Our Ambition (私たちの志)
樋口龍氏:お忙しい中、GA technologiesの第1四半期の決算説明会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長執行役員CEOの樋口です。
我々が目指している姿です。「テクノロジー×イノベーションで、人々に感動を生む世界のトップ企業を創る。」の志を掲げ、創業から今日まで変わらず行っています。
2025年10月期 第1四半期 ビジネスハイライト
2025年10月期第1四半期の業績サマリーをご説明します。第1四半期の事業利益は12億円でした。前年同期比3倍と大幅に計画を上回り、年間計画比20パーセントと昨年に比べてかなり早い進捗となっています。業績の平準化を進め、計画達成に向けて好発進しています。
RENOSYマーケットプレイス事業は、堅調なトップラインの成長に加え、商品ラインアップの拡充により粗利率が大きく成長したことで、利益率の向上に寄与しています。ITANDI事業も、売上・利益ともに計画どおり進捗し、セグメント利益はYoY43パーセント増と大きく成長しています。
第1四半期の決算トピックです。海外募集による新株式を発行し、中長期の達成に向けた成長資金を確保しました。また、RENOSYは、投資用マンションおよびアパート売上実績で全国No.1を獲得しました。2025年春からは、ITANDI BB追加機能オプションの有料での提供開始も発表しています。
そして、RENOSY、ITANDIにおいてテクノロジー戦略を策定しました。こちらは、後ほど詳しく説明します。
第1四半期 事業利益の推移
第1四半期のポイントとしては、事業利益が前年同期比で約3倍になりました。スライドのグラフのとおり、3、4年前から構造改革と銘打ち、収益性を向上させることと、四半期ごとの利益のボラティリティをなくしていくことに取り組んできました。その結果の第1弾として、3年連続で第1四半期が弱かったところを、昨年は黒字化することができました。
2025年10月期第1四半期は、黒字化だけではなく、第2四半期・第3四半期・第4四半期の利益も平準化を目指す取り組みのもと、大きく利益を出すことができました。これはたまたま利益が出たわけではなく、経営として計画的に取り組んできたことが、まさに功を奏した結果だと思っています。
昨年は、第1四半期は3.9億円、第2四半期は18億円、第3四半期は4億円とボラティリティがありました。しかし、四半期ごとでもしっかり利益を出していくという取り組みの結果として、今期第1四半期において着実に利益を出すことができたと思っています。
参入障壁が高い唯一無二のビジネスモデル
ここでもう一度、投資家の方々に、我々のビジネスモデルの強さを理解していただきたいと思います。
不動産業界のマーケットが非常に大きいことはご理解いただいていると思いますが、宅地建物取引業法ができて70年、不動産というものができてからはもう300年、400年経ちます。しかし、テクノロジーが進歩しても変わってこなかったのが、この不動産業界ではないかと考えます。我々は、変わってこなかった不動産業界にイノベーションを起こし、新しい不動産業界をつくる思いで事業を行っています。
不動産業界は、スライドのグラフ左側のように、開発・分譲、流通、管理、賃貸、投資の5つに分かれています。このうち、RENOSY、ITANDI含めて我々がターゲットとしている領域は、管理、賃貸、投資になります。
この3つの領域を攻めている理由は、3つの成長ドライバーがあるためです。1つ目は市場規模が大きいこと、2つ目はタイミング、3つ目はテクノロジーの介在余地が非常に大きな領域であることです。
具体的には、スライド中央の図にある「RENOSYマーケットプレイス」で投資家をマッチングし、その後サブスクリプション形式でプロパティマネジメント(管理)します。そして、そこで培ったDXテクノロジーのシステムを、ITANDIを通して他の管理会社に提供します。
唯一無二のビジネスモデルと記載しているのは、この3つがバラバラではなく大きく関連し合って成長し、この図の円がどんどん大きくなっていくことです。
市場規模比較
次に、3つの成長ドライバーについてご説明します。1つ目の市場規模は後ほど説明しますが、非常に大きな市場規模だといえます。
2つ目のタイミングについてご説明します。不動産業界の領域のうち、開発・分譲や流通は、不動産の財閥系企業の寡占・独占状態になっています。ただ、我々がターゲットとしている管理、賃貸、投資に関しては、寡占にも独占にもなっていません。したがって、我々が参入するタイミングとして非常に良かったと考えています。
