雇用調整助成金の受給に関する自主返還完了のお知らせ
進顕氏:2025年9月期第3四半期決算について、代表取締役社長の進顕がご説明します。
決算のご説明の前に、雇用調整助成金の受給に関する自主返還完了についてお知らせします。
当社が受給した雇用調整助成金について、当該事業所すべての管轄労働局において、過誤による申請であると判断されました。これを受け、スライドに記載の金額を各労働局へ返還しました。なお、各労働局において不正との判断に至らなかったため、違約金や延滞金の発生はありません。
当社は本事案を重く受け止め、代表取締役社長である私がリーダーシップをとり、引き続き真摯にガバナンスの強化に取り組んでいきます。
株主のみなさま、投資家のみなさまをはじめ、関係者のみなさまには多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
リスク管理推進室の設置に関するお知らせ
リスク管理推進室の設置についてお知らせします。昨年末に開示した内部統制の不備を契機として、あらためてリスク管理を経営の重要課題と再認識しました。
今後の事業成長を目指し、リスク管理推進室を設置するとともに、3つの委員会を事務局として各課題に取り組んでいきます。
業界の動向
業績の状況をご説明します。まずは、当社を取り巻く業界の動向についてお話しします。
自動車業界では、米国の関税政策により不確実性が高まっていますが、今年1月から6月の新車販売台数は前年比で回復しています。研究開発においては、脱炭素化に向けた世界的な流れが続いており、次世代技術の開発が継続されています。
人材業界では人手不足を背景に需要が堅調に推移しており、システムソフトウエア開発分野における人材需要が高まっています。また、メーカーを含む各社による人材獲得競争が激化し、採用の難易度がさらに高まっています。それに伴い、賃金も上昇傾向にあります。
業績の概要
業績の概要です。第3四半期の売上高は前年同期比6.2パーセント増となりましたが、営業利益は8.7パーセント減少しました。
主力である設計開発アウトソーシング事業では単価改善が進み、売上は増加しました。一方で、待遇改善に伴う賃上げにより人件費が増加し、営業利益は減少しました。
当社の課題は、収益率の向上と人材確保の2点であると認識しています。収益率の向上には、引き続き単価改善が必要です。単価は上昇基調にあり、契約改定に向けた交渉を継続していきます。人材確保においては、コンサルタントの活用を中心とした採用力強化、待遇改善、教育カリキュラムの充実化に取り組んでいます。
業績の概要
2025年9月期第3四半期の業績数値です。売上高は78億8,800万円で前年同期比6.2パーセント増、営業利益は6億9,500万円で前年同期比8.7パーセント減、経常利益は7億400万円で前年同期比7.7パーセント減、当期純利益は4億1,000万円で前年同期比20.7パーセント減となりました。
経営戦略上の課題の整理
課題への対策と今後の成長戦略についてお話しします。経営戦略上の課題を整理します。当社は営業利益に焦点を当てた経営を推進しており、設計開発アウトソーシング事業において、売上高は人員数・稼働率・単価の要素に分解できます。また、売上原価の大部分を人件費が占めています。
当社の課題は、収益率の向上と人材確保です。単価については、物価や賃金の継続的な上昇に対し、連動性を高めていく必要があります。
当期も引き続き賃上げを行ったこともあり、収益率に影響を与えています。そのため、単価改善に継続的に取り組み、収益率を向上させることが1つ目の課題です。
稼働人員数も売上に直結するため、2つ目の課題は人材確保です。その他の経費や販管費については、継続的に見直しや効率化を進めていきます。
現時点における経営課題
現時点の経営課題についてご説明します。経営課題は、先にお伝えしたとおり、収益率向上と人材確保の2点です。
収益率向上の対策として、第19期に順調に進捗した単価改善の取り組みを継続しています。当期も単価改善は進捗しましたが、より技術力に見合った単価を実現するため、営業力強化を図るワーキングチームにより持続的な改善に取り組みます。
人材確保においては、技術者数の停滞が売上高成長率の課題となっています。
課題①単価改善に向けた取り組み
収益率向上のための単価改善の取り組みについてご説明します。まず、国内の物価上昇率や賃金上昇率を考慮し、都度単価の見直しを継続して行います。
技術力の高い技術者が低単価案件に従事するケースもあるため、営業力を強化して高難度案件の受注を増やし、技術力に見合った単価を獲得できるよう努めます。加えて、人材教育を強化することで、高単価案件に従事できる技術者を増やしていきます。
研究開発技術を活用し、ARやAI、設計ソリューションの外販による収益化を目指すとともに、設計効率化ツールなどの活用を通じて請負業務などの効率化を進めていきます。
さらに、従来は専門部署で行ってきた開発会議について、より詳細かつタイムリーな開発アイテムの選定やリソースの最適化を行うため、現在は部門横断型の「研究開発会議」として運営しています。今後はさらに開発スピードを加速させていきます。
課題①一人月売上高の推移
一人月売上高の推移です。中期経営計画を策定した第17期の10月以降も、効率的な人員配置などにより右肩上がりで推移しています。第20期第3四半期では、単価改善の取り組みが進捗し、前年同期比プラス4万4,000円と、一人月売上高の上昇に寄与しました。
今後も付加価値の高いサービスの提供や、国内賃金上昇率を考慮した単価の見直しを実施し、さらなる売上高向上を目指します。
課題① 派遣・請負別売上高、一人月売上高の推移
派遣・請負別売上高と一人月売上高の推移です。派遣においては、企業の開発投資が拡大を続けており、戦略的な人員配置転換に加えて単価改善が寄与した結果、第20期第3四半期の売上高は前年同期比1.7パーセント増となりました。一人当たり売上高は67万6,000円で、前年同期比4万円の増加となっています。
