会社概要
三宅登氏:代表取締役社長執行役員の三宅です。2025年3月期の決算説明をします。
まず、会社概要についてご説明します。当社は1989年2月22日に設立され、本社を大阪市北区に構えています。資本金は2億1,911万円で、事業拠点は東京、福岡、岩手県二戸市、松山の4ヶ所にあり、子会社として東京都港区にビジネスネットコーポレーションを有しています。
ミッションとビジョン
当社グループのミッションとビジョンをご説明します。当社グループは「人にやさしいシステムの提供で社会に貢献する」というミッションを掲げており、当社のサービス利用者だけでなく、その先に居る企業従業員やその家族を含めた人々にとって、使いやすいシステムであることはもちろん、社会保障や人材育成に貢献することで、社会基盤を支えることを理念にしています。
また、ビジョン、経営方針としては「人事労務領域総合サービスの提供」により業務を効率化し、付加価値創造を支援することを掲げています。そのための行動指針として、「Technology Driven」「Speed」「Fairness」の3つを掲げています。
セグメント構成
当社グループの事業は2つのセグメントから構成されています。社会保険労務士事務所、一般企業向け人事労務手続きシステムの開発・販売を行う「社労夢事業」と、主に人財管理を目的とするシステムを個社ごとのカスタマイズで提供する「CuBe事業」です。
ビジネスモデル:ストックビジネス
ビジネスモデルとしてのストックビジネスについてご説明します。社労夢事業は、月額料金によるサービス提供を基本としたストック型ビジネスです。初期費用による新規売上がユーザーごとに四半期に発生し、その後は継続的な月額費用として売上が積み上がっていく構造になっています。たとえば、第1四半期に新規獲得したユーザーからの月額費用を第2四半期以降に毎月安定した収益として確保できます。
ビジネスモデル:ターゲット
ビジネスモデルにおけるターゲットについてです。当社の主要ターゲットは、全国約368万社のうち社労士が関与している約116万社です。主に、社労士事務所や労働保険事務組合、また一般法人を対象としています。「Shalom」シリーズとの連携製品を活用することで、社労士関与企業及び未関与企業を含むすべての企業に対しクロスセルを促進し、導入拡大を目指しています。
業績ハイライト(グループ)
2025年3月期の連結業績ハイライトについてです。新製品「社労夢FOREVER」のリリースにより、売上高は前期比24.6パーセント増の32億9,000万円となり、通期では過去最高額を記録しました。
社労夢事業の売上高は、「社労夢FOREVER」のリリース及びストック収益の積み上がりにより、前期比17.1パーセント増の23億8,200万円となりました。
CuBe事業の売上高は、パターンメイド及び人事評価システムである「GooooN」の好調により、前期比49.8パーセント増の9億700万円となりました。売上総利益は、前期比47.1パーセント増の12億6,200万円となりました。
利益面では、クラウドサービス運用コストの抑制に注力しましたが、「社労夢FOREVER」のリリース遅延や円安の影響もあり、営業損失として2,300万円を計上しました。一方で、第4四半期会計期間では、売上高10億3,600万円、営業利益1億2,000万円となり、黒字化を達成しました。
業績のサマリー(グループ)
2025年3月期の連結業績サマリーについてです。新製品「社労夢FOREVER」のリリースにより、売上高は前期比24.6パーセント増の32億9,000万円、売上総利益は前期比47.1パーセント増の12億6,200万円でした。売上総利益率は前期比5.9ポイント上昇の38.4パーセントとなりました。
クラウドサービスの運用コストや顧客サポート費用の負担により、2,300万円の営業損失、親会社株主に帰属する当期純損失は1億1,800万円でした。1株当たりの当期損失は21円85銭となっています。
貸借対照表(グループ)
連結貸借対照表をご説明します。流動資産は前期比7,500万円増の15億1,200万円となりました。売掛金は8億1,100万円で、前期比2億4,600万円の増加です。
「社労夢FOREVER」開発費用の償却開始により、固定資産は前期比1億9,200万円減の9億2,700万円となりました。
流動負債は前期比1億9,900万円増の12億1,000万円、前受金は前期比1,200万円増の1億円、固定負債は前期比1億7,500万円減の5億5,600万円でした。