3つ目のテクノロジーについてご説明します。管理、賃貸、投資は、テクノロジーとの相性が良い領域です。投資は株式投資と同じように、家賃・価格で利回りが出ますし、ワンクリックで購入・売却ができます。賃貸、管理も同様に、テクノロジーとの相性が良く、ワンクリックで借りることや貸すことができます。
このように、不動産業界の領域の中でもテクノロジーとの親和性が高いため、テクノロジーと記載し、この唯一無二のビジネスモデルを構築しています。
次に市場規模についてご説明します。投資家の方から「いわゆる不動産テック(不動産×テクノロジー)、不動産メディアはやらないのですか?」とたまに聞かれますが、スライドの左側に記載のとおり、不動産メディアの市場規模は約1,000億円で1取引あたりの利益も小さく、もうすでに複数のビックプレイヤーで寡占状態のため、テクノロジーの介在余地も小さいといえます。
我々が不動産メディアではなく、自分たちで宅地建物取引士資格を保有して不動産の実業を行い、そこをテクノロジーで取引を滑らかにしている理由は、まず、マーケットが膨大であることです。不動産メディア市場は約1,000億円ですが、不動産投資市場は約38兆円、つまり約342倍です。また、寡占にも独占にもなっていないので、我々はテクノロジーでイノベーションを起こし、マーケットを獲得することができるし、そのテクノロジーの介在余地も非常に大きいものであると考えています。
我々はこのように、リアルが主体の不動産投資市場にテクノロジーを取り入れ、業界自体の大きな変革に取り組んでいることを、投資家のみなさまに今一度ご理解いただきたいと思っています。
不動産メディアはシンプルで粗利率も高いので「そちらのほうが良いのではないか?」とよく聞かれますが、何度もお伝えするように、マーケットは小さく介在余地はなかなかありません。しかし、リアルの不動産投資市場に関してはマーケットも大きく、テクノロジーの介在余地が大きいため、我々はこの領域をターゲットに事業を行っています。
RENOSY マーケットプレイス シェア拡大の道筋
みなさまは、不動産投資にあまり馴染みがないかもしれません。「マーケットはどれぐらい大きいのか?」「どれぐらいチャンスがあるのか?」といった疑問をお持ちの方もいると思いますので、ご説明します。
スライドに記載のとおり、そもそも国内の不動産投資のマーケット規模は約77兆円あります。そのうち、国内賃貸住宅に限ったマーケットは約38兆円です。賃貸住宅には、スライドに記載しているもの以外にもオフィスなどが存在しますが、我々は国内賃貸住宅をTAM(獲得する可能性のある最大の市場規模)と定義しています。
我々は、常にこのTAMの拡大を続けています。具体的にはまず、中古の区分マンションのシェアを高めてきています。当然ながら、不動産は中古のコンパクトマンションだけではなく、スライドの図に記載しているような多くの商品があります。これらを展開することで、TAMの拡大を図ってきました。さらに米国のRenters Warehouse社をM&Aし、海外市場にもTAMの拡大を広げています。
みなさまには、RENOSYのマーケットのポイントとして、国内市場は約38兆円あり、その中で我々は、まず中古区分で事業をスタートし、そこから商品ラインアップの拡充によるTAMの拡大をすることで市場シェアをどんどん広げているとご理解いただきたいと思います。
賃貸管理DX シェア拡大の道筋
賃貸管理DXについてです。RENOSY、ITANDIの両方に関係している、SAM・TAMのもう1つの考え方になります。
日本には賃貸管理戸数が2,000万戸近くあります。ITANDIは、SaaSのプロダクトでも570万戸入っていますので、シェアは28パーセントとかなり高いところに位置しています。
一方、RENOSYは、サブスクリプションで預かっている管理戸数は約2万7,000戸で、シェアはまだ0.1パーセントです。「RENOSYマーケットプレイス」で投資家をマッチングしていけばいくほど、この2万7,000戸が5万戸、10万戸、100万戸とどんどん拡大していくため、TAMの拡大余地が大きいことがわかります。
また、RENOSYの今期GMV(売上収益)は2,500億円近くを目標としていますが、この2,500億円も先ほどのTAM38兆円と比較するとまだ小さいことから、大きく成長できる余地があると思っています。
ITANDI SaaS ターゲット市場規模
ITANDIにおけるSaaSのターゲット市場規模についてです。我々はグループでSaaSを行っていますが、対象顧客となる不動産会社が約12万社あるうち、導入しているのは4,500社近くです。未導入企業が10万社以上あるため、SaaSにおいても拡大する余地が大きいと考えられます。