請負においては、案件における難度や取引先からの要求値が年々上昇しており、単価交渉の進捗もあって、売上高は前年同期比10.5パーセント増となりました。単価改善に加えて高単価のプロジェクトを厳選した結果、一人当たり売上高は84万6,000円となり、前年同期比で4万円増加しました。
請負業務の売上高比率は全体の58.3パーセントで、引き続き高い水準を維持しています。
新卒・ポテンシャル人材を除く技術者稼働率は高稼働率を維持
技術者数と稼働率の推移です。新卒社員など新入社員を除く稼働率は95パーセントを上回り、高稼働を維持しています。今年4月には、計画を上回る採用数の新卒社員が入社しました。研修を通じ、技術者としての各種スキルの向上に取り組んでいます。
課題②人材確保に向けた取組み
人材確保に向けた取り組みです。採用力強化においては、採用コンサルの活用を進め、2025年新卒採用の目標を達成しました。潜在的な採用候補者とのネットワーク確保を目的に、データベースとしてタレントプールの導入を予定しています。
国内賃金上昇率に合わせた待遇改善のため、今年4月より平均5パーセントの賃上げを実施しました。かねて注力している教育カリキュラムでは、一部の新卒技術者の早期配属や稼働率向上に寄与するなどの成果を上げています。カリキュラムを専門分野別に分けたことで、より実践的な未経験者教育が可能となりました。
課題②人材確保に向けた取組み
前のスライドでお伝えした、教育カリキュラムの充実化についてご説明します。新卒技術者の研修については、従来の内容を見直し、拡充するとともに、十分な研修期間を設定しています。機械系、情報系いずれも、基礎的なヒューマンスキルから専門分野まで、各分野を体系的に習得できる内容となっています。
人材教育の強化により、配属前の新卒社員のスキル向上を支援し、技術者としての成長をいっそう後押しします。これらの取り組みを通じて、お客さまからのさらなる信頼獲得につなげます。
【再掲】中期経営計画の内容
あらためて中期経営計画の概要をお示しします。2024年12月に修正開示した内容に変更はなく、目標達成に向けて各種施策を着実に実行していきます。
中期経営計画 2027年9月期目標:売上高125億円・経常利益13億円
2020年以降、利益はほぼ横ばいにとどまっていますが、中期経営計画で掲げた取り組みに加え、今回ご説明した対策を進めることで、第21期以降、再び成長軌道に乗せます。
子会社 ベトナムアビスト開所について
子会社であるベトナムアビストの開所についてお伝えします。当社は、2022年に発表した中期経営計画における戦略的取り組みの一環として、オフショア開発を含めたグローバル展開を掲げており、今年ベトナム・ハノイに子会社を設立しました。4月に事業を開始し、6月には現地で開所式を執り行いました。
当社は2019年からベトナム法人リッケイソフトとの業務提携を開始し、オフショア開発の実績を積み重ねてきました。子会社では、日本国内の受託業務の特定業務についてオフショアを実施するとともに、ベトナム国内の現地メーカーからの直接受注も行っています。
設計支援ソリューション開発事例
デジタルソリューション開発事例をご紹介します。まず、設計自動チェックツールです。こちらは文書に記載されているチェックシートの内容を読み取り、図面がその内容に適合しているかを自動で判定するシステムです。
現在、自動車部品メーカーと共同で研究開発を進めており、利用開始に向けて開発を進めています。
DiffAR
iPad上で対象物と3D-CADモデルを重ね合わせ、形状の差異をAR技術でリアルタイムに認識できる表示プログラム「DiffAR」は、2023年8月に特許を出願しました。現在、より精度を向上させる改良を進めると同時に、既存顧客への売り込みを行っています。
AR・AIソリューション開発事例
AIを活用したソリューションを他にもご紹介します。スライドに記載のとおり、高精度な3Dスキャン技術を利用した人体の3Dモデル設計や、認可証の自動転記システムなどを開発しています。
設計支援ソリューション開発事例
当社の主力事業の業務効率化ツールとして、設計断面の自動作成ツールや干渉チェックツールなどを開発しています。すでに社内で利用しており、現在はさらなる精度向上に取り組んでいます。これらのツールを活用することで、自社内の設計業務の品質向上や、自動化による原価低減につなげていきます。
継続的・安定的な配当で株主還元
株主還元方針についてご説明します。当社は、株主さまへの利益還元を経営の重要課題の1つと位置づけ、継続的かつ安定的な配当を実施することを基本方針としています。
配当政策については、事業拡大と配当の安定性を念頭に置き、財政状態および利益水準を勘案した上で、当期純利益の35パーセント以上を毎期配当することを原則としています。
アビストの株主優待制度
日頃の株主さまからのご支援に感謝の気持ちをお示しするため、株主優待制度を導入しています。事業についてより理解を深めていただき、当社株式の魅力を高めることにより、多くの株主さまに安定的に株式を保有していただくことを目的としています。
2025年3月末時点の株主さまへは、スライドに記載のとおり、「浸みわたる水素水」を贈呈します。発送時期などの詳細はホームページをご参照ください。また、2025年9月末時点の株主さまへは、アビスト・プレミアム優待倶楽部ポイントを贈呈する予定です。
ご説明は以上です。ご清聴いただき、ありがとうございました。
質疑応答:設計開発アウトソーシング事業の派遣・請負比率に対する方針について
「設計開発アウトソーシング事業において、派遣・請負比率に対する方針はありますか?」というご質問です。
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