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プリモグローバルホールディングス株式会社367A

東証スタンダード

小売業

目次

澤野直樹氏(以下、澤野):代表取締役社長の澤野です。みなさま、本日はお忙しい中、当社のために貴重なお時間を割いていただき、誠にありがとうございます。

2025年8月期の決算が締まり、10月15日に発表しました。本日は、決算説明資料を使用しながらご説明します。よろしくお願いします。

本日のプログラムです。まずは当社の強みや沿革についてお話しした後、業績および今後の見通しについてご説明します。よろしくお願いします。

ご挨拶・代表メッセージ

あらためまして、我々プリモグローバルホールディングスの企業理念は、「最高(プリモ)の夢(おもい)を最高(プリモ)の幸(かたち)に」です。

「Primo(プリモ)」は、イタリア語で「最高」を意味します。我々は誕生から26年が経過し、この会社を通じて出会ったすべての人々が個々にお持ちの夢を、我々を通じて「かたち」に変えることが幸せを提供する会社の責務であるという理念のもと、ブライダルジュエリーのリテール販売に注力してきました。

私自身は大学卒業後、この業界一本で30年間ビジネスを展開しており、プリモグループにおいては代表取締役として21年目を迎えます。よろしくお願いします。

グループ構成、国内外の出店状況

当社の強みと特長についてお話しします。当社は1999年4月に創業しました。スライド右側をご覧ください。当社グループの連結売上高は280億円となり、全体の3分の2弱を国内が、3分の1強を海外が占めています。

スライド左下をご覧いただければわかるとおり、当社は国内外を含め、グローバルで134店舗を展開している、ブライダルリング特化型のリテールビジネスの会社です。

ブランド一覧(国内/海外の主力ブランド)

我々が所有する2つのブランドについてご説明します。

スライド左上にあるのは、プライベートブランド「I-PRIMO(アイプリモ)」です。ブライダルリング専門店として、国内外へ積極的に展開しています。

国内マーケットにおいて、婚約指輪の平均単価は約30万円です。当社のブランドは、同じボリュームゾーンである30万円前後の価格帯を対象としたミドルレンジのブランドとして、国内で積極的に展開しています。

スライド右上は「LAZARE DIAMOND(ラザールダイヤモンド)」です。こちらはニューヨーク発のダイヤモンドカッターズブランドで、一昨年に当社が国内における商標権を取得しました。

現在は国内で直営15店舗を展開しており、平均単価は40万円強です。「I-PRIMO」と比べて、わずかに価格帯を上げたアッパーミドルレンジの対象としてビジネスを展開しています。

スライド下部にある2つのブランドは、海外でのライセンスブランドです。左下の「K.UNO(ケイ・ウノ)」は、国内のオーダーメイドジュエリーブランドです。

同じく右下に記載されている「STAR JEWELRY(スタージュエリー)」は、ファッションジュエリーのパイオニア的存在として知られている方も多いかもしれません。こちらもライセンスをお借りしながら、海外で展開しています。

以上、4つのブランドを運営しています。

沿革

我々の沿革です。当社は順調に国内外でビジネスを展開してきましたが、とりわけブライダルジュエリー業界において、日本企業として初めて2007年に台湾に進出したことが特長です。国内で培った「日式」のサービスを積極的に海外に展開してきた点も、当社の強みの1つです。

事業の特長

事業の特長として、我々はブライダルジュエリーのリテールに特化している点が大きなポイントです。ブライダルジュエリーを購入する顧客の特長について、スライド左側で説明しています。

ブライダルジュエリーは一生に一度のお買い物であり、非常に高く安定した購入率があるため、景気の影響を受けにくいという特性があります。結婚する方々が必ず結婚指輪を購入することは、海外においてもほぼ同様であるため、景気の影響を受けにくいと言えるのです。

さらに、購入動機にも特徴があります。商品の品質・デザイン・ブランド力以上に、顧客は情緒的価値や購入体験を非常に重視する傾向があります。一生に一度の買い物であり、人生で最も幸せな瞬間を彩る特別な経験となるためです。このような顧客の特性を活かし、当社はスライド右側に記載した3つの強みを訴求しています。

1つ目は、経営資源であるヒト・モノ・カネすべてを、ブライダルジュエリーの運営に特化させることにより、グローバルチェーンやラグジュアリーブランド、国内の大型宝飾チェーンと対等にビジネスを展開できる点です。

2つ目は、情緒的価値を求める顧客の特性を活かし、モノだけでなくヒトの魅力を提供するサービス業であり続けることを目指している点です。このため、スタッフへの販売教育を徹底し、ホスピタリティを提供することに注力しています。特に海外では「日式おもてなし」として徹底的なトレーニングを行っていることも、当社の強みです。