対象顧客となる不動産会社約12万社についても、開発・分譲、流通、管理、賃貸、投資とさまざまなカテゴリに分かれます。したがって、新規のプロダクトやM&Aを通して、すべての領域にSaaSを提供していくことによって、常にTAMの拡大を図っていくことを目標とし、実行に移しております。
海外募集による新株式発行を実施
今回、海外募集による新株式発行を通して約51億円の資金調達をしました。投資家の方々から「希薄化することによってどうなりますか?」とのご意見があるのも理解しています。私は大株主なので、この希薄化の影響を一番受けるのは私でもあります。
それにもかかわらず、なぜこの調達をしたかというと、調達をすることによりさらなる成長ができ、より株式価値の向上に努められると考えているからです。希薄化分は株価の上昇でお返しできると考えているからこそ、調達を実施しました。
ポイントとしては、スライド中央に記載のとおり、浮動株比率の向上になります。浮動株が少ないと、新規に株式を購入していただける投資家の数も限られてしまいます。浮動株が増えることにより、さまざまな投資家に入っていただき、出来高が増え、株式価値の向上につながると思っています。だからこそ、このタイミングで資金調達を実施しました。
基本的には、リリースした「海外募集による新株式発行に関するお知らせ」の資料に記載のとおり、M&Aの資金に活用したいと考えています。ただし、我々も収益性は向上しており、当期純利益に関しては今期、来期と増大していきます。また、ROEは10パーセントを超える水準まで迫っていますので、資本効率に関しては、利益率の向上だけでなく、意識して取り組んでいます。
ネット売上収益及びコア事業利益率
ネット売上収益およびコア事業利益率についてご説明します。「RENOSYマーケットプレイス」のビジネスモデルについて、再度ご理解いただきたいです。「RENOSYマーケットプレイス」はマッチングプラットフォームであり、売り手と買い手をマッチングします。
マーケットプレイスについてご理解いただきやすい「メルカリ」でご説明します。「メルカリ」のテイクレート(手数料)は10パーセントです。例えば、1万円の商品を「メルカリ」で売買した場合、このマッチングでの「メルカリ」の売上は1,000円です。これがシンプルなマーケットプレイスのモデルです。
我々の場合、扱っているものが高額な商品のため、買い手側が安心して不動産を購入できるようにマーケットプレイス側が一度商品を仕入れる形式を取ります。
仮に5,000万円の不動産を一般的なマーケットプレイス上でマッチングした場合、5,000万円がGMVとなり、その手数料が仮に10パーセントとすると、500万円が売上に計上されることになります。
一方、RENOSYの場合は、一度マーケットプレイスで仕入れるため、売上が5,000万円、仮に10パーセントが利益率だとすると500万円が売上総利益になりますが、我々は売上総利益を上述した一般的なマーケットプレイスの売上と考え、ネット売上収益という名称で説明しています。一方、ITANDIはSaaSのため、売上収益がそのままネット売上収益になります。このネット売上収益における事業利益率をコア事業利益率と呼んでおり、手数料による収益性を表す指標として示しています。
このような観点で捉えると、我々のコア事業利益率はすでに12.6パーセント、2026年10月期の目標値は17.9パーセント、長期的には20パーセントを目指しており、決して低くありません。さらに、商品は一度抱えますがCCC(キャッシュコンバージョンサイクル)は30日以内になるので、いわゆるB/Sとしても、アセットライトなB/Sを実現できています。
2025年10月期第1四半期業績
2025年10月期第1四半期の業績についてです。連結のネット売上収益が91億円、事業利益が12億900万円、コア事業利益率が13.3パーセント、ネット収益のYoYプラス53.9パーセントです。RENOSYマーケットプレイス事業のネット売上収益は71億3,500万円、事業利益は22億3,900万円、ネット売上収益はYoYプラス49.1パーセント、事業利益はYoYプラス61.1パーセントです。
国内のオンライントランザクションは、ネット売上収益が55億7,400万円、事業利益が19億9,800万円、ネット売上収益がYoYプラス38.3パーセント、事業利益がYoYプラス86.0パーセントです。サブスクリプションは、ネット売上収益が8億9,800万円、事業利益が4億9,200万円、ネット売上収益がYoYプラス60.6パーセント、事業利益はYoYプラス58.7パーセントと、ともに大きく成長しています。
