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AI CROSS株式会社4476

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原田典子氏(以下、原田):みなさま、こんにちは。AI CROSS代表取締役CEOの原田です。当社の2025年12月期第3四半期の決算についてご説明します。

初めてお聞きになる方もいらっしゃると思いますので、はじめに当社の設立理由などについてご説明します。スライドに沿って、会社・事業概要、事業のご紹介、第3四半期の業績ハイライトおよびKPIサマリーについてお話しします。

AI CROSSのミッション

原田:会社および事業の概要です。当社は「Smart Work, Smart Life 人生のいい時間をつくりつづける。」というミッションを掲げています。

私は創業する以前、幼少の頃から10年以上海外に滞在していました。人生の3分の1を海外で過ごし、日本を外から眺める中で、日本人としてのアイデンティティを非常に強く感じていました。

その経験を経て、ヨーロッパやアメリカで仕事をした後に帰国し、日本の課題解決に貢献する事業を立ち上げようと考えました。現在、日本が避けて通れない課題である人口減少問題、とりわけ労働人口の減少の解決に取り組むため、「Smart Work, Smart Life」と掲げ、業務効率を向上させるサービスを展開するべくこの会社を設立しました。

事業の概要

原田:企業の生産性を向上させることを目的に、現在は大きく分けて2つのサービスを展開しています。当社の売上の90パーセントを占めているのが、メッセージングサービス「絶対リーチ!」です。

最近は、企業や店舗からショートメッセージを受け取る機会、例えば予約したレストランや歯科医院からリマインダーが届いたり、証券会社や銀行からセキュリティコードがパスワードとして送られてきたりということが増えてきています。この市場において、SMSをベースとしたサービスを10年前に立ち上げ、展開してきたのが当社です。

現在は、主にBtoC企業を顧客とし、BとCをつなぐコミュニケーションを自動化する仕組みを提供しています。SMSを起点にチャットボットの提供や、その他多くのメッセージの効率化を図るのが、このメッセージングサービスの特徴です。

もう1つは、AIサービス「Deep Predictor」です。当社は創業10年目を迎えますが、AIは企業が生産性を向上させるうえで不可欠だと考え、2018年から研究開発を進めてきました。その間にさまざまなサービスを展開してきましたが、現状、最も力を入れているのが「Deep Predictor」です。

現在、日本の多くの企業では、人手不足に加え、データサイエンティストなどの専門人材が足りないという課題があります。このような専門人材がいなくてもAIの予測モデルを作成できるプラットフォームであり、製造業の需要予測など、さまざまな業界においてAIモデルを作って展開しているサービスです。

後ほど、具体例を交えてご説明します。

顧客基盤

原田:当社顧客の一例です。現状は約8,000社が顧客となっており、主にはBtoCの大手企業のほか、地方自治体のような公共団体など、多くの企業にご利用いただいています。

市場環境 (A2P-SMS売上高推移(2018年度~2029年度))

原田:当社のメッセージングサービスの市場環境です。その中でもSMSの法人に特化した市場の規模予測を示したレポートとなります。

立ち上げ当初は年間成長率が3割、4割、5割と非常に急拡大したマーケットでした。2024年から2029年にかけても18.9パーセントの成長が見込まれ、まだ成長市場といえる中で、私たちは戦っています。

事業成長戦略の方向性

原田:今期、当社は「AIX2027」として、中期経営計画を初めて開示しました。

創業から2022年度までの約7年間は、スケールアップをテーマに事業を進めてきました。「SMSって何?」というところから、法人がユーザーとのコミュニケーション手段として、SMSが活用できるという認知を広げることを目指してきたのがその期間です。

当時は、SMSがメール、電話、郵送など他のツールに比べて、顧客に情報を認識してもらいやすい有効な手段であることをご理解いただくことに注力しました。その結果、「SMS配信数拡大」とあるように、SMSを積極的に活用する企業の開拓に成功しました。その後は、新規事業としてチャットボットなど、多角的な事業展開にも挑戦しています。

