお納めしたものとB社さんにお納めしたものが、ほぼ同じ。つまり、ロールtoロール型検査装置を必要とするお客さまの製品自体がかなり標準化されていることから、検査装置もほぼ同じものをご提供することができます。
結果として、1件1件で何がしかの開発費がかかる比率が、非常に小さくなっています。つまり、非常に効率の良い開発投資ができていることの現れでございます。
これについては、来年度以降また競争力を強化するということで、さまざまなテーマを持っておりますので、比率としては少し上下すると思いますが、効率の良い開発投資でもって業績を伸ばしていけるように努力してまいります。
2019年4月期 通期連結業績見通し
次は、連結業績見通しでございます。先週の金曜日に発表しておりますけれども、連結業績見通しを修正しております。
売上高は、連結で27億円だったものを29億1,000万円。営業利益は、2億3,600万円を2億6,000万円。経常利益は、1億6,800万円を2億1,000万円。当期純利益は、1億2,000万円を1億6,000万円ということで、修正しております。
この数字については、「少しコンサバ過ぎるのではないか?」というご指摘もいただいていますが、現時点で私どもが見通した数字の、しっかりした根拠に基づく修正になっております。
2019年4月期 業績見通し セグメント別売上高
業績見通しのセグメント別(売上高)ですが、一番牽引しているのはインスペック本体。計画では20億円の売上だったものが24億円ということで、インスペックの業績が連結ベースの結果を大きく牽引していると言えると思います。
今後の経営戦略
続きまして、インスペックの成長戦略です。現状から、今後どういう取り組みでインスペックの事業あるいはグループの事業を成長させていくかについて、ご説明申し上げたいと思います。
まず、引き続きフレキシブル基板、COF。IoT関係・センサー関係向けのロールtoロール型検査装置を徹底して攻め込んで、さらに競争力を強化してここを大きく伸ばしていくことを考えております。
中期的な戦略として人工知能、AIへの取り組みがございます。これもあまり大きくは書いておりませんが、2年半ぐらい前から当社では専任のエンジニアを配置して、「どういったことができるか?」というところからスタートして、現在は検査装置の機能の一部をAIで実行するところまで進んできております。
あと3年、4年、5年ほど経つと、検査のうちのかなりの部分をAIが担っていく時代がくるだろうと思っておりまして、社内の技術としてしっかりと取り組んでまいります。
世界は劇的に変化している!
これはもうみなさんご存じのとおり、今ITの分野でさまざまな大きなうねりがあって、こういったうねりの背景でその電子回路に使われる基板がどんどん増えていって、検査装置の需要も高まってくる。
さらに大きな動きとして、自動車の電子化。自動運転から、現実にブレーキが自動でかかることも実現しておりますが、今後自動運転になり電気自動車になり……ということで、加速度的にこういった需要が広がってくると考えています。
さっき触れたAIですが、AIを現実的に活用するためのコンピューター……もうスーパーコンピューターと言っていいと思いますが、そういったもの向けの半導体も非常に増えています。
ですから、フレキシブル基板の話ばっかりしましたけれども、実はハイスペックの半導体も今後さらに増えていくだろうということは、おそらくみなさんもご承知のことと思います。
スマートフォンに使われているFPC
そういった中で、フレキシブル基板がどれだけ今スマートフォンに使われているのかが、この写真に現れています。実はこんなに使われていることが、お分かりになると思います。
しかも、今はこれが全世界で年間14~15億台。毎日数十万台……百万台に近いと思うんですが、毎日毎日それだけの数が使われているということです。小さい部品なんですが、莫大な量を作らなくてはいけない。こういったことがあるので「ロールtoロールなんだ」と、繰り返しになりますが、そういうことでございます。
輸送機分野におけるFPC化の必要性
そしてもう1つ、みなさんに知ってほしいと思っていますのは、実はこのページでございます。
自動車がこれだけ電子化していくと、実は配線の数が膨大になっておりまして、フレキシブル基板メーカーさんが「なんとか、フレキシブル基板に置き換えられないだろうか?」という自動車メーカーからのご要望に応じて、いろいろテストをしています。
右側にあるのは、デュポン社のホームページにある写真なんですが、ごく一部の自動車の配線をフレキシブル基板にするとこうなります、という例です。おそらくこの流れは、今後かなり大きく出てくると思います。
その自動車の配線(が左側にありまして)、これを見てもけっこう長いなと思いますが、実は自動車の乗用車の中で一番長い配線は、6メートルあるんだそうです。6メートルをつなぐフレキシブル基板は当然6メートルあるわけでして、「では、それをどうやって検査するんだ」となったときに、長いものを一気に検査できるのは、唯一ロールtoロール型検査装置になるわけです。
