2018年2月期第1四半期連結業績
長谷川拓磨氏:社長の長谷川です。みなさん、本日は当社の第1四半期の決算カンファレンスコールにご参加いただきまして、ありがとうございます。それでは今期の第1四半期の決算についてご説明させていただきます。
当社の第1四半期の業績は、前年度から大幅な減少となっていますが、会社の通期の予想というところでは、計画どおり順調に推移しています。
減少になってしまった大きな理由は2つほどございます。まず1つは、前期は当社の投資顧問の方で運用させていただいている、(いちご)オフィスリートに290億円ほどの譲渡がありましたが、今期はなかったというところと、(外国株式)CIAM(サイアム)の売却の特別利益24億円がなかった点です。
先週7月7日に公開させていただいていますが、大型の心築(「新築」の意。「心で築く、心を築く」を信条としており、「心築」と表現している)案件の売却に向けた契約の締結を発表させていただいています。
第2四半期時点においては、前期比並みの進捗というところも見えていますし、先ほども申し上げましたが、通期でいくと順調に進捗しているという状況です。
各セグメントにおける損益内訳
セグメント別の損益についてご説明させていただきます。当社3つのセグメントにおいて、アセットマネジメントの期中運用フィーは、即収益としては順調に積みあがっています。
心築およびクリーンエネルギー事業の収入については、前年比でいくとマイナスになっています。要因としては、昨年は先ほど申し上げたオフィスリートの売却でアセット300億円ほどの賃料収益がありました。
今期についてはその部分で同じぐらいのバランスシート上の残高は残してありますが、物件を買ったタイミングであったり、新しく買った物件の利回り、このあたりが若干賃料収益としては昨対比でマイナスになっているということです。
クリーンエネルギー事業についても、昨年物件を拠出したことに伴って、売電収入が一時的にマイナスになっているということです。
ストックとフローを融合したハイブリッド収益モデル
今期予想として、ストック収益とフロー収益の合計260億円に対して、今の進捗が40億円というところです。内訳としては、(ストック収益)29億円と(フロー収益)10億円ぐらいというところです。
繰り返しになりますが、昨年比でいうと、昨年はフローで大きな利益が出てきている部分が、今期はまだ80億円ほどの売却しかなくて、それに伴った利益も10億円程度というところなので、こういった進捗になっています。
強固な事業モデルを支える財務の健全性
財務の状況です。借入期間は10.8年から10.6年というところで若干下がっていますが、引き続き長期の借入が実現できています。
借入の条件につきましても、前期末1.24パーセントから1.14パーセントというところで、引き続き当社にとって資金調達は良い状況が続いています。
続きまして、第1四半期のトピックスに入らせていただきたいと思います。
資産順回転の進展
資産の順回転の進展ですが、第1四半期において不動産取得が123億円。物件数としては11物件。内訳はこちらに書いてあるとおりです。
売却については70億円ということで、順調ではありますが、第1四半期については若干物件の取得の方が多くなっています。
株式会社セントロのM&A
先日発表させていただいていますが、株式会社セントロのM&Aを実施させていただいています。株式会社セントロの事業は大きく(分けて)3つあります。
1つは、いちごオーナーズとのシナジーの高い5億円前後の小ぶりな不動産、地域不動産の取得、そしてバリューアップをして売却するという事業。 もう1つ、ストレージ事業というのを展開しています。今、全国で20店舗ぐらいのストレージ事業をやっていますが、こちらも当社のグループになっていただく中で、新たなアセットタイプとしてしっかりバックアップしていきたいです。
小さい物件であればいちごオーナーズへの新たな収益不動産の提供、大きい物件であればリード事業というところまで夢をもってしっかり成長させていけたらいいなと考えています。
最後の1つは、ポテンシャルというところになると思いますが、農業事業をやっていますので、アグリテック(農業とテクノロジーの融合)というかたちで、当社もこの分野にも新たにチャレンジしていけたらいいなと考えています。
大型心築資産の外部売却
先ほど、「第2四半期で実現する」と申し上げた、大型のアセットの売却です。この物件についての詳細をもう少しご説明させていただきたいと思います。本件は2007年、約10年前に物件の取得をさせていただいています。
案件といたしましては、旧耐震の物件ではありましたが、耐震の診断はしっかりしながら、問題はなかったのですが、当社が買った後、一部補強もさせていただいています。
テナント様といろいろ議論をさせていただきながら、当社としてはいろんなアップサイドのバリューアップのシナリオがあったのですが、再開発が一番この案件の最大のバリューをあげることだろうということもあり、持っている最中にテナント様と交渉させていただいて、普通借家契約から定期借家契約にまき直しをさせていただいています。
