エグゼクティブサマリー
古川光瑛氏:サークレイス株式会社取締役CFOの古川光瑛です。はじめに私から2026年3月期第1四半期の決算についてご説明し、続いて代表取締役会長兼社長の佐藤スコットよりQ&Aについてご説明します。
まずはエグゼクティブサマリーです。スライドに当社が強調してお伝えしたい事項を3点にまとめました。
収益の源泉となる対応可能テクノロジーについてです。当社では、最新のITトレンドを踏まえ、成長が見込まれる領域への積極的な事業展開を推進しています。グローバル人材の採用を強化し、国内外におけるプロジェクト展開を本格化するとともに、「Salesforce」や「ServiceNow」のAIエージェントを活用した案件の拡大を進めています。
連結ベースでの売上高についてです。第1四半期の売上高は10億円となり、前年同期比で24パーセント増加しました。前年の成長傾向を維持し、計画どおりに推移しています。また、年間計画に対する第1四半期の進捗率も、前年の実績を上回る結果となりました。
連結ベースでの営業利益はマイナス6,400万円、営業利益率はマイナス6.4パーセントとなりました。これは、新規事業への積極的な投資と本社オフィス移転に伴う一時的な費用が発生したためです。ただし、これらの費用はすでに計画に織り込み済みです。
事業セグメントの変更について
事業セグメントの変更についてご説明します。2026年3月期より、事業セグメントの再編を実施しました。新しいセグメントは「AI&Data Innovation」と「SaaSサービス」の2つです。
「AI&Data Innovation」は、「Salesforce事業」「ServiceNow事業」「Microsoft Azure & MSPP / XP&A」の3つの領域から構成されています。「SaaSサービス」は、海外人事労務を扱う「AGAVE」から構成されています。
2026年3月期第1四半期 連結決算ハイライト
決算ハイライトです。売上高は前年同期比24パーセント増の10億円、営業利益は6,400万円の損失、親会社株式に帰属する四半期純利益は3,200万円の損失となりました。
2025年5月13日に公表した2026年3月期の連結業績予測に対しては、売上高、営業利益、経常利益のいずれも計画どおりに推移しています。
社員数は前期末比で13名増の369名となり、成長を見据えた組織体制の拡充を継続しています。
損益計算書サマリー
損益計算書のサマリーです。「AI&Data Innovation」と「SaaSサービス」の両セグメントにおいて、前年同期比で増収を達成し、全体では前年同期比24パーセントの増収となりました。
一方で、利益はマイナスの着地となりました。主な要因は2025年4月の本社オフィス移転に伴う一時的な費用の発生で、この費用は計画上織り込み済みです。
2026年3月期の連結売上高計画46億円に対して、第1四半期は21.7パーセントと計画どおりに推移しています。2025年3月期の連結売上高38億400万円に対する前期第1四半期終了時点の進捗率が21.2パーセントでしたので、本年度はやや進捗しているかたちで順調に進んでいます。
また、当社ビジネスは下半期に向けて売上収益が増加する季節性があり、今回の21.7パーセントという数字は順調な数字と考えています。
業績推移(連結)
連結業績の推移についてご説明します。第1四半期の売上高は、前年同期比24.0パーセント増と堅調に成長し、全事業において前年同期比で増収となりました。
2025年4月の本社移転に伴う一時的な費用発生により営業損失となりましたが、この数字は計画上織り込み済みです。
収益性(連結)
連結ベースの収益性についてご説明します。営業損失は、前年同期の5,100万円から6,400万円に増加しました。こちらは、2025年4月の本社オフィス移転に伴う一時的な費用3,000万円や、新規事業およびGlobal事業関連の人件費および採用関連費用への投資2,300万円が主な要因となっています。
一方で、ServiceNow事業の収益性向上により2,800万円、その他の改善分として1,200万円を達成し、前述の損失を一部吸収しています。
オフィスの移転費用は、サークレイスグループ間でのシナジー創出を見据えた一時的な要因であり、計画に織り込み済みです。
Salesforce事業
「Salesforce事業」についてご説明します。売上高は、前年同期比12.9パーセントの増収となりました。2期前と前期の比較では10.9パーセントの増収でしたので、前期を上回る増収率を達成しています。従来のお客さまに加え、大手企業層の顧客数が前年同期比で28社増加しました。
また、製造業、情報・通信業、不動産業、建設業を中心に、AI活用およびデータ活用によるデータドリブン経営(経営高度化)の支援を行っています。
さらに、「Salesforce」の自律型AIエージェント「Agentforce」への注目が高まり、それに伴う新たなビジネス機会が拡大しています。
ServiceNow事業