3つ目は、お客さまが商品を購入する際に必ず予算をお持ちである点です。予算に合わせてダイヤモンドとデザインリングを自由に組み合わせることができる、セレクトオーダースタイルを採用しています。

この利点は2つあります。1つ目は、顧客満足度が非常に高くなることです。予算に合わせて自分に最適な選択ができるため、満足度が向上します。

2つ目は、資産効率が非常に高くなることです。お客さまから商品をご注文いただいた後に仕入れを行うため、受発注型のビジネスモデルが確立しており、資産効率を高めることが可能です。これが当社のセールスポイントとなっています。

連結業績ハイライト

ここからは決算ハイライトについてご説明します。おかげさまで、2025年8月期は創業以来過去最高の売上および利益を達成することができました。

スライドに記載のとおり、売上収益は280億円、事業利益は33億円、売上収益は前年同期比12.5パーセント増、利益は1.5倍と、大幅な増収増益となりました。

さらに、スライドの一番右をご覧ください。IPO前に発表した中期経営計画のCAGRガイドラインも大幅に上回る結果となり、順調な1年であったと言えます。

売上収益:全社年度累計

こちらのスライドは海外と国内を分解したもので、売上はどちらも非常に伸びています。日本事業は14.7パーセント、海外は9.0パーセントと、順調に拡大しました。この後、詳細を説明します。

営業利益、事業利益:全社年度累計

利益については、当社は国際会計基準を採用しているため、スライドに示しているとおり、営業利益と事業利益の2本立てで開示を行っています。

また、中期経営計画のガイドラインについては、事業利益で発表しているため、やや見づらい部分があるかもしれませんが、いずれも開示しています。両方とも2桁パーセント以上の順調な成長を示しています。

売上収益:全社四半期推移

こちらのスライドは、四半期ごとの累計です。第4四半期はトップラインを15.7パーセント伸ばすことができ、海外・国内ともに2桁パーセント以上の伸長と、いずれのセグメントも順調に業績を伸ばしてきました。

連結損益計算書

簡単な損益計算書をご覧ください。トップラインの説明に加え、当期純利益についても触れますが、当期純利益は前年同期比1.5倍強の17億8,600万円となり、順調に利益を積み上げることができました。グループ全体としては、客数と単価という2つのドライバーが、ともに計画どおり順調に推移している点が非常に大きなポイントです。

国内 セグメント実績:年度累計

ここから、セグメントごとの詳細についてご説明します。まずは国内についてです。

当社はブライダルジュエリー専業であり、婚姻組数は年々減少し、少子高齢化によってマーケットが縮小しているというご指摘もあるかと思います。しかし、婚姻組数自体はわずかに減少しているものの、単価はインフレの影響で上昇傾向にあり、マーケット全体では上向きの状況にあります。

また、プラチナ価格の高騰や婚姻組数の減少など、さまざまな外部要因がある中で、当社はお客さまに寄り添ったマーケティング戦略を徹底して実行しました。

さらに、店舗のリノベーションを進めるなどの取り組みにより、トップラインは14.7パーセント増、セグメント利益は4割弱増となり、大幅な増収増益を達成することができました。

個別施策

「Primo」には、「最高」という意味だけでなく「最初」という意味も含まれています。これには、ブライダルリングを購入されるお客さまに「まず初めにご来店いただきたい」という願いが込められています。

来店のきっかけを作る施策として3年前にスタートしたのが「パーソナルハンド診断」です。このコンテンツでは、お客さまの指の形に似合うデザインを無料で診断するサービスを発表しました。

さらに、「THE FIRST STEP」というスローガンを掲げた結果、来店客数が急増し、日本事業では2年連続で2桁成長を達成しました。この2年間で、約4割強の増収を実現しています。

これらのマーケティング施策が「パーソナルハンド診断」と「THE FIRST STEP」であり、今期も引き続き重要なポイントとなっています。

さらに、スライド一番右にある「LAZARE DIAMOND」は「I-PRIMO」と少しポジショニングを変え、アッパー層やラグジュアリー層をターゲットにブランディングを行いました。表参道でのPR活動を通じて認知度の拡大を図った結果、顧客数を増やすことができました。

国内 店舗改装の実績

前期は2店舗でリノベーションを実施しました。1ヶ月ほど営業を休止した期間を含めても、ビフォーアフターで業績を20パーセント以上伸ばすことができました。

こちらは、我々の中期経営計画における国内事業の重要な戦略の1つです。今後も積極的な移転やリニューアルを通じて、既存店の売上向上を目指していきたいと考えています。

海外 セグメント実績:年度累計

続いて、海外についてです。海外事業は前々期に非常に苦戦しましたが、前期は売上・利益ともに飛躍的な成長を遂げました。タグラインに記載のとおり、主要な牽引役となったのは中国大陸における事業です。