海外においても、ネット売上収益が6億6,200万円となり、YoYプラス237.8パーセントと大きく成長することができています。
ITANDIにおいても、ネット売上収益は17億3,900万円、事業利益は3億9,400万円、ネット売上収益のYoYプラス85.7パーセント、事業利益はYoYプラス42.8パーセントと、大きく成長できていると思っています。
2025年10月期 通期業績予想
2025年10月期は、ネット売上収益が423億円、YoYプラス32.8パーセントを予想しています。事業利益は、昨年の40億円に対し今期は60億円、YoYプラス49.1パーセントの成長率を予想しています。その結果、コア事業利益率は14.2パーセントを予想しています。
2026年12月期に関しては、事業利益でYoYプラス30パーセント以上成長しながら、100億円を目指しています。ここまでの利益を出せるグロース銘柄は、なかなかないと思います。これも、マーケットが大きくテクノロジーの介在余地が高いためだと思っています。
しかし、お伝えしたようにマーケットはまだまだ大きいため、我々はネット売上収益でYoYプラス30パーセント、事業利益に関してはYoYプラス50パーセント成長しています。この成長をこの1年、2年のみならず何年間も続けていけると思っており、そこにコミットもしています。
重要KPIハイライト
重要KPIのハイライトになります。先ほどお伝えしたとおり、ネット売上収益は91億円、YoYプラス約54パーセントでした。コア事業利益率は13.3パーセントでした。ストックビジネス粗利は約26億円と、年間で考えた場合のストック収益は100億円に到達する計画です。
上場時から見ていただいている投資家にはご理解いただいているかもしれませんが、2018年の上場時はストック収益がゼロでした。それが上場して7年で100億円になってきています。これも、計画的にビジネスモデルを変革させてきたことが、まさに功を奏していると思います。
今期1年間の人件費の大半をストック収益で賄えるようになってきたところにも注目していただきたいと思っています。
連結業績推移
連結業績推移についてはスライドのとおりです。ご覧ください。
販管費推移
販管費は73億9,100万円でした。特徴的なところは広告宣伝費で、9億8,500万円でした。前年第1四半期の広告宣伝費が11億3,000万円のため、YoYでこれだけ高い成長を遂げながらも、広告宣伝費率が下がってきています。これは「RENOSYマーケットプレイス」の認知度が高まってきた結果です。
我々が保有している唯一無二の成約データをAIで回していくことにより、高効率な広告配信ができています。計画的に事業を進めてきた結果の表れだと思っています。
ストックビジネス粗利推移
ストックビジネス粗利についてです。四半期で25億円、年間にすると約100億円のストック収益を獲得できる計算です。さらに全体の粗利の30パーセントがストックです。ストック比率が向上している点は十分にご理解いただきたいポイントになります。
ネット売上収益及びコア事業利益率の推移
コア事業利益率も年々上がっています。2023年10月期第1四半期のコア事業利益率は、6.0パーセントでした。この2年で2倍になっており我々の収益性が上がってきています。コア事業利益率に関しては、20パーセントをターゲットにしているため、今後も収益性は上がっていくと思っています。
RENOSYマーケットプレイスのビジネスモデル
「RENOSYマーケットプレイス」の細かいセグメントについてお話しします。先ほどお伝えしたように、「RENOSYマーケットプレイス」では不動産投資家をマッチングします。
会員数が増加している背景はiDeCoやNISAのサービス拡充により不動産投資マーケットが活発になっていることが大きな要因です。みなさまご存じのようにiDeCo、NISAは国策で税制優遇もあり、国民のうち働いている方々のほとんどがiDeCoに加入しNISAを行っています。当然ですが、有価証券への投資のみならず、不動産への投資も立派な投資になります。
我々がRENOSYで年間10万人近い会員を増やせば、取引量も当然拡大します。取引量が拡大すれば、管理戸数も拡大します。管理戸数が拡大すると、結果的に流通量、すなわち物件の絶対数も拡大します。その結果、また会員が集まります。これをネットワーク効果と呼んでいます。
