2017年8月期第1四半期業績および通期見通し
司会者:それではお時間となりましたのではじめさせていただきます。
株式会社ファーストリテイリング、2017年8月期第1四半期の業績および通期見通しについてご説明をさせていただきます。本日のスピーカーは1名となります。弊社CFO岡﨑健でございます。
岡﨑健氏(以下、岡﨑):よろしくお願いします。
まず私から第1四半期の業績および通期見通しについてひととおりご説明致します。まずスライドの3ページをご覧ください。
(連結)2017年8月期第1四半期実績
2017年8月期第1四半期の連結業績ですが、売上収益は5,288億円、前年同期比1.6パーセント増。
売上収益から売上原価、販管費を控除して算出した事業そのものの収益を示す事業利益は、864億円、14.4パーセント増。
営業利益は885億円、同16.7パーセント増。
税引前四半期利益は1,042億円、34.2パーセント増。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は696億円、45.1パーセント増と、増収増益となりました。
売上収益は計画に対して若干下回っておりますが営業利益のほうは上回って推移しております。
(連結)第1四半期 営業利益
次のスライドにまいります。連結の損益計算書のポイントについてご説明をいたします。
売上収益は5,288億円、前年同期比85億円の増収となりました。海外ユニクロ事業が若干の減収となっておりますが、これは為替レートが前年の第1四半期に比べて平均で約16パーセントの円高となり、業績を押し下げたためです。なお、現地通貨ベースでは計画通りの増収というかたちになっております。
売上総利益率は51.2パーセントと前年同期比で横ばいとなりました。これは国内ユニクロ事業、海外ユニクロ事業で粗利益率が改善した一方で、グローバルブランド事業の粗利益率が低下したためです。
売上販管費率は34.8パーセントと、同1.8ポイント低下をいたしました。これは主に海外ユニクロ事業で3ポイント低下したためです。事業利益は864億円と14.4パーセントの増益となりました。
その他収益・費用の合計は20億円のプラスとなっております。これは主に11月末の為替レートが期首に比べ円安となったことにより、海外子会社の仕入れに関わる一時立替金などに為替差益が21億円発生したこと。1月に閉店した米国の1店舗閉店に伴う除却損・閉店損が2億円発生したことによります。
(連結)第1四半期 親会社の所有者に帰属する四半期利益
これらの結果、営業利益は885億円、16.7パーセントの増益となっております。
次に金融損益ですが、期首に比べ為替が円安になったことから、外貨建資産などの換算額が増加し、金融損益はネットで156億円のプラスとなっております。
この結果、税引前の四半期利益は1,042億円と同34.2パーセント増。親会社の所有者に帰属する四半期利益は696億円、45.1パーセント増と計画を上回る大幅な増益となりました。
セグメント別 第1四半期実績
スライドの6ページですが、こちらはセグメント別の業績になります。
各セグメントの詳細について、次のスライドからご説明をしてまいります。スライド7に行きます。
国内ユニクロ事業 第1四半期実績
まず、国内ユニクロ事業の第1四半期の業績ですが、売上収益は2,388億円。前年同期比3.4パーセント増。
営業利益は456億円、同1.8パーセント増の増収増益となりました。売上収益はほぼ計画通りの水準でしたが、営業利益は計画を若干上回っております。
国内ユニクロ事業 売上収益の状況
スライド8ですが、国内ユニクロ事業のEコマースを含む既存店売上高は、前年同期比で2.5パーセントの増収となりました。
9月、10月は気温が高く推移したため、秋冬商品の需要が弱く、既存店売上高は減収となりました。一方で、11月は気温が前年より低下したこと、感謝祭での販売が好調だったことから売上が回復し、大幅な増収に転じました。
とくにカシミヤセーター、ヒートテック、アウター類などの冬物コア商品の販売が好調で、増収に寄与しております。既存店売上高の内訳は、客数で3.7パーセントの増加。客単価で1.1パーセントの減少です。
客数は第1四半期の3ヶ月間を通して、客数の改善傾向が続いています。客単価はボトムスの構成比の伸びの影響や、一部の商品で値下げを実施したことから減少しましたが、11月からは単価の高い衣類やカシミアセーターの販売で客単価のほうも増加しました。
Eコマースの売上は11.3パーセントの増収でした。前年に比べて伸び率がやや鈍化しておりますが、これは繁忙期において翌日配送サービスを中止したことによります。