ここ数年、中国大陸では不動産バブル崩壊の噂などもあり景気低迷が続いていますが、当社ではマーケティングプランの見直しや営業オペレーション機能の内製化など、自社の努力によって成約率を向上させました。

その結果、客数と単価の両方が増加したことが大きな原動力となり、このような成果を上げることができました。特に、前々期は赤字だった中国事業が見事に黒字へとV字回復し、利益が1.5倍弱増加したことが大きなポイントです。

海外 店舗移転・改装の実績

国内と同様に、海外においてもリノベーションはトップラインを伸ばす非常に有効な手段となっています。シンガポール1店舗の出店、中国大陸で2店舗のより魅力的な立地への移転・リニューアルによって、売上を伸ばすことができています。

連結財務ハイライト(BS)

財務状況です。決算ハイライトとバランスシートについては、スライドをご覧ください。

トピックスとしては、トップラインを約30億円伸ばしているにもかかわらず、棚卸資産がほとんど増えていない点です。この点は、セレクトオーダースタイルを採用し、受発注モデルを展開している当社の強みの1つであると言えるかと思います。

財務ハイライト(CF)

キャッシュフローです。スライド一番上段にある営業活動によるキャッシュフローをご覧いただければ、現金を順調に積み上げていることがわかるかと思います。

2026年8月期ガイダンス

続きまして、今後の見通しおよび資本政策についてお話しします。2026年8月期のガイダンスについて、今期はすでにスタートして1ヶ月半が経過しました。

前期業績の好調を受け、現在発表している中期経営計画を1年前倒しすることを決定しました。売上高・利益ともに、過去最高を更新し続ける計画です。

トップラインは300億円で前年同期比プラス7.1パーセント、営業利益は36億5,000万円で前年同期比プラス16.5パーセント、当期純利益は21億7,000万円で前年同期比プラス21.5パーセントとしました。

この数値は、発表済みの中期経営計画である2027年8月期の目標を上回っており、1年前倒しで達成することになります。

主な戦略①

具体的な今期の取り組みについてです。先ほどの内容と重複しますが、定期的に一定のCAPEX投資を行いながら店舗リノベーションを徹底することで、国内需要をさらに喚起する方針です。

とはいえ、婚姻組数が緩やかに減少しているアゲインストマーケットの問題は、避けては通れない課題となっています。そのため、DXを活用して効率をより一層高める点に注力しています。

主な戦略②

海外事業です。スライドに記載のとおり、中期経営計画の業績前倒しに伴い、3年目となる2027年8月期に新店を再開する計画でしたが、順調に推移していることから、今期より再開します。

具体的には、中国大陸で3店舗を予定しています。また、マレーシアへは2027年に進出予定でしたが、1年前倒しし、今期に進出する計画です。

リテール事業においては、多くのお客さまの喜びの声やファンを作っていく、すなわちトップラインを伸ばし続けていくことが、ブランド価値の向上につながると考えています。月並みではありますが、多くのインフラや店舗数を増やすことが常套手段であるため、我々もその事業にしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

特に海外については、中国大陸ならびに東南アジア市場がまだまだブルーオーシャン市場です。「I-PRIMO」のシェアが非常に低い状況のため、このあたりについても利点にしていきたいと考えています。

キャッシュアロケーション方針

キャッシュアロケーション方針については、スライドのとおりです。

先ほどご覧いただいた営業キャッシュ・フローのスライドにあるように、当社は高いキャッシュ創出力を活かし、積極的な成長投資と株主還元をバランスよく行っていきます。

具体的には、国内外の店舗インフラ、CAPEX、システム・人財投資に加え、シナジー効果が見込めるM&Aも計画しています。

また、ステークホルダーへのリターンについては、返済を確実に行うこと、そして株主還元として配当と自社株買いをバランスよく進める方針が当社の骨子となります。

株主還元

株主還元については、今期さらに増配を実施します。中間配当60円と期末配当60円で1株当たり120円と発表しました。また、株主優待制度については前期同様に継続します。

中期経営計画

続きまして、中期経営計画の進捗および戦略について説明します。

現在発表している中期経営計画では、トップラインとしてCAGR(年平均成長率)を5パーセントから7パーセント、利益ベースで10パーセントから15パーセント、最終年度には売上高事業利益率を12パーセント以上とする目標を掲げています。

先般お伝えしたとおり、これらを今期中にクリアしていく予定です。

さらに、現在の時代のトレンドである資本効率を徹底的に追求し、当社は筋肉質な経営体質を重視してきました。そのため、ROE(自己資本利益率)もKPIに加え、来年には13パーセント以上を目指す目標を設定しています。