収益性が上がっている一方で広告宣伝費率が下がっている点については、きちんとご理解いただきたいです。ネットワーク効果が高まるビジネスモデルであるため、売り手が増えれば買い手も増え、結果としてマーケットシェアが高まります。マーケットシェアが高まれば広告効率は上がるため、広告費をかけずとも多くの会員獲得ができ、「RENOSYマーケットプレイス」での取引量が拡大していくため、効果的なマッチングが行えることで成約率も上昇します。
成約率の向上は、当然ながら利益率の向上にもつながります。そして我々は、ここにAIを入れていくことに特に注力していきます。その先には、よりスピーディで指数関数的な成長が待っています。後ほどテクノロジー戦略のところで、詳細をご説明します。
業績推移
これらの結果、RENOSYも売上収益がYoYプラス40パーセント、ネット売上収益がYoYプラス49パーセント、セグメント利益がYoYプラス61パーセントと大きく成長しています。
業績推移
オンライントランザクションとサブスクリプションの数字に関しても、大きく成長してきています。
売上総利益推移
先ほどお話しした、拡充してきた商品ごとの粗利が増加しています。「取扱い商品が増えると、CCCが悪化するのではないか?」というご質問をたまに受けますが、商品が増えていったとしても、我々は規律をもってCCCを守っていきます。
その結果、資本効率は高いままで成長できると思っており、そこにコミットもしています。
RENOSY会員ストック数推移
会員数は50万人の大台を超え、約54万人になっています。
サブスクリプションKPI推移
オーナー数は約2万人に上るところまできております。サブスクリプション契約件数も3万5,000件近くに達しています。
ITANDIのビジネスモデル
ITANDIについても、導入社数の増加を戦略に据えます。導入社数が増えるほど、ITANDIのプロダクトの利用者数が増え、シェアも拡大します。シェアが増えればITANDI BBの物件掲載数が増え、PV数が高まります。
ITANDIはSaaSとマーケットプレイスを運営しているため、RENOSYと同じネットワーク効果が発揮されるビジネスモデルです。シェアが高くなれば、収益性が高まってきます。
シェアは、スライド右側のSaaSで高めていきます。また、マーキュリー社にジョインしていただいていますが、このジョインにより、建物データや取引データという唯一無二のデータを保有できるようになっています。
これらのデータを保有することによって、今までにない不動産取引を実現していくことができます。RENOSYは不動産投資で、ITANDIは賃貸・管理・電子契約の面で、不動産業界のインフラになっていきます。
業績推移
ITANDIのネット売上収益は、YoYプラス86パーセントでした。SaaSであるにもかかわらず、セグメント利益もYoYプラス43パーセントと大きく成長できています。
ARR推移
年間のARRもYoYプラス39パーセント成長しつつ、利益率は20パーセントをキープできています。ここは非常に大きなところかと思っています。
導入社数および導入プロダクト数の推移
導入社数は、先ほどお話しした12万社の企業に対して4,694社のため、まだまだ伸びしろがあります。
SaaS KPI推移
KPIについてです。MRRはYoYプラス42パーセント成長しつつ、売上総利益もYoYプラス40パーセントという高い成長を遂げています。
チャーンレート推移
成長のみならず、チャーンレートも0.42パーセントと低水準です。
我々は計画的に利益率の向上や四半期のボラティリティの低減、TAMの拡大を推進したことにより、これまで変わってこなかった不動産業界をテクノロジーによって変革させてきました。その結果が表れてきているのではないかと思います。
しかし、マーケットはまだまだ大きいですし、AIも始まったばかりですので、さらに大きく成長していきたいと思っています。
続きまして、CTOの後藤より、テクノロジー戦略を簡単に説明します。
RENOSYマーケットプレイス
後藤正徳氏:取締役常務執行役員CTOの後藤です。ここからはテクノロジー戦略についてご説明します。
GA technologiesグループは、これまでもテクノロジーを活用し、PropTech、不動産テックの分野を進めてきました。今後どのようなテクノロジー戦略を採っていくかについて、あらためて投資家のみなさまに情報を共有し、同時に決算という目線から、テクノロジーが果たす役割についてお伝えします。
まず、「RENOSYマーケットプレイス」についてです。GA technologiesでは、積極的にAIの活用を進めています。特に、近年のAIの急激な進化により、テクノロジーによる事業の効率化や精度向上が、これまで以上に可能になってきました。