純資産は配当支払や親会社株主に帰属する当期純損失により、前期比1億4,100万円減の6億7,400万円となったものの、新製品リリースや原価低減への取り組みを進めつつ、財務安定性を回復させる方針です。
キャッシュ・フロー計算書(グループ)
連結キャッシュ・フロー計算書についてご説明します。営業キャッシュ・フローは2億7,600万円の資金流入で、前期から5億9,200万円改善しました。
投資キャッシュ・フローは主にソフトウエア開発投資により2億3,400万円の資金流出となりました。これにより、フリーキャッシュ・フローは4,200万円となりました。
財務キャッシュ・フローは、借入金返済により1億4,700万円の資金流出となりました。期末の現金及び現金同等物残高は前期比1億500万円減の6億600万円となったものの、依然として安定水域を維持しています。
売上高の推移(グループ)
連結ベースの各指標を四半期ごとのグラフで示しています。
2025年3月期の連結売上高は前期比24.6パーセント増の32億9,000万円となりました。
第4四半期会計期間の売上高は前期比21.6パーセント増の10億3,600万円で、各四半期を通じて順調に売上を伸ばしました。
売上総利益の推移(グループ)
2025年3月期の売上総利益は12億6,200万円となり、前期の8億5,800万円から47.1パーセントの増加となりました。売上総利益率は38.4パーセントで、前期の32.5パーセントから5.9ポイント改善しています。
第4四半期会計期間の売上総利益は4億2,700万円で、前四半期比でも大きく増加し、売上総利益率も安定した水準で推移しました。新製品「社労夢FOREVER」の寄与やCube事業における大型案件の売上計上が、利益率の改善要因となりました。
営業利益の推移(グループ)
営業利益の推移についてです。新製品のリリース遅延により、クラウドサービス運用コスト等の抑制施策が後ろ倒しとなり、通期では営業損失2,300万円を計上しました。一方、第4四半期会計期間では、新製品稼働の安定化と各種費用の削減が進み、営業利益は1億2,000万円を計上しました。これにより、第1四半期会計期間から第3四半期会計期間までの大多数の赤字を解消する結果となりました。
従業員数の推移(グループ)
従業員数の推移及び部門ごとの構成図を記載しています。2025年3月末時点の従業員数は135名で、ランサムウェア事案前の2023年3月末と同水準となりました。開発及びサポート体制の強化を目的として、新卒採用及び中途採用を継続的に実施してきた結果、安定した人員体制を維持しています。
内訳としては、開発部門、営業、サポート部門、管理、マーケティング、BNCの各部門でバランスの取れた構成となっています。
人件費・販促費の推移(グループ)
それぞれ主要なコストの四半期別グラフを記載しています。
人件費・労務費については、2023年度のランサムウェア事案の影響により社員数が一時的に減少しましたが、その後の新卒・中途採用により、開発力及びユーザーサポート機能を強化しました。
販促費については、主にメインターゲットである社労士事務所向けに対する継続的なPR活動に注力した結果、一定の水準を維持しています。
第4四半期会計期間の人件費・労務費は2億4,700万円、販促費は1,300万円となりました。
IDC経費・ソフトウエア償却費の推移(グループ)
IDC経費及びソフトウエア償却費の推移についてご説明します。
IDC経費は主にお客さまへのID発行に係るライセンス費用とインターネットデータセンターの維持管理に係る費用などから構成されており、2025年3月期は新製品リリースの遅延や円安の影響により、高止まりの状況が続きました。第4四半期会計期間は前年同期比6.4パーセント減の1億4,500万円となり、2026年3月期はさらなる圧縮を予定しています。
ソフトウエア償却費については、新製品のリリースに伴い増加し、第4四半期会計期間は前年同期比7.6パーセント増の8,800万円となりました。
導入実績
続いて、当社グループのメインセグメントである社労夢事業の説明をします。社労夢事業における主要なハイライト情報を記載しています。2025年3月末時点での「Shalom」シリーズ導入数は3,216社、発行ID数は13,769ID、登録企業数は80万社となりました。
「Shalom」シリーズご契約数あたりの月間平均単価を算出したARPUは63,200円、「Shalom」シリーズ1IDあたりの月額平均単価を算出したARPAは14,600円となりました。