成長を続けるこの市場において、SMSのビジネスモデルは「配信数×配信単価」という構造で成り立っているのが特徴です。

「配信数」とは、企業が送信するSMSの通数を指します。「配信単価」は、例えば1通あたり8円、10円といった送信にかかる料金です。この配信単価は、送信ボリュームやその他の条件によって、企業ごとに変動します。

近年、外資系企業によるSMS利用が急増しています。特にGAFAMのような多数の会員を抱える企業がSMSを多用した結果、配信単価が急激に下落しました。これにより、配信数を増やすだけでは収益力が維持できず、配信単価の引き上げが不可欠な状況が生じました。このため、2023年度から2024年度にかけての2年間は、収益力の強化に取り組んできました。

具体的には、社内の生産性向上に加え、大手企業による大量配信への依存度を下げ、国内でまだSMSが浸透していない市場や、比較的高単価が見込める市場の開拓を積極的に推進してまいりました。

そして、2025年度から2027年度に目指すこととして「プラットフォームからソリューションへ」と掲げています。

プラットフォームとは、SMS送信の「通数×単価」で収益を上げるメッセージングサービスを指します。この市場は、先に述べたように20パーセント弱の成長が見込まれており、今後も引き続き拡大を図っていきます。

これに加え、AI技術を組み合わせて新たな収益モデルを構築します。具体的には、単なるSMS送信に留まらず、AIによる予測に基づき「誰にどのようなメッセージを送るべきか」を判断し、それに対して月額料金をいただくといった革新的なビジネスモデルを確立し、収益構造の進化を促進します。

また、パートナービジネスのさらなる拡大にも取り組んでいます。

現在、SMSの認知度が高まっている金融、不動産、人材系などの業界の深掘りを進めています。これらの業界において、多くの顧客基盤を持つパートナー企業が代理店となり、当社のサービスを展開することで、顧客開拓を一層拡大していくフェーズにあると認識しています。

メッセージングサービスのサービス戦略

原田:メッセージングサービスの戦略マップについてです。スライドの青い部分はプラットフォーム提供、ピンクの部分はソリューションとして示しています。

プラットフォーム提供は、既存顧客と新規顧客を対象としています。既存顧客については、まだまだ成長余地のある市場ですので、業界特化のクロスセルやアップセルを進めていきます。

新規顧客の開拓においては、特に大手顧客は、コールセンター業務やAIを活用した人件費削減のために、テクノロジーへの投資が増加しています。このようなコールセンター系のシステムにAPIを提供したり、マーケティングオートメーションプラットフォームと連携したりすることで、新規顧客の開拓を進めていきます。

ソリューションについては、メッセージング領域にAIを掛け合わせることにより、今までは単にSMSを送るだけだったものを、顧客をセグメントごとに分け、配信時間や配信メッセージの内容を変更するといった対応が可能です。SMSではなく電話のほうが効率的であれば、SMSを排除し、適切なチャネルでサービスを提供します。

このように、AIソリューションを組み合わせることによる月額課金や、顧客のコンバージョンが向上した場合に成功報酬を得るという新しい収益モデルを展開しています。これを今後は新規顧客にも展開していくことを、私たちの大きな戦略としています。

川合直也氏(以下、川合):レベニューモデルを推進しソリューション化を進めるにあたり、「絶対リーチ!」へのAI導入は、プロダクト開発としてすでに完了している状態なのでしょうか?

原田:開発は完了していますが、プラットフォームに直接組み込んでいるわけではありません。プラットフォームを利用中の顧客に対し、AIコンサルティングチームが、別のAIソリューションとともに提供しています。このソリューションは、AI事業部で開発された既存のプロダクトを組み込む、コンサルティングに近い提供モデルを採用しています。

川合:現在AIサービスとして提供しているのは「Deep Predictor」であり、それとは別に「絶対リーチ!」の中でアドオン的なものを開発しているということでしょうか?

原田:おっしゃるとおりです。

川合:どのような課金モデルでしょうか?