「ServiceNow事業」についてご説明します。売上高は前年同期比114.1パーセント増となり、2倍以上の成長を達成しました。新規顧客数は、前年同期比300パーセントの増加を達成しています。
「ServiceNow事業」では、顧客企業の「ServiceNow」内製化支援を目的とした教育サービスを受注しています。また、海外のガバナンスソリューションおよびグローバル「ServiceNow」アセットを国内企業に初めて導入しました。
さらに、「ServiceNow」の自律型AIエージェント「Now Assist」への注目が高まっており、新たなビジネス機会の拡大につながっています。
SaaSサービス
「SaaSサービス」についてご説明します。「AGAVE」の売上高は前年同期比18.1パーセント増となり、契約ユーザーID数は前年同期比で15.5パーセント増加しました。
「AGAVE」は、2025年4月23日にリリースした「生成AIを活用した新機能『ヘルプデスク(β版)』」を皮切りに、海外人事業務への積極的なAI活用を実現する機能を順次拡充しています。
連結貸借対照表サマリー
連結貸借対照表のサマリーです。当社は、2024年3月期第3四半期より連結決算に移行しました。自己資本比率は54.5パーセントと高い水準を保っており、財務健全性に問題はありません。
2026年3月期 IRニュースサマリー(2026年8月12日現在)
今期のIRニュースのサマリーです。4月24日までのリリースについては前回の決算発表でお伝えしていますので、今回は5月15日のトピックからご説明します。
サークレイス、産官学連携によるAI共創「ハッカソン2025春」にて次世代育成と実践知の共有に貢献 (2025/5/15リリース)
当社は、2025年2月に神戸市で3日間開催されたAI共創イベント「ハッカソン2025春」に参画しました。
マイクロソフト・神戸市・大学との連携のもと、実務的な知見の提供や技術支援を通じて、次世代人材の育成と社会実装に向けた実践的な知の蓄積に貢献していきます。
サークレイス、AIエージェントBPOサービス「AIO」第1弾としてSalesforce「Agentforce」の活用を決定 (2025/5/22リリース)
当社は、株式会社パソナと共同で提供するAIエージェントBPOサービス「AIO」の第1弾として、「Salesforce」のAIエージェント「Agentforce」を活用することを決定しました。
「Agentforce」を活用することで、初期投資を抑制しながら業務効率化と顧客満足度向上を実現していきます。
サークレイス、アオラナウ、Synthesyが「AIプロジェクト伴走支援×AIガバナンス構築・認証サービス」を提供開始 (2025/6/10リリース)
当社は、連結子会社であるアオラナウ株式会社、出資先であるSynthesy株式会社との3社共同で、新サービス「AIプロジェクト伴走支援×AIガバナンス構築・認証サービス」の提供を開始しました。
それぞれが持つAI技術に関する豊富な知見および実績を活用し、企業のAI活用を戦略から実装・ガバナンスまで包括的に支援していきます。
Youtube 「Japan Stock Channel」への当社代表取締役会長兼社長 佐藤スコット出演のお知らせ (2025/7/30 ・8/1リリース)
当社代表取締役会長兼社長の佐藤スコットが、YouTubeの「Japan Stock Channel」に出演し、サークレイスグループの事業成長の秘訣や、データとAIを活用した次世代の経営戦略について動画内でご説明しています。
社長自ら戦略や方針について詳しく述べていますので、ぜひご覧ください。
2026年3月期 業績予想
2026年3月期の業績見通しについてご説明します。Salesforce事業およびServiceNow事業の拡大に加え、グループ内連携によるシナジー創出を通じて、売上高を前年比20.9パーセント増の46億円とする計画です。
営業利益は前年比71.9パーセント増の3億5,000万円を見込み、中長期的な成長を見据えた投資を継続しつつ、営業利益率は7.6パーセントを計画しています。
会社概要
会社概要についてご説明します。サークレイス株式会社は2012年11月に設立し、現在の社員数は369名です。
Corporate Philosophy
当社は企業理念として「Transforming Tomorrow thru Disruptive Technology!」を掲げています。グローバルの最先端テクノロジーを通じてお客さまと共に経営変革を実現し、社会の課題を解決していきます。
サークレイスグループ
サークレイスグループの構成についてご説明します。当社グループは、サークレイス株式会社に加え、連結子会社2社により構成されています。
ベトナムにおいてシステム開発・運用サービスを担う合弁会社Circlace HTと、「ServiceNow」に関連する導入コンサルティング、開発、構築、運用保守、人材育成に至るまで一貫してサポートを行うアオラナウ株式会社の2社を、連結子会社としています。