なお、登録企業数の集計方法については中間期から変更しています。
ターゲット市場と戦略①
社労夢事業におけるターゲット市場と戦略についてです。全国に存在する社労士事務所は27,462事務所であり、そのうち法人事務所が2,913事務所、個人開業事務所が24,549事務所です。
当社の製品は、そのうち2,381事務所に導入されており、開業事務所におけるシェアは8.7パーセントです。登録顧問先企業数は80万事務所で、全国の一般法人275万社のうち28.9パーセントを占めています。
社労士事務所の56.4パーセントは1名体制での開業事務所であり、システム未導入事務所が多数存在することから、今後も提案製品や連携サービスの開発を強化していきます。
ターゲット市場と戦略②
従業員数ランキング上位51事務所の大手社労士事務所のうち、当社製品を利用している事務所は25事務所で、シェアは49パーセントと、約半数が当社製品(ハウスプラン)を利用しています。今後も大手社労士事務所向けに、ロイヤルカスタマー戦略を引き続き推進していきます。
売上高の推移
社労夢事業における売上高を四半期ごとのグラフで示しています。内訳としては、ストック売上とその他売上を分けて記載しています。その他売上には主に、新規導入顧客の初期導入費用などを含んでいます。
2023年度に発生したランサムウェア事案の影響から回復し、2025年3月期においてはストック売上(ASPサービス)が前期比21.8パーセント増となりました。ストック売上は一貫して増加しており、ストック比率も安定的に推移しています。
営業利益の推移
社労夢事業の営業利益の推移についてです。新製品のリリース遅延及びクラウドサービス抑制の遅れにより、第3四半期会計期間までは営業赤字が続きましたが、第4四半期会計期間には各種費用削減の効果が表れ、営業黒字に転換しました。2025年3月期全体では、前年からの改善幅が3億1,300万円となり、着実な回復を示しました。
売上高と営業利益の推移
CuBe事業における売上高と営業利益の推移についてご説明します。
2025年3月期の売上高は9億1,700万円で、前期の6億1,700万円から3億円増加しました。大手企業や行政機関を中心に、個別カスタマイズ型フロントシステムの受注に恵まれたことが、売上高の増加要因となりました。
営業利益は3,000万円となり、前期の800万円から2,200万円増加しました。利益面では、システム設計管理の徹底により外注開発費をコントロールしたことが、営業利益の増加要因となりました。
社労夢ハウス ブランディング戦略
2025年3月期下期トピックスについてご説明します。
社労夢ハウスネットワーク構想の新たなブランド戦略として、「社労夢ハウス」のリブランディングをスタートしました。新サービス「社労夢ハウスDXサイト」の導入により、ブランド価値の向上及び顧問先のDX推進を後押ししています。これにより、シームレスなデータ連携による業務効率化、新規顧問先獲得の促進、事務所収益の拡大を図っています。
顧問先WEBシステム提供サービス 「CLARINET(クラリネット)」
顧問先WEBシステム提供サービス「CLARINET(クラリネット)」を公開しました。
「CLARINET」は、「社労夢ハウス」に所属する社労士事務所が顧問先に新たな価値を届けるための、独自WEBシステム提供サービスです。本サービスは無償で提供され、DX製品へのログイン機能や顧問先専用ページ、お役立ちコラムなどを備えています。事務所の特色や成功事例の発信により、新規見込顧客への訴求効果が期待されます。
プロモーション活動①
2025年3月11日に東京国際フォーラムにて「社労士サミット2025」を3年連続で開催しました。今回は、全国の社労士事務所の先生方6名をお招きし、「社労夢ハウスネットワークではじまる社労士事務所のサクセスストーリー」をテーマに、最新事例の講演及びパネルディスカッションを実施しました。
特別講演として、デジタル庁さま、eI’m(アイム)社会保険労務士法人さまとその顧問先であるテイクスさまによる講演も実施しました。
プロモーション活動②/社労夢ハウスセミナー
社労夢ハウスブランディング戦略の一環として、社労夢ハウス利用事務所によるセミナーを実施しました。毎月1名の社労士の先生に登壇いただき、社労夢ハウス活用の最新事例や導入経緯、事務所の拡大に関する取り組みなどをご講演いただきました。顧問先向けDX製品の導入状況についても具体的な事例を交えながら紹介しました。
業績のサマリー(グループ)