原田:「通数×単価」の従量課金とは別に、月額のサブスクリプションモデルがあります。

また、先ほどお話ししたように、人材領域での利用例としては、人材紹介会社がSMSで候補者に求職の意思を確認するメッセージを送り、「仕事を探している」という層を集めて企業へ派遣するという流れがあります。

人材会社は「提供人数に応じて売上が決まる」ビジネスモデルのため、これに対応し、当社もSMSの提供モデルを従来の「送信数に応じた課金」から「一定人数への送信に加え、その後の成果に応じた成功報酬」へと転換し、成功報酬型として提供しています。

このように、従量課金に加えて、月額制と成功報酬型の2つのモデルを導入している状況です。

川合:AIを導入することにより、顧客としては反響の低いSMS、いわゆる無駄打ちを減らしたいニーズがあるのではと考えています。AIを組み合わせても、総売上高を減らさずに対応できるのでしょうか?

原田:おっしゃるとおり、顧客が無駄な費用をかけていたり、未使用のサービスに対して支払い続けたりしているケースはよくあります。これに対して、短期的に見ると「そのままにしておいたほうがよい」「AI予測などせず、たくさんSMSを打っていただいたほうがよい」というご意見もあります。

しかし、目的に直接結び付いておらず、無駄が発生していることに気づいた顧客からはけっきょく変更を求められることになります。当社では、単に利用通数を増やすのではなく、無駄を削減し、お客さまにとってより効果的な選択肢となるよう、月額料金や単価の調整をご提案しています。結果的に通数が減少する場合もありますが、それ以外のかたちで付加価値を提供することで売上の向上を図っています。

BtoCコミュニケーションツールの課題点

原田:ここからは事業紹介です。まず、BtoCのコミュニケーションに関しては、SMSの進化版としてRCSというツールが少しずつ広まってきています。

企業のみなさまは電話やメール、郵送、「LINE」など、当社で提供しているSMS以外のさまざまな手段を利用しています。私たちが企業の顧客にSMSを提案すると、他のツールにまつわる課題を多く指摘されます。特に最近では、郵送費が上昇し人件費の高騰と相まってコストが増加していることや、「LINE」をブロックされてしまうという声をよく耳にします。

RCS (Rich Communication Services) とは?

原田:そのような環境がある中で、私たちが広めようと注力しているのがRCSです。RCSはSMSの次の規格にあたるものです。簡単に言うと、SMSは受信者に気づいてもらえるという利点はあるものの、70文字という短いテキストしか送れないという課題があり、それを解決したものがRCSです。

RCSは、電話番号を使って「LINE」やアプリのようなことができると考えるとイメージしやすいと思います。動画や画像の送信や、チャットボットでのやり取り、さらには、例えば従来「LINE」で受け取っている宅配便や美容室などからの連絡が電話番号でできるようになるのがRCSです。

絶対リーチ!RCSを提供開始(2024年9月〜)

原田:RCSは全世界で徐々に広がっており、多くのキャリアが対応を進めてきました。一方で日本のキャリアは、以前からアプリを通じて利用できるようにするなど、さまざまな対応を行ってきました。

私たちがRCSをビジネスチャンスと捉えている背景に、現在、iPhoneのデフォルトのメッセージングアプリはSMSのみですが、RCS対応に切り替わってくるという点があります。

現時点ではKDDIのみがメッセージの標準アプリとしてRCSに対応しており、これにより動画や画像の送受信が可能になりました。具体的な時期は未定ですが、来年のどこかの時期でドコモ、ソフトバンク、楽天モバイルもRCS対応してくるという動きを、私たちは大きなチャンスと捉えています。

SMS、LINEとの比較

原田:「絶対リーチ!RCS」は、RCSも送信可能とした当社のプラットフォームです。そもそもRCSをSMSや「LINE」と比較すると、電話番号で送信でき、友だち登録が不要で、テキストを送信できるという特徴があります。このように、それぞれの長所をかけ合わせたものと考えています。

ただし、全世界のすべての方にとってRCSが最適というよりも、チャネルのミックスを考える必要があります。例えば、SMSですぐに確認できるほうがよい場合や、「「LINE』はなんだか怖い」というご高齢の方もいらっしゃいます。

このように年代や属性、メッセージ内容、業界などに応じ、RCSが適する場面で積極的に普及を進めていきたいと考えています。

川合:初歩的な質問ですが、SMSやRCSは受信側が無料なのでしょうか? 