先日発表した既存店売り上げ高は−5パーセントと若干下回りましたが、1月の初売りは非常に好調でお客様にご来店をいただいております。
国内ユニクロ事業 売上総利益率
次に9ページですが、国内ユニクロの総利益率です。
51.1パーセントと前年同期比で3ポイント改善いたしました。これは、計画に対して上ブレをしております。
粗利益率が計画に対して改善したのは2016年春から開始した、「毎日お買い求めやすい価格戦略」を徹底したことで、限定値引率が減少したことによります。
また、今年の感謝祭は昨年と比べて3日間増えましたが、値引率のほうは計画通りにコントロールすることができました。
なお、一部秋冬商品の値下げを実施したところ、原価率は上昇いたしましたが、値引率を事ロールすることで吸収をしております。
国内ユニクロ事業 販管費
10ページです。売上販管費率ですが、31.8パーセントと前年同期比0.2ポイント上昇しました。
物流費の比率は上昇しておりますが、物流費以外での経費削減が進んだことから、経費が金額ベース、売上比率ベースとともに計画通りの水準になりました。
物流費が0.9ポイント増加しておりますが、これは有明倉庫の賃料および、物流改革に伴う一時的な費用が増加したためです。物流費は金額ベースでも計画を若干上回っております。
一方で、物流費を除く各費用の項目では、経費削減が計画以上に進んでおります。
具体的には出張旅費、水道光熱費、依託費などの削減によってその他の経費で0.3ポイント改善、チラシやテレビCMなどの広告の効率化によって広告宣伝費で0.2ポイントの改善ができました。
海外ユニクロ事業 第1四半期実績
11ページから海外ユニクロ事業についてご説明してまいります。
売上収益は1,965億円、前年同期比0.2パーセント減。
営業利益は301億円、同44.6パーセント増と営業利益は計画を上回る大幅な増益を達成いたしました。
なお、為替による業績の押し下げ要因は16パーセントとなっております。
セグメントの売上収益は、前年同期比0.2パーセントの減収となっておりますが、為替の影響を除いた現地通貨ベースでは、すべてのエリアにおいて計画通りの増収を達成しております。
海外ユニクロ事業 各エリアの業績トレンド
海外ユニクロ事業は各エリアで順調・着実に事業を拡大しております。
収益面では粗利益率が改善したこと、経費削減の実施により営業利益率が改善、営業利益は計画を上回る大きな増益となりました。
エリア別ではとくにグレーターチャイナ、東南アジア、オセアニアの増益が大きく寄与しております。
海外ユニクロ事業の11月末の店舗数は前年同期末比で145店舗純増し、1,009店舗と、2001年秋に海外1号店を出店してからの16年目で1,000店舗を突破いたしました。
海外ユニクロ事業 各エリアの業績トレンド
次に12ページですが、各エリアの業績トレンドについてご説明します。
中国大陸、香港、台湾といったグレーターチャイナは為替の押し下げ要因で減収となりましたが、営業利益は計画を上回る大幅な増益となりました。
まず、中国大陸ですが、中秋節や国慶節などの祝日に合わせたキャンペーンが成功したため、現地通貨ベースでの既存店および、売上収益は増収となりました。
また、値引きをコントロールしたことで粗利益率は改善したこと、経費削減を進めたことによって計画を上回る大幅な増益となりました。
香港は現地通貨ベースで増収高は増収に転じております。また粗利益率の改善、経費削減によって予想を上回る増益となりました。
台湾は景気低迷が続いていることから、既存店売上高は減収となりましたが、経費削減を進めたことで増益を確保することができています。
韓国は消費低迷の影響が継続しているため、現地通貨ベースでの既存店売上高は減収となりました。ただし、値引率を抑えたことによる粗利益率の改善、経費削減が進んだことによって、営業利益はほぼ計画どおり、若干の増益となっております。
東南アジア・オセアニア地区は、計画を上回る大幅な増収増益を達成いたしました。とくに東南アジア地区の売上が好調で、既存店売上高は2桁増収を達成し、粗利益率・経費比率ともに改善、計画を上回る大幅な増収増益となりました。
2016年9月には、東南アジア初となるグローバル旗艦店「オーチャード・セントラル店」をシンガポールに出店し、現地でのユニクロのプレゼンスが高まってきております。
米国は、ほぼ計画どおり、赤字幅が縮小いたしました。既存店売上高は前年並みにとどまりましたが、粗利益率が大きく改善しております。なお、1月に1店舗閉店し、店舗閉店損を約2億円計上しております。
