目次
豊田利雄氏(以下、豊田):株式会社オービーシステム、代表取締役社長の豊田です。2025年3月期決算説明会にご参加いただきありがとうございます。本日はスライドに基づき、ご説明します。
目次のとおり、会社概要、2025年3月期の決算概要、2026年3月期の業績予想、中期経営計画の進捗状況の順にご説明したいと思います。
オービーシステムの歩み
会社概要です。スライドに記載のとおり、当社は1972年に設立しました。
創業者の山田と当社の大株主であるオービックの野田会長は前職で同じ会社に勤めていました。その関係で、1972年にオービックに資本参加いただき、山田が6割、オービックが4割と、6対4の関係で設立しました。
当初は、オービック向けソフトウェア開発会社として設立しましたが、1976年に日立製作所の関西進出時にビジネスパートナーとして取引を開始しました。
特に銀行の勘定系システムを中心に業容を拡大しています。事業拡大推進として、2023年6月に東証スタンダード市場に上場しました。前期2025年3月期には、過去最高の76億円を売り上げ、推移しています。
事業内容
事業内容について簡単にご説明します。4事業部門があり、金融事業、産業流通事業、社会公共事業、ITイノベーション事業と業種別に分類しています。
金融事業が39.7パーセント、産業流通事業が30パーセント、社会公共事業が22.4パーセント、ITイノベーション事業が7.8パーセントですが、約半分近くを金融ビジネスが占める会社です。
事業部門が4つにわかれていることで、金融が駄目な時は産業が良くなる、社会が良くなるなど、バランス良くできていると自負しています。
特徴 大手SIerとの長期的な取引
今まで基本的に日立製作所グループにおいて約7割弱、三菱電機を合わせると約8割近くが、この2大企業グループとの取引となっています。
近年、直取引も増えて12パーセントになっており、その他も10.7パーセントになっています。NTTデータ、パナソニック、東芝など大企業中心の取引となっています。
サマリー
2025年3月の決算概要です。売上高は76億8,000万円、売上総利益が14億4,000万円、営業利益が5億6,000万円、経常利益が6億1,000万円、当期純利益が4億8,000万円です。スライド右側に計画を記載していますが、売上高、売上総利益はそれぞれ計画を上回りました。
後ほどご説明しますが、投資関係の出費について、販管費がかなり膨らんだ関係で、営業利益、経常利益は計画をダウンしました。ただ、政策保有株式である日立製作所の株式を売却し、特別利益が出ているため当期純利益は計画どおりです。
2025/3期決算の概要
決算の中身について、もう1度簡単にご説明します。非常に旺盛なシステム開発需要と、昨今の単価上昇のため、売上高が11.4パーセント増えました。
粗利も順調に推移しており、粗利率は前期に比べて1.3ポイント上昇し、18.9パーセントとなっています。ただ、販管費は前期より2億6,300万円増えています。
新卒社員の採用が前期も50名程度となっており、そのあたりの費用が増加しています。また、M&A関連費用とそれに伴うのれんの償却等で、販管費が約4割増加し、営業利益、経常利益は減少しています。ただ、将来的な投資という位置づけで考えています。
季節要因<半期ごとの業績推移>
半期ごとの業績推移です。スライドのとおり、半期ごとの業績は順調に推移しており、過去最高数値を更新しています。販管費が増加している関係で、営業利益は若干マイナスですが、これは先行投資と考えています。
営業利益 前年同期比増減益要因分析
増減分析です。スライドのとおり、4億8,300万円の増収効果がありました。昨今は新卒社員の採用、ベースアップ等で、人件費等も約6パーセント増えています。
また、M&A関連の連結に伴う費用で営業利益が若干減少しています。
B/Sの状況
バランスシートです。バランスシートをご覧いただくと、当社の場合、長期にわたって無借金経営で、純資産が51億1,300万円で、現預金が前期末で26億3,800万円となっています。スライドのとおり、投資有価証券が20億1,100万円と増えています。
後ほどご説明しますが、日立製作所の株式を約32万株保有しているため、その含み益が非常に増えています。また、現預金を安全性の高い、A格以上の劣後債等で運用しています。
そのように営業外の部分があり投資有価証券が増えてはいますが、安定的なバランスシートになっていると思っています。
C/Fの状況
キャッシュフローはスライドのとおりです。
2026/3期業績見通し
今期2026年3月期の業績見通しを簡単にお話しします。先ほどご説明したとおりM&Aにより、前期からヒューマン&テクノロジー社が、今期からグリーンキャット社が連結に入ります。こちらは100パーセント子会社ということで、今期から本格的な連結経営をスタートします。
売上高は、連結部分の増加が約14億円あるため、合わせると94億円です。粗利についても18億2,500万円、営業利益は7億2,000万円、経常利益が7億6,700万円となっています。
当期純利益は5億9,000万円、EPSは254.3円と、すべての利益段階で20パーセント以上の増益を計画しています。
営業利益 想定増減益要因分析
増減分析です。スライドのとおり増収効果がありますが、連結関係費用等で人件費が非常に増えています。
そのようなところを吸収し、営業利益ベースで7億2,000万円となり、前期よりも1億5,700万円増加すると計画しています。
株主還元
株主還元については、積極的に行いたいと考えています。前期は当初計画から5円増額し、年間80円、配当性向は38パーセントに上昇しました。
今期は、20円増配し年間100円を計画したいと思っています。配当性向は若干増えますが、利益ベースが約20パーセント増益ですので、これぐらいの増配は特に問題ないと考えています。
