2018(平成30)年3月期第2四半期決算説明会

横田信秋氏:代表取締役社長の横田です。本日はご多忙のなか、弊社の2018年3月期第2四半期決算説明会に多数お集まりいただき、誠にありがとうございます。

本日は、私から連結決算の総括、今期の連結業績予想、10月26日に発表した東京国際空港ターミナル株式会社の第三者割当増資引受に関する内容。そして現在進めている、羽田空港国際化投資などの中期経営計画に取り組み状況についてご説明いたします。

2018年3月期第2四半期 連結決算総括

はじめに第2四半期連結決算についてご説明いたします。

今期の事業環境としては、訪日外国人は2017年に入っても継続的に増加しており、また訪日外国人による旅行消費額も大幅に伸びています。

とくに羽田空港においては、前年10月末から米国便の日中時間帯での増便があったことから、国際線の旅客数の増加傾向が続いております。

また国内線においても、前年の熊本地震からの航空旅客の回復や国内線と国際線の内際乗継客の増加傾向が続き、ともに予想を上回る伸びとなりました。

外国人旅行消費額の動向についても、官公庁の統計では2017年度上期累計で初めて2兆円を超えまして、前年同期比で約20パーセント増加しております。そのうち買物代総額の支出でも、20パーセントの伸びがみられました。

そして当社の物品販売業に大きく影響している、中国人の1人あたり買物代についても、4.7パーセント増となっており、為替相場の円安基調が続くことも影響して、総じて良好な事業環境でございました。具体的な各項の旅客数の実績はスライドのとおりです。

2018年3月期第2四半期 連結決算総括

このような環境の中、2018年3月期第2四半期の連結業績については、国内線・国際線の旅客数の増加と、インバウンド需要のさらなる拡大のなかで、施設管理運営業、物品販売量、飲食業、すべてのセグメントにおいて増収増益となりました。

売上高は1,080億円、営業利益は67億円、経常利益は87億円、当期純利益は61億円とすべての区分で、2015年度上期の過去最高額を更新しました。

売上高をセグメント別に前期実績と比較すると、施設管理運営業については、国内線の旅客数量による施設利用収入や、羽田国際線ターミナルでの業務受託収入が増加するなどして16億円の増収。

物品販売業では、関西国際空港での一部店舗の契約形態の変更による減収がありましたが、羽田空港の国内線売店、国際線売店での商品売上高の増加。銀座の市中免税店での、全社挙げての販売対策による増加などにより61億円の増収となりました。

飲食業については、羽田国際線ロビーでの飲食店舗の売上が増加したことなどにより4億円の増収となりました。

以上の結果、全体の売上高は前期比82億円の増収となりました。

利益面では、売上高の増収に加え、市中免税店の施策実施による費用削減効果があったこと、また全社的なコスト削減の取り組みを進めたことで、営業利益は22億円の増益、経常利益は25億円の増益、当期純利益は18億円の増益となりました。

また本年5月に発表した当初予想との比較では、売上高や航空旅客数が当初予想を上回り堅調に推移したことにより、空港免税店や市中免税店での商品売上が予想を上回ったこと。

利益面については、商品売上などの増収にともなう増益に加えて、上期に予定していた業務委託費や修繕費等の一部で費用の発生時期が下期に変更になったことで、営業利益は上振れし、さらに持分法投資利益が当初予想を上回ったことで、経常利益も上振れいたしました。

2018年3月期 連結業績予想(1)事業環境

続いて、通期の業績予想についてご説明いたします。

下期の事業環境としては、中国当局による日本への団体客に渡航制限がかけられているという情報もふまえて、中国人旅客の動向に今後も注視が必要と考えておりますけれども、訪日外国人全体としては継続しての増加を見込んでおります。

また、免税店での購買単価は回復傾向が続いており、為替相場での円安基調などにより、引き続き中国人をはじめとした訪日外国人の購買客数単価は伸びるものと見込んでおります。

なお中国当局による渡航制限については、上期業績での空港免税店、市中免税店での影響は見られませんでしたが、下期についても引き続き情報収集に努めてまいりたいと思います。

旅客数についても、上期の傾向をふまえて旅客数予測を上方修正しています。

具体的な空港別旅客数予測は、羽田国内線では下期も内際乗継客や出張個人旅客の増加を見込み、通期ベースでは前期比3.5パーセント増。羽田国際線は、米国便増便の影響は一巡するものの、深夜時間帯の増便や搭乗率のさらなる増加を見込み、通期ベースでは前期比10パーセント増。羽田国際線や関西国際線も引き続き、旅客の増加を見込んでおり、通期ベースでそれぞれ前期比3.9パーセント増、10.8パーセント増と予測しています。

2018年3月期 連結業績予想(2)通期連結業績予想

通期の業績予想はこちらのとおりです。引き続き、免税売上を中心に物品販売業、飲食業の売上を伸ばしつつ、現在進めております

羽田空港の国際化に向けた施設拡充にあたり、安全対策を含めた先刻投資を強化して、来るべき2020年に向けて足下を固めていきたいと考えております。

下期においても、売上高はさらに上方修正をしましたが、安全対策のための修繕工事を追加するとともに、上期からずれ込んだ費用の発生、また地域経営計画の経営戦略の3本の柱を支える実践基盤の整備のための費用の出費や、今後の利益増につながる投資を進めるなどして、下期の利益面での予想は若干下回るものと見ております。

営業外損益でも、下期では持分法投資利益を上方修正いたしましたが、資金調達費用への下期へのずれ込みなどがあり、経常利益も下回るものと見ております。

これらの内容をふまえた通期業績予想として、売上高は当初予想より104億円増の2,190億円。営業利益は当初予想より12億円増の117億円。経常利益は当初予想より18億円増の146億円。当期純利益は当初予想より14億円増の103億円としております。

次に、配当についてご説明いたします。

第2四半期末の予想配当金は、1株当たり18円としておりましたが、インバウンド需要のさらなる拡大により、第2四半期では過去最高額の利益を更新したことから、2円増配して1株当たり20円とさせていただきました。

期末配当金についても、第2四半期末と同様に前回予想から2円増配して、年間配当金を40円とさせていただきます。

配当性向については、通期の配当性向が31.5パーセントとなり、配当性向30パーセント以上を継続してまいりたいと思います。

今後の配当については、2018年度に東京国際空港ターミナル株式会社(TIAT)が、連結子会社に加わる予定ですので、連結後の財務諸表を検討したうえで、考え方をとりまとめさせていただきます。

ただし、当社の基本方針である、安定した配当を継続して実施すること、株主のみなさまに積極的な利益還元を行う考え方に変更はございません。

今後もこの基本的な考え方に基づき、連結後の財務諸表や業績見通しなどの諸条件を総合的に勘案して決定することといたします。

2018年3月期 連結業績予想(3)セグメント別業績予想(売上高)

続いて、セグメント別業績予想(売上高)です。施設管理運営業については、羽田国際線業務受託収入などが増加して、当初予想より18億円の増加。

物品販売業については、市中免税店での売上目標を上方修正したことや、羽田空港、成田空港における直営店舗の卸売りをさらに上方修正して、当初予想より77億円の増加。

飲食業については、羽田空港での旅客増にともなう飲食店舗売上が上回るものと見て、当初予想より9億円増加するものと予想しております。

外国人旅客の国籍別購買動向や、セグメント別の営業利益などについては、お配りしている補足資料をご覧いただければと思います。

東京国際空港ターミナル(株)の第三者割当増資引受について

次に、本年9月15日、10月26日に東京証券取引所に情報開示した、東京国際空港ターミナル株式会社(以下、TIAT)の第三者割当増資引受のお知らせについてご説明いたします。

今回の第三者割当増資引受の背景としては、現在国土交通省では首都圏空港の機能強化(国際線の発着枠増枠)について、より多くの住民のみなさま方にご理解をいただけるように、説明会などを通じ丁寧な情報提供を行っているところです。

このような状況の下、TIATは増加が予想される国際線旅客に対応するためのターミナルビル拡充計画に着手し、それに要する資金の一部を新株発行により調達することといたしました。

これを受けて、当社はTIATの代表企業としての責務を果たして、本事業のさらなる確実な実施に向けて協力していくために、TIATの株式を追加取得することとしました。

株式の追加取得をすることにより、当社の株式持分が51パーセントになることから、TIATは現在の持分法適用会社から連結子会社になります。

払込期日は2018年4月27日と予定されておりますので、2018年度からTIATは連結子会社になる予定です。

TIATは、PFI事業の枠組みにおける特別目的会社であることから、ガバナンス体制や出資株主各社が、TIATへの責務を十分に果たせる体制を維持しますけれども、当社は、今後はTIATとの連携をより一層強め、羽田空港の最大の特色である国内線・国際線のハブ機能を十分に発揮した利用者利便のさらなる向上、そして、内際ターミナルの一体運用による効率的なターミナル運営を進めてまいります。

連結化による課題としては、現中期経営計画に掲げる目標・指標に関して、資産が大きくなることによるROAへの影響。またTIATの負債が、自己資本比率を低下させる影響が懸念されるところです。

一方で、メリットですけれども、当社グループはかねてより、国内線・国際線の分け目なく、すべての空港関係社と連携して、オール羽田で旅客ターミナル機能の向上に取り組み、安全対策もすばらしいと言っていただけるよう、さらなる高みを目指してまいりました。

今後はグループ組織として連携して、より一層一体的な関係となることで、利用者利便をさらに向上させる施策に取り組むことができるものと考えております。