原田:基本的に受信側は無料です。ただ一律ではなく、キャリアによっては受信側に料金がかかる事例がありました。

川合:一部の顧客をSMSからRCSへ移行させていくようなイメージを持っているのですが、そもそもSMSとRCSは用途によって使い分けられるものなのでしょうか?

原田:顧客にもよります。例えば、本人認証のような用途ではパスワードを送るだけですので、SMSのほうがコストパフォーマンスが高いと考えていました。しかし、セキュリティ面ではRCSのほうが強化されており、受信側のユーザーの安心・安全性が高いのです。

また、RCSでは送信元に企業名を表示できます。企業名を取得するためには、私たちを経由してキャリアの厳しい審査を通過しなければなりません。つまり、詐欺を行うような業者が企業名を使って送信することはできません。

動画や画像を送れるというメリットだけでなく、安心・安全の観点からもRCSを使うほうが適切だとされてきています。SMSとRCSで用途を明確に分けることは難しいと考えており、顧客や業界のニーズに合わせてご提案しています。

川合:先ほどのお話のように、SMSは「パスワードを送信して終了」という印象がありますが、RCSでは顧客へのサポートとして「このようなリッチコンテンツを作りましょう」といった対応を、御社側で行うのでしょうか?

原田:おっしゃるとおりです。そのため、SMSのケース以上に顧客サポートに力を入れています。プラットフォームにも、簡単にクリエイティブやバナーを挿入できる機能など、ニーズに応じて対応していきます。

それだけでなく、どのように利用するとより効果的かというカスタマーサクセスの観点での顧客サポートがさらに重要になっており、この点を強化しています。

川合:SMSの競合は4社ほどあるという資料があったかと思います。RCSでは、異なる企業が競合になるのでしょうか?

原田:SMSはテキストベースの配信のみですので、配信プラットフォームという市場の側面が強かったと捉えています。配信という面では、現在のプレイヤーもRCSに対応してくると考えています。ただ、それに加え、動画や画像が送れるようになると、AIの力がさらに活かされるようになると考えます。

どのようなやり取りが顧客の購入やコンバージョンにつながるのか、どの画像やバナーが最も効果的なのかといった、AI予測の持つクリエイティブやマーケティングの要素に関連して、月額課金をはじめ新たな収益モデルが次々と生まれてくると考えています。

私たちと強いプレイヤーとが協業することも可能であり、市場のポテンシャルや広がりを考えると、より成長する市場として構築できると考えています。

配信部分に関しては現状のプレイヤーは引き続きその場に残り、異なる領域においては新たなプレイヤーが参入してくる可能性もあると考えています。

「絶対リーチ!RCS」:美容サロンの実来店率を10%向上

原田:「絶対リーチ!RCS」の事例をご紹介します。クリア社は美容サロン「MEN'Sクリア」を運営している既存顧客で、SMSを使用されていました。

これまでテキスト中心のSMSを送信していましたが、画像やリンク付きのメッセージを送ることで実来店率が向上し、コンバージョンは最大2倍に向上しています。次のアクションへつながった方が増えたという結果が得られたため、現在はRCSへの移行を進めている事例です。

2025年10月1日より株式会社ロウプがグループ参画

原田:トピックです。10月にロウプ社をM&Aにより取得し、100パーセント子会社化しました。

この意図について、株主のみなさまからよく質問をいただきます。先ほどまでお話ししてきたように、RCSの領域では、いかにコンバージョンを上げるか、または企業の顧客であるユーザーにいかにアクションを起こしていただくかが、配信以上に重要になると考えています。

これまでは、多くのSMSの利用用途が本人認証や連絡といったものに限られていましたが、これからはマーケティング領域でコンバージョンを上げていくためのツールとして、ますます効果的になると見ています。

ロウプ社のグループ参画により、私たちはこれまであまり強くなかったこの領域において、企業のマーケティング戦略から関わり、RCSを提案し、その利用用途を広げていくことを目指しています。このM&Aにより、従来のSMSにはなかった市場を獲得できると期待しています。

川合:ロウプ社がRCSを積極的に販売してくれる点が、大きく期待される理由の1つですね。御社は実際に使ってもらうためのコンサルティングを行うのでしょうか?