スライドの図に記載している、会員の拡大、取引量の増加、賃貸管理の拡大、流通量の増加の各局面において、先ほどご説明したAIとテクノロジーを最大限に活用し、RENOSYマーケットプレイス事業をさらに効率よくスケールし、拡大を目指していきます。
その際に特に重要となるのが、スライド下に記載しているテクノロジーアセットです。そもそもAIには、人間が学校で勉強するように、学習データと呼ばれるデータを与えなければなりません。このデータは、学校でいうところの問題集です。与える学習データの質と量が重要になってくるわけですが、これまで培ってきた大量のデータを与えてトレーニングすることで、AIの精度を高めていくことが可能となります。
スライドに図示している、AIによる面談効率と精度の引き上げ、多様な商品に対応可能な契約フローの構築の2点を、次のスライドでご説明します。
RENOSYマーケットプレイス テクノロジー活用事例
スライド左側をご覧ください。GA technologiesでは、プランナーがお客さまと面談することで不動産投資を薦めていきます。この際に、お客さまに寄り添いながら、効率的な面談進行を両立することが、生産性向上の鍵になっていきます。
しかし、プランナーとお客さまとの会話という、人と人との間に、テクノロジーを差し込んでいこうとしても、さまざまな技術的課題があるということは、容易に想像できるかと思います。
これらに対し、AIを活用していきます。対話型生成AIがプランナーの面談を支援することにより、お客さまが納得できる高い品質と、高い精度の提案が可能になります。また、ご自身で調べたいようなお客さまがいらっしゃった場合に関しても、AIエージェントが対応していきます。
この結果、全体として良い顧客体験を維持しながらも、効率を高めて成約率の向上を目指すことができるようになっていきます。
スライド右側で示しているように、これまでシステムを築き上げてきたテクノロジーを、コンパクトマンションのみならず、さまざまな物件タイプにも活用することで、効率よくスケールしていくことが可能となります。
ITANDI
続いて、ITANDI事業です。スライド下側に示しているとおり、ITANDIはこれまで、SaaS販売を通じて、独自のデータやノウハウを蓄積してきました。特に、ITANDI BBには多くの不動産会社が日常的にアクセスしているということもあり、すでに業界における主要なプラットフォームになっているのではないかと考えています。
現在、年間100万件を超える申込件数と、累計約9万店舗の不動産仲介会社に、多くの利用とシステム連携をしています。
このアセットをもとに、先ほどご説明した好循環モデルのそれぞれのポイントにおいて、AIとテクノロジーを使い、不動産業務に特化した高精度AIの導入や、導入による顧客対応の改善など、さらなるプロダクト開発を進めていきます。
図示している独自データとAIノウハウを活用したプロダクト開発、不動産と周辺領域のコミュニケーションハブ化の2点を、次のスライドで少し深掘りしたいと思います。
ITANDI テクノロジー活用事例
スライド左側に示しているように、導入いただいた事業者さまは、さまざまかつ大量のデータをお持ちだと思います。例えば、チャット機能を使うと、お客さまからのメッセージなどがストックされます。これを単なるテキストとして扱おうとしても、非常に扱いにくく、把握しにくい情報です。お客さまの動向を理解したいという時に、すぐ使うことはできません。
当社は、AIによって、これらをデータ処理が可能な形式へ変換していくことで、利活用できると考えています。
スライド右側の図をご覧ください。ITANDIは業界でよく使われているということもあり、ITANDIのIDをオープン化することにより、外部のシステムや他事業者さまと連携できる仕様になっています。ITANDIのシステムはこのつなぎ込みが容易な設計のため、業界をまたいだ連携の中心すなわち不動産業界のハブを目指しています。
結果として、ITANDIは単にSaaSを提供するのみならず、AIとデータを活用したオープンプラットフォームへと進化していきます。こうしたシステムの利活用を増やしていくことを考えています。
我々は、RENOSY、ITANDIともこれまで着実にシェアを高めてきました。また、継続的に研究開発を強化してきました。AIとテクノロジーを活用することにより、生産性を上げながらも顧客のみなさまに体験と価値をお届けし、この業界にイノベーションを起こしてきました。いま一度、投資家のみなさまにもご理解いただきたいと思っています。
長くなりましたが、今期の決算発表は以上となります。ありがとうございました。