こういうことで、この分野は間違いなく伸びるのではないかということで、私どもも注視しております。メーカーの開発担当の方とも頻繁に意見交換をしておりまして、お客さまが必要とするときに、「すでに検査装置があります」というふうに持っていきたいなと考えております。
あともう1つは、航空機でございます。飛行機の国際線に乗ったことのある方はだいたい分かると思いますが、すべての座席にディスプレイがついて、キーボードみたいなものがついています。それはイコール、すべてコックピットの近くのシステムから配線がつながっているということなんです。
これは、乗用車の6メートルどころではない、ものすごい長い配線が必要です。そういったものもフレキシブル基板で置き換えていく流れが、実はすでに出始めておりまして、まだごく一部ですけれども、今後は非常に伸びていくだろうと私どもは予測しております。
こういったものを含めて、私どものお客さまになっていただくように、今後積極的に取り組んでまいります。
主要3分野の製品戦略
当社の代表的な製品ということで、ロールtoロール型検査装置です。21ページに、3つの分野を書いています。
前回の説明会のときまでは、「3つの分野にフォーカスして取り組んでいきます」というお話をだいぶしましたけれども、1番と2番は技術的にはほぼ共通した技術で、現在はどちらも注文をいただいております。
3番は、CPU向けとかAIのディープランニングに使うコンピューター向けのハイスペック半導体用の基板になります。もちろん、これも商談をいただいておりますし、受注もしておりますけれども、やっぱり圧倒的にこれから伸ばしていくべきは、ロールtoロールだろうと思っております。
理由はさっき申し上げたように、まず競合があまりいない。それから、今後の伸びしろが大きいということで、これに注力してまいります。
AI取り組み:AI(人工知能)の活用で出来ること
あと、インスペックの紹介の最後のところですが、現在はAIをこういうふうに活用してますというご紹介です。
検査装置で検査をすると、いろいろ欠陥の候補がデータとして出てくるんですが、お客さんの工場の環境があまりよくないと、これのいくつかは、単に「ものすごく小さいゴミがついただけ」というものが、けっこうあります。お客さんによっては、「(検査結果の)6~7割はゴミがついただけ」というのがあります。
洗浄すると良品になるので、二次検査として確認用の装置があって、顕微鏡のような倍率の高いもので、作業者がデータに基づいて自動的に顕微鏡に動いていくので、パッパと見ながら確認していく作業をやっています。
どれぐらいやっているかというと、確認作業用の装置のメーカーがあって、年間2,000台とか3,000台売れています。それだけ人が掛かっているんですけれども、欠陥のデータは我々の検査装置で全部収集できますので、我々はこのビッグデータを手に入れられる立場にあるわけです。
これをディープラーニングで学習させることによって置き換えられるだろうということで、1年半ほど前から取り込んで、かなりの精度を出せるようになってきております。
そろそろお客さんにご提案できるレベルにかなり近づいているということで、こういったAIの中の1つの取り組み(として行っているもの)ですが……実用的にコストが下がるAIの使い方は、実はあんまりないです。これを私どもの1つの大きな特徴として提案していこうと考えて、取り組んでいるところでございます。
First EIE社 製品ラインナップ
最後に、スイスの会社のFirst EIE社について、簡単にご紹介いたします。
プリント基板の製造装置を作っておりまして、製造装置の中でもっとも重要な配線の原版の版を印刷する、あるいは焼き付ける装置を「フォトプロッター」といいます。レーザーで無色透明の強度のあるフィルムに、配線パターンを焼き付けていく。それを原版にしてプリント基板を大量生産するときに、ペタッと密着させてピカッと光らせて転写していく基となるものを印刷する装置が、メインの商品でございます。このあたりは今後、インスペックと協力して、新製品の開発にうまく活かしていきたいなということで、いろいろと企画をしているところです。
インスペックから見て、現時点で何にメリットがあるかというと、ロールtoロールは今後自動車関連・IoT関連で今までのように、エレクトロニクス(の市場)はアジアみたいなかたちがありましたが、IoTとか自動車産業になっていくと……ヨーロッパ市場は非常に大きい市場です。
First EIE社のグローバル拠点を活用
こちらに当社の製品を展開していくと考えたときに、販売拠点あるいはサービス拠点として、今スイスにあるEIEが重要な役割を果たしていけるのではないかなという視点で、来期以降の事業戦略を1つ構築していきたいと考えているところでございます。
以上で、インスペックの2019年4月期第2四半期の決算説明を終了させていただきます。ご清聴、どうもありがとうございました。