配当性向も39.3パーセントと、40パーセント程度となっています。今後も、40パーセント以上の配当性向で行いたいと考えています。基本的には、この増配で株主還元を進めていきたいと思います。
中期経営計画の目標
中期計画の進捗状況を簡単にお話しします。中期計画は昨年の10月に発表しました。スライドのとおり、2027年3月期で売上100億円、営業利益率10パーセント、ROE13パーセント水準を目指しています。
中期経営計画の数値目標
今期が2年目であり、来期の目標を達成すべく、今期はその足固めを行いたいと考えています。スライドに記載のとおり、売上高が94億円となっており、来期の売上高100億円は、ほぼ見えてきたと考えています。
利益ベースは、ハードルは高いと思いますが、7億2,000万円から10億4,000万円です。今後M&Aしたヒューマン&テクノロジー社、今回子会社となるグリーンキャット社については、非常に有力な会社でシナジー効果が具体的に出てくると思います。今期、来期の数字は十分に達成可能と考えています。
中期経営計画の数値目標
今期の数字はスライドのとおりです。来期については、売上高100億円超はほぼ見えてきたと思っています。営業利益と経常利益も10億円を超え、当期純利益も7億6,000万円を目指したいと考えています。
中期経営計画 成長戦略 進捗
その中で成長戦略をしっかり行いたいと考えています。成長アクションの①は、人材の一層の強化です。新卒社員採用は2024年4月が52名で、2025年4月も49名となっています。現在、採用を始めていますが、2026年4月も50名以上を採用したいと考えています。
また、M&Aによる人員強化についてです。ヒューマン&テクノロジー社は札幌にある会社で、札幌も有力なIT人材が非常に多くいる地域です。こちらはまだ社員数40名ですが、これから社員が増えていく可能性は十分あります。
グリーンキャット社は東京の会社で、非常に歴史があります。これからシナジー、コラボが実現していくと考えています。
成長アクションの②は、研究開発・業務提携拡大により、事業拡大を加速していきたいと思っています。
医療の臨床検査システム「CLIP」を約170ヶ所の中堅病院に納めていますが、MILIZE社というAIの有力な会社と協創で、AIを搭載した「CLIP-AI」を開発し、2025年4月に販売開始しました。こちらも順調に推移しています。
成長アクション③はM&Aです。先ほどご説明したように、ヒューマン&テクノロジー社、グリーンキャット社の2社を子会社化したため、今後本格的にシナジー効果が表れると考えています。
成長アクション① 取引先の拡大・システム開発力/人材の一層の強化
人材の強化についてです。スライドのグラフをご覧いただくと、2025年4月時点では若干減っています。特に外注パートナー数が減っていますが、これは地銀の勘定系開発が延期になった影響です。
システムインテグレーターは人的パワーをそろえることが一番大事ですので、来年の新卒社員に加え、外注パートナーを含めて1,300名以上を確保したいと考えています。
成長アクション② R&D・業務提携拡大による事業拡大の加速
企業との業務提携、自社ソリューションの創出・強化についてです。特に今、生成AIがシステムの現場にもだいぶ入り込んでおり、今後もAIを搭載したシステムが非常に重要になってきます。自社ソリューションの創出・強化も含めて、技術にしっかりと対応していきたいと考えています。
当社の主要取引先である日立製作所も、AI技術の適用がかなり進んでいます。そのような会社のご協力を得ながら、当社も技術スキルを上げていき、変化の激しい時代に対応していきたいと考えています。
成長アクション③ 資本業務提携(M&A)拡大による事業拡大の推進
資本業務提携(M&A)についてです。先ほどからご説明しているように、2社をM&Aすることにより、中期経営計画である連結売上高100億円がほぼ見えてきました。
今後はいろいろなシナジー効果によって、利益も上がっていくと考えています。
株式会社グリーンキャットとの資本業務提携
グリーンキャット社について簡単にご説明します。グリーンキャット社は5月1日にクロージングしました。東京都千代田区麹町にあり、設立から40年以上の歴史がある会社です。社員は91名、外注パートナーは約70名です。
特徴としては、BIPROGY社との取引が非常に多く、売上全体の81パーセントを占めています。金融系対応の売上も多く、当社と相性が良いのではないかと思っています。
中期経営計画まとめ
まとめです。スライドのように、既存事業を着実に伸長させて強固な経営基盤を築いているところです。来期の売上は100億円、売上総利益は20パーセント以上、営業利益率は10パーセント以上、ROEは13パーセント以上を目指しています。
特に、上場してから新卒採用の状況は大幅に改善しました。応募者も増え、優秀な人材が多く入社しています。今期、来期にその効果が表れてくると考えています。
今後、そのような若いパワーが生成AI、クラウド、ビッグデータなどの新しいシステム開発を担っていってくれると思います。
中期経営計画新行動指針
スライドには、「THE OBS Way Creating the future with new values 〜新たな価値で未来を創る〜」と記載しています。今は変化のスピードが非常に激しく、生成AIがシステムの現場に入り、AIを組み込んだシステムが表に出てくることは間違いないと思います。まだ当社の成長余地はあり、今後もさらにチャレンジしていかなければいけないと考えています。
ご説明は以上です。ありがとうございました。
質疑応答:成長を期待する事業と粗利率について
質問者:4つのサービスラインについて、今後もっとも成長を期待しているのはどの事業でしょうか? また、それぞれの粗利率について教えてください。
既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。