原田:そのとおりです。

川合:ロウプ社のコンサルタントは何人くらいですか?

原田:会社全体の従業員数が約20名で、ほぼ全員がコンサルタント業務が可能です。まずは彼らの顧客の中でも大手の企業に利用いただき、その過程でパッケージ化したものを、私たちの顧客に展開することも考えています。

川合:10月から子会社化されていますが、すでに販売活動などは行われているのでしょうか? 

原田:はい、行っています。

Deep Predictorとは?

原田:ここからはAI事業についてご説明します。「Deep Predictor」については先ほどお話ししたとおり、専門人材がいなくてもAIのモデルを自動的に作成できるプラットフォームです。

現状、この製品を利用している顧客は製造業が多く、特に需要予測の面で活用されています。日本には多くの製造業がありますが、例えばパソコンメーカー、製薬会社、家電メーカーといったさまざまな業種で活用されています。売上を予測し、製造する個数をより高い精度で最適化することが可能となります。

Deep Predictorの特徴

原田:需要予測と一言で言っても、いろいろなものがあります。ほとんどの競合はデータサイエンティストをターゲットとしてサービスを提供しており、そのようなものは複雑な分析を可能としていますが、私たちが目指しているのは「データサイエンティストがいない企業でも簡単に予測ができる」ことであり、これを強みとしています。

発注者がより簡単に使用でき、現場の業務に携わる方がさらに利用しやすい機能を搭載している点で競争力を持つサービスとなっています。

Deep Predictorの強み

原田:現場の業務部門やIT部門の方々が利用する多くのサービスが存在しますが、特に業務に特化したサービスにおいては、データの前処理と後処理が重要です。

この2年から3年の間に生成AIブームが急速に広まりましたが、ほとんどの企業がこの変化に備えていたわけではありません。そのため、企業が保有するデータは必ずしもAIがそのまま活用できるかたちに整備されておらず、データ処理が不可欠なケースが多く発生しています。

AIの予測精度を高めるためには、このデータをAIが利用可能な形に整える前処理が欠かせません。この前処理を自動化する機能を強化し、現場の方々にとってより使いやすいプロダクトへと進化させることで、独自の強みを発揮しています。

AIサービス「Deep Predictor」サービス戦略

原田:「Deep Predictor」のサービス戦略です。現在、ほとんどの顧客がスライド右上の「AIカスタマイズ」を利用されています。

「AIカスタマイズ」は、初期費用を顧客にご負担いただき、最初にその顧客のヒアリングを行い、予測モデルを作成します。初期費用のお支払い後は、現場の顧客が月額費用のみで、このプラットフォームを簡単に継続的に利用できる仕組みになっています。

製造業の中にも製薬業界やPCメーカーなどさまざまな業界がありますが、それぞれで精度検証を行っており、このPoCを積み上げているところです。例えば、パソコンの製造に伴う部品の必要量を予測するユースケースや、家電に関連するユースケースがあります。

今後スケールしていくためには、データサイエンティストを派遣し初期費用をいただく仕組みを構築したとしても、リソースが足りず頭打ちになってしまいます。したがって、販売代理店により、SaaSのように月額販売するかたちに移行していきたいと考えています。

スライド右下にある「アシスタントプラン提供」は、販売代理店が簡単に提供できるプランとして、今年リリースしたものです。顧客がチャットボットのような形式でやり取りを進めることで、このモデルが次第に構築されていく仕組みです。

AIサービス「Deep Predictor」ユースケース1

原田:需要予測のユースケースです。製造業の現場では、「この時期はこのくらい売れる」と肌感覚で行っていた需要予測を、「Deep Predictor」により定量的に予測するものです。

AIサービス「Deep Predictor」ユースケース2

原田:それ以外のユースケースとしては、店舗の売上予測があります。全国の食品系やレストランなどの店舗の売上を予測するものです。

AIサービス「Deep Predictor」ユースケース3

原田:ターゲティングは、SMSを活用している顧客と相性が良い方法です。SMSを無闇に送るのではなく、AIを活用し、顧客リストから購買意欲が高い優良顧客を選定し、順番に送ることで、無駄打ちを減らすというユースケースがあります。