2026年3月期の連結業績予想についてご説明します。
社労夢事業の成長が継続する一方、CuBe事業の特需が一段落するため、連結ベースで2024年度と同水準の売上高を予想しています。IDC経費及び顧客サポート費用の抑制により安定的な利益確保を目指します。
売上高は32億円を見込んでおり、売上総利益は2025年3月期の実績12億6,200万円から14億7,400万円へと増加する見込みです。その結果、売上総利益率は38.4パーセントから46.1パーセントへの改善を見込んでいます。
営業利益は2,300万円の損失から1億5,000万円の黒字へ、親会社株主に帰属する当期純利益も1億1,800万円の損失から9,700万円の黒字へ転換を見込んでいます。
2026年3月期 配当予想
2026年3月期の配当予想についてご説明します。当社は「株主の皆さまへの安定的な利益還元を重視し、配当を実施する」という基本方針に基づき、2025年3月期においても赤字決算ながら配当を実施する方針です。
2026年3月期においては、ランサムウェア事案前の水準である1株あたり年間8円の配当を予定しています。なお、配当性向は44.8パーセントを見込んでいます。
セキュリティ対策強化の基本方針
セキュリティ対策強化の基本方針についてご説明します。当社では、品質の改善及び向上を目的として以下の取り組みを実施しています。
ネットワークセキュリティではAWSのセキュリティ機能と多要素認証を活用しています。エンドポイントではウィルス対策ソフトに加え、ふるまい検知EDR(SOC)を導入しています。OS・ソフトウエアの更新は自動化により短期間で対応しています。
また、ペネトレーションテスト(脆弱性検査等)や情報セキュリティ監査を定期的に実施し、CSIRT構築の運用、従業員教育の階層別実施、IT-BCPについてもAWS基盤に応じた計画の立案・実行にも取り組んでいます。
主力サービスのご紹介_社労夢
当社グループのサービス概要についてご説明します。「社労夢(Shalom)」は、社会保険労務士事務所向けの業務支援システムです。1号業務、2号業務、に対応し、行政機関に提出する届出書作成や労働社会保険関係法令に基づく帳簿書類の作成、当事者の代理人業務など、社労士の独占業務を包括的に支援します。
主力サービスのご紹介_社労夢Company Edition
「社労夢Company Edition」は、一般法人向けに設計された大手企業の電子申請対応システムです。雇用保険や社会保険の申請業務の「内製化」を支援し、業務負担の軽減を実現します。
主力サービスのご紹介_MYNABOX
「MYNABOX」は、「社労夢」と連携して利用可能なマイナンバー管理システムであり、各種手続きに連動し、履歴の保存にも対応しています。
主力サービスのご紹介_ネットde顧問
「ネットde顧問」は、「社労夢」に登録されたマスタ情報と連携するWEBアプリケーションであり、正確かつ効率的な処理を可能にします。
主力サービスのご紹介_Direct HR
「Direct HR」は、入社から退職、扶養追加、育休取得などの申請処理をクラウドで一元管理するサービスで、スマートフォンやパソコンから申請が可能となり、申請されたデータを行政機関に電子申請することができます。
主力サービスのご紹介_eNEN
「eNEN」は、年末調整業務の進捗管理及び申告の入力負担軽減に特化したサービスで、画面ナビゲーション、重複入力防止、自動計算などにより、業務効率を高めます。
主力サービスのご紹介_Cloud Pocket
「Cloud Pocket」は、離職票や受給資格確認通知書、労災通知書などの公文書や社内文書の電子配付を実現するサービスで、書類の受け取りを個人フォルダで管理し、郵送コストや手渡の工数を削減します。
主力サービスのご紹介_受託開発型パターンメイド(CuBe事業)
CuBe事業の中核となる受託開発型パターンメイドは、人事評価や自己申告、勤怠管理、経費精算など、各企業の業務フローに応じた柔軟なシステム設計を可能にします。日本の大企業の50万人が利用中であり、人事・総務の業務改善・ITパートナーです。
主力サービスのご紹介_GooooN(CuBe事業)
「GooooN」は、目標管理・人事考課、人財プロフィール照会、自己申告・キャリアプランの3要素を連携させ、社員の成長を支援する人事評価クラウドサービスです。実務に基づく評価とキャリア形成を促し、人材育成を現場主導で支援します。
私からのご説明は以上です。ご清聴いただきありがとうございました。