9月30日に初出店したカナダですが、オープンした2店舗とも非常に好調なスタートとなり、計画以上の売上を達成しております。
ヨーロッパは、ほぼ計画どおり、営業利益は前年並みとなりました。既存店売上高は横ばい。粗利益率・経費比率もほぼ前年並みとなっております。
出店に関しましては、この第1四半期にフランスで5店舗、ロシアで3店舗出店し、着実に事業を拡大してきております。
グローバルブランド事業 第1四半期実績
グローバル事業の第1四半期の業績についてご説明をいたします。
売上収益は927億円、前年同期比1.1パーセント増。営業利益は95億円、同22.7パーセント減と、増収減益の結果となりました。これは売上収益・営業利益ともに計画を下回る水準です。
ジーユー事業は、増収減益の結果となりました。これは売上収益・営業利益ともに計画を下回っております。第1四半期の既存店売上高は計画を下回るものの、前年同期比で微増となりました。
9月は、気温が高く推移した影響で秋物商品の立ち上がりが悪く、大幅な減収となりました。10月以降は、コーディガンやMA-1ブルゾンなどのトレンド商品が好調だったために、増収となっております。
営業利益が減益となった要因は、粗利益率の低下と経費比率の上昇によります。前年は売上が好調で値引きが低かった一方で、今年は、売上が計画を下回ったことから、秋物商品の処分を早めたことで、粗利益率が低下いたしました。
また、広告宣伝費を中心に経費削減を進めたものの、人件費・物流費が増加したため、経費比率が上昇しております。
セオリー事業の営業利益はほぼ計画通り、前年並みとなっております。
コントワー・デ・コトニエ事業の営業利益は計画を下回り、こちらも前年並みとなっております。
プリンセス タム・タム事業、J Brand事業についても、ほぼ計画どおりの業績で、こちらのほうは赤字が継続をしております。
ジーユーの春物商品
ジーユー事業について若干補足をさせていただきます。
ジーユー事業の秋冬シーズンは苦戦をいたしましたが、足元では春物商品が順調な立ち上がりとなっております。
とくに今年はデニムボトムズがトレンドとなっておりまして。例えば、ワイドのデニム、デザインデニム、スキニーデニムといったボトムズ商品の販売が好調に推移をしております。
また、それに合わせましたビッグスウェットプルパーカーなどのスウェット群も人気の商品となっております。また、秋冬から続いておりますMA-1ブルゾンの需要が引き続き堅調で、春物でもMA-1ブルゾンの販売は好調です。
春夏の商売からは、マーケティングの強化やトレンド商品の増産などによって、業績の回復を目指してまいります。
(連結)2016年11月末 B/S
ここからは2016年11月末のバランスシートについて説明をいたします。
資産の合計は、主に流動資産が前年同期末比で1,456億円増加したことによって、1,463億円増加をいたしました。
負債は、主に社債を発行したことによって、2,124億円増加をいたしました。
資本の合計は、主にデリバティブ金融資産の評価額の減少によって、661億円減少いたしました。
(連結)B/Sのポイント 前年同期末比
詳細について、次のスライドでご説明をいたします。
まず、流動資産が前年同期比1,456億円増加した要因をご説明いたします。流動性の高い金融資産の残高が6,727億円と、2,693億円増加いたしました。
内訳としては、現金および現金同等物が781億円増加、3ヶ月超の定期預金などのその他の短期金融資産が1,911億円増加いたしました。
これは2015年12月の社債発行に伴い現金が増加したこと、営業キャッシュ・フローが増加したことによります。
次に、デリバティブ金融資産は、資産側で231億円と1,252億円減少いたしました。これは保有する為替額予約の平均レートが円安になったことに加え、11月末の為替レートが前年同期末の為替レートに加え円高となったため、その乖離幅が大幅に縮小したためです。
国内ユニクロ事業などでは、長期的なヘッジ方針にしたがって、為替予約を行っております。なお、ヘッジ会計を提供しておりますことから、このことの損益の方への影響はございません。
たな卸資産は、2,736億円と7億円増加しております。内訳につきまして、国内ユニクロ事業の在庫は29億円減少しております。海外ユニクロ事業の在庫も29億円減少いたしました。これは、為替の影響および一部のエリアで在庫のコントロールを行っているためです。