AIサービス「Deep Predictor」の導入実績の一例

原田:「Deep Predictor」の導入実績の一例です。先ほど少し触れたように、家電メーカーや通販などでのターゲティングの事例が出てきています。

中期目標(KGIおよびKPI)

原田:中期経営計画はすでに開示しているように、売上高を約2.0倍、営業利益を約5.4倍に引き上げることを目指しています。

メッセージングサービスにおいては、既存の領域が引き続き成長しているため、さらに伸ばしていく方針です。新しい領域ではRCSとともに単価を上げていきます。

AIサービスについては、これまで投資フェーズでしたが、来期には黒字化する見込みです。ここからしっかりと利益を上げ、営業利益を伸ばしていく3年間にしたいと考えています。

FY27に向けたGrowth Roadmap

原田:2027年度に向けたGrowth Roadmapです。こちらは割愛します。

FY2025.3Q業績ハイライト(2025年7月1日~9月30日)

原田:第3四半期の業績ハイライトです。第3四半期の売上高は9億8,300万円、営業利益は1億600万円、経常利益は1億700万円、四半期純利益は5,200万円です。

売上高(四半期毎推移)

原田:四半期ごとの売上高の推移です。スライドのグラフで、濃い青が国内の顧客を示しています。以前は、薄い色で示している外資系の顧客が、SMS配信数が多く、ながらく市場を拡大してきました。現在は配信単価がより高い国内顧客に注力しています。

現状では、国内顧客が約90パーセントを占めており、全体の売上高を伸ばす要因となっています。

営業利益(四半期毎推移)

原田:営業利益についてです。ロウプ社のM&Aに伴い、一時的なM&A仲介費用が発生したため、前年比となっています。ただし、事業から生み出す利益は順調に伸びています。

(参考)前年同連結累計期間比

原田:前年同連結における、累計の期間比です。

(参考)調整後前年同連結累計期間比

原田:売上高は上場来最高となりましたが、各段階利益は減益となっています。参考までに、先ほどのロウプ社の部分や、当社の株主優待についてお伝えします。

株主優待の計上は第2四半期と第4四半期になります。その影響を除外すると、売上高は堅調に推移しています。

FY2025業績予想進捗

原田:業績予想の進捗です。通期の業績予想に対して、第4四半期を残した時点で、売上高は67.56パーセント、各段階利益も予算どおりに推移しています。この業績予想で引き続き進めていきます。

最後に駆け足になりましたが、私からの説明は以上です。

質疑応答:新規顧客・既存顧客向けの施策のバランスについて

荒井沙織氏(以下、荒井):「今後の事業戦略、注力施策として、既存顧客のアップセル・クロスセルと新規顧客獲得とのバランスをどのように考えていますか? それぞれの具体的な打ち手を教えてください」というご質問です。

原田:メッセージングの領域では、現在約8,000社の顧客にご利用いただいており、この既存の顧客に対しては、AIの月額利用やソリューション化によるアップセルを行っています。

ただし、この領域の新規獲得はまだ十分ではなく、SMSにおける企業浸透度は約2割にとどまっています。そのため、SMSプラットフォームの利用を新しい顧客に広げるべく、新規業界の開拓や代理店とのプラットフォーム組み込み型による獲得に取り組み、市場シェアの拡大に注力しています。

これまでは新規顧客の獲得により力を入れていましたが、現在はどちらの獲得も進めています。特に日本国内の既存顧客においてARPUを向上させる余地が大きいと考えていますので、既存顧客の深掘りにも注力しています。

質疑応答:業界ごとのSMS利用の現状と展望について

川合:「国内メッセージング売上が伸びているということですが、どの業界からの利用が増えているのかおうかがしたいです」というご質問です。

原田:現在、最も多いのは人材業界です。人材業界はこれまで、新規候補者の紹介によって成長してきましたが、現在は人手不足が深刻ですので、既存顧客の掘り起こしに注力しています。特にSMSは、過去に連絡を取った方々が現在再び仕事を探している段階にあるかを確認するための、有効な掘り起こしツールとして活用されています。

また、金融業界における利用も伸びており、特にパートナー経由の利用が増加しています。これに加え、新しい分野での市場開拓も引き続き推進しています。

川合:人材業界においては、人材エージェントが過去にアプローチした方に、もう一度SMSを送っているのでしょうか? 