この2社に加え、2024年10月に設立されたSynthesy株式会社に出資しています。Synthesy株式会社は、AIをはじめとする先進技術を活用した効率的な上流コンサルティング業務を提供しています。
サークレイスグループおよび出資先(出資予定先)の全体像
サークレイスグループおよび出資先の全体像についてご説明します。当社は、先ほどご説明した4社に加え、データやAI領域における業務変革を強みとするarcbricks株式会社を出資予定先企業として、グループに加えています。
お客さまのIT経営課題に対して5社のグループシナジーを最大限に活かし、全方位から最適なソリューションを提供していきます。
当社事業の全体像
当社事業の全体像についてご説明します。当社は今期より、「AI&Data Innovation」および「SaaSサービス」の2つのセグメントにセグメントを組み換えて、事業を推進しています。
「AI&Data Innovation」では、「Salesforce」を活用したコンサルティングやシステム開発、AIやデータを活用したクラウド環境におけるノーコード開発を行う「Salesforce事業」を行っています。
加えて、「ServiceNow」の導入におけるライセンスの再販や設計・開発、運用・保守、定着化支援までをワンストップで提供する「ServiceNow事業」、「Anaplan」「Microsoft」「AWS」「Databricks」などを活用したシステム開発やビジネス設計を行う「Microsoft Azure & MSPP(Microsoft Power Platform) / XP&A」といった事業を展開しています。
「SaaSサービス」においては、海外人事業務に特化したクラウドサービス「AGAVE」を提供しています。「AGAVE」は、煩雑な海外人事業務を最適化し、労務管理や給与管理をはじめ、海外人事業務に関連する社内外関係者が共通で利用できる海外人事プラットフォームです。
Q&A
投資家のみなさまにライブ配信などで直接ご説明する機会がありませんので、今回は当社からお伝えしたいポイントを3点、代表取締役の佐藤スコットよりご説明します。
佐藤スコット氏:代表取締役会長兼社長の佐藤スコットです。本日は3点についてご説明します。1点目は2026年3月期第1四半期の決算に関する所感、2点目はAI活用の方向性と社内の取り組み、3点目はグローバルトピックスです。
1点目は、2026年3月期第1四半期決算についてです。当期は非常に良いスタートが切れたと感じています。特に、「Salesforce事業」と「ServiceNow事業」は前年比でもしっかりと伸びており、今年のパイプラインも順調です。この2つの事業は、非常に良いスタートを切れたと思っています。
今年は、「Databricks」「Microsoft」「上流コンサルティング(Synthesy)」という3つの新しい事業を開始しました。これらもご期待に沿えるものとなるよう努めていきますので、成長を楽しみにしていただけると幸いです。
一方で、この第1四半期は小規模な損失が発生しました。主な要因は本社オフィスの移転費用です。今期の大きな取り組みとして、新しいオフィスでグループ全体の社員がコミュニケーションをしっかりとれる体制を整え、全員が同じオフィスで働ける環境を実現しました。よろしければ、ぜひ見に来てください。
Q&A
2点目は、AI活用についてです。昨年は生成AIがトピックスとして全世界的に広がり、特に新たに「AIエージェント」という技術も生まれました。これにより、「自律型AI」という言葉も非常に一般的になったと思います。
今年も引き続き、AIは重要なトピックスであり、企業の間でますます広がっていくと考えています。当社でも、社内業務でAIを活用する取り組みをさらに進めています。
ただ1点、日本ではAIエージェントの活用がアメリカと比較して遅れていると感じています。現在、日本企業では「PoC(概念実証)」としてAIエージェントを試す段階にありますが、今年はPoCにとどまらず、導入へと大きく進展できればおもしろい展開になると思っています。
社内では「Salesforce」や「ServiceNow」を活用し、それをAIと連携させながら業務を進めています。この取り組みについては、今後もご報告していきます。
Q&A
3点目のグローバルトピックスについては、トランプ関税が非常に大きなテーマとなっています。我々が予算を作成していた3月頃に関税の話が出始め、そこから約3ヶ月が経過しました。
我々のパイプラインは非常に強力であるため、現時点で数字に対する影響はないと考えています。しかしながら、国内では様子見をする企業が増えてきているように感じます。そのような状況の中で、今年はAIやデータが引き続き重要なテーマとなると考えています。
グループ会社のarcbricksはデータガバナンスを専門とする会社であり、SynthesyはAIガバナンスを専門とする会社です。今年はこれらの分野を強化し、これらの事業の発展に注力しながら、世界的なトピックスにも対応できる体制を整えていきます。引き続きよろしくお願いします。