成長戦略 海外展開戦略

こちらは、中期経営計画および中長期的な戦略についてのスライドです。大きく3つの要素があります。

1つ目は、当社が培ったブライダルジュエリー専門のビジネスモデルです。さらにはモノだけでなく、ヒトの魅力を提供するサービス業として売り方に特徴があり、海外ではニッチで稀有な存在であると考えています。

さらに、日本という信用される国のビジネスモデルを活かし、東アジアや東南アジアに積極的にこのモデルを輸出していきます。これは、当社が最も注力しているポイントです。

台湾や香港には、創業10年以上の歴史があります。高収益体質を維持しつつ、ブルーオーシャンである中国大陸や東南アジア市場へ積極的に展開することが、当社の戦略の1つ目です。

成長戦略 マルチブランド戦略/CRM戦略

2つ目は、マルチブランド戦略です。先ほどお話しした4つのブランドを活用しながら、多様な顧客ニーズに応えるタッチポイントを増やし、広がりを確保することで収益を上げていくという戦略になります。

具体的には、台湾では3つのブランド、中国大陸および日本では2つのブランドを活用して売上を伸ばしています。これらを積極的かつバランスよく展開することで、多種多様な顧客ニーズに応えていくことが、この戦略の狙いです。

3つ目は、スライド右側に記載されたCRM戦略(Customer Relationship Management)です。一生で最も幸せな瞬間である結婚の何周年、あるいはお子さま誕生の記念日など、顧客の大切なアニバーサリーの瞬間に寄り添いつつ、定期的にアニバーサリージュエリーを提供することで、ライフタイムバリューに着目したお付き合いを継続することを目的としています。

年間4万組弱のお客さまのデータが顧客データベースに蓄積されていきます。このデータを活用して、積極的にアニバーサリージュエリーを展開していきます。

こちらは現在、グループ全体で約2パーセントの売上を占めている分野ですが、さらに拡大していくことが目標です。積極的な海外展開、マルチブランド戦略、CRM戦略という3本の矢が、プリモグループの中長期戦略の土台を形成しています。

国内市場①

最後の章では、足元の市場環境について補足します。

まず、国内市場です。何度もお話ししているように、婚姻組数自体は年0.5パーセント前後のペースで緩やかに減少していますが、単価は上昇しています。

特に金製品の原材料費の高騰も影響していますが、スライド右側をご覧いただくと、コロナ禍以降、結婚指輪の1本あたりの平均単価は1.6倍に上昇している状況です。

また、スライド左側にあるように、ブライダルジュエリー市場は2021年と比較してCAGR9.3パーセントの成長を遂げており、現在は2,200億円を超えています。つまり、マーケット自体はまだまだ拡張していることを、ぜひご理解いただければと思います。

ブライダル業界というカテゴリでは婚姻組数が減少しているため、シュリンクマーケットと評価されがちですが、単価の上昇が市場を牽引しています。

特に、ブライダルジュエリー市場は年々拡大している点が特徴であり、当社は「I-PRIMO」「LAZARE DIAMOND」という2つのブランドを効果的に活用してきました。

国内市場②

さらに、国内市場についてです。ご承知の方も多いかと思いますが、結婚指輪の購入率はほぼ100パーセントに近い数字となっており、結婚する方は必ず指輪を購入しています。

また、当社が進出している台湾および中国大陸、特に上海エリアにおいてもほぼ同等の数字が示されています。景気が悪くても結婚する方は確実に存在しており、指輪を購入される傾向があります。

このように、安定した購入率がある点や昨今の晩婚化の進行に加え、若年層の所得が上昇していることや、結婚時の夫婦の年収が年々上昇していることが、国内マーケットにおいて非常に追い風になっている状況です。

海外市場

海外市場についてです。当社の「I-PRIMO」ブランドは国内ではミドルレンジですが、海外では「日本から来たインポートブランド」カテゴリに属し、アッパーミドルレンジの市場にしっかりとリーチし、少しラグジュアリーなイメージを持つブランドです。

スライド右側にあるラグジュアリー関連出費額を見ると、中国大陸や東南アジアは日本や台湾に比べて非常に高く、今さらではありますが、魅力的な市場です。

また、スライド左側にある婚姻組数の比較を見ると、中国大陸は日本の10倍以上、東南アジアは約7倍と、非常に大きな可能性を秘めたマーケットといえます。

このような市場に向け、「日式おもてなし」を通して積極的に展開していくことが、当社の今後のビジョンです。このことをご理解いただければ幸いです。

以上、約25分間にわたりご説明しましたが、私のプレゼンテーションは以上です。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:新年度の粗利と販管費計画の前提について

質問者:新年

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