原田:おっしゃるとおりです。それに加えて、例えば面接を促す場合です。人材会社が企業からBPOとして業務を請け負う際、最近はメールを受け取っても見ない方が多いため、候補者と連絡を取るために活用されており、面接の調整も含めてSMSを活用したやり取りが増えています。

質疑応答:日立製作所との共同プロジェクトについて

川合:「日立製作所の『Lumada』のアライアンスプログラムに参加されていたと思いますが、状況はいかがでしょうか?」というご質問です。

原田:「Lumada」プログラムを通じ、日立製作所の本体や関連会社と共同で進めているものがプロジェクト単位でいくつもあります。

大きなものを研究開発して一緒に発表するというよりも、プロジェクト単位の案件でご一緒し、顧客に共同提案を行っており、実際に案件を取得して進行しているプロジェクトが増えています。

これらはすべて「Lumada」のプログラムがきっかけですので、そのような意味で進捗があり、良いプログラムだったと感じています。

川合:御社の役割としては、SMSの部分が大きいのでしょうか?

原田:「Lumada」の中で多いのはAIで、「Deep Predictor」がそれにあたります。それに加えて、私たちは「Deep Predictor」以外に、生成AIのコンサルティングと受託も行っていますので、その領域でご一緒することが多いです。

質疑応答:「コミュニケーション×データ活用」の強みについて

荒井:「本日は御社の強みをいろいろとうかがいました。『コミュニケーション×データ活用』という強みを、今後どのように磨き込んでいくのか、中長期のプロダクトビジョンを教えてください」というご質問です。

原田:現在、価値観の多様化が進展しており、それに伴い消費者行動も多様化しています。そのため、昔のように一律に大量にメッセージを発信する方法は限界にきています。この現状は、大企業も中小企業も同じです。

「何をやるべきか」は年代ごとにさまざまであるのに、大半が費用対効果が合わないという状況が多いです。企業の担当者がそのような課題を考える必要がないように、顧客データベースを活用し、AIエージェントによる自動化を実現したいと考えています。

どのチャネルが最適か、どのようなメッセージが適切か、どの画像を使用すべきかといったコミュニケーションに関する煩雑な業務を、AIエージェントと私たちが保有するチャネルを通じてすべて自動化できるところまで磨き上げていきたいと考えています。

質疑応答:AIソリューションのパッケージ化に向けたスケジュールについて

川合:AIを用いたカスタムソリューションがメインということですが、さらに精度を高め、最終的にはSaaSパッケージとして販売することを目指されていると考えます。どのくらい精度が向上すれば実現可能となるのか、今後のスケジュールについてお聞かせいただけますか?

原田:「Deep Predictor」にはアシスタントプランとシンプルプランがあり、その中でアシスタントプランは代理店プランとしてすでに出来上がっています。

シンプルプランは月額5万円程度で、新規の店舗がどこに出店すればよいかを簡単に予測するものです。こちらのプランもさまざまな業界に向けたものが出来ています。

業界によって、精度に関するニーズはさまざまです。高い精度が必要な場合は、当社のデータサイエンティストを活用したいとご要望いただくことが多いです。一方、精度がそこまで重要でなく、発注業務の効率化を求めている顧客向けには、既存の5万円のプランが適しています。

重要なのは業界と業務の見極めであり、プラン自体を複雑にすることなく、迅速に適切なパッケージを提供していくことだと考えています。

原田氏からのご挨拶

原田:当社はこれからもAIやRCSを活用し、市場の大きな追い風を受けて企業価値をさらに高めていきます。引き続きどうぞよろしくお願いします。本日は長時間にわたりご視聴いただき、誠にありがとうございました。

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