グローバルブランド事業の在庫は65億円増加しております。主な要因としては、ジーユー事業で店舗数が拡大したことに加え、秋冬商品の在庫の増加、春物商品を早期に投入している影響によるものです。
負債は、2,124億円増加しております。これは2015年12月に、総額2,500億円の社債を発行した一方で繰延税金負債が396億円減少したことによります。
小見出し
17ページで第1四半期のキャッシュ・フローについてご説明いたします。
営業活動によるキャッシュ・フローは、998億円の収入となりました。これは主に、ユニクロ事業をはじめとする、各事業の利益貢献によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは150億円の支出となりました。これは主に有明倉庫およびオフィス、出店による有形・固形資産の取得、システム投資などの無形資産の取得によるものです。なお、連結での設備投資額は134億円でした。
財務活動によるキャッシュ・フローは196億円の支出となりました。これは主に配当金の支払いによるものです。
以上の結果、2016年11月末における、現金および現金同等物の期末残高は4,656億円となっております。
(連結)2017年8月期予想 通期業績
スライド18ページからは、2017年8月期の通期の業績予想についてご説明いたします。
第1四半期の実績では、売上収益は計画に対して若干下回っておりますが、事業利益および営業利益は、計画を上回って進捗をしております。
なお、円安が進んだことによって期初に見込んでいなかった為替差益156億円を金融収益費用に計上したため、親会社の所有者に帰属する当期利益は期初計画に対して大幅に上回っております。ただし、現段階では為替の未透視が不透明なため、通期の業績予想に対しては変更しておりません。
2017年8月期 各事業の通期予想
次のページで、各事業の通期の業績予想についてご説明いたします。
まず、国内ユニクロ事業ですが、第1四半期は売上収益はほぼ計画通り、営業利益は計画を若干上回る進捗となっております。
12月の既存店売上高は、5パーセントの減収と売上は計画を若干下回る結果となりました。ただし通期では、期初計画通り、既存店売上高は2パーセントの増収、粗利益率は前年並み、経費削減によって、経費比率を改善し、通期の国内ユニクロ事業は、増収増益を見込んでおります。
海外ユニクロ事業の第1四半期は、売上収益は計画通り、営業利益は計画を上回って進捗しております。通期では期初計画通り、売上は若干の増収、営業利益は大幅の増益を予想しております。
エリア別では、グレーターチャイナ、東南アジア、オセアニア、韓国が増益。米国の赤字幅の大幅の縮小を見込んでおります。
なお、通期の業績予想は1ドル102円、1人民元15.4円のレートを前提としております。足元の為替、1ドル115円、1人民元16.7円といった円安が続いた場合、業績は計画比に対して上振れをする見込みです。
グローバルブランド事業の第1四半期は、売上収益、営業利益ともに計画を下回って進捗しております。
ただし、前期はJブランド事業の減損損失138億円を計上したため、今期の営業利益は期初予想通り大幅増益の予想です。
ジーユー事業の第1四半期は計画を下回った進捗をしております。また、12月の売上も計画を下回る結果となりました。
前年の上期はヒット商品が多く、営業利益は約60パーセントの増益と非常に好調だったこともあり、今年の上期は減益となる見込みです。一方、下期につきましては大幅な増益に転じさせることで、通期での増益を目指しております。
下期は最新のトレンドを含めたウィークリーストーリーの打ち出し、効果的な広告、販促への見直し、売れ筋商品の追加・生産体制の強化、経費削減の努力によって増益を達成させたいと考えております。
なお、セオリー事業は期初の計画通り、増収・増益を見込んでおります。配当金の予想ですが、中間配当金175円、期末配当金175円、合わせて年間配当金350円と、こちらは期初の予想どおりです。
有明本部で新しい商売体制を開始
最後のページですが、2017年、今年の2月上旬に有明倉庫の最上階、5000坪のワンフロアを有明本部としまして、ユニクロのマーチャンダイジング、R&D部、マーケティング部、生産部、商品計画部、営業部、IT部などの商品商売機能を移転する予定です。
有明本部では社員の働き方をチームワークを中心とした新しい働き方に変革させ、商品作り、情報作りをコンカレントに、かつスピーディに進めることで新しい商品、お客様がほしい商品をすぐに商品化できる体制を整えてまいりたいと思っております。
以上で私からの説明を終わります。