本件の物件の売却をいろいろと打診をする中で、大変多く引き合いがあったものですから、今回、当社といたしましては物件の売却に踏み出していただいたというところです。契約は先日も申し上げたとおり、7月7日の金曜日です。決済は今月末を予定しています。
数字的には、売上ベースで142億円、売上総利益が73億円、税理後の当期純利益が50億円を見込んでいます。
私どもは今、心築の事業を展開していますが、基本は中古のビル、場合によっては旧耐震のビルを、しっかりと安心安全なアセットにしながら、物件の賃料を上げたり、いろんなかたちで価値を上げていくことに取り組んでいます。
また場合によっては、今回の案件のように、最終的には建物を取り壊す方向で、土地からもう1回再開発をするような心築というものにも取り組んでいます。
そういった意味では、心築の新たなバリエーションとしての本件のご開示とともに、今後こういった心築にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。
いちごオフィス(8975)の戦略的な資産入替
いちごオフィスの物件の提供というところのトピックスです。本件はいちごオフィスからオファーがあり、私どもが持っている物件のいくつかを、ぜひ提供いただけないかというオファーがあったものですから、当社が持っているオフィス物件3つを提供させていただいてます。
代わりに当社は、彼らが持っていたサービスアパートメントプラス商業ビルを取得させていただいています。
当社はこの4物件については、キャペックスをかけたり、いろいろ心築を施して、さらなるバリューアップをかけさせていただきたいと考えています。
いちごグリーン(9282)のEPS成長
いちごグリーンのEPS成長です。彼らは今回、レバレッジで新たに物件の取得をしていますが、山口の2つの物件を提供させていただいています。
いちごグリーンにとっては、地域分散に寄与するというところと、10年予想のEPS(加重平均)についても大幅増というかたちで発表しています。
いちごが運用するJ-REITの安定成長
今回、いちごオフィス14期連続の増配が確定いたしました。引き続き内部成長をしっかりしながら、投資口価格の向上を図っていきます。いちごホテルREITについても、今、こういったかたちで内部成長、分配金の向上を図る取り組みを、心築も含めてさせていただいています。
いちごオフィス(8975)におけるサステナビリティの推進
今回、いちごオフィスのサステナビリティの推進を(トピックスに)あげさせていただいています。
今回は環境と社会の維持というところで、いくつかの取り組みをさせていただきました。CASBEE、DBJ Green Building、BELSの認証を取らせていただいています。
こういった取り組みの中で、当社は中古のビルではありますが、しっかりとストックを生まれ変わらせて、価値を向上していくという取り組みを、引き続きグループ一丸となって、やってまいりたいと考えています。
いちご赤坂317ビル
これは心築のトピックスですが、いちご赤坂317ビルというビルです。3年前に物件の取得をいたしまして、当時事業会社様がお持ちの自社ビルだったのですが、全面的にリニューアルをして、賃貸不動産として生まれ変わらせていただいています。
1階部分が店舗としてまだ空いていましたが、今回新しいテナント様の取り組みがあったので、ご紹介させていただきます。
赤坂という立地の中で、いろんなテナントのニーズがありました。今回は1階の店舗が不整形だということもあり、いろいろマーケティングをする中で、横丁形式のバルということをさせていただいています。
物件の価値向上で言うと、入口3パーセントの前半ぐらいで物件を買わせていただきましたが、結果的には、価値向上を図って約NOIで7パーセントぐらいというかたちの物件の価値向上をさせていただきました。買った価格の約倍ぐらいに上がったのではないかなと思っています。
クリーンエネルギー事業の進展
クリーンエネルギー事業の進展です。いちご昭和村生越ECO発電所については、工事が無事完了いたしています。
今月の頭から試運転を開始しており、売電もこの秋口ぐらいから開始を考えています。想定のNOIでいくと、約14億程度を見込んでいます。
新規の取り組みとしては、いちごみなかみ新巻ECO発電所の案件ですが、こちらが来月8月の着工、2019年の4月売電開始で、着々と開発が進んでいます。
風力発電についても、こちらに示しているとおり、引き続き風況調査を行って、新たなメガソーラーに続く、第2のクリーンエネルギー事業の進展を図っています。
自己株式取得結果
最後に、自己株式取得のご報告です。マーケットの状況も見ながら、今回、自社株買いをさせていただいています。金額としては15億円。発行済の株式としては約1パーセントです。
平均取得単価としては324円でやらせていただきました。今後も自社株買いについては株価を鑑みながら、いろんな選択肢を常に意識しながら考えていきたいと考えています。
第1四半期の説明としては以上です